あさお慶一郎(前衆議院議員 神奈川4区)

2005年04月22日 (金)

参議院 本会議 18号 平成17年04月22日

 

162-参-本会議-18号 平成17年04月22日
○議長(扇千景君) 日程第四 保険業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長浅尾慶一郎君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔浅尾慶一郎君登壇、拍手〕
○浅尾慶一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、経済社会情勢の変化を踏まえ、金融資本市場の構造改革を促進し、保険契約者等の保護の一層の充実を図るため、保険業法の適用範囲及び保険契約者保護制度の見直しを行うとともに、少額短期保険業者の特例の創設、特別勘定で経理された保険契約の更生手続における取扱いの見直し、保険会社の子会社規制の緩和等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、根拠法のない共済の実情と少額短期保険業者制度の在り方、制度共済を含めた横断的な規制を行う必要性、生命保険セーフティーネットの制度趣旨と政府補助継続の是非等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、本法律案に対し、民主党・新緑風会を代表して大久保勉委員より反対する旨の意見が述べられました。
討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数          二百十一
賛成            百三十七
反対             七十四
よって、本案は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十時十四分散会

 

 

2005年04月21日 (木)

参議院 財政金融委員会 11号 平成17年04月21日

 

162-参-財政金融委員会-11号 平成17年04月21日

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨二十日、金田勝年君及び田村耕太郎君が委員を辞任され、その補欠として荻原健司君及び野村哲郎君が選任されました。
また、本日、片山虎之助君、広野ただし君及び山口那津男君が委員を辞任され、その補欠として松村祥史君、藤末健三君及び谷合正明君が選任されました。
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○委員長(浅尾慶一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
保険業法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁生活安全局長伊藤哲朗君外十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(浅尾慶一郎君) 保険業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
○山下英利君 自由民主党の山下でございます。トップバッターとして、既に趣旨説明いただきました保険業法等の一部改正に関する法律案の質問に立たせていただきます。
今回こういった形で、今までずっと保険業法、平成十年以来、度々改正がされてまいりました。保険というのは将来に対する安心、言ってみれば生活に対する安心という位置付けが国民の間でも根付いているものであります。また、同時に、今回改正の主たるポイントになっておりますいわゆる無認可共済、この問題につきましても、やはり共済というのも、これまたお互いに助け合うという語源から出てきている言葉のとおり、やはりその将来に対する、そうした生活に対する安心をお互いに助け合っていこうという性質のものであります。ところが、この無認可共済という問題が大変議論されるようになったのも、一つにはそういったところが野放しになっている状態であったと。実際、根拠法がない、あるいはそれをしっかりと見ていく監督責任もないと。
そういう状況の中で、いわゆる保険契約者によるトラブル、いわゆる共済のトラブルというのがかなり出てまいりました。そして、一方では、その共済という名をかりて半ばマルチ商法まがいのような、拡販といいますか、販売が行われ、それが言ってみれば詐欺罪といいますか、一般の理解していない契約者においては大変な被害を被っているというふうな状況が出てきたからこそ今回の改正に結び付いたんだと言えないこともないと、そういうふうに思っておる次第でございます。
そして、ですから冒頭にまずお聞きをしたいのは、このいわゆる言われているような共済のトラブルとしてこれまでに警察が関与した状況というのがあるのかないのか、いわゆる刑事事件となった例があるのか、あるいはそういったときに対する警察庁としての対応というのについて、まず警察庁の方から状況を御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(伊藤哲朗君) お答えいたします。
いわゆる無認可共済を保険業法違反で検挙した事例は過去五年間報告は受けておりませんけれども、年金会オレンジ共済のように共済の名の付いた団体について詐欺罪で検挙した事例は過去にございます。
○山下英利君 今回、この法律の改正によって、いわゆるそういった潜りといいますか、非常に犯罪に結び付きやすい事例というものを事前にチェックし、そして抑えることができるというふうに私も理解をしているところなんですが、これは金融審で「根拠法のない共済への対応について」という議論を踏まえているところでありますけれども、今後のこのトラブルの解消、未然防止について、金融庁の方、具体的に例えば募集規制であるとかあるいはディスクロージャーの義務等につきましての御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今回の改正案でございますけれども、まず保険業法の適用範囲を契約相手方の特定、不特定で区別する従来の仕組みを改めまして、保険の引受けを行う事業について原則として保険業法の規定を適用するということにいたしました。ただ、保険業法の規定を適用する必要がない団体につきましては個別に法令で規定をいたしまして、更に保険業法の中に少額短期保険業者という範疇を設けまして、これを登録制という形で、登録制を導入することによりまして規制を行いたいというふうに思っておるわけでございます。
その規制の中には、先生今御指摘がございましたような説明義務だとか、あるいはいろんな形での行為規制、財産的な規制、そういったことを掛けまして、従来の保険会社に対する規制よりは若干緩い規制でございますけれども、少額短期という形の商品を売るという、そういう保険業者に対しましてそういう形での規制を掛けようということでございます。
また、現在、いわゆる根拠法のない共済という形で現実に事業を行っている既存業者がございます。こちらの方は、今申し上げました保険業かあるいは少額短期保険業者、これに該当する事業を継続する場合には、この法案の施行から六か月以内に行政庁への事業継続を行っている旨の届出を求めることにいたしております。
そういった措置を講じた上で、さらに、仮にこの法律が通った後、施行された後、登録を受けずに少額短期保険業を行っている者、あるいは既存業者で先ほどの届出を行わないで事業を行っている者、こういった者に対しましては法律上罰則規定を設けておりまして、金融庁といたしましては、仮にこういった無登録や無届けで少額短期保険業を行っている事例がございますれば、捜査当局に情報を提供するなど厳正に対応を行ってまいりたいというふうに思っているわけでございます。
いずれにいたしましても、この法案が成立した場合には、改正法の施行に必要な政令、府令を速やかに策定するとともに、共済団体の契約者や新たに登録が必要となる事業者等に、ホームページあるいは政府広報の活用、関係機関との連絡、連携などによりまして法改正の内容等を広く周知徹底いたしまして、契約者保護や移行の円滑化に努めてまいりたいというふうに考えております。
○山下英利君 言ってみれば、この契約者に対してちゃんときちんとした説明をさせる、あるいはそういった募集する共済の財務状況等をきちんと公開させる、こういった規定というのは、これはこれで当たり前のことでありますから、そこのところをしっかり押さえていかなければいけないというふうに私は思うわけですけれども、実際に、既に制度共済につきましては、監督官庁あるいは自治体、ここはきちっとやっているという前提の下に、今後、いわゆる金融庁が管轄するというこの無認可、今まで言われた、無認可共済と言われるそういう組織体に対する検査体制を含めた管理をきちっとやっていっていただきたいと、そういうふうに思うわけですけれども。
今回、この法案を作成するに当たっていろいろその団体をお調べになったと聞いております。だけれども、実態はなかなかつかみにくいというふうなことも伺っております。その辺の状況はいかがでした。
○政府参考人(増井喜一郎君) 先生御指摘のように、これまでいわゆる根拠法のない共済というのは監督官庁がない状態で事業が行われておりました。したがいまして、私どもも実態をすべて把握するというのはなかなか難しい状況にございましたが、昨年総務省の方で相当時間を掛けてきちんと調査をしていただきました。昨年の、十六年の四月から十月にかけまして総務省で調査をしていただきまして、その中でいろんな形で共済事業等をやっておられると思われる事業者に直接当たっていただいたりして把握をしていただいたわけでございます。
それによりますと、任意団体などでいわゆる根拠法のない共済という、こういった事業をやっている共済が全体で四百二十二団体把握をされたようでございます。しかしながら、実際にこれを当たってみますと、例えば実際には共済を実施していなかったとか、あるいはもう既に休廃止をしているとか、あるいは行っても調査への協力を得られないといったような団体も二百五十六、四百二十二のうち二百五十六団体ございまして、実際に実地調査ができた団体が百六十六団体ということでございました。
そういった団体に調査をしていただいて、いろんな調査結果が出てまいりましたので、そういったことを踏まえまして、私ども今回の制度改正を行ったものでございます。
○山下英利君 したがって、この法律ができる前であれば、やっぱりそこは任意の状況というのが否めないのでなかなか分からなかったという部分もあるかと思います。したがって、この法律がもし成立しまして施行されたら、そこのところ、実態をきちんと把握をして、それを改めてまた教えていただけるようにお願いをしたいと、そういうふうに思います。
そして、やはり今まで全く見る人間がいなかったと、見る者がいなかったというような状況から、これから新しく見るんだというところのやっぱりスタートアップというのは非常に大事であります。そして、それが、これまで聞かれているように、いわゆる犯罪に結び付くようなそういった共済のトラブルというものに対して、これから関係の省庁、きちっと連携を取っていただいて、そして実態把握に努めると同時に、それを未然にやはりそういったトラブルを解消するという努力をしていただかなければいけないんじゃないかなと私は思っております。したがって、特に犯罪につながりそうなそういったケースを連想いたしますと、このトラブルに対して金融庁と警察庁がどういう形で連携を取っていくのか。
先ほどちょっと申し上げたように、実態把握がなかなかできないというふうな状況の中で、やはり情報収集に努める場合のその具体的な対応、考え方についてちょっとお聞かせください。これは警察庁の方と金融庁の方、両方お聞かせください。
○政府参考人(伊藤哲朗君) 警察庁といたしましては、法改正の趣旨を踏まえまして、金融庁を始め、関係機関との連携を図っていくことが大変重要であるというふうに考えております。
今後は新しい法改正の趣旨を踏まえまして、刑罰法令に触れる行為がございましたら、法と証拠に基づいて厳正に対処するよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えているところでございます。
○国務大臣(伊藤達也君) 今委員が御指摘がありましたように、関係省庁との連携というのは極めて重要でありますし、そしてトラブルを未然に防止をしていくと、このこともとても大切なことだというふうに思っております。
今まで金融庁といたしましても、保険業法に抵触する疑いのある者につきましては捜査当局に情報提供を行うなど、連携に努めてきたところでありますが、今回の法改正の趣旨というものを十分に踏まえて、より一層捜査当局との連携強化を図っていきたいと考えております。
○山下英利君 よろしくお願いしたいと思います。
そして、先ほどの検査体制ということも含めたこれからのいわゆる規制といいますか監督、これについて私からももう一度お願いしたいと思っているのは、今回の規定では、ガバナンス規定が整備されている株式会社、相互会社がいわゆる少額保険会社の特例を受けられるというふうに書いてあります。それだけで本当に大丈夫なのかどうかという部分が私もちょっと懸念として残っている部分であります。したがって、その少額短期保険会社の特例というものが今回用意されているわけですから、この特例をやっぱり悪用されないように努めていただかなければいけないと、このことを金融庁にもしっかり申し上げておきたいなと、そのように思います。
そして、やはり共済、いわゆる共済と保険の違いというものを考えたときに、共済は元々力合わせて助け合うという意味ですから、これはごく限られた人と人の間でのいわゆる掛金積んでやっていく、保険の場合にはこれは不特定多数と。そのような位置付けがされて、結果、効力においては同じであるけれども、その入口のところは違うんだと、そういう意味合いがありました。
したがって、大事なことは、今の保険業法の中で募集の対象者の選別、線引きですね、これをきちっと管理監督していって、いわゆる共済と保険というものの色分けというものをやっぱり付けなければ、十把一からげに監督するというのは非常に難しいのではないかと思うんですけれども、金融庁はどう考えていらっしゃいますか。
○大臣政務官(西銘順志郎君) 今、山下先生おっしゃったとおり、共済と保険業、これは、先生おっしゃったとおり、特定の者を相手方として保険の引受けを行うのが共済でございます。不特定の者を相手方として保険の引受けを行うのが保険業と、明確に区分をした上で、従来の保険業法では、先ほど申し上げましたように、後者のみを適用対象としてきたところでございます。
今回の改正案では、近年の共済事業の多様化等により両者を区分することが非常に難しくなっている現状を踏まえまして、保険の引受けを行う団体には原則として保険業法を適用することとした上で、保険業法の適用除外となる団体、いわゆる制度共済、契約者の自己責任を問うことが可能な団体を個別に法令で列挙することとしております。
○山下英利君 保険業業界というのは大変ビジネスモデルが変化している業界であります。それと同時に、やはり仲間内で助け合っていた時代から、市場というものを通す、そういう形の中にあって、ビジネスモデルの変化にしっかりと対応した制度構築をしていかないと、やはりトラブルは未然に防止する、あるいは解消することは非常に難しいと思いますので、やはり引き続き、金融再生も正に今までの危機管理の方からやっぱり今度再生の方へプログラムも変わると。保険も今まで順次変えていった段階というものを、やはりそのときの環境に合わせた制度改正というものをしっかりやっていかなきゃいけない、しかもそれが後手に回ってはいけないということを改めてお願いを申し上げて、次の質問に移らさしていただきます。
したがって、今回、もう一つの主眼であります保険のセーフティーネットについて、今回の法律案では新たな改正が行われているところであります。平成十年に保険契約者保護機構が創設されまして、平成十二年、十五年といわゆる保険業法改正によってセーフティーネットの整備、これを順次進められてきているところでありますけれども、この間、保険のビジネスモデルも先ほど申し上げたように随分変化してきていると思いますけれども、危機的な状況と言われていた生保業界、今どのような状況になっておりますでしょうか。金融庁の方から概略を御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(佐藤隆文君) 生命保険会社の経営状況でございますけれども、御指摘いただきましたように、一方では逆ざやという問題が存在しているというのも事実でございます。また、近年の生命保険市場の成熟であるとか、あるいは保険に対するニーズというのが、例えば生命保険であれば死亡保障から生存保障へシフトするとか、あるいは多様な経済活動に伴うリスクに対する保障ニーズというのが出てきているということで、言わば構造変化が起きているというのが一つの状況かと思います。
ただ、他方で、全体として見ますと、保険業の全体の財務の状況というのは改善のトレンドの上にあるというふうに認識をいたしております。
保険の本業の利益でございます基礎利益でございますけれども、事業費削減であるとか、あるいは第三分野への取組の強化といった新しい収益源の確保等によりまして、逆ざやを補った上でなお二兆円規模の大幅な黒字を計上しているという状況にございます。また、保険会社の健全性の典型的な指標でございますソルベンシーマージン比率でございますけれども、これも全体として見ますと改善傾向にあるということでございます。
それから、更に申し上げますと、株価変動のリスクというものにこれまで直面してきているわけでございますけれども、一方で、株式の売却を進めるといったようなことで株価変動リスクに対する対応力というのも増してきているということで、ここのところ株式市況が大きな流れで見ると回復してきたということもございまして、例えば株式の含み損益で見ますと、平成十四年度末で四千八十九億円の含み損であったものが、直近の十六年九月期には四兆八千七百億円の含み益を計上すると、こんな状況になっているということでございます。
○山下英利君 大分良くなってまいりましたですね。一時期、生保業界、大変な、合従連衡も必要であるし、破綻も起きていたという状況から考えますと、大分好転はしてきています。
好転をしてきている中で、やはりこのセーフティーネットの在り方、これをどう考えるのかという点について私はお聞きをしたいと思うんですけれども、平成十五年に予定利率の引下げの手続が導入できるというふうなことを、保険業法の改正を行ったわけであります。
金融庁にもう一度お尋ねをします。この予定利率引下げ手続ができるようになってから実際に実施した保険会社、ございますか。状況をお聞かせください。
○政府参考人(佐藤隆文君) 実施した保険会社はございません。
○山下英利君 正にこれはセーフティーネットだということだと思います。そして、やはり予定利率の引下げをするということは、これは元々契約をした契約を一方的に変更するというようなことで、契約者にとっては不公平感にもつながるというふうな見方があるところでございます。
今回のこの保険業法の改正においては、これは直接の利率変更だけではなくて、実際に保険会社が破綻した場合にその補償料率を変更しますと。したがって、高い契約の保険者に対する補償率、これは引下げ、従来九〇%から引下げをしますよと。実際その保険会社が破綻しなければこれは直接は掛かってきませんけれども、言ってみれば、前回は保険料率の引下げという非常手段も認めましょうと、今回改めてその補償率まで実際破綻したときには引き下げましょうという手続になっているわけであります。
先ほど御報告いただいたとおり、保険会社、大分好転をしてきております。その好転している中であえてこの補償料率というものを変えますよという理由と、それからもう一つは、今回、政府補助枠については従来のいわゆる民間枠プラス政府補助枠というところから民間枠だけにする、政府補助枠については取りあえずゼロにして、今後必要であれば予算措置によって行うというような変更になっているわけですけれども、先ほどの話も含めまして、今後のいわゆるそういった危機対応、要するに業界枠のバランスを含めた今後の危機対応というものについて金融庁の方のお考えをお聞かせください。
○副大臣(七条明君) 危機対応ということでございますが、今の制度との、さっき先生がちょっと申し上げておられた現行の制度の生命保険のセーフティーネット、これはもう時限措置で、業界が負担をするのが一千億円を超えた場合には四千億円の範囲内で政府補助を可能とする仕組みであったと。
これが今回の改正案で、生命保険セーフティーネットの財源を、原則として生命保険契約者保護機構の借入限度枠、いわゆる四千六百億円の範囲内で業界の負担金によって賄うという仕組みでございますから、当然その借入限度額を超えた資金が必要となる場合には一定の要件の下で政府の補助を可能とする規定を、平成十八年から二十年までの三年間に限定をして、それを延長していくと。いわゆる先生が先ほど言われたということで、ここで三年間の限定の中で行っていくという仕組みでございます。
○国務大臣(伊藤達也君) 今副大臣からセーフティーネットについてお話があったわけでありますが、危機対応といいますか、私どもにとってやはり重要なことは危機を未然に防ぐということだろうというふうに思います。
そうした観点からは、ソルベンシーマージン基準に基づく早期是正措置、これを導入をいたしまして、そしてその算定方法の見直しなど、より厳格な私どもとしてのチェックを行う枠組みというものを整備をしてきたところであります。このような枠組みの下で各生命保険会社の財務状況がチェックされることにより、問題の早期発見、そして早期対応というものが可能になりますので、危機的な事態というものを未然に回避していく、こういう仕組みが強化されたというふうに考えておりますから、こうした仕組みというものを私ども適切に活用して、そして危機というものを未然に防止をしていきたい、そのための適切な行政の対応というものを行っていきたいというふうに思っております。
○山下英利君 もう時間が来てしまいましたので最後にまとめさせていただきたいんですが。
ですから、危機対応ということで万全の備えをしているというこの現状の状況の中で、やはり生保会社も好転をしてきていると。そういった中で、やはり今の危機対応の制度自体、これからどういうふうに緩和をしていくのか。あるいは、契約者に対してきちっとした説明責任をこれは生保会社にやってもらうということは大変大事であります。今回はそういった意味ではまだ実際保険料率を引き下げたという先はないということであります。ですけれども、それは将来的にはあり得るということをやはり保険契約者にも十分理解してもらわなきゃいけない。
今の低金利の時代ですからいいんです。ただ、これが金利がずっと上がっていきますと、いわゆる基準金利として、五年間の平均で考える金利よりも実際の市場の金利が上がった場合に、例えば高い金利で契約をしたときには、あるいはこれが破綻したときには安い金利で、その基準金利で見直しになりますよというふうなことは、これは説明責任として十分顧客に説明をしておかなければやはり問題の解決にはならないと思いますので、よろしくお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いします。
まず、いわゆる根拠法のない任意共済についての規制について御質問をしたいというふうに思います。
私は、まず、今回質問をするに当たりまして、まず契約者、消費者の立場に立ってこの問題は考えなくてはいけない、そういうふうなことを思っております。そして、そういった中で、限られた中ではありましたけれども、私自身、実際に任意共済事業者であるとかその関係者、そして保険業界の方々の現場の声、こういったものも踏まえてお聞きをしたいというふうに思っております。
まず、任意共済の実態につきまして、これは先ほど山下理事の方からも御質問がございました。非常に任意共済といったものの契約者数が増えるに伴ってトラブルも増加をしているということが今回の規制の一つの背景にあったというふうに思います。
そこで、まず、金融庁として、こういった苦情相談なんかのトラブルの状況の深刻さについてどのように理解をされているのか。その中で、特に目に付く、例えば四日市商工共済協同組合とか佐賀商工共済協同組合などの破綻、経営破綻に伴う被害者の今後の生活に重大な影響を及ぼすような破綻事例、被害事例が任意共済の世界にも発生しているのかどうか、把握されているのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今の先生の御指摘のいわゆる根拠法のない共済のトラブルの関係でございますけれども、先ほどちょっと私申し上げましたように、現在ではこの根拠法のない共済につきましては監督官庁がないといった状況もございまして、個々の事業者の事業状況を完全に把握できているわけではございません。
ただ、いろいろな苦情、相談等のトラブルがあるというのは聞いておりまして、例えば平成十六年六月に公表されました国民生活センターの「根拠法のない共済をめぐる現状等について」という資料によりますと、共済に関する相談件数が平成十年度に三百六十三件ございましたが、平成十五年度には八百六十六件になっていると。このうち、マルチまがい、マルチ商法あるいはマルチまがいの取引に関する件数は、平成十年の四件から平成十五年は百二十一件になっているということで、ここのところ相当増加をしてきているというふうに承知をいたしております。
また、昨年十月の総務省の実態調査報告によりますと、抽出いたしました三十四都道府県の九十八消費者センター等に対する平成十五年度の相談件数は二百十四件ございまして、このうちマルチ販売をしているが問題がないかといったような共済団体の信用性に関するものの相談が三割程度、さらに解約に関するものが三割程度、さらに共済団体と連絡が取れない、あるいは倒産してしまって補償が受けられないなど、共済団体の所在不明に伴う相談が三割程度というような状況にあったと承知しております。
また、先生から御指摘のございました四日市商工共済組合等につきましては、これは実は中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合でございまして、これは言わば制度共済と言われている団体でございまして、いわゆる私ども今お諮りしております保険業法の関係で、この根拠法のない共済というのは言わば監督官庁のない共済でございますが、制度共済はそれぞれ監督官庁がございます。したがいまして、そちらの方は、そちらのいろいろな破綻に伴う実態の部分につきましては恐らく監督官庁の方は承知をしておると思いますし、私どももそういったいろんな状況も踏まえながら、今回、制度をつくるために検討してきたものでございます。
○広田一君 局長の方から御説明をいただいたんですけれども、私の質問は、答弁の中で触れられたように、確かに認可を受けた共済でも次から次へと破綻している状況があると。いわんや、根拠法のない任意共済はまだ危ないんじゃないか、こういった消費者からの声もあって規制を掛けるんだということになったんじゃないかと思いますね。だから、そういう今根拠法のない任意の共済で本当に目立った破綻事例があるのか、それによってこれからの自分の生活に深刻な影響を及ぼす被害事例を金融庁として私は把握しているんだというふうに思って質問をしたわけでございますので、それらの実態についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) 申し訳ございません。
実態ということでございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、総務省の実態調査報告によりますと、共済団体と連絡が取れないとか倒産をしてしまったという相談が二百十四件のうち五十八件あるというふうに聞いております。
ただ、私どもとして具体的な、根拠法のない共済というのは非常にいろんなところでございまして、すべて把握しておらないものでございますから、具体的にこれこれこういう倒産事例があるというところまでは正直申し上げまして把握してございません。
○広田一君 是非、こういった破綻事例は起きていると思いますので、その実態把握にまず努めていただきたいと思いますし、それが分かればちょっとお知らせを願いたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) そういった形での、何といいますか、今この時点ですと、私ども調査権限がないんでございますが、いずれにいたしましても、いろんな、相談センターとか、いろんなところで情報があると思いますので、そういった情報がございますれば御報告を申し上げたいというふうに思っております。
○広田一君 それでは、そうであるんだったら、現行法上、今の保険業法違反になる不特定多数を相手にした事業を行っている事業者というのは根拠法のない業者の中でどれぐらいいるんでしょうか。これは把握されているんでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
現行法上、不特定を相手にした、不特定の者を相手にして保険商品を売る、そういった業者は保険会社でなければいけないことになっております。したがいまして、不特定の者を相手にしたもので、不特定を相手にした根拠法のない共済というのは原則としてはそれは保険業法違反ということになりますので、そういった事例は今私どもはそういうことで承知しているわけではございません。
したがいまして、根拠法のない共済というのは、そこの特定、不特定がだんだん実態問題として区別が付きにくくなっているというところが問題なわけでございます。共済という名前を使いながら、ちょっとした条件で会員になれる、非常に低額な例えば会費を払えば会員になれると。これが特定か不特定かという問題が非常に難しくなってきているものでございますから、今回はその特定、不特定という区別をやめまして、いわゆるおよそ保険商品を扱っていればそれは保険業であると。ただし、非常に小さな、少人数でやっている、あるいは団体の自治に任されるような町内会がやっているようなもの、そういったものにつきましては保険業法の範囲外にすると、そういう形での制度改正をお願いしているところでございます。
○広田一君 その特定、不特定の境界があいまいになっているんで今回規制を掛けるんだということだと思うんですけれども、そうなると、グレーのものはあるけれども、明確にこれが不特定多数を相手にしているいわゆる根拠法のない共済といったものについては金融庁としては実態を把握をしていない、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) グレーというふうに表現するかどうかはあれでございますけれども、いずれにしても根拠法のない共済というふうにして今事業を行っている共済事業者の方々はいずれも自分たちは特定の者を相手にしているんだとおっしゃっているわけでございます。それが実際に特定か不特定かという、そこの判断がなかなか難しい状況にございますので、今回、そういう分け方ではなくて、先ほど申し上げましたような、保険商品を扱っていれば保険業者、しかし本当に自治的な団体である場合にはそれを適用除外にすると。さらに、簡単な商品、簡単な商品というのは正しくはございません、少額短期のといったような一定の限定された商品を売る場合には少額短期保険業者という新しい概念を設けようと、そういうことでございます。
○広田一君 是非、山下理事の方からも御指摘あったんですけれども、本当に、先ほどちょっと触れられた総務省の結果でも、協力しないとか答えないとか、いろいろなところなんか非常に怪しい業者も多いんじゃないかなというふうに思います。そういった方々は、結局、届出、登録もせずにやみ共済としてのさばってしまう、そういうふうな危険性がございますので、是非とも今のこの実態について更なる把握をされるように努力をしていただきたいなというふうに思います。
そうした中で、いろいろ今根拠法のない任意共済について問題点があるんですが、一方で共済本来の有用性についても評価すべきところは評価していかなければいけないというふうに思います。特に、私、共済の理念であります構成員の自治に基づいて、自発的な相互扶助を目的として、共同して自分たちの将来の危険性を取り除こうと、そして生活の安定を図っていこうと、こういう共済本来の理念、目的というものは今後ますます重要性が高まってくるというふうに思うんですけれども、伊藤大臣の御見解をまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(伊藤達也君) 今委員から御指摘がございましたように、共済がやはり果たしてきた役割、そうしたものを私どもとしてもしっかり評価をしていかなければいけない、その前提で今回の制度設計をさせていただいたというところがございます。
いわゆる根拠法のない共済につきましては、これまでもその自発的な相互扶助、共助というものを基礎としてきたと。したがって、契約者を保護するための規制というものは基本的には必要がないというふうに考えられてきたわけであります。
今回の改正におきましては、先ほど来局長からも答弁をさせていただいておりますように、特定の者を相手方とした共済事業と不特定の者を相手方としてきた保険業、これを区別することが容易ではなくなってきていると。こうした状況を踏まえて、保険業法の適用範囲を契約相手方の特定、不特定で区分する仕組みというものを改めて、そして保険の引受けを行う事業について原則として保険業法の規定を適用するということにしたわけでありますが、その上で、保険業法の規定を適用する必要がない団体は個別の法令で規定するということにいたしまして、こうした団体につきましては引き続き相互扶助、自己責任、自主性の精神に基づき健全な事業を行っていただく、そのことを私どもとしても期待をいたしているわけであります。
他方、新たな保険業法が適用される共済事業団体につきましては、相互扶助あるいは構成員の自治による監督を理由として、すべてを契約者の自己責任の問題としてしまうことは適切ではありませんので、保険業法による一定の規制、監督が必要であると考えられることから、その場合にあっては少額短期保険業者の特例制度というものを設けさせていただいて、事業の特性を踏まえた契約者保護上必要最小限の規制というものを課させていただきたいというふうに考えたところでございます。
○広田一君 ただいま大臣の方から、任意共済、共済の持つ相互扶助の大切さ、また自主性、自己責任、こういったことにも重んじられているという御見解があったんですけれども、あわせて、本来の共済事業といったものは、営利を目的とした保険業、保険会社に対して、自分たちは非営利なんだ、そういうことをむしろ誇りに思っていらっしゃる方々もいると思うんですけれども、この共済事業の非営利性について大臣はどのような評価をされているんでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
共済事業につきましてはいろんな形の事業がございますので、今先生御指摘のような、いわゆる非営利の団体であるというような、そういう御主張をされているところも当然あると思います。
そういったことにつきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、元々その共済事業というのはそういった自主的な団体でありますから、そういう非営利の事業を行うということは当然考えることでございますし、非常に大事なことだと思っておりますけれども、一方で、今回の法案の関係で申し上げますと、そういった非営利の団体について、それでは新しく例えば少額短期保険業者になれるかという問題があるわけでございます。
私どもの今回御提案を申し上げている法律案の中では、会社形態を用いてほしいということを申し上げております。その会社形態と申しましても、一つは株式会社、これは営利団体という形でございますが、もう一つは相互会社という形態も私ども認めております。この相互会社は言わば非営利で事業を行うというような仕組みになっておりますので、そういう意味では共済事業の実態も踏まえた制度として制度的には仕組んでいるつもりでございます。
○広田一君 分かりました。
こういった今の根拠法のない任意の共済事業者についての問題点、また有用性についてちょっと議論してきたんですが、こういったことを踏まえて、私自身も任意共済の事業者の方々とお話をする中で、消費者の立場に立ちますと、やはり国の監督官庁が、どんな事業者がどこでどんな共済を行っているのか、これはやっぱり把握しておく必要があると。そして、自分たちが届出か登録等で社会的にも認知され、信用性が高まるということは必要なことではないかというふうなことをおっしゃっている任意の共済事業者が多かったような印象を受けております。しかし、一方で、規制を受けることによりまして必要以上に事業運営が妨げられて、自分たちが本来共済の目的であるといったことが妨げられることについてはやはり反対、疑問があるというふうな声があったというふうに思います。
そういった中で、制度設計する際に、今のこの任意共済というものはピンキリで、多種多様で、規模も様々でございます。特に規模的なことを考えたときに、大手のみならず、小規模、中規模、こういった方々の声をいろんな形で反映されて制度設計、先ほどるる御説明のあった制度設計をされているということの理解でよろしいんでしょうか。これ、確認の意味でお答え願いたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今回、私ども制度をいろいろ考えるに当たって、この一年間ぐらい議論をしてまいりました。その中で、当然のことでございますが、現在、こういった根拠法のない共済を営んでいる方々からの御意見も伺いましたし、さらに途中で、審議の途中、これは金融審議会で審議をしていただいたわけでございますが、審議の途中で私ども論点整理というのを公表いたしまして、その公表の、その論点整理に対してパブリックコメントを掛けたわけでございます。それに対していろんな、今現在共済事業をやっている方々からも、あるいは一般の方々、あるいは消費者団体、弁護士の方々などからも大変たくさんの意見をちょうだいをいたしまして、そういったものを踏まえながら今回制度設計をしたつもりでございます。
○広田一君 私は、ちょっと御指摘させていただいたのは、自分みたいな保険について素人の人間でも知っているような任意の共済事業者さんについて何かいろいろちょっと意見が求められなかったとか、そんな話なんかも聞いたりして、是非ともそういった趣旨で制度設計をされているということの自覚と自負を持って進めていただきたいというふうに思います。
そういった中で、先ほど来お話がございます少額短期保険業者制度につきまして、今回のこの法改正の目玉にもかかわらず、その中身がいろいろと政令等にゆだねられているために実態がよく分からないというふうなことをおっしゃる任意の共済事業者さんがいて、大変不安であると、不安をあおっている結果となっているわけでございます。
そうした中で、大臣にお聞きをしたいんですけれども、まずこの制度の運用に当たりまして、任意共済事業者の実態に合った運用を指示されるのか、それとも、これは保険業界の方にお話聞いたときにもおっしゃっていたんですけれども、やはり扱う商品が人の生命、身体にかかわるものなので、基本的にはやっぱり保険会社に準ずるような運用を指示されていくのか、どちら側の立場に立って大臣としてこの制度の運用を図っていかれるおつもりなのか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(伊藤達也君) これは第一義的にはやはり契約者保護ということが非常に重要でありますので、そうした観点というものを十分に持ちながら、そして、先ほど委員からも御指摘がございましたが、共済がやはり今日まで果たしてきた役割、そうした役割というものにも十分留意をして、そしてその実態というものもできるだけ踏まえながら私どもとして制度設計を行い、そしてそのことが、この共済事業が果たしてきた役割というものも大切にしつつ、契約者保護も図りながら、全体としてこうしたことに対する利用者の信頼性、契約者の信頼性というものを向上させていくことが大切ではないかというふうに考えております。
そうしたことを踏まえて、少額短期保険制度の特例制度につきましては、少額短期の保険の引受けのみを行う小規模な事業者について、その事業の特性を踏まえた必要最小限の規制を適用する趣旨で設けさせていただき、同制度の導入に当たっては二年間の猶予期間というものを設けさせていただいて、既存事業者による規制対応というものを円滑に実施をしていく、そのための私どもとして最大の配慮をさせていただいたところであります。
また、少額短期保険業者制度においては、その事業者の現状やその特性というものを踏まえつつ、契約者保護上必要な最小限の規制を課していくこととしているわけでありますけれども、その今御不安になられている、実際にどうなるのか、その部分については、私どもとして、政令あるいは内閣府令の策定に当たって既存事業者の移行の円滑化を通じて契約者保護を図るという基本的な考え方に基づきながらパブリックコメントに付させていただいて、そして幅広い意見というものをお聞きをさせていただきながら、その検討をさせていただいて、そして具体的な中身の設計というものをさせていただきたいというふうに思っております。
○広田一君 そういった中で、この少額短期保険業者のそれでは定義、事業規模とか引受限度額、保障期間の基準、これはいろいろもう既に出ている面等もあるんですけれども、その基準と根拠について教えていただきたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
まず少額短期保険事業者の特例の対象となる事業者といたしましては、法律上はその一定の事業規模の範囲内で保険金額が一千万円以下、それから保険期間が二年以内の保険のみを引き受ける事業者を想定してございます。
それで、今の一千万円以下あるいは二年以内ということですが、もうちょっと具体的に申し上げますと、この取扱いの商品、具体的な基準は政令で定めるということになるわけでございますが、事業者の引き受けるリスクの程度あるいはその取扱商品の現状などを勘案いたしまして、保険の種類ごとに政令で定めたいというふうに思っております。
例えば、人とかあるいは身体に係る保険であります生命保険、さらに医療保険、こういったものにつきましては保険金額もこれもやはり多少種類ごとに幅がございますが、数百万円程度の限度を設けたいと思っております。この場合、保険期間は一年間というふうに考えております。それから、実損てん補の保険でございます損害保険、こちらの方は保険金額を一千万円、保険期間を二年というようなことを想定をいたしているわけでございます。
それぞれの限度額につきましては、根拠法のない共済、現在行っている業者の方々の実態等も勘案をいたしまして決めたいと思っておりまして、その一つの、何といいますか、メルクマールといたしまして、昨年の十月の総務省の調査によりますと、人それから身体に係る保険に関しまして、葬儀代として支給されるものは最高額が三百万円程度であったといったこと、さらには全体の過半、六割程度はその事業者が生命、身体に係る保険については保険金額が五百万円以下の商品を取り扱っていると。そういったようないろんな実態を勘案しながら、今後これは政令で決めますので、更に多方面からの御意見を賜りながら決めていきたいというふうに思っております。
○広田一君 それでは、少額短期保険業者制度のちょっと中身についてお聞きをしたいんですけれども、まず二百七十二条の十一でしょうか、これには兼業禁止規定がございます。
根拠法のない任意共済の成り立ちを考えますと、適用除外の項目を見ても分かりますように、学校とか企業とか労働組合というふうに団体の行っている業務の補完的な役割が多いというふうに聞いております。その意味で、専業を義務付けるということは、任意共済関係者が言うように、一部には保険業の性格上、集めたお金をほかに流用させないためにも必要だというふうな、そういう任意共済関係者もいらっしゃいましたが、けど、多くが共済本来の先ほど言いました成り立ちとか、また別会社を立ち上げると、特に規模の小さい任意共済にとっては二重管理になってコスト面でも大変にロスになるというふうなことで、専業だけでなく兼業も認めることが現実的でないか、これが実態に即しているんじゃないか、このことによって少額短期保険業者の育成にもつながってくるんじゃないか、そういった意見があるんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
御指摘の兼業禁止規定の関係でございますが、昨年の十二月の金融審議会の第二部会報告、金融審議会でもこの関係が御議論になりましたものですから、その報告の中で、やはり少額短期の補償のみを行う事業者の特例を設けるに当たって、「既存の事業者の多くも共済事業を目的として行う団体を別に設立していることや破綻時の契約者などの保護の観点を踏まえ、他業は、実施の必要性が特に高くその事業規模が相当程度小規模な場合等特段の事情のない限り認めないこととし、専業を原則とする。」という指摘が行われております。
私ども、この今般の法案もこうした考え方に基づきまして、やはり他業からのリスク遮断というのがどうしても契約者保護の観点からは大事だというふうに考えておりまして、かつ先ほどの報告の中にもございましたように、別団体を設立しているという事業者も多いといったこともございます関係もありまして、今回、少額短期保険業者は専業規定を課したいというふうに考えているところでございます。
○広田一君 原則、専業でしなければいけないということで、それこそやっぱり多種多様な任意共済の実態に即して可能な限り兼業というものも今後検討していただきたいなというふうに思うのと、先ほど増井局長さん、破綻ということの言葉使われたんですけれども、私はなぜ冒頭その破綻事例がないのかあるのか、把握しているのかというふうに聞いて、金融庁さんがその実態を把握された上で、先ほど、破綻の懸念があるんでこれは専業だというふうに言うんだったら分かるんですけれども、その実態も把握してないのに、破綻するからこれは専業でなければいけない、兼業は駄目なんだというのは少し説得力がないのではないかなというふうに感じたわけでございます。
次に、任意共済の中には損保商品と生保商品の両方を扱っている事業者もあると聞いております。
保険業法の第三条では、生保と損保の兼営は原則禁止というふうになっているんですけれども、少額短期保険業者の場合はどうなるのか、それは兼営ができる場合はどういった理由でなるのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
先生御指摘のように、今の保険業法では生命保険業と損害保険業の兼営を禁止をしております。この趣旨は、生命保険業というのは非常にある意味で長期の、長い契約、こういったものになるわけでございますので、そういった長期のリスクというのは、長期契約のリスクというのがございます。
一方で、損害保険の方は一遍に襲う巨大な災害が起こる、こういったリスクがあるわけでございます。この二つのリスクを分離する必要があるという、そういう趣旨で生命保険業と損害保険業の兼営が禁止をされているということでございます。
一方、今回のその少額短期保険業者でございますが、これは先ほども御説明申し上げていますように、金額が非常に少額でございますし、それから保険期間が短期という、そういった保険契約のみを引き受けると、そういう業者でございますものですから、そういう意味で生損保の兼営は禁止しないというふうに考えております。
○広田一君 この兼営については、やはり両方やらさしてほしいという意見がかなりありましたので、今の御答弁は本当に良かったというふうに思っております。
それで、商品審査について次にお伺いしたいと思うんですけれども、任意共済事業者の方にお話を聞きますと、この商品審査につきましては、実質保険会社並みの規制だと言う人もいらっしゃれば、今の任意共済の実態を踏まえた緩やかな規制だというふうに評価される方もまあまあいらっしゃいました。また、中には、そもそも短期掛け捨てには審査は必要ないというふうに言う方もいらっしゃったわけなんですけれども。中には、特定、限定を理由に、実質自分たちはこの限られた範囲にしか今も売っていないし、今後も売らないので、今までどおりの保険料率でやらさしてほしいとおっしゃっている事業者もいると聞いております。
〔委員長退席、理事平野達男君着席〕
正にこの商品審査というのは運用次第というところがあるんですけれども、どのような基本方針に立って商品審査を行うのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
先生御指摘のように、この少額短期保険業者が売る商品というのをどういった形で審査を行うかというのは様々な意見があると思います。
今回、いろんな御意見を踏まえましてこういった整理にしてございます。まず、その少額保険業を営むためには登録をいたさなきゃならないわけですが、登録申請時におきまして業務方法書、それから普通保険約款、約款でございますね、それから保険料などの算出方法書という、こういった書類の提出を義務付けております。これは、保険会社が、一般の保険会社が行う場合と全く同じ、条件としては同じでございます。
このうち、事業方法書及び普通保険約款につきましては、登録時、またその中身が変更されたときの変更時、そのとき、その段階でその内容が契約者などの保護に欠けるおそれがあるものではないかどうか、あるいは公序良俗に反するおそれがあるものではないかどうか、そういった観点から審査をすることにいたしております。これも現行の保険会社と同じやり方をしようと思っております。
他方、保険料等の算出方法書というのを先ほど出すというふうに申し上げましたが、こちらの方は、この少額短期保険業者につきましては、それ、取り扱う商品の保険期間が短期のものに限定されておりますし、その契約更新時などに事後的な保険料水準の是正が容易であると、そういったことを、そういった事情を考えまして、この保険料の算出方法につきましては、保険数理に基づいて合理的かつ妥当なものであること等について保険計理人による確認が行われていることのみを登録時にチェックをいたしまして、事後的に問題があれば是正する仕組みといたしたいと思っております。これは、保険会社の場合には事後的ではなくて事前にやはりそういうチェックを私どもでさせていただくということでございますので、ここの部分につきましては言わば緩和した形になっているわけでございます。
○広田一君 いずれにいたしましても、今本当に、根拠法のない任意の共済事業者さんが提供されている商品が消費者の一定の支持を受けて、だから伸びている状況があるわけです。契約者、消費者の利益ということを考えたときには、やはりそれはどういうことが大事なのかということの一つの答えは、やはりいい商品を安い保険料率で購入できるということも一つの答えだろうというふうに思いますので、そういったよさを損なわないように、しかしながら一方でやはりきちっと見るべきところは見ていくと、そういう姿勢でこの商品審査には取り組んでいただきたいなというふうに思っております。
〔理事平野達男君退席、委員長着席〕
次に、責任準備金についてなんですけれども、これについてもちょっといろいろお聞きしましたら、皆様、その必要性といったものは、消費者保護、契約者保護という観点から必要であると。しかしながら、少額短期保険業者の場合、供託金の積み上げも義務化されるわけでございまして、双方性格が違うものなんですけれども、経費の負担ということを考えればまあ同じというか、ああいう考え方にも立てるわけであって、できれば供託金の積み上げに応じまして責任準備金の軽減ですか、実際供託金というのは目に見えて現金等で積み上げるわけでございますので、こういったところの工夫ができないかというふうな意見も少なからずあるというふうに聞いているんですけれども、この点についての御見解はいかがでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今の責任準備金の関係でございますが、これも先ほど来御説明申し上げております昨年十二月の金融審議会の第二部会報告におきまして、「責任準備金等は、保険契約上の義務を履行するために会計上適正に計上されるべき負債であり、保険会社と同様、支払備金、未経過保険料等の責任準備金の積立てを義務付ける。」とされておりまして、今回、そういった考え方から、この法案におきましても責任準備金及び支払備金、これは支払事由がもう発生していますけれども、まだ決算期末において未払になっている部分でございますけれども、そういったものの積立てを義務付けるということにいたしております。
若干技術的なこれから御説明になるかもしれませんが、いずれにいたしましても、その責任準備金はそれじゃどういうふうに具体的に積み立てるかということでございますが、これにつきましては内閣府令で定めるということになっておりますけれども、私どもといたしましては、保険会社と、現在の保険会社と同様にその未経過保険料、それのほか、通常の予測を超える異常危険の発生等に備える危険準備金に相当するものの積立てを義務付けたいと、そういったことなどを想定をいたしております。
それから、今御指摘の供託金制度との関係でございますが、今御説明をいたしました責任準備金というのは言わば負債の側に計上されるものでございます。したがいまして、その負債側に計上されますその責任準備金に見合う資産の一部を今度は資産側の一部として供託金の形で供託をしていただくと、そういったことによって契約者保護を図るということに、そういうことを考えているわけでございます。
この供託金の額の具体的な水準は、これも政令で定めることといたしておりますけれども、内容といたしましては、参入時において一定の保証金の供託を義務付けまして、その後だんだん事業規模が大きくなってきた場合には、その規模に応じて供託額を上乗せする仕組みを基本といたしまして、事業規模に応じて上乗せする部分につきましては、先ほどの危険準備金制度等との整合性も踏まえまして、例えば保険料の増加に応じて段階的に積み増しを求めるなど、そういった制度を念頭にこれから関係の皆様のお話も幅広く聞きながら検討してまいりたいというふうに考えております。
○広田一君 次に、募集人登録制度についてなんですけれども、この制度の必要性についてはだれしも認めるところなんですが、じゃ、実際これ実効性があるようにするためにはどうするんだというふうな問題点があるんじゃないかなと。どこが責任を持って試験などを実施するのか。今の任意保険業界というものには協会もないわけでございますので、どこが主体的に責任を持って実行するのか。行政なのか、また何か協会つくるのか、それとも個々の団体で行うのか。この募集人登録制度が実効性あるものにするためにどのようにお考えになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○副大臣(七条明君) この点について私の方からお答えさせていただきますが、今先生御心配の小さい業者だったらどうなるのかということでございますが、その前に、今の現行の保険業法について、いわゆる保険募集の適正性を確保する点から三点、規定が設けられております。
このまず第一点が保険募集人の公正な保険募集を行う能力の向上を図るための措置義務、これが保険業法の百条二項でございますし、二つ目が保険募集人の重要事項の説明や虚偽表示の禁止等を定めた行為規制、これが二百七十六条あるいは三百条一項でございます。それから三つ目が保険募集人の不適切な説明等に伴う使用者責任、こういうようなものも二百八十三条に出ておりまして、これらのことの三つのことを踏まえますと、今、少額短期保険業者についてもこれらの規定を適用することにされております。
当然、今、保険募集のルールを踏まえて保険会社というのは自主的に営業職員の研修だとかあるいは試験制度を実施をしておりますけれども、その教材を借りる、あるいはそこから派遣をされるというような形も踏まえて、いわゆる少額の方々はそれらができていくものではないだろうかと。あるいは、少額規模の募集の適正性についてもこうした規制の枠組みの中で確保されると考えており、今、金融庁としましては、更に保険募集人に対する試験を自ら行い、新たな公的な資格制度を創設する必要性は低いものではないかと、こういうふうに考えているところでございます。
○広田一君 そしたら、次に適用除外についてお伺いをしたいというふうに思います。
先ほど来お話がございましたように、構成員が真に限定される共済につきましては、従来どおりにその運営を構成員の自治にゆだねるとしまして保険業法を適用しないと。その中に学校などが学生などを相手方として行うものというふうなものがありますけれども、任意共済の中には学校同士が連携して共済を運営しているとか運営しようとしているものがあるというふうに聞きますけれども、この場合は適用除外になるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今先生御指摘の保険業法の適用除外となる団体でございますが、これは保険事業について構成員の自治による監督を理由として契約者の自己責任を問うことが可能な団体であると。こういった観点から、団体の構成員相互間及び保険の引受けを行う主体、言わば保険者でございますが、これと契約者との間に極めて密接な関係があることが社会通念上明らかであると考えられる団体を個別に法令で列挙することといたしております。
