177-衆-東日本大震災復興特別委員会 6号 平成23年05月31日
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○浅尾委員 まず総理に、原子力発電所の事故の責任について伺いたいと思いますが、私は、被災者に対しては、国と東京電力が連帯して責任を負うといった姿勢を示した方がはるかに被災者が安心できるというふうに思います。
しかしながら、どうも今までの答弁を伺っておりますと、一義的には東京電力の責任だというふうに聞こえるわけでありますが、その点、もう一歩踏み込んで、国が被災者に対しては連帯して責任を負うんだという姿勢は示せないんでしょうか。
○菅内閣総理大臣 原子力は、国策として歴代政府が取り組んできた政策課題でありますので、今回の事故についても、国の責任というものは大変大きいと思っております。
今御指摘のように、決して、東電にだけ押しつけるという意味で一義的という言葉を使っているのではありません。まさに国も、国民に対して、この事故については全面的な責任を負う。ただ、その中での仕組みとして、まず第一義的には東電にということでありまして、国が同様の、あるいはもっと総括的な責任を負うということは、私は当然のことである、こう考えております。
○浅尾委員 責任ということになりますと、先般の内閣委員会で枝野官房長官にも質問をさせていただきました。
今般、枝野官房長官名で各省の幹部人事については凍結をする、しかしながら、経済産業省の事務次官は、まさに福島第一原発に対する津波が五メートルの高さで十分だということを決めたときの保安院の院長でありました、その人も含めて留任をさせるということは果たして責任のとり方としてどうなのかということを枝野官房長官に質問させていただきましたところ、その趣旨は総理にも、そして海江田経済産業大臣にも伝えるということでありましたけれども、しっかりと目に見える形で責任をとられるおつもりがあるかどうか、総理に伺いたいと思います。
○海江田国務大臣 経済産業省でやめなければならないのはまず真っ先に私でございますから、まず真っ先に、やめるんだったら私がやめます。
○浅尾委員 私は、今回の事故のときの津波の高さの基準を認めたということに原因があるということでありますから、その何代か後の経済産業大臣としてやめられるということであれば、それはそれで結構でありますけれども、その決めた当時の責任者については何ら責任がないというふうにおっしゃっているんでしょうか。
○海江田国務大臣 何ら責任がないということではありませんが、今まさに事故が進展中でございます。きょうも実は四号炉で小爆発が起こりました、先ほどこの議論をやっている最中にも。今大事に至っておりませんが、そういう時期でございますので、私は、保安院も、それから次官も含めて、今、とにかくこの炉の安定化に向けて本当に心血を注いでいるところでございます。
○浅尾委員 心血を注いでおられる方が、まさにその責任者が自分が責任があってやめられるということで、今回の津波が原因だとするならば、その前のときの人が責任がないというのは私は矛盾があると思いますが、そのことを指摘させていただいて、次の質問に移りたいと思います。
きょうも話題になりました池田副大臣、これは早急に後任者を決めるなりされたらいいと思いますが、その点についてはどういうふうに考えておられるんでしょうか。
○海江田国務大臣 そのようにいたします。
○浅尾委員 次に、福島第一原発の状況について保安院に伺っていきたいと思います。
私、今回、きょうも話題になりました海水注入も含めて、冷やすということは大事だと思いますが、同時に、メルトダウンをしているという中にあって、投入された水の量と現在把握している水の量が差があるということになると、その投入された水というのは、当然、原子炉の中に投入されているわけでありますから、今ある水が確認されている量がずれているとなると、これは大きな問題だというふうに思います。
先日、資料提供をいただきました。私が今から申し上げますが、保安院、この数字が正しいかどうかだけお答えいただければ結構であります。
