日本の抱える課題解決に向けて その1
【為替レートは金利差だけで決まる訳ではない】
確かに一つの見解でしょう。しかし、過去にはドルの金利の方が円より高かった時代もあり、それでも円高は進みました。金利差だけで為替レートが決まるものでもありません。そもそも米国の金利が日本より高いのは、米国の物価上昇率が日本より高いためです。米国の物価を押し上げた主因には人件費の高騰があります。日本でも資源をはじめとする輸入品の価格の上昇にともなって物価が上り始めています。
【今こそ、所得を増やそう!】
逆説的に言えば、日本で人件費が上がれば、それが価格に転嫁され、アメリカのように金利を上げる余地が生れます。そうなれば日米の金利差を埋めることも可能でしょう。では、人件費を上げるためにはどうすれば良いのでしょう? 必要なのは労働市場の流動性を高める改革です。日本にも、一部の業種には深刻な人手不足があります。結果として、そうした業種では、正社員より非正規の社員の人件費が高くなるという珍しい現象も見られます。
【所得を増やす政策】
こうした人件費の上昇が、なぜ日本全体に及んでいかないのか。一つには正社員の解雇に厳しい規制が設けられていることがあげられます。また医療・介護の世界を中心に市場価格ではなく、公定価格で人件費を決める業種があります。そこで働く人々の割合が高いことも、人件費に変化が表れない原因の一つです。日本においても、給料が上がるという『良い物価上昇』が実現されなければなりません。そのためには、一に「労働市場の改革」。二に「介護等の公定価格の労働への需給のバランスの導入」、そして三に「最低賃金の大幅な引き上げ」といった改革が必要です。日本に必要な処方箋として、早急にこの改革に取り組んでいこうと思います。 Tweet