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活動報告

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官僚接待がもたらす新しい官僚制度

「総務省接待問題」中心の国会審議

2月、3月といえば国会は翌年度予算の審議の季節です。しかし今年の衆参の予算委員会は、予算審議よりも総務省接待問題一色に染まっているようです。官民接待の問題は、1990年代の大蔵省接待汚職事件を契機としてルールの厳格化が行われました。問題になっている接待は、このときに定められたルールに背くもので、罪は重いといわざるを得ません。しかし、それにしては国民の怒りは、かつての大蔵省接待スキャンダルの時ほどではないように思われるのはなぜなのでしょうか。

接待によってもたらされた不利益

考えられる理由は、コロナ対策など、接待問題より喫緊で取り組むべき課題があると国民が考えていることがあるのかもしれません。接待問題によって国民の懐が直接影響を受けることがないということも理由なのでしょう。接待によって携帯電話料金の引き下げが行われなかったとしたら、それは消費者の損失につながりますが、結果として接待の有無にかかわらず携帯電話料金は、競争要因によって引き下げられたと考えられます。
では接待によって何が変わったのでしょうか。電波オークションが見送られたのでしょうか?それは違います。電波オークションの問題は、接待程度で片付く話ではありません。また、放送と通信の融合の結果、衛星放送の利権は、昔と比べれば遥かに小さくなっています。放送なら外資規制もあるでしょうが、通信のインフラを使うインターネットの番組は制度上、規制しようがありません。時代も大きく変わったということです。

接待問題が投げかける本質的課題

総務省接待の問題が投げかける本質は、この時代の変化と大きく関わる事柄です。ルールはルールですから、今後規制する側と規制される側の接触はより厳格に制限されます。一方、総務省接待問題による影響の程度を定量的に測ることは出来ませんが、役所を目指す若者の数も減ると予測されます。そもそも、新卒一括採用による終身雇用モデルは時代の変化と共に、廃れ始めています。雇用の流動性を高めていかないと日本の企業も対応が出来ない状況になりつつあります。

リボルヴィングドア型の人事制度の確立を!

既に、金融庁などがそうであるように、規制を守らせる職種については、中途採用の専門家が、その職種を担い始めています。もちろん、一足飛びにはいかないでしょうが、学生が役所を目指さなくなることを念頭に、官僚の世界においても実業の世界の選手が規制を守らせる審判になるリボルヴィングドア型の人事制度を作るべきとの警鐘を投げたのが、今回の事件の大きな教訓ではないでしょうか? ルールを作る人、ルールを守らせる人、それぞれが専門職として、ルールに基づき活動する経済人と距離感をもって対峙する、そんな新たな時代の幕開けのきっかけに今回の事件がなればと思います。