あさお慶一郎(前衆議院議員 神奈川4区)

2005年03月31日 (木)

参議院 財政金融委員会 8号 平成17年03月31日

162-参-財政金融委員会-8号 平成17年03月31日

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。

参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

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○委員長(浅尾慶一郎君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。福井日本銀行総裁。

○参考人(福井俊彦君) おはようございます。日本銀行の福井でございます。

お指図によりまして、早速御説明を申し上げたいと思います。

日本銀行では、昨年の十二月でございますが、平成十六年度上期の通貨及び金融の調節に関する報告書、これを国会に提出いたしました。本日、日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をちょうだいし、大変厚く御礼を申し上げる次第でございます。

最初に、最近の金融経済情勢について御説明申し上げたいと思います。

日本経済は、IT関連財の生産・在庫調整が深まったことなどから、踊り場的な局面が続いております。もっとも、景気回復の基本的なメカニズムはしっかりと維持されておりまして、最近では、ひところ弱めの動きとなっておりました生産も横ばい圏内に持ち直してきております。日本経済は、遠からず踊り場的な局面を脱し、持続性のある成長軌道に向けて回復を続けていくものと考えております。

少し詳しく御説明申し上げますと、まず前提となります海外経済は、米国や中国を中心に拡大基調を続けているというふうに考えられます。また、IT関連財の調整は、需要が伸びを持続している中でメーカーが早めの対応を行ってきたこともございまして、遠からずこれは一巡するというふうに見込まれます。こうした下で、輸出や生産は増加をしていくというふうに私どもは見ております。また、企業の過剰設備、過剰債務などの構造的な調整圧力は和らいできておりまして、企業収益や設備投資は増加基調を続けるものというふうに予想されます。さらに、雇用面の改善傾向が続く下で、雇用者所得の下げ止まりが明確になっております。このため、個人消費は緩やかな増加に向かう可能性が高いというふうに思われます。

もっとも、IT関連財の需要動向や、このところ高値圏で推移しております原油価格の動き、及びこれらが内外の経済に与える影響につきましては引き続き注意深く見ていく必要があるというふうに考えております。

次に、物価面について見ますと、国内企業物価は昨年初来上昇しておりましたが、足下は少し弱含んでおります。先行きは、原油価格や内外の商品市況の上昇を受けて、再び強含んでいく可能性が高いというふうに見ております。

一方、消費者物価指数でございますが、こちらは企業部門の生産性の向上や人件費の抑制を背景に、景気回復に物価が反応しにくいという状況が続いております。その中で、前年比小幅のマイナスで推移しているという状況でございます。先行きにつきましても、規制緩和等に伴う電気料金、電話料金の引下げの影響もございまして、当面は小幅のマイナスで推移すると予想されます。

金融面では、日本銀行の潤沢な資金供給の下で、短期金融市場は総じて落ち着いた状況が続いております。明日からでございますが、明四月一日にはペイオフの全面解禁と、そういう日を迎えるわけでございますが、金融機関の健全性回復に向けた対応が進んできておりますことから、金融システムに対する不安感は大幅に後退しております。こうした下で、市場におきましては資金調達に対する安心感がかなり定着してきておりまして、日本銀行の資金供給オペレーションに対しまして十分な応募が集まらないといったようなケースが見られるようになっておりますなど、金融機関の流動性需要それ自体も低下してきているということでございます。

資本市場では、株価は総じて底堅い動きとなっております。また、長期金利は一時強含む局面も見られましたが、概して安定的に推移しているというふうに見ております。

企業金融をめぐる環境でございますが、これは総じて緩和される方向にあるというふうに判断いたしております。金融機関の貸出し姿勢は緩和してきておりまして、企業から見た金融機関の貸出し態度も引き続き改善しているという状況でございます。こうした下で、貸出しの動きを民間銀行について見ますと、その減少幅が緩やかに縮小してきているという段階にございます。さらに、CP、社債といった資本市場を通じた資金調達環境も良好な状況が続いております。

次に、最近の金融政策の運営について申し述べさせていただきます。

日本銀行は、現在、日銀当座預金残高という量を操作目標として金融緩和政策を実施いたしております。具体的には、三十兆円から三十五兆円程度という法律等の定めにより金融機関に保有が義務付けられている金額を大幅に上回る目標値の下で、金融市場に潤沢な資金供給を行っております。このことは、金融市場の安定を通じて緩和的な企業金融の環境を維持することに貢献しているものと考えております。

日本銀行は、この金融緩和政策を消費者物価、厳密には全国ベースで生鮮食品を除くベースということでございますが、そういう消費者物価の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続するという固い約束をいたしております。この約束は、市場金利を安定させる効果があり、その下で、企業にとっては引き続き低利での資金調達が可能となる環境が整えられております。このような金利を通じた景気支援効果は、景気が回復し企業収益が改善する状況におきましては、より強まっていくというふうに考えられるところでございます。

最後に、金融システム面でございますが、先ほど申し上げましたとおり、我が国の金融システムは安定を取り戻しつつございまして、明日からはペイオフが全面解禁となる運びとなっております。金融機関といたしましても、顧客ニーズにこたえて創造的な業務展開を図りながら、経済を前向きに支えていくことがより一層求められるようになってきております。こうした変化を受けまして、日本銀行の金融システム面への対応も、これまでの言わば危機管理重視という姿から、金融システムの安定を確保しつつ、公正な競争を通じ金融の高度化を支援していくと、そういう方向へ切り替えていく必要があると考えております。

日本銀行としましては、金融システムの機能度や頑健性の向上に貢献していくため、金融機関の新しい業務展開などの動きを積極的に後押ししていくほか、私ども自身の業務につきましても様々な工夫を凝らしていきたいと考えております。

以上、申し上げましたとおり、日本経済は現在踊り場的な局面にございますが、世界経済の拡大が続き、IT関連財の調整が進捗する下で、回復を続けていくものと予想されます。これを持続的な成長につなげていくということが肝要でございまして、そのためには、引き続き幅広い経済主体の経済活性化に向けた取組が重要だと考えております。

日本銀行といたしましては、消費者物価指数の前年比が小幅のマイナスを続けている現状におきましては、先ほど申し上げました約束に沿って粘り強く金融緩和を続けることで、日本経済を金融面からしっかりと支援してまいりたいと考えております。

また、日本銀行が、我が国の中央銀行として国民の皆様から負託された責務を適切に果たしていくためには、私どもが提供する様々な中央銀行サービスの高度化を進めるとともに、規律ある組織運営に努めていくことが一層重要になってきていると考えております。こうした認識を踏まえまして、日本銀行では、先日、新たな試みとして、今後五か年間の経営方針を示した中期経営戦略を策定し、これを公表させていただきました。日本銀行としては、こうした取組を通じて、国民の信認をちょうだいし、経済の健全な発展に貢献するという使命達成のために今後とも全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。

少し長くなりましたが、大変恐縮でございました。誠にありがとうございました。

○委員長(浅尾慶一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。

本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。

午前十時十分散会

2005年03月30日 (水)

参議院 本会議 11号 平成17年03月30日

162-参-本会議-11号 平成17年03月30日

○議長(扇千景君) 日程第三 平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案  日程第四 所得税法等の一部を改正する法律案  日程第五 関税定率法等の一部を改正する法律案  日程第六 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出、衆議院送付)  以上四案を一括して議題といたします。

まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長浅尾慶一郎君。

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〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕

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〔浅尾慶一郎君登壇、拍手〕

○浅尾慶一郎君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

まず、平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案は、平成十七年度の適切な財政運営に資するため、同年度における公債の発行の特例に関する措置及び年金事業等の事務費に係る負担の特例に関する措置を定めようとするものであります。

次に、所得税法等の一部を改正する法律案は、現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、定率減税の縮減、金融・証券税制、国際課税、中小企業関係税制等について所要の措置を講じようとするものであります。

委員会におきましては、以上の両法律案を一括して議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行うとともに、参考人から意見を聴取し、名目長期金利の上昇がプライマリーバランスの回復に与える影響、年金保険料を事務費に充当することの妥当性、定率減税の縮減が家計と景気に与える影響、今後の抜本的税制改革に向けた政府の取組等、各般にわたる熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。

両法律案につきまして、質疑を終了いたしましたところ、民主党・新緑風会を代表して平野達男理事より、公債特例等法案について、年金事業等の事務費に係る負担の特例に関する規定の削除を内容とする修正案が、また、所得税法等改正案について、定率減税の縮減に関する規定の削除等を内容とする修正案が、それぞれ提出されました。

これに伴い、国会法第五十七条の三の規定に基づいて内閣の意見を聴取しましたところ、両修正案に反対である旨の意見が開陳されました。

次いで、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して広田一委員より、両原案に反対、両修正案に賛成、自由民主党及び公明党を代表して山下英利理事より、両原案に賛成、両修正案に反対、日本共産党を代表して大門実紀史委員より、両原案に反対、両修正案に賛成する旨の意見がそれぞれ述べられました。

討論を終了し、順次採決の結果、両修正案はいずれも否決され、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

なお、所得税法等改正案に対し附帯決議が付されております。  次に、関税定率法等の一部を改正する法律案は、内外の経済情勢の変化に対応する等の見地から、関税率等の改正を行うとともに、税関における水際取締りの強化、通関手続の迅速化等について所要の措置を講じようとするものであります。

次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案は、国際開発協会の第十四次増資に応じるため、我が国が追加出資を行うことを政府に対して授権する規定を追加しようとするものであります。

委員会におきましては、以上の両法律案を一括して議題とし、知的財産権侵害物品の水際取締りの方策、米国産牛肉の安全対策と検査の在り方、国際開発協会への出資シェアの低下が我が国の発言力に与える影響等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。

両法律案につきまして、質疑を終了し、順次採決の結果、関税定率法等改正案は多数をもって、国際開発協会加盟措置法改正案は全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

なお、関税定率法等改正案に対し附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)

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○議長(扇千景君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。広田一君。