それで、今先生御指摘がございました学校が学生等を相手に行うものといったものもそういった中に列挙をしようと思っておりまして、そのほか、企業内共済、労働組合が組合員等を相手にして行うもの、町内会などを個別で列挙したいというふうに思っております。
今御指摘の学校が学生等を相手に行うものでございますが、複数の学校が共同で運営する共済等に係る保険業法の適用関係でございますが、これは政令で定める内容によることになるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、そもそもこの適用除外の考え方というのが、その保険事業について構成員の自治による監督を理由として契約者の自己責任を問うことが可能な団体かどうかということがその一つ大きな視点になるというふうに考えております。
したがいまして、今後、これから中身をよく詰めてまいらなければいけないわけでございますので、関係者の御意見も幅広く聞きながら、この学校間の関係なども含めましてその実態をよく把握をした上で検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
○広田一君 この学校の関係には、やはりそういう複数の学校間の連携をして共済を提供したいというふうなニーズがあるというふうに聞いておりますので、適用除外というところにあれば、そのような取り計らいも是非前向きに検討していただければなというふうに思います。
そして、増井局長さんがおっしゃったように、この適用除外というのは極めて結び付きの強い団体というふうなお話がございました。その中の一つとして宗教法人が私はあるというふうに思います。
実際、今の共済、任意共済の商品の中にも葬式費用、これらについても保険を掛けてサービスを提供しているものもあり、ニーズはかなりあるのではないかなというふうに思われるわけなんですけれども、今回この宗教法人は適用除外にはならないのかどうか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今宗教法人の御指摘ございましたが、基本的に、先ほど申し上げましたように、構成員の自治による監督ということで契約者の自己責任を問うことができるかどうかという観点から適用除外の団体を決めようと思っておりまして、そういう観点から、今後政令でよく実態も把握しながら検討いたしたいというふうに思っております。
○広田一君 実態を把握してということなんですけれども、現時点ではこれは適用除外の中に入ってはおりませんので、原則としては少額短期保険業者になっていただくというのが基本的な考え方なのか、それともこの宗教法人については改めてもう一回事務方の方で鋭意検討するというふうな理解なのか、どちらなんでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
先生御指摘のように、現在、法令で適用除外とされる団体として、先ほど学校の学生等を相手に行うものというようなことを申し上げましたが、宗教法人というのはそういう形では書いてございません。
ただ、先ほど申し上げましたような自治による監督を理由として自己責任を問うことができるかどうかということについて、こういったものに準ずる団体として政令で定めるものというものがございまして、そういった観点から、果たしてそういった団体が適用除外としてふさわしいかどうかということをよく検討しながら、これから検討してまいりたいというふうに思っております。
○広田一君 また、その適用除外の中で、政令で定める人数以下の者を相手方とするものについては適用除外と。今のところ千人程度を見込んでいるというふうに聞いておりますけれども、これについて、保険業界の方にちょっとお話を聞きましたら、やはり何らかの線引きは必要だと、千一人だったら分からないとか、そんな話をしていたら切りがないんで、やはりどこかで線引きをしなければいけないということで、その一方で、やはりそうはいいながらも、やはり千人というふうに決めるんだったら何らかの根拠とか客観的な基準があるはずであるというふうにもおっしゃられておりましたので、客観的な基準があるというふうに思いますので、それが構成員の自治による解決が可能と考えられる人数である根拠について教えていただきたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) 先生御指摘の少人数の共済でございます。
適用除外となる具体的な基準でございますけれども、これも政令で定めることにはいたしておりますけれども、先ほどから何回も申し上げておりますが、保険員の自治のみによる監督を理由に自己責任が問えるのが一般に可能となる規模ということになるんだろうと思いますが、一応私どもとしては千人以下のものということを想定をしております。
ただ、これは、何といいますか、形式的な基準でございまして、よくこの関係で議論になりますのは、形式的というか、分割してしまえば、それを、言わば潜脱行為ができるではないかというような御議論があるんでございますが、これにつきましては、やはり実質的にそういう千人を超えるような場合には規定の、適用の対象としたいと思っております。
それで、今御指摘の千人の根拠ということでございますが、これなかなか難しいお話でございますが、やはり一定の保険数理が働き得る保険集団としての数字というのがある程度必要であろうと。
あと、他法令とのバランス等も必要であろうということで、例えば、他法令という意味では、中小企業等協同組合法の中に火災共済協同組合というのがございます。これは火災共済の関係の規定でございますが、ここにはやはり、「千人以上の組合員がなければ設立することができない。」という規定がございまして、こういった規定なども勘案しながら、今回千人以下ということにしたいというふうに考えているわけでございます。
○広田一君 まあ分かったような分からないような感じになったんですけれども、やはり、真に構成員が限定できるんであるんだったら、やっぱり政令なんかによらず、私はきちっと本来法律に明記できるものではないかな、だからこそ真に構成員が限定できるというふうに思うわけですけれども。
ただ、先ほど来局長が引用されておりますこの総務省の結果報告書の中にも、任意共済団体で一五・七%が千人未満でありますと。私が実際聞いたところによりましても、ただ、現状でも最低二千人はいないと、こういった共済事業というものは運営は厳しいんじゃないか。ましてや、規制を掛けられた場合は、短期掛け捨ての場合はやっぱり二万人ぐらいの契約者がなければ安定した経営は難しいという専門家の指摘もあるわけでございますので、この適用除外とか少額短期保険業者の議論をずっとしてきたわけなんですけれども、やはり今のこの任意の共済の皆さんが少額短期保険業者等になって今後とも運営をしていくのはかなりハードルが高い面があるんではないかなというふうな印象を受けたわけで、そのことがやはり今回の改正、規制というものは保険業界の強い意向に沿ったものじゃないかというふうな一つの根拠になってしまうというふうに思われますので、あくまでも、大臣が言われましたように、契約者、消費者保護、これが最も大切なことだということですので、是非ともそういった視点を踏まえて取り組んでいただければなというふうに考えているところでございます。
そうした中で、この今回の改正とは直接かかわらないんですけれども、今回、保険会社の業務について顧客情報の適切な取扱いに関する義務規定が新たに追加をされました。この規定と個人情報保護法との関係はどうなっているのか。つまり、民間事業者の個人情報の取扱いに関して必要最低限のルールを定め、事業者がその分野の実情に合わせて自律的に取り組むことを重視している個人情報保護法との整合性はどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今の個人情報保護法との関係でございますが、一言で申し上げれば、整合性を取るようにいたしております。
今回の改正案では、保険会社によります個人情報の適正な取扱いを確保するための措置を保険会社の健全かつ適切な運営を確保するための措置の例示として保険業法に明示的に規定をいたしております。これは、先般のといいますか、この四月一日から個人情報保護法が施行されたわけでございますが、こういった状況も踏まえまして、保険会社におきます顧客情報の適正な取扱いの確保の必要性を保険業法上明確化する趣旨でございます。
既に、実はまだ、現行の保険業法上でも、個人情報保護法の施行を受けまして、保険業法施行規則に顧客情報の適正な取扱いに関する規定を新設をしておりまして、そういう意味では法的な手当てもしておるわけでございますけれども、今回の改正を機に、法律の条文上、明示的に規定をいたしたいというふうに思っているわけでございます。
○広田一君 そういったような御説明になりますと、同じように、じゃ、銀行法や証取法で義務規定がないというのは逆におかしくなってしまうんじゃないかなというふうに思うわけでございますので、この点について、どのようにお考えなのか。ほかの業法との整合性について最後にお聞きしまして、この後は同僚の大久保議員が更に専門的に幅広くセーフティーネット等について質問したいということですので、よろしくお願いします。
以上です。
○政府参考人(増井喜一郎君) 恐縮です。お答え申し上げます。
ほかの業法でございますが、これにつきましても、それぞれの業法の施行規則等で個人情報保護の規定を設けております。したがいまして、施行規則で設けておりますので、例えば銀行でそういったことに違反するようなことがありますれば、業法上いろんな必要な措置がとれるという形になっております。
○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉です。
私の方も、消費者保護の観点で今回の保険業法改正がどうであるか、特にセーフティーネットに関しまして御質問したいと思います。
まず、頭の整理のために、保険を販売できる業者の中で、大きく分けまして、既存の保険会社、今回登録されます少額短期保険業者、そして今回の業法の対象外であります制度共済、この三業態があると認識しております。また、制度共済に関しましては、代表的な制度共済としまして、JA共済、そして全労済、こちらを例に取りまして質問していきたいと思っております。
じゃ、一つ目の質問は、もし短期少額であれば三つの業態とも保険商品を販売することができると。つまり、三業態がほぼ同一の商品を売ることもできると。このことに対する質問。
二番目は、じゃ、少額短期じゃない保険です。例えば長期とか若しくは金額が大きい、この場合でしたら保険会社も制度共済も、例えばJA共済、全労済も販売し得ると。
このことに関して、じゃ、代表しまして増井局長の方、回答をお願いします。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今回の制度改正で少額短期保険業者は、その特例の対象となる事業者といたしましては、一定の事業規模の範囲内で保険金が少額で保険期間が短期の保険のみを引き受ける事業者を想定をしております。
したがいまして、今先生が御指摘のございました保険会社、一般の保険会社、これは、それと、少額短期保険業者が取り扱う商品は取り扱うことは可能でございます。
また、制度共済については、それぞれの共済上で取り扱う商品が決まっているというふうに思っております。
○大久保勉君 じゃ、JA共済及び全労済に関して、もし同一の商品を販売できないということでしたら回答してください。もしそうじゃなかったら結構です。もう端的にお願いします。
○委員長(浅尾慶一郎君) どなたが御答弁されますか。
○政府参考人(佐藤正典君) お答え申し上げます。
JA共済につきましては、現在、少額短期保険業者が販売できることになっております生命、身体や家財等につきましては現在も共済を販売しておるところでございます。しかしながら、そのほか、ペットとか葬儀とか、そうしたものの保障につきましては現在JA共済では扱っておりません。
将来的に共済組合の組合員のニーズがあればこのような共済商品を販売することも可能性としてはあり得ると考えております。
以上でございます。
○大久保勉君 私の質問の趣旨は、同じような商品を消費者の観点から考えましたらJA共済からも買うことができると、若しくは保険会社、若しくは全労済から買うことができると、こういう状況があるという前提、このことに対してこれまでの答弁は問題ないということでよろしいですね。
じゃ、もし、この場合に、個別に確認します。保険会社に関しましては、保険業者の保険契約者保護機構ということで、法律によりまして保護されておりますと。一方で、少額短期保険業者が販売するものに関しては、こういったセーフティーネットの対象外であると。この認識で間違いないかどうかを、金融庁、お願いします。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
先生御指摘のように、現在、保険会社は保険契約者保護機構に加入をしているわけでございます。今回の少額短期保険業者につきましては、保険会社とは異なって、保険契約がやはり少額短期のものに限られる、あるいは資産運用に伴うリスクを排除している、あるいは事業規模に応じた保証金の供託を義務付けている、こういった事情もございます関係から、万が一の破綻の場合にも保険者に生じる損失が限定されるといったことを踏まえまして、保険契約者保護機構への加入は義務付けていないという状況でございます。
○大久保勉君 じゃ、JA共済と全労済に関しましては保護機構があるということでよろしいでしょうか。もしないという場合でしたら、どういう形で消費者保護をされているか。例えば、保険の基本的な情報であります三利源の開示をしているとか、ソルベンシーマージンをしていると。財務内容が非常にいいから保護機構がなくてもいいか、こういったことに関して、まず農林水産省、その後、厚生省に質問いたします。
○政府参考人(佐藤正典君) お答え申し上げます。
JA共済におきましては、共済の契約は個々の農協が行っておりますけれども、責任準備金の積立ては、全国共済農業協同組合連合会、いわゆる全共連が一括して行っております。このため、保険契約者保護機構に相当するような組織は存在しておりませんが、運用等につきましては国債等の公社債を中心に安定したものとしております。それからまた、本年の四月から施行されております改正農業協同組合法におきましては、契約条件を変更できるというような制度も設けているところでございます。
また、お尋ねのソルベンシーマージン、あるいは三利源の開示につきましては、生命共済や損害共済を兼営しているという特殊性がございますので、保険会社のソルベンシーマージンとは若干違いますけれども、これに準じた支払能力を示す指標でございます支払余力比率、あるいは三利源のそれぞれの数字を全共連のホームページあるいはディスクロ誌等に発表しているところでございます。
以上でございます。
○政府参考人(大槻勝啓君) お答え申し上げます。
生協の共済事業につきましては、一定の地域や職域でつながる方々が、相互扶助の精神に基づきまして、自発的に組合員となって共済制度を利用し合うというものでございます。
そうした趣旨を受けまして、共済事業が破綻した場合の共済契約者である組合員の保護に関しましては生協の間で自主的な助け合いが行われる場合はあり得ると思われますけれども、生協法上、制度上は契約者保護機構等の仕組みは存在をしておりません。
一方、御指摘のソルベンシーマージン、あるいは剰余金の三利源の開示につきましては、全労済におきましては経営の健全性を示す指標としてパンフレット等を通じまして自主的に開示が行われているところでございます。
○大久保勉君 農水省に質問します。
ということは、もしJA共済が破綻した場合はどういう制度的な保護があるんでしょうか。若しくは、その可能性は極めて低いということなんでしょうか。そのことに関して質問します。
○政府参考人(佐藤正典君) お答え申し上げます。
ただいまの経営の状況でございますが、いわゆるソルベンシーマージンが八二九というような数字でございまして、通常安全なところ、二〇〇の数字に比べまして相当高いということで、安定した安全な運営が行われているものというふうに理解してございます。
それから、先ほども若干御説明いたしましたように、それぞれの農協が共済の契約をしておりますけれども、そのためのファンドといいますか、責任準備金の方は全国域で管理しておりますので、そういうことで、個々の農協について何か問題があっても、全体のシステムに影響を及ぼすことがないというふうに設計しております。
○大久保勉君 非常に重要な指摘をされたと思います。つまり、個別の共済がしっかりした経営をしていると、また、ディスクロージャー、三利源をディスクローズしているからあえて保護機構がなくてもいいと、こういうことですね。確認します。
また、それに関して、金融システムに対する波及効果はないという答弁だったと思いますけれども、確認します。
○政府参考人(佐藤正典君) お答え申し上げます。
重ねての御説明になりますけれども……
○大久保勉君 端的にお願いします。
○政府参考人(佐藤正典君) はい。
全体のファンドを全国一律で運営しておりますので、それぞれの農協について経営がおかしくなるということはないというふうに理解しておりますし、また、必要なソルベンシーマージンとか三利源の公開等を通じまして、国民の目から、あるいは外部の目からチェックをしていただくということで対応しているところでございます。
以上です。
○大久保勉君 非常にすばらしいことだと思っております。
じゃ、同じことを全労済に関して質問します。端的にお願いします。つまり、農水省と同じ方針で、つまり個別の共済がしっかりしている、ディスクロージャーをしっかりしている、だからあえて国の保証はする必要ないと、保険契約者保護機構は要らないと、こういう認識でいいでしょうか。
○政府参考人(大槻勝啓君) 生協法に基づきます共済事業の規制の仕組みを説明申し上げなければならないと思います。
まず、共済金の支払あるいは掛金の運用等における将来リスクに備えるための仕組みといたしまして、まず責任準備金を一定の基準の下に積み立てなければならないというふうにされております。また、長期にわたる契約が必要な共済事業につきましては数理の専門家である共済計理人を設置をいたしております。また、資産運用の方法及び割合につきましては厳格に制限をされるということがございます。多額の支払に備えるため、損害系の共済事業におきましては一定割合以上を再共済に付すこと、こういったことが定められておるところでございますし、また、行政による監督の仕組みといたしまして、共済事業の健全な運営を確保するために必要と認めるときはいつでも組合を検査することができる、また業務停止命令等必要な命令を行うことができることなどが定められておるところでございます。
生協におきましてはこういった規制の下に共済事業を行っているところでございます。
○大久保勉君 ということは、個別の検査をしっかりやって、またディスクロージャーがしっかりしていると、また運用もちゃんとやれば、あえて国の保証は要らないと。
でしたら、質問します。保険会社に関して、どうして保険会社のみ保護機構が必要なんでしょうか。これは伊藤大臣に質問します。
○国務大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきます。
生命保険契約者保護機構は、保険契約者の保護を目的として、生命保険会社が破綻した際に責任準備金の一部について資金援助等による補償を行う枠組みであり、そして、この資金援助等に要する費用というのは原則として生命保険会社各社が負担金というものを財源といたしているところでございます。
やはりこうした仕組みを設けていくということは、セーフティーネット上必要なことであるということでこうした仕組みというものを設けさせていただいているところでございまして、保険契約者の保護にやはり万全を期すためにも必要な制度であると私どもとして認識をいたしているところでございます。
○大久保勉君 ちょっと分からないんです。
といいますのは、保険契約者保護でしたら、いわゆる保険の、消費者は全共連から商品を買うこともできます。また全労済からも買うことができると。一方で保険会社からも買うことができると。でも、保険会社のみどうして消費者保護をしないといけないんですか。もし、そうでしたら、全労済若しくは農林系に関しましても政府保証は必要でしょう。ということは、逆から考えましたら、本当にこのセーフティーネットは消費者のためなのか。いや、違うと。保険会社のためにあるんじゃないかなと私は思うんですよ。どうお考えですか。
○国務大臣(伊藤達也君) もう一度お答えをさせていただきますけれども、保険契約は、その保険契約者とそれから保険会社との間の自己責任に基づく私的契約であり、また決済機能を有しているというわけではありません。
しかしながら、保険契約というものは、国民経済やあるいは国民生活の基礎となっているわけでありますし、また他社への乗換えというものが困難なものでもあります。そして、長期にわたる保険会社の経営状況の変化を見通した選択を期待すると、こうしたことも困難であると、こうした特性がございますので、保険会社の破綻時に保険契約者の自己責任を問いにくい面もあるのではないかということであります。
したがって、保険契約者保護機構におきましては、このような保険契約の特性にかんがみまして、保険契約者の保護のために設けられた制度でございます。
○大久保勉君 いや、まだ分かんないです、ますます。
といいますのは、先ほど農林水産省は、例えば全共連が破綻しても金融システムに波及することはないということなんですね。じゃ、全共連と一部中小の保険会社、どちらが資産内容は、資産は大きいですか。全共連の方が大きいですよ。ですから、金融システム問題でしたら、全共連にもちゃんと国の保証をすべきじゃないですか。むしろ国が保証しないといけないような保険会社があると、こういうことじゃないかなと私は理解しております。
じゃ、次の観点から行きます。
保険というのはなかなか分かんないんです。私が保険契約を見ました。月々一万五千円の保険を、生命保険に掛かっていました。一万五千円でも安そうに見えますけれども、これが三十年の契約でしたら五百四十万の保険料です。これは高級車よりも高いんです。でしたら、車程度に、どういう商品であるか、これは本当に安全かと。安全という観点からいろいろ説明してもいいんですね。
じゃ、どうしてこの保険は、じゃ仮に三千万、死亡した場合に保障されますと。じゃ、どうして三千万なんですか、五千万でもいいじゃないですかと。ここは保険数理によって決まっていますと。じゃ、どういうふうに決まるかといいましたら、三つの要素がありまして、私が三十年間で死ぬ確率、いわゆる死亡率、一般にお金を運用しますから、どのくらいで運用できるか、予定利率、さらにはいろいろ保険業務を行いますから、従業員の費用がありますから、いわゆる費用、これが三利源と言います。
じゃ、この基本的なことは明らかにして説明責任が必要だと思いますけれども、先ほどJAさんとか若しくは全労済さんに関しましてはこの三利源は個別に開示していると。じゃ、個別の生命保険会社も当然三利源を開示しているんですね。金融庁にお尋ねします。
○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘のとおり、一般論といたしまして、市場規律が機能する、あるいは契約者、利用者の方々が合理的な選択をするための環境整備という観点からディスクロージャーというのは非常に重要だと思っておりますし、私どもも基礎利益であるとかあるいは逆ざやの公表といったようなことを制度的に整備をしてきているということでございます。
それで、三利源の公表についてでございますけれども、私ども、財務の健全性を端的に表す指標としてはソルベンシーマージン比率というものを各保険会社に開示を義務付けているということでございますけれども、このいわゆる三利源につきましては、これは各社の競争戦略にかかわる内部管理指標でもあるということで、各社、現在これを公表していないという状況にございます。
そして、これを公表を義務付けるということにつきましては、今申し上げましたように、各社の競争戦略にもかかわる内部管理指標であるということでもございますので、慎重な対応が必要ではないかというふうに思っておるところでございます。
それから、JA共済あるいは全労済との対比においてのお尋ねでございますので、若干それとの比較をさせていただきますと、JA共済、全労済の場合には組合員との特定の者を対象に事業を行っているということであろうかと思います。
これに対しまして、生命保険会社、多数あるわけでございますけれども、いずれも不特定多数の者を対象に、かつ市場競争の中で各社が競い合う中で営業を行っておりますので、そういった意味からおきましても、競争戦略にもかかわる内部管理指標、それである、三利源の公表を義務付けるということについては私ども慎重な対応が必要であろうかというふうに思っております。
○大久保勉君 三利源に関しましては、生命保険会社の独自の判断で公表しないということでしょうか。
じゃ、もし、ある生命保険会社があしたから三利源を公表したいということに対して、若しくはそういったことに関して、ノーアクションレターという制度を使いまして、それでよろしいですかと聞いた場合には、当然、よろしいんですね。
○政府参考人(佐藤隆文君) 各社、各保険会社が経営判断において自社の三利源を公表するということについて制約はございません。
○大久保勉君 今回のいろんな質問及び回答で分かってもらいましたように、いわゆる業態によって、制度共済に関しては積極的にディスクロージャーすると。で、資産内容を良くすると。だから国の保証は要らないと。こういう考え方もありますと。一方で、保険会社に関しましては、いやいや、そこは何も明らかにしないと、ディスクローズしないと。だから、国が保証するから安心ですよと。こういうふうに解釈できます。
そこで、よく出てきましたキーワードとしまして逆ざやと。じゃ、どうして逆ざやになったか、この辺りに関して質問していきたいと思います。
まず、生保の逆ざや問題に関しまして、これはどういう問題であるかというのが質問の第一点。
また、過去に複数の生保が逆ざやのために破綻しております。じゃ、現在、生保の逆ざや問題は解決したんでしょうか。もし解決しないんだったら、どういう対策を考えていらっしゃるのか、質問します。
○大臣政務官(西銘順志郎君) 大久保先生、よく御存じだと思いますが、逆ざやについて御説明をさせていただきたいと思っております。
生命保険会社は、将来の保険金の支払に充てるため、保険契約者が支払った保険料を元に資産運用を行っており、その計画上の利回りを予定利率と呼んでおります。
逆ざやとは、運用利回りの実績が予定利率を下回る結果となることを言い、金利の急低下、それに続く低金利の長期化が見られる近年において、生命保険会社の経営状況を圧迫する一つの要因となっております。
過去に保険会社が破綻を引き起こしたというようなこともございましたが、この逆ざやが大きな要因になっておるほか、やはり破綻の要因として、新規契約が伸び悩んだこと、あるいは解約が増加したこと、有価証券の含み損が大規模に発生していたことといったような原因もかかわっていたのではないかというふうに思われます。
○国務大臣(伊藤達也君) 委員からもう一問、その逆ざや解消のためにどのような対策を取っているのかと、こうした御質問がございました。
逆ざやは、今政務官からもお話がございましたが、既存契約者の予定利率と運用利回りとの関係で定まるものでございますけれども、保険会社自身の手で改善を図る、このことについては限界がございます。
しかしながら、各保険会社は、運用実績の改善に向けた努力をする一方で、新規契約の獲得により全体としての平均予定利率を引き下げる努力をすることにより、逆ざやの解消に向けた対応を行っているところでございます。
また、当局といたしましては、ソルベンシーマージン基準に基づく早期是正措置の導入、そしてオフサイトモニタリングに基づく早期警戒制度の導入、さらには保険会社に対し、健全性の確保に向けた財務基盤の強化、事務費の削減、新商品の開発等による収益率の確保等、一層の経営努力の要請、そして経営陣に、資産と負債の統合的なリスク管理を求める保険検査マニュアルや事務ガイドライン等の整備、こうしたことを求めてきておりますし、また私どもとしてそうした対応をいたしているところでございます。
現在、各生命保険会社におきましては、逆ざやの問題というのは依然大きな経営上の構造的な問題となっておりますけれども、平均予定利率の低下により逆ざや額は年々減少傾向にあるものと承知をいたしております。
○大久保勉君 実は、私の方もいろんな生命保険会社若しくは消費者団体、いろんな方にヒアリングをしました。生保の経営がおかしいのは逆ざや問題だと、そのためにどうしたらいいかと。
ここに関しては、実はこういう指摘が多くございました。先ほどの三利源を明らかにできない、ここにみそがあります。つまり、保険商品といいますのは運用利回り、つまりこれは逆ざやに関係します。その以外に二つの要素があります。死亡率、経費率。実は死亡率とか経費率は実際よりも非常に高く考えられていると。つまり、死亡率が高いということは保険料が高いんです。実際の三十年間の平均的な死亡率というのは実は低いと。ですから、そこに大きな利益があると。要は死差と利差の方で取り返していると、そのためには保険の契約を増やさないといけないと、こういう指摘があったんですけれども。で、そういうことが分かってしまったら保険が伸びないと。ですから消費者に対して知らしむべし。こういう政策を行っているんじゃないかと、こういう指摘があったんです。
そのために、じゃ、もし信用不安になったら困るから国が保証しているよということで、ディスクロージャーがなくても保険が増えるようにしていると。じゃ、一番、目の上のたんこぶは、こういった制度に乗っからない無認可共済が一生懸命安い保険を売ったと。だったら、まずそこを規制して、何とか自分たちの保険業界に消費者を呼び込むと、こういうふうな指摘がありました。これに対して、大臣、どうお考えですか。これは全く違いますか。
○国務大臣(伊藤達也君) 今の御質問というのはやはり生命保険会社の信頼にかかわる問題でありますので、そうした御指摘があるとするならば、そのことを、そうではないんだということを経営の中でしっかり示していくことが必要だというふうに思っております。
三利源の問題につきましては、先ほど局長から答弁をさせていただいたように、競争上の問題がありますから、そうした観点から慎重に検討していくということでありまして、何か私どもが生命保険業界のために特段の配慮を考えているということではございません。
私どもとしても、契約者の立場に立った行政というものを展開をしていかなければいけないというふうに思っておりますし、また契約者の方々の信頼というものがしっかり確保できなければ生命保険業界の健全な発展というものも実現することができないわけでありますので、契約者に十分理解が得られるような経営というものが今後も行っていくということは極めて大切なことだというふうに思っております。
○大久保勉君 三利源、開示をしないということは、いわゆる競争上の問題というのは、恐らく生命保険業界としての競争上の問題で、それを明らかにしてしまったらほかの共済、制度共済に負けてしまうと、だからここは臭いところはふたを閉めようと、こういうふうに聞こえたんですけれども。
一応ここはこれで終わりまして、じゃ逆ざや問題はどうして発生したか。これは、金融理論的には金利が下がったから逆ざやが発生すると。うそっぱちですよね。つまり、保険を契約した段階で、生命保険でしたら生命保険のデュレーションというのがあります。つまり、債務の残存期間は何年で何%である。もし予定利率が、六%の予定利率の保険が十年前に売り出されました。当時の金利は恐らくは、まあ国債でも六%を上回っていたんでしょうね。じゃ、負債に合う年限の国債を購入するとか若しくは社債を購入していましたら、逆ざやは発生していないんですよね。これはALMといっています。金融のイロハなんです。
何でこういうことをしなくて、金利が下がったから逆ざやになりました、だから国民の税金を出してくださいと、これは極めておかしいんじゃないかと思いますが、金融庁、伊藤大臣のお考えを教えてください。
○政府参考人(佐藤隆文君) 逆ざやが大きな規模で生じまして、これが構造問題になっているということにつきまして、保険会社において負債のサイドの特性を十分に反映した資産運用の管理、御指摘のようなALMを含めたそういう管理が必ずしも徹底されていなかったということが一つの要因としては考えられると思います。
ただ、その背景には、例えば高金利の時代に、当時としては資産と負債の長期にわたるマッチングを完全にするというような運用の仕方は必ずしも一般的ではなかったとか、あるいはそもそも二十年、三十年といった長い資産サイドの固定金利の金融資産が容易に利用可能であったかどうかといったこともありましょうし、あるいはその時々の金融情勢で金利が高めであってもひょっとしてもっと上がるんじゃないかというようなリスクが理論的には存在するわけでございます。
したがいまして、負債の長期性に対応するような資産サイドでの超長期のそういう対応をするということにつきましては、逆に金利上昇時のリスクというものを抱え込むことにもなりますので、そんなことが意識されていたといった、そういう側面もあろうかと思います。
いずれにいたしましても、各生命保険会社、典型的には昭和六十二年から平成二年にかけて高い予定利率の保険商品を販売し、それを債券、株式、不動産等で運用していたわけでございますけれども、バブル崩壊に伴う株価下落、金利低下、地価下落、あるいはさらには低金利の長期化といったことで、言わば予想を超えた運用環境の悪化ということで逆ざやが深刻な形で生じたということだろうと思います。
こうした厳しい環境の中で各生命保険会社は逆ざや解消のための努力はしているというふうに思います。経費の削減あるいは新商品の開発、販売網の見直しといったことで努力をしているところでございますので、当局としても各社の経営努力を注視してまいりたいというふうに思っております。
○大久保勉君 先ほどの答弁で一つ大きな間違いがあります。金融のイロハの問題、ALM管理をすると。債務のデュレーションと資産のデュレーションはマッチしました。じゃ、金利が上昇してリスクがあるはずはないです、下がっても上がってももう確定していますから。これが、ここを御指摘したいと思います。もしそういう答弁でしたらこれは明らかに間違いですし、こういう金融行政でしたら少なくともグローバルな金融競争に負けます。是非改革をお願いします。
次にもう一つ。こちらは、もし当時、十年、二十年若しくは三十年の運用手段がなかったと。それでしたら、どうしてそういう保険を認めたかということです。現在、保険というのは、当時もそうですけれども、認可制なんです。つまり、金融庁、当時は大蔵省がこの商品は売っていいですよと認可しているから売ったんです。じゃ、もし、認可すべきじゃなかったということでしょう。ということは、これは極めて重要なんですよ。つまり、生保が逆ざや問題で破綻したと。どうしてか。それはそういう商品が運用ができなかったと。じゃ、だれがそれを認めたんだと。金融庁じゃないですか。ということは、この責任は金融庁にありますと言ったのと一緒なんです。ここに関して大臣の答弁をお願いします。
○国務大臣(伊藤達也君) 生命保険会社におきましては、その商品設計に当たりましては予定利率の設定を行っているわけでありますが、これについてはそれぞれの時点で運用利回りの状況等を踏まえた決定が行われているところであります。
保険商品につきましては、当局において、保険数理に基づいて合理的かつ妥当か、そして差別的な取扱いがなされていないか、こうした基準に照らして認可を行うことといたしているところでございます。
最近において、過去に例のない低金利の状況が続いていることにより逆ざやというものが発生していることは事実でありますけれども、しかしながら、当時の運用状況等にかんがみ、仮に高い運用利回りが適切に契約者の利回りとして反映されなければ、かえって契約者の利益が損なわれることになる、このような点を勘案した上で、当時としては適切な判断がなされたものと考えております。
○大久保勉君 多分その答弁というのは違う内容だと思います。
つまり、金利が低いから逆ざや問題が発生したんじゃないと、ここが重要なんです。つまり、保険を契約して販売した段階でそれに応じた運用を確定しておけば、金利が上がろうが下がろうが、保険会社の経営は安泰です。ですから、この認識は極めて重要だと思います。
じゃ、今後逆ざや問題を新たに発生させないためにはALM管理を検査に取り入れる必要があると思います。じゃ、現在、ソルベンシーマージンとか若しくはデュレーション管理、責任準備金、こういったものに関しまして本当にALM管理がなされているんでしょうか。このことに関して検査の実態を教えてください。
○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘のとおり、ALMの管理、非常に重要だと私どもも認識いたしております。保険契約の特性に対応した資産の運用ということでございます。
この重要性にかんがみまして、私どもの検査監督におきましても適切なALM管理が行われているかということをチェックすることにいたしておりまして、典型的には保険検査マニュアルというものがございますけれども、その中で、例えば負債特性を考慮した資産配分等、資産運用を行う上で基本となる方針を有しているか、あるいは資産運用リスク管理部門が保険の引受け管理部門と密接に連携をして負債側の必要な情報についてきちんと把握しているかと、こういったチェック項目を明示的に設けまして、各社が行うALM手法等によるリスク管理体制の適切性について検証を行っているというところでございます。
○大久保勉君 じゃ、続きまして、保険の商品の認可制度に関してもう少し突っ込んだ質問をしたく思います。
現在、保険に関しましては金融庁に対して認可を求めると。ですから、場合によっては自由に商品が作れないと。じゃ、認可制以外にどういう形態があるかといいましたら、もう勝手に保険商品を作って売ると。それ以外には、金融庁に保険の内容を届けると。金融庁自身が、金融改革プログラムの中で、事前指導から事後チェック、商品の自由化ということでしたら、方向性としましては自由に保険商品を作っていくという方向じゃないかと思います。
じゃ、現在の認可制度に関して、これはこれからずっと続けていくのか、若しくは将来的には届出制にするか、この辺りに関して所見を伺います。
○政府参考人(佐藤隆文君) まず、現在、保険商品が基本的には認可制になっていることの趣旨についてお話をさせていただきたいと思いますけれども、御案内のとおり、保険商品につきましてはその仕組みが複雑で、一般の消費者にはなかなか分かりにくいという面がございます。また、専門的な保険数理に基づいている部分、そういう商品設計の部分がございます。こうした事情にかんがみまして、適正な保険契約内容を確保するということで保険契約者の保護を図ると、こういう目的で保険商品の認可制、あるいは審査権付きの届出制というものが採用されているということでございます。
他方で、近年、我が国における社会の構造変化あるいは経済活動の多様化といったことがあるわけで、保険商品に対するニーズ、保障ニーズというのも非常に多様化しているという実態には私どももその注意を払わなくてはいけないというふうに思います。
こうした観点から、商品審査につきまして、商品特性に応じた審査内容の簡素化といったこと、これをこれまでも累次にわたって効率化を図ってきているわけでございます。契約者保護に欠けるおそれが少ない商品については認可対象を届出対象に改めるといったことも行っておりまして、その後、順次対象の拡大ということにも努めておるわけでございます。
それから、先般公表をさせていただきました金融改革プログラム及びその工程表の中に保険商品の多様化と価格の弾力化という項目を挙げさせていただきました。これは、今後、特に利用者ニーズの重視という観点に立って、保険商品の多様化あるいは価格の弾力化ということで、それを進めていくという観点から、幅広く関係者の御意見を伺いながら必要な措置を検討していきたいというふうに思っておるところでございます。
御案内のとおり、私どもの商品審査、保険商品の審査でございますけれども、これはあくまでも各保険会社が自由な商品設計を行うということを前提といたしまして、保険業法第五条に定める基準に適合するかどうかと、こういう観点から行っております。具体的には、一つには契約内容が保険契約者等の保護に欠けるおそれがないかどうか、二つ目には不当な差別的扱いをするものではないかどうか、三つ目には契約内容が公序良俗を害するものではないかと、こういった観点でございます。
商品認可制度はこういった枠組みでやっておりまして、私ども、利用者の保護という観点が第一義であるというふうに思っております。
○大久保勉君 かなり長い説明だったんですけれども、私の受けた印象は、いわゆる銀行業界、銀行行政及び保険行政を考えましたら、銀行行政は、ペイオフも解禁されました、かなり進んでいるんじゃないかという認識がありますけれども、それに比べまして、まだ保険行政に関しては一周遅れかなと。そのために、まだ、届出制にしたい、すべきなのに、困る生保もおりますから、まだ護送船団が完全には解消し切れてないのかなという印象なんです。
また、逆ざや逆ざやと先ほどからよく出ていますけれども、端的に言いましたら、金融庁がALM管理をするように検査したら、もう五年前にはこの問題は解消されているんじゃないですか。是非、ここを指摘しまして、次の質問に行きます。
今度は一般勘定間の損益移転の可能性ということなんです。
例えば、これ逆ざやにも関係ありますけれども、過去に高い保険料率の保険契約があります。これは一般勘定です。例えば、今年、低い保険を売りました。じゃ、その場合に、個別には、過去のやつをA保険といいます、今のやつをB保険としましたら、A保険の三利源とB保険の三利源が一緒になりまして、もしかしたらB保険の利益がA保険に移っているんじゃないかという指摘があるんです。それを避けるためには、すべての保険ごとに区分経理をしていく、そして配当する場合も個別の保険に対して配当すべきだという指摘があります。これに対して調査したところ、生命保険会社によってはそういったことを厳密にやっていないという指摘があります。
昨日、このことに関して通告しまして、調べてくださいということで通告しましたので、まず現状を教えてください。一般勘定間の損益の移転があるかないか。
○政府参考人(佐藤隆文君) 一般勘定と申しますのは、正に一般勘定に属する多数の保険契約を全体として管理するということでございますので、契約ごとの区分経理ということは行っていないということでございます。
そもそも生命保険、御案内のとおり、長期にわたる契約でございますし、多数の契約者が保険料を負担し合って、それを財源として死亡や病気等の万一の備えにするということでございますので、言わば結果としての相互扶助の仕組みによって成り立っているということだと思います。
その際、契約の際に適用される個々の予定利率につきましては、その時々の金融市場などの運用環境を踏まえて各保険会社が設定しているということでございまして、例えば高利回りのときの契約を含めまして、その個々の契約というのは保険契約者の保護という観点からも尊重されなくてはいけないでしょうし、それが契約の安定性を損なわないということにもつながるのではないかと思います。そういう意味で、高予定利率の契約と低予定利率の契約が混在するということは、一般勘定の中に混在するということはある程度やむを得ないというふうに思っています。
ただ、他方で……
○大久保勉君 簡単にお願いします。
○政府参考人(佐藤隆文君) はい。
各年度、保険会社で剰余金というものが発生いたします。その剰余金の配分に関しましては、多くの生命保険会社におきまして、保険契約の特性に応じて設定した区分ごとに言わば剰余金が出てきた原因を解明いたしまして、言わば剰余金を形成したことに貢献した度合いに応じてその剰余金の分配額を差を設けて決定していると、こういうことが行われていると承知をいたしております。
○大久保勉君 剰余金の分配に差を付けると、これが本来でしたら一〇〇%個別にやっていくべきなのが、それ、一〇〇%反映されていないと。ここに問題があります。つまり、生命保険の保険が売れない、当たり前ですよね。つまり、過去の五%、六%という逆ざやの保険がありますと。じゃ、今入った保険会社は、この逆ざやを埋めない限りは新たに死差益、利差益というものの配当がないですと。じゃ、どうして三利源を教えたくないのか。つまり、そういったものが明らかになりますからなかなか売れないと。
こういう状況が放置されているということは、本当に消費者保護なんでしょうか。事実を説明して、かつ実態を説明した上で、分かったと、保険契約をします、これだったらいいです。もし、全く三利源を明らかにせずに、一・五%の予定利率の保険に入ってくださいと、で、何も説明しなかった場合に、その保険の損益、収益が別の保険に移ると。これは詐欺じゃないですか。こういったことに対して、ですから説明責任が必要です。つまり、あなたの保険の一部運用益は、若しくは死差益、利差益は、もしかしたら別の過去の不良債務に回る可能性がありますよと、こういう説明が必要じゃないかと。もちろん、保険約款にうたいなさいとは言いませんけれども、こういったことこそがいわゆる新しい金融行政じゃないか、自己責任じゃないかと思いますけれども、このことに対しまして、伊藤大臣の所見を伺います。
○国務大臣(伊藤達也君) 委員からは詐欺じゃないかという厳しい御指摘があったわけでありますけれども、ディスクロージャーを充実をしていくということは極めて重要でありますし、契約者の方々が自ら掛けた保険というものがどういう形の運用がなされて、そしてその契約内容というものが達成されていくのかと、そのことを分かりやすく丁寧に説明をしていくということは基本的なことだというふうに思っております。
金融行政が今まで銀行行政に比べて一周遅れではないかと、こうした御指摘もございました。私どもとしては、今日まで、行政に当たっては、契約者保護の観点から懸命に行政に取り組んできているところでございますけれども、委員から厳しい御指摘をいただいているということは私どもとしても謙虚に受け止めて、そして金融改革プログラムにおいても今後の金融行政の方向性というものも示しながら、契約者の方々がやはり安心して契約ができるような環境をつくっていきたいということで改革プログラムをまとめさせていただいたところもございますので、そうした観点からも、行政として不断の努力をしながら契約者保護の充実のために努めていきたいというふうに思っております。
○大久保勉君 是非、大臣には、本当の契約者保護、本当の消費者保護をお願いします。業界保護じゃありません。
じゃ、ディスクロージャーが非常に重要だということで、またソルベンシーマージンを個別に発表しているということをおっしゃいました。じゃ、こういったことが保険販売にどのように生かされているかと。つまり、保険会社の信用リスク若しくは財務内容というのは極めて重要な保険の特性です。それを明らかにせずに売るということは、消費者にとりましては極めて問題があると思います。
じゃ、このことに関して、いわゆる比較広告の問題であります。
A社、B社、C社のソルベンシーマージン若しくは格付を比較しながら、うちの保険はこれだけの利点があります、安全ですと、こういう販売方法に関しましては現在認められているんでしょうか。よくありますのは、誹謗中傷に当たるからできないという議論もあります。ですから、比較広告と誹謗中傷に関して、もう少し具体的な指針が必要じゃないかと思います。
こういったことに関して、じゃ、二社だったら誹謗中傷になると。じゃ、三社、四社以上の生命保険会社のソルベンシーマージンを明らかにして、それで保険を販売する、このことに関して是非とも認めてもらいたいと思いますが、金融庁の所見を教えてください。
○政府参考人(佐藤隆文君) 現在、そもそも比較広告を禁止するというような枠組みにはなっておりません。ただ、実際にはなかなか機能していないというのが現実であろうかと思います。
まず、誹謗中傷についてちょっと御説明させていただきたいと思いますが、保険業法三百条によりまして、保険契約等に関する事項であって、その判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて誤解をさせるおそれのあること、これを表示するという行為は禁止されておるわけでございますが、これを受けた事務ガイドラインにおきまして、他の生命保険会社を誹謗中傷する目的で、当該生命保険会社の信用又は支払能力等に関してその劣後性を不当に強調して表示すること、これを禁止行為の具体例として規定をしておるところでございます。
したがいまして、仮に他の生命保険会社を誹謗中傷する目的で他社のソルベンシーマージン比率あるいは外部格付といったものに関して、その劣後性を不当に強調した表示を行うという場合には法令違反に該当する可能性があるということかと思います。
他方で、既に公表されております他社のソルベンシーマージン比率あるいは外部格付といったものを示して比較対照するということ、それ自体は直ちに誹謗中傷に該当するというものではないというふうに存じます。
そこで、比較広告のお話についてでございますけれども、金融庁で、金融改革プログラムにのっとりまして、今般、保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チームというのを立ち上げさせていただきました。ここでは、適正な比較情報が提供されるような枠組み等について検討を開始をしていただいたというところでございます。この検討チームにおきまして、ソルベンシーマージン比率あるいは格付といったものがそもそも比較の指標として適当かどうかといった点も含めまして、利用者の商品選択にとって有用な比較情報が的確に提供されるような枠組みづくりを目指していきたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、この比較広告というのは利用者保護あるいは利用者利便の向上といった観点から考えていくべき課題だというふうに思っております。
○大久保勉君 誹謗中傷の解釈なんですけれども、これは消費者保護という観点で、例えば医療とか若しくは食料とか、いろんなものがありますけれども、金融行政は消費者保護に関して、場合によっちゃ一周遅れという気もします。つまり、誹謗中傷しちゃいかぬと。でも、悪い商品を、じゃ、消費者が情報を与えず買った場合の問題点というのはどうでもいいんですか。むしろ、それは業者保護でしょう。つまり、本来の行政の在り方は、消費者が本当に満足ができるか、満足できる商品を提供するように行政が指導するかということです。
ですから、是非とも消費者保護ということを第一に考えて行政を行ってほしいということで、私の質問を終わります。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
今日は、まず初めに、いわゆる認可あるいは無認可問わず、根拠法あるなし問わず、共済と言われるものにつきまして、特に九〇年代、実態がなかなか分からないといいながら、総務省さんの調査等を見ますと、やはり九〇年代に入って急増していると。年々倍増しているぐらいにかなり急速に増え出しているということが言えるんではないかと思いますけれども、まず、この共済が九〇年代に入りまして増え出したその背景にあるものがどんなものがあるのか、これについてまずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
この共済、いわゆる根拠法のない共済、先ほど御指摘もありましたように、総務省の調査によっても最近相当増えております。
この原因というのはなかなか、いろんなことがあろうかと思いますので必ずしもすべてのことが分かっているわけではございませんけれども、一つ、法律上、先ほど来私ども申し上げていますように、なかなか、特定の者を相手にする、あるいは不特定の者を相手にするというところが必ずしも明確でなくなってきているといった状況があるといったことも一つあると思います。したがって、そういう意味で、何といいますか、保険業法の適用の外にあった部分があったということでございます。それから、あとはいろんな形での、最近保険商品に対するニーズがいろいろな形であるということだと思います。そういった形でいろんなニーズを、保険会社が必ずしも供給できない商品を供給をしてきたと、そういった観点もあるかと思います。
いずれにいたしましても、いろんな原因でこういった共済が増えてまいりまして、それによってトラブル等もまた一方で増えているという状況だというふうに考えております。
○西田実仁君 正にこの九〇年代、先ほど来お話もございましたけれども、保険会社が相次いで破綻をする、この一方で共同自治の原則で共済が地歩を固めてきたと、こういう事実もあるんではないかというふうに思うわけでございますけれども、認可、無認可ということでいえば、認可保険会社であるところでも東邦生命とか第百生命とかつぶれたところもありますし、あるいは認可共済と言われるところでも、先ほど来お話もございましたけれども、四日市とかあるいは佐賀でも破綻しているところもあると。そういう意味でいきますと、認可、無認可、認可だから絶対大丈夫だとかいうことは当然ないわけであります。
そういう意味では、この共済、今急速に増え出して、九〇年代増え出してきたわけでありますけれども、今回の法改正の意義という大きなテーマになりますが、共済が増え出してきた背景にある消費者の利益というものは今回の法改正でどのように担保をされているのか。まず、これを大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(伊藤達也君) 根拠法のない共済につきましては、その規模やあるいは形態というものの多様化が進み、特定の者を相手方として保険の引受けを行う共済事業と、それから不特定の者を相手方とする保険業とを区別することが容易ではなくなりつつあるわけであります。また、近年、共済に関しましては、事業者が所在不明である、あるいはマルチ商法的な勧誘が用いられているなど、国民生活センターへの相談件数も増加をいたしております。
こうした状況を踏まえまして、今回の改正案では、保険業法の適用範囲というものを見直して、そしていわゆる根拠法のない共済につきましても原則として保険業法の規制対象とするとともに、一定の事業規模の範囲内で少額の短期の保険のみを提供する事業者につきましては登録制等の新たな規制の枠組みというものを創設をする、このことによって消費者の利益の保護を確保するための仕組みというものを整備をさせていただいたところでございます。
今後は、金融庁といたしましても適切な検査・監督を通じて、これらの規制の実効性というものを確保しながら契約者の保護というものを図っていきたいというふうに思っております。
○西田実仁君 他に根拠法のある共済につきましては制度共済として今後も続けていくということになるわけでありますけれども、例えば、経産省所管の中小企業等協同組合法に基づく共済、あるいは生協共済等々、厚労省であるわけですけれども、これよく指摘されることでありますけれども、いわゆる無認可共済と規制面では全く同じではないかという実態がそうした制度共済には見られるところもあるわけですね。例えば、募集規制の問題、あるいは募集人登録制度や監査法人による外部監査等々、今回規制の対象に無認可共済の方は入るわけですけれども、制度共済ではそこまで厳しく様々な規制がないものが残って、そして無認可共済の方が逆に規制の厳しい対象に入ってくると。これは実際に、幾ら無認可共済を厳しくこれから規制に入れていくということにしても、逆に規制の抜け道になるんではないかと、こういう指摘も中にはあるわけでございますけれども。
まず、実態として、生協の共済を一つ例に挙げさせていただきますと、募集規制や外部監査につきましては、これはなされているんでしょうか。
○政府参考人(大槻勝啓君) お答え申し上げます。
生協が行う共済事業につきましては、一定の地域や職域でつながる方々が相互扶助の精神に基づきまして自発的に組合員となって共済制度を利用し合うというものでございます。その指導監督に際しましては、そういった生協の特徴を踏まえつつ行うということが必要であると考えております。
今お話の出ました募集規制等についてのことでございますけれども、まず、組合員の加入推進に関しましては、生協法に基づく通知におきまして、共済契約を締結する際に真実でないことを告げたり重要なことを告げないといった行為を行ってはならないと、こういったことや、一般消費者に対する広告宣伝に当たっては、組合の理念や運営原則、組合活動の特色を中心といたしまして、単に商品内容のみの広告宣伝とはならないものとすることといったことを定めまして、各生協に対して指導を行っているところでございます。