福島第一原発の三号機、ここには、あらあらの数字で申し上げますと、もともと千六百九十五トンの水が燃料プールと原子炉の中にあった。今回、二万六千トン注入しました。二万六千トン注入したんだけれども、原子炉建屋の中にある水は一万トン足らず。隣のタービン建屋とトレンチを足しても、四千二百七十トンの水がどこに行っているのかわからないということでありますけれども、第一原発の三号機については今申し上げた数字で正しいでしょうか。
○寺坂政府参考人 お答え申し上げます。
概数でございますけれども、おおむねそういう数字と認識してございます。
○浅尾委員 当然、これは原子炉を冷やすために入れているわけでありますし、メルトダウンがあるということでありますから、放射性物質を含んだものがその水の中に溶け出しているということになると思いますけれども、この四千二百七十トンの水が、これは安全委員会に聞いた方がいいんでしょうか、政府の中で専門家に伺った方がいいと思いますが、場所がわからないということになった場合にどういう影響があるのか、伺いたいと思います。
○海江田国務大臣 これは委員御案内だろうと思いますけれども、もちろん、注水をしておりますと、まだ温度が高いわけでありますから、蒸発分もあるということは確かでございます。
それから、今これは調査中でございますが、二号と三号の間が、トレンチなどもございますけれども、つながっているのではないだろうかというような見方もございます。これはそれぞれの建屋の水位をはかっておりますが、そういう可能性もございます。
いずれにしましても、私どもとすれば、一日も早く、そうしてたまった水を一回そこで除染をして、そしてまた戻して注水をする、そういう循環型の冷水のシステムをつくることが必要だと思っております。
○浅尾委員 まず、ちょっと誤解がないように申し上げておきますと、原子炉にもともとあった水というのは二百七十トンなんですね。四千二百七十トンがすべて蒸発して消えるほどの熱量、エネルギーがその場にあるとは私はとても思えないわけであります。
私が伺ったのは、仮に高濃度のそういう水が現にどこにあるかわからないという中にあって、政府としては、その危険性についてどういうふうに把握しているのかということであります。
○海江田国務大臣 以前、二号炉から大変高濃度の水が海水へ注ぎましたので、これはピッチというところがございます、これはかなり数がございますが、まずこういうものをしっかりと止水をするということをやっておりまして、環境中にそうした水が漏水しないように、例えばたまっている水も、今、地下水との関係がございますから、地下水の水位より低いところにとどめるようなこともやっております。
それから、これは六月の中旬をめどでございますけれども、最終的には循環させなければいけませんので、その工事を今急いでいるところでございます。
○浅尾委員 御質問にお答えいただけないようなので、ちょっと角度を変えて申し上げますけれども、今まで、注水した水を政府として把握をし、そして、現在そこにある水の量との差についてモニタリングはしてきたんですか。
○枝野国務大臣 残念ながら、先ほど御報告のとおり、これまでに報道しているとおり、水が海に流れ出てしまった等という問題が生じております。したがいまして、どこかから漏れ出たりして環境に影響を及ぼしていないかどうかということについての監視をしっかりさせるということで、海におけるモニタリング、周辺から新たなものが出ていないかどうかというモニタリング、それから地下水等についてのモニタリング、こういったことは強化をお願いして、かなり詳細にモニタリングをして、これも公表しているはずでございます。
○浅尾委員 なかなか御質問にお答えいただけないんですが、簡単な足し算、引き算なんですね。
これは、きのう資料請求して、すぐこの場でわかる計算でありますから、そういうことについてちゃんと計算をし、そして、こういう事故があったときには、できるだけ早く、いろいろな危険性について間違いがない形で公表していくというのが筋だと思いますけれども、今までされていないのであれば、これからやる気があるかどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。
○枝野国務大臣 これは、入れた水の量とそれからたまっている水の量と、それから例えば、もともと建屋などにたまっていた水等については、津波の水が残っているのかどうかとか、それから地下水が出てきているのではないだろうかとか、つまり、入れた水と残っている水だけの足し算、引き算だけではできないというふうな報告を受けております。