〔広田一君登壇、拍手〕

○広田一君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、政府提出の平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場で討論をいたします。

まず、いわゆる特例公債法案に反対する理由を申し上げます。

第一に、この法案は、政府のこれまでの財政運営の失敗に対する反省もないまま、将来世代に赤字をツケ回す象徴的な法案であります。

政府は、四年ぶりに国債発行額を縮減したと強調しています。しかし、その主な要因は、民間の自助努力により生じた税収の増加のおかげであることは言うまでもありません。また、三年ぶりの一般歳出の削減ができたのも、税源移譲や単なるスリム化に伴う地方への国庫補助負担金の大幅な減額によるものであります。つまり、今回の国債発行額の縮減や一般歳出削減は、民間と地方頼みの結果であり、国自らの歳出削減努力の成果とは到底言えません。

第二に、この法案が、昨年年金不信をもたらした年金保険料の年金事務費への流用を実行しようとしていることであります。

国民の皆さんは、自分たちが納めた年金の保険料の流用について大きな不信と不満を持っています。このことを払拭できないまま、その後も社会保険庁に関する不祥事は後を絶ちません。与党からも解体論が出ているほどです。

私たちは、まず、時限的措置として始められたこの特例措置をやめて、制度本来の姿に戻して、事務費を全額国庫負担とすることを強く主張します。つまり、給付以外に保険料は使わない、この原点に立ち返ることが、今や地に落ちた年金制度に対する信頼を取り戻す初めの一歩であります。

無論、保険料であれ税金であれ、国民の皆さんからお預かりした大切なお金には変わりありません。その意味で、今後とも私たちは国民の目線に立って無駄遣いを排し、事務費使用の適正化に取り組んでまいります。

次に、所得税法等の改正案について、反対する理由を申し上げます。  第一に、本法案の提出の仕方に問題がございます。

景気判断など十分かつ慎重な審議を要する所得税の定率減税の縮減と他の税制改正案をいわゆる日切れ法案等として一緒に提出することにより、中には中小企業関係の税制改正や教育訓練費の税額控除制度の創設など評価すべき法律案もありながら、建設的な議論や判断を妨げたことを政府は深く反省すべきです。  第二に、所得税の定率減税の縮減については時期尚早と言わざるを得ません。

なぜなら、多くの国民の皆さんが抱く、家計に負担を求めるのならば所得の裏付けが必要ではないかという素朴な疑問にすら政府は正面から答えていないからです。

私たちが反対をする最大の理由の一つが、まさしく私たちと政府との景気認識の違いです。

政府は、平成十一年度の定率減税導入時期と比べて、我が国の経済は著しく好転しているとしています。確かに、企業部門だけを見れば、経常利益や設備投資の増加など改善している面もございます。

しかし、所得税増税の影響を直接受ける家計部門はそうではありません。特に、今回の増税では、子育て世代や中堅所得層の負担増が他の層と比べて大きいと言われています。これらの層も含めて、定率減税導入時期と比較しましても、年収に当たる民間給与所得者の現金給与総額は下がり続けているなど、厳しい状況にございます。その上に、配偶者特別控除の一部廃止、年金保険料、雇用保険料の引上げなど、一連の負担増がのし掛かっています。

また、先ほど中川大臣からもございましたように、地方の現場を歩き実際にお話を聞きますと、景気が良くなっているなんてとんでもないという答えが返ってまいります。そして、それを裏付けるように、最新の統計によれば、各都道府県内の総生産や住民所得が対前年度比でマイナスになっている自治体が続出をしております。特に、人口集積が小さく産業基盤の弱い地方の地域経済の疲弊は深刻であります。

さらに、回復をしていると言われている企業部門も、先ほど我が会派の加藤議員から指摘がございましたように、大企業と中小零細企業とでは大きな格差が生じ、問題化しているのは皆さん御承知のとおりです。当面の景気も、いまだデフレが続き、個人消費の低迷が依然として続いているなど、各種経済指標は先行きの不透明さを示しています。

このような状況での定率減税の縮減は、景気に冷や水を浴びせることになりかねません。その結果、景気後退をもたらし税収減となれば、財政再建にかえってマイナスになることを強く懸念いたします。

以上の理由から、現時点での定率減税の縮減は明らかに時期尚早であり、即時撤回すべきであります。

これらに対し、民主党・新緑風会の修正案は次の項目から成り立っておりました。

第一に、これまで申し上げたとおり、定率減税縮減に関する規定の削除であります。

また、政府は、縮減により生じる財源を基礎年金国庫負担金の引上げの一部に充てるとしています。

これに対し、私たちは、国民の皆さんの年金に対する強い不信などを考えれば、まず徹底した歳出削減により必要な経費を賄う努力をすることが筋であると考えます。

第二に、NPO支援税制の拡充であります。

NPOは、公共サービスを提供する非営利の民間組織として、二十一世紀の「この国のかたち」をつくるためには必要不可欠なセクターであります。しかし、現在は約二万に及ぶ認証NPOが活動している一方で、寄附金が所得控除される認定NPOはわずか三十団体であります。毎年、NPO支援税制は改正されますが、小手先の支援にとどまっています。

それに対し、私たちは、パブリックサポートテストや活動要件など認定NPO要件を大幅に緩和すると同時に、個人寄附金などの控除を拡充し、NPOに対する寄附を飛躍的に促進させます。これによって、これから社会を支え、担う第三のセクターにふさわしい環境整備を進めてまいります。

第三に、ローン利子控除に関する規定の新設であります。

これは、所得控除の対象を、住宅ローンのみならず、自動車、教育ローンなどキャッシュローン以外のローン全般に拡大することによって、これらに係る金利分をおおむねすべて所得から控除することができるようにいたします。このことによって、低迷する個人消費を刺激して内需拡大を図ろうとするのが私たちの考えであります。

最後に、今多くの皆さんは様々な不安を抱えております。この国はどこに向かうのか。私たちの生活はどうなるのか。子供たちの未来は大丈夫なのか。本当にこのままで、今のままで、私たちは次の世代に自信と誇りと安心を持って今の社会、世の中を引き渡すことができるのでしょうか。このことを自問自答したときに、私たちに課せられた責任は大変重いものがございます。

その責任を果たすためには、今政府が進めるような先の見えない場当たり的な負担増や赤字のツケ回しではなく、しっかりとした財政健全化のビジョンに基づいて、そしてそれを裏付ける納税者の視点に立った税制改革が必要であります。

このことを強く強く国民の皆さんに訴えて、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(扇千景君) これにて討論は終局いたしました。

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○議長(扇千景君) これより採決をいたします。  まず、平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。  両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。

〔投票開始〕

○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。

〔投票終了〕

○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。

投票総数         二百二十三

賛成            百二十六

反対             九十七

よって、両案は可決されました。(拍手)

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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕

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2005年03月29日 (火)

参議院 財政金融委員会 7号 平成17年03月29日

162-参-財政金融委員会-7号 平成17年03月29日

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。

委員の異動について御報告いたします。

本日、水落敏栄君が委員を辞任され、その補欠として片山虎之助君が選任されました。

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○委員長(浅尾慶一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府計量分析室長大守隆君外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

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○委員長(浅尾慶一郎君) 関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

○野上浩太郎君 おはようございます。自由民主党の野上浩太郎でございます。

冒頭ではございますが、本日未明、スマトラ沖で大地震が発生をいたしました。被災をされた方々には本当に心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、哀悼の意を表する次第でございます。政府におかれましては是非迅速な対応に全力を尽くしていただきますように、まず冒頭お願い申し上げたいというふうに思います。

それでは、限られた時間でございますので早速質問に入っていきたいと思いますが、まず、関税定率法等の一部を改正する法律案についてでございます。

言うまでもなく、この知的財産権の保護といいますのは知的財産立国を目指す我が国にとりましても最重要課題の一つでございます。しかしながら、知的財産権侵害物品、この輸入差止め実績も昨年の上期だけでもう二〇〇〇年の五倍以上にも上るというような被害の拡大をしているということでございます。

このような状況に対しまして、昨年十二月には知的財産戦略本部で模倣品・海賊版対策加速化パッケージというものも策定をされました。これの推進にまず全力を尽くしていかなければなりませんし、またあわせて、当局間の連携強化という面で、中国との税関相互支援協定、この締結への最終作業も加速化しなければなりませんし、またEUとの協定についても早期合意に向けての協議を促進しなければなりません。

そういう中での今般のこの法改正でございますが、こういうような今申し上げたようなことも含めて財務省といたしまして総合的にこの課題にどのように取り組んでいくのか、まず谷垣財務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 冒頭、野上委員から今朝のインドネシア沖地震についてお話がございまして、実は、今し方ございました閣議の後、閣僚懇で町村外務大臣から私も報告を聞いたばかりでございますが、各国の被害状況、まだ全容が判明しているわけではございませんけれども、去年のような大津波というものは起きていない、発生していない模様でございます。

いずれにせよ、今後判明する被害の状況とか被災国からの要請などによっては国際緊急援助隊を直ちに派遣するというようなことも検討を今している最中だと聞いておりますし、私どもも状況を把握して遺漏のないように対応したいと思っているところでございます。

そこで、知的財産権の保護に関しましては、今いわゆる知的財産立国ということで官民挙げて取り組んでいるところでございますし、財務省としても、特に知的財産権の侵害物品を水際で取り締まる、これを強化しなきゃならないということで今一生懸命取り組んでいるところでございます。

具体的には、法制面で、今年もお願いをしておりますが、過去二年間制度改善、特許権等について輸入差止め申立ての対象化等々やっていただいて、それに引き続きまして、今度出させていただいている法律では、権利者による見本検査であるとか、それから不正競争防止法違反物品の輸入規制品への追加であるとか、それから育成者権の侵害物品について税関から農林水産大臣へ意見照会を内容とする改正をお願いしているわけでございます。