また、適切な事業運営の確保に関しましては、生協法におきまして、監事が業務執行、財産の状況につきまして監査を行うこととされておりますけれども、生協の信頼性を高めるために、通知によりまして組合の事業規模に応じて公認会計士又は監査法人による監査を受けるよう指導しているところでございます。
○西田実仁君 そうした指導をしているんですけれども、完全になされてはいないということでしょうか。
○政府参考人(大槻勝啓君) 募集あるいは外部監査につきまして先ほどお話を申し上げたところでございます。例えば加入推進という点に関しましては、生協法令あるいは通知に基づきまして私どもとしては適切に行われているものと承知をしているところでございますけれども、その具体的な方法、実態ということにつきましては、例えば職域を単位といたしまして組合員である従業員が説明会を開催するといったような方法が行われるなど、各組合ごとに様々な形が取られているものと思っております。
一方、外部監査の導入につきましては自主的な取組が行われているところでございます。具体的には、大規模な生協におきましては外部監査が実際に行われているところでもございますし、また、複数の組合で構成する連合会におきましては、自主基準を設けまして、一定規模以上の生協では外部監査を行うと、そういうふうにしている例などが見られるところでございます。
○西田実仁君 中には、制度共済が今回の規制の対象から外れるということもありまして、無認可共済を嫌っている団体が生協を例えば設立して、そして制度共済の方に入っていくと、こんなようなことも聞かれるわけでございますけれども、これはどういう形で指導されていくんでしょうか。また、そういう可能性というのはあるんじゃないかというふうに御指摘申し上げたいと思いますけれども、金融庁の方はいかがでございましょうか。
○政府参考人(大槻勝啓君) 先ほど生活協同組合に関する考え方、募集規制あるいは外部監査につきましての実態等を説明を申し上げたところでございます。生協が行う共済事業の考え方はもう先ほど申し上げたとおりでございまして、そういった生協の共済事業につきましては、組合の特徴を踏まえた規制といたしまして消費生活協同組合法によりまして様々な事項が定められ、必要な規制を行っているところでございます。
今後とも、私どもとしては、共済契約者としての組合員の保護を図る観点から適切な指導監督を行ってまいる考えでございます。
○西田実仁君 経産省さんの方の中小企業等協同組合法に基づく共済でございますけれども、これにつきましては商品審査制度やあるいは責任準備金制度は基本的にはないということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(野口泰彦君) お答え申し上げます。
中小企業等協同組合法におきましては、先生御指摘のように、事業協同組合が共済事業を行うことは可能でございますが、共済事業を行う場合も含めまして、組合は、中小企業等協同組合法に基づき、事業年度ごとに事業報告書、財務諸表を所管行政庁に提出する義務がございます。また、所管行政庁は報告徴収、検査、監督上の命令をすることができることとされておりまして、そういったことから所要の規定が整備されております。組合運営に疑義があると思われる組合に対しましては、組合の所管行政庁がこれらの手法を用いて適切に対処することが基本と考えております。
しかしながら、昨今の状況もございますので、こうした現行法の適切な運用に加えまして、さらに制度上対応が必要か否かにつきましては、今後、こうした状況あるいは共済事業を行う組合の実態も十分踏まえながら検討していく所存でございます。
○西田実仁君 今の御答弁によりますと、そうすると、今回の無認可共済の規制が法改正でなされようとしているわけでありますけれども、その規制に、法改正に歩調を合わせてやっていく、規制を整備していくということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(野口泰彦君) お答え申します。
今お答え申し上げたことと重なりますが、昨今の状況変化もございますので、こうした現行法の適切な運用に加えまして、さらに制度的な対応が必要かどうかにつきまして今後検討していくということでございます。
○西田実仁君 消費者の方からしますと、監督官庁の違いとか、あるいは今回の少額短期保険業者とか、あるいは保険業者とか、そういういろいろ専門的なことはなかなか分かりにくいわけでありまして、結局、そうした根っこのところがどう違おうが、同じ、ある意味で横並びで商品を選んでいく、こういうことになってくるわけでありまして、様々なトラブルの防止策あるいは対策等につきましてはかなりやはり省庁横断的な対応を取っていかないと、一消費者からすると非常に困ったことになるんではないかと。
今回のこの法改正によっても、そういうことを今経産省あるいは厚労省さん、それぞれの所管の制度共済、今度新しい少額短期保険、普通の保険、こういう様々な違いがある中でトラブル対策、トラブル防止策、これについてはやはり金融庁さんが中心になるのかもしれませんけれども、省庁横断的にやはり対応していただくことが是非とも必要ではないか、それが消費者の保護にもつながるんではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(伊藤達也君) 先ほど今回の制度設計をさせていただいた背景を説明をさせていただいたわけでありますけれども、今回の制度設計をさせていただきましたのは、根拠法のない共済というものが急増をしている、そしてその事業内容や規模というものも多様化して、また国民生活センターへの相談というものも増えてきている。こうした中で、やはり早急に契約者保護の仕組みを整備する必要があるということで、私どもとして必要な規制というものを課させていただいたところでありますけれども、委員が今御指摘をされましたように、やはり契約者保護という観点からすれば各省庁と連携を図っていくということは極めて重要なことでありますので、私どもとしても、金融取引上の消費者保護の観点から、必要に応じて関係省庁とはよく連携を取り、相談をしながら対応していきたいというふうに思っております。
○西田実仁君 是非、実のある形で契約者保護を図れるような連携をお願いしたいと思います。
少額短期保険業者に関しましては様々なことがやはり政令で決められておりまして、御確認をさせていただきたいことも幾つかあるものですから、ちょっと細かい点ですが、お聞きしたいと思います。
まず、この少額短期保険業者に対する外部監査につきましては、義務となる事業規模、事業者の規模ですね、これは外部監査を必要とされる、あるいは義務付けられる業者というのはどのぐらいの規模からになるんでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
昨年の十二月の金融審の第二部会報告でございますが、こちらでは、「開示される書類の適正性を確保するため、一定以上の規模の事業者については外部監査を義務付ける。」というふうにされております。今回の改正案におきましては、こうした考え方に基づきまして、資本の額等が一定額以上の株式会社あるいは相互会社について会計監査人の設置等を義務付けることといたしております。
具体的にその資本の額が幾らかということでございますが、これは政令で定めることになっておるわけでございますけれども、保険の引受けを事業として行っておるわけでございますので、一般の会社より開示書類の適正性を確保する必要性は高いと考えられる、こういったこと等ございます。
今の一般の会社というのは、現行商法では資本金五億円以上の株式会社が会計監査人の設置を義務付けられておりますので、そういったことも踏まえまして、三億円程度とすることを想定をいたしております。
○西田実仁君 次に、この無認可共済の中には、再保険として外国の再保険会社に出している共済も現状少なくないわけでございますけれども、どういう場合に今回この法改正の中で海外の再保険会社に再保険していいのかについて、ちょっと実務的な話ですけれども、お聞きします。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
先ほど来御説明をいたしておりますように、少額短期保険業者というのは、その扱う商品が保険金額が少額でかつ保険期間が短期というそういった保険のみを引き受けるわけでございます。この業者が業務範囲の中で引き受けた保険に係る再保険につきましては、これは自ら保有することが認められたリスクをどう管理するかという問題でございますので、契約相手方の保険会社を一律に制限する必要はないというふうに考えております。
他方で、今回、既存の事業者、現在根拠法のない共済を営んでいる事業者で、今回少額短期保険業者の登録を受けた者の中には、移行の円滑化を図る観点から、再保険によって少額保険を超えるリスクを移転することを前提に、法施行日から七年間は少額保険を超える保険の取扱いを行うことができるという経過措置を設けております。
この経過措置に係る再保険につきましては、保険業法で少額短期保険業者が保有することが認められる範囲を超える保険リスクの管理の問題でございますので、これにつきましては、やはり契約者保護を図るべく、その契約相手方を原則として当庁の監督下にある国内の保険会社に再保険をいたしておりまして、その国内の保険会社に再保険をすることが困難であるなど一定の要件を満たす場合にのみ、金融庁の事前承認を得た上で、海外の保険業者、外国保険業者に付することができる、こういう仕組みにしているところでございます。
○西田実仁君 あと、やはり販売形態でよく問題になるいわゆるマルチレベルマーケティングと称する販売形態でございますけれども、今回の法改正により、こうした売り方というのはどのような扱いになるんでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今回の改正案でございますが、いわゆるマルチレベルマーケティングによる保険募集そのものは直接は禁止はしておりません。ただ、現行の保険業法におきましても、保険募集の適正性を確保するために、保険募集人の公正な保険募集を行う能力の向上を図るための措置義務、あるいは保険募集人登録制度、保険募集人の重要事項の説明や虚偽表示の禁止などを含めました行為規制、さらには保険募集人の不適切な説明等に伴う保険会社の方の使用者責任、こういった様々な規定が設けられておりまして、今回新設をいたします少額短期保険業者につきましても、これらの保険会社に対する規制と同じ規制が課せられるという形になっております。
したがいまして、この少額短期保険業者につきましても、これらの規制に対応するために、保険募集を行う者には適切な教育指導を行って、保険契約に関する十分な知識を有する者を保険募集人とした上で、虚偽の説明あるいは重要な契約事項を告げない行為の禁止などといった契約者保護のルールの下で募集を行うということになりますので、やはり十分な知識を有しない者によります連鎖販売取引、マルチ商法といった、そういった不適切な保険募集は抑止されるものと考えております。
○西田実仁君 この契約者保護ということをるるお話を今していただいているわけでありますけれども、少額短期保険業者に対しましては、いわゆる保険会社に適用しておりますソルベンシーマージン基準に基づく早期是正措置は求めないと、こうしているというふうに理解しておりますけれども、なぜこの少額短期保険業者に対しましてはこうしたソルベンシーマージン基準に基づく早期是正措置を求めないのか、またそれに代わる指標というのは消費者、契約者保護という、あるいは商品を選ぶ際の様々な基準を契約者の方々にも示す必要があるわけでございまして、これに代わる指標を、どんなことを考えておられるのかということを最後お聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
ソルベンシーマージン比率による規制ということでございますけれども、これは保険金等の支払能力の状況に係る客観的な数字、数値といたしましてソルベンシーマージン比率を算出いたしまして、この比率の数字に応じて、保険会社に対して適時適切な経営対応を求めると、こういう仕組みでございます。
今回の改正案でございますけれども、少額短期保険業者につきましても、事業内容なども踏まえまして、保険金等の支払能力の状況を示す指標を内閣府で定めまして、これに基づいて適時適切に経営対応を求めることを想定をいたしております。
その具体的な内容でございますが、これは少額短期の保険の引受けのみを行うという事業の特性がございます。また一方で、保険会社の今の申し上げましたソルベンシーマージン比率の仕組み、そういったものを踏まえながら、今後パブリックコメントを付すなど、関係者の御意見等も幅広く伺いながら検討してまいりたいというふうに思っております。
○西田実仁君 終わります。
○大門実紀史君 大門でございます。
今回、我が党は、この法案については、まあないよりはましだろうということで、賛成でございます。
ただ、各団体が非営利で相互扶助でやっている共済事業をどう扱われるかということは、もう同僚議員がかなり的確な質問をしていただきましたけれども、我が党も心配しておりました。もう既に幾つか触れられましたので、ダブってお聞きすることはいたしません。要するに、そういう、何といいますか、自主的に長い間相互扶助で非営利で取り組んできた団体について、これから健全性の基準だとか、いろんな運用だとか、いろんなことで新たな法の枠の中で要望も出ると思いますし、実態に合わせてやってほしいということが一杯出てくると思います。その点について、きちっと配慮していく、その要望をしたかったということでございます。大臣から、一言で結構です、その点だけ踏まえて、御答弁、お願いします。
○国務大臣(伊藤達也君) 具体的な基準等、政省令を定めるに当たってはパブリックコメントに付していきたいというふうに思っておりますし、幅広い方々の意見を聞きながら、実態というものも十分踏まえて、そして制度設計というものをしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 では、これに関連しなくもないんですけれども、無認可共済の被害なくすことも大事なんですけど、まずその本体といいますか、大手の保険会社そのものの違法行為が片や頻発しているところです。こちらこそ金融庁の厳格な対応が求められているんじゃないかというふうに思います。そういう点で、この間話題になっておりますけれども、明治安田生命の不払事件を取り上げたいと思います。
これは、明治安田生命が二月に保険業法違反で行政処分を受けまして、二週間の業務停止命令というかつてない重い処分でございますね。これは、簡単に言いますと、契約者を詐欺師扱いといいますか、にして、払うべき保険金を払わなかったという大変重大な事件、悪質な事件でありまして、件数でいきますと合計で百六十二件、保険金額で十五億二千二百万不払だったと。資料の一はそれを報じた、その処分も報じた日経新聞の記事でございますけれども、私、今日はこの処分が的確なのかどうかということを中心にお聞きしたいわけですが、伊藤大臣にお聞きしますけど、この明治安田生命の起こした事件とこの経営陣の処分、この関係、妥当だというふうに御判断されておりますか。
○国務大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきます。
今回の事案につきましては、明治安田生命が保険金の支払において不適切な取扱いを行っていたものであり、法令等違反の問題及び内部管理体制上の問題が認められたところであります。保険金の支払というのは保険会社の基本的かつ最も重要な機能でありますので、このような不適切な取扱いが行われたということは極めて遺憾なことであるというふうに考えております。
当局といたしましては、このような問題にかんがみ、二月二十五日に、委員からも御紹介ございましたが、保険業法第百三十三条に基づく業務停止命令及び第百三十二条第一項に基づく業務改善命令を発出をさせていただいたところでございます。
明治安田生命からは、当該処分に基づき、三月十六日に以下のような業務改善計画が提出をされました。第一に、迅速かつ適切な保険金支払を行うための保険金支払管理態勢の確立。第二に、保険契約者、被保険者から正しい告知を受けるための施策を含めた保険募集管理態勢の確立。第三に、保険契約者等の保護にかかわる重要な事項の決定に取締役会等の経営陣が関与する体制の確立。第四に、実効性のある法令遵守体制の構築ということでございます。
当局といたしましては、当該計画に掲げられた以上のような諸施策が早期かつ着実に実施されて、そして社内の意識改革を含め、経営改革の実を上げていくことが重要であると考えておりますので、同計画の実施状況について適切にフォローアップをしていきたいというふうに考えております。
○大門実紀史君 済みません、大臣、私の質問よく聞いていただけますか。そういう経過をお聞きしたんじゃなくて、この経営者の、経営陣の処分が今言われた経過に基づいて妥当だというふうに大臣が判断されているかどうか、その一点だけお聞きしたんですけど。
○国務大臣(伊藤達也君) 本件の社内処分は、保険業法第百三十二条第一項に基づく業務改善命令に基づきまして、明治安田生命で責任を持って当事者及び管理者を認定した上でそれぞれの責任度合いに応じて社内処分を行ったものと承知をいたしているところです。
○大門実紀史君 私は、金融庁がこれだけ重い行政処分したところの経営陣の責任の取り方が社内で自主的な判断でやりましたということでいいのかどうかという点が疑問なわけです。
若干の経過申し上げますと、金融庁は、明治安田生命の、去年の秋ごろからですか、トラブルがあるというのをお聞きになって、二回にわたって明治安田生命に報告を出しなさいということで、去年の十一月と今年の一月に求められて、その報告を、出てきた報告を精査して先ほど言われた行政処分をされたということだと思います。つまり、この経営陣の処分も金融庁の行政処分の中の業務改善命令の中にあります役職員の責任を明確化せよというのに基づいて、おっしゃったとおり、会社の中で判断したのがこの処分でありますけれども、つまり、あくまで明治安田の報告に基づいてこういう処分がされているということだと思います。その報告の中の事実経過に基づいて処分がされているということだと思います。
したがって、私、疑問なのは、この報告にもし事実経過と違うものがあればこの処分も違っている可能性があると。その辺をきちっと確かめられるべきだというふうに思います。
私が調べたところを申し上げます。この新聞に出ておりますけれども、金子社長、平田専務、上山法務部長、この三人がポイントですけれども、まずこの平田専務というのは、実は二〇〇二年五月に、今回問題になりました保険金不払の大本にあります保険金支払規定の見直しがされております、二〇〇二年の五月に。つまり支払う規定を厳格化せよという内容に変わったわけですね。それ以降、こういう契約者を詐欺師扱いにして不払事件が増加したわけです。
この支払規定の見直しというのは、私、調べたところによりますと、部長決裁になって役員に報告するという事項になっております。このときの部長が下平さんという部長さんです。役員がこの新聞に載っております平田専務です。だから、平田専務は報告を受けたと、当事者だから処分と、辞任という重い処分になっているわけですね。
上山法務部長さんは、この方は中途採用の弁護士さんでございまして、役員として迎えられるというのは非常に異例の人事であります。これは金子社長が登用されたんだと思います。この方が実は、その規定だけではなくて、法務部長として一個一個の査定を、これ裁判に持ち込んでも詐欺扱いに持ち込めるという案件については払うなと、かなり非常に異様な判断を、査定判断をされている方がこの上山法務部長さんです。したがって、この方も非常に責任が重いということで辞任をされております。要するに、この平田専務と上山法務部長が当事者だということで辞任という重い処分になっているわけですね。
金子社長はどうかといいますと、これはその明治安田の報告を基に言いますと、要するに、今回の事件のことを進行しているのを知らなかったと。監督責任はそうはいってもあるだろうということで、新聞にあるように半年間報酬ゼロですか、ただ、社長は留任をすると。しかも、社長を留任した場合、次の生命保険協会の会長に回り番ですからなってしまうと。私はどんな顔をして会長の席に座られるのかというふうに思いますけれども、私は辞退すべきだというふうに思いますが、そうなってしまうようなことも含めて留任をされているわけですね。非常に軽い扱いになっております。
私の調べたところ、その明治安田の報告、事実関係に基づいた処分というのはそういう経過になっているというふうに私承知をしておりますが、金融庁はその辺調べておられますか。
○政府参考人(佐藤隆文君) おおむね今御指摘いただいたような経過であったかと思います。
若干、金子社長の関与につきまして私どもが報告徴求等によって把握している事実を紹介をさせていただきますと、保険業法百二十八条に基づく報告徴求を行ったわけでございますけれども、先ほど御指摘ございましたように、詐欺の適用基準の策定及び実際の運用というのは社内基準によって担当部長、保険金部長でございますけれども、これが決裁するということとされておりました。したがいまして、この報告によりますと、平成十四年五月の旧明治生命においてこの詐欺による無効の支払査定基準が策定されたその決定は、決裁手続に係るこの社内基準に従って担当部長が行っていたということでございます。
それから、これも報告によりますと、当該支払査定基準を策定した直後にモラルリスク対策のための支払査定の厳格化という方向性について、先ほどの担当役員、専務の方に報告が行われていたということですけれども、その具体的な運用方針であるとか運用状況については役員には報告はされていなかった、他の取締役会メンバーについても報告を受けていなかったということでございます。
それからまた、これもその報告徴求の結果でございますけれども、平成十六年一月に旧明治生命と旧安田生命合併したわけですけれども、この合併に際しまして両社の社長を共同委員長とする経営統合推進委員会というものが設けられまして、ここでモラルリスク対策の強化のための支払査定に関する基本方針、こういうものが合意されておりますけれども、この際も、旧明治生命の査定基準を使用するという具体的な取扱いについては担当部長間限りで合意されていたということだそうであります。
そして、さらに、同社への苦情が多数に上ったということを受けまして、私どもで平成十六年の十一月に報告徴求を行ったわけでございますけれども、これを行うまで取締役会メンバーに対して詐欺、錯誤の適用による保険金不払件数の報告といった具体的な報告はなされていなかったということでございます。
以上、申し述べましたような明治安田生命からの報告あるいはヒアリングの結果によりますと、この金子社長の関与というものについて、具体的に、この詐欺、錯誤の適用に関する具体的な関与というものについてそれを全部承知していたというような認識を持つべき状況にはなっていないということでございます。
○大門実紀史君 ありがとうございました。レクのときは明治安田の報告の内容は個別のことなのでお答えできませんということでしたけれども、よく全部答えていただきました。そうすると、私の言うことも少なくなるんですけれども。
そういう報告を基に私考えますと、少しおかしなことがあるなというのが、資料の二枚目でございます。これは、二〇〇二年の三月二十九日に明治、このときはまだ明治生命の段階ですけれども、金子社長名で中期経営計画というのが出されています。この中で、下の方にアンダーライン引きましたけれども、私は読んでいて異様な文言だなと思ったのは、「支払い査定力を強化し、死差益の拡大をめざします。」と。これはちょっと驚いた文章です。死差益というのはどういう意味か、ちょっと簡単に説明してくれますか。
○政府参考人(佐藤隆文君) 生命保険商品につきましては、商品設計の際に、あらかじめ保険事故が発生する、つまり被契約者が、保険対象者が亡くなって保険事由が発生するといった確率といったものを織り込んで保険数理に基づく仕組みができておるわけでございますけれども、この死差益というのは、商品設計上設けましたそういう保険金支払の見込み予定に対しまして実際の保険金支払がどうなるかと、保険数理に基づく保険支払が現実にどうなるかということで、その差の部分がもしも実際の保険金支払の方が小さければ死差益という形で出てくるというものでございます。
○大門実紀史君 ほかの保険会社の中期計画、大手のところ全部拾ってみたんですけれども、支払査定力を高度化するとか、いろんな言い方あるんですが、この死差益の拡大というのはどこもこんなこと、思っていても言わないことでございますね。要するに、うちは死んでも保険金払いませんよというふうなこと言っているわけですから、これはとんでもないことを、非常に異様な経営計画でございます。
この直後に、これは三月二十九日ですが、この直後に、この直後の五月に問題になっております支払規定の改定が行われたということなんですね。先ほど正確に答えていただいたとおり、私の承知しているところでも、明治安田の報告書そのものにはこの経営計画と支払規定の見直しについての因果関係が一切書かれておりません。この計画があったから規定を直しましたということが書かれておりません。わざわざ遮断されております。触れておりません。
これは何かというと、この経営計画に基づいて規定の見直しがあれば、当然社長責任といいますか、社長の指示の下に行われたということになって金子社長に責任が及ぶと。及ばないためにはこのことは遮断しておかなきゃいけないと。ありありとそういうことが見て取れるわけですけれども、金融庁は報告を受けられている中で、そういうことを確認されましたか。
○政府参考人(佐藤隆文君) まず、このアンダーライティングと支払査定能力を強化し、死差益の拡大を目指しますというこの目標を掲げておる話に関してでございますけれども、多少の違和感を持って私どもも読むわけですが、一般論として申し上げますと、保険契約者間の公平性の確保といった観点から、悪意の保険契約者を排除し、善意の保険契約者の保護を図るということは重要なことだと思います。現実に、各保険会社、入口である保険引受けの段階においてその危険選択を適切に行うという一方、出口である保険金支払の段階においても妥当性の判断ということを行うことが求められているということだろうと思います。
しかし、同時に、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、支払事由が発生した保険金等を迅速かつ適切に支払うということは、保険会社の基本的かつ最も重要な責務であるということは言うまでもないということでございます。
そこで、お尋ねの件でございますけれども、これも私どもが報告徴求いたしました結果あるいはヒアリングの結果によりますと、支払査定基準の見直しというのは、御指摘のその平成十四年三月の中期経営計画の公表以前から検討されていたものであるという報告を聞いております。そのような大きな検討の流れというものが同年五月の新しい支払査定基準の策定というものに結び付いていったというふうに思われますが、さらに今御指摘のそれに先立つ三月の中期経営計画の策定との関係というものは定かではございません。
○大門実紀史君 実は昨日から金融庁は明治安田に立入検査に入っておられますね。これだけの問題を起こした大生命保険会社でございます。先ほど言われたとおり、報告によればということが、今の段階ではそれに基づいて判断されるのは仕方ないと思いますが、何年かに一度の立入検査、しかもこれだけの問題を起こした後の、直後の立入検査でございますから、私が言った点だけではないと思いますけど、報告出てきたもの全体を、当然今度の立入検査、立入検査というのは銀行とはちょっと違って、募集から支払から財務から、総合的にやられる検査だと思います。ですから、この点だけでというわけではありませんけど、全体の、この間出てきた明治安田の報告も検査の対象の一つに当然なると思いますが、その点、いかがですか。
○政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。
今御指摘されましたように、昨日からこの明治安田生命に対して検査に立入りをさせていただいております。
それで、個別の金融機関の関係について、検査内容についてはちょっとお答えするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、保険会社に検査に入った場合、そういったときにどういうような検査をするかという点、申し上げたいと思いますが、私ども保険検査マニュアルというのを用意してございますので、それに沿った形で、今御指摘のあったような保険募集管理態勢、あるいは法例遵守態勢、あるいは内部管理体制、そういったところ、各種リスクの管理態勢等についてしっかりとした検証をしていくということになると思います。その際に、今おっしゃられましたような御指摘のような二十四条報告、これも一つの情報であります。そのほか、我々入手したあらゆる情報を基に、実態の解明、実態の把握、検証に努めていくということになろうかと思います。
○大門実紀史君 是非、その中で、この経営計画といいますか、社長のかかわりを改めて検証してもらいたいと思います。
この問題は民主党の岩國衆議院議員も一度取り上げられております。委員長にお願いしたいんですけども、この明治安田の金子社長、参考人招致、もちろん協会の会長になられたならなおさらですけども、参考人招致を理事会で諮っていただきたいと思います。
○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまの大門君の御提案につきましては、後刻理事会で協議いたします。
○大門実紀史君 私はその結果を待ってまたこの問題取り上げていきたいと思いますが、こういう方が生命保険協会の会長に、輪番制といえど、なることがどうなのかと。仮にこの関与が証明されなくても、ただでさえこれだけの重い処分を受けたような保険会社の社長が、今生命保険業界いろいろ立て直そうと、再生しようと、いろいろ頑張ろうと、いろんなことがあって検討されている中で会長に就任されるというのはこれ非常にまずいし、生命保険協会の会長になれば必ず国会で何かの問題のときに参考人質疑でここに座られることあると思うんですよね。私はただで帰れないんじゃないかと思ったりいたしますよね、こんな問題のままですとね。
だから、やっぱりこれは、大臣、やっぱり辞退されるようにアドバイス的に言われるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(伊藤達也君) 人事のことについて私からコメントは差し控えさしていただきたいというふうに思いますが、その協会においてこの会長人事を決めるに当たっては、定款に基づいて、その手続に沿って、今委員が御指摘をされたことも踏まえて検討をされ、そして協会の責任と最終的な判断において人事が決定されたものと承知をいたしております。
今あった委員の御指摘も踏まえて、それにやっぱり協会がこたえて、そのことによって協会の信頼あるいは信頼性というものを向上していくための努力をすべきものと私どもとしては考えております。
○大門実紀史君 まあ、そういうことだと思います。
とにかく、無認可共済が今回法案の中に、それとセットにセーフティーネットの問題もあります。私、こんなことやっといて、こんなことやっといて、いざというとき助けてくれという話じゃないだろうというふうに思いますので、その点からも厳しくこの問題、金融庁、対処していただくことをお願いして、質問を終わります。
○糸数慶子君 無所属の糸数です。質問いたします。
これまでの質疑にありましたように、今回の保険業法の改正では、根拠法のない共済、いわゆる無認可共済の規制と、それから契約者保護ルールの導入が大きな目的になっています。
そこでお伺いいたしますが、マルチ商法の是非について、先ほど無認可共済の実態調査の結果が報告されました。昨年十月の総務省の無認可共済に関する調査でも、この無認可の共済団体の六割がこの五年以内に設立された新規参入組であり、掛金が安いということもあり、今や空前の無認可共済のブームだとも言われています。無認可共済は任意の共済で、昔からあり、限られた構成員の相互扶助を目的とした企業内、地域内共済は全国に数え切れないほどございます。しかし、最近設立された共済の多くは営利目的の団体とも言われております。
そこで、お話を具体的にするために、九九年に設立された無認可共済大手のエキスパートアライアンス、エクサについてお尋ねをいたします。
運転免許取得者を年会費千五百円の会員制で組織化し、特定性を担保して、エクサの会員数は二十五万人、年間共済収入が百九十億円、経常利益は二十一億円と言われております。交通事故補償や、それからがん、医療、死亡保障等の保障内容は生保や損保の商品とさほど変わりませんが、販売手法に特徴があるといいます。マルチレベルマーケティング、MLM、マルチ型共済とも言われておりますが。
そこで、今回の法改正で保険会社への移行に迫られているエクサの和田副社長は、消費者に虚偽の説明や損失を与えない健全な販売方法を続ける限りマルチレベルのこの募集方法は現在の保険業法に抵触しないと述べていますが、しかし保険業法の適用になれば募集人の登録が必要になり、マルチレベルの募集方法に疑問が生まれてまいります。
今回のこの改正によってマルチ商法的な保険募集は禁止されるのでしょうか。また、その対策はどうなっているのでしょうか。個別の話では明快なお答えがなかなかいただけないかもしれませんが、金融庁の御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
今回の改正案におきましては、いわゆるマルチ的な保険募集そのものは直接は禁止をしておりません。しかしながら、現行の保険業法、改正をする前の今の保険業法でございますが、この法においても、保険募集の適正性を確保するために、保険募集人の公正な保険募集を行う能力の向上を図るための措置義務、あるいは保険募集人登録制度、保険募集人の重要事項の説明や虚偽表示の禁止等を定めた行為規制、さらに保険募集人の不適切な説明等に伴う保険会社の使用者責任、こういった規定も設けられておりまして、今回新設する少額短期保険業者につきましてもこれらの規定が課されるということになるわけでございます。
したがいまして、少額短期保険業者につきましても、これらの規制に対応するために、保険募集を行う者に適切な教育指導を行って保険契約に関する十分な知識を有する者を保険募集人とした上で、虚偽の説明やあるいは重要な契約事項を告げない行為の禁止といった保険契約者保護ルールの下で募集を行うということになることから、不適切な保険募集は抑止されるというふうに考えております。
○糸数慶子君 それに関連してお尋ねいたしますが、マルチ商法を行っている事業者は保険業者として免許取得、登録ができるのでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
保険会社の免許の付与に際しましては、保険業法の第五条の一項という規定がございまして、申請者が保険会社の業務を健全かつ効率的に遂行できる財産的基礎を有し、かつ収支の見込みが良好であること、さらに、保険会社の業務を的確、公正かつ効率的に遂行できる人的構成等を有し、十分な社会的信用を有することなどの基準に適合するかどうか、これを審査することというふうにされております。
それで、この保険会社の業務を的確、公正かつ効率的に遂行するに足りる人的構成を有しているかどうかと、この審査に当たっては、会社としてやはりその保険募集が適正に行われる体制となっているかという点についてもチェックをするということになっておりまして、一般論として申し上げれば、保険商品について十分な知識を有しない者が保険募集を行う会社は当該基準を満たさないというふうに考えております。
〔委員長退席、理事平野達男君着席〕
また、これは先ほど申し上げたことと少し関係いたしますが、既存の事業者、いわゆる今現在根拠法のない共済を行っておられる事業者でございますが、この事業者に対しては保険会社の免許や少額短期保険業者の登録を受けるまでの間に二年間の移行期間が設けられております。
ただ、この移行期間の中においても、既存の業者や保険募集人につきましては、保険募集人の公正な保険募集を行う能力の向上を図るための措置義務、あるいは保険募集人の重要事項の説明義務や虚偽表示の禁止などを定めた行為規制、こういった一連の今現在ある保険業法の規定が法施行後直ちに適用されるということになっております。
○糸数慶子君 次に、悪徳業者対策についてお伺いしたいと思います。
実態把握がなかなか難しいのは分かりますが、逆に言えば無認可共済の一部が法の網の目をくぐってやみで活動を続けることも考えられます。監督官庁の目の届かないところで悪質な無認可共済がはびこり、消費者トラブルを招く、こうした団体への取締り方法に関する検討は行ったのかどうか、お伺いいたします。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
まず、その悪徳業者に関してでございますけれども、今回の改正案では少額短期保険業者につきましては登録制といたしております。この登録の際に必要となる財産上の基礎等の要件を一般の保険会社と比べては緩和をしておりますが、一方で適正に事業を遂行できない業者は排除して契約者保護を図るという観点から、会社及びその役員に行政処分歴あるいは犯罪歴がある場合、あるいは的確に業務を行える人的構成を有していない会社である場合、こういった場合には登録を拒否をすると、そういった内容になっております。
〔理事平野達男君退席、委員長着席〕
したがいまして、仮にそういった要件に当てはまるような悪徳な業者につきましては、これは登録拒否ができるということでございます。
また、その登録、仮にそういった業者が登録をした場合でも、その登録後の登録業者に対しましても、引き受けるリスクに応じた責任準備金の積立義務を課して、リスクに応じた自己資本の充実状況についても適切に監督を行う、こういったことができると、こういったことができる制度になっておりますので、いずれにいたしましても契約者保護等の観点に十分配慮した制度になっておりますので、こういったことからも悪徳の業者に対して指導ができるという形になっております。
○糸数慶子君 それに関連してですが、今回、少額短期保険業者を登録制にすることになりますが、逆にその登録業者であることを売りにして消費者の安心を得るような悪徳業者を助長することにならないか、金融庁の御見解をお伺いいたします。
○委員長(浅尾慶一郎君) どなたが御答弁されますか。
○政府参考人(増井喜一郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、登録制にいたしまして悪徳業者を排除できる規定になっております。したがいまして、まず、売りにしてといいますか、そういった悪徳業者はそもそも登録をされないということでございますので、登録をされないで業務を行っている場合には罰則がございまして、その罰則を科せられるということ、処罰されるということになります。
それから、もう一つは、先ほど申し上げましたように、そういったそれを売りにしていろんな不適切な商品を販売したり不適切な募集行為を行う場合にはいろんな形で監督を行えると、そういった規定になっておりますので、そういうことを防止することもできると、そういうことでございます。
○糸数慶子君 二年間のその経過措置の中で無認可共済が例外を除いてなくなるというだけでは誠に無責任ではないかというふうに思います。
今おっしゃったように、金融庁は、先ほどもありましたが、改革プログラムの中で金融トラブルの相談室の充実を挙げられておりますが、その相談室を活用したり、今後とも国民生活センターなどと提携したりして、実態把握とトラブルの防止、解決に是非努めていただきたいと思います。
次に、制度共済と契約者保護の仕組みづくりの中で、九七年のオレンジ共済事件以来、共済をめぐるトラブルが相次いでおりまして、無認可共済の事件だけでなく、行政が許認可、監督権限を持つ認可共済も危ういという現実があります。
先ほども出ておりましたが、二〇〇二年の五月に四日市商工共済協同組合が負債総額四十三億円で経営破綻。二〇〇三年には佐賀商工共済協同組合が負債総額五十九億円で破綻をしています。佐賀の事件では、監督する立場の県が粉飾決算を黙認し、経営危機の実態を放置したとされています。
そこでお伺いいたしますが、経済産業省にお尋ねします。商工共済について、これらの経営破綻の後、どのような指導をされているのか、保険業法にあるような契約者保護の検討はされたのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(野口泰彦君) お答え申し上げます。
中小企業等協同組合法におきましては、組合は事業年度ごとに事業報告書、財務諸表を所管行政庁に提出する義務がございます。また、所管行政庁は、報告の徴収、検査、監督上の命令をすることができることとされております。
本件の場合の所管行政庁は認可を行った佐賀県ということになります。法を所管いたします当省といたしましては、組合運営に疑義があると思われる組合に対しましては、組合の所管行政庁、本件、佐賀県がこれらの手法を用いまして適切に対処することが重要であるというふうに考えております。
一方、組合をめぐる状況の変化もございますので、こうした現行法における対応に加えて、さらに制度的対応が必要か否かにつきまして、今後、共済事業を行う組合の実態も十分に踏まえながら検討していく所存でございます。
○糸数慶子君 本来、契約者の保護ルールは横断的であるはずですが、制度共済は保険業法の枠外ということでほっておいていいのでしょうか。
金融庁は、政府として横断的、統一的な契約者保護の仕組みをつくるというそのつもりはないでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(伊藤達也君) 制度共済を含めた共済制度全体の在り方につきましては、保険業法に基づく保険会社制度、そして今回の少額短期保険業者制度、そして現在広く行われております根拠法のある共済、こうした関係を含めて幅広い観点から検討をしていく必要があるというふうに考えております。
この点につきましては、法施行後五年以内に見直すということになっておりますので、関係者の方々ともよく相談しながら検討をしていきたいというふうに思っております。
○糸数慶子君 次に、米軍普天間飛行場の移設問題についてお伺いをいたします。
四月十九日の沖縄、地元の新聞報道によりますと、米軍普天間飛行場の移設問題で、防衛庁の首脳は、十八日までに、必ず動かし、そして沖縄に返還させると、そのように述べております。米軍再編で日本の政府内に浮上する普天間飛行場の管理権を自衛隊に移管して滑走路を残し、緊急時に活用する案を否定した。また、防衛庁首脳は、普天間飛行場については、在沖米軍の兵力見直しの最大の焦点、危険度や県民の不安を考えると、施設を残すことはあり得ないと指摘し、沖縄は今から十分に跡地利用に取り組んだ方がいいと、その返還後の新たな町づくりの重要性を強調したと新聞報道ございました。
防衛庁はまずこの報道を確認しているかどうか、お伺いいたします。
○政府参考人(飯原一樹君) 防衛庁といたしましては、新聞報道は承知していますが、内容について、このような発言があったかどうかについては承知しておりません。
○糸数慶子君 普天間飛行場の閉鎖、返還という問題は既に既定路線であり、地元で、私も週末に参加いたしましたが、地元の琉球放送の討論番組の中で、米軍再編を問う普天間基地返還の行方の中でも、当事者であります宜野湾市の伊波市長がこの普天間の跡地利用についても具体的に語っていらっしゃいました。
防衛庁首脳の普天間返還、それから自衛隊の移管への否定には当然条件が付いております。それは、沖縄側が辺野古の見直しの姿勢を明確にし、代替案を提示すべきだと、そういうふうな状況です。これは、米軍の伊江島補助飛行場、それから下地島空港が取りざたされておりますけれども、ここで申し上げておきたいのは、沖縄側から県内移設を提案するということはまずないということです。基地の存在そのものが沖縄の自立経済を阻害しております。米軍の削減、撤退こそが沖縄の発展の道だということを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、ボーリング調査についてですが、四月十九日のこの委員会で、私は、名護市の辺野古沖で四月二十一日にも施設局が本格的なボーリング調査を行うのではないかと言われていますが、防衛施設庁の見解を伺いたいと質問いたしました。それに対しまして防衛施設庁は、天候などの要因もあり、それは決めてないと回答されました。しかし、本日、その辺野古からの報告によりますと、早朝から資材が搬入され、三十人程度の作業員が待機して、沖合には作業員や海上保安庁の船が出ているというふうにお知らせがありました。
辺野古沖の新基地建設が非現実的であるというのは、これは、私、実際にアメリカへ行きましても、アメリカの多くの方が発言していらっしゃいましたし、防衛施設庁はそれを無視して相変わらずボーリング調査を強行しようとしておりますが、それは全く許されることではありません。
四月十七日の現地辺野古からのボーリング調査反対の座込み一周年の集会でも、政府は建設断念の言葉を是非言っていただきたい、その言葉を聞くまでは地元ではその運動を続けるとおっしゃっていますし、このきれいな海に戦争につながる海上基地を決して造らせてはいけないという多くの決意もございました。
防衛施設庁は、このような地元の声をどう受け止めていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。
ボーリング調査は普天間飛行場代替施設の護岸構造の検討に用いる必要なデータ収集を目的とした調査でありまして、普天間飛行場の移設、返還に向けた必要不可欠な調査でございます。
ボーリング調査のまず現状でございますけれども、気象状況や作業が安全に実施できるかなど、現地の具体的な状況を見極めた上で、昨年九月から作業を開始しております。調査箇所の位置確認、海底状況の確認等の諸作業を進めまして、昨年十一月よりボーリング足場の設置作業を実施したところでございます。現在までに六十三か所の調査箇所のうち四か所はボーリング足場を設置済み、一か所は設置中ということでございまして、私どもとすれば、今後とも自然環境に十分配慮しつつ、現場作業の安全確保に最大限の配慮を払いながら、足場設置作業を終えた調査箇所から順次ボーリング作業を着手する予定としております。
昨日、今日の作業のことでございますけれども、私どもとすれば、今申しましたように、足場を設置した箇所からボーリング機材による削孔を着手したいと考えているところでございますが、反対派によりボーリング足場が占拠され、安全に作業が実施できない状況が継続しております。このため、昨日は気象状況を見極めた上で足場未設置の場所でのボーリング足場設置作業を試みましたが、海上での作業の妨害行為によりやむを得ず作業を中断したところでございます。
本日も、昨日と同様、ボーリング設置作業を試みておりますけれども、海上で反対派の妨害行為があり、十四時現在でございますけれども、まだ洋上で待機しているような状況でございます。
○糸数慶子君 今報告をいただきましたが、沖縄県民の八割以上がこの辺野古の海に新たな基地建設することは反対しております。今の答弁の中で環境に配慮してというふうにおっしゃっていますが、既にもうこの足場を設置する状態の中でサンゴが破壊されているという実態もあります。また、国際的にも知られておりますIUCNでも、既にこれまでの国際会議の中で二度も日本の国に対してこの調査をやめるような勧告を出しておりますが、国の方はSACO合意にのっとって粛々と進めるということを、ずっとその答弁を繰り返していらっしゃいます。
何のために、だれのためにこういう工事を、しかも二十七億円という調査費を付けて、今の国の財政の状況がやはり大変悪化しているこの状況の中においてそれを粛々と進めていくというただいまのお答えには、本当に納得いきません。県民が望んでない状況であり、しかもアメリカの方でもラムズフェルド長官ですら、こういう環境のすばらしい場所に基地を造ることは理解できないとおっしゃっていらっしゃいます。是非、今すぐその調査をやめるべきだというふうに申し上げたいと思います。
次に、キャンプ桑江の、北谷町にありますキャンプ桑江の返還土地についてお伺いいたします。
キャンプ桑江及びキャンプ桑江近くの陸軍貯油施設についてなんですが、返還後の環境調査、それから浄化のプロセスなどの現状を御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。
平成十五年三月末に返還されましたキャンプ桑江、これは三十八ヘクタールございました。また、それに隣接します桑江ブースター地区、これは約一ヘクタールでございますけれども、ここにつきまして、返還に先立ちまして、平成十四年七月から十一月にかけまして、那覇防衛施設局におきまして、米軍による土壌汚染等の蓋然性の有無を判断するために過去の航空写真、地形図、ユーティリティー図面等の収集、あるいは使用履歴等に関する地元古老等からの聞き取りによる資料等調査を実施しました結果、航空機燃料の貯油・給油施設として使用されておりました桑江ブースター地区につきましては全域を、またキャンプ桑江地区につきましては、ピクニック区域あるいは運動場等のレクリエーション地域を除きました送油管敷地、自動車整備工場跡地等を含めたバスターミナル地区、あるいは血液銀行といった場所の跡地におきまして調査を行う必要があると判断されたところでございます。
このため、返還後、平成十五年五月から九月にかけまして、環境省令に定めます方法によりまして、特定有害物質の種類に応じた土壌の採取、また分析調査等を実施したところでございます。その結果、一部土地におきましては土壌汚染対策法に定めます基準値を超える特定有害物質、また特定有害物質ではございませんけれども油分を含んだ土壌を確認したところから、特定有害物質を含んだ土壌につきましては、撤去した後、新たな土の入替えにより浄化し、特定有害物質ではない油分土壌につきましては、生石灰等を混入、攪拌する方法により措置するなどしたところでございます。
こういった経緯を踏まえまして、平成十六年九月三十日にこの土地につきましては土地所有者に引渡しを行ったところでございます。
以上でございます。
○委員長(浅尾慶一郎君) 糸数慶子君、時間が来ていますので、簡潔にまとめてください。
○糸数慶子君 はい。
このキャンプ桑江跡地で、今年の二月に戦時中の米軍のものと見られる約一万発以上の銃弾とロケット弾四発、そして三月には三百発の銃弾が見付かっています。そして、近くの土壌からは油臭がされているという状況ですが、環境浄化及び原状回復が行われたと判断して北谷町役場に返還され、土地の引渡しをしたにもかかわらず、引渡しのその後にこのような不発弾が見付かったり汚染が見付かったりしているのは、正にこの防衛施設局の環境整備計画、原状回復作業に問題があったと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。
当庁といたしましては、沖縄県の米軍施設・区域の返還に当たりましては、平成十三年十二月二十七日に沖縄県知事、宜野湾市長、また沖縄担当大臣等で構成します跡地対策準備協議会におきまして跡地の取扱い方針等が定められております。私どもは、この方針を踏まえまして、施設・区域の全域につきましては、不発弾あるいは土壌等の汚染の蓋然性を把握するための資料等調査を実施することになっておりまして、そのとおり実施したところでございます。
御指摘のように、引渡しの後、不発弾等が発見されております。これにつきましては、北谷町役場におきまして土地区画整理事業のための不発弾探査を行っていた際にそれぞれ見付かったものでございます。
私ども、今後ともこの調査の精度を上げるといったことで、今後とも御迷惑掛けないような対応を進めてまいりたいと思っております。
○委員長(浅尾慶一郎君) 糸数君、時間が来ていますから、簡潔にお願いします。
○糸数慶子君 引渡しした後に環境調査や原状回復を行うことからくる時間と経費の無駄を省き、住民の安全を確かなものにするために、引渡し前に環境調査、環境浄化作業を完全なものにする必要があると思います。今後ともこういうことがないように、是非とも、地位協定の改定の問題まで含めて、返還前に地質調査ができるようなことを要望いたしまして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○委員長(浅尾慶一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
─────────────
○委員長(浅尾慶一郎君) 委員の異動について御報告いたします。
本日、溝手顕正君が委員を辞任され、その補欠として山内俊夫君が選任されました。
─────────────
○委員長(浅尾慶一郎君) これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○大久保勉君 私は、民主党・新緑風会を代表して、保険業法等の一部を改正する法律案に反対する立場で討論を行います。
本案件には、根拠法のない共済、いわゆる無認可共済の契約者保護ルールの導入、そして保険のセーフティーネットの見直しが主な改正内容になっております。二つの内容とも保険契約者保護に資するためということでありますが、本当にそうであれば、もちろん賛成する立場にあります。
しかしながら、これまでの審議で問題点が明らかになりましたように、この法案は保険契約者、すなわち金融の消費者の利益よりも、保険業界の既得権の維持、そして保険行政の長年の失政を糊塗することに重きを置いているように思います。
以下、主な問題点を列挙します。
まず、無認可共済に関して、契約者の保護と悪徳業者の排除とは必ずしも同一ではないはずです。悪徳業者を排除するという名目で起業家精神に満ちあふれた多くの善意の無認可共済業者を排除し、保険業界の利益を守るため割高な保険料体系を維持するようでは、決して保険契約者のためになりません。むしろ、保険業界への新規参入を促進し、金融の消費者に安くて安全で、かつ消費者ニーズに合った多様なサービスを提供することこそが本来目的にすべき金融行政であると確信しております。
次に、保険のセーフティーネットに関してですが、だれのためのセーフティーネットであるか疑問です。そもそも保険契約者のためのセーフティーネットであれば、同一の保険商品に対して同一の保護制度の適用が当然です。制度共済や少額短期保険業者の保険は保護の対象外であるということから考えると、今回の保険業法改正は、保険契約者のためというよりも、むしろ保険行政の失政と資産運用の失敗により今でも大きな逆ざやを持つ保険会社を保護するためのものであると結論付けるのが自然です。
資産負債管理といった金融のイロハとも言えるALM手法を導入することを怠り、経営破綻した保険会社のしりぬぐいとして国民の血税を投入するということでは、決して国民は行政に対して安心できません。
さらには、縦割り行政の問題があります。金融庁は金融改革プログラムの中で利用者ニーズの重視と利用者保護ルールの徹底を大きな目標に掲げております。しかしながら、今回の保険業法改正で明らかになったことは、縦割り行政の解消に全く手が付いていないということです。金融庁の管轄する業者の保護に重点を置き、自分の意のままに働く業界を規制することにより間接的に利用者保護を図ろうとしているにすぎません。そのため、金融庁は業者保護と利用者保護との間の利益相反で抜本的な金融改革に着手できず、パッチワークのような業法の改正でお茶を濁すというのが私の主張であります。
私ども民主党は以前から一刻も早い金融サービス法の整備が必要だと訴えてまいりました。金融の消費者、利用者を一元的に保護する金融サービス法を整備しない限り、金融の自由化により発生する諸問題を言わばモグラたたきのように処理するしかありません。時には良いモグラもたたかれます。時代の要請に合った新機軸の商品であっても、既存の業界の利益のためにつぶされ、日本の金融の革新を妨げているというのが現在の金融行政ではないかと思われます。
以上のとおり、今回の保険業法の一部改正する法律案は、内容的にずさんであり、そもそも保険契約者の真の利益と日本の金融の抜本的改革にかなうものではないと申し上げて、私の反対討論を終わります。
○委員長(浅尾慶一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
保険業法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(浅尾慶一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十九分散会