それだけに、漏れているところがないかどうかということをしっかり監視することによって、今、環境への影響についてモニタリングをしているということでございまして、そうしたことについても、これはできるだけしっかりとした把握ができれば望ましいというふうに思っておりますので、その努力は、保安院や東京電力においてさらに進めてもらおうと思っております。
○浅尾委員 その調べる主体というのは、実はきのう、いろいろとレクをするに当たって、政府が一義的に責任というふうにおっしゃっておりますけれども、基本的には東京電力の現地の方がやっておられるということなので、私はもっと政府が主体的に現地で調べるべきだと思いますけれども、そういう体制を変える意思があるかどうかだけ伺いたいと思います。
○海江田国務大臣 まず、海につきましては、発電所の周辺に、今プールのような状況になっております。もちろんシルトフェンスもやっておりますが、その近傍は、これは東京電力がやっておりますが、その外側になりましては、これは政府がモニタリングをやっております。
ただ、いずれにしましても、そういう御懸念もありますから、モニタリングのポイントをふやすということは、これは心がけておるところでございます。
○浅尾委員 モニタリングという間接的なことを申し上げているわけではなくて、仮に四千二百七十トンもの、かなりの確度で高濃度で汚染されている水がどこにあるかわからないということであれば、それをしっかりと把握し、それが外に漏れ出ないようにする責任は政府にあるのではないですかということを言っているんですが、その責任は、政府ではなくて東京電力にあるということですか。
○海江田国務大臣 それは、私どもも今、東京電力との間で共同の対策室をつくっております。私はその副本部長でございますので、当然、私どもにも責任があろうかと思っております。
○浅尾委員 では、総理に伺いますけれども、今、私どもにもという、「も」という言葉を使っておられました。私、冒頭申し上げましたように、この件については、少なくとも被災者に対しては、東京電力ではなくて政府が責任を持ってやります、賠償も含めてやりますというふうにおっしゃっていただいた方が被災者は安心すると思うんですが、その点について、総理としてはどういうふうに考えますか。
○菅内閣総理大臣 それは、先ほども申し上げましたように、まさにこの全体の責任、それは、原子力災害特別措置法によって、この十五条状態が発生し、原子力緊急事態が宣言され、この本部がつくられ、私にその権限が与えられたということを含めて、政府の責任が全体に、総括的にあるということを先ほども申し上げました。
と同時に、これはおわかりいただけると思うんですけれども、その宣言が出されるまでは、もちろん原子力安全・保安院は常駐等をしておりますけれども、基本的には、東電の原子炉は東電が運転をしているわけでありますので、今御指摘のあった水の問題も、私はやはり、きちんと政府としても把握をしなければならないとは思いますけれども、実際に何トン入れて、どういうところに水がたまっていて等々のことについては、やはり事業者たる東電が、そのまま信用するしないは別として、まずは自分の中でちゃんと調べて状況を報告していただかなければ、最初から政府だけでやるということは、なかなか実態上難しい。
そういう意味では、まさにともに、両方でやるということに、海江田大臣が言われたのは決しておかしなことではない、こう認識しています。
○浅尾委員 実態上、東京電力の現地の方が、あるいはその協力会社の方も含めてやっておられる。私は、現地の方が一生懸命やっておられることに対しては、敬意を表します。そのことを否定しているわけではなくて、責任をどっちがとるのかということを申し上げているわけでありまして、どうも、なかなか聞いてもその点についてお答えいただけないので、次の質問に移りながらそのお答えをいただきたいと思います。
今回の賠償の枠組みについて伺いますけれども、この賠償の枠組みは、東京電力というのは、大体、電力販売量のほぼ半分に近い額を賄っている会社であります。しかしながら、原子力発電所そのものはいろいろな会社が持っているわけでありまして、仮に東京電力以外の会社が同じような事故を起こした場合にも、同じような賠償の枠組みが合理的に計算上もなし得たというふうに総理として考えられるかどうか、その点を伺いたいと思います。