そこで、諸外国との連携強化も大変大事でございまして、最近では、去年十二月に韓国と知的財産権侵害物品に係る情報交換についての規定を盛り込んだ税関相互支援協定を締結いたしましたが、現在、中国それからEUとの間で同様の協定の早期締結に向けて努力しているところでございまして、こういうものを早く結んで遺漏なきように取り組んでいきたいと思っております。  是非、御支援をお願いしたいと思っております。

○野上浩太郎君 それで、今回の改正では、不正競争防止法上で輸入が禁止されている製品ですね、つまり、周知表示の混同を惹起する製品ですとか著名表示を冒用する製品、形態模倣品、これを輸入禁制品に追加をされております。

例えば、たまごっちに対してニューたまごウオッチというのが出てきたり、ほとんどもう容器、デザインが一緒で、一部だけがちょっと違っているというようなものも入ってくる。これは大変なボリュームなものが追加をされるわけでございます。

これは重要な改正なんですけれども、これは税関が水際で迅速に判断をするというためにはやっぱり、例えばデータベースで検索をするとか、いわゆる経済産業省との連携の中でやっていかなければならない部分というのが大変多いと思うんですね。その体制についてどういうように考えておられるのか。

またあわせて、もうそういう微妙な製品が出てくるわけですから、税関職員のいわゆる目利きみたいな技術的な習熟というのも非常に大事だと思うんですが、その辺も併せてお聞きをしたいと思います。

○副大臣(上田勇君) お答えいたします。  今御指摘があったとおり、正に経済産業省との連携というのは不可欠でありまして、そうしたことから今回のこの法律案でも、水際取締りの実効性を確保するため経済産業省との密接な協力を得ることといたしております。

今御質問にもあったように、不正競争防止法違反物品というのは、これは例えば商標権のように保護される商標や権利者が登録されているものではないものですから、やはりその侵害の判断が容易でないという場合も想定されます。したがいまして、経済産業省とは、具体的には、不正競争防止法物品についても輸入差止め申立ての対象とし、輸入差止め申立ての際には、表示の周知性、著名性、どれだけ多くそういうのが知られているかというようなことについても経済産業大臣の意見書を提出するとともに、水際取締りの対象とする表示や物品等を特定するというようなことをやるとか、また実際にそうした物品が輸入されようとするときに侵害物品に該当するか否かを認定するための手続において税関が必要に応じて経済産業大臣に意見照会をするということができるようにしておりまして、差止め申立てをした者や輸入者から提出された証拠や意見に加えて、経済産業大臣の意見を基に侵害の該否を認定するというような仕組みをこの法案の中に導入しているところでございます。

また、今質問の中で触れていただきましたデータベースについても、現在でも、税関がその申立て、輸入差止め申立て等を受理した場合には、その申立ての内容について、侵害の内容であるとか、そういったものを含めたデータベース化をしているところでございまして、税関で審査をする際にそれらを利用させていただいているところでございます。これから不正競争防止法違反物品についても輸入差止め申立てを受理した場合は、このようなデータベース化を行うことによりまして水際における迅速な判断が可能にしていきたいというふうに考えております。

また、今御指摘にあったとおり、やはり税関職員の習熟というのが必要でありますので、このため、税関におきましても、特許権、商標権等の権利者による模倣品等を識別するための研修を実施しておりますし、また特許庁等の他機関や弁理士等の専門家による税関職員に対する研修、税関において知的財産権にかかわる事務を担当している調査官によります税関職員に対する研修など、種々の研修を実施しているところでございます。

また、そのほかにも、既に導入しております特許庁長官への意見照会制度、あるいは今般提出しております法案におきます不正競争防止法物品についての税関から経済産業省への意見照会制度や、育成者権、これもこの法案に含まれておりますが、侵害物品についての税関から農林水産大臣への意見照会制度などを活用しまして、水際におけます知的財産権侵害物品の迅速適正な取締りを実施していくこととしております。

さらに、以上に加えまして、他の税関からの相談を受ける東京税関においては特許権の専門家であります弁理士を任期付職員として採用する予定でありますし、船の専門家の活用や研修の一層の充実により、今後とも知的財産物品の水際取締りには万全を期してまいりたいと考えております。

○野上浩太郎君 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。

是非、運用面において現場で混乱生じないような体制整備を是非お願いしたいと思います。  次の質問なんですが、大枠の話といたしまして、やはりテロ対策の水際の取締りの強化、これと、やはり通関手続等の迅速化ですね、これはもう国際競争力を保っていくために重要なものでございますが、しかし、これはもう二つとも重要なんですが、ある意味では相反するような部分もあるわけでございますし、この両立をどういうふうに図っていくのか、大枠の話でございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 国際的な相互依存が高まってきて、税関がその物流を阻害するようなことであってはならないというのがこのところのずっと流れでございますが、他方、九月十一日の同時テロ、同時多発テロ以来、非常にテロの面というのも緊迫化してまいりました。もちろん今までも水際でいろんな悪いものを止めるというのは当然のことでございますが、そっちの要請も高まってきたと。ある意味では委員がおっしゃるように矛盾する要請ですが、日本の税関行政もそれにこたえなきゃいけないと。

また、日本だけではなくて、税関の国際機構でございますWCO、世界税関機構というのがございますが、そこにおいてもこの二つを、ある意味では矛盾するんだけれども、どう両立していくかというのが極めて大きなテーマになってきているわけでございます。

そこで、その両立を図るという観点から、平成十七年度の関税改正でコンプライアンスの優れた者に対しては輸出通関手続を迅速化していけるような措置を講ずる、これが今回お願いしていることでございます。これによって、コンプライアンスの優れた者に対してはできる限り通関を迅速化する一方で、そうでない者に対してはより一層厳正な審査とか検査を行っていって安全も期そうと、こういうことでございます。

それから、昨年十二月、国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部、ここで決定されましたテロの未然防止に関する行動計画というのがございますが、それを受けて、平成十七年度のこの関税の改正で爆発物等を輸入禁制品とするということによる輸入管理の強化も盛り込んだところでございまして、本行動計画の実現に向けて関係機関と連携を緊密にして適切な対応を図っていきたいと思っております。

○野上浩太郎君 今お話ありましたように、そのコンプライアンスに優れた者に対する措置というのは、これまでの日本の通関の考え方ですとかあるいはリードタイム短縮による金利や費用の縮減効果を考えますと本当に画期的なことだなというふうに評価をしたいと思いますが、これはやはりこの制度をしっかりと利用してもらわなきゃいけないわけでございまして、今、それに対する政省令、詰めていらっしゃるところだということでございまして、ちょっとその質問をしようかと思ったんですが、時間がありませんので、しっかりと利便性を高める方向で政省令詰めていただきますようにお願い申し上げたいと思います。

そして、あわせて、この通関の迅速化、テロ対策としてもそうなんですけれども、いわゆる貿易・通関手続の電子化というもの、大変に急務だというふうに思っておりまして、一昨年の、二〇〇三年七月にシングルウインドーということで一度この一本化をしたわけでございますが、この運用も何か大体三割ぐらいしか利用者がいないというようなことも聞いておりまして、なかなか利用が進まないということでございます。

今、財務省と国交省でこの電子化について次世代シングルウインドーというような形で更に検討を進められているということでございますが、これは重要な取組だと思いますけれども、この取組について大臣にお聞きをしたいというふうに思います。

○副大臣(上田勇君) お答えいたします。  今御指摘いただきました次世代シングルウインドーの検討については、財務省、国土交通省等の関係大臣政務官会合におきまして、関係府省が連携をいたしまして、FAL条約の締結にかかわる港湾手続の簡素化措置、あるいは輸出入及び港湾、空港手続関係業務にかかわる最適化計画等の検討を行っているところでございまして、これらについては財務省が議長ということで取りまとめを行っているところでございます。

これらの検討に当たっては、やはり申請者の視点を重視をして、それから関係府省、またそのほかの関係民間業界とも連携して検討を進めているところでございます。今後、こうした検討を踏まえまして、税関システムの最適化計画を平成十七年度末までのできるだけ早い時期に策定をしたいというふうに考えているところでございます。

○野上浩太郎君 ありがとうございます。

最後に、IDAについての質問を最後一問して終わりたいと思いますが、予算委員会、財政金融委員会でもいわゆるODAの在り方と財政健全化ですとか、国内への資源の振り分けの議論がございました。谷垣大臣もナローパスだけどもしっかりやっていきたいと言っておられます。正にそのとおりだと思いますが、今回のIDAの件についても、出資シェアは低下したけども出資額は増加したというような部分もございますし、それによって日本の影響力ですとかプレゼンスの低下を懸念する声もございますが、日本の国益にとっては日本の主張ですとか、そういうものをどういうふうにして今回の交渉に反映をさせたかということが重要であろうというふうに思います。

このことについて最後にお聞きをしまして、終わりたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) IDAの増資、今度は第十四次ですが、今まで各国負担額は、前回出資の出資シェアをベースに、相対的な各国の経済力であるとか財政事情を勘案して各国間交渉して決めていくということですが、今回のこの十四次増資交渉では、ミレニアムプロジェクト等を実現するために非常に大規模な増資になりまして、ところが、我が国はある意味では苦しい立場にある、財政事情が非常に厳しゅうございますので、増資規模は増えるんだけれども、各国からの理解を求めて我が国の出資シェアの縮減を図りました。この結果、我が国の出資額は今後三年間で二千七百七十五億八千五百万円、出資シェアは前回の一六%から一二・二四%に下がることになって、今委員もおっしゃいましたように、これで日本の発言力が弱くなるんじゃないかという心配をされる向きもございます。しかし、累積出資額で見ますと、引き続きアメリカに次いで第二の出資国との位置付けに変化はございませんので、今回のシェアの低下が我が国のプレゼンスの低下に直ちにつながるわけではないと思います。