 

 

2005年04月19日 (火)

参議院 財政金融委員会 10号 平成17年04月19日

 

162-参-財政金融委員会-10号 平成17年04月19日
○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府北方対策本部審議官東清君外十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────
○委員長(浅尾慶一郎君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○野上浩太郎君 おはようございます。自由民主党の野上浩太郎でございます。
谷垣大臣にはG7、大変お疲れさまでございました。時差ぼけも残っておられるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
まずG7の問題から入っていきたいと思いますが、今回のG7では、原油高の問題ですとか、人民元をめぐる中国の問題ですとか、日本の財政再建の問題ですとか、様々な議論がなされまして、共同宣言採択をされたわけでございますけれども、まず、今回のG7における議論の概要ですとか、その成果と意義、あるいは今後の政策展開についてお伺いをしたいというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回のG7では、これはまあいつものことでありますけれども、世界経済、マクロ経済の動向、それから貧困撲滅と開発の問題、こういうことに大分時間を使いまして、有意義な議論ができたのではないかと思っております。
まず、世界経済でございますけれども、二月にG7があって、やっぱりそのときも議論したわけですが、それ以来のそのフォローをいたしまして、世界経済、拡大は強固であると、それで、二〇〇五年も依然として世界全体の経済成長は強固なものであるという認識が共有されたと思います。
しかし、他方、懸念材料として、今おっしゃった原油価格の問題ですね、これがやっぱり成長の阻害要因となっているというようなこと、それから景気拡大、全体として、しているんだけれども、前よりばらつきといいますか不均衡が拡大していると、そういったことに今後取り組まなきゃならないというような認識も共有されたわけでございます。
それから、経常収支の不均衡とか構造政策についても議論が行われたわけですが、世界的なそういう不均衡に対して、アメリカはやはり財政改革といった行動を取る必要があると、これはアメリカ、スノー長官も相当力を込めて今取り組んでおられる政策を説明されたところであります。それから、欧州は更なる構造改革が必要であると。それから、日本も構造改革いろいろ進めているけれども、特にその中で財政の再建というのに力を入れているというようなことを私から説明いたしまして、大体その辺については共通の認識ができたのではないかと、成長を促進していくために共通な認識ができたのじゃないかと思っております。
で、日本経済については、今もちょっと申し上げたところでありますが、私からは、財政出動に頼ることなく国内の民間需要を中心とした回復局面に引き続きあると思うと、それから、企業部門の改善が家計部門に及んでくるような動きが見られてきているというような説明を行った上で、先ほど申し上げたように、厳しい財政状況の下で、財政構造改革が最優先の課題となっているということを申し上げました。そういったことがコミュニケでもまとめられたわけであります。
それから、開発問題については、二月のG7でも各国相当意見の違いがありましたが、公約数を、開発に関する結論というのをまとめたわけですが、依然としていろんな議論がありまして、各国の手法の違いというのは相当でございますが、グレンイーグルズ・サミットの準備は進捗しているんで、そこの引き続き議論をして、その辺り、できるだけまとめていこうということで意見が一致したわけであります。
○野上浩太郎君 ありがとうございました。
正に、例えば日本の財政再建問題もこれは国際公約になったわけでございまして、これはもう不退転な決意で臨んでいただきたいというふうに思いますし、原油の問題についてもやっぱり早急な具体策も必要であるというふうに思います。個々の問題についていろいろ掘り下げていきたいんですが、ちょっと時間も限られておりますので、今日は中国問題についてちょっとお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
このG7においても、中国問題、一つの大きな焦点であったというふうに思います。報道によれば、いわゆる反日運動に配慮をする日本と米国、アメリカがこれは激しい意見の応酬があったというような報道もございましたけれども、まずは、日本の立場として、どのような立場でこの中国問題にG7において臨んだのかお伺いをしたいと思いますし、また、あわせて、この反日運動、当初は経済等々に与える影響というのはそう大きくないんではないかというような見方もありましたけれども、昨日はもうこれ株価の方が、二〇〇四年の五月以来ですか、大幅下落を記録したと、全面安になったわけでございますし、不買運動も、日本製品の不買運動もかなり急速に広がっていると、観光客も激減をしてきているということでございまして、これもう看過できない状況になってきているのではないかなというふうに思います。
谷垣大臣のいわゆるこの反日運動に対する所感といいますか思いと、この日中経済に与える影響と、これ先ほどのG7の話と併せてお伺いをできればというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 経済関係という以前に、今おっしゃった最近の中国でのデモ活動と申しますか、一部の群衆による暴力的な行為、これは私は大変、どういう理由があるにせよ、こういうようなことは誠におかしなことであり遺憾なことだというふうに思いまして、長い間先人が日中友好のために努力をされてこられたわけでありますけれども、そういったものに水を掛けることになるんじゃないかと、非常にまずい動きじゃないかと憂慮をしているわけでございます。
G7でどういう議論だったかと申しますと、確かに人民元等の問題に対して問題提起はあったわけですが、これは日本というだけじゃなしに全体として、今まで相当中国の代表にも、中国の財政部長や人民銀行の行長にもおいでをいただいて相当議論をやってまいりました。今回はお見えにならなかったわけですけれども、相当対話ができておりまして、どちらかというと人民元の問題についてはこれはもう少し慎重に見ていく必要が、慎重というとちょっと言葉が十分ではないかもしれません、全体としてやっぱり中国のフレキシビリティーをもっと高めてもらいたいという気持ちはあるんですが、やはり中国の内部などを見ていくとそう一気呵成な議論も難しいんじゃないかという雰囲気、これは全体としてはそういう雰囲気であったと思います。
それで、デモ活動が日本経済に与える影響については、これは慎重に見極めていきたいと思っておりますが、日中関係というのは日本と中国というだけではありませんで、アジア地域全体にとってもあるいは世界全体にとっても極めて大きな影響を与える二国間関係になってきていると思いますので、私はやはり、何というんでしょうか、これは日本側も必要でありますけれども、中国側も努力をしていただいて、対話を通じて、何というんでしょうか、相互信頼をもう一回確立して、日中間の共通利益をやはり拡大していくということが両国経済の発展にとって大事であるし、それは単に両国経済というだけじゃなしに、この地域の全体の安定ということにもつながっていくことじゃないかと思っております。
○野上浩太郎君 ありがとうございました。
この反日運動については、これ例えば大使館の保護みたいなもう最低限の国際ルールが守れないということは、もう断じてこれは許されることではないというふうに思います。
経済問題についても、今後はG7等々のようなああいう国際会議にしっかりと中国を取り込んで適切な政策を取るように促すような、そういう取組も是非強めていっていただきたいというふうに思います。
そういう中で、今大臣からも少しお話ございましたが、東アジア全体の視点ですとかあるいは世界貿易を考えますときに、今本当に重要な局面を迎えているなというふうに思います。
つい先日も日本とASEANの経済連携交渉、この週末ですね、行われたところでございますし、今このFTAという動きも九〇年代に入って急速に拡大をしてきております。
WTOについても、これ一月でしたか、WTO改革に関する諮問委員会報告ということで、関税や非関税障壁の削減はWTOの多国間交渉で進めるべきとして、これは交渉が進まないWTOを横目に世界各国がFTAに走る現状に警鐘を鳴らしたというふうにされております。
一方で、こういうWTOの多角的な貿易体制の維持強化というのは必要でありますけれども、やはりアジアにとっては、日本にとってもですけれども、このFTAというものは、これは今年の末にも東アジア・サミットが開催されると、これは参加国の枠組みも先日決まったところでございますし、いわゆる東アジア共同体構想というようなものも見据える中で、このFTA戦略というものもこれは大変に今重要な戦略であるというふうに思いますけれども、財務省としてWTOとFTAの関係あるいはこの東アジア共同体構想についてどのような見解を持っておられるかお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。
財務省といたしましては、FTAを含む経済連携の強化、これはWTOを中心といたします多角的貿易体制を補完し、貿易自由化や経済活性化を迅速に推進するなどの観点から、WTO新ラウンドと並行して積極的に推進すべきものと考えております。
昨年十二月に経済連携促進関係閣僚会議におきまして基本方針が決定されておりまして、この基本方針を踏まえまして、当面は東アジアを中心にFTAを含む経済連携の実現に努力してまいりたいと考えております。
また、我が国といたしましては、こうした経済連携協定の締結等を通じまして、多様性を認めながら経済的繁栄を共有する開かれた共同体を東アジアにおいて構築するべく、積極的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
○野上浩太郎君 簡潔な御答弁いただきましたが、FTAについては本当に今、正に戦略性と、もう一つスピードですね、アジア全体の中での位置付けでも分かりますとおり、スピードが求められていると思いますので、そういう観点での推進方を是非お願いしたいと思います。
もうちょっと時間が来てしまいましたので、済みません、金融につきまして幾つか質問させていただきたいと思っておったんですが、最後に一問お聞きをして終わりたいと思いますが、四月一日から、これはもうペイオフも解禁をされまして、金融行政、新しい局面をまた迎えるんではないかというふうに思っております。
そういう中で、三月二十九日にいわゆる地域密着型金融の金融機能の推進に関するアクションプログラムというものも定められたわけでございます。今、全体の景気としましては踊り場にあると言われている中で、それゆえに地方経済の状況が大変厳しいわけでございまして、その生命線の一つである地域金融について、これはもう重要性ますます増してくるわけでございますが、このアクションプログラムも定められて、ペイオフも踏まえて新しい、これは大きな影響があると思うんですね、新しい局面を迎えたわけでございますが、今後地域金融の在り方について、対応方針について最後にお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきます。
ペイオフの解禁というものを実施をさせていただいて、地域の金融機関におきましても市場規律やあるいは預金者の選択の下で更に緊張感を持って経営基盤の強化に取り組むと、こうしたことが求められているというふうに思います。
こうした中、今委員から御紹介がございましたように、金融庁といたしましては、三月二十九日、新しいアクションプログラムを取りまとめて、そして公表させていただいたところでございますが、地域密着型金融というものを推進していくためには、これは個々の金融機関のその自主的な努力を通じて実現されていくと、こうした面が非常に大きい、こうしたことは非常に重要であるというふうに考えておりまして、こうした観点から、新しいアクションプログラムにおいては、各金融機関が地域の特性というものを踏まえた個性的な計画というものを策定をして、そして自主的な経営判断により選択と集中を通じて地域の特性や利用者のニーズを踏まえたビジネスモデルを推進することを要請をさせていただいたところでございます。
金融庁といたしましては、各金融機関が、新たなアクションプログラムに基づきまして、地域の中小企業等の金融ニーズに一層適切に対応するとともに、そのことを通じた収益力の強化により経営の健全性というものを確保して、地域の利用者から十分な信認が得られることを期待をいたしておりますし、またこうした地域密着型金融の機能というものが遺憾なく発揮されることによって地域経済の活性化に貢献がされていく、そうしたことを期待をいたしているところでございます。
○野上浩太郎君 ありがとうございました。終わります。
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。
今日は六十分、時間をちょうだいいたしましたので、金融の問題と財政の問題一つずつ少し議論を、並びに確認をさせていただきたいと思います。
まず金融の方なんですが、先週来カネボウの決算についていろいろ報道がされておりますけれども、新聞報道によると九期連続の事実上の粉飾であったというような報道もありますが、まず事実関係についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
この四月の十三日に、カネボウは、昨年の十月二十八日に発表いたしました経営浄化調査委員会、これの調査報告書に基づきまして、過去に提出をいたしました有価証券報告書等に記載されている財務諸表について調査を行った結果、過去五期分の決算短信の訂正に係る適時開示を行ったと承知しております。
主な適時開示の内容といたしましては、今申しました経営浄化調査委員会の調査対象期間、これは十四年三月期及び十五年三月期でございますが、これに限定することなく、平成十二年三月期から平成十六年三月期の五期分を訂正をいたしました。具体的には、売上げの過大計上、経費の繰延べ計上等を修正をすること、あるいは連結の範囲を訂正をすると、そういった中身になっております。
○大塚耕平君 九期連続という報道は間違いですか。
○政府参考人(増井喜一郎君) 私どもの承知しているところでは、適時開示を行ったその中身は過去五期の訂正を行ったというふうに聞いております。
○大塚耕平君 適時開示の範囲では五期ですが、九期連続だというふうに私は理解しておりますので、その上でお伺いをいたしますが、東証の上場基準を言わば政府として管理監督する、あるいは東証を管理監督するのは、所管としてはどこの仕事になりますでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) 東京証券取引所の監督は金融庁が行っているところでございます。
○大塚耕平君 そうすると、今回のカネボウの件は、東証の上場廃止基準に該当するか否かという点については金融庁はどのようにお考えになりますでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) 今申し上げましたように、カネボウの決算訂正の話、関係でございますが、昨年の十月二十八日に、東京証券取引所は、カネボウによります十三年度及び十四年度の有価証券報告書の虚偽の決算結果を記載した事実が判明をしたと、そういった適時開示が十月の段階でございました。それの適時開示を受けまして、東証としては、上場廃止基準の一つでございます、上場会社が財務諸表などに虚偽記載を行い、かつその影響が重大であると当取引所が認めた場合、それに該当するおそれがあるということでカネボウの株式を監理ポストに割り当てたところでございます。
基本的には、それは、この話は個別事案でございますのでコメントすることは差し控えなければならないというふうに思っておりますが、一般論といたしましては、東証は、その自ら行う調査の結果だとかあるいは有価証券報告書の訂正報告書の開示を踏まえまして、上場廃止基準に該当するか否か、これを判断することになると承知をしております。
今後、この自主規制規則に従いまして、諸般の事情も勘案しつつ、東証におきまして適切に対処されるものというふうに考えております。
○大塚耕平君 今後どういう議論が行われるのか予断を許しませんが、しかし、去年の十月の段階で既に監理ポストに入っている。今、局長がおっしゃったように、第二条第十一項に抵触するおそれがあるということで今回の事態になったわけですね。
今後、これは上場廃止に該当する、あるいは廃止に及ばないと、どちらかの判断が出るわけですが、伊藤大臣としてはどのようにお感じになりますでしょうか。まず、伊藤大臣の今の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(伊藤達也君) この点につきましては個別事案に関することでございますのでコメントは差し控えさせていただきたいというふうに考えておりますが、先ほど局長からもお話をさせていただいたように、一般論として申し上げれば、東証は、その自ら行う調査の結果やあるいは有価証券報告書の訂正報告書の開示を踏まえ、上場廃止基準に該当するか否かを判断することになると承知をいたしておりますので、今後、こうした自主規制規則に従って東証等において適切に対処されるものと考えております。
○大塚耕平君 さっき局長に東証の所管はどこかとお伺いしたわけですが、金融庁とおっしゃったわけですから、東証が、金融庁から見て、あるいは伊藤大臣からごらんになって、必ずしも適切ではないという判断をした場合には、当然、行政権限を発揮するのが金融庁の仕事でありますが、このカネボウの件は、どのような判断が出たとしても、個別の案件ということで今後もその姿勢を維持されるということですか。それは変わることがあり得るということでしょうか。
○国務大臣(伊藤達也君) 仮定のことでありますのでコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、取引所におきましては、取引所のその信頼あるいは魅力の向上のためにそれぞれ自主規制規則というものを設けているわけでありますから、それに基づいて上場を廃止するか否かについての判断というものがなされる、適切に対応されていくものというふうに思っておりますし、また、私どもは取引所に対して監督権限というものを持っているわけでありますけれども、その監督権限を行使するに当たっては、法令においてその判断基準というものがあるわけでありますので、そうした判断基準に抵触するようなことが仮にあるとするならば、監督者として適切な対応をしていかなければいけないというふうに思っております。
○大塚耕平君 東京証券取引所は株式会社化する予定ではありますが、これは公的組織であるという理解でよろしいですか。
○国務大臣(伊藤達也君) 今委員が御指摘をされたように、東証においては、その上場ということも視野に入れながら今様々な議論がなされているというふうに承知をいたしております。
市場間の、特に国際的な競争というものが激化している中で、市場の機能というものを強化をして、そして競争力というものを向上させていくことは重要だというふうに思っておりますが、一方で、市場としての中立性そして公正性を確保していくということは極めて重要でありますので、そうした観点から公共性を有しているものというふうに考えます。
○大塚耕平君 私がお伺いしたかったのは、株式会社化されても公的組織であるという位置付けでいいですねということだったんですが、恐らくそういうことでいいという御答弁だったと思うんですが、伊藤大臣、ここは本当に重要な御判断の局面だと思いますので、是非、政治家として、大臣として適切な行動なり御見解をお伺いしたいと思うんですけれども、このカネボウが、もしこれ上場廃止にならないということになった場合のメリットとデメリットを、大臣のお考えをお伺いしたいんですが。
○国務大臣(伊藤達也君) もう大変恐縮でありますが、もう正に個別の問題でありますのでコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
繰り返しで恐縮でございますけれども、一般論として申し上げれば、それぞれの市場開設者は自主規制規則というものを持っているわけでありますから、上場廃止をするか否かについてはその自主規制規則に基づいて適切に対応されるものと承知をいたしております。
○大塚耕平君 これは大臣じゃなくても結構ですが、産業再生機構が東証に対して上場を維持してほしいという要請をしたという事実があるわけですが、産業再生機構が東証に対して上場維持を要請できる根拠というのは何なんでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
この四月の十三日に、産業再生機構からカネボウによります過年度決算の訂正発表に関する産業再生機構の考え方が公表されたというふうに承知しております。
これによりますと、産業再生機構はそのカネボウの株式を引き続き上場することが相当と考えるという、そして、その理由といたしまして、カネボウに対する機構の支援が継続をすること、既に平成十六年度の中間決算等については基本的に適正な情報開示が行われていること、また、カネボウの株式が上場廃止となった場合、株主に不測の損害を与えたり取引先に混乱が生じる可能性があること、さらに、自発的な調査に基づいて過去に遡及して適切な会計基準を適用した結果、株券の上場が廃止されるということになれば、早期事業再生を目指す企業の上場維持などを図るための諸規定の趣旨が没却されかねない、さらに、その上に、上場企業を取り巻く事業再生市場が大幅に萎縮する可能性もあると、などの理由を挙げているものというふうに承知をいたしております。
○大塚耕平君 いやいや、私がお伺いしたかったのはちょっと違うんです。それは産業再生機構がどのような考え方に基づいて上場維持を要請したかということの御回答ですよね。そうじゃなくて、産業再生機構という公的組織が東京証券取引所に対して上場廃止基準に抵触するかもしれない事例に関して早々と上場維持を要請できる言わば法的根拠、その行動の裏付けは何かということを聞いているわけです。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
そういった法律上の、こういった意見を述べることができるとか、そういった根拠規定があるわけではないというふうに思います。
○大塚耕平君 産業再生機構は単なる民間組織ではありませんので、これは国民は政府とほとんど一緒だと思っているわけです。というか、一緒です、事実上。政府が東京証券取引所に対してそういうことを要請するということの重みですね、重み、それを考えると、当然その行動には裏付けがなければならないと思うんですが、もう一度お伺いします。
産業再生機構の行動根拠になっている法律なり、あるいは何らかの取決めというのは何なんでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、私が承知する限りでは、これは産業再生機構は私どもの所管ではございませんけれども、私の承知する限りではそういった法律上の根拠というのはないと考えております。
○大塚耕平君 ちょっと勉強不足なので教えていただきたいんですが、産業再生機構の所管はどこになるんでしょうか。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
主務大臣はたしか内閣総理大臣、あるいは、などだったというふうに思います。
○大塚耕平君 私のうろ覚えでは、何か金融庁さんも含めた四省庁の共管だったではないかと思うんですが、ちょっとそこを確認してくれませんか。止めてくださいよ、答えられないなら。
○委員長(浅尾慶一郎君) 速記止めて。
〔速記中止〕
○委員長(浅尾慶一郎君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
所管大臣は内閣総理大臣と財務大臣と経済産業大臣だったというふうに思います。
○大塚耕平君 財務大臣、急に弾が飛んできましたけど。
所管大臣として、産業再生機構がそういう要請をするということは、一般国民から見ると、これは例えば財務省や金融庁が東京証券取引所に、いやカネボウの上場廃止をしない方がいいよと、維持してくれと言っているのに近い心証を与えていると言う人もいるんですが、大臣はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、増井局長から御答弁がありましたように、産業再生機構の主管大臣というのは三人おります。それで、私もその一人でございますが、私の主管大臣となっておりますのは、要するにこの産業再生機構の活動が後から余分な国民負担を生むようなものであっては国庫大臣として看過できないと、こういう観点から私は関与しておりますので、今の点について自信を持って有権的なお答えをするのはちょっと私はいかがかと思っております。
ただ、私もかつて担当大臣をやらしていただきました。総理大臣のところには二人実は掛かっておられる大臣がおりまして、実務的には、法的には総理大臣でございますが、その総理大臣のお立場は、一つは金融の秩序という意味から金融担当大臣がいる、もう一つは、機構そのものの直接に担当している大臣としての産業再生機構担当大臣というものが分担して、その二人はどちらも内閣府の大臣でございますから、上は総理であると、こういう形になっているわけでございます。
当時私の記憶、記憶に頼って、委員会で余り記憶に頼って不正確なことを申し上げるといけないんですが、やはり企業を再生していくに当たっては上場できるかできないかということが非常に大きなポイントでございますので、そこを何らかの見通しを付けてやらないと、付けて作業をしないと、事業再生といいますか産業再生が進んでいかないなという議論をした覚えがあるんですが、その整理がどうであったのかはちょっと私記憶が定かではありませんので、これ以上の御答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
○大塚耕平君 所管は三省庁だということは分かりました。しかし、今回の件は粉飾、有価証券報告書の言わば虚偽記載、そういう観点、さらに東証に上場維持するかどうかという観点で言えば、もうこの辺は全部金融庁の所管でありますので、産業再生機構の所管そのものが金融庁ではないからといって、この件に関して金融庁として見解を申し述べる立場にはないことはないと思います。だから、適切に行政権限を発揮するために皆さんに行政権限があるわけですから、ちゃんとやってほしいと思いますが。
お手元に東証の上場廃止基準がもしあったら第二条の第十六項をちょっと増井局長、読んでいただけますか。なければ──あります、第十六。
○政府参考人(増井喜一郎君) 十六項でございますか。
○大塚耕平君 十六。
○政府参考人(増井喜一郎君) 恐縮です。今ちょっと手元にございません。
○大塚耕平君 じゃ、私が御報告を申し上げます。
上場廃止基準として十五項までの、前各号のほか、公益又は投資者保護のため、当取引所が当該銘柄の上場廃止を適当と認めた場合と、こう書いてあるんですね。公益と書いてあるんです。この部分に関連してさっきメリット、デメリットというお話をお伺いしたんですが、もう一回お伺いします。この九期連続粉飾というこの企業を上場を維持することのメリットとデメリットについて、伊藤大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(伊藤達也君) 重ねてで本当に恐縮でございますが、やはり委員の今のお尋ねというものは個別のことでありますので、私どもとしてのコメントは差し控えさしていただきたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、先ほど来お話をさしていただいているように、東証においては自主規制規則というものがあるわけでありますので、それに基づいて上場を廃止するか否かについて適切な対応がなされていくというふうに思っておりますし、また先ほど来、共管、所管の問題について議論がなされたわけでありますけれども、私も当時金融担当の副大臣として、産業再生機構が設立をされるに当たって、これもやはりちょっと正確なことを御答弁しないといけないのかもしれませんが、その印象としてお話をさせていただきますと、委員が御指摘をされていることも十分議論としてあるということは承知をいたしておりますが、一方で、金融と産業の一体的再生というものを実現をしていくと、これが政府の大きな方針でありますが、その産業再生というものを実現していくに当たっては、早期の事業再生について、上場が維持されるかどうかというのはこれは極めて大きな問題でありますし、また事業再生のその市場というものがしっかり育成されていくかどうかという観点からも、この上場の維持については大変議論のあるところだと、こうした議論が行われていたというふうに私も記憶をいたしているところでございます。
しかし、いずれにいたしましても、この問題については東証のやはり自主規制規則に基づいて適切に対応されるものと承知をいたしております。
○大塚耕平君 日本の株価がなかなか上がらない理由について是非深くお考えいただきたいなと思います。このカネボウの件は、もちろんそこで働いている従業員の皆さん大変だと思います。そういう観点で考えるとなかなか一刀両断に申し上げにくいところがあるんですが、ただ、このケースで上場維持をすると、一体公益とは何ぞやということになりますね。もうこれは目に見えない形で日本経済に対する信頼を喪失させ、そして日本の株価を目に見えない形で下押しするという物すごい公益を害することになりはしないかということをお伺いしているわけです、私は。
これはもちろん今日この委員会で結論が出る話じゃないですから、まだまだ議論はさせていただきたいと思いますが、例えばこのケースが、今大臣がおっしゃったり、あるいは産業再生機構が言っているような市場に大変な混乱を及ぼすから云々かんぬんという理屈が通るんであるならば、山一証券なんか清算する必要なかったですね。山一証券も大変市場に影響を与えたわけですから、清算なんかしないで何か別の解決の仕方があったと思います。西武鉄道だって上場廃止にする必要はないし。だから、これは西武との違い、山一との違い、いろんな過去のケースとの定量的な基準ということを今後問われることになりますよ。このケースでもし余りに合理的と思えない判断をされるとですね。
だから、もちろんこれは相当奥の深い問題だと思いますので、我々もじっくりこれから議論をさしていただきたいと思いますが、産業再生機構はなかなか国会に出ていただけないという傾向がありますので、委員長にお願いをしたいんですが、一度産業再生機構について、当初は百件とも二百件とも言われていた案件が四十一件で終わり、非常に不透明な案件の引受けと、そしてこういう事例も出てきているわけですから、産業再生機構についての集中審議をお願いしたいと思います。
○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまの大塚耕平君の御意見につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○大塚耕平君 それでは次の問題に移らさせていただきたいんですが、先ほど野上委員からもG7について御質問がありましたけれども、私もG7について一つ大臣にお伺いしたいんですが、財政健全化が日本の公約になったというような新聞報道もありましたし、大臣の御発言として、日本政府は財政構造改革を最優先と位置付けると記者会見でおっしゃったという報道もありますが、これについての事実関係と御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 世上、国際公約になったというような表現で報道されておりますが、国際公約というのはどういうことなのか、その厳密な意味がよく私も分かりませんので、そういう表現が適切かどうかは、私、今そうだと言う自信もありません。
ただ、私からは、このG7において世界のマクロ経済をやり、その中で各極がどういう問題を抱えているかという議論をするわけですが、今までずっと日本は構造改革に取り組んでいるんだという説明をしてまいりまして、その中の一つとして、従来ずっと重点を置いて財政構造改革をどうしていくかというようなお話をさせていただいてまいりました。
今回、特別に従来よりもえらく肩に力を入れてこのことばかりを申し上げたわけではありませんけれども、これは国会内でもいろいろ議論をしていただき、それぞれのお立場で賛成、反対はあると思うんですが、今回も定率減税の縮減みたいなことをお願いをして法律を作っていただきましたので、要するに歳出を削減するという方向だけではなくて、歳入をどうしていくかということを含めて、歳入歳出両面からバランスの取れた財政構造改革を進めていくんだということを今回は、従来も言っていなかったわけではないと思いますが、今回やや、国会で法律が通ったことも含めまして申し上げたということがあるわけでございます。
これの背景にもう一つあると思いますのは、アメリカもかなり今、予算教書以来、アメリカの財政構造改革についていろいろ議論がアメリカも内部でもあると思いますが、アメリカからも相当その点では力を入れた御発言がありました。また、ヨーロッパもそれぞれそういう御発言があって、要するに、全体的な不均衡を為替調整にすぐ持っていこうという議論よりも、それぞれの極が抱えている構造改革でやっていこうという色彩が従来より若干今回は強くなったG7ではないかなというふうに思っております。
そういうことがコミュニケに出たような表現になり、私、記者会見でも財政構造改革に力を入れたと申しましたけれども、簡単に要約すればそういうことになると思いますが、そう申し上げたことの背景でございます。
○大塚耕平君 つまり、一段と財政健全化が大きなテーマになり、これから財務大臣として、もちろん歳入面の工夫もされるんでしょうけれども、歳出効率化というか、無駄な歳出削減には一生懸命取り組まれると、こういう理解でよろしいですね。
○国務大臣(谷垣禎一君) おっしゃるとおりだと思います。
○大塚耕平君 当委員会でもいろいろと、これは与野党問わず、いろんな財政健全化、とりわけ歳出の効率化、無駄遣いの抑制についてはいろんな提案が出ておりますので、せんだっても私も査定のところでいろいろアイデアを出させていただきたいというふうにお願いをさせていただいて、やっていいという大臣のお許しをいただいたような気がしていますので、是非しっかり提案をさせていただきたいと思いますが。
今日はその歳出の問題に絡んで、諫早湾の干拓についてちょっと二、三、事実関係を確認をさせていただきたいんですが、まず諫早湾の干拓事業の現状について、多くの委員の皆さん、大体は分かっておられますので、まず簡単に農水省に御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(南部明弘君) 諫早湾の干拓事業につきましては、防災対策と優良農地の造成ということを目的に事業を進めているところでございますが、その進捗につきましては現に九四%ということになっております。
ただ、このような中で佐賀地方裁判所より工事差止めの仮処分が出されておりまして、現在それを受けまして工事を中断している状況でございますけれども、私どもといたしましては、工事再開のため、現在、福岡高等裁判所に保全抗告を行っているというような現状になってございます。
○大塚耕平君 委員の皆様方にも資料を配らせていただきましたが、ここにちょっと大きな地図がありまして、これはちょっとお回しするわけにはいかないと思うんですが、これが諫早湾でありまして、ここに堤防がありますね、潮受け堤防。何となく遠目でもごらんいただけると思うんですが。この潮受け堤防の一番下のところですね、一番下のところを拡大した図がこれになります。お手元に配らせていただいた図ですね。
その潮受け堤防の上の道路ですね、堤防の上の道路と、堤防が北と南でつながる北部取付け道路、南部取付け道路と言うらしいんですけれども、これらを利用したふるさと農道事業というのを建築中であるというふうに聞いているんですが、これはどういうものなんでしょうか。
○政府参考人(南部明弘君) 今、図面でお示しいただきましたけれども、私ども、事業におきまして、潮受け堤防の工事用及び堤防完成後の管理用として南北の取付け道路と潮受け堤防上の道路というものを建設してございます。
これらにつきましては平成十年度までに事業としては完成しておるわけでございますが、今お話しのございましたふるさと農道緊急整備事業につきましては、長崎県が島原半島の二市二十町からの要望を踏まえまして平成十二年度に地方単独事業として採択された事業でございまして、その内容は、この干拓事業で建設した道路を活用して一般交通に利用するということのために、拡幅でありますとか舗装というものを行う事業だというふうに聞いてございます。
○大塚耕平君 つまり、お手元の図のこの黒い太い線ですね、黒い太い線がふるさと農道として堤防の上を通って、さらに国道二百五十一号線に出るように今造られているということなんですが、この南部取付け道路を使わないで新たに迂回ルートを造るという話が進んでいるやに伺っているんですが、それはなぜでしょうか。
○政府参考人(南部明弘君) 私ども、干拓事業で道路を建設しました際には、その計画当時におきまして一般交通に利用するという計画がございませんでしたので、工事用ないしは管理用道路ということで、その経済性等を考慮いたしましてその構造を決定いたしております。
その後、長崎県さんにおきまして、一般交通に利用するということで、この道路構造の検討を様々行われたというふうに聞いておりますけれども、この南部取付け道路の区間につきましては、道路構造令に照らしまして、道路の縦断勾配、長さ方向の勾配でございますが、それが一般交通用として適さないというようなことでございまして、この南部取付け道路を活用するということではなくて、新たな路線を選定されたというふうに伺っております。
○大塚耕平君 もう少し簡単でいいですから。
何が問題でこの南部取付け道路、もう完成している道路が使えないんですか。
○政府参考人(南部明弘君) 道路等を一般の用に供するという場合には、道路交通が安全も含めまして、多分円滑に行くというようなことをお考えになっているんだろうと思いまして、そのようなことから、道路構造令等に照らしますと、道路の構造そのものがそもそも一般交通を想定していないもので整備されているものですから、それを一般交通に適するということから考えると、新たな路線ということで南部取付け道路部分が考えられたと考えております。
○大塚耕平君 その南部取付け道路の国道二百五十一号線への接続部分、この裏側の写真なんですよ。ガードレールで通行止めにしてあって、ここは使えませんということで、それで、この表の図にありますような迂回路を造ろうとしているわけですね、今。
私、別に長崎県人じゃありませんので、あちこちで、東京の長崎の方とか、若干長崎の出身の方々から問題提起をされて、お話聞いているうちに、変だなと思って今日質問をさせていただいているんですけれども、迂回路を造って、この左側の通学路と書いてある辺りに接続をすると、ここ、結構商店とかあって通学路もあって、ここに大きなダンプカーも通るような道路を造ると非常に危ないので、無駄でもあるし、国道二百五十一号線につなげるんだったらこの南部取付け道路を使ってくれればいいじゃないか、何でガードレールで使えないようにしているんですかということを非常に熱心に聞いていただいたので、土地カンのない分野なんですけれども、ちょっと調べてみたわけなんですが。
もう一回聞きます。何で南部取付け道路を使わないんですか。
○政府参考人(南部明弘君) まず、ガードレールで仕切られているというのは、現在、一般の用に供しておりませんで、管理用ということでそこを占有しておりますので、余り車が入ってこないようにというふうなことだろうと思います。
なぜ使わないかということでございますが、ふるさと農道の緊急整備事業の事業主体であります長崎県さんにおきまして、先ほどのようなことから路線計画を決定されているというふうに伺っているところであります。
○大塚耕平君 長崎県、長崎県といいますけれども、このふるさと農道緊急整備事業というのは、実は四種類ある農道整備事業のうちの一個なんですね。一番お詳しい農水省出身の先輩議員がここにいらっしゃいますけれども。そのうち三種類は国庫補助事業なんですよ、国庫補助事業。今問題提起させていただいているこれは確かに県単事業なんですね。それは分かります。
しかし、県単事業とはいっても、これは最終的に起債対象になると、その起債対象部分というのは地方交付税算定のときの基準に引っ掛かってきますので、国庫も無関係ではないんですよ。だから無駄なものは造ってほしくないなという一言に尽きるわけですが、このふるさと農道緊急整備事業、この件もそうですが、いつから行われていて、これまでにどのぐらいの金額が投入されていますか。
○政府参考人(南部明弘君) ふるさと農道緊急整備事業につきましては、平成五年から実施されておりまして、それの実績につきましては、平成五年から平成十六年度まででございますけれども、大体一兆二千七百億円程度というふうにお聞きいたしております。
○大塚耕平君 一兆二千ですよ。大臣、御存じでしたか。財務大臣。
○国務大臣(谷垣禎一君) この問題に関して細かに聞いたことはありませんけれども、相当な金額だなと思います。
○大塚耕平君 今お伺いしたのは、四種類ある農道事業のうちの一番グレードの低いやつですね。つまり県単事業の分です。その上にある広域営農団地農道整備事業、それから一般農道整備事業、農林漁業用揮発油税財源身替というんですかこれ、農道整備事業、いわゆる農免農道ですね。この三つはこれまでにどのぐらいの財源が投入されていますか。
○政府参考人(南部明弘君) 今、ちょっと手元に数字を持っておりませんので。
○大塚耕平君 これらの農道事業はいつから始まっているんですか。分からなければ平野委員に聞きますけれども。
○政府参考人(南部明弘君) 各々始まっている年が違っておりまして、正確には記憶しておりませんけれども、一般農道については昭和二十年代からだと思いますし、広域農道につきましては昭和四十年代、農免農道もそのころというふうに考えています。
少し違っておるかもしれません、申し訳ございませんが。
○大塚耕平君 手元に数字がないので不正確でも結構ですから。
しかし、もうそのころからやっている事業ですので、担当の幹部として、目の子でいいですから、どのぐらいの予算が投入されていますか。外れていても別に怒りませんので。
○政府参考人(南部明弘君) 農道事業につきましては、平成十六年度の国費ベースでは大体七百二十億円ぐらいでございます。
いろんな、物価の上昇でありますとか、何といいますか、そういうものがありますので、予算の増減等、けた数が違うような場合もありますので、ちょっと、今、余りに不正確な数字を申し上げてもなんだと思いますので、そこは御理解願います。
○大塚耕平君 じゃ、部長、その三つの事業について、いつから事業が始まって、これまでにどのぐらいの財源が投入されたか、取りあえず私のところに御報告いただけますか。
○政府参考人(南部明弘君) 後ほど御報告させていただきます。
○大塚耕平君 それで、この国庫補助事業の方ですけれども、それぞれ採択基準というのがあるんですが、一番大きい広域営農団地農道整備事業から順番に、受益面積、それから道路の延長、車幅、それぞれどういう基準になっておられますか。
○政府参考人(南部明弘君) まず広域農道でございますけれども、これは、受益面積が千ヘクタール以上、延長十キロメートル以上ということで、車道幅員五メートル以上ということになってございます。それから農免農道事業ですが、これは、受益面積が五十ヘクタール以上、車道幅員が四メーター以上、総事業費で一億円以上ということでございます。それから一般農道でございますけれども、受益面積が五十ヘクタール以上、延長が一キロメートル以上、全幅員で四・五メートル以上ということにいたしておりますけれども、地域の実情に応じましてある程度弾力的な運用ということをやっているところでございます。
○大塚耕平君 それぞれの事業主体と国庫補助率、国庫補助率は財務大臣に関係しますので、事業主体と国庫補助率を教えてください。
○政府参考人(南部明弘君) 広域農道と一般農道につきましては、事業主体を都道府県といたしております。農免農道につきましては、事業主体を都道府県、市町村、土地改良区といたしております。
国庫補助率は、広域農道、農免農道が二分の一でございます。それから一般農道につきましては四五%ということになっております。
○大塚耕平君 五〇と四五といいますから、残り五〇と五五についてはこれは起債対象になるんですが、起債対象になると、今度は地方交付税算定のときにどういうふうに影響してきますか。
○政府参考人(南部明弘君) これは、各、各々の地方公共団体が負担された分につきまして、総務省さんの方で地方交付金の算定に当たって算定されているというふうに伺っております。
○大塚耕平君 私が申し上げたいのは、今までの質疑で御理解いただければ大変幸いなんですが、事業主体が都道府県です、全部。都道府県が必要だからといって決めた事業について、決めれば国庫補助が掛かり、県単事業であっても起債対象となり地方交付税に影響してくると、こういうものが膨大な量造られているわけですね。
農水省にお伺いしますが、この採択基準で矛盾がある点が一つあると思われませんか。この受益面積と延長と車幅、何かこれは合理的ではないなと思われる基準があるかないか、ちょっと考えて御答弁いただきたいんですが。
○政府参考人(南部明弘君) 少し分かりかねますけれども。
○大塚耕平君 延長は、例えば広域営農団地農道整備事業は十キロ以上、一般農道整備事業は四・五キロ以上、ああ四・五メートルと書いてありますけれども、メートルでいいんですか、これは。
○政府参考人(南部明弘君) 幅員ですか。
○大塚耕平君 いやいや、あっ、これ全幅ですね、ごめんなさい。
広域営農団地農道整備事業の十キロです。これです、十キロ以上。これで受益面積が千ヘクタール以上と書いてあるんですけれども、これ本当に意味のあるものを造ろうと思えば、延長というのは以上ではなくて基準以下というふうにしなければおかしいと思われませんか。言っている意味分かりませんか。
受益面積が千ヘクタール以上というのはこれは分かります。なるべく広い受益面積の地域が効果を享受できるように。しかし、そのために道路延長を長くすれば長くするほど、一千ヘクタール以上になるまで延長を延ばせばいいわけですから。ある一定の距離を造っても、それでも一千ヘクタール以上の効果があるんだったら意味のある農道かもしれません。しかし、延長も十キロ以上ですから、一千ヘクタールに足りなければ二十キロ、三十キロ造ればいいわけですから。ここの基準はおかしいと思いませんか、効率的に政策投資をしていくという上で。
○政府参考人(南部明弘君) 農道につきましては、必要な受益地に対して農道を公道で延長を設計するという考え方でやっております。ですから、委員おっしゃりますように、十キロメートル例えば以内で、二十キロでもいいんでしょうけれども、千ヘクタールというような考えには立脚しておりませんで、千ヘクタールの受益をカバーする農道の延長として、効率的なことは当然考えておりますけれども、十キロメートル以上という考え方で補助しているものでございます。
○大塚耕平君 一般農道整備事業の方も、これは五十ヘクタール以上で一キロ以上なんですね。だから、五十ヘクタール以上にしようと思えば二キロか三キロ造ればいいわけですよ。こうくねくねと曲がっていって、この絵みたいになるべく関係するところをすっと通って受益面積広くすればいいわけですよね。こんな悠長なことをやっている財政的余裕はないというふうにG7で言われたわけですからね。
農水省に聞きますけれども、この延長基準に、本当はこの農道事業そのもの全体を見直した方がいいと思いますよ、私は。だけれども、いきなりそれができないとしたら、少なくともこの延長基準を見直すということが合理的かもしれないなと今思われませんか、この委員会の場で。