○海江田国務大臣 今、委員からは、会社の規模の大小ということでございますが、それは、とりもなおさず電気料収入の多寡ということになろうかと思いますが、本枠組みは、電力料金の多寡にかかわらず、この枠組みの中で行うということでございます。
○浅尾委員 海江田大臣は経済の専門家ですから、電気料収入の少ないところで同じ枠組みをしたら、それはうまく回らないということはよく御存じの上でお答えになっておられるというふうに思います。
では、総理に伺いますけれども、いろいろなことを今までおっしゃっておられます。おっしゃっておられる中で、この間サミットでは、一千万戸の家の上にソーラーパネルをつけると。そのこと自体、私は否定しているわけではありませんが、どうも、従来のサミットというのは、シェルパという方がいて、これが事前の調整を、国内の調整もすべてやっている。今回については、海江田経済産業大臣も御存じない中で発表されたということであります。政治主導ですから、それぞれ発表されるのは結構なんですけれども、実現できなかったら、単なるその発表をしたということだけになってしまうわけでありますが、どうやってこれを実現されるおつもりなのかということを伺いたいと思います。
その前に、せっかく松本外務大臣がお越しですから、今までにサミットの中において、いわゆる首脳が国際公約をその場でされた例というのは、お答えになれる範囲であれば、具体例として挙げていただきたいと思います。
○松本(剛)国務大臣 委員よく御存じのとおり、G8のサミットというのは、そもそも、首脳が率直に、忌憚のない意見交換をする場として設けられておりますので、総理を含めて、各国の首脳がそれぞれの考えを議論の中で自由に発言をされるというのが通例ではないかというふうに思っております。
もちろん、各省も準備をいたします。議長国の方が事前に議題を設定されますので、そういったことに合わせて準備をするものでありますけれども、総理が実際にどのように発言されるかというのは、総理自身の御判断によるというふうに考えております。
今回も、かねてから、再生可能エネルギーを一つの柱にするということは、既に私自身も総理との議論の間でお話をいたしておりましたし、再生可能エネルギーを拡充するとすれば、当然、住宅用太陽光発電というのは一つの柱になってくるわけでありますし、私自身もこれまでさまざまな議論に加わってまいりましたけれども、住宅用太陽光発電の目標として一つの目標を掲げられる、それをどのぐらいアンビシャス、野心的な目標にするかということは一つの御判断だと思いますし、どういう場面でどういう野心的な目標を掲げるかによって、これを実現につなげるのにはどうするか、まさにそこが御判断であったのではないか、こういうふうに考えております。
○菅内閣総理大臣 この一千万戸という表現をいたしましたのは、現在のエネルギー基本計画で、二〇三〇年までに再生可能エネルギー、いわゆる自然エネルギーの割合を二〇%にするということが従来出されております。その内訳の中で見ますと、最初は石油換算になっておりますが、電力換算で申し上げますと、五千三百万キロワットを太陽光発電で発電するとされていて、そのうち七割を住宅に設置するパネルで三キロから四キロ程度の発電とすると、大体それが賄えるという数字になるということであります。
私が今回、サミットあるいはOECDで申し上げましたのは、この二〇三〇年の現行のエネルギー基本計画は、これは白紙から見直さなければならないということは申し上げましたが、その中で、二〇二〇年代のできるだけ早い時期に、従来は三〇年の目標とされていたこの再生可能エネルギー二〇%というのを、二〇二〇年代のできるだけ早いところで実現を目指していきたいということを申し上げ、その数字の根拠は、二〇三〇年のときの同じ二〇%の根拠の数字から算出をいただいた。G8には経産省の担当者も来ておりましたので、そういう皆さんの検討も含めて、そういう数字を出させていただいたということであります。
○浅尾委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ぜひ被災者に対しては政府が責任を持つという姿勢を示していただきたいと思います。
○黄川田委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時一分散会