我が国は、今度、主要出資国でございますので、増資交渉でも我が国の主張を相当鮮明にしてぶつけたところで、合意形成には重要な役割を果たしたと思います。

さっと、もう時間もございませんので手短に日本の主張を申しますと、投資環境の改善とインフラ整備、このごろインフラ整備で長い、何というんでしょうか、持続的な成長をつくっていくことが必要だという主張をする国が少なくなってまいりまして、日本はその数少ないところでございますから、そういう面がやはり大事だということを言いました。それから、民間セクターの育成、その中における技術支援とか政策対話の重要性、それからやはり債務持続性分析というのをしっかりやっていかないと駄目だということですね。それから、結果重視の国別支援戦略を定着させるということが大事でないかというような主張をしまして、これがやはり合意のベースになったと思います。

それから、IDA資金の地域別配分については、今アフリカに非常に関心が集まっておりますが、もちろんアフリカは大事でございますけれども、アジアも世界の貧困人口の大きな部分を占めるんで、そこもやっぱり取組を強化する必要があるんじゃないかというようなことを主張しまして、我が国の主張は評価をされているところではないかと思っております。

○野上浩太郎君 終わります。

○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。よろしくお願いします。

二法案に関連して質問をさせていただきます。

まず、関税定率法等の法案に関してでございます。

今議論にもなりましたけれども、通関手続の迅速化の観点から、コンプラに優れた業者については一部検査手続を簡素化するということが盛られておりますけれども、今想定されているその通関手続で優遇できると見込んでいる対象の業者数若しくは対象数量、そしてそれによって、迅速化、簡素化によって輸出税関職員がどのぐらい、何というんですか、ほかの部署に配置できるというか、迅速化によって仕事を軽減できるか、その辺のところを、見込みをお聞かせいただきたいと思います。

○副大臣(上田勇君) 私どもとしましてはできるだけ多くの者に利用してもらいたいというふうに考えているところでございますけれども、このやはり制度を利用するか否かというのは輸出者の判断もありますので、現時点で利用者がどの程度になるかというのは正確には把握できないところでございます。

ただ、今の制度の下で法令遵守の高い輸出者に対する包括事前審査制度がございますが、その制度の適用を受けているのが三百六十三社でございます。その中の一部がこの新しい通関制度の利用の対象になっていくものではないかというふうに考えております。

また、今御指摘にありましたように、この審査、検査が相当程度省略できるというようなこともございまして、私どもとしましては、平成十七年度におきましてはそうした審査、検査のための要員を二十人削減することとしているところでございます。

○富岡由紀夫君 ちょっと、もう少し多い人数の人が、要員が新たに、何というんですか、確保できるのかと思ったんですけれども、まあそんなに極端に変わらないということですね。いずれにしろ、そういう要員を、本来もっと強化しないといけない、武器とか麻薬とか、そういったものの水際チェックに重点配分するという方向で動いているというふうに認識させていただきます。

そして、次に、今いろんな国際貿易の中でWTOの動きとFTAの動き、二つがございます。そして、そのWTOの中では、委員の中では、理事の中では、FTAの行き過ぎた二国間だけの若しくは特定の地域だけのそういった貿易の、関税の進め方についてはちょっと問題であるというような指摘もされております。そういった中で、日本はどちらに重きを置くのか、若しくは両方に重きを置くのか、その辺のスタンスを、国際貿易の中での日本のスタンスをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 委員が指摘されましたように、WTOの諮問委員会報告書では、FTAが無原則に拡大していくということになるとWTOの基本精神が空洞化していくんではないかという懸念を表明しておられるわけですね。それで、WTO新ラウンドというのは、関税引下げ等の貿易自由化という観点だけじゃなくて、アンチダンピング措置であるとか、あるいは貿易円滑化といった貿易ルールの明確化、これも対象としておりまして、私は基本的に極めて大事なものだと思っております。

財務省としては、こういう多角的貿易体制の維持強化であるとかいうことによって、我が国の経済あるいは世界経済の発展に向けて、開発途上国の懸念も十分考慮しながら、WTO新ラウンドに積極的に取り組んでいくということが大事だと思います。

しかし、他方、今FTA等々が、FTAを含む経済連携協定が進んでまいりますから、進んでおりますから、やはりここのところを全然傍観しているわけにはいかない状況だろうと思います。WTOを中心とするその多角的貿易体制を補完する、そういう観点から貿易自由化や経済活性化を迅速に推進していくという観点は捨てるわけにはいかないわけですが、WTO新ラウンドと並行してFTAも推進していかなきゃならぬと、こういうことではないかと思っております。

昨年の十二月に経済連携促進関係閣僚会議で基本方針を決定いたしましたので、それに基づきましてFTAを含む経済連携、頑張っていかなきゃいかぬと思っております。

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。  そして、この関税の中で今話題となっている米国牛を輸入する話が今出ております。そして、昨日、食品安全委員会のプリオン専門調査会で合意がされたという報道を今日のいろんな新聞の報道等々で拝見させていただきました。ちょっとその点について幾つか確認をさせていただきます。合意内容については昨日の新聞で確認させていただきましたので省かせていただきまして、幾つか私の感じた疑問点をちょっとお伺いしたいと思います。

まず第一に、二十か月以下の牛について検査をしなくてもそれほど危険性はないという答申の内容というか、合意の内容だったというふうに理解しておりますけれども、どうして二十か月以下はいいかというと、プリオンというもととなる病原体が蓄積が少ないだろうというふうに言われておりますけれども、二十か月以下の牛が発症しない、潜伏しているだけで絶対に発症しないということは科学的に証明できているんでしょうか。食品安全委員会委員長にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(寺田雅昭君) お答え申し上げます。  二十か月以下は発症しないという証拠はございません。しかし、蓄積しているプリオンの量が非常に少なくて、定性的、定量的なリスク評価をやった結果、リスクはほとんど無視できる、あるいは二十か月以上だけを検査をしても、プリオンの、異常プリオンを持つ牛のリスクは無視できるかあるいは大変少ないと。したがって、人に対する危険性も無視できる程度であるという結論に、プリオン専門調査会が昨日結論が出たわけでございます。

○富岡由紀夫君 今、微量なんで人間に対する影響は少ないというふうにおっしゃっておりましたけれども、人間にどのぐらいの量が、人間が摂取したら危険になる、人間が影響を受けるのか、その点の科学的な、何というんですか、基準となる数値というのは解明できていらっしゃるんでしょうか。

○政府参考人(寺田雅昭君) それは大変大事な問題でございますが、幾ら食べたら人間がいわゆるバリアントフォームのCJDになるかということは分かっておりません。ただ、牛では実験がございまして、一番最少の濃度が一ミリグラムで十五匹のうち一匹が発症したということで、それから猿ではそれの大体、種間のバリアというのがございますけれども、七十倍ぐらい量が要るだろうという結果が出ておりますが、本当に人間どれだけ食べたらいいのか、食べたらいいじゃなくて、CJDになるのかとか、そういうことは分かってないんです。

○富岡由紀夫君 ちょっと今のお話聞くと矛盾が感じられるんですね。分かってない、人間に危険を及ぼす量が分かっていないのに、二十か月月齢以下の牛については極めてリスクが少ないだろうというお話ありましたけれども、危険な数量が分からないのになぜそういうことが言えるんでしょうか。

○政府参考人(寺田雅昭君) 検査法が、現在の方法では検出できる限界があるわけです。ですから、二十か月以下のものを検査をやりましても、今までの経験とかヨーロッパの経験からいきましても検出することはできないと。もしか検出できるようであれば、今議員が言われたとおりのことが考えられますし、それからまた、検出法が例えば〇・〇一ミリグラムを検出できるということがありましたら、非常に若いときのごくごくわずかの異常プリオンを検出することができますが、今の方法ではできません。ですから、それは二十か月以下のものをやってもやらなくても分からないということなんです、本当のこと言いまして。

○富岡由紀夫君 検査できないから、やってもやってもしようがないと。だけれども危険性は分からないと、危険性も分からないと。それでやらないというのはちょっとおかしいんじゃないかと。私が思うのは、分からないんであれば、検査でできないからやらないというんじゃなくて、もしそうであれば、二十か月以上ならば検査ができるわけですか。それであるんだったら、二十か月以上待って検査をして肉を食べるというふうにするとか、それが科学的知見に基づいた安全基準じゃないかと思うんですよ。分からないから検査を、検出できるかどうか分からないから検査をしなくていいと、危険度、人間に対する影響度合いもどれだけだか分からない、だけれども多分大丈夫だろうという、これが科学的知見と言えるのかどうか、ちょっと疑問に思うんですが。

○政府参考人(寺田雅昭君) 検査のことに話が出ましたのであれですが、それ以外に危険な部位というのは、脳とか脊髄とか、いわゆる危険部位というのがあるんですね。そこの部分を完全に除く方が絶対的に大事であるということで、全体、世界じゅうを見ましても、そこのところのSRMを除くということを一義的に考えて、しかし検査もそれを補完するという形で必要であると。それは例えば、がんの場合に、検査しても分からないがんもある、それと同じように考えていただければいいと思います。

○富岡由紀夫君 今、危険部位のお話出ましたので、ちょっとそこも後で触れようと思ったんですが、危険部位の除去の仕方についても国際間でいろんなやり方があって明確じゃないと。アメリカは、脳に針か何か刺して、そして牛をおとなしくさせてからいろんな解体作業をするとか、いろいろやり方があるみたいですね。そうすると、脳とか脊髄にあるそういった病原体がほかのところに散らばる可能性もあるとか、そういった、何というんですか、話をちゃんと一個一個明確にしていかないといけないと思うんですね。だから、検査については分からないからやらないのか、それで危険部位についてはちゃんと除去できるのかできないのか、そういったところをちゃんと分けて私は検証しないといけないというふうに思っています。

そして、これがすぐアメリカの牛肉を輸入することになるかどうかということは関係ないというふうに言っていますけれども、何というんですか、これによって、実は私そもそも疑問に思ったんですけれども、二十歳以下の牛というのは、二十か月以下の牛というのは、日本の国産の牛、日本で育った牛というのはどのぐらい出回っているのか。そして、今回アメリカで、日本に輸入されようとしておりますけれども、その二十歳以下の牛を今対象としているわけですけれども、アメリカの中では二十か月、二十歳じゃなくて二十か月以下の牛がどのぐらい出回っているのか、どういうふうに現状を認識したらいいのか教えていただきたいと思います。