○政府参考人(南部明弘君) 補助の基準につきましては、これまで様々な検討等もしてきておるところでございますし、そのようなことでございまして、今後ともこのような運用で考えてまいりたいと思っております。
○大塚耕平君 済みません、農水省余りここにおいでいただいたことないので私の個人的性癖を御存じないと思うんですが、いつも申し上げているんですけれども、国会で何か一つでも二つでも物事が決まっていかなかったら、もうこれだけ人数が集まっていること自体が大変無駄なんですよね。議論だけして何となく問題点は認識できたけれども、検討しますと帰って、結局三年、十年全く物事が変わっていかないというと、もう本当に国会はばかにされているんじゃないかというふうに思うわけです。
今、この農道事業について、すべてが無駄だとは言わないけれども、例えばこのふるさと農道、何だか知らないけど、既にある道路を使わないで迂回路を子供たちの通学路を横切ってまで造ろうとしていたり、あるいはこの農道整備事業について、幾らでもこの基準に合うような工夫ができるような採択基準が設けられているということに関して、これはやっぱり少し見直す余地があるなと思われますか。余地があるかないかということをお伺いしたいです。
○政府参考人(南部明弘君) 補助事業の採択ということであろうかと思いますけれども、補助事業の採択に当たっては、その事業が、効果と投資というようなところでも見ておりますし、先ほども申し上げましたけれども、その効率的な農道の路線配置でありますとか一団の受益のまとまりというようなことを検討して事業の採択をしているつもりでございます。今後ともそのようなことで効率的な事業の実施ということを考えてまいりたいと思います。
○大塚耕平君 いや、そうじゃなくて、今後とも一件一件効率的に採択をされるというのはそれは分かります。しっかりやっていただきたいんですけれども、そうじゃなくて、この基準を見直す余地があると思われませんかと聞いているんです。
○政府参考人(南部明弘君) 農道の事業を様々進めていく中で、必要が生じてくれば事業の基準等につきましてもまた検討することもあり得るかと思います。
○大塚耕平君 検討するということですね。再確認です。
○政府参考人(南部明弘君) 個別の事業の審査でありますとかそういうことを進めていく中で、必要に応じて、必要があれば事業の採択基準等も検討するということがあり得るかと思います。
○大塚耕平君 しつこくて済みません、必要があればというのはどういうことですか。
○政府参考人(南部明弘君) 仮定の話でございますのでなかなか具体的には申し上げられませんけれども、効率的な事業の実施でありますとか効率的な予算の執行というようなことに対して支障があると、そういうふうな場合が一般的には考えられると思います。
○大塚耕平君 今お伺いしたのは広域営農団地農道整備事業と一般農道整備事業のこの延長基準のところなんですね。もう一個の農免農道は、これは距離基準は、私が教えていただいた限りでは距離基準はなくて、受益面積五十ヘクタール以上、車幅が四メートル以上、総事業費が一億円以上。これみんな以上、以上、以上ですからね。距離長くして総事業費を一億円以上にして受益面積を五十ヘクタール以上のプロジェクトをつくれば何でも採択基準に引っ掛かっちゃうんですよ。おかしいと思いませんか。
○政府参考人(南部明弘君) 事業の採択に当たりましては、その事業の効果でありますとかそういうものを見ております。ただやみくもに規模を大きくして、若しくは採択基準に合致するようなというようなところで事業が計画して採択されているものではないと思っております。
○大塚耕平君 そういうものではないことはないと私は思います。実際には不必要な事業が捻出されていると思います。
この最初のふるさと農道事業の話に戻りますけれども、これは三期に分かれていて、平成五年から九年が第一期、十年から十四年が第二期、十五年から十六年が第三期、第三期になって、ふるさと農道事業はもうやらなくていいと言ってゼロになっているところがありますね。東京がもうずっとこれはゼロです、ふるさと農道事業は。もう一個ゼロになっているところはどこですか。
○政府参考人(南部明弘君) 鳥取県であると承知しております。
○大塚耕平君 鳥取県がこのふるさと農道はもう一メートルも要りませんと言っている一方で、例えば宮崎県は六十一億、北海道は六十九億、関係者もいらっしゃるので恐縮なんですが。
そうすると、鳥取と宮崎、鳥取と北海道はどういうニーズの違いがあってこういう差が出てきているんですか。これはもちろん県や道が判断されることですけれども、どう思われますか。
○政府参考人(南部明弘君) 各道県でお考えになってやっておられることでございますので、私どもその辺の詳細については承知しておりません。
○大塚耕平君 詳細は承知しておりませんといって、今日は皆さんやじが飛ばないんで残念なんですけど、これ、起債事業ですからね、地方交付税にも影響してきますからね。詳細は承知しないで認めているわけですか。
もう一回聞きます。詳細は承知してないんですね。これ、議事録残っていますからね。詳細は承知してないですね。
○政府参考人(南部明弘君) 地方が単独事業として独自に実施されておられる事業でございまして、例えば、補助事業と併せて地方の単独事業を行う場合でありますとか、そのような場合につきましては調整等さしていただいておりますけれども、そうでない場合は、私ども、一般的にその事業の内容でありますとか、いろんなこと等につきまして関与するというようなことは適当でないと考えております。
○大塚耕平君 関与する方が適当だと私は思います。
もう牧歌的に財源がどんどん増えてくる時代じゃありませんので、是非、県単事業についても、本当にそれらが必要なものかどうかということを各都道府県と情報交換をして御判断をいただきたいと思いますが、今年度の概算要求からそういう姿勢で臨んでいただけるということでよろしいですか、農水省。
○政府参考人(南部明弘君) 県の単独事業につきましては、地方分権のお話もございまして、私ども、そこまで関与できないというふうに考えております。
農道整備事業につきましては、一層その効率的な実施に努めてまいりたいと考えます。
○大塚耕平君 財務大臣、ここまで質疑をお聞きになって、いかがお感じですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 我が役所も副大臣も政務官も農水省の御出身でありまして、こういう問題、非常に造詣の深い方でありますけれども、私は、今問題提起をされた、初め国営事業で始めた事業と、それから農道事業、これ、かなり時間の経過もありますので、そのときそのときによっての判断も違っている面もあると思いますが、私は、一般論からいいまして、やはりそれぞれの事業実施主体というものがよく打合せといいますか調整をしていただいて、資源の効率的な配分を努めていただくというのは、これはこれからやっていただかなきゃならぬことだろうと思います。
是非とも、そういうことをしていただいて、今、もちろん農水省の方から御答弁もありましたように、県単事業のようなものは、それは自治体の分権の立場からいって自主性、我々が余り細かなところまで口を出すべきでないことがあることはよく承知しておりますけれども、全体でやはり無駄な資源の使い方はしないということで、よく調整をしてやっていくような方向を目指さなければいけないんじゃないかと思っております。
○大塚耕平君 農水省にお伺いしますが、この南部取付け道路を迂回したふるさと農道、これは事実関係をもう一回よく調査をして、本当にこの南部取付け道路を使わないという計画のまま進めていいかどうか、長崎県とよく調整をするということでよろしいですか。
○政府参考人(南部明弘君) 長崎県ともお話をいたしますけれども、先ほど来申し上げていますように、そんなになかなか県の単独事業の内容に関与できないということもございますので、その考え方なり、効率的な資源の利用というようなことになるようなことは念頭に置いて、またいろいろ県等との調整が必要であれば調整を行ってまいりたいと考えます。
○大塚耕平君 法務省においでいただいていますけれども、佐賀地裁の工事差止め仮処分命令というのは、片や全体の作業がストップしている中で、それとは別にこれが粛々と、ふるさと農道だけはこの堤防の上の道路も使って粛々と続いているわけですが、これらの工事には地裁の判断の効力は及ばないんでしょうか。
○政府参考人(大竹たかし君) 佐賀地裁の工事差止めの仮処分命令というのは、これは国に対して命じられているものでございます。先ほど来のお話のように、県がこの御指摘のふるさと農道事業に基づく工事を行っておるということでございますので、仮処分の効力は及ばないというように理解しております。
○大塚耕平君 仮にこの潮受け堤防が要らないというようなことになって取り壊したら、せっかく造ったふるさと農道も要らなくなっちゃうわけですよね。要らなくなるというか、なくなるわけですよね。で、そういう可能性を抱えた事業は、こちらの本体の事業についての結論が出るまではやはり中止するのが、あるいは中断するのが合理的だというふうに私は思っておりますので、是非賢明な御対応を農水省にはしていただきたいということをお願いをしまして終わらしていただきますが、今日は総務省にも地財計画の関係でこの件お伺いするべくおいでいただいておりましたが、もう時間が参りましたので、質問できなかったことをおわび申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
財務大臣におかれましては、G7への御出席大変御苦労さまでございました。
先ほど同僚議員から総括的な評価を問う御質問があり、お答えありましたので、その中で、財務大臣の御発言で、共同声明の中で、我が国としては財政再建を含む構造改革、これが盛られたと、これによって日本政府として財政再建に取り組むことがG7の共有の認識となったと、このような御発言もあったわけでありますけれども、それを受けて、財務大臣として、これから国際公約ともなったと評されるこの財政再建への取組、これを具体的にどうしていくか、これについての御決意をいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 国際公約という言葉が適切かどうかはよく分からないんですが、いずれにせよ、こういう努力は日本としては避けて通ることはできないというのは私は間違いないことだろうと思っております。
そこで、具体的にどうしていくかということになりますと、これは一つは、これもこの委員会で何度も申し上げているところでございますけれども、一番の基本にしておりますのは、二〇一〇年代初頭にいわゆる基礎的財政収支のバランスを取っていくということが目標でございます。
そこで、具体的には二〇〇六年、平成十八年度までの間、平成十四年度、二〇〇二年度の政府の大きさを上回らないようにするということで、歳出改革路線、まあ歳出改革路線と言うと大変オブラートに包んでおりますが、無駄なところは徹底的に切り込んで、聖域なき歳出改革をやっていかなきゃいけないということだろうと思います。
そういう中で、やはり焦眉の急になっておりますのは、一般歳出の中で四割を超えております社会保障改革をどういうふうに進めていくのかというのはどうしても避けて通れない課題であろうというふうに考えているところでございます。
それで、平成十八年度までに、国と地方双方がそのような歳出削減努力を積み重ねて、何が必要な行政サービスであるのか、国があるいは地方が提供すべきサービスであるのか、そこをぎりぎり議論していかなきゃいけないだろうと思うんです。そうすると、必要な歳出水準は何なのかということがめどが付いてくると思います。
それから同時に、私、あっちこっちでしかられて、おまえはもう財政再建、再建ばっかり言っているというふうにしかられるんですが、同時に必要な行政サービスの水準は何かということも見極めながら、そのときにおける日本の経済の体力といいますか経済活性化の進み具合、そういったものもよく見ていかなきゃならないと思いますが、そういう必要な行政サービス、つまりどれだけ給付が必要かということに合わせて、じゃそれに対応する負担は何なのかということも併せて見極めていっていただかなきゃいかぬと。それは結局税の問題ということになってくるだろうというふうに思います。
で、平成十九年以降もそれと同等な努力を積み重ねていくということでありますが、先ほど申しましたように、平成十九年度以降の財政収支改善努力に係る、それまでそういう努力を積み重ねて、歳入歳出を一体としてどういうふうにしていくのかという改革の検討にもう今から着手しなきゃいけないと思います。そしてその結論を、平成十八年度内に結論を出していくと、こういう道筋に沿って財政構造改革をやっていくと。
今まで何度もお答えしてきたところでございますが、そのことを改めて申し上げたいと思っております。
○山口那津男君 G7では、同時に、中国の人民元の切上げ問題が議論されたようでありますが、中国の名指しは明確にはなされなかったということであります。また一方で、アメリカなどは共同声明以外に独自の声明を出してこの改革を求めることを強調したようでありまして、この国際的な圧力というのは以前にも増して強まっているだろうと、こう思うわけであります。
そうした中で、我が国として、G7でどう対応したかということとは別に、この中国の人民元切上げ問題に対してどう取り組んでいくかということについて財務大臣の見解を求めたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 中国の人民元の問題は、先ほども御答弁しましたように、G7でも中国に来ていただいて随分議論を今までもいたしました。それから、私どもも、中国の私どものカウンターパートといろいろなときで議論をさしていただく機会があるものですから、そのときにも随分議論をさせていただいております。
これは、日本の立場としても、あるいはほかのG7各国にいたしましても、人民元、今はドルにペッグされた状況でございますけれども、やはりもう少し柔軟性といいますかフレキシビリティーがあった方がいいんではないかということは、私自身もそう思っておりますし、国際的にも大体そう、国際的といいますか、G7各国は大体そういう見方で議論をさしていただいてまいりました。
ただ、このことは結局、外側から押し付けてできるというもの、なるというものではやはり私はないと思います。中国自身で、いかにしてその自らの相当大きくなった経済規模、それから国際的なその連携も中国にとっても、日本にとってもそうですが、中国にとっても極めて強力になってきておりますので、幅広くなってきておりますので、そういう中でどういう為替制度を取っていったらいいかというのは中国自身でよく検討して結論を出していただくことではないかと思っております。相当その中国の中でも議論はなされているというふうに私は思っておりますが、是非そういう観点から中国自身で良い結論を出していただきたい。
私どもも、今まで過去、為替についてはいろんな経験なり、いろんなことがございますし、またその際に日本が、何というんでしょうか、協力をしたりあるいはアドバイスしたり、できることがあれば是非そういうこともやって、全体としてその世界の経済秩序がうまくいくような方向に持っていきたいと、持っていってもらいたいと、こういうふうに思っております。
○山口那津男君 IMFの世界経済見通しによりますと、実質経済成長率は二〇〇五年で四・三%、二〇〇六年で四・四%、これはアメリカと中国が牽引役になって成長を図っていくと、こういう見通しを出しているわけであります。また、原油高というものが世界経済の成長阻害要因になっていると、こういう認識も共有されているところだろうと思います。また、中国をめぐる日米欧の貿易、これも中国のシェアというものが急速に高まっていると、こういう状況でもあろうと思います。
それらを考え合わせたときに、この中国の世界経済に対する影響力というのはやはりかつてとは比べ物にならない大きなものになっているわけでありますから、G7におきまして単なるゲストとしてお招きをするということで、二回欠席が続いているわけでありますけれども、むしろ中国がこの出席を担保されるような国際会議、これは日本が個別の意見交換のチャンネルを持つということも大事でありますけれども、やっぱり国際社会の中で主要国で議論をする場に出てきていただくということが大事だろうと思います。
そういう点を日本が自ら提言して促すということをやるべきではないかと思いますが、財務大臣の見解を求めたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、山口さんおっしゃった、二度欠席とおっしゃいましたけれども、むしろ二度出席していただくことがありまして、今回欠席をされたわけであります。
率直に申しますと、今まで二回、過去のG7で二度中国に出てきていただいておりまして、相当時間を掛けて議論、お互い議論しましたので、議論は大体、まあ何というか、するべき議論は大体一巡したという気はいたしております。
それで、ただ、今、山口さんおっしゃったように、中国の大変体力といいますか経済力も大きくなってきているので、中国を外して議論をしてもなかなかG7だけじゃ余り進まないだろうという見方があることも事実ですけれども、ただ、この問題はやはりG7側がどういうふうに判断するかということもございますし、また中国がそのことを自分、どう判断するかということもあろうかと思います。ですから、現状ではやはり議長国がどう判断するかというところになっているわけでございます。
ただ、今回でも中国は欠席したというふうに取られておりますけれども、同時に、IMFCという委員会がございまして、これは昔は通貨金融委員会って言ってたんですよね。通貨金融委員会と言っておりましたが、そこは中国も、要するにトップは、トップといいますか人民銀行の行長であるとか財務大臣はお見えにならなかったんですけれども、ハイレベルの方が出てきておられまして、今回も議論をしております。
したがいまして、いろんなチャンネルはございますので、私どもできるだけやはりそういう機会を中国も活用していただきたいし、私たちもそういう機会を十分に活用して意見交換なり、協調が図れるところは図っていきたいと考えているわけでございます。
○山口那津男君 昨日、キャッシュカードのスキミング犯罪をめぐって、ゴルフ場を舞台とする事件でありましたけれども、初公判が開かれました。また、昨日の日経新聞の夕刊の記事の中で、盛田隆二さんという作家の方のカード盗難被害の経験談が載っておりまして、この方がカードを盗まれて銀行に問い合わせたところ、ある支店で引き落としがあったと。その支店に電話してみると、防犯カメラに映っているので警察の人と一緒に見に来てくださいと言われたと。最寄りの警察署に行きますと、遺失物届か盗難届かでもめてしまったと。さらに、被害者はあなたじゃなくて銀行ですと言われたと。所轄の署に出向いてみると、盗難届を受理した最寄りの署に行って捜査をしてもらいなさいと、こう言われたと。挙げ句、その防犯カメラを見ることができた結果、担当の刑事さんが、その映っている映像、見覚えありますかと聞かれて、見覚えがないと言ったら、それじゃ捜査のしようがないなと、こう言われたと。
この人が最終的に銀行から救済をされなかったということになりますと、これは民事的にも刑事的にも踏んだりけったりということになるだろうと思います。
実は、多くの国民の方がこういうことに不安を覚える社会になってきておりまして、実務的に言うと、例えば所得税を申告する際に雑損控除の対象になるかどうかという話があるわけですね。
これについて、国税庁として、どのような手続を取ればこの雑損控除の対象になるか、この見解をまずお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) その前に、私、答弁したことをちょっと訂正させてください。
先ほどIMFCと言って、昔通貨金融委員会と言っていたというのは間違いでございまして、現在通貨金融委員会という名前で、昔はIMF暫定委員会という名前にしていたと。ちょっと間違えましたので、訂正させていただきます。
○政府参考人(竹田正樹君) お答え申し上げます。
スキミング犯罪による偽造キャッシュカードによります預金が不正に引き出された場合、その損失は、先生御指摘のとおり所得税法上の雑損控除の対象となるわけでございます。
その手続的なことでございますけれども、雑損控除の適用につきましては、その損害を客観的に確認できる書類の提出をお願いしているところでございまして、スキミング犯罪による損失につきましても、その損失がスキミング犯罪によるものであること、またその損失の生じた日や損失の金額が確認できる書類を提出又は提示していただくことによりまして雑損控除の適用を認めておるところでございます。
○山口那津男君 これには被害届を証明するための書類を添付しなければなりません。これ、だれが被害者か、どうやって手に入れるのかということで、やっぱり捜査機関の協力が必要だろうと思います。
警察庁として、これらについてどういう対応をしているか、これについてお述べいただきたいと思います。
○政府参考人(岡田薫君) お尋ねのようなケースにつきましては、通常、刑法上の窃盗としては、被害者として、ATMを管理している金融機関というふうに考えられております。このことから、警察といたしましては、その金融機関に対して窃盗罪についての被害届を受けまして、そちらから御要望があれば必要な証明について交付をすると。
これと預金者との関係でございますが、この証明について、さらに預金者が契約している金融機関を通じて預金者に交付がされて、雑損控除の申請に用いられるように今年の二月に全国銀行協会においてそういう枠組みが整備されたというふうに承知をいたしております。したがいまして、今後そういった枠組みが適切に行われるよう、私どもといたしましても、全国の警察に対してそうした交付申請に対して遺漏のないようにするように指導をしているところでございます。
○山口那津男君 今のような手続が確立したのは今年の確定申告の直前なんですね。ですから、今年の確定申告に実際上間に合わなかったという方もいらっしゃったかもしれません。是非とも、来年以降もこれが徹底されるように、金融機関にもまた警察においても徹底していただきたいと、こう思います。
あわせて、最後に希望でありますけれども、金融大臣、この偽造、スキミングをめぐる偽造の被害者と、それからやっぱり窃盗、カードを窃盗された被害者というのは紙一重のところがあるだろうと思います。窃盗の場合のその預金者側の落ち度については様々な幅があろうかと思いますが、その紙一重というところによく注目をしていただきまして、やはりこの窃盗における被害者、預金者も救済されるような仕組み、これを是非とも積極的に検討していただきたい、これを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○大門実紀史君 今日は、北方領土関連の財政問題について質問いたします。
北方領土問題というのは国民全体の課題であるというのは間違いないところでございますけれども、なかなか進まないというのも今の現状でございます。こういう中で、根室市などの隣接一市四町、四つの町の北方領土返還運動における役割というのは大変な重要なものがございます。政府の外交方針の最先端を担っていただいているという点があるわけでございます。私も去年、根室市役所に行きましたら、市役所に北方領土返還という大きなスローガン、垂れ幕が掛かっておりました。
ところが、この隣接した地域というのは、この北方領土が未解決によって経済的な打撃も大変被っている地域です。漁業の衰退が激しいのはもう前から続いているわけですが、どんどんひどくなっておりますし、例えば根室市ではもう地域経済、市中経済、壊滅的な打撃を受けております。人口もかつて五万人だったのが今三万人少しと、市の税金も十年前と比較するともう二割の減少になっているというふうな大変な事態になっているのも一方です。
谷垣大臣は、この北方領土隣接した地域というのはお訪ねになったことはございますか。あるいは、その実情、どこかで耳にされたことございますか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、北方領土、行ったことはございませんし、北海道、あれ、どこからか、見えるところからちょっと見たというぐらいしか存じ上げておりません。
ただ、かつて、やはりこの問題に関して、かつてのここに住んでおられた方々のお話を聞く機会はございました。
○大門実紀史君 大変な事態が続いているわけなんですけれども、そういうこともあって、八二年に法律ができました。こういう地域を支援していくといいますか、頑張ってもらいたいという意味で、国民世論の啓発とか、あるいはこういう地域の振興と生活安定ということを目的に、北方領土問題等の解決促進のための特別措置法と、いわゆる北特法と言われている法律が議員立法として制定したわけですけれども、ところが、この北特法が立法趣旨が生かされていないという現実があります。
今日はこの問題を取り上げたいと思いますけれども、まず、この北特法第七条に、国からの特別助成のいわゆるかさ上げ措置があります。
資料をお配りいたしました。上段の方に書いてあるのがその実績でございますけれども、要するに、これは一市四町の特定事業、公営住宅の建設とか公園を造るとか学校を造るとか、そういうふうに該当する国庫補助事業のうち、自治体の負担が標準財政規模の一〇%上回ったものについて措置されるというものです。
ただ、この一〇%上回るというのは大変現地にとっては厳しい物差しになっておりまして、この十八年間、お手元の資料のように、根室市と別海町では一度も適用がないと。これはおかしなことになっていると私は思います。
この一市四町に向けたいろいろ頑張ってもらいたいというための措置であるにもかかわらず、使うところは使いましたけれども、比較的財政規模の大きい根室市や別海町では一〇%、財政収入の一〇%を超える公共事業というのはなかなか難しいわけです。そういう点で使えないという事態になっているわけですけれども、これは、個々の細かい話よりも、この趣旨そのものからいって、何といいますか、ある地域は使ったことがあるけれども、ある地域では全く使えないと、これはこの地域の特殊事情とは思えません。やはりこの基準そのものが法の趣旨に照らして現実に合っていないんではないかというふうに私は思いますが、これは国土交通省の担当だと思いますが、いかがお考えですか。
○政府参考人(山本隆幸君) お答えいたします。
まず、今の御質問の法律七条の前に、実は北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律に規定された振興計画、これに基づいて地域の安定振興を図るための事業を実施をしております。その上で、更に七条により一市四町が行う補助事業に対してのかさ上げの措置を図ることとされており、これまでに中標津、標津、羅臼の三町に対して合計六億八千万円のかさ上げがなされており、このようなことから七条の成果は上がっているものと理解をしております。
○大門実紀史君 時間がないんで、いろいろ言わないで、聞いたことだけに答えてくれますか。ほかの、使ったのは分かっていますよ、書いてあるんだから。ほかのところが使って、ほかのところが使えないというのは、この七条の基本的な考え方からいって何か基準が違う、実情と合っていないんじゃないかということを申し上げているんですけれども、その点だけ答えてくれます。
○政府参考人(山本隆幸君) この措置につきましては、公共事業等が集中することを避けるという趣旨でやられているという措置と理解をしております。そのように対処をしてきたつもりでございます。
○大門実紀史君 公共事業を集中するのを避ける措置じゃないでしょう。この一市四町が生活関連の公共事業をやったときに、ちょっとでもかさ上げによって助けてあげようというのが趣旨じゃないんですか。全然、自分たちがやっていて、趣旨を理解してないでやっているんじゃないかというふうに思います。
私は、時間がないんでその細かいことを言うつもりはありませんが、長年、何でこんなことが放置されてきたのか、どこに原因があるのか。
この問題は、我が党だけではなくって、沖北の委員会等々で何人もの議員が取り上げてきている問題でありますけれどもね。私は、そもそもこれは皆さんの姿勢がちょっと違うのではないかなと、今もちぐはぐな答弁をされていますけれども、根本的な、何といいますか、この問題の、この法律のとらえ方の問題ではないかというふうに思っております。
気になりますのは、議事録をこの間のを読んでいますと、二年前、この問題が取り上げられたときに、国土交通省は、これは議員立法であって、私どもの国土交通省の所管ではありませんということを繰り返し述べられておられるんですね。そういうところにこんなものを放置しておく無責任さが私は出ているんではないかというふうに思います。
国土交通省の北海道局の予算全体というのは今幾らですか。
○政府参考人(山本隆幸君) 開発予算全体で七千三百二十億円であります。
○大門実紀史君 私、それだけの予算がありながら手当てできないわけがない。これ手当てして全部使えるようにしたってわずか十億かそれぐらいの話なんですね、ちゃんと手当てしたとしても、使えるようにしたとしても。それが放置されているというのは、あれこれではなくて、財政が厳しいとか何かじゃなくて、皆さんの姿勢そのものにあるというふうにまず指摘しておきたいと思います。
もう一つは、内閣府関連だと思いますけれども、北方基金というのがあります。これは百億円を積んでその運用益でこの地域の支援事業をやろうということですけれども、これは下の図の方の二段目に北方基金というのがありますが、運用益が、これは市場金利が下がったということもありますが、ずっと低下しています。これについても放置されたままですね。放置されたままです。何ですか、何とか振興補助金とか啓発経費ですか、こういうものを、余り地元から要望が何年にもわたって強く出されているんでつくられましたけれども、全体として北方基金の運用益はずっと下がっているわけですね。これも何も手を打たないで、根本的な手を打たないでこられているわけです。これどうするんですか、この先、内閣府。
○政府参考人(東清君) 先生御指摘のように、北方基金の運用益、これは金利低下ということで減少していることは承知しております。先ほど御指摘になったように、この基金の目的の一つであります啓発費用といった事業に対しまして、内閣府として、十五年度から振興啓発費、十五年度二千百万、十六、十七年度二千六百万というのを計上しているところでございまして、これが根室管内、主として盛んに盛り上がっております返還運動、これの運動に資するものというふうに考えております。
私どもとしましては、基金に対する要望がいろいろあることは存じておりますけれども、基金の効率的な運用と効果的な事業の実施について、各省庁と連携を密接に取りながら円滑な実施を図りたいというふうに考えております。
○大門実紀史君 円滑な実施なんか求めてないんですよ。どうするんですかと。ずっと減っているわけですね。最初申し上げたとおり、この法律そのものは北方領土返還運動の最先端を担ってもらう市町村が頑張ってもらおうということと、もう一つは北方領土未解決のためにもう地域が物すごく疲弊していると、そのための法律でつくって、その措置なのに、地域がどんどん大変になっているのにずっと減っているわけですよ、国からの支援が。これをどうするんですかということを申し上げているわけですけれども。
私はずっとこの問題いろいろ聞いてまいりまして、現地の話も聞いて、要するにこの地域の振興ということを責任持っているのはどこの省庁ですか。
○政府参考人(山本隆幸君) 振興計画に基づきまして、私ども国土交通省北海道局が担当して地域の振興をやっております。
○大門実紀史君 国土交通省の部分言っているんじゃないんですよ。それはこのかさ上げのところでしょう。全体を見ているのはどこの省庁ですかと申し上げたんです。
○政府参考人(山本隆幸君) 再度申し上げますが、振興計画に基づく担当は、私ども国土交通省北海道局が担当をしております。
○大門実紀史君 じゃ、北海道局はあれですか、この基金も管理されているんですか。違うでしょう。全体として、基金もかさ上げも全体を見ているのはどこなんですかと、北方領土に隣接する地域を。答えられないんですよね。内閣府も立ち上がらないわけですよ。北方対策本部というのは内閣府にあるわけでしょう。立ち上がらないわけですよね。いいですよ、もう時間ないから。
私、そういうところがこれが放置されていると。全体手当てしたってわずか十億や、頑張ったって二十億の範囲だと思うんです。全体七千億とか八千億の国土交通省の北海道局予算あってもわずかなところも手当てしない。内閣府も何かちょこちょこっとお茶を濁すようなのをつくって根本的に手当てをしようとしない。これはどっち付かずといいますか、責任者がいないんですよ、これ、この全体振興を図る、振興のお金が減っているということに対する。だから放置されているということを指摘したいわけです。
財務大臣、お聞きしたいんですけれども、私は、当初これはずっと手当てされないのは財務省がけちっているのかなと思っていたんですよね。ところが、そうじゃないんです。財務省に要望を出す方がサボっているわけですよ。怠慢なわけです。どっかがやるだろうと思ってずっと放置してきているわけですね。
私は、これからちゃんと、内閣府が窓口だと思っていますから、やってもらおうと思いますけれども、ちゃんとした案が出てきたときは是非財務省としてきちっと検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員おっしゃったように、内閣府、それから国土交通省、さらには北海道ですね、よく議論していただいて、きちっとした考え方を整理していただかなきゃいけないと思います。
私どもとすれば、もちろん、財務省がけちっているわけではないと言っていただきましたけれども、財政の効率的な使い方というのはもちろん考えなきゃいけないわけでありますが、その上で、そういうきちっとした整理したお話があれば私どもも検討していくということであろうと思います。
○大門実紀史君 もう時間ですので言いませんが、とにかく問題の所在はそういうところにあるということですので、今財務大臣がきちんとした案が出てくればきちんと検討するということですから、まずきちんとした案を出すと。そのためにきちっと内閣府中心に相談をし合って検討をしてもらいたいと。一言、内閣府の方から答えてください。
○政府参考人(東清君) この北特法の運用につきましてそれぞれの主務大臣というのが決まっておりますが、先ほど国交省の方が地域の振興については担当しているということでございまして、私どもも連絡を取り合って、どうやったらいいのかということを今後とも検討していきたいというふうに考えております。
○大門実紀史君 終わります。
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。
私は、第四十六回IDB沖縄総会について谷垣大臣にお伺いをいたします。
四月の六日から九日の総会前のセミナーに始まって、十日から十二日に第四十六回IDB沖縄総会が開かれまして、内外から約六千名の方が参加いたしました。大変成功に終わったというふうに思っております。このIDBの全加盟四十七か国の財務大臣、中央銀行総裁始めとする政府代表団や、国際機関、民間金融機関等の首脳が参加する総会で行われた谷垣大臣の演説は大変見事なもので、こちらの委員会の委員の皆さんにも是非聞いていただきたいすばらしい内容でございました。
大臣のこのIDB総会を終えた御感想をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、糸数委員からお話がございましたけれども、今度のアメリカ開発銀行、IDB総会、沖縄の宜野湾市で開催されたわけですね。それで、中南米、カリブ海諸国だけではなく、アジアからもハイレベルの参加がございまして、海外からは千三百名おいでになった方があります。今六千名とおっしゃいましたけど、七千名ほどお見えになったようでございますので、近年の年次総会としては最大級の規模の総会を沖縄で持つことができたわけでございます。この背後には、沖縄県知事を始め沖縄県民の方が大変一生懸命支えてくださいまして、こういう良い形で終えることができましたこと、私も心から感謝しているところでございます。
今回の総会では、現在グローバル化が、経済のグローバル化が進行してきて、中南米地域とアジアとのつながりも非常に深くなってきております。やはりそれが一つ主要テーマでございました。それから、アジアとのつながりを考える、中南米とのつながりを考えますときに、今までアジアからこのアメリカ開発銀行に加盟しているのは日本だけだったんですが、今後、新たに韓国が参加されまして、韓国から韓悳洙副総理が参加をしてくださいました。それから、セミナーや各国の代表による会合を通じまして相当これは両地域の相互理解が深まったのではないかなと思います。
それから、アメリカ開発銀行自体としましても、米州開発銀行、これの今後四年間の投資戦略、融資戦略を定める新規融資枠組みをつくったと。それから、やはりかなり中南米も全体のレベルが上がってきておりまして、これから中南米を更に発展させようとすると民間部門が力が付いていかなきゃいかないわけでございまして、その辺りをどうしていくかという民間部門戦略も今度つくることができたという意味で、米州開発銀行としても意義のある会合だったんだと思います。
それから、多数国投資基金、MIFと言っておりますが、これも新たな参加国を得て総額五億ドルを上回る増資が決定されたということでございます。
そういう米州開発銀行にとっても意義のある会合でありましたが、その後、先ほどから申しておりますワシントンでG7、IMFがありましたときも、参加をいただいた中南米の財務大臣等から、沖縄のあの総会良かったというお話をいただきまして、沖縄の方々のホスピタリティーも随分理解をされたんじゃないかなと思っております。
以上、概略を申し上げました。
○糸数慶子君 ありがとうございました。
ただいまの大臣のお話にもございましたけれども、このIDB総会による経済効果三十五億円と言われておりますが、私といたしましては、やはりこの金額の大きさもさることながら、沖縄県におきましても国際会議のそのノウハウを蓄積したと、そういう意味でも目に見えない効果への期待も大変大きいわけです。
ただ、地元の方からのやっぱり企業のかなりの寄附に対する参加もございましたし、できましたら、そういう総会を受けて、今後のその事後検証していただきますように是非強く要望して終わりたいと思います。
次に、沖縄振興開発金融公庫の見直し問題についてでありますが、政府の経済財政諮問会議におきまして沖縄振興開発金融公庫を含んで八つの政府系金融機関の統廃合が問題になっておりますが、この論議、どこまで進んでいるのでしょうか。現状をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 政策金融機関の改革につきましては、二月二十八日の経済財政諮問会議で、民間議員から政策金融のあるべき姿の実現に関する基本方針という御提案がありまして、諮問会議で取りまとめたらどうだというお話でございました。
私からは、政策手段としてのその政策金融の在り方や位置付けといった、まず政策金融の機能論をしっかりやることが大事だと、その上で、その機能論と関連付けながら組織の在り方を考えていくことが大事だということを申し上げたわけでございます。
そこで、沖縄振興開発金融公庫でございますが、まだ経済財政諮問会議の議論は個別の機関がどうだという議論には入っておりません。沖縄振興開発金融公庫、個別の議論はまだしてないわけでございますけれども、沖縄経済の振興とか社会開発のため、一般の金融機関では難しい資金供給を行うという役割を果たしているというふうに私考えておりまして、今後の議論では、そのような沖縄振興開発金融公庫の役割等も踏まえて、果たしている役割等も踏まえてきちっと議論を積み重ねていくことが大事ではないかと思っております。
○糸数慶子君 今大臣のお答えの中にもありましたが、沖縄振興開発金融公庫は、復帰の年、昭和四十七年の五月の十五日に設立されまして、沖縄のその政策金融を一元化、総合的に行うことになっております。
今、沖縄のその産業開発を促進して、長期の資金を供給して、一般金融機関が行う金融及び民間の投資を補完して奨励するものとして特に大事だとされておりまして、県民にとって本当に必要とされる資金が、一般金融機関ではその供給が困難とされているものを供給し、沖縄の経済振興を図るというその公庫の役割は現在においても大変大事であります。
平成十四年度の融資実績が千四百四十二億円で、設立当初から融資実績は四兆六千九百億円に達しておりまして、いかに沖縄県民にとって重要な金融機関であるかを物語っております。より充実させる、その視点での論議を是非要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、沖縄の基地問題についてですが、米軍再編、トランスフォーメーションが進展して在沖米軍基地の再配置が検討されている中で、今、米海兵隊が沖縄県浦添市にある物資集積施設キャンプ・キンザーの移設・返還が可能だという分析をしているという報道がございます。日米協議の中で検討されているでしょうか。その事実関係についてお伺いいたします。
○政府参考人(飯原一樹君) まずお答え申しますが、日米協議、審議官級中心に事務的な検討を行っているところでございますが、これは先日、官房長官も記者会見でおっしゃったことをそのまま申し上げますと、まだ全体像とか具体的な方針、基本的な方針についての考え方も固まっているわけではございませんので、いろいろなアイデアが出ることはありますけれども、まだそのようなことを具体的に決める、しかも個々に決めるということはあり得ないということでございまして、ここだけがこう決まったという報道は全部誤りでございますというのが官房長官の記者会見概要でございます。
○糸数慶子君 この問題につきましては、三月十五日の外交防衛委員会で大田議員が外務省にも質問されております。今の答弁と同じように、その事実はないということでありましたが、しかし、このキャンプ・キンザーは二百七十四ヘクタールという広大な敷地で、米海兵隊の各種倉庫が多数あり、軍需物資の貯蔵を行う補給基地になっています。この基地すべての返還が実現いたしますと、キャンプ・キンザーと隣接しております那覇軍港港湾施設の移設先も見直されるということが必至になります。
キャンプ・キンザーの返還は、正に中南部の都市部では普天間飛行場の四百八十一ヘクタールに次いで大規模返還になります。移転候補地として金武町のキャンプ・ハンセンが有力視されておりまして、東海岸にこの軍用物資を船積みする埠頭を確保するよう日本政府に要求されることが予想されます。
そこで、このキャンプ・キンザーの返還問題が、今とりわけ重要となっております普天間飛行場の返還と閉鎖、辺野古海上基地建設の流れを分断することがないように期待いたしますが、防衛庁の見解をお伺いいたします。
○政府参考人(飯原一樹君) 一部先ほどの繰り返しになりますが、具体的なそういう検討がされている事実はございません。
また、普天間についてでございますが、先般の2プラス2でSACOの最終報告の着実な実施が在日米軍の安定的な駐留のために重要である旨が両大臣及び国防・国務長官の間で確認をされまして、当然その中に普天間飛行場の移設・返還も含まれるわけでございます。
○糸数慶子君 次に、ボーリング調査について、これ辺野古の海上基地建設に対するこの調査費についてお伺いいたします。
この辺野古の海上基地建設に反対して、那覇防衛施設局のボーリング調査に対して抗議行動した座込みの行動はちょうど今日で一年目を迎えました。在沖米軍基地の再編協議が進められている中で、辺野古沖の新基地建設に関しましては沖縄県民の八割以上が反対をしております。沖縄県の政策参与の比嘉良彦さんが、沖縄、地元で行われました十六日の公開討論会で辺野古移設は非現実的との見解を示されました。
今、こういうその状況の中で、実は小泉総理も、私の去る三月二十八日のこの財政金融委員会での質問に対して、SACOの見直し発言もありました。四月二十一日に今本格的なボーリング調査が辺野古の方で行われようとしておりますが、それは事実でしょうか。お伺いいたします。
○政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。
ボーリング調査は、代替施設の護岸構造の検討に用いる必要なデータを収集する目的でありまして、沖縄県からの同意を得た上で昨年九月から開始しております。
スパット台船につきましては、三月十六日に設置作業を試みましたが、反対派の妨害活動により危険な状況となったため、やむを得ず中断したところであります。次回の設置作業はできるだけ早く実施したいと考えておりますが、報道にあるような設置作業の日程が決まっているものではございません。
現地での作業につきましては、気象状況や作業が安全に実施できるかなど、現地において具体的な状況を見極めながら適切に実施してまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 防衛庁は、本当に防衛施設庁、沖縄の現状を全く理解していらっしゃらないと思います。沖縄の稲嶺知事もそれからその政策ブレーンも一緒に、今辺野古の断念をにおわせる発言をいろいろなところでいたしております。
国の財政状況がそういう現在厳しさを増す中で、現在二十七億円というこの辺野古のボーリング調査の費用が計上されております。これは全くの無駄遣いに等しいのではないかと思います。
財務省は沖縄のその状況を是非理解していただきまして、谷垣財務大臣に是非お願いしたいと思いますが、現在地元の八割以上が反対している辺野古沖へのこの新基地建設への反対、そして米国でも、実際に私も今年の二月に参りましたけれども、しっかりこのSACO合意を見直すという状況と、あるいはまたこの辺野古への新基地建設、地元の住民の反対、さらには環境問題がクリアされていない、そして余りにも財政が掛かり過ぎるというその観点から、見直していくというその流れもあるわけですが、是非ともこの二十七億円に対する調査費、見直していただくことを要望いたしまして、お時間もありませんので、終わりたいと思います。
○委員長(浅尾慶一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
─────────────
○委員長(浅尾慶一郎君) 保険業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。伊藤内閣府特命担当大臣。
○国務大臣(伊藤達也君) ただいま議題となりました保険業法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
我が国の保険業を取り巻く環境は引き続き厳しいものとなっており、各保険会社にあっては、保険契約者のニーズの変化等に対応した戦略的な事業展開や更なる経営の効率化と同時に、一層の経営の健全性の確保が求められる状況にあります。
こうした中で、政府は、経済社会情勢の変化を踏まえ、金融資本市場の構造改革を促進し、保険契約者等の保護の一層の充実を図るため、本法律案を提出することとした次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、保険業の定義を見直し、特定の者を相手方として保険の引受けを行う事業について、他の法律に特別の規定のあるもの、又は、会社、労働組合等がその役職員、構成員等を相手方とするもの等を除き、保険業法の規制の対象とするとともに、少額短期保険業者の特例制度を創設することとしております。
第二に、保険会社が破綻した場合のセーフティーネットの仕組みについて、自動車保険等の損害保険契約に関し、破綻保険会社から他の保険会社への乗換えを促す手続を導入するなど、保険契約の特性に応じた見直しを行うこととし、また、平成十八年度から二十年度までの生命保険会社の破綻に係る資金援助等について政府の補助を可能とする特例措置を講ずることとしております。
そのほか、損害保険会社が船主相互保険組合の業務代理等を行うことを認めるなど、所要の措置を講ずることとしております。
以上が保険業法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(浅尾慶一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五分散会

