官僚接待がもたらす新しい官僚制度
「総務省接待問題」中心の国会審議
2月、3月といえば国会は翌年度予算の審議の季節です。しかし今年の衆参の予算委員会は、予算審議よりも総務省接待問題一色に染まっているようです。官民接待の問題は、1990年代の大蔵省接待汚職事件を契機としてルールの厳格化が行われました。問題になっている接待は、このときに定められたルールに背くもので、罪は重いといわざるを得ません。しかし、それにしては国民の怒りは、かつての大蔵省接待スキャンダルの時ほどではないように思われるのはなぜなのでしょうか。接待によってもたらされた不利益
考えられる理由は、コロナ対策など、接待問題より喫緊で取り組むべき課題があると国民が考えていることがあるのかもしれません。接待問題によって国民の懐が直接影響を受けることがないということも理由なのでしょう。接待によって携帯電話料金の引き下げが行われなかったとしたら、それは消費者の損失につながりますが、結果として接待の有無にかかわらず携帯電話料金は、競争要因によって引き下げられたと考えられます。では接待によって何が変わったのでしょうか。電波オークションが見送られたのでしょうか?それは違います。電波オークションの問題は、接待程度で片付く話ではありません。また、放送と通信の融合の結果、衛星放送の利権は、昔と比べれば遥かに小さくなっています。放送なら外資規制もあるでしょうが、通信のインフラを使うインターネットの番組は制度上、規制しようがありません。時代も大きく変わったということです。