○政府参考人(外口崇君) お答え申し上げます。  まず、国内で屠畜される牛のうち二十か月以下がどのぐらいかということですけれども、それは大体一二%ぐらいになります。それから、米国の中でいわゆる肉牛で屠畜されるもののうち二十か月以下の割合は、これは八割から九割は二十か月以下ではないかと思います。

○富岡由紀夫君 ちょっとよく分からないんですね。

ちょっと私は危険な、何というか、消費者に対して不安を助長する要因がここにあると思うんですね。日本の国内の牛だけでも、今の話だと一二%のやつはこれから検査の対象外になるだろうと。だけれども、各自治体は自主的に検査すると言っていますけれども、やらなくてもいいと、検査しなくてもいいと。そういう食肉が一二%が出回る可能性が十分あるということが一つ大きな問題点。そしてもう一つ今聞きたいのは、アメリカの八割から九割の牛がどうして、日本はわずか二十か月以下の牛が一二%なのに、アメリカは八割から九割の牛がそんなに出回っているのか。この違いを二点、ちょっとそれぞれお伺いしたいと思います。

○政府参考人(伊地知俊一君) お答えいたします。  アメリカの月齢が若い理由といたしましては、日本の場合には肉質を重視をした肥育がなされていると。したがいまして、和牛であれば三十か月齢ぐらい飼わないといい肉が、おいしい肉ができないと。脂肪交雑を入れて高級な牛肉を作ろうというのが日本の農家の肥育の一般的なやり方でございます。アメリカは、それに対しまして、脂肪交雑、サシをたくさん入れていい肉を作ろうというの、は一部はございますけれども、日本ほどでなくて、経済効率を重視して肥育をやっているということで、若い月齢で肥育、屠殺されているという状況でございます。

○富岡由紀夫君 今のお話もそうなんですけれども、違う、何というか、いろんな物の本によりますと意見も出ております。アメリカの牛はいわゆる成長ホルモン、大きくなるのを早くさせるようなホルモンを使っていると。成長ホルモン若しくは肥育ホルモンというんですか、を使っているというお話がございます。だから二十か月以下の牛が早く大きくなって食肉として流通するような話があると伺っているんですけれども、そういう要因もあるんでしょうか。

○政府参考人(伊地知俊一君) お答えいたします。  肥育効率を高める、増体を良くするという目的で使われるのは事実でございます。ただ、それだけが原因で肥育期間を短くできるということではございません。日本でも、肉質を重視しない乳用種につきましては、先ほど言いましたように、二十か月齢以下で出荷されるものもかなりいるわけです。乳用種の場合は大体二十一か月から二十四か月齢ぐらいで出荷されています。一方、肉質を重視をして、いい肉を作ろうというものは肥育期間を長くして、いわゆる黒毛和種というものは平均で約三十か月齢ぐらいで屠殺されているというのが実態でございます。

○富岡由紀夫君 ちょっといろいろと、BSEの問題のほかに、関連していろんな記事見させていただくと、その肥育ホルモン、成長ホルモンについての危険性についてもいろいろと議論になっています。WTOなんかでは、ある安全基準を作って、その基準以下であればその肉を安全とみなして流通してもいいというふうに報告されているようですが、ヨーロッパはその肥育ホルモン、成長ホルモンを使った牛は一切輸入をしないというふうにやっているらしいんですね。WTOの条例に違反してでも、ヨーロッパの国内の安全を確保するために、それは危険だという可能性が少しでも残っている場合は輸入しないというふうにやっているんですというふうに報告を受けているんですが、それは本当ですか。

○政府参考人(外口崇君) いわゆる牛の生産段階で使用される肥育ホルモンについてでございますけれども、これはEUの方では、先生御指摘のように、EUの中でも使っておりませんし、それから米国から輸入されるものについても、これは、エストロジェンの発がん作用等が問題であるという意見の下にこれを輸入をしておりません。

それで、我が国の国内のお話も一緒にしておきますけれども、我が国の国内では、これは食品衛生法に基づきまして、人の健康に影響を与えない量として食品中の残留基準を設定しております。その基準を超える残留が認められる牛肉の輸入、販売を禁止しているところであります。平成七年に残留基準を設定いたしまして、その後、毎年計画的に輸入時のモニタリングをしておりますが、現在まで残留基準を超えた事例というのは認められておりません。

○富岡由紀夫君 要は、WTOとか国際的な基準があるんだけれども、ヨーロッパは独自の安全基準を設けて規制しているということが行われていると。自分たちの安全を守るためにやっているということです。

あともう一つ関連してお伺いしたいんですけれども、アメリカは他国から牛肉もちろん輸入していたと、今もしていると思いますが、アメリカが輸入、アメリカが他国、要するにBSEの発生した国から牛肉は輸入しているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(伊地知俊一君) お答えいたします。  アメリカは、近年、年間約百万トン前後の牛肉の輸入をしております。主な輸入国といたしましては、豪州、カナダ、ニュージーランドでございまして、BSEの発生国でありますカナダからは、三十か月齢未満の牛の骨なし牛肉について、一定のリスク軽減措置を条件に輸入が行われている状況でございます。

○富岡由紀夫君 一定の条件を基に輸入は少しやっているということですか。

○政府参考人(伊地知俊一君) 輸入は少しでなくてかなりの量でございまして、これは、今申し上げましたように、三十か月齢未満であるということと、骨を除いているというリスク低減措置をとってやっているということでございます。

○富岡由紀夫君 日本からアメリカに輸出していた牛があったと思うんですけれども、それは今BSEが発生したということで止められているわけですか。

○政府参考人(伊地知俊一君) 日本から米国に輸出をしておりましたのは、平成十二年に日本で、日本の国内で口蹄疫という病気が発生をいたしまして、それで輸入が停止をいたしております。その後、継続してまたBSEが出たものですから、引き続きアメリカへの輸出は止まっているという状況でございます。

○富岡由紀夫君 そういうことだというふうに報道でもされております。

そしてもう一つ、日本が全頭検査を要求しているわけでございまして、それに対してアメリカのある民間業者は、牛肉の輸出業者は全頭検査を受け入れてもいいよというふうに報道がされました。実際、インタビューなんかで、日本の消費者が望むのであれば当然それは生産者としてやるべきだということでやったんですが、それがなぜだか今抑えられているというか、何というんですか、駄目だということでやられておりますけれども、これはどういったいきさつでそういう状況になっているのか。わざわざアメリカが、全頭検査してもいいという人がいるのに何でその人の意見がちゃんとそうされないのか、教えてください。

○政府参考人(伊地知俊一君) お答えいたします。  民間企業によります自主的なBSE全頭検査につきまして、米国政府は昨年の四月九日にこの申請は認めない旨の通知をしたということを承知しております。

その理由でございますが、米国農務省は、BSEの検査というのはサーベイランスのために行われるものであって、消費者の安全確保のために行うものではないということを挙げております。

○富岡由紀夫君 じゃ、アメリカと日本の考え方は全然違うんですね。消費者の安全のためにやるというんじゃないんですね、そもそもね。

それで、ちょっと私、今までのことを総合してちょっと感想を述べさせていただきますと、要は、安全基準というのは自分たちの国でそれぞれ作ってしかるべきものだと。それは、やっぱりどこを一番目を向けるべきかというと、やっぱり消費者だと思うんですよね。消費者が少しでも疑問に思うのであれば、それを、疑問を排除できるような方策を、施策を取るのが国の安全施策だというふうに思っております。  さっきのお話でありますと、二十か月以下の牛は微量だから、若しくは検査しても発見できないからやらない、そして危険部位を除去するから大丈夫だというお話だと思うんですけれども、私は、やっぱりそれをやるんであれば、やっぱり二十か月以下の牛は絶対に発症しないということを科学的に証明して、かつ二十か月以下の牛が持っている病原体の量であれば人間に絶対に影響を及ぼさないということを科学的に証明できない限り、それを、検査を除外、しなくていいということは認めるべきではないと私は思っているんですけれども、こういった、これはちょっと素人の私の考えなんですけれども、こういった考えについて、ちょっと酷かもしれませんけれども、酷というか、余り専門的な分野とはちょっと、何というんですか、専門的な分野になり過ぎてあれなんですけれども、谷垣財務大臣に、これは貿易という観点からどのようなお考えを、今までの、今のお話を、議論を聞いてどういう御感想をお持ちになったか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 直接の所管というわけではないわけでございますが、私は、食品安全基本法を作り、食品安全委員会がスタートしたときの担当閣僚でございました。そういうこともございまして、こういう米国産牛肉の輸入再開について食品安全委員会が果たすべき立場というのは、やはり科学的知見に基づいて適切に、一体何が危険なのか、リスクというのは一体何なのか、これをきちっと評価していただくということだろうと思います。

その中身がこういう、先日、プリオン専門調査会で報告案ができたわけでございますが、私は中身は専門的知見を動員して結論を出していただいたんだというふうに思っておりますが、これを今後恐らく、私のかつての理解によりますと、パブリックコメントに掛けて、リスクコミュニケーションみたいなものも行って、その上でもう一回、リスク管理をやる農水省なり、そういうところが、あるいは厚生労働省ですか、判断をされるということになると思いますが、私は、今まで十分時間を尽くして、科学的知見を尽くしていただいたものと信じております。

○副大臣(七条明君) 私、実は金融担当だけではなくして、今食品安全委員会の副大臣でもありますから、私の方からも答えさせていただきますが、今財務大臣の方からお答えいただいたとおりでございまして、今あるべきことを一つの科学的な見地として食品安全委員会が出したのは諮問を受けて出したことであると。その出した答えが、そのまま米国からの輸入を解禁するという答えとはまた別問題でございますから、この科学的な見地を出したことを検討して次の段階に入っていくというふうにお考えいただければと思っておるところでございます。