 

 

2005年04月07日 (木)

参議院 財政金融委員会 9号 平成17年04月07日

162-参-財政金融委員会-9号 平成17年04月07日

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。

政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁検査局長西原政雄君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     

─────────────

○委員長(浅尾慶一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君外四名の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     

─────────────

○委員長(浅尾慶一郎君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について質疑を行います。

質疑のある方は順次御発言願います。

○舛添要一君 おはようございます。自民党の舛添要一です。

まず、福井総裁、四月一日にペイオフが全面解禁になりましたけれども、一週間たちました。その状況について、預金口座間の移動、金融機関間の移動、こういう資金のシフトを含めてどういう状況なのか、で、今の状況は、総裁、予想されていたとおりなのか、そういう認識についてちょっとお伺いしたいと思います。

○参考人(福井俊彦君) 今日は、日本銀行の通貨、金融に関する半期報を御審議いただくことになりまして、誠にありがとうございます。よろしくどうぞお願いいたします。

ただいまの御質問でございますけれども、ペイオフ全面解禁、四月一日以降、私ども、金融機関及びマーケット周りの動きを非常に注意深く見てまいりました。その結果、現在の時点では個別の金融機関あるいはその業態をまたがる資金シフトということは見られておりません。金融機関の資金繰りも個々に見まして引き続き極めて安定的に推移しているというふうに思っております。また、短期金融市場も総じて落ち着いた状況を保っておりまして、銀行の株価もどちらかといえば堅調に推移しているという状況でございます。

このように、年度替わりを挟んだ預金者や金融市場の動きは落ち着いたものとなっておりまして、ペイオフの全面解禁は当初の想定どおり円滑に実施に移すことができたと、取りあえずそう判断いたしております。

○舛添要一君 個々人の立場から見て、金融資産だけ取って、ポートフォリオの選択をどうするかというときに、まあ今業態間の移動はないということなんですけれども、例えば外貨預金とか有価証券であるとか先物の商品であるとか、そういうことへ顕著な移動というのはこのペイオフの影響で見られることはございますか。

○参考人(稲葉延雄君) お答えいたします。  ペイオフ解禁後の預金を含むそうした預金者の資金の動きに関しましては、これは銀行あるいは取引先である信用金庫に対して聞き取り調査をやってございますけれども、預金に関しましては、例年四月上旬に見られるような季節的な動き、これは年度末に借り入れた資金の返済のために預金が落ちるとか、それから進学・入学資金のための預金の引き落としとか、あるいは春の行楽資金の引き落とし、そういった季節的な動きによる預金の引き落とし、こういうのは見られたところでございますけれども、それを除きますと、特別変わった動きというのは出ていないということでございます。

新たに導入されました決済用預金、これはペイオフ解禁後も全額保護されるわけでございますが、これに対する乗換えといいますか、これも金融機関によりますと内部の普通預金から乗り換えると、こういった動きが大宗のようでございまして、全体として金融機関の資金繰りというのは平静な状況だというふうに見ております。

○舛添要一君 ありがとうございました。  過去二回、この延期をこのペイオフ全面解禁についてはやりました。例えば平成十四年、この流動性預金、当初小泉総理がどうしてもやれということだったんですけれども、我々は党の方の金融調査会で議論を重ねて、私自身もこれはちょっと時期尚早であるということで二年延長いたしました。なぜ時期尚早だったかというと、いろんな理由はあるわけですけれども、不良債権の処理とか金融システムの不安定、我々はまだ、全面解禁までにはちょっとまだ条件整っていないと、そういうように見ておりましたけれども、今回、今総裁、理事のお話のように安定して推移しているということは、そのような条件が、我々が危惧した条件がなくなったということの証左だと思うんですけれども、そこのところはどういうふうに評価していらっしゃいますでしょうか。

○参考人(福井俊彦君) お答えいたします前に、先ほど舛添委員、外貨預金その他へポートフォリオの変換の意味で預金者などが動き始めているかというふうなお尋ねもございました。これはむしろこれからのことだというふうに思います。本当に金融システムの安定ということが、預金者がしっかり確認し、そして預金者自身がこれからの生活設計のためにお金の使い方、お金の置き方等々を前向きに考え始めてそういう動きが出てくるというふうに思います。そういう動きがむしろ前向きに出てくることを我々は期待しているというふうな状況でございます。

で、今のお尋ねでございますけれども、日本の金融システムの状況を見ますと、非常に、幸いにも大手の銀行だけでなくて地域の銀行でも不良債権比率が着実に低下をしているということでございます。また、過大だというふうに目されておりました株式の保有でございますが、この保有額につきましても、日本銀行の株式買入れスキーム、政府の方で御用意していただいたスキーム等を活用しながら、大手の銀行全体でもうティア1を大きく下回る水準まで削減が終わったということでございます。

信用リスクや株価変動リスクが減少したということで、結果として資本制約が大きく緩和されていると、つまり銀行が自由に動きやすくなっているということでございまして、金融機関の経営姿勢が正にそれに比例するように、姿勢が次第に積極化してきているという状況でございます。こうした状況の下で、株価あるいは格付に見られますとおり、金融機関に対する市場の評価も上がってきているということでございます。

不良債権問題への対応が進み、今般ペイオフ全面解禁を円滑に実施することができた。改めて整理してみますと、一つは、金融機関が不良債権の経済価値を適切に把握して、早期に引き当て、償却を行う体制を整えてきたこと、これが一つです。もう一つは、産業再生機構などの活用を図りながら民間金融機関における企業再生への取組が進んだと、これが大きな背景ではないかと思っています。

また、一見目立っておりませんけれども、こうした取組と併せて、日本経済の構造変化を踏まえた金融面のインフラ整備、つまり会計とか税制とか倒産法制などに関する諸制度、諸慣行の見直しがかなり進められた、これも重要な下敷きになっているというふうに考えています。

○舛添要一君 それと、一般の預金者に例えばペイオフ全面解禁しても大丈夫ですよと言うときに、私なりに易しい、平易な言葉で言えば、まあ預けて危ないような金融機関は全部つぶしましたと、ないしは統廃合しましたと、したがって今存在している金融機関というのは当面心配ないところまで行きましたよと、そういうふうに言えば非常に分かりやすいかと思うんですけれども、表現が不適切かもしれませんが、分かりやすく言うとそういう認識でよろしゅうございますか。

○参考人(福井俊彦君) おっしゃるとおり、この不良債権処理の過程で問題銀行というものがかなり合併、再編等によって整理されてきたということは確かだと思います。個々の金融機関を見て、まだ全く隅々まで問題が残っていないかというと、それはそういうことまでは言えないと思いますが、少なくとも、今後、経済とか市場にある程度のショックが加わっても金融全体に不安感がさっと走るというふうな、あるいはそれを防ぎ切れないというふうな、そういう心配は全くなくなった、日本銀行としては責任持ってシステミックリスクを防ぐと、そのことが断言できるところまで金融システムは健全になってきたというふうに言えると思います。

○舛添要一君 是非、今後とも金融システムの安定ということに引き続き御留意願いたいと思います。やっぱり、とらの子を預けている国民の立場から見ると、いつ金融機関がつぶれるか分からないというのは非常に困ったことなんで、それはよろしくお願いいたします。

それで、次の問題に移りたいと思いますけれども、昨日の政策委員会・金融政策決定会合で、日銀、今までどおり量的緩和政策を三十兆から三十五兆という当座預金残高、これを維持することを決めました。私は基本的にこの政策に賛成ですし、元々この量的緩和をもっと拡大しろと。まあ私が参議院議員になったころは四兆から六兆円ぐらいの規模だったので、隔世の感があります。

しかし、一方、今、まず、その前に数字だけ明確にしておきたいんですが、買いオペの限度額は今幾らでしょうか、国債。

○参考人(白川方明君) お答えいたします。  買いオペの限度額でございますけれども、日本銀行の金融調節そのものは、潤沢な資金供給ということで、現在三十から三十五兆円を目標に実行しております。

買いオペのうち、国債、長期国債オペということでございますと、これは銀行券の発行残高を上限として買入れを行うということでございます。

一方、短期のオペレーションにつきましては、そのときの市場の状況を見ながら適宜手段を選択しているということでございまして、限度というものは設けておりません。

○舛添要一君 ただ問題は、昨日も政策決定会合で一人反対だったと、この量的金融緩和のこのままのレベルでの、水準での維持をということが報道されていますけれども、片一方で札割れ状況が起こっている。

まず、どの程度の札割れが起こっているのか、直近のデータをいただきたいと思います。

○参考人(白川方明君) 札割れでございますけれども、ちょっと御質問にお答えします前に、札割れが起こる状況でございますけれども、金融市場におきまして財政資金の揚げが大きいとか、あるいは銀行券の発行が大きい等々、資金需給上の不足が大きくなってくるというときに日本銀行がオペを行って資金を供給するわけでございますけれども、そういうときに札割れが時として、今起きておるということでございます。

その札割れの起き方でございますけれども、今手元に月々の数字はございませんけれども、大きな感じで申し上げますと、去年の十二月ぐらいから札割れが増え始めまして、特に今年に入りまして、二月から三月の初めにかけまして札割れが非常に頻発するという状況になってまいりました。その後、三月の半ばから末にかけましては、これは年度末ということでありまして一時的に札割れは緩和しておりましたけれども、また四月、期明けになりましてオペを行いまして、これが何回かもう既に札割れを起こしておるという状況でございます。

○舛添要一君 十五か月ぶりに全員の一致じゃなくて一票反対が出たということの原因は今言ったような状況にあると思うんですけれども、その札割れが起こるというのは、ある意味で金融機関の資金の需要がない。なぜないかといったら、それは借りてくれるところがない、ある意味で、というふうに見ていいのか。つまり、企業サイドからいうと、金融機関サイドからいうと、企業がまだバランスシート、毀損されたバランスシートの回復ということに力を注いでいて、特定の業界、例えば中国向けの輸出が非常に好調な業界なんかはどんどん設備投資をやっていく。しかし、中小企業も含めていうと、資金需要がそこまでないのかなと。片一方で、量的緩和政策ということで一生懸命オペをやる、しかしそれに応札できないと、こういう状況が札割れの原因だと見ていいのか、そのほかの要因があるのか、それをお答え願います。

○参考人(福井俊彦君) 過去かなり長い年月にわたり一言で言えば日本経済は体力がかなり疲弊した、つまり活力が乏しくなった経済で、企業の資金需要というものは非常に影を潜めた状態で推移してまいりました。それでも日本銀行が大量に流動性を供給することに久しく札割れということは起こっていなかったわけであります。

ということは、今もなおデフレが続いている。これまでもデフレが続いていた。そのデフレの中身として、少なくともこれまでは金融不安ということを大きく内包しながら、つまり非常に金融不安という悪い種を抱き抱えながらのデフレが続いたということで、その金融不安ということを深く心配する、特に金融機関は自己防衛のために、ショックに耐えるために流動性を厚めに持っておくと。この需要と日本銀行の供給する大量の流動性とがある意味でマッチしていたと。

ところが、こういうふうにペイオフが平穏に実施に移すことができると、その程度にまで金融不安の問題は解消したということでありますので、デフレは続いているけれども金融不安というものを内包する度合いがもううんと減ったということで、したがって市場の中では流動性需要が後退してきているということであります。

しかし、日本銀行はあくまでデフレ脱却というものを目標にして今の量的緩和政策をしているわけですので、金融機関が法律上必要とされる所要準備額を大幅に上回る流動性を供給し続けるというこの基本のスタンスは、そのデフレ脱却の目標が達成できるまでは断固堅持する、ここは変わりないことでございます。

しかし、デフレの中身として、金融不安の度合いが後退し、市場において現実に流動性需要が落ちている部分に技術的な意味でどの程度対応する必要があるかどうか、この点についても慎重に見極めていこうというのが今の大勢の意見でございます。しかし、ここのところは、余りそこを無視すると日本銀行の行動が市場の実勢と大きくずれが生じて、かえってこの量的緩和の枠組みを維持することができなくなるんではないかと、こういう心配のことを議論し、昨日、そのことを強調される一人の委員が反対投票をされたと。  現状を率直に申し上げれば、そういうことでございます。

○舛添要一君 よく分かりました。

ただ、私自身は、やっぱり今の段階で当座預金残高を例えば五、六兆引き下げるということは、マーケットに対するメッセージとしてはちょっとまだ早いかなという感じがしますので、今おっしゃったように、基本的に生鮮食料品を除く消費者物価が継続的に、前年、ゼロ以上になるというところまで続けていくというスタンスは変わらないわけですね。

○参考人(福井俊彦君) 去年の十月に三つの条件に分解しながら改めて今の緩和のフレームワークを維持する、そのお約束を固めたわけですが、このお約束は断固最後まで守るということでございます。

今出ております意見も、繰り返し申し上げますけれども、日本銀行の方から主体的に流動性の供給をカットしていこうという考えではなくて、市場の需要が後退している部分に受け身でかつ必要最小限どれぐらいの調整が要るかというふうな極めて慎重なアプローチでの議論でございます。

○舛添要一君 よく分かりました。

それで、片一方でどうしても出口論というのは先行していくと思いますけれども、くれぐれもそれは慎重に量的緩和のスタンスをお守りいただきたいと、私の立場からそれを申し上げておきたいと思います。

さて、そこで、日本経済の外的な要因から一番の攪乱要因というのは原油高だと取りあえず思っています。昨日も、レギュラーガソリン、リッター百二十二円まで上がったと。それで、運輸業界を含め、非常に大きな打撃になると思いますけれども、これはイラク情勢とか様々な国際政治上の情勢がございますけれども、日銀としてこの原油の価格動向を今後どういうふうに想定なさっているか。そしてまた、不幸にしてこの原油高が続くような場合にはどういう手だてをお考えになっているのか、もし政策手段があるとすればですね。そういうことについてお伺いしたいと思います。

○参考人(武藤敏郎君) 委員御指摘のとおり、原油高、大変最近また騰勢を強めておりまして、既往ピークの状況にあります。米国、中国等の需要の拡大というのがその背景にあるというふうに考えております。

こうした原油価格の高騰が続きますと、エネルギー多消費国におきましては当然のことながら実質購買力の低下というようなことを通じまして成長が鈍化する可能性もありますし、先進国におきましては、いわゆるインフレ予想の上昇、さらには長期金利の上昇といったような国際金融・資本市場に影響を及ぼすということが考えられるわけでございます。

我が国の場合には、既にオイルショックを経験した上でエネルギー効率が非常に高くなっておりますので、相対的に見ますと原油高が経済に及ぼす影響というのは、直接的な影響というのが比較的、相対的に小さいということではあるんですけれども、最近我が国が特に依存しております中東、ドバイの価格というのが五十ドル近くにまで非常に上がってきておりますので、その影響、それがまた海外経済を経由した間接的な影響も含めまして、一段と注意深く見ていかなければならないというふうに思います。

委員の御関心は、それが我が国の物価にどういう影響を及ぼすかということもあろうかと思います。国内企業物価は確かに上昇をしておるんでございますけれども、いわゆる消費者物価を見ますと、まだ小幅のマイナスが続いております。原油価格の上昇に伴いまして、石油製品の価格、ガソリンを始めといたします石油製品の価格は確かに前年比プラスという状態になっているんでございますけれども、一方、企業の生産性の上昇でありますとか賃金が抑制された状態にあるといったような中で、規制緩和の効果なども大体現れつつありまして、御承知のとおり、電気代あるいは電話料金の引下げというようなことも行われております。そういうこともありまして、消費者物価は前年比小幅のマイナスということで推移しているわけでございます。一言で言いますと、デフレ的な状況がまだ依然として続いておるというふうに考えております。

したがいまして、この日本銀行の金融政策が、この物価というものの安定というために我々日々いろいろ考えておるわけでございますので、その原油価格の動向、それが日本経済及び我が国の物価にどういう影響を及ぼすかというのは常に注意深く見ていきたいというふうに思っております。

○舛添要一君 今のその原油高の状況もインフレ要因の一つになるんですけれども、先ほど総裁、デフレからの脱却というか、一番我々の大きな懸念事項ですけれども、私は若干注目しているのは、ペイオフで、先ほど金融資産の話しかしませんでしたけれども、金融資産から実物資産へのマインド的に資金シフトが起こるのかどうなのか。そうすると、資産デフレの解消に少しはプラスになるかもしれない。

それから、これはたしか篠原三代平さんがどこかで書いておられたと思うんですけれども、ゼロ%以上というより、やっぱり先進国の戦後経済を見たら、二、三%ぐらいの上昇で行くのが一番経済的にいいんじゃないかと。そうすると、我々ずっと言い続けていたようなインフレターゲット的なことは、実際はもう日銀おやりになっていることなんですけれども、引き続きゼロ%以上を一、二に上げるかとか、まだちょっとその政策をどうすればいいかというのはいろいろ我々も考えあぐんでいるんですけれども、原油高でインフレ方向に行っちゃ困るわけですけれども、ちょっと今のその、補足的に、私が今申し上げたようなことについて何かお考えございますか。

○参考人(福井俊彦君) いろんな角度からの議論が可能なんですけれども、舛添委員今御指摘のその油の高騰というふうなことを出発点として考えましただけでも、この構図の描き方というのは相当精緻にやっていかなきゃいけない。つまり、去年油が、あるいは資源価格が非常に上がりましたときに、世界経済、少し調整すれば一過性のものに終わるかもしれないという見方がありました。しかし、今年になってまた資源価格が上がり、高値で続いていると。しかし、世界の成長速度は若干下がっているわけですね。それでもそうだということは、まだ何も断定できませんけれども、やっぱり世界の人々が、世界経済が高成長を続けることはベリーハッピーだけれども、しかし資源制約ということを何がしか頭に置きながら全体の経済を運営していかなきゃいけないんじゃないかというふうなことを考え始めているに違いないと思います。

それだけでなくて、例えば中国経済、これも高成長を続けてこられることは世界経済にとって非常にいいけれども、しかし資源を余り非効率に使いながらの高成長はそっちの面から余り有り難くないなとか、そういうふうに世界経済の成長率とかあるいはその資源の再配分とか資源の使い方なんかについてもっと議論を深めていく必要があると。そうでなければ個々の国の経済政策を考える前提条件を正しくセットできないなと、こういう感じがあると思います。

かつ、今度は日本の国内に持ってきた場合も、デフレから脱却すると、これはもう緊要な課題でありますけれども、その先の望ましい経済の姿にいかにつなげていくかと。委員の問題意識もしっかりそこに持っておられることを今感じました。この場合に、やっぱり日本経済の場合非常に重要なことは、イノベーションの力を企業がしっかり発揮していってくれることだというふうに思います。国際的な情勢がいかに変わろうとも、そして日本にとって競争条件がいかに厳しくなろうとも、この点が非常に重要だと。

取りあえず日本銀行は、ペイオフ解禁が円滑に移行することができたということで、我々、金融機関に対するアプローチの姿勢はここで百八十度変えることにしました。つまり、危機対応型から金融高度化をサポートしていくと。金融高度化をサポートしていくというのは、企業がそういう意味でイノベーションの進展を始め一番大事な仕事をやっていくことを、金融機関はしっかりそこに金融的な資源を割り当てていってほしいという意味であります。ここのところをしっかりやっていこうと。で、マクロの金融政策は、デフレを脱却した後どういう望ましい中立レートを目指して、あるいはどういう望ましいこの流動性の供給という概念を目指して、改めて再設計したいというふうに思います。今の段階で単純にインフレーションターゲティングを入れればすべてうまくいくというふうに考えるには、その前提条件がまだ余りにも欠落しているというふうに考えています。

○舛添要一君 よく分かりました。

今、少し中国経済の話も出ましたけれども、簡単に、我々の経済に大きな影響を与えるアメリカ及び中国の経済の動向についてどうごらんになっているか、御説明願いたいと思います。

○参考人(白川方明君) お答えします。

一言で申し上げますと、アメリカ経済、中国経済はともに着実な景気拡大を続けており、世界経済の牽引役となっているというふうに認識しております。

アメリカ経済でございますけれども、家計支出や設備投資などの国内民需が着実に増加しておりまして、また雇用面、雇用の面でも改善経過をたどるなど、景気は引き続き拡大しているということでございます。

物価でございますけれども、エネルギー等、それから食料品を除きましたコアベースの消費者物価上昇率は、景気拡大に伴う需給改善などを背景にしまして緩やかに上昇しております。この間、先ほど御質問のございましたエネルギー価格上昇の影響でございますけれども、現在までのところ、最終財価格への影響は比較的限定的というふうに考えております。

こうした中で、アメリカの中央銀行でありますFRBでございますけれども、昨年夏以来、慎重なペースで金利引上げを行ってきております。今後も適切なマクロ経済政策運営がなされていけば、インフレなき持続的な成長が期待できるというふうに思います。ただ、原油価格が高騰していることでもございまして、そうした影響も含めて注意深く見ていきたいというふうに思っております。

一方、中国でございますけれども、二〇〇四年の実質GDP成長率がプラス九・五%と高い伸びを記録しております。特に、輸出と並びまして大きな牽引力となっています固定資産投資、設備投資につきましては、当局の過剰過熱抑制措置により、ひところに比べますと幾分緩やかになっておりますけれども、引き続き非常に高い伸びを示しておるということでございます。

この間、不動産や建設関連など一部の分野では過熱が懸念されるということでございまして、こうした投資の過熱は原油などのエネルギーや資源需要の増大につながっているという面がございます。このため、電力業などでは供給が追い付かず、ボトルネックが生じるということで、部門間のアンバランスも目立っております。

中国当局は、こうした情勢を踏まえまして、成長がよりバランスの取れた持続性の高いものとなりますよう、インフラ整備などの投資は引き続き促進します一方で、過熱感の強い分野での投資については抑制措置を講じているというふうに考えています。

日本銀行としましては、中国当局による一連の政策対応が所期の効果を上げることを期待しつつ、今後の帰趨を注意深く見守っていきたいというふうに考えております。

○舛添要一君 ありがとうございました。

我々、政治の立場から、中国の都市部と農村部の格差、中央と地方の格差、いろんな、公務員の汚職、こういうことで、胡錦濤政権の行方がどうかということとも絡みまして、中国のバブルというか、そういうことにならないで、うまく安定的に成長していける状況を探りたいというふうに思っています。

最後に、福井総裁、先般、三月十八日に平成十七年度から二十一年度の中期経営戦略を発表なさいましたけれども、この発表の意図を最後にお述べいただいて、私の質問を終わります。

○参考人(福井俊彦君) お答え申し上げます。

一般の民間の企業では極めて常識的なことかもしれません。中期経営計画というふうな形で、資源再配分を図りながらいい経営をしていこうというのは常識化していると思いますが、日本銀行で今までそういうことをやったことはございませんで、実は今回初めて中期経営戦略というものを作りました。そのきっかけはやっぱりこのペイオフ完全解禁、ここが非常に大きなターニングポイントだという認識が実はございます。

やっぱり、何と申しますか、一九八〇年代以降、世界経済の大きな潮流変化に日本経済全体が適応するのに大変苦労してきた、一言で言えばそういう時期だったと思いますが、その様々な苦労を経てようやくこのペイオフを全面解禁をするところまでこぎ着けたと。ここから先が大事で、ここから先、本当に前向きにすべての我々の力を結集していいものをつくっていかなきゃいかぬという時期なので、日本銀行も中央銀行サービスを前向きにかつ質の高いものとして築き上げられるだけの体制をつくっていきたいと、こういうことが趣旨なんでございますが。

先ほどからもお答えしておりますように、日本銀行、金融政策、それから個々の金融機関に対する業務上のアプローチ、そしてそれを支える内部管理体制、実は三層構造で我々マネジメントやっています。その一番上のマクロの金融政策はデフレ脱却するまでは我々はスローアプローチだと、あくまで粘り強く後押しの力を続けると。もちろんマーケットは危機対応モードからだんだん前向きに変わってきているわけなんで、そこに対して我々は全く目をつぶるわけにはいかぬかもしれないが、我々のスタンスはあくまで後から付いていくと。しかし、二番目の個々の金融機関に対するアプローチは、先ほども申し上げましたように、ここでがらっと変えますと。これはもう明らかに金融の高度化を積極的に進めてもらわなきゃいけないので、変えますと。そして、それら全体を支える内部管理の体制は、やはり少し長い目で見て何が我々が本当に戦略的に必要な仕事か、そこに我々の持てる人的、物的資源を集中的にうまく移動させながら仕事をしたいと、これが基本的な趣旨でございます。

なぜ初めて中期と、五年というふうな刻みにしたかといいますと、やっぱり人的にも物的にも限られた資源をどういうふうに割り当てていくかということを毎年毎年度のこの業務計画でこれまでやってきましたけれども、やっぱりこれでは、じゃ来年はどうか、再来年はどうかということが分かっていないと資源の移動だって極めて抵抗が強いんです。この人間をこちらに移したいといったときに、今年だけの話なのか、五年先までにらんでもそうなのかというんで、うんと内部の人間の頭の中の構造が変わってこないとこれできませんので、そういう意味で役職員の目的意識をやや長いタームでしっかりとそろえていくと。

そして、何分にも今の時代ですから、日本銀行の仕事全体としてIT投資でしっかり抱えています。そして、人間はいつも再教育を施しながらでなきゃできないようになっています。IT投資とか人間の教育というのはやっぱり一年計画では何事も達成されません。少し長い目の計画を立ててやっていこうと、これが基本の趣旨でございます。  そして、毎年毎年の業務計画は、その五年計画のある部分を取り出して今年はやるという形のアクションプランという形にし、かつ年度が終わったら必ず後でレビューをして評価をすると。で、その評価の結果はまたレポートにして世間にお示しして、少しずつでも私どもの仕事に対する御理解と、でき得れば信頼をかち取りながらと、まあこういったことを考えているわけでございます。

○舛添要一君 終わります。ありがとうございました。

○広野ただし君 民主党・新緑風会の広野ただしです。  今日は、日銀総裁始め日銀の幹部の方々が見えておられますので、できるだけ国民の皆さんに分かりやすい言葉で、財金では時々もう専門的なことが非常に多いものですから、分かりやすいことでまたお話しいただきたいと、こう思うわけであります。

現下の経済情勢をいろいろとお話をする前に、今、戦後六十年という大きな節目であります。ですから、この戦後六十年を振り返って、政府あるいは日銀の経済政策というものを、あるいは金融政策というものを私なりに分析しますと、敗戦から立ち上がった最初の十年というのは、ある意味では大混乱の中からよくあの短期間に私は収拾した、そして日本経済の基礎をつくったと、こう思います。

そして、昭和三十年代の高度経済成長、そして昭和四十年前後に山一の破綻ですとかありまして、これはある意味で第一次金融危機のあれもあったんじゃないかと思いますが、日銀の特融等もあって見事に乗り切ったと。で、昭和四十年代、ドルショックもございました。そして、第一次オイルショックということで、昭和五十年前後。そしてまた、昭和五十四年、五十五年、八〇年前後のところでは第二次オイルショックと。こういうものを見事にある意味では私は乗り越えて日本の発展の基礎をつくってきたと思うんです。

ところが、最初の三十数年は良かった。だけれども、八五年、一九八五年から、プラザ合意の後、バブルの、バブル景気というもの、これのところの日銀の政策、そしてまたバブルが終わった後の急速な引締め、これは特に三重野総裁の私は責任というのは物すごくあるんじゃないかと、こう思っておりますが、その後、自民党を中心とする政権による、特に橋本内閣の大変な経済政策の失敗で大変な金融危機にまで陥ってきたと。その後始末を今ずっとやっているんだろうと思うんですね。そういうことで、特に後の十数年、私は非常に政府とまた日銀の大きな責任があるんではないのかと、こう思っているわけです。

ところで、そのことについてのコメントはまあいいんですけれども、現状、先ほどもいろいろとありました。踊り場だということですけれども、この踊り場から階段を更に上がるのか下がるのか、極めて今難しい状況にあるんだと、こういうふうに私は認識しておりまして、特に先ほどからもありましたデフレの脱却がなされているのかどうなのかというところですね。デフレに対してどうなっているのか。今まではデフレスパイラルということで、その危機的なところは防いだということでありますけれども、なお、名目成長率と実質を比べますと、実質ではなかなかいかないという状況になっているところを考えますと、デフレというものについて現状をどう認識しておられるか、日銀総裁に伺います。

○参考人(福井俊彦君) デフレの状況は今なお続いていると。デフレの状況が続いているということは、人間の体温に例えれば体温がまだ少し低いということですから、日本経済の基礎的な体力の回復は課題がまだもう少し残っていると、まあ端的に言えばそういうことだろうと思いますが、もう少しこのデフレの中身について子細に物を考えませんと、委員おっしゃったとおり、どういうふうに脱却していくかというところの姿が見えないわけでございます。

バブル経済崩壊の後、かなり長い期間、少なくとも一年半ぐらい前までの間はやっぱり需給ギャップが非常に大きいと。過剰な供給圧力、そして需要の異常な減退、このはざまで物価が非常に下がったんだというふうに思います。そのときに、先ほども申し上げましたけれども、金融不安というものを大きく内包していましたものですから、人々が悪く予想すればもう限りなく悪く予想できるというふうな状況であったと思います。

そういうふうなデフレと比べますと、今はデフレの中に金融不安という大きな悪性の種というものをかなり程度を低くして見れるようになったということと、それから過剰な供給圧力、それから異常に低い需要のレベル、この問題も最近の緩やかな景気回復の歩調の中でかなりそのギャップが縮まってまいりました。企業のリストラが進んで、過剰設備の調整が進んで供給圧力が減っているというほかに、やはり着実に景気が回復しつつある中で需要も緩やかに回復してきているということからそれが進んできているということであります。しかし、なお若干の需給ギャップが残っているという点が一つでございます。

しかし、もう一つは、より前向きの要素もありまして、やはり将来に向かって、企業が最近設備投資もかなり行っておりますけれども、そのイノベーションの力もかりながら、生産性を伸ばす力が徐々に付いてきていると。一方で、中国その他、厳しい海外からの競争に打ちかっていくために国内では引き締まった経営をしていくと。特に賃金コストの抑制というふうなことで、企業はその努力の手綱をかなり強く締めたまま経営を進めているというふうなことがありまして、これは生産性の上昇といい、賃金の抑制といい、いわゆる単位当たり労働力コストを下げるということからデフレが続くというふうな要素が来ております。

これは、結局、その最終的なゴールは景気の持続的な回復力がより強まると、潜在成長能力よりも少しでも高めの成長率が安定的に実現できるというふうなことになりますと、残りの需給ギャップは完全に解消する。そして、賃金を抑えっ放しというわけにはいきませんで、賃金についてもある程度上がってくると。既に日本の賃金の動向を見ていますと、ほぼ下げ止まりと、下げ止まりになったことは確実だと、これから少しずつ上がっていく可能性の方が強くなってきている。

そういうふうに、やはりデフレ脱却の筋道というのは、今の経済を今のこの踊り場局面から脱却させ、その後そんなに高い成長でなくても着実な成長軌道に乗せていくということと裏腹の関係でデフレからの脱却の道筋が明確に見えてくるだろうと、こういうふうな筋立てで今考えているところであります。

○広野ただし君 そこで、石油の問題ですが、先ほどもありました。しかし、この石油のものが非常に限定的だと、こうおっしゃっておるんですが、一次エネルギーにおける石油の役割というのはぐっと下がってきましたけれども、相変わらず五〇%あるんですね、原子力等を全部入れましても、あるんです。

ですから、私は石油のことはやはりなかなかゆるがせにできない問題だと思っておりますが、デフレ脱却という観点から、どうも日銀筋では割と価格上昇、石油価格上昇容認論なんじゃないだろうかと。それはデフレ脱却にある程度好影響をもたらしているというふうに見ておられる節はありませんか。

○参考人(福井俊彦君) 我々の頭の構造もそれよりはもう少し複雑にできているんではないかというふうに思っております。

もちろん、単純な物価の動きとしては、石油価格が上がったときに国内で川下段階の物価にどういうふうに波及し、計数としての消費者物価指数がどういうふうに上がるだろうかということは、もちろんその物価の分析、物価のその数字の分析としてはいつもやっていることであります。

しかし、この点は、最近までの状況を見ましても、原油価格がかなり上がっても、先ほど申し上げましたとおり、企業においては国際的な競争を強く意識して、単純に最終段階の物価を引き上げるというふうな企業行動に出ないと。また、出なくても、単位当たり労働力コストが下がっている等々のリストラ効果によってこれを吸収できている、あるいは生産性上昇によって吸収できているというふうなことで、そういう意味でのデフレ脱却というふうなこと、それに大きく依存しなければデフレ脱却できないというふうなシナリオということを想定していないわけでございます。

むしろ油の値上がりについては、日本はエネルギー効率のいい国でありますけれども、世界全般を見てみると、効率の悪い国は明らかにこれは成長減速要因になるわけですし、そうでなくても、アメリカのようにエネルギー効率のいい国でも、これがインフレリスクというふうに出てまいりますと当然市場金利が上がる、あるいは場合によっては政策金利も上げなきゃいけないというふうなことになりますと、これまた経済全体をある程度シュリンクさせる要因になります。

そういうふうに、国際的な経済環境が変わりますと、日本経済がデフレから脱却していくために持続的な成長軌道にこれを早く乗せようというこの動きに対してもブレーキになるわけでありますので、油の値段が物価指数の単純計算上、仮に消費者物価指数を上げる方向に多少働くとしても、世界経済を通じて経済のスピードを減速させるようであれば、これはデフレ脱却を遅くする要因になります。

そういうふうに複雑な構造を計算しながら我々はデフレ脱却の推移を見ているわけですが、単純に油の値段が消費者物価を上昇するだろうという経路よりは、世界経済全体の成長経路に悪い影響がないかどうか、そちらの方により重点を置いて見ているということであります。

○広野ただし君 それと、デフレといいますか、その大きな要因で対外要因といいますか、これは隣の中国ですとか、そういう、BRICsと言われる非常に人口の多い、労働力の多い国々が今台頭をしてきている。これはかなり長くそういうところが台頭を続けるんではないかという中で、そちらに投資が取られるとか、あるいは非常に人件費の安い国々ですから、そういうところが足を引っ張るというか、このデフレ脱却の足を引っ張るというような要因もあるんではなかろうかと、こう思うわけなんですが、その影響をどういうふうに見ておられますか。

○参考人(武藤敏郎君) 御指摘のとおり、このBRICsを始めといたしますエマージング諸国の世界経済に占めるウエートというのは近年非常に高まってきているわけでございます。

ただ、長期的に見ますと、国際分業が深まっていくということを通じまして、これらのBRICs等の発展というものが、ひいては我が国の生産や設備投資の拡大という形で好影響を及ぼす可能性が十分にあるというふうに考えておるわけでございますが、確かにその過程では、御指摘のとおり、輸入品との競争が国内の既存産業との間で発生すると、こういうことがあるわけでございまして、それが総需要を弱めたり、あるいは物価が下落する要因になるということが観察されるわけでございます。事実、九九年から二〇〇〇年にかけまして、繊維製品中心でございますけれども、廉価の製品が中国から輸入されまして消費者物価を大きく下押ししたというのは事実として御承知のとおりでございます。  ただ、最近ではもう少しこの国際分業というものが深まりつつ、いわゆる深化しつつありまして、我が国の製品がより付加価値を高めまして、輸入品とのすみ分けといいますか、分業を進めていくと。そういう形で貿易が輸出輸入両面で拡大していくということ、そういうことが起こりつつあるのではないかというふうに思っておるわけでございます。そういう意味では、輸入品と国内品との間の競合という問題は確かにもちろんあるわけでございますけれども、ひところと比べますと大分薄れてきているのではないかというふうに考えております。

こういうエマージング諸国の工業化というものが我が国経済にどういう影響を及ぼしていくのか、我が国の物価にどういう影響を及ぼしていくのかということは、これ、これからも十分に注意深く見ていかなければならないというふうに思っております。

○広野ただし君 それで、超緩和政策、これが、先ほどありましたように、当座預金残高三十から三十五兆と、こういうのをずっと物価上昇がゼロになるまで続けると、こうお約束をされている。こういうことでありますけれど、ここのところで、そういう緩和政策を取っていくことについて今金融危機対応という面はかなり薄れてきたと。これからはデフレスパイラルを、デフレから脱却をするという側面というものが非常に大きくなってくるんだろうと思うんですね。

ところで、その対外要因というものが非常にあるときに、本当にその緩和政策でデフレ脱却に行けるのかどうかという点について、総裁、どう思われますか。

○参考人(福井俊彦君) BRICsと言われている国々、なかんずく中国を先頭に、やはり先進国の経済に対して、先進国のあるいは企業に対して大変厳しい競争条件を突き付けてきていると。したがって、日本だけではなくて、先進主要国において、なかなか、企業の段階でいえば最終製品の販売価格を非常に引き上げにくい状況になっている、国の経済全体としてはかつてに比べてインフレというものが起こりにくい経済になっているということだと思います。したがって、そういうエマージング諸国の競争圧力からくる物価へのプレッシャーというのは、ある意味で先進国共通だというふうに私は思っています。

ただ、日本はそういうプレッシャーの一番強い中国を含むアジア諸国に一番近い距離にいるし、経済的な取引関係も一番濃密だという意味ではそのプレッシャーをより強く受けているということは否めないと思いますが、少なくとも共通の現象だと。そういう共通の現象の中で、先進国の中で消費者物価指数が今なおマイナスのゾーンで走っているというのは日本経済だけだということも我々はしっかり認識しておかなけりゃいけないので、少なくともその部分はまだ日本経済自身が前に向かって進む活力がいま少し欠けていると、こういうことだというふうに思います。

これから将来に向かってその活力をいかに培養していくかということになりますと、人口の伸びが既に止まっている、これから減るというふうなことも前提に考えれば、ますます企業がイノベーションの力を強く付けて生産性を上げていく、この力を太くしていく以外にないわけですが、それは、その力を培養しながら日本経済をより持続的な回復のパスに乗せていくということと同じでありますし、そのことがまた同時にデフレからの脱却の道と裏腹の関係になるということも先ほど申し上げました。

したがいまして、これからの過程は、確かに、委員おっしゃいますとおり、信用不安を含むデフレスパイラルの心配のためにということではなくて、デフレ脱却からの最終的な仕上げ局面として企業の前向きな活動を金融面からサポートしていく、そのために金融機関に対する我々の姿勢はここでがらっと姿勢を変えて積極的に高度化をサポートしていくと、こういうふうに切り替えたというふうに申し上げました。

マクロの金融政策はあくまで慎重に、金融機関に対しては強力に後ろから拍車を掛けたいと、こういうふうなことでございます。

○広野ただし君 なかなかこのBRICs諸国との、何といいますか、投資の、資源のある意味で配分について、どうしてもBRICs諸国に投資が回って国内投資にはなかなか回ってこない。特に、そういうことがまた地方に、非常に日本の国内地方に大きく影響を及ぼしていると私は思っております。ですから、なかなかこのデフレから脱却するということは非常に難しい状況で、景気は良くなってきているけれども、なかなか大変なものがずっと根っこに残っているということだろうと思います。

それで、先ほどもペイオフの話、解禁の話がありました。そういう中で、私はやはり大きな懸念材料というのは国内の地方だろうと思っております。地方の中小企業を始め、あるいは地方金融機関、信用金庫等が合併をして体質改善等をやっている。その努力もよく分かるわけでありますけれども、なかなか、金融政策あるいは経済政策の恩恵といいますか、そういうものがなかなか地方に行っていないと、こういうことだろうと思っております。

そういう中で、私は、日銀がもう少し地方に対しての力の入れ方、これをしっかりまだやっていかなければならないんではないかと、こう思っておるわけなんですけれども、各地方に支店があります。支店がありますが、これは三十二支店ですか。そのほかに、県に事務所も置いておられると、これは十四事務所ということであります。

きめ細かく各地域金融機関あるいは地方の経済というものを見ていくときに、金融庁というのは余り手足を持たない、財務局はありますけれども、手足がないんですね。そういうことからいうと、日銀がしっかりとそういうことをやってもらいたいと、こう思うんですが、この地方事務所というのがまた地方銀行の有力銀行のところに間借りしているようなことをやっているんですね。これではどうも、信金さんからいろんな相談を持ち込もうとか、信金さんの実態をよく分かってもらおうとか、そういうことにはなかなかならないんではないのかと、こう思うわけですが、地方について日銀がどうまた取り組もうとされているのか、また、そういう事務所というものについて間借りしているというのはいかにもおかしいんではないのか、ちゃんとしたところを借りなさいと、こういうふうに思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。

○参考人(稲葉延雄君) お尋ねの地域金融に対して日銀はどのような役割を果たしているかということについてまずお答え申し上げたいと思います。

日本銀行は、支店におきまして、取引先である地域金融機関との間で当座預金取引とか、それから国庫金の授受とか、あるいは銀行券の受け払いといった業務を行っておりまして、これは地域金融における欠くことのできない言わばインフラを提供していると、お金の流通、決済のためのインフラを提供しているというふうに考えております。

一方で、支店それから事務所も、職員もそうですけれども、考査あるいはオフサイトモニタリングといったことを通じまして金融機関の経営実態の的確な把握ということに努めておりまして、こうした地域金融機関が地域における金融サービスを適切に供給する、そういった取組をサポートしているということでございます。

今後の展開でございますけれども、地域金融機関においても今後は地域の顧客、企業、家計のニーズに適切にこたえながら創造的な業務展開というのを図っていく必要があると思いますし、そういった形で地域経済を支えていくということになると思います。また、そのためには、地域金融機関自身がリスク管理の強化とか経営管理の強化を図っていくと、こういうことが重要だろうというふうに思っておりますが、日銀としても、考査あるいはモニタリングといったようなものを通じましてこういった地域金融機関の努力をサポートする、そういうことで地域における金融サービスの向上に向けて貢献していきたい、こういうふうに思っております。

○参考人(小林英三君) ただいま、金融機関の関連につきましては、今、稲葉理事から申し上げましたとおりでございますが、私ども、地域におきましては、地域に根差した中央銀行サービスの提供ということで今度の中期戦略の中にも掲げておりますし、そういったモニタリング以外にもいろいろなサービスを提供しておるわけでございます。

そういう中の一つに、私どもの非常に重要な業務の一つといたしまして、私どもの日本銀行券を、支店のない地域におきまして、事務所の所在しております地元の有力な金融機関にお願いして、円滑な銀行券の流通ということを図っているところでございます。具体的には、そういう金融機関の金庫の一部をお借りしているというようなこともございますので、そういうようなことを安全、効率的にやっていくためにはそういった事務所を、私どもの事務所をそこの金融機関にお借りするというようなことを現在やっているところでございます。

