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ブログ

あさお慶一郎が、この時代の出来事に思う事や具体的な政策を語ります。

世界史に残る可能性のある現在の通商交渉。

  • 世界史に残る可能性のある現在の通商交渉。

米国トランプ政権が世界各国と二国間の通商協議を繰り広げています。
同時に、拡大通商法232条に基づく「安全保障上の脅威」を根拠に、欧州連合(EU)、
カナダ、メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA)諸国そして日本を対象に調査を進めています。
自動車並びに自動車部品の輸入が国内産業を傷つけ、その結果として安全保障上の脅威になっていないか、が調査の目的です。
仮に、自動車や自動車部品に制裁関税がかけられれば、日本からの輸出総額の10%近くが対象となり、我国経済へのダメージは計り知れません。
特に、日本から米国に輸出される車は高級車が多く、利益率が高いとされます。企業収益への影響は更に深刻です。

問題は、米国EU間での話し合いです。
7月の首脳会談の結果、自動車を除く工業製品に対する関税、非関税障壁及び補助金の撤廃に向けた作業開始に合意しました。
また、交渉期間中は合意に反する行動を取らないということも決まりました。
つまり、EU産の自動車及び自動車部品には通商法232条に基づく制裁関税は、交渉中に限り発動されないということです。
NAFTAとの間でも、自動車原産地規則修正等で合意に至る可能性が出て来ました。
この結果、我国から輸出される自動車だけが制裁の対象となり、不当に高い関税を課されるという可能性が出てきたのです。

トランプ政権の特色は、それぞれの国との間の原則二国間の交渉に持ち込んで、そこで取引(ディール)をするという点にあります。
個別のディールで勝利をしていくことで、結果として全体の勝利を目指すというやり方です。
その意味では、米国と中国との交渉からも目が離せません。
9月には、中国から米国への輸出額5,000億ドルのうち、計2,500億ドル相当に追加関税がかけられる方針です。
一方、米国から中国への輸出額は1,300億ドルですが、この内、1,100億ドル相当に中国は追加関税をかけました。
米国は、中国からの輸入額の半分に追加関税をかけており、中国は米国からの輸入額の8割に追加関税をかけている計算になります。
しかしながら、実際の金額ベースでは、中国の輸入額が圧倒的に少ないので、中国側からすると対抗措置を取ることが困難になってきている状況です。
もちろん、さらに関税率を上げることは出来るでしょうが、そうすることは、必要なものも事実上禁輸することになり、経済活動の上では不可能ということになります。

そうした中で、ある興味深い話を聞く機会がありました。
我国もかつて資本の海外移転の制限があった時代がありましたが、中国は今でも資本、為替の制限が存在します。
これを、資本・為替の自由化をするということで米国と交渉を妥結するという話です。
このことが、戦略的に示唆することは、一帯一路地域においても基軸通貨はドルのままで良いということになります。
基軸通貨国でないということは世界の覇権国家を目指すことを事実上放棄することになるので、そうであるとすれば今世紀の世界史的な出来事になる可能性があります。