○富岡由紀夫君 今のお話をちょっと、もうこの話このぐらいにしたいので、最後ちょっと総合させていただきますと、そのとおりだと思いますけれども、要は不明な点がまだ一杯残っているわけですよね。

そして、私、一番心配しているのは、消費者に非常に大きな不安を起こさせる可能性が非常に強いと。要するに二十か月以下の牛は検査しないと。といっても、日本の国内の各自治体はやるといったときに、アメリカから検査しない肉が入ってきたときに、肉全体、ちゃんと検査している日本の国産牛の消費に対しても、そのものに対しても危険性の疑い、安全性の懸念というか、そういったものが消費者心理として起こるんじゃないかというふうに思っているんですね。ましてや、アメリカの肉が入ってきて、加工されてハムとかソーセージとか、若しくはミンチみたいな形になってハンバーグになったりスープのだしに使われたり、そうしたときに、それが本当に検査した肉を使ったものなのか、そうじゃないものを使ったのかというのが全く分からない。そういった商品の、食品の、何というんですか、対する信頼感というのか、それも全部損なってしまう可能性が非常に大きいんですね。

だから、今回の一部検査をしなくていいということは、やっぱり消費者にとっては非常に大きな影響を及ぼす、日本の国内のメーカーとか生産者に対しても非常に大きな影響を及ぼすということを十分やっぱり、これはさっき言った科学的な知見に基づいて最後は政治的判断をされるんでしょうけれども、その政治的判断をするときにそういった観点を是非よく考慮していただきたいというのが私の思いでございます。

今のお話を聞かせていただきますと、科学的な一〇〇%の証明というのはないということでございますので、私は、ないんであれば、やっぱり予防原則に基づいて、やっぱり検査ありきだというふうに思っております。検査ができない、二十か月以下はできないというのであれば、二十か月以上まで待って、検査できる範囲だけ、何というんですか、検査して、それで安全を確認した上で食品を流通に回すとか、そういった手段をやっぱり講じないと、やっぱり国民は安心して肉を食べられないということになってしまいますので、そのことだけは十分考慮していただきたいというのが私の思いでございます。

そして、ちょっと次の議題に入らさせていただきます。

IDAに関連してでございますけれども、よく分からないんですが、これもこの間、特別会計も分からないというふうにお話しさせていただいたんですが、これはODA予算だというふうに理解しているんですが、ODA予算といっても、何かよく聞くと、よく見ると二つあるんですね。一般会計のODA予算というのと事業予算のODA予算というのがありまして、一般会計は七千八百六十二億、そして、それに対して事業予算というのは一兆四千六百五十八億、やっぱり倍以上の開きがございます。この中身をやっぱり理解しておかないと日本のODAの在り方についてやっぱり是非を判断できないんだというふうに思っております。

この違いの要因は、いろんな御説明聞いた限りでは、一般会計にプラスされて財投機関からの資金流入、他の特別会計からの資金流入、出資国債による資金流入等々があるというふうに伺っておりますが、この明細、内訳についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(杉本和行君) 委員おっしゃるように、ODAにつきましては、一般会計のODA予算、これを含んだところの全体として我が国ODA事業の姿を示すODA事業予算という二つの数字が確かにございます。

十七年度予算におけるODA事業予算の事業規模の総額は、今お話がありましたように、一兆四千六百五十八億円でございます。その主な内訳は、一般会計予算で見ておりますのが七千八百六十二億円、それから円借款、これは一部は国際協力銀行に対する出資金で見ておりますが、他方、財政投融資を財源としておりますので、こうした円借款等のうち財政投融資等を財源とするものが五千二百六十五億円ございます。それから、IDA、アフリカ開発基金、こういった国際開発金融機関等に対する出資国債で対応しているもの等、これが千五百十一億円ございます。さらに、特別会計予算で見ておりますものが二十億円ございまして、今申し上げた数字を合計いたしますと一兆四千六百五十八億円になるものでございます。

○富岡由紀夫君 やっぱりその今ODA予算等々、今回も出資に関連して税金が投入されるわけでございますから、どれだけ、どういうところから調達されているのかというのがやっぱり我々はちゃんと理解しなくちゃいけないし、やっぱり政府としてもそれを説明しないといけないというふうに思っておりまして、もう少し分かりやすく説明資料というか、そういうのも作成をお願いしたいと思います。そして、それに基づいて、いいか、判断というのはまたこれは別問題で、そこをちゃんとやっていけるようなまず体制をつくる必要があると思います。一兆四千億円も事業予算が組まれているというのは、なかなか、余り理解していなかったものですから、非常に驚いております。

そして、今回のIDAの出資国債というのは一般会計の中でも織り込まれているというふうに理解しているんですが、これは予算書の中のどこに幾ら入っていらっしゃるんでしょうか、確認したいと思います。

○政府参考人(杉本和行君) 一般会計の中に国債費という項がございまして、その項、国債費の中に出資国債償還財源国債整理基金特別会計への繰入れという目がございます。これが二千三百二十八億円でございまして、国際開発協会、IDA分のこの償還費が千八百七十四億円というふうになっております。  そのほか、アジア開発銀行の償還費が九億円、アフリカ開発基金の償還費が四百二十億円、アフリカ開発銀行の償還費が六億円、欧州復興開発銀行の償還費が十九億円でございまして、これを合わせて二千三百二十八億円となっております。

○富岡由紀夫君 IDAの、今、何というんですか、基金の繰入れの金額が一千億円ちょっとというふうに言っておりましたけれども、今回の出資の分はそのうち幾らなんでしょうか。

○政府参考人(杉本和行君) IDAの分も前回からの分と今回からの分がございまして、今回の分の償還費は六百九十四億円でございます。

○富岡由紀夫君 これは分割して、毎年、何年度かに分けて繰り入れるという理解だというふうに思っておりますが、今言ったIDA以外の予算の繰入れについて、ほかの、今、アジアとかアフリカのそれぞれの地銀ですか、国際地銀、国際機関の地銀がありますけれども、これらについての予算というのは毎年どのように審議されているんですか。

○政府参考人(杉本和行君) それぞれの国際機関の増資交渉、それから拠出交渉等を含めましてそれぞれコミットしているものがございまして、それにつきまして国債等で出資させていただいております。そのもののうちから、各国際機関におきましてそれぞれ、各国際機関においてもその現金の所要等の必要がございますので、そういった要望を踏まえまして必要額を現金償還とするということで計上さしていただいているものでございます。

○富岡由紀夫君 IDA以外の出資についてはこういった法案がなくて、毎年予算が計上、そのODA予算の一環、一部として計上されているということですか。

○政府参考人(杉本和行君) 増資につきましては、いわゆるグローバル機関といいますか、全世界的に対応している世銀等の機関でございますが、こういったものにつきましては法律において総額の出資額等を記載させていただいて、法律でお願いしているところでございます。  その他の、地域国際開発金融機関と言っておりますが、アジアとかアフリカとかを対象とするものにつきましては予算総則において全体のコミット額を計上させていただいておりまして、それに必要なものにつきまして、出資国債で出させていただいているものにつきましては現金償還分につきまして国債費で措置させていただいているという構造になっております。

○富岡由紀夫君 ちょっと、だから私の疑問点は、IDAについてはこういう個別の法案で出資額についてちゃんと審議して、幾ら出しますよということが議論されているんですけれども、その他の地銀については、総則ですか、この一番最初の方にちっちゃく書いてありますけれども、今回、今年も幾らか出ていますけれども、ここを見なくちゃ分からないということなわけですね、この総則のこの一部だけを見ないと分からないと。その違いは何なんですか。地銀は予算総則の中でちょっと入ってるだけで、何というんですか、十分議論されないで予算がちゃんと見積もられちゃうと。だけど、IDAについてはちゃんとこういった法案で出資額が議論されると。その違いを教えていただきたいと思います。

○政府参考人(杉本和行君) 国際開発金融機関に対する出資額の授権方式には、今御議論になっていますように、法律によりまして出資額の限度を規定する法律方式と、予算総則で限度額を規定する予算方式とがございます。これにつきまして、世界的規模の国際開発金融機関の増資については、その規模、それから世界全体の経済協力における地位の重要性、こういったものにかんがみましてその都度法律改正を行うと。

それから、地域的な国際開発金融機関、これにつきましては、その地域性、増資等の頻度にかんがみ、一番最初の出資、設立された一番最初の出資は法律によるものとしておりましたが、二回目以降の出資、いわゆる増資等でございますが、これについては予算によることとしております、という整理にさしていただいておりまして、これは経緯がございまして、昭和五十三年度までは出資についてはすべて法律方式としておりましたが、昭和五十四年度の米州開発銀行の第五次増資及び特別業務基金の補充並びにアフリカ開発基金の増資に当たりまして予算方式とすることが認められまして、現在はそのようなやり方にやっているものでございます。この点につきましては、五十六年四月九日の衆議院大蔵委員会の理事会、六十年六月六日の参議院の大蔵委員会の理事会による了解事項となっておると了解しております。

○富岡由紀夫君 そういった経緯がなければこういうことはできないと思うんですが、要は、さっき言った国債費の特別会計への繰入金額の半分ぐらいがそういった個別法案じゃないところで、つまり一般総則という形で、ここだって、多分ほとんどの人、見ても気付かないんじゃないかというところでさらっと一般会計の中に入ってしまうというところでございまして、これだけODAの出資についていろいろ議論されている中で、もう少し、そういった個別の法案じゃないところでも半分ぐらいはお金が出ているんだよというところはちゃんと国民に説明する義務が、責任があるというふうに思っておりますので、そのことも是非今後考慮していただきたいというふうに思っております。