ただ、ただいま先生御指摘のように、そういったことと私どもの地域へのサービス、あるいは考査、モニタリングといったようなことは、これは峻別してやっていく必要がございますので、そういったことにかかわらず、厳正、公正にやっていきたいと、このように考えております。

○広野ただし君 それと、準備金制度の対象にしている信金さんは預金残高が千六百億超になっていますよね。今、地方の信金さんを考えると必ずしもそこまで預金残高行っていないようなところもあるんですね。ですから、ペイオフ解禁というようなことを考えると、もう少しきめ細かくしていいんじゃなかろうかと思いますが、総裁、どうですか。

○参考人(白川方明君) お答えいたします。  先生御質問の件は、準備預金制度、金融機関が法律に基づきまして日本銀行が預かります当座預金の金額、この比率についてのお尋ねというふうに理解いたしました。

現在、先生御指摘のとおり、信用金庫について千六百億円というのが一つの基準になっております。これは、これまでも経済、金融の状況に応じまして預金準備率の区分を設定する際の資金量を見直してまいりました。現在、私どもこの資金量基準で適切であるというふうに考えておりますけれども、今後、経済、金融の状況に応じてどういう水準がいいのかというのはこれからも考えていきたいというふうに思っております。

○広野ただし君 特に地方の中小企業向け金融ということを考えますと、この信金というのは非常に大きな役割を果たしているんですね。中小企業金融がずっと下がってきていて、昔三百五十兆ほどあったのが今は二百九十兆ぐらいになっているんです、八十兆ぐらいになっている、公的金融機関も入れてですね。そういう中で、信金さんは二割から二割五分ぐらいまでやっているんですよね。そういうところに対するちゃんとした目配りというものをやっていきませんと、地方を大切にするとか言っていてもなかなかなっていないと、こういう点がありますので、そこを是非しっかりとまたやっていただきたいと、こう思います。

それと、ペイオフについて、先ほどもありましたが、外国銀行の在日支店というのが、これが対象外に現在なっております。これが七十一店あるんですかね、現在日銀さんと取引をしておられる。これは対象外になっておるわけですね、今ペイオフでは。そこのところは将来どういうふうになるのか。私は内外差別のないようなものにやっぱりしていかなきゃいけないというふうに思いますので、将来、やっぱりこれは、ペイオフ自身は日銀さんとのことでは直接的ではないと思いますけれども、どういうふうに考えておられるか、どなたかございますか。

○参考人(稲葉延雄君) お答えいたします。

預金保険の制度の問題だろうというふうに思います。  日本では外国銀行の支店におきます外貨預金は預金保険の対象外ということになっておるわけでございます。こういう下で金融システム全体の安定を図っていこうというのが現状の考え方であろうと思います。

ここのところについてどう見直すかと、いろんな論点があろうかと思いますが、それは現状そういうものだというふうに前提としまして、一方で外国銀行の支店の役割というのも日本経済において大事でございますので、日銀としてもそういった支店での業務あるいは金融サービスの提供の状況はどうかというのは考査等を通じて逐次点検しているところでありまして、今後ともそうした形で見守っていきたいというふうに考えております。

○広野ただし君 それでは、ちょっと論点を変えまして、日銀の財務というような観点から質問をさせていただきたいと思います。

日本銀行の資本金というのは現在一億円ということになっております。そして、その五五%を政府が持っておると、こういうことでありますが、この一億円というのは私は余りにも過少資本なんではないかと、こう思います。

これは、アメリカのFRBは九千六百億円、ドイツ連銀は三千五百億円、そしてフランスは若干あれですが六百四十億円、イングランド銀行は少しあれですが、それでも三十億円、こういうことであります。日銀さんは、いや、引当金とか剰余金があるんだからいいんだと、こうおっしゃるんだけれども、どうも私はこんな過少資本なのはやはり中央銀行としておかしいんではないか。

これは、法律でこうはしておりますけれども、やはりしっかりとした資本金を持って、例えばこれから数年のうちに二けた台、数十億円にします、その次は数百億円にします、その後は数千億円にしますとか、何らかの自己資本をしっかりとすると、資本金を。自己資本比率の問題と別ですけれども、これはもう一つ後でもう一回聞きますけれども、資本金についてどういうふうに思っておられるか、伺います。

○参考人(小林英三君) ただいま先生から御指摘のように、日本銀行の資本金は今一億円ということで、これは法律でそのように定められているということでございます。

中央銀行の資本金の在り方につきましては、確かに諸外国も含めまして様々でございますけれども、私どもといたしましては、財務の健全性という意味では、独り資本金ということだけではなくて、全体としての私どもの内部の留保というものとの関係でどうかと、そういうような観点で見ていくのが適当ではないかと考えております。

○広野ただし君 じゃ、この自己資本比率のことに入りますが、今、日銀の自己資本比率は七・何%ですよね、七・四パーか。それで、日銀の会計規程においても、自己資本比率は一〇%になることを目途として、おおむね上下二%の範囲になるように運営すると、こう会計規程でも書いてあるんです。そして、ほかの金融機関に対して、特にBISのところについては八%以上、あるいは一〇パー、十数パーと、こういう形で政府なりやってきている。日銀は、自分はどうなんだと、これは。これはちゃんとやるべきじゃないのかと私は思いますが、いかがでしょうか。

○参考人(小林英三君) 日本銀行におきましては、その財務の健全性というものを判断する指標といたしまして、先生がただいまおっしゃられましたような自己資本比率というものを算定しております。この自己資本比率というのは、日本銀行の場合には、資本金、法定準備金あるいは債券等の引当金というものを分子といたしまして、それを銀行券の残高で割ると、こういう格好ではじいておりまして、必ずしもリスクアセットベースでやっております民間金融機関と全く同じというわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、そういうような格好で自己資本比率を算定しておりまして、その運用の目標値といたしましておおむね八%から一二%と、こういうようなことで運営しているところでございます。

私どもの自己資本比率は平成十五年度末の時点で計算いたしまして七・三三%ということでございまして、ただいまお話がございましたように、その目標値を若干今下回っているという状況にございます。こういうような状況でございますので、私どもといたしましても今後ともこの自己資本の充実というようなことについては努めてまいりたいと、このように思っております。

○広野ただし君 それは是非早急に是正をして、そして、何といっても中央銀行なんですからね、銀行の中の銀行なんですから、そういうものをしっかりとしてもらいたいと思います。

それともう一つ、財務の中で国債ですね、国債の保有が非常に多くなってきている。これは財政規律にも非常に大きく影響する問題でありますが、現在、長期国債で六十七兆ですか、短期国債三十二兆、百兆円近くの国債を保有をしている。百五十兆の資産のうち、そういう状況であります。

現在、金利が安いし、こういう状況ですから、まあまだですが、いつ何どき金利が上がって国債が暴落をすることになるか分からない。そうしますと、日銀の財務を毀損する。現在は確かに含み益でどれだけかあります、国債は四千五百億ですか、昨年の九月末で含み益出ています。だけれども、これは政府の方でもそうなんですが、金利が一パー上がると金利支払が十兆円にもなるという大変な状況になります。ですから、国債が暴落をするというようなことになりますと日銀の財務が毀損すると、こういうことになろうかと思うわけですが、その点について、いかがでしょうか。

○参考人(白川方明君) お答えいたします。

現在、日本銀行は量的緩和政策の下で資金を潤沢に供給をしております。その際、金融市場から資産を買い入れる必要がございますけれども、その際、流動性が高くて安全確実な金融資産ということでどうしても国債が多くなってくるということでございまして、金額につきましては先生御指摘のとおりでございます。

中央銀行としまして適切に政策を遂行していく過程におきまして、財務面で何がしかリスクを負うということはどうしてもこれは出てまいりますが、一方で、先生御指摘のとおり、財務の健全性は、これは中央銀行として適切な政策運営能力を維持し、また国民の通貨に対する信認を支える上で非常にこれ重要であるというふうに考えております。

したがいまして、日本銀行としましては、政策運営に当たりまして財務の健全性確保という点にも十分配慮を怠らないようにしておりまして、御質問の保有国債の価格変動リスクにつきましても的確にこれを把握しつつ、適切な引き当てを実施するなど、手当てを講じておるところでございます。  いずれにしましても、先生の御指摘の問題意識は十分に踏まえて業務運営に当たっているということでございます。

○広野ただし君 ところで、今日は日銀の幹部の方々が見えておりますので、私は、円の国際化、やはり円、通貨の国際化ということを非常に大事なことだと、こう思っておるわけであります。

私は、やはり国際通貨として円がちゃんとした決済手段として、今貿易でいきますと全体のうち日本は一五パー、一四、五パーを占めております、国際的には。ところが、円建てあるいは円決済ということでは七、八パーです。半分ぐらいです。ですから、もっとこの円の通貨、国際通貨としての役割を高めなきゃいけない、こう思っておるわけなんですが、そういうときに、やはりドルとの関係あるいはユーロとの関係を取りましても、要するに一けたでないと駄目だと思うんですね。今は百円でこうやる。三けた。あるいは、こういうことでは、やっぱり新円というものを出して、新円、新しい新円が一ドル、あるいはユーロと一・一だとか一・二だとか、こういう形になって、国際通貨としての信認を上げていくということが非常に大切だと思っております。ある意味ではデノミなんですね、デノミだと思っておりますが。

そういう中で、それをやって日本はアジアにおいてアジア経済圏というものをつくっていくと。まあユーロだってずっとこうヨーロッパの方で大変な経済圏をつくってきている。ですから、日本も新円によって通貨圏をつくっていく、アジアにおいてつくっていくということが非常に大切なんではないかと、こう思っておりますが、デノミの決定プロセスについては日銀さんがすぐに、直接関与するわけではありません。だけれども、どういうような状況においてデノミが可能であるのか、また、そういうことについて日銀としては、まあなかなか日銀全体としてのお話というわけにはまいらないと思いますが、個人的な見解でも結構でございますから、日銀総裁、お話しいただければと思います。

○参考人(福井俊彦君) 委員のお言葉でお許しを得て、私の個人的見解ということになろうと思いますけれども、確かに、例えば円とドルとの関係を見ましても、一ドルに対してこちらは三けたの数字で今対応していると。一けたの数字で対応した方がより分かりやすいではないかというのはおっしゃるとおりだと思いますし、したがって、日本におきまして時々デノミの必要性についての議論が繰り返されてきているということは、そういうところにあるというふうに思います。

ただ、一方で、私ども、国民の皆さんが本当にこの問題についてどれぐらいの切実性を持って感じておられるかということもずっと伺っているわけなんですけれども、実際にこの一ドルに対して三けたの数字で日常取引をしていて、非常に日常生活で差し迫った不便があるとか、あるいは内外の取引で非常に大きな支障があるというところまでのお気持ちもないというふうなことで、なかなかこれが喫緊の課題として浮かび上がりにくい状況が続いているのではないかなというふうに思います。

実際にデノミを行おうといたしますと、意外に経済生活に対して大きな影響がありますし、それを実施するための社会的なコストというふうなこともありますので、将来にわたってそうした点を十分検討を尽くしていく必要があるんだろうというふうに思います。

委員のお尋ねは、同時に円の国際通貨としての役割をもっと強めていくという最終的なねらいを持って今お話をいただいたわけでありますけれども、その点につきましては、私ども通貨当局として責任の大きな一端を担わせていただいております立場からは、これは私どもも強い意識を持って考えているところです。

ただ、こちらの方のアプローチは、あくまでやはり日本を中心とした国際的な経済関係の相互依存性、特にアジア経済との間の相互依存性をもっと自然に強めていくと。余りにも米国の市場に大きく依存した経済というところから、アジア経済と日本経済との相互依存関係がもっと強まっていくということが第一の条件だと思っています。しかし、これはかなり進んでいます。十年前に比べますと、日本の全世界に対する貿易のウエートはやっぱり対アジアのウエートが物すごく急速に大きくなっています。今後もこの傾向はしっかり続いていくだろうということが間違いないというふうに思いますし、その中で円の価値についてやはり十分信認を得ること、そして円のお金、そして円の取引が主として行われる日本の金融・資本市場の使い勝手の良さと、こういったところをしっかり磨き上げていくということがおのずと円がより広く使われる道に実態的に通じやすいんではないかというふうに思います。

デノミというのも、その途上で国民の皆様方のその必要性についての認識が高まっていけば、一つの要素として入ってくる可能性は確かにあると思いますけれども、デノミだけで円の、何と申しますか、国際通貨としての機能を高めていくという推進力そのものはデノミだけではそんなに大きくならないかもしれないというふうにも思っておりまして、やっぱり実態的に経済の相互依存関係を強める、円の価値をしっかりさせる、そして円の使い勝手を良くする、最も地道な努力からもっと成果を上げていくべきだというふうに思っています。

○広野ただし君 円のやはり決済性というか、信認というか、そういうものを非常に高めていって、やっぱり経済の実態に合ったそういう円の流通性というものを、国際性というものを持たせなければならないと、こう思っております。そうしませんと、いつもせっせせっせと働きながらドルをためても、大変なドルの暴落で大損をこくということを繰り返しておるわけで、やはりしっかりとした円をつくっていかなきゃいけない。そのことは、私は、特にデノミをやるときは物価が極めて安定的なときに行うのがいいことだと、こう思っております。今は金融関係、危機的な状況を脱したばっかりですけれども、物価は超安定であります。こういうときにこそデノミの論議を深めていかなければならないと、こういうふうに思っております。

それでは終わります。

○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉です。

まずは、私の地元、福岡県西方沖地震で災害に遭われました被災者の皆さん、そして今もなお避難所にいらっしゃる皆様に、一刻も早い復興をお祈りしております。

それでは、まず日本銀行の政策に対して質問させてもらいます。  日本銀行の量的金融政策は五年目を迎えました。この間、金融危機、デフレスパイラルを回避することができましたので、このことは非常に有効な政策であったということで、日本国内、そして海外でも高く評価されております。  この政策というのは、ゼロ金利でどんどん資金を出す、じゃぶじゃぶ資金を出すということで、非常事態の政策としては有効かもしれませんが、平常時の政策としては様々な副作用があると考えています。また、この政策を長く続けましたら、実物景気を底上げすると、こういった目的も、別の目的、それは日本国債のファイナンスを低利で安定的にやると、こういった政策の転換がなされているか、こういった思いです。

私は、量的金融政策をこのままずっと続けましたら、いわゆる日銀のフォアグラ政策、こういったことを行っていると思います。

福井総裁は、フォアグラ、お好きですか。恐らくは、パリ駐在もう長いということで、またパリ駐在事務所の存続のために尽力をなされているということで、お好きじゃないかと思っております。実際、フォアグラといいますと、実はガチョウに無理やりえさを食べさせる、無理やり口にえさを入れて、これでもかこれでもかと詰め込む、そして肝臓を肥大させると、それがフォアグラです。

実は、このことこそ、今、日本銀行が行っていることじゃないかと思われます。つまり、資金をゼロ金利でどんどんどんどん供給する、札割れを起こしても供給すると。ガチョウというのは日本経済若しくは金融です。もう要りませんと。五年前でしたらやせ細っていましたからえさは必要でした。ところが、もうこのガチョウは肥満しています。じゃ、このフォアグラ、だれのためか。これはフォアグラを愛する政府、財務省だと私は思っています。

つまり、低金利で国の財政をファイナンスする、これが最大目的で、そのために様々な副作用が出てきているんじゃないかと。例えば、年金生活者、これは低金利で年金財源が破綻しています。五・五%の予定利率、これが実質金利が一%でしたら、相当の逆ざやです。これを十年間続けることによって年金財源が破綻したんじゃないでしょうか。また、利子生活者、こちらの収入が減ると。こういう形で国民は消費を増やすことができないと。こういった副作用に関して是非とも今回の討論で日銀の意見を聞きたく思っています。

私は、是非やりたいのは金融の正常化です。また、脱金融社会主義、このことに関して議論します。じゃ、既に舛添委員、広野委員の方から日銀のバランスシートに関しては質問がありましたので、非常に個別的なことを質問します。端的にお答えください。  まずは、長期国債買い切りオペの残高、これは端的に言いますと日銀の国債引受け金額です。この残高を日銀券発行残高より低く抑えるという政策を今後も堅持し続けるか。また、現在、月一・二兆円の国債買い切りオペの金額、これを将来引き上げることはないのか。是非これは福井総裁に、個人的な意見でも構いません。中央銀行の総裁としての思いも伝えてください。イエスかノーでお願いします。

○参考人(福井俊彦君) 私もフランス勤務の経験がありまして、率直に申し上げて、フランス料理は大好きですけれども、その中ではフォアグラというのはそんなに好きじゃないんです。

量的緩和を継続するために確かに大量の資金供給をしなければいけませんのでオペレーションをフルに動員していると。その中で、長期国債の買入れというのも一つの重要な道具として使い続けてきております。

これは、しかしながら、あくまで、フォアグラとおっしゃいましたけれども、本当に必要以上に、あり余るほどの流動性を供給するための手段としてやっているということでございます。あくまで政府の資金繰りのファイナンスを円滑化するためという趣旨から離れて、純粋に流動性を供給する目的でやっているということでありますけれども、やはり日本銀行のバランスシート、大きくなっておりますが、大きくなったバランスシートの中でも十分そのポートフォリオの組み方には工夫を凝らして、将来いかなる方向にも金融政策が機動的に転換し得るような備えというのはやっぱりいつもしていかなきゃいけないと。そういう意味で、長期国債の保有残高にはある限界を設けながらということでやっておりまして、それがいわゆる銀行券の天井ルールというやつでございます。

日本銀行としては、今後とも、金融調節面での十分なその対応能力、機動性というものを確保し、経済の健全な発展のために貢献したいということで、この銀行券の保有ルールというものは堅持していきたいと、こういうふうに考えています。

○大久保勉君 もう一つの質問は、月一・二兆円の国債買い切りオペの金額、これは堅持されるということでよろしいでしょうか。

○参考人(福井俊彦君) この毎月毎月の買いオペの額というものも政策委員会での了承の下でやっておりますけれども、私、今のポストに就任いたしまして以来、この額は増やさないでずっと続けてきております。恐らく、これは増やさなくて今後ともやっていけるんではないかというふうに考えています。

○大久保勉君 最近、例えば二〇〇五年二月の数字をチェックしました。日銀券の発行残高が七十二・二兆円、長期国債の残高が六十六・六兆円。先ほどの総裁の公約どおりになっています。しかし、実際はトリックがあります。今期短期国債の再乗換え債が六・八兆円あります。これを合計しましたら七十三・四兆円。つまり、逆転しているんです。つまり、日銀券よりも国債の残高が大きいと。

この再乗換え債という定義なんですけれども、これは、二年前に長期国債が償還しました。で、一年待ってほしいと。これが乗換えです。更にもう一年待ってほしいというのが再乗換えです。ですから、これは事実上二年債を購入しているのと一緒なんです。

ですから、長期国債プラス再乗換え分六・八兆、足したら日銀券残高を超えているんじゃないですか。このことに関して、私は、実態はこの公約をしり抜けしていると。つまり、財務省の圧力でこういうことをせざるを得ないと。もちろん、財務省の方は二〇〇八年の償還問題があるからということでおっしゃっています。  そこで質問ですが、この再乗換えは来年やらないか、再来年もやらないか、このことを是非、中央銀行の総裁の良心として、思いも伝えてもらったら有り難いです。また、短期国債の残高が急激に増えています。この辺りに関しましても何らかの上限を考えるおつもりはないか。このことに関して端的にお答えください。

○参考人(福井俊彦君) 昨年十二月の政策委員会におきまして、平成十六年度に乗換え引受けを実施したTBの一部について、この十七年度においてTBに再乗換えを行うということを決めたということは御指摘のとおりでございます。

政府の方のお話は過去の国債発行にはこぶがあると。したがって、それが償還期日が来た場合に国債の償還の集中ということがあるので、これは平準化したいという、こういうお考えでございました。

日本銀行といたしましては二つの考え、一つは、この政府のお考えについて日本銀行はどう受け止めるかということでありますけれども、市場のこぶをならすということは、日本銀行としてもそれは十分意味のあることだということであります。こぶを抱えたままの市場というのは、やはり金融調節あるいは金融政策を円滑に行っていく場合に必ずしも好ましい条件ではないということであります。

しかし、それならば、こぶをならすためには際限なく我々はそれに対する乗換え等々、応ずることができるかというと、そこがまたそうはいかないということがありまして、先ほども申し上げましたとおり、円滑な金融調節の遂行のために必要となる資産の流動性というのが自分のポートフォリオの方で十分確保できているかどうかと、ここは慎重に検討しなきゃいけないと。その点を十分検討した上で、昨年十二月は例外的かつ時限的な措置としてこれを実施するというふうに政策委員会で決めたわけであります。来年以降のことは全く今のところは白紙でございます。

いずれにしましても、毎年度、問題の必要性が生ずれば政策委員会において慎重に審議したいということでございます。

○大久保勉君 こちらは、政策決定会合といいますよりも、日銀総裁としてどういう意向かと。つまり、日銀のバランスシートをどうしたいかと、こういった大きな問題だと思います。

もしこれ、民間企業でしたら、貸出しの期限を一回延長します、もう一回延長します、これでしたら、金融庁の方は、これは破綻懸念先とか、そういうふうに考えるんじゃないかと思います。ですから、日本国といいましても、健全なる規律が必要と思います。特に、通貨の番人として、是非とも福井総裁の良心を期待しております。

続きまして、日本銀行は、この数年、金融政策運営として、先ほど何度も出ましたけれども、当座預金目標を少しずつ切り上げまして、現在は三十兆から三十五兆円になっています。しかし、今年、今月の六日の政策決定会合では全会一致ではなかったということ、これは舛添委員の指摘のとおりなんです。

そこで、質問です。今後、当座預金目標三十兆円を割ることがあるとしたら、日本銀行の政策転換、すなわち金融引締めを意味するのか、いや、これは技術的なものであるか、こちらに対する質問です。これはイエス、ノーで答えられると思いますので、お願いします。

○参考人(福井俊彦君) まず、その三十兆円を割るとしたらという前提には非常にお答えしにくいわけでございます。私どもは今三十兆から三十五兆円程度という流動性供給をし続けるということを基本のスタンスに今市場に対して臨んでいるということであります。かつまた、先々にわたっても、CPI、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上となるまで基本的にこの流動性を大きく、多量に供給し続けるという枠組みは維持すると、この前提の下での議論にならざるを得ないと思います。

昨日の政策委員会で出ました意見も、この枠組みは変えないという大きな前提の下で、しかし、金融市場の中で金融不安の静まりとともに流動性需要が後退してきていることに対して、これに対して日本銀行は受け身で最小限の調整をする必要がないのかどうか、した方がかえってこの枠組みを長く維持するためにうまく作用するのではないかと、こういう筋の議論でございます。

したがいまして、この先のことは、経済・金融情勢の変化と市場の変化、なかんずく流動性需要の更なる変化がどう出るかということを見極めないと判断できないわけでありますけれども、仮に今申し上げましたような筋合いで当座残高目標というものを数字の上で何がしかの調整をするといったような場合には、引締めということではなくて、実態的な緩和はそのまま維持しながら、この枠組みを長もちさせるための言わば技術的とも言えるアジャストメントであるというふうに理解されなければならない性質のものであり、我々がもし万一そういう措置をとる場合には明確にそういうふうに御説明申し上げなきゃいかぬというふうに思っております。

○大久保勉君 はっきり発言してもらいまして、よく分かりました。

実際、過去に、二〇〇一年から当座預金目標を切り上げておりますけど、いろいろ分析しましたら、二〇〇二年に十兆円なんですけど、これは恐らくは日本経済の景気の底が二〇〇二年の初頭ということで実体経済対策かなと想像できます。また、二〇〇三年六月にはりそな銀行の公的管理ということもありまして金融危機対策だなと。この残高が十五兆なんですね。それから、今三十兆から三十五兆、倍増しているんです。どうしてかということに関して日本銀行はなかなか説明を、ちゃんとした説明がなかったんじゃないかと思われます。  そこで、いろいろ調べてみましたら、ちょうど政府は二〇〇三年から二〇〇四年の三月まで十五か月為替介入を行っています。円売りドル買い介入等で約三十五兆円の介入をしています。そのときに日銀が打ち出した政策が非不胎化政策、つまり残高は増えてもそのまま維持しましょうと。ですから、これ自然に当座目標金額が切り上がっているのであって、これは技術的ですから、これを引き下げたとしましても金融引締めじゃないというのが私の理解なんですけど、これでよろしいんでしょうか。

○参考人(福井俊彦君) 量的緩和の推進、具体的には流動性の量的目標値の切上げの過程は一貫して一つの目標でございます。物価が継続的に下落することを防止し、持続的な経済成長のための基盤を金融面から整備するということ、それ以外にはございません。

その時々の政策決定会合の判断の中に様々な事象の変化を考慮して考えますけれども、その場合、毎回のように厳しく点検しましたのは金融システム面での不安要因の高まりということであります。今日も何回も申し上げましたけれども、日本のデフレの中には金融システム不安という大きな不安要因を内包しながらの大きな心配であったということでありますので、りそなのケースも含め、常にその点は重要な点検材料であった。しかし、重要な点検材料であり、それを内包したデフレのリスクということが決定的な判断要因であります。

二〇〇四年一月のときは既に景気が少しいい方向に向かっていたということであります。そのいい方向に向かっている景気の動きをより確実にするために、日本銀行の姿勢をここでほぼ最終的に姿勢を明確にしようというのが当時の趣旨であったというふうに思います。

委員おっしゃいましたとおり、たまたま政府におかれましてはそのとき為替市場においてかなり大量の介入政策が取られていたということでございますが、それはたまたま時期的に一致していたというふうに御理解いただくのが正しいと。もしあのとき為替市場において介入措置の必要がなかったケースであっても、日本銀行はあのときの緩和措置を必ずやったであろうということは疑いのないところでございます。

○大久保勉君 次に、かなり技術的な話なんですけど、先ほど金融危機は遠のいているということで、実際にジャパン・プレミアムというのは急速に解消しております。これまでジャパン・プレミアムが発生しましたら外銀がドルを供給する、その結果言わばマイナスの金利で円資金を調達しています。それを日銀にそのまま預けると。昨年でしたら、それが六兆円とか、そういった金額です。金融危機がなくなったということは、もうそういった金利裁定の余地がなくなりますから、五兆か六兆ぐらいあったものが、もしかしたら今年の三月末、現時点ではかなり減っているんじゃないか、その分日銀の当座預金残高が下げ圧力になっているんじゃないか、ですからなかなか三十兆を維持しようとしましても技術的に難しいんじゃないかと、こういう考え方があります。

そこで、質問なんですけど、外銀の当座預金残高、昨年二〇〇四年三月末と今年二〇〇五年三月末の残高を教えてください。

○参考人(白川方明君) お答えいたします。  外国銀行が日本銀行に預けています当座預金の残高でございますけれども、昨年三月末が五・四兆円、本年三月末が二・八兆円でございます。したがいまして、この一年間における変化幅としましては二・六兆円の減少ということになります。

○大久保勉君 といいますと、二・六兆円当座預金残高が減っていますから、二・六兆円資金を供給しない限りは残高が減ってしまうと、そういうこともありまして、札割れをしながら何とか資金供給オペをしていたと、こういう実態じゃないかと思われます。

また、ペイオフが、まあペイオフの影響は五月、六月になくなると考えられますし、また税上げの影響で五月末から六月末、相当資金は減っていきますから、こういった季節的な影響を考えましたら、もうそもそも三十兆円の当座預金残高維持というのは難しいんじゃないかと思われますけど、この点に関しまして日本銀行のお考え方を教えてください。

○参考人(白川方明君) 先行き五月の半ばから六月の上旬にかけまして税上げあるいは国債発行など財政資金の動きに伴います大幅な資金不足が見込まれております。したがいまして、この面からオペによる資金供給を増やす必要があるということは事実でございます。

委員御指摘の、御質問の日銀当座預金の残高目標でございますけれども、この点につきましては、今後の金融政策決定会合におきまして経済・物価情勢や今後のオペの状況も含めた金融指標の状況を踏まえまして決定していくと、こういうようになってまいります。いずれにしましても、市場動向を十分に見極めつつ、きめ細かな金融市場調節を行っていきたいというふうに考えております。

○大久保勉君 それでは、極めて重要になってきますのが資金供給オペ、これがどの程度実現できるかと。現在、資金供給オペの期間、一年未満ということになっております。実際に札割れを起こした場合に期間をどんどん長くしながらゼロ%の資金を供給していると。当然ながら、一か月のゼロ%の金利よりも一年のゼロ%の資金の方が魅力ありますから期間を延ばしていくと。じゃ、無理やり資金を供給するためにこの期間を一年未満から二年、三年と延ばしていくことはないんでしょうか。これはもちろん政策決定委員会のマターと思いますけど、こういった考えに関しまして福井総裁の考え方を是非教えてください。

○参考人(武藤敏郎君) 御指摘のとおり、金融機関の流動性減少という下で札割れが発生しておりまして、そういう事態の下にあるわけでございますけれども、まあいろいろの金融市場調節手段を活用することによりまして三十兆から三十五兆円程度という当座預金目標残高は現在維持できているということであります。現在のところ、この今御指摘のありました手形買入れ期間を一年超に延ばすという必要性はないというふうに考えております。

今後、仮に当座預金残高目標を維持することが困難になった場合にそれをどう考えるのかという御質問かと思いますけれども、これは先ほど来るる総裁の方から御説明のありましたような今後の量的緩和運営にかかわる事柄でありますし、また、今後の経済・物価情勢あるいは金融市場の動向といったような、そういうデータの推移にもよるわけでございまして、そういうものを見ながら、今後、政策決定会合の場でこれも十分議論をした上で判断をしていくということになろうかと思います。

○大久保勉君 続きまして、いわゆるフォアグラ政策の副作用ということで、いろんな問題があります。

一つは、先ほど申し上げましたように、利子生活者若しくは年金に影響すると。それ以外に、問題点としましては、いわゆる資産市場の過剰流動性発生の可能性、また為替の円売り介入、ドル買い介入と相まちまして、世界的な過剰流動性を日本銀行の政策がつくり出しているんじゃないかと、こういった懸念がございます。

この点に関しまして、今月六日の政策決定会合でも議論されたと聞いておりますし、また二月二十八日の内外情勢調査会におきまして、福井総裁自ら、量的金融緩和の継続により、最近、信用スプレッドの縮小、イールドカーブのフラット化が行き過ぎていて、市場のリスクに対する認識が希薄化しているといった意味合いの発言をされております。具体的に解釈しますと、これは、信用スプレッドが縮小して、投資先に困った銀行、保険会社がREIT市場に資金を投入する、またアパート向けのノンリコースローンに投入する、実際これは行われております。こういった言わばバブルが発生しているんじゃないかと。

また、このことを通じまして都市部に資金が流れ、都市の地価は上昇に転じていると。実際、これは、最近発表されました公示地価が大都市圏で底打ちが鮮明になって、また東京都心五区では地価が上昇に転じていると、こういった現象があります。

これは景気をてこ入れするために重要なことだと思いますが、ところがこの政策によりまして、東京はいいんです、ところが地方の方は切捨てにならないか、こういった懸念がありまして、この辺に関しまして、現在の量的金融緩和による過剰流動性の発生の問題、若しくはもし発生していた場合に、東京と地方の影響、この辺りに関して日本銀行の御所見をお教えください。

○参考人(福井俊彦君) まず、量的緩和政策の効果の方を改めて確認さしていただきたいと思いますけれども、やはり消費者物価指数を基準とするこの約束に沿った量的緩和政策を堅持しているということの効果の面、効果の面としては、その潤沢な資金供給が金融市場の安定とか、あるいは緩和的な企業金融環境の維持という点に寄与し続けておりまして、民間の経済活動を金融面から支援していると、この役割はしっかり果たし続けているというふうに考えています。

また、明確な約束と申し上げましたが、この約束があるということで市場金利が安定し、その下で企業が引き続き低利での資金調達が可能となる環境が整えられている。これからデフレ脱却へ向けて非常に大事な局面にあって、企業の前向きの行動、そしてこれからはペイオフ解禁を終えた金融機関の前向きの行動が平仄の合う形でいい効果を出していくように、この今の政策はより強い効果を示していくであろうと、こういうふうに考えています。そう申し上げました上で、日本銀行といたしましても、量的緩和については効果の面と副作用の面、常にその両面をよく点検しながら行動し続けてきているということでございます。

今委員御指摘のとおり、様々なことをこれ点検し続けなければいけないわけですけれども、すぐ目の前に浮かぶことだけでも、家計等の利子収入が減っている、あるいは年金などの機関投資家の運用難が厳しく続いているというふうなことがありますし、短期金融市場での取引の減少とか市場機能の低下といった副作用の問題が現実に指摘されているわけですので、それがどの程度のものかということは絶えず私どもも気にしながら検討を続けているということでございます。

そのほかにも様々なこと、金融市場全般として少し楽観的な空気が流れ過ぎていないかというふうなことは、これは日本だけでなくて、今世界的に一つの懸念材料になっているということでありまして、日本銀行におきましてもその点は今後とも注意深く見ていきますけれども、今御指摘になられましたような過剰流動性がいろんな面で問題を起こしていないか、これはむしろ世界経済全体としての共通の点検事項として今後ともチェックが繰り返されていくだろうというふうに思います。むしろ、この点につきましては、特に一次産品市況などへの影響等につきましては、流動性の問題もあるでしょうけれども、基底的には世界経済の高成長との関係ということも十分吟味しなければいけない点だというふうに思います。

不動産価格の動きにつきましても、今後、将来に向かっては我々もなお入念にチェックしていかなきゃいけないというふうに思っておりますが、現状におきましては、日本においては不動産価格下落にようやく歯止めが掛かり始めているというふうな状況ではないかと。不動産価格の形成のされ方についても、バブル期とはもう根本的に変わって、やはり収益還元価格による不動産価格の認定ということが行われるようになってきておりますし、そうした価格をベースに様々な新しい取引が展開され始めているということでありますので、このこと自身は日本経済の将来にとって方向性は合っていると。それが行き過ぎたところまで行くかどうかということはこれからの重要なチェック項目だというふうに思っています。

○大久保勉君 続きまして、時間がありませんので次のテーマに行きたいと思います。  金融危機終えん後の日本銀行の役割に関しまして是非とも教えてもらいたい点があります。特に、金融の検査、考査、こういった問題に関しまして、言わば金融庁の役割、日銀の役割、市場の役割、こういったことに関して質問があります。

まず金融庁に質問しますと、金融危機回避又はペイオフ解禁に当たり、法制度の充実、預金保険制度の整備、そして金融庁における検査体制の充実がなされています。そこで、金融庁の現在の検査体制、また、その検査体制でカバーできない分野があるのか、日銀考査がないとカバーできないと、こういった点がありましたら御指摘ください。よろしくお願いします。

○政府参考人(西原政雄君) お答えいたします。  現在、我々、金融検査をやっておりますが、体制整備に向けて日夜取り組んでいるところでございます。やはり新たな金融取引、そういったものもどんどん出てきておりますので、そういったことにも目を向けていかなければいけないと、こういうようなこともございまして、金融機関の業務の健全性と適切性、これを確保するという観点から、我々としましては、非常に厳しい定員事情ではございますけれども、検査体制の整備のためのいわゆる定員の確保、こういった点について取り組んでいると同時に、一方ではやはり新しい金融業務、こういったことについての専門家、これも中途採用をしていくというような対応等々を取って今やっているところでございます。

そこで、金融検査とそれから考査、この点についてちょっと触れさしていただきますと、委員御案内のとおり、我々の検査と申しますのは銀行法等に基づいて行われるわけですが、信用秩序の維持あるいは預金者保護等々の観点から、各金融機関の業務の適切性あるいは健全性、これを確保するためにやっておるわけですが、リスク管理体制、そういったものの全般、あるいは法令等遵守体制、コンプライアンスということですが、そういったことの検証を行っているということでございます。

一方、日銀の方で行う考査でございますが、これは日銀法に規定がございますが、取引先の金融機関との契約、これに基づいて行うと。それで、決済システムの安定を確保する等の目的として、言わば金融機関に対する最後の貸手機能の発揮といったような日銀の業務、これを適切に実施するためにこれを行っていると、こういうことでございます。その際に、銀行等の財務の健全性を確認しつつ、特に流動性のリスク、こういったことを中心にリスク管理の状況について調査するものというふうに理解をいたしております。  そこで、今申し上げましたように、我々の検査というものと考査、これについては、法的な位置付けあるいは目的、それから検証の分野というのは必ずしも同一ではございません。そういうようなこともございまして、それぞれ完全に代替するということは、これは難しいのかなというふうには思っております。

ただ、共通性のある検証項目、こういったものもございますので、こういった点については我々よく連携を取りながら、例えば検査、考査の実施時期の調整とかいった点で重複をなるべく避けるような工夫、こういったものをやっておるわけでございます。今後ともそういった点で意思疎通を図っていきたいと、こう思っております。

○大久保勉君 よく分かりました。  それでは、日本銀行の方にお尋ねします。  こういった金融庁の検査体制に対して、日本銀行は何を目的に考査をするのか。その場合に、現在百名の日銀考査に関する人がいらっしゃいます。その陣容を増やすつもりか、若しくは減らしていくのか。

さらには、金融機関の立場から考えましたら、日銀考査はある、若しくは金融庁の検査あると、本当に効率的な市場でしたら一つの検査でいいんじゃないかと。また、重複する部分に関しましては委託するとか。

日銀考査に関しましては、市場重視でしたら、格付機関の格付を利用しまして、やっぱり非常に格付が悪くなる若しくは市場で流動性危機等の個別の問題が発生すると、こういった場合にのみ考査をする、こういった効率化というのは考えることができないのか。この点に関しまして所見を伺います。

○参考人(稲葉延雄君) 日本銀行の考査に関しましては、先ほど金融庁の方からのお話もありましたが、決済の安定の確保を通じまして信用秩序の維持に貢献すると、こういう役割になっておりまして、その際に、その必要に応じて最後の貸手機能等を適切に発揮する、そのための手段として考査を活用してきているということでございます。言ってみますと、日本銀行が最後の貸手としてぎりぎりの判断をするときに、やはり日本銀行の目で金融機関の実態をしっかり認識し、その機能を適切に発揮するということが必要なんだろうというふうに思っております。

そういうことで、今後とも考査を活用しながらやっていきたいと思いますが、先ほど金融庁からお話がありましたように、検査との比較において申し上げれば、流動性のリスクとか決済のリスクといった管理の体制をよく見るとかいう面でも大きな作業がありますので、必ずしも一元的にやるということはなじまないと思いますが、他方で共通の作業というのもございますので、これなどはうまく配慮しながら金融機関の負担軽減に配慮してやっていく必要があると思います。例えば、貸出し資産の査定などといったような面におきましては同じマニュアルに準拠してやるといったような作業、配慮が必要かと思っております。

いずれにしても、そういうことで、日銀法に規定されているそういった日銀の役割を果たすために考査は不可欠な手段でありまして、それをしっかりやるということで日銀としての役割を果たしていきたいというふうに考えております。

○大久保勉君 これで終わります。ありがとうございました。

○委員長(浅尾慶一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。

午前十一時五十五分休憩

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午後一時開会

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。

休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について質疑を行います。

質疑のある方は順次御発言願います。

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。どうかよろしくお願いいたします。  午前中も様々な議論がございまして、私の方はまず日銀短観につきましてお伺いしたいと思っております。

総裁からも、午前中、賃金につきまして下げ止まりという御指摘もございまして、これから上がっていくのではないかというような御指摘もあったと記憶しておりますけれども、まず、今回のこの日銀短観における労働市場、特に雇用判断DI、これを見ていくと、全産業ベースでバブル崩壊後初めてこの雇用判断DIが過剰から不足へと転じたということが非常に大きな特徴の一つかというふうに思っておりますが、まず総裁の方、この現下の労働市場の需給につきまして、こうした雇用判断DIを見ながら、どのような見方をされているか、お聞かせ願えますか。

○参考人(福井俊彦君) グローバル化が著しく進展しております先進国の経済の特徴として、景気が回復したりあるいは拡大してもなかなか雇用面の改善に過去と比べればつながりにくい、こういう特徴を引きずりながら動いていると思います。日本経済も全く同様でございます。

現在の景気回復の局面におきまして、企業部門で生産が増え、企業所得が増え、そして次の企業投資が増えるという、この一つの好ましい循環メカニズムのほかに、もう一つは、やはり雇用が増え、そして雇用者所得が増え、消費につながるという、もう一方の循環メカニズムもしっかりしてくるということが非常に重要な要件であります。

したがいまして、この後の点について私ども非常に注意深く状況を見守ってまいりましたけれども、少し後ればせではございますが、やはりこういった雇用面の改善、着実に進展し始めている。委員御指摘のとおり、短観の雇用過剰感というのはごく小幅ながら、約十二年ぶりだったかと思いますが、不足超に転じたというところに典型的に表れていると思います。

雇用だけでなくて、雇用者所得の面でも明確に下げ止まったと、これからは緩やかに上がっていく可能性の方が強いと見ておりますので、現在の景気の踊り場状況を脱し、着実な景気回復につながっていく上の一つの重要な条件が今回の短観で、この場所において確認されているというふうに思っております。

○西田実仁君 今後についてでございますけれども、今御指摘の景気循環的な意味での雇用の需給の、まあ逼迫というほどではないでしょうけれども、過剰から不足へと転じたということは、循環面でもございますけれども、同時にその構造的に、生産年齢人口がこれから急速に、団塊の世代の引退ということも現象的にはあるわけでございますけれども、生産年齢人口の急速な高齢化ということを背景にした労働市場のこれまでとは異なる面もあろうかと思いますが、今後について、この労働市場の今後についてどのような見方を現在されていますでしょうか。

○参考人(福井俊彦君) 日本の労働市場は、ずっと以前の段階で大方が認識しておりましたその労働市場の硬直性という点は、実際、事態の進展の中で、意外に日本の労働市場は弾力的あるいは流動的な面があるということが次第に確認されてきたと思います。今後、人口動態の変化、特に労働力供給態様の変化ということが今後の日本経済の成長経路あるいはダイナミックス形成の上で非常に重要なポイントだと、御指摘のとおりでございます。

高齢者に対しても様々な形で新しい労働機会が提供されていかなければならないということが一方であると思いますが、若年労働者に対しては、より生産性が上がるように、技術的な、あるいは、単に技術ではなくて、より広く知識、創造が可能になるようなイノベーションを身に付けるというふうな労働者教育ということが非常に重要になってくるというふうに思っております。

○西田実仁君 この労働市場の変化に加えて、物価を見る場合には特殊要因も見なきゃいけないだろうと思いますけれども、一つ、CPIが一部注目されているというか、そこに着目して金融政策を取っているわけでございますけれども、この特殊要因ですね、特に公共料金等の引下げがこのCPIに与えている影響、これについてはどのように見ておられますでしょうか。

○参考人(福井俊彦君) 最近では、委員御指摘のとおり、電力料金とか電話料金とかいうふうなところが言わば特殊要因という形でCPIを押し下げる要因になっております。  特殊要因ということではございますけれども、これは規制緩和を背景とするものでございます。日本経済がこういったグローバル化進展の下での厳しい環境の中できちんと力を発揮していくために必要な規制緩和、その結果として起こる、従来硬直的であった物価項目が動くようになって下がるということは、これ全体を含んで実勢としての物価水準を我々は把握しやすくなったということだと思います。

したがいまして、特殊要因だからといってこれをいたずらに除外して判断するというよりは、むしろこれを含んで実勢の物価の動きがどうかというふうに認識していくのが基本ではないかというふうに考えています。

○西田実仁君 そうすると、特殊要因であるからそれは省いて、この特殊要因分を除いて物価の基調がどうなっているかという見方はしていないということでしょうか、確認ですけれども。

○参考人(福井俊彦君) 物価全体の水準としての実勢を見る場合には、余り特殊要因だからといってこれを排除しない方がいいというふうに私は思いますけれども、刻々と物価の、変化という意味では、特殊要因が介在してきますと、そこで屈折が起こります。したがって、変化としての趨勢はどうかというふうな場合、それを見ようとするような場合には、取りあえず一時的な屈折をもたらす要因というのは除外をして、実勢としてのトレンドがどういうふうに変化しているかというふうに判断するのも一つの価値ある見方でありますので、その点では両様用いなければならないというふうに思っています。

○西田実仁君 この四月、今月二十八日には展望レポートが発表されるわけでございますけれども、短観以降のいろんな指標を加味しながら検討していかれるんだと思いますけれども、この展望レポートにおきましては、やはり、今、冒頭御指摘申し上げました労働市場が発するシグナルというものは大変重要ではないかと私は見ておりますけれども、総裁、いかがでございましょう。

○参考人(福井俊彦君) 昨日発表いたしましたけれども、この四月の末から私どもが発表いたします展望レポートにおきましては、これをカバーする期間が、単に二〇〇五年度だけではなくて、二〇〇六年度、これから二年度にまたがった展望を出そうということになりました。

したがいまして、そういうふうな労働市場の構造的な変化も含むこれからの変化をきちっと織り込みながら、景気循環的な回復の動きがどうなるかということもしっかりとした土台の上に展望を描くことが可能になったのではないかと一応思っています。そういうふうに努力をしたいと思っています。

○西田実仁君 続きまして、午前中も議論ございましたけれども、札割れ、いわゆる札割れの意味するところにつきまして改めてお聞きしたいと思います。

これ、総裁の言葉をおかりして、午前中のお言葉をおかりしますと、金融システム不安を内包したデフレーションというのが収まってきつつあるんではないか、だけれどもデフレそのものは続いていると、こういうお話だったと思いますが、札割れそのものについては量的緩和政策の限界と指摘する声もある一方で、その実態を見ますと、やはり個々の銀行や金融機関が市場で独自に資金を調達できるようになったと、いわゆる金融システム不安が払拭されたということを意味しているんでありましょうし、金融機関同士での相互不信が解消に向かって、不測の事態に備えてそれほど積まなくてもよくなったと、このように理解しているわけでございますけれども、こうした理解でよろしいんでしょうか。

○参考人(武藤敏郎君) 正に委員御指摘のとおり、札割れというものの背景には、金融システム不安の後退という状況の下で金融機関の流動性需要が減少している、金融市場に資金の余剰感が強まっていると、そういうことが背景だというふうに思います。

したがいまして、そのこと自身は決して悪いことではなくて、むしろ金融システムをめぐる状況というものが大きく改善しているということの結果でもありますので、前向きに、そういう意味で前向きに受け取ることができるのではないかと思います。

もっとも、その札割れというものがこの量的緩和の当座預金目標残高維持というものに対して何がしかの影響を与えるわけでございますけれども、ただ、その観点から見ましても、今のところこの量的緩和の三十兆から三十五兆円という維持には支障がないと、そういう状況であるというふうには認識しております。

○西田実仁君 そうすると、そうした金融システム不安からくる様々なデフレーションというものは払拭されつつあるという基調からしますと、これは、こうした札割れは今後も増えるというか、札割れが生じるということは、今の基調でいきますと今後もあり得るということでしょうか。

○参考人(武藤敏郎君) 今後の状況につきましては、今申し上げましたその札割れの背後にある金融システム不安の後退、流動性需要の減少というものがどのように推移していくかということに懸かっているわけでございますが、現時点で見る限り、基本的に改善の方向に向かっているというふうに考えておりますので、その意味では札割れの現象というものが、これは頻度なり、それから起こるタイミングというのもいろいろ、必ずしも常時起こるということではないわけでございますけれども、そういう状態は続くということが十分あるというふうに考えておくべきことであろうと思います。

○西田実仁君 この札割れ現象の本当の意味ということで今お聞きしたわけでございますけれども、一言で分かりやすく言えば、非常時対応の量的緩和政策というのはその解消の機会をつかみつつあるというふうに理解しておりますけれども、総裁はそれでよろしいでしょうか。

○参考人(福井俊彦君) 金融システム不安を内包したデフレないしデフレリスク、そういう局面が変わりつつあるということは確かでありますが、一方で、これから本当にデフレを脱却していくために大事な経済全体としての前向きの動きが十分強まるかどうかと。強まりつつあると思いますけれども、まだ十分でないということでありますので、ここは現行の枠組みは維持しながら、民間部門の動きをしっかりサポートしていく必要はまだ大きく残っているというふうに思っています。

したがいまして、札割れ現象というものに対しては、場合によって何がしかの対応が必要になるかもしれないということではございますが、大量に流動性を供給し続けるという基本的なフレームワークは断固崩さないでデフレ脱却の目標を達していきたいと、こういう姿勢でございます。

○西田実仁君 では、午前中これも議論ございますが、量的緩和政策の功罪というのが当然あるわけで、功につきましては今いろいろお話しありました金融システム不安というものが払拭されてきたと、これは非常に一番大きなことだというふうに思います。

一方で、その副作用につきましても様々な指摘も既にあるわけでございますが、まず具体的な数字としては、この日銀の国債保有残高の直近値をまず確認をさせていただきたいと思います。

○参考人(白川方明君) 三月末、本年三月末の国債の残高でございますけれども、九十九兆一千億円、概数でございますけれども、九十九・一兆円でございます。

○西田実仁君 まあ百兆円に迫りつつあると、こういうことだろうと思いますが、これも確認ですけれども、結果的にこの日銀法が禁じている国債引受けにこれがつながっているんじゃないかというような指摘もあるわけですけれども、これについてはそうではないという、どういう説明になるんでしょうか。

○参考人(白川方明君) 現在、日本銀行は物価安定の下での持続的な経済成長の実現を目指しまして量的緩和政策を実行しております。短期国債を含めまして、長期国債の買入れは、そうした目的を達成するために、日本銀行の自主的な判断と責任の下、金融調節の一環として円滑な資金供給を図るべく今行っているものでございまして、これは財政ファイナンスを目的とするものでは、これはございません。したがいまして、日本銀行が多額の国債を保有しているということが例えば財政法の趣旨に反すというものではこれは全くございません。

それから、特に長期国債の買入れでございますけれども、これは中央銀行として先行きの金融調節面での十分な対応能力を確保するという観点から、日本銀行の長期国債の保有額が銀行券発行残高を超えない範囲でこれを実施しているところでございます。

○西田実仁君 三月末に日経新聞の「経済教室」にも須田委員が論文を書かれておりまして、危機対応モードを脱すべきときだという、脱すべきときというよりも、それを視野に入れるべきだという、そういう趣旨の論文を書かれておられますが、ここで量的金融緩和につきまして三点に着目をされて論文が展開されておりました。

私の理解の範囲でまとめますと、三つの異常が今起きているということを指摘されたんだと思っております。一つは、今ございましたとおり、資産規模が非常に異常に膨らんでいると、日銀の資産規模が異常に膨らんでしまっていると。二つ目には、長期金利が異常に低くなってしまっていると。そして三つ目には、コール市場が異常に縮小してしまっていると。須田先生はそのように、特に三つの異常とか言っていませんけれども、私が理解した範囲で言いますと、この三つの異常が今起きてきていると。

これをどう正常化していくのか、またそのときにどうコストを考えて、調整コストを中長期的にも見なければならないのかという御指摘だったかというふうに思っておりますけれども、一つ目のこの資産規模の異常な膨らみにつきましては今お話しいただきました。

二つ目のこの長期金利というのは、いろんな意味合いありますけれども、私の理解では、将来の期待収益率というものを示している長期金利が限りなくゼロに近づいているということは非常に異常であるというふうに思っているわけでございますけれども、その背景にはこの短期資金の供給オペ期間が大変長期化する、こういう中で長期金利も限りなくゼロに近づいてきている。欧州なんかに比べるとかなり長いということも指摘されているとおりでありますけれども、こうした長期金利の異常な低さということは、やはり総裁、これは量的金融緩和政策の一つの副作用のゆがみの一つとして考えていいものなんでしょうか。

○参考人(福井俊彦君) 債券市場の動きを見ておりますと、御指摘のとおり、長期金利の水準がかなり低くなっている、それから国債とその他民間債、あるいは民間債の中でもいろいろな信用度の違う債券の利回り格差というものを見ましても、その格差が小さくなっている。まあスプレッドが小さくなっているという言い方をしておりますが、そうした特徴的な現象が今市場に出ていることは確かでございます。

私どもの判断でございますが、今こうした相場形成あるいはスプレッドの動きを即異常な形成のされ方がされているというふうに即断はいたしておりません。まだ、それだけ日本経済の将来を多くの方がごらんになったときに、将来の期待成長率あるいは将来の期待インフレ率というものがそんなに高くない、むしろまだかなり低いんだと。したがって、そうした人々の多くの実勢判断というものを反映した相場形成という枠内にこうしたもろもろのイールドカーブの形成ないしはスプレッドの形成が行われているというふうに判断しております。

私どもの量的緩和政策、特にこれをCPIが安定的にゼロ%以上まで続けるというこのコミットメントが一番期間の短い金利からやや長めの金利に至るところまで下方に抑止力を持っているということも確かでございます。それがずっと長い長期金利にまでどれぐらい影響が及んでいるかは必ずしも検証できませんが、ある程度長い金利にまで下方に抑止力を持っているということは確かでございますが、私どもが注意しなければなりませんのは、そうした、何と申しましょうか、市場の金利の形成のされ方の中に、市場関係者の心象風景として、つまり心の底で、やっぱり刻々と変化する経済の動きが着実にこの市場に表出していくという市場本来のビビッドな動きを、これを鈍らせるような何か過剰な安心感を与えてはならぬと。この点だけは今後ともよく注意していかなければいけないということでございまして、現在ただいまの金利形成が異常だというふうな判断は必ずしも持っていないんでございます。

○西田実仁君 今後につきましては、一つはアメリカの金利が非常に上昇傾向にあると。また、日本におきましても、その長期の金利が期待収益率を表すとすれば、今政府が取っておる政策が成長をしていくということを前提とすれば、人為的に金利を低くして、長期金利もまあ結果的に低く抑えていくということもかなり難しくなるのではないかということも考えるわけですけれども、いかがでございましょうか。

○参考人(福井俊彦君) 長期金利は、日本経済自身の将来の期待成長率、将来の期待インフレ率の変化を正直に表すでしょう。そのほかに海外の金利の変動の影響も受ける。長期金利はかなり連動性を持って動くところがございます。そういうことがございます。しかし、私どもが注意しなければいけないのは、そうした実勢に基づく金利の形成のほかに、人々の期待が乱れてリスクプレミアムが大きく付くことによって長期金利の形成にゆがみが生ずるということをいかにうまく避けていくかということだと思います。

そういう意味では、日本銀行の金融政策姿勢、物の考え方、そして政策姿勢というものに対して、常に市場関係者に正しい理解を持っていただくということが大事でございますし、特に長期金利はそのベースに長期国債の利回り形成ということがございます。委員御指摘のとおり、日本におきましては大量の国債発行残高があるという状況ですので、財政規律が確固たるものであり続けるということがリスクプレミアムが不必要に大きく増大しないもう一つの非常に重要な欠かせない条件だというふうに思っています。

○西田実仁君 これも午前中に大久保委員からの御指摘もありましたが、今総裁が言われた市場に正しい理解をしてもらうということが非常に大事なわけですが、札割れが一時的に、まあ結果的に生じて、もうそれは技術的なものであるということがあって、その残高目標の下げは決して引締めではないんだという確認がたしかあったと思いますが、市場に正しく理解してもらうということになりますと、そういうふうに引締めだというふうに受け取ることもないとは言えないんじゃないかと。

そこで、そうした残高目標の下げを引締めと誤解されないために、むしろ物価安定目標を設けた方がいいんじゃないかというような指摘もございます。当時、もう御存じのとおり、アメリカのCEAの次の委員長バーナンキさんはインフレターゲット論の急先鋒というか、ということでもありますし、またグリーンスパン議長も、来年六月でしょうか、退任後につきましては、分かりやすい指標で金融政策を取っていくという傾向にアメリカは今あるわけでございますが、今申し上げました正しい金融当局の、当局の金融政策の意図を市場に知ってもらうために量的緩和政策から物価安定目標に分かりやすく変えていくという、こういう提案は幾度となくされておりますが、改めてまた総裁にお聞きしたいと思います。

○参考人(福井俊彦君) 目先、量的ターゲットの引下げということを具体的に考えているわけではありませんので、ただいまの御質問には非常に答えにくいんですけれども、仮にそういう市場の流動性需要の実勢的変化を余りにも無視し続けることがかえって量的枠組みの堅持ということと矛盾してくるというふうな場合に何がしかの調整をしなければいけない可能性というのは否定できないと思いますが、それはあくまで日本銀行が積極的に流動性を切り詰めていくということではなくて、市場実勢の変化のうち、何がしかを後追い的に調整させていただくというふうな極めて受け身の、何といいますか、後ろ回りの措置だと、そういうことを明確にしながらやらなきゃいけないだろうということが一つでございます。

それと同時に、足早の引締めということを感じさせるリスクというふうなことがもし御指摘のようにあるとすれば、将来にわたっての我々の政策経路ということをやはりより明確にしながらやっていく必要があるということは確かでございます。

その場合に、インフレターゲティングというのがどうかというのは、これまた私どもの感覚からいきますと即座にはお答えしにくい非常に難しい問題でございます。我々は、将来にわたる政策経路について予測可能性を強める、そういう意味でのコミュニケーションのやり方の工夫ということはこれまでもやってきておりますが、これから将来にわたっても幾重にもその工夫は積み重ねていきたいと思っております。

ずっと将来まで考えますと、インフレーションターゲティングというのは一つの選択肢かもしれませんけれども、今のところインフレーションターゲティングを入れるだけの諸条件が整いつつあるというふうには判断していないのでございます。もっともっと手前に様々な条件整備があるということで、今回も展望レポートのカバーする期間を一年から二年に延ばしたと。そういうふうに長い見通しの上に立って日本銀行がこの先の金融政策運営をどのようにしようとしているかということが、経済の見通しと我々の政策姿勢と両方重ね合わせてごらんいただけるようにしたいということでございまして、これは一例でございますが、今後ともこういうふうに我々の政策経路の予測可能性を高めていただくための工夫は重ねていきたい。将来、いずれかの時点で本当にインフレーションターゲティングが選択肢の一つとして浮かび上がるかどうか、今のところはまだ予断を許さないという状況だというふうに思っています。

○西田実仁君 最近、日銀のレポートでも、物価の予測をどうとらえるかという指標が諸外国と比較したレポートがございまして、拝読させていただきましたけれども、今総裁が言われたことは、将来の政策経路の予測可能性ということの条件整備がなされていないと。その具体的な条件整備の条件とはそういう指標類のことをおっしゃっているんでしょうか。何をおっしゃっているのか、ちょっとひとつ理解が足りないんですけれども。

○参考人(福井俊彦君) これまでも、例えば、もう端的な例は、CPIが安定的にゼロ%以上になるまで今の枠組みを続ける、しかもその安定的にゼロ%以上とは何かということは三つの条件に分解して御説明している、これらは一つの道具立てであります。さらに、そうした過程は、余り、経済が回復を続けても、物価上昇が起こりにくい経済という、そういう条件が続く限りにおいては、我々の金融政策の枠組みの変化に至る過程あるいは枠組みの変化に着手し始めた以降も余裕を持って対処できるという言い方で今までのところは御説明申し上げております。

普通、金融政策というのは、何かの変化に対しては先取り的、予防的にやっていくというのが原則でございます。この原則とは逆に、余裕を持って対処するという言い方で、我々は何か慌てて先回りして皆さんを驚かせるような緩和修正措置をとるわけではないという言い方をしておりまして、これもまたある意味でコミュニケーションツールを一つ幅広くさせていただいているわけであります。

将来の物価目標的なものを設けるかどうかということになりますと、我々としては、取りあえず消費者物価指数がマイナスの領域で動いているのをプラスの領域に持っていきたいと。中間目標かもしれませんが、非常に重要な目標で、この目標すら通過していない段階で先々のインフレターゲット的なことを掲げることに、実践としての金融政策を行っていく上のコミュニケーションツールとしては少し飛躍があるというふうにまだ判断し続けている状況です。

○西田実仁君 最後に、今総裁がおっしゃった、余裕を持って対応するということを言われました。これは大事なことだと思います。ただ、一方で、当然のことながら、余裕を持って対応したことによって調整コストがそれだけ高まると。こういうことも把握した上で余裕を持って対応していただき、メリットを大きくすることが必要になってまいります。

そういう意味では、あえてお聞きしますけれども、余裕を持って対応した場合の調整に伴うコストにどういったものがあるのか、これ最後お聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○参考人(福井俊彦君) もう典型的なものは、やはり市場機能をある意味で封殺しながら量的緩和政策を続けているということであります。この犠牲は時間が、距離が長くなればなるほどやっぱり積み重なっていくだろうというふうに思います。

そういう意味では、我々としては、早くこの量的緩和政策が枠組み修正ができるところまで実体経済を強くしていかなきゃいけない。したがいまして、金融政策はゆっくりなんですけれども、金融機関に対する対応は一挙に我々は姿勢の変化を危機対応から金融高度化支援というふうにモードチェンジをして、企業と金融機関の歩みの呼吸合わせが前向きにそろうようにというところから進めたいとしているわけであります。

世界経済、先進国の経済を見ておりますと、やっぱり最近はインフレになりにくい経済になっているんですが、その割にやっぱり資産価格が早めに、まあ緩和された金融条件あるいは低めの金利に対して反応しやすい状況になっている。日本の場合はまだそこまで随分距離があると思いますが、やはり日本の場合にも将来的にはいわゆる伝統的なインフレ率と資産価格との間にギャップが生じないか、問題になるほどギャップが生じないかというふうなことをやっぱり注視していきたいと思っています。

○西田実仁君 終わります。

○大門実紀史君 大門でございます。今日は御苦労さまでございます。  今日、中国の人民元についてお聞きをしたいというふうに思います。

なぜ人民元かというと、ちょっと話すと長くなるんですけれども、お手元に資料をお配りいたしましたけど、各国の米国債保有高の推移です。この問題は何度もこの委員会でも予算委員会でも取り上げさせていただきまして、この前の予算委員会では民主党の峰崎議員も取り上げられました。つまり、要するに、日本が円高介入をする、それでドルを買う、で、外貨準備が増えてこういう米国債を購入すると、こういうことがずっと増え続けてきている問題ですね。これ、今日民主党の広野先生からありましたとおり、ドルが急落したら大変な為替差損を生んで、かつてそれで大損したことがありますけれども、結局は巡り巡って国民負担になりますから、そういうリスクがもう目の前にあるという問題でございます。

これに関して財務省には何度も質問してきたわけですけれども、最近、ヨーロッパは、この載っておりますイギリスを除いて米国債から引き揚げ始めております。アジアは、引き続き東アジアは保有しているんですけれども、東アジアも外貨準備という点でいくとドルだけに集中しない方向に今なりつつあるという話も聞いております。

そういう中で、二番目に米国債を持っている中国がこれからどうなるかと。中国も米国債から引き揚げていくということになると、何度も指摘しているように、日本がその分また買わなければいけない、買わされるというふうな状況になるというリスクがあるという意味で、その人民元の動向に大きく左右されると思いますので、その点をお聞きしたいと思うわけですけれども。

せっかくの機会ですので、まず総裁、絶えず円高介入のためにドル買いやるわけですけれども、この円高というのは、かつての円高不況のときと違って、今随分いろんな環境が変わっていると思うんですけれども、そんなにセンシティブにすぐ円高介入しなきゃいけないというほど今円高というのは全体として悪いことなのかどうかですね。総裁のお考え、もし、お聞かせいただければと思います。

○参考人(福井俊彦君) 日本経済の力が強くなり、そして日本経済の運営あるいは政策運営に対する信認が高いという状況の下では円の国際的な評価が上がると。つまり、円高という言葉が本当にいいのかどうか分かりませんが、とにかく市場の評価として円が強くなるということは当然ある傾向ですし、そのこと自身は、国民的な努力の成果として経済全体が良くなっている、政策運営がいいということの結果ですので、好ましいことだということだと思います。

実際、日本経済、過去数か年、趨勢を見ますと、緩やかな円高傾向は進んできているわけですね。最近油の値段が非常に上がっていますけれども、日本の通関輸入価格をドル建てと円建てで見ますと、円建てで見た場合の油の値段の上がり方は非常に少ない、それは要するに通貨高の好影響を受けていると。そういうふうに、通貨が高くなるということは何も悪いことばかりではないということは委員御指摘のとおりです。

それから、個々の企業の関係から見ましても、従来のようにとにかく輸出オンリーというふうな企業はだんだん減ってきています。一つの企業が非常に輸出もしていれば輸入もしている。なぜ輸入しているかというと、中国を始め海外に生産拠点を設けて、そこに投資もし、結果としてそこから輸入していると。あるいは、そのほか、全く、中国その他アジアの企業から輸入しているというふうに、貿易関係もワンウエーではなくてボースウエーというふうに変わってきていますので、そして投資行動ということまで含めて考えますと、為替相場が変化した場合の影響というのは、従来のように単純に円高すぐ収益減というふうにはなりにくいところがあります。それもまた事実でございます。

しかし、さはさりながら、やっぱり非常に短い期間の間に為替相場がいずれかの方向に大きく振れる、しかもその先の方向がいわゆるボラティリティーが増したということで乱高下を繰り返すということになりますと、いかなる態様のビジネスモデルを持っている企業にとってもやっぱり事業計画というものをきちんと立てにくいと。事業計画を立てたとおりに決算が出てこないというふうなことでは、やっぱりその企業の経営に対する評価というものがなかなか安定しないということになりますし、やっぱり経営上は非常に大きな問題だということになります。

それは、積み重なると経済全体の、景気の動きにも不確実性を増すということになりますので、やっぱり過度の変動をなるべく避けるという点は世界共通の重要な課題と、したがってG7等でもしばしば真剣な議論が行われるというのはそういうところにあるんじゃないかと思っています。

○大門実紀史君 基本的に私もそういうことだというふうに思いますが、今財務省は、何といいますか、もう外貨準備巨額のを持っていますから、ドルが下がることそのものが外貨準備の目減りということで、もう買わざるを得ないと、ドルを買い続けなきゃいけないというような、自縄自縛といいますか、もうドル買いのわなにはまっているんじゃないかということを再三指摘をさせていただいてきたところですけれども、ちょうど、通告しておりませんけど、武藤副総裁、かつてその財務省を指揮してこられましたけど、今どういうふうにお考えですか、その円高介入については。

○参考人(武藤敏郎君) 今、日本銀行の副総裁ということでありますので、財務省のいろいろ施策に余りコメントを直接加えるのはいかがなものかなとまず基本的に思います。

そういうことをお許しいただいた上で、先ほど総裁から為替についていろいろお話がありましたけれども、私は、この為替レートというものが経済のファンダメンタルズに沿っているということが大事なのであって、どのレベルが高いか低いかというのを直接議論するのは適切でないといいますか、いかがなものかなというふうに思っております。したがって、経済が強くなっていくに従って為替が変動するということは、これはマーケットにおいて通常起こり得ることでありますので、そういうことだと思うんですが。

しかし、実際のマーケットはしばしば思惑とか、そういうことによってオーバーシュートすることが起こるわけでありまして、それが今度は逆に実体経済にマイナスの影響を及ぼすということは、これは何とか避けたいということかと思うわけであります。

そういう意味で、今まだ我が国経済、少しずつ回復軌道に乗ってきてはいるわけですが、なお脆弱な状況の中で、仮に実体経済を反映しない急激な円高ということであれば、それは安定的な為替レートを維持するために介入というのは政策手段として許されているのではないかと。

ただ、その結果、御指摘のように、いろいろ問題が起こるというのは事実でありますけれども、やはりその兼ね合いといいますか、安定的な為替レートの実現ということはやっぱり非常に重要なことでありますので、それとの兼ね合いにおいて、これは正に財務大臣において御判断さるべき事柄であろうと、そういうふうに理解をしております。

○大門実紀史君 そういう日本の状況が続いている中で心配されるのは、人民元がどうなっていくかということを心配しているわけですけれども、お手元の資料にあるとおり、中国は二番目に米国債を保有していて、これが引き揚げていくのかどうかということなんですけれども、外貨準備も中国は今日本に次いで六千百五十五億ドル、日本が八千三百五十二億ドルですから、世界で二番目の外貨準備を持っているわけですけれども、この中国の動向が、先ほど言いました、ヨーロッパも引き揚げていく、アジアも引き揚げていく、中国も引き揚げていく、日本が、アメリカが赤字を垂れ流しているわけですけれども、その穴埋めをさせられるということがますます強まるんじゃないかという点で、人民元の問題ですけれども、人民元というのはなかなか私もまだよく分からないところがありまして、分かりにくい通貨でありますけれども、基本的にドルペッグといって、ドルと連動させる、ドルに固定させるような、言ってしまえば固定相場制、ドルに対して固定相場制みたいなところであります。したがって、その中国がドルと元とのレートを維持しようとすると、どうしてもドルを買わなきゃいけないということが、中国当局の介入が続いて、先ほど言いました中国の外貨準備が積み上がり、米国債をこうやって買うというふうになってきたんだというふうに思います。

その中国が、今人民元を切り上げるべきだというふうな話があちこちから、おととしですかね、アメリカのスノーさんですか、財務長官がいろいろ言及されてから特に話題になっておりますけれども、最近はちょっと鎮静化しているのかどうか分かりませんが、いずれにせよ、人民元切上げという話がかなり出ておりますし、私も去年中国へ行きまして、中国の財務省の方とずっと何日間か一緒でお話しすると、それは考えなきゃいけない方向ではあるということで、いろいろ今検討しているんだというお話もありましたけれども。  まず、その人民元が、ちょっと時間がないのでかいつまんで質問させていただきますけれども、人民元が切り上がっていくとすると、当然、通貨と通貨との関係で考えますと、ドルを買わない方向に、人民元とドルとの関係でいくと、人民元が切り上がるとドルを買わなくていい方向に基本的な理屈として進むんじゃないかと思いますが、その辺、簡潔にちょっとお答えいただけますか。

○参考人(福井俊彦君) 委員御指摘のとおり、今の中国の為替制度というのは、厳密な意味での固定平価というよりは、一九九四年に採用された管理変動相場制、ごくわずか動いていいよということなんですが、実際には動いていないという意味で事実上の固定平価相場、一米ドルが八・三元というところで固定されている。その固定するために中国の政策当局は市場で大量の介入をしているということですので、これを少し動かすということになれば、その動かしていい部分だけ介入の必要性が下がると。したがって、その部分は外貨準備の積み上げ方が減るということは確かだと思います。

○大門実紀史君 ですから、切上げするかどうかというのも非常に難しい議論があるようです。  いずれにせよ、単純な切上げだけやるといろんな副作用が起きると。例えば、中国の方にお聞きしますと、今投機マネーが相当中国に入っていると。人民元切り上がるだろうということを見込んでかなり入ってきていて、この間の外貨準備の半分は投機マネーじゃないかと言うエコノミストの方もいらっしゃるぐらいでございます。そうはいっても、中国当局も、単に切上げじゃなくて、為替制度そのものの柔軟化を考えているというふうな話も聞いたりしているんですけれども。

具体的にいつごろからそういうことになるかという点でいくとすると、これは一つの私の勝手な推測で、御意見聞きたいんですけれども、九九年にアメリカとWTOの加盟交渉で、中国は二〇〇七年から外資の銀行に対して開放するといいますか、ということを約束していると思うんですけれども、外資系が中国に入ってくると、今のドルペッグ、固定相場というのはかなり、それだったら入ってこないという可能性もあったりして、かなり、二〇〇七年という約束らしいですけれども、二〇〇七年までには為替制度の柔軟化あるいは切上げも含めたそういう動きをしなければいけないような一つの目安になっているといいますか、そういう客観状況になってくるんじゃないかと思いますが、その辺は、総裁、どういうふうに見ておられますか。

○参考人(福井俊彦君) 介入によって固定相場を守っている状況から、介入を緩めて相場を少し動かすと投機マネーが誘発されやすいというのはおっしゃるとおりですね。投機マネーというのは、一体どこまで為替が動くものかということが分からない限りは限りなくアタックしてくる。したがって、中途半端に相場を動かし始めると、かえって投機マネーを呼びやすいということはもう当然だと思います。

普通は必ず相場というのは経済の均衡点を求めて動くわけですから、市場関係者は相場が均衡点に近づきつつあると思ったら、それ以上の投機は絶対しないですね、もう自ら損をするようなものですから。ところが、中国の場合に、人民元を操作することによって市場が自ら均衡為替相場レートを見いだしやすい条件にあるかというと、そこがなかなか難しいんですね。WTOに加盟したといっても、中国経済の実態は国内的にはまだ多くの規制を残している。資本移動も部分的な自由化はしたといっても、まだ多くは不自由である。それから、金融システムもお金を最も有効に流すような機能度の高い金融システムになっていないとかいうふうに、様々なことがございます。

したがって、今中国政府が本当に苦しんで懸命になって検討しておられることは、人民元を技術的にどうするかということよりは、むしろそうした国内の様々な規制、資本移動、金融システム、こういったものをいかに整備しながら、人民元を動かしたときに、その人民元の為替相場が言わばファンダメンタルズといいますか、均衡レートを見いだしやすいような条件を国内的にいかに整えるかということの研究の方がきついんじゃないかと思っています。

今おっしゃいました二〇〇七年、外資系の金融機関に門戸を開放するというふうな話は非常に重要なファクターですが、それだけでは私はやっぱり、中国当局の検討対象としては一つの重要な課題でしょうが、それ以外のもっと広範囲な、規制緩和とか資本移動、金融システム絡みのことを総合的に検討しておられるんじゃないかと。したがって、タイミングについてなかなか中国当局がおっしゃりにくい状況というのは、そういう問題の幅の広さ、根の深さにあるんじゃないかというふうに思っています。

○大門実紀史君 いろんな条件がもちろん必要だというのは私も思いますが、一つは、やっぱり二〇〇七年が一つの大きな変化のときになるんじゃないかなというふうに思いますし、切上げも含めてですけれども、特にこのドルが急落したら為替差損を生むという点では中国も同じでありまして、ドルが一割下がると中国のGDPの三・五%に匹敵する為替差損が生まれるという試算もありますから、中国は米国債から、ドルから、ドルにこれからもっと入るんじゃなくて、引く方向になるのは、私、二〇〇七年に向けて間違いないと思うので、日本の財務省もそれに合わせて、さっき言ったきちんとした日本の判断を持たなきゃいけないときが来ているというふうに思います。

最後に、そういう中国の、今、日本銀行と中国人民銀行でいろんな意見を交換をされていると、私は大変いいことだなと思っておりますので、もしお話しできる範囲で、どういうふうな意見交換されているか、最後にお聞きして質問を終わりたいと思います。

○参考人(福井俊彦君) 日本と中国の間には、公的部門、民間部門を問わず、年々この関係強化を図る動きが進められているということは、私ども金融政策を行います立場からも、周辺の環境が進んでいるということで好ましい状況だと受け止めています。

日本銀行自身は、中国の中央銀行であります人民銀行と、もうかなり古い時期から、ずっと以前から親密な関係を持っています。ただ、単に心情的に親密というんではなくて、実務面を中心にした実務的な交流というものを非常に深めてきております。

人民銀行、日本銀行、それぞれが金融政策とか金融機関に対する対応の仕方など、実際にどうやっているかというふうなレベルから、正確な情報を持ち合うということをやってきておりまして、これはもう大変長い歴史を持っています。三十年以上、まあそんなにはなっていないと思いますが、かなり長い間やっていると思います。実際、総裁以下様々なレベルでのより広い交流ということになりますと、もう三十年以上の歴史を持っています。

そして、円と人民元とを交互に融通し合う日中間のスワップ協定というふうなものも、これは非常に特色あるものでございますが、持っていると。そして、人民銀行は東京に事務所を開いていますが、我々も北京に事務所を開いているというふうに、これはもう中央銀行間の関係としては、まず足らざるところがないぐらいに緊密な関係を結んでいます。

したがいまして、為替相場をめぐる議論についても、日本の過去の様々な経験について中国は真摯にこれを知りたいというふうなこともあります。私どもも十分情報提供を差し上げていまして、非常にそういう意味から人民銀行は真剣に検討しておられるということは承知しております。  だけれども、具体的にどういうふうな内容になっており、かつ、いつごろ、どんなことをやりそうなというふうなことは、これは政策的秘密でありますので、そこまではお互いにジェントルマンとしてタッチしないと、こういうことでございます。

○大門実紀史君 終わります。

○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、この三月に沖縄で開かれました第二回沖縄金融専門家会議について総裁にお伺いいたしたいと思います。

昨年もこの委員会で福井総裁にお伺いいたしましたが、総裁には今年もテレビでこの会議に参加していただきました。その中で、地方銀行主導のCLO市場の創設や電子手形取引の実証実験などを取り上げられて、全国に先駆けた取組であると同時に、金融サービス業やあるいは金融市場の将来の発展において大きな意義を持ち得る試みと評価をいただいておりまして、大変心強く思いました。

改めて総裁に沖縄金融専門家会議におけるその取組について御所見を最初にお伺いいたします。

○参考人(福井俊彦君) 委員御指摘のとおり、今年も第二回目の沖縄金融専門家会議、ビデオを通じて参加をさせていただきました。本当は今年こそ現地にお訪ねして参加したかったわけですけれども、なかなか公務が許してくれませんでかないませんでしたが、参加をさせていただいて、私は非常に喜んでおります。

今御指摘のとおり、振り返ってみますと、第一回の会議では、グローバル化、金融イノベーションの潮流にマッチして沖縄の地域特性も生かし得る金融サービスの可能性を探るということで数多くの提言がなされたと。今回の会議では、これらの提言がごく短期間のうちに、驚くほどの速さと私は思っておりますが、具体的なアクションとして結実しようとしている姿が示されたと。沖縄のスピード感というのを私は強く感じました。

今おっしゃいましたとおり、全国版のCLO市場の創設とか電子手形取引の実証実験というふうなレベルまでも進んでいまして、いずれもこれは全国に先駆けた取組だということでございます。金融サービス業や金融市場の将来にとって大きな意義を持ち得る試みだというふうに思っています。

今後、金融高度化支援ということで日本銀行は更に全国的な金融機関の支援をしていきたいと思っておりますけれども、沖縄で先進的に進められていること、実務的に更なる大きな展開を示していかれることを期待しております。

IDBの総会が行われて、私も沖縄を訪問することになっておりますが、時間の余裕をなるべく見いだして現地をちょっと訪問してみたいなとも思っております。

○糸数慶子君 ありがとうございました。  IDB会議は世界四十六か国から参加ございますので、是非お待ちをしたいと思います。

今総裁がおっしゃいましたように、この新しい取組が成果を上げつつある中で、沖縄の実態的な経済、金融面を見ていきますと、まだまだ十分でない部分があります。総裁も新しい地域活性化、あるいは金融活性化のモデル、沖縄モデルとおっしゃっておられますし、その萌芽が見えつつあると言っても過言ではないということもおっしゃっていらっしゃいますが、残念ながら、いまだにその萌芽が見えつつあるという段階にとどまっています。

実は、昨年、私が質問いたしました際にも、総裁はシーズを作り出していくという言い方をされましたが、その種から芽が見えつつあるというのであれば少しは進んだ方向に行っているかもしれませんが、いまだに実を結ぶまでには至っておりません。

今後、沖縄で実態的に経済、金融が活性化していくために更に何が必要なのか、日銀の御協力を是非とも今後ともよろしくお願いをいたしまして、ペイオフについてお伺いしたいと思います。

ペイオフ、今回の全面解禁に際しましては、一部に地域金融機関の健全性の問題と併せて地域金融機関の預金シフトを懸念する声も識者からは示されましたが、また、破綻が懸念されたりあるいは健全性に対して疑問のある地域金融機関からの預金流出が進むといった形で地域から預金が流出してしまうという指摘もあったわけですが、実際のところはどうなのでしょうか。

私の地元沖縄では、預金は堅調な伸びを示しており、ペイオフ全面解禁を迎えた動向でも、投資信託などの預り金資金へのシフトや決済用預金への預け替えが若干増えているものの、全体とすれば落ち着いた動きだというふうに見られています。

このような動向について、地域によって違いなどはあるのでしょうか。地域別に見た場合の預金動向について、どのように判断されていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○参考人(稲葉延雄君) お答え申し上げます。  ペイオフ解禁後の預金動向でございますけれども、全国的に見まして銀行あるいは信用金庫等の預金動向でございますが、四月の上旬という時期、ペイオフが解禁されました四月の上旬という時期は若干預金が引き出される、例年そういう時期に当たっております。これはまあいろんな資金需要で引き落とされるわけですけれども、その動きは大体例年並みの姿を示しておりまして、これは地域別に特に違いがあるという状況ではございませんで、特段預金の動きに特段な変化はないということでございます。また、個別金融機関の間の資金の大幅な移動とかあるいは業態の間の資金の移動というのも、全国見てみましたが、さして大きな動きになっているという状況ではございません。

投信とか、いろんな預金以外の資金運用の動きというのは少しずつ活発になってきていますが、また金融機関自身も、顧客のニーズに合わせたサービスということで、こういった商品の販売等にも努力をしてございますが、これが、単に金融機関が心配だからといってそちらの動きに資金がシフトしていると、そういう状況ではなく、むしろこれからは運用の多様化という形で出てくるんではないかというふうに思っております。

○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、総裁が先日の当委員会の説明の最後に触れられましたが、平成十七年度から五年間の中期経営戦略を見ましても、地域に根差した中央銀行サービスの充実という戦略が示されています。この中では、地域に根差したサービスの提供という観点も重視しながら、現在の支店、事務所網を有効に活用して、各種のサービス提供等それぞれの地域に貢献していくというふうにされています。

日本銀行の地域への貢献というのはなかなか見えにくい部分がありますし、昨年度までの業務運営方針では余り触れられていませんでした。地域経済報告を発表されるとも聞いていますが、新たな地域への貢献として具体的にどのような取組をされていくのか、お伺いいたします。

○参考人(福井俊彦君) 今御指摘いただきましたとおり、今回から新しく始めました中期経営戦略、その中で八つの重要な戦略を挙げておりますが、その一つが地域への貢献ということでございます。

私ども、全国に本支店、事務所、その拠点を構えておりまして、現地で、金融機関だけではなくて、多くの事業会社、それから地方公共団体の方々、そのほか一般庶民の方々ともコミュニティー的なネットワークを形成させていただいております。私も支店長を経験しておりますが、本店で仕事をしております場合に比べて、地方におきましては本当にコミュニティーの一員として受け入れていただいて、金融だけではなくて、様々な地元での新しい、何と申しますか、発見といいますか、将来につながる新しい価値の発見みたいなところに参加をさせていただいて、これを組み立てていくのに金融面からどんな知恵を出していけばいいかというふうなことでいささかの貢献をさせてきていただいているということでありますが、こうした動きをこれからの時代に向けて一層強化していこうということであります。

沖縄におきましても大澤支店長は恐らくそういう気持ちでいろいろ努力をしていると思いますが、こういった動きを全国的に展開したい。そして、地域経済報告という新しいレポートを発表して、その中で地域ごとの経済の特色が分かるようなレポートを出して、全国的な日本経済一つの動き、それと同時に地域ごとの動きというのが分かるようにしていきたいというふうに思っております。何をすればいいかということは、むしろ地域のコミュニティーにまず我々が溶け込んで、地域の方々から本当に何がしたいんだという気持ちを吸い取らせていただきながら我々のできる支援を差し上げていきたいと、こんなふうな仕組みでございます。

○糸数慶子君 ありがとうございました。  地域のそのコミュニティーの一員ということでありますならば、大澤現支店長も前内田支店長も大変沖縄には貢献をしていらっしゃいますし、例えば沖縄の文化面での、三味線を弾いて歌を歌われたり、あるいはまた、もちろんそれが直接日銀のお仕事だとは思っておりませんけれども、コミュニティーの一員として大変いろんなところで活動していらっしゃいます。内田支店長は沖縄の金融特区に関する著書もありますし、そういう意味では大変な貢献をされたというふうに高く評価いたします。  次は、コンプライアンスについてお伺いしたいと思います。

これは、コンプライアンスに関して一つ気掛かりな点を申し上げたいと思います。

例えば、平成十七年度の業務運営方針を見ますと、コンプライアンス会議については、「同会議の下で、個人情報保護法に基づく適切な情報管理等に関する体制の整備・充実を図る。」とされています。しかしながら、日銀のコンプライアンスの問題ということであれば、昨年の十一月、十二月に発覚した新札のすり替え事件についてもしかるべき対応を定めるべきではなかったでしょうか。これは少なくとも日銀のコンプライアンスの問題として、運営方針に現場におけるコンプライアンス確保のための措置に関する記載がないことは納得がいかないのですが、いかがでございましょうか。

○参考人(小林英三君) ただいまお話のございました昨年十二月におきます銀行券の不適切な取扱いということにつきましては、私ども中央銀行の立場といたしまして誠に遺憾なことでございまして、改めて深くおわび申し上げます。

その件につきましては、関係者につきまして厳正に処分をするということをやっておりますし、また再び、そういったことが二度と起こらないようにということで、昨年十二月の段階におきまして、銀行券の取扱部署の事務処理だとか監督体制の見直しあるいは研修の充実といったようなことを骨子といたします再発防止策を取りまとめまして発表したところでございます。

若干具体的に申し上げますと、改めて支店の幹部に対しまして規律ある業務運営の徹底を指示するということを行いますとともに、銀行券の取扱関係者に対しまして私物現金を厳に持ち込まないようにというようなこと、あるいは問題のある取扱いを具体的に整理して周知徹底するというようなこともやっております。また、その取扱いの状況につきましては、私どもの検査部署におきまして検査で入念にチェックをしておりますほか、コンプライアンスに関する職員の職場相談窓口というのも新たに設置いたしまして、広く職員からの相談を受け付ける体制も整備したところでございます。また、外部の専門の先生を招くなどいたしまして、職員全般にわたりましてコンプライアンスの研修も実施しております。

こういうようなことを行いながら、私どもも今度の、ただいま先生のお話のありました中期戦略におきまして、規律ある組織運営ということで、この中期戦略上のこれを基本理念ということにいたしまして、再発防止策について継続的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。

○糸数慶子君 この問題に関しましては調査が不十分であったのではないかと思います。過去にも同様のその事件があったにもかかわらず、それにふたをしたのではないかとの指摘もあります。また、その処分の軽さについて、刑事告発を含めて対応すべきであったとの声も聞かれます。  真に国民に信頼される日銀を確立していただくためには、やはり過去のうみはしっかり出す、反省すべきは反省し、将来に向けた適切な対応体制を準備することが重要だというふうに考えます。今のその後の取組を伺いまして、是非ともそのようなことを進めていただきたいと要望いたします。

次に、組織改革などの各種課題への取組について伺います。

今回の中期経営戦略を見ますと、新たな戦略の下で各種の組織改革にも取り組まれているようでございます。福井総裁は、就任以来、組織活性化に向け各種の取組を展開されておられますが、今回新たな中期経営戦略にも入っておりますが、信用秩序維持政策を担当するセクションの整理統合や新たな業務調整会議、コンプライアンス会議を設けられるといったその取組について、これらの組織改革のねらいをお伺いいたします。

○参考人(武藤敏郎君) 日本銀行は中期経営戦略を推進するために、御指摘のような組織改編を行うことといたしました。

まず第一は、この四月に業務調整会議とコンプライアンス会議という二つの会議を設置したことであります。業務調整会議は、この日本銀行の戦略の推進あるいは経営資源の配分といったような課題につきまして、とかく組織縦割りというその枠の中にとどまりがちなという問題がございますので、積極的に組織横断的な対応ということを検討、推進していこうというものでございます。コンプライアンス会議は、今もちょっと話題になりましたけれども、規律ある組織運営というものの実現に向けまして、法令遵守と公正な業務遂行の徹底を図るための会議でございます。

第二は、この七月を目途に信用機構局と考査局を統合いたしまして金融機構局というものを新たにつくるということであります。日本銀行は、金融システム面での対応を、御承知のような金融システム不安ということを背景として、危機管理重視、危機管理モードといいましょうか、そういう対応をしてまいりましたが、ペイオフ全面解禁を契機といたしまして、これからは公正な競争を通じた金融の高度化支援、平時の支援に切り替えていくということでございます。そういう意味で、金融機構局というものを中心に推進していきたいというふうに思っております。

第三は、やはり七月を目途に新たに決済機構局というものを設置することとしております。我が国の金融市場あるいは金融ビジネスというものの将来を切り開いていく上で、これからますます金融システムの高度化あるいは災害時の業務継続、また最近偽造紙幣でありますとかキャッシュカードの問題とか、いわゆる通貨・金融セキュリティーの問題というのが注目を浴び、重要性が増しておるわけでございます。こういう課題に積極的に取り組んでいくために決済機構局というものを創設したいということであります。二局を統合して一局を新設するということでございますので、局の数は増えることはございません。

これらの新しい組織を活用して、中期戦略をしっかりと推進していきたいというふうに思っております。

○糸数慶子君 ありがとうございました。  ほかにもまだ通告をいたしておりますが、時間の関係もございますので、また次のチャンスにお伺いをしたいと思います。  以上で終わります。

○委員長(浅尾慶一郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。

午後二時八分散会

2005年04月04日 (月)

新年度入り後の国会状況

新年度に入り、国会の主要テーマが変化を見せて参りました。 小泉総理は、もともと郵政民営化を今国会の主要なテーマにしようとしていたと思われますが、政府予算も所得税定率減税の縮減法案も可決した今は、思い残すことなくこのテーマを掲げて来るものと思われます。

各種世論調査からは、郵政より年金や医療等の社会保障制度について議論して欲しいというのが国民の要請だと思いますが、今後マスコミで連日この話題を取り上げる様になれば、段々と関心も高くなるだろうと思います。

また、関心を高めようという総理の工夫も国会の中で垣間見ることが出来ました。私は今国会の最重要法案は、前記所得税定率減税の縮減にあると思います。その法案を私が委員長を務めます財政金融委員会で審議した際に、小泉総理にも出席を頂きました。答弁の際に、脈略もなく、「郵政民営化をしない限りは消費税の引き上げはしないと財務省には申し付けてある」とかなり力を込めて小泉総理が語っておりました。従って、少なくとも小泉さんの頭の中は、先月末から、郵政の問題が相当占めていたものと思います。

私自身も、現在の膨大な借金を抱える国の財政状況や今後伸びることが予想される社会保障関係の費用を考えれば、いずれ増税論議をせざるを得ない状況になると考えておりますが、その際には大きな前提条件があると思っております。それは申すまでもなく、徹底した行政改革を断行し、国の歳出を思い切って削減することです。そして、それは郵政だけが課題なのではなく、すべての分野で聖域なく見直しすることが大切だと思っております。



参議院議員 浅尾慶一郎
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