日本の伝統を生かして「所得を、増やそう。」
日本語はグローバル化の負の側面の防波堤?
シリーズで、展開している「所得を増やそう!」ですが、今月は、日本という枠組みで考えた「所得の増やし方」です。これは「生産性の引き上げ方」にもつながる話です。ちょっと大上段な表現ですが、現代は資本主義、民主主義という普遍主義の拡大・進化の時代です。いち早くにグローバル化した欧米では、リーマンショック、トランプ政権誕生、英国のEU離脱、そして反移民運動といったグローバル化の負の側面が露呈しています。わが国では、グローバル化の遅れもあり、欧米ほど深刻なグローバル化の副作用は現れてはいません。これも日本語という参入障壁のためでしょう。「日本語で考えるからこそノーベル賞が取れる」
とはいえ、さらなる国際化はわが国においても不可欠でしょう。英語の普及やAIシフトの深化などに力を入れなければならないことは言を俟ちません。問題はそれだけやっていたのでは、日本独自の多様性に基づく発展は望めず、かつ生産性の伸びも英語が母国語の国に劣ることは避けられません。先日、私が主催する勉強会に元文化庁長官・近藤誠一氏を講師としてお招きしました。その際、大変興味深い話をうかがいました。ノーベル化学賞を受賞された野依良治博士の言葉です。野依先生は、「日本語で考えるからこそノーベル賞が取れる」と発言されそうです。その真意は、日本語はあいまいなものをあいまいなまま表現するのに適しており、まだないものを発見するにはその方が適している、ということです。