そして、IDAに関連して、やっぱりODAの予算がどうやって使われるべきかというところがやっぱり非常に重要な観点になってくるんですが、そのIDAにお金出すのはいいけれども、出したお金がどういうふうに使われているのかというところをやっぱりしっかりとフォローしないといけないと思うんですね。出したはいいけれども、今国連だっていろんな問題があって、ちゃんと適切に国連の出資が利用されているかどうか、非常に今国連改革と叫ばれるぐらい問題が起きているというふうに思っておりまして、IDAに対するチェック、IDAにお金を出したんだけれども、それがどのように使われているか、これ、ちゃんとチェックしないといけないと思うんですね。

そういった中で、IDAにもいろいろ評価機関、業務評価局、OEDというんですか、あるというふうに思っておりますけれども、ここの評価について日本はどのように、何というんですか、理解しているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(井戸清人君) ただいま委員から御指摘ございましたとおり、最近、世銀の業務についてどのように評価していくかということは世界的にも非常に関心が高くなっておりまして、こういった観点から、世銀の中に業務評価局というのが置かれてございます。これは理事会に直接報告をいたす独立の評価部門でございまして、ちなみに我が国の理事はこの業務評価局を担当いたします開発効果委員会のメンバーとして積極的にいろいろと世銀の業務の評価に関与をいたしているところでございます。

ちなみに、最近の御議論の一端を御紹介いたしますと、例えば、世銀のプロジェクトの質の向上、このためにはプロジェクトの準備及び執行の各段階におきまして達成目標の明確化、あるいは実行に当たっての明確かつ十分なリスクの分析、こういったものの重要性が指摘されておりまして、こういったものを踏まえて世銀のプロジェクトが実施されていくことが重要ではないかというような指摘が行われております。

また、この評価におきましては、政策環境、例えば政府の透明性とか健全性とか、こういった政策環境の悪い国への世銀の貸付けはやはり必ずしもうまくいっていないというような点も指摘されておりまして、私どももその点については全く同意いたしております。そういった観点から、政策環境を改善するような支援を行っていくことも必要であるというふうに思っております。

なお、今般のIDAの第十四次増資交渉におきましても、IDAによる支援の進捗状況の管理、結果計測を更に強化する必要があるんではないかということが議論になりまして、具体的には各国の貧困削減に関する指標、これをまず決めて、そういった指標の改善にどれくらいIDAによる支援が貢献しているかと、こういったものを二段階にわたって評価するというようなことが提案されておりまして、私どもとしてもこうした点も踏まえてIDAの活動については十分配意をしてまいりたいというふうに思っております。

○富岡由紀夫君 今回の出資の是非を審議しているわけですけれども、そのときに事前にIDAがどうやって使われているか、その評価を一緒に我々しないと、その出資がいいかどうかというのは判断できないと思うんですね。事前に一応資料をいろいろと要求、取り寄せさせていただいたんですけれども、この中にOEDの評価ということで、概略、今言った概略しか書いてないんですね。個別の評価についてどうやって、これがいいのか悪いのか、どれぐらいが効果あって、どれぐらいが悪いのか、全体の、パーセントは出ていますけれども、個別の案件について全然出てないというのはやっぱり問題だと思うんですね。

こういったお金、日本の税金を、国民の税金を使う審議ですから、そのお金がどのように使われていて、その最貧国に対してちゃんと効果的に使われているのかどうか、その結果も一緒にやっぱり議論していかないと、私は議論する意味はないというふうに思っております。これは別に今回の予算だけじゃなくて、すべてのことに通ずることなんですけれども、そういった観点が日本のこの予算審議の中では非常に少ないんじゃないかというふうに思っております。ですから、これから是非、今言った評価の内容についても、ちょっといろんな明細についてもし資料があれば要求をさせていただきたいと、教えていただきたいというふうに思っております。

そして、ちょっとIDAに関連して、幾つか今政策評価の中でいろいろありましたけれども、ちょっとこれは衆議院の委員会の中でも議論されましたけれども、ラオスのナムトゥン2ダムというんですか、これが今世銀の中で融資をするかしないか議論、今月末ぐらいに世銀のいろんな理事会の中で議論されるというふうに伺っておりますけれども、衆議院の方でこれは十分議論されたというふうに私も理解しているんですが、ちょっと最後、要点だけ確認したいと思うんですけれども、今言った政策環境、その国の政策、政府がどのような状況になっているのかと、あと、貧困削減につながるのかという観点から、私はその観点を十分考慮して審議していただきたいと思います。

日本の、今言ったように、日本もその世銀の理事になって、その融資を判断する責任ある、二番目に出資している国ですから、非常に責任ある国だと思いますので、日本のそういった判断というのが非常に大きく物を、融資判断に左右すると思いますので、今言ったことをしっかりと私は考慮していただきたいと思います。

ラオスは社会主義国でしたっけ、そういった国の中で、国のGDPの七割に近い予算をつぎ込んで大型ダムを建設するということで、それが本当に最貧国の貧困を救うことになるのか、発電した電力も隣のタイにほとんど売電してしまうというようなことだというふうに伺っております。大量の水没地域が発生して環境破壊にも非常に大きなものがあるというふうに伺っております。この環境アセスメントがちゃんとできているのかどうか、環境に対する影響、そういったものができているのか、そして、その国の、最貧国の、何ていうんですか、国民のそういった貧困削減に本当につながるのか、政府の一部官僚だけがその利益を自分の懐に入れてしまうようなことにつながらないのかどうか、その辺の観点を、今、日本が、政府が今認識している内容をちょっと、概略で結構でございますので、お聞かせをいただきたいと思います。どのような方針でその世銀の融資判断に日本は臨むのか、お伺いしたいと思います。

○副大臣(上田勇君) お答えをいたします。

プロジェクトの概要等につきましては省略をさせていただきますが、このプロジェクトは東南アジアでも非常に最貧国の一つでありますラオスに貴重な外貨をもたらすということから、経済成長に寄与をし、貧困撲滅に重要な役割を果たす可能性があるというふうには考えてはおります。

他方、今御指摘がありましたとおり、プロジェクトの検討過程におきまして、環境への影響とか住民移転の面などでもいろんな懸念が表明をされたところでございますし、また、今御指摘のあったように、その外貨の収入が生活水準の向上のために本当に有効に使われるのかどうか、そうしたラオス政府の財政管理、適切になされているかどうかといったことについてもいろんな懸念も表明されているところでございます。

そうしたことから、このプロジェクトが非常に期待される効果は大きいということがありますので、このラオス政府がプロジェクトを円滑にやっぱり実施することが必要でありまして、そのためには、特に世界銀行あるいはアジア開発銀行等が関与をいたしまして、そうした知見のある外部機関からの支援が必要であろうというふうに考えております。

こうした観点から、こうしたことも踏まえまして、財務省といたしましても、このプロジェクトに関して、環境、社会面の問題に十分な対応がされているのか、あるいは公共財管理体制の整備が十分なのかといったことを、これまで二年間にわたりまして、世銀の事務局や、またNGOなど外部の独立機関の御意見も十分に聴取をしてきたところでございます。

今委員からいろいろと御提起をいただきました点も踏まえて、今後とも、世銀の事務局あるいはその他機関からの説明も踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えております。

○富岡由紀夫君 IDAに関連して最後もう一件お伺いします。

今度、世銀の総裁ですか、ウルフォウィッツ氏という方が推薦されたということで、なるんですが、この方がいいか悪いかというのは、日本政府は支持ということでもう早々と表明されていらっしゃいますけれども、この方は、新聞の、たくさんの報道を見ると、ネオコンの、何というんですか、いわゆるネオコンの本当の中心人物だとされております。そのネオコンについていろいろな懸念がされています。イラク戦争のときもいろんな議論がございまして、これについていろんな見方があるし、断定的な見解は出せないと思うんですが、ちょっと谷垣財務大臣に御感想というか、ちょっと御意見を確認したいと思うんですけれども。

今ネオコンに対して、いろんな危険性とか、いろんな批判というか、負の、マイナスの批判がかなり出ているんですけれども、それに対して、日本政府というか、谷垣財務大臣はどのように、これは個人的な御見解でもいいんですけれども、どのような御認識をお持ちなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) ウォルフォウィッツ氏を世銀の新総裁に推薦をするというお電話、これはアメリカの大統領から小泉総理にもお電話がありましたし、私のところにもスノー長官からそういうお電話がございまして、まあウォルフォウィッツさんは今まで国防副長官として大変広範なマネジメントの経験、能力があるし、それからインドネシア大使や東アジア・太平洋担当国務次官補という経験もあって、アジアの開発問題にも通じておられると、だから是非支持してほしいというのがスノーさんから私へのお電話でございました。恐らく総理とのお話でもそういうようなお話が出たんじゃないかと思います。

それで、私どもは、そういったことに加えまして、実際問題、やはり第一の出資国のアメリカの推薦であると、アメリカの指定席というふうに思っているわけではありませんけれども、アメリカの推薦であるというような、第一の出資国の推薦でもあるというようなことを勘案してウォルフォウィッツ氏を支持するということにしたわけでございますが、そこで、今委員がおっしゃったようなネオコンであるとか、まあ私はウォルフォウィッツさんの個人的な思想信条をとやかく論評する立場にはないわけですが、要するに世銀総裁としてきちっと職務を果たしてくださるかどうかというのが論点だと思うんです。

それで、ウォルフォウィッツさんと各世銀理事との間で非公式な意見交換がこの間も相当何回も開かれておりまして、そうした場でウォルフォウィッツ氏は、世銀は経済開発を主たる業務とする機関である、あるいは世銀理事会の在り方というのはいわゆるコンセンサス方式で物事を決めていくということが基本なんですが、そういったことを尊重すると、等々明らかにされております。

したがって、そういう十分世銀の機能とか役割というものを理解して御就任ということになるのではないかと、こう思っております。

○富岡由紀夫君 その、何というんですか、思想、背景にある信条は余り関係ないといえば関係ないというか、そこは切り離して考えるべきだといえばそうかもしれませんけれども、やはりいわゆるネオコンの中心人物ということで、間違ってもその考え方が世銀の運営に対して反映されるようなことのないように、出資第二番目の国として日本はその辺はしっぱりとグリップを握っていただきたいというふうに思っております。  そして、ちょっと、もうやや余り時間がなくなってきましたので、次の議題に移らしていただきます。

いよいよ四月一日からペイオフの解禁がされようとしております。かなり今回は預金シフトも少ないだろうと、余り影響ないだろうというふうにいろいろと報道されておりますが、とはいっても、やっぱり最終段階でございますので、絶対に気を引き締めて掛からなくちゃいけないと。厳格にちゃんとその辺を、施策を推進していかなくてはいけないと思うんですが、今、ペイオフに当たりまして、最終段階で、今まで保護対象だった普通預金がどれぐらい、何というんですか、保護の対象から外れるのか、今把握している金額ですね、それをもしお分かりになればお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(伊藤達也君) 済みません。今の点、ちょっと通告をいただいていなかったので、今、私のちょっと手元には持ち合わせていないものですから、後ほどお届けをさせていただくことができればと……

○富岡由紀夫君 通告しておいたんですけれども。

○国務大臣(伊藤達也君) 申し訳ございません。ちょっと今私の手元には数字を持っていないものですから、後ほどすぐにお届けをさせていただきたいと思います。

○富岡由紀夫君 昨日打合せした中で、二百五十三兆円ぐらい普通預金があるということで伺っておりまして、その分が一千万円を超えると対象になるということでございます。

今回、ちょっと確認しないといけないのは、普通預金だけが対象になるんじゃなくて、今度は銀行全体として名寄せしてトータルの金額が、決済性預金以外は保護の対象から外れるということでございますので、今まで定期預金例えば一千万円持っていた人がいて、普通預金、そのほかにまた幾らか持っていた人がいて、普通預金が例えば三百万円の人でも、その人は今度トータルで一千三百万円になるわけですからやっぱり預金保護の限度を超えてしまう。保護の限度を超えてしまうということになりますので、要するに、普通預金だけが注目すればいいというんじゃなくて、トータルですから、そのほかの定期預金とか、そういったところも影響をするということでありますので、その点はしっかりとフォローしていただきたいというのが私の思いでございます。

そして、もう一つ、今、預金からいろんな投資へ、貯金から投資へということで、その流れも今回に乗じて進められようとしておりますけれども、そのときやっぱり注意しないといけないのは、投資信託なり外貨預金なり国債なり、いろんなところにお金が行くんですけれども、そういうとき、やっぱりいろんな投資に対するリスクがあるわけですね。その辺のところをしっかりと説明しないと、どこかのシティバンクみたいに顧客をだましてリスク商品を売ってしまうようなことに結果としてつながらないかどうか、その点はしっかりと改めて確認したいと思いますけれども、今回のペイオフの解禁、全面解禁に当たって金融庁さんの御決意を改めてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(伊藤達也君) 今委員から重要な御指摘を幾つもいただきました。そういう意味からいたしますと、私どもとして、ペイオフ解禁拡大が円滑に実施できるように万全を期していかなければいけないというふうに思っております。

もうペイオフ解禁拡大は、市場規律の下で預金者の選択というものを前提にして、そして金融機関が緊張感を持って経営基盤の強化に取り組むと、そのことによって金融システム全体としての安定性が持続的に確保される、こういう観点から、予定どおり本年の四月より実施をすることといたしております。

これを前提として、各金融機関における諸準備も含めてペイオフ解禁を拡大する環境は整っていると考えておりますけれども、やはりそのペイオフ解禁拡大に向けて、預金保険制度にかかわる誤解でありますとかあるいは認知不足による無用の混乱が来すことのないように、引き続き私どもとして広報活動をしっかりやっていかなければなりませんし、また金融機関の方々におかれましても、自らの健全性について、あるいは業務の内容について利用者の方々にわかりやすく丁寧に説明をしていくということが極めて重要でございます。

いずれにいたしましても、私どもとして、ペイオフ解禁拡大が円滑に実施できるようにしっかり対応していきたいというふうに思っておりますし、また、今後、預金者の方々が様々な金融商品を選択をしていくに当たって、安心感を持って、信頼感を持って選択をしていく、そのために利用者保護ルールというものを整備をし、徹底をさせていくということもとても重要なことでありますし、金融改革プログラムにおいてもその旨明記をさせていただいたところでございますので、そうした観点からも私ども行政としての対応を進めていきたいというふうに思っております。

○富岡由紀夫君 しっかりとお願いしたいと思います。

そして、ちょっと次の、時間の関係で手短にちょっと説明させていただきますと、前回のときにちょっと議論として積み残してしまったところがございまして、これは政府税制調査会さんで出していただいている資料なんですけれども、「所得税・個人住民税の税率ブラケット毎の適用人数」というのがちょっと誤りがあるんですね。これ、正しい数字の資料を是非いただきたいというふうにお願いしておりましたけれども、それは出していただけるんでしょうか。

○政府参考人(福田進君) お答え申し上げます。

委員御指摘の資料は、本年一月二十五日に開催いたされました政府税制調査会の総会・基礎問題小委員会合同会議におきまして総務省の方から提出されました地方税関係の資料の中にある「所得税・個人住民税の税率ブラケット毎の適用人数」のことと思われますが、この資料は、平成十八年度において行うこととされております所得税から個人住民税への税源移譲の参考資料としてお示ししたものと理解しております。

御指摘のとおり計数が合わないところがございますが、これは資料にも注記しているとおり、主として所得税と個人住民税におきまして使用した統計資料のカバーする範囲が異なることによるものでございます。

具体的に申し上げますと、所得税におきましては、御案内のように、納税者の大宗が給与所得者であること、あるいは統計上の制約が存在いたしますので、給与所得者に係るブラケットごとの人数の推計値を民間給与の実態によるデータから納税者数を推計しております。したがいまして、そこにも、注意書きにもございますように、一年間を通じて勤務した納税者に係る給与収入別の人員分布から推計しているわけでございまして、一年間就業していない方は外れております。それから、公務員あるいは自営業者も外れております。他方で、個人住民税についてはそういったものが入っているということで、横の数字を合わせていただきましても総計合わないところでございます。

その合わないところを一致させられるかどうかという御質問だと思いますけれども、これから来年にかけましていろいろと御審議をいただかなければなりませんので、私どもいろいろ努力はしたいと思っておりますが、今申し上げましたような統計上の制約等もございますので、努力はいたしますけれども限度があるということは御理解いただきたいと存じます。

○富岡由紀夫君 最後の質問をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

内閣府さんにお願いしたいんですが、いわゆる「改革と展望」ですか、あの中で、二〇一二年度までに財政バランス、プライマリーバランスを黒字化するという、この表なんですけれども、事前にちょっと昨日お伺いしていたんですが、その中で、二〇一二年の国の、国と地方でプライマリーバランスが黒字になるんですけれども、国のプライマリーバランスの赤字金額、これは依然として幾ら残るのかお伺いしたいのと、あと二〇一二年時点での利払い費の金額、あとOECDベースの国の債務の残高。OECDの基準がございます。今現在は一七〇%、GDP対比一七〇%というふうに伺っておりますけれども、二〇一二年のときにはその数字が、残高とGDPに対する比率がどれぐらいになっているのか、最後お伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

○政府参考人(大守隆君) お答え申し上げます。

「改革と展望」のまず二〇一二年度の国の基礎的財政収支でございますが、この参考試算では、国、地方の財政の姿として、いわゆる国民経済計算ベースの数字を提示してございます。これによりますと、二〇一二年度の国の基礎的財政収支はGDP比で一・四%、金額で申し上げますと約九・三兆円の赤字となります。

それから、利払い費でございますが、これもこの試算では貯蓄投資差額と基礎的財政収支両方お示ししておりますが、これの差がネットの利払い費に相当するわけでございます。表に出しております係数から計算しますと、GDP比で三・四%、金額では約二十二・一兆円程度になります。  OECDベースではどうかという御指摘でございますが、OECDが公表している数字を私どものベースの数字と比較してみますと、彼らの数字の方が大きくなっております。その理由につきまして、OECDは具体的な計算方法を公表しておりませんので厳密に分析することはできませんが、彼らの数字は幾つかの範囲の違いがあるというふうに思っております。社会保障基金の債務を含むこと、事業性の特別会計の債務を含むこと、短期の債務を含むことといったことがこの差になっているというふうに思っております。

で、私どもの参考試算におきましては、その範囲が事業性のある特別会計ですとか短期の債務などを推計しておりませんので、将来の数字をOECDベースの数字で申し上げることはできない状況にございます。  以上でございます。

○西田実仁君 私の方からは、幾つか確認とともに、今回の関税定率法等の改正法案につきまして御質問をさせていただきたいと思います。

まず初めに、今回の改正案の中には、この知的財産権侵害物品等の水際取締り強化ということで、輸入者の利益に配慮しながらの見本検査ということがうたわれております。また、これまでなかった重加算税を設けていくという、賦課するという、こういう規定も設けられているわけでございまして、こうしたこの輸入者の利益に配慮しつつ見本検査をするとか、あるいは重加算税を賦課していくと、こういうことになりますと、当然、不服申立てというか、なぜ重加算税掛けてくるんだと、あるいはその見本検査をなぜするのかという、こういう不服が当然出てくることが想定されるわけでございますけれども、具体的にそうした不服申立てが増えてくるだろうということを前提に、どういう訴訟対応というか、訴えに対する対応を税関で取っていく準備をなさっておられるのかということをまずお聞きしたいと思います。

○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。

今回提出いたしております法律案におきましては、今の委員からお話がありましたように、知的財産権侵害物品等の水際取締りを強化するための権利者による見本検査とか、不正競争防止法違反物品の輸入禁制品への追加、さらには、育成者権侵害物品についての税関から農林水産大臣に意見照会を内容とする改正を予定するとともに、また、重加算税等導入についてもお願いしているところでございます。

このような水際取締りの結果、さらには重加算税導入等によりまして、委員のおっしゃいますように、不服申立て件数が増加する、その可能性はもちろん否定できないわけでございますが、具体的にはどのぐらい増