第二の開国を考えて
オーストラリア・ニュージーランド出張
出張の目的は、ウクライナへのロシアの侵攻、アジア太平洋地域における中国のプレゼンスの増大といった安全保障環境が変化する中、オーストラリア、ニュージーランド両国における広義の安全保障環境に対する認識を確認し、両国と日本との間の安全保障並びに経済関係での協力の拡大の可能性を探ることでした。
オーストラリアの原子力潜水艦建造計画
近隣に脅威となる国が存在しないのが、目下のオーストラリア・ニュージーランドの安全保障環境の特徴です。しかしオーストラリアは2030年代に最初の原子力潜水艦を米国より購入(最大5隻)する予定です。そして最終的(2040年代)には次世代の原子力潜水艦(非核搭載型)を英国と共同で開発・配備する計画まで公表しています。狙いは、アジア太平洋への海洋進出を図る中国に対する抑止力の強化です。オーストラリア・ニュージーランドともに金額ベースでの輸出先の第一位は圧倒的に中国です。従って、中国との経済関係はもちろん重要になります。それでも、オーストラリアは自由と民主主義という価値観を重視する結果として対中抑止力に力を入れているのです。ニュージーランドは軍事面での米国との協調には距離をおきますが、情報面では密接に協力しています。
日本よりはるかに一人当たりGDPの大きな両国
もう一つ、今回の出張で気づいたことは、国民の豊かさです。一人当たりのGDPを比較すれば、かつて日本が上でした。しかしいまは日本の1.5倍以上にもなっているのです。その理由はさまざまありますが、人口が増えていることも大きな要因です。
アジア・太平洋地域からの人口増
人口増は、アジア太平洋地域からの人口増です。国会議員にも、多くの非白人の議員が存在します。オーストラリアの外務大臣は中国系のマレーシア人ですし、ニュージーランドでは半数近くの議員が非白人です。我が国が抱える大きな課題である異次元の少子化対策の中で、そこに学ぶべきこともあるかもしれません。明治維新から第二次世界大戦終戦までが77年、それから77年が2022年です。第二の開国を考えるか、その前に、抜本的な異次元の少子化対策を打ち出せるか。いま日本が大きな岐路に立っていることを再認識させられました。 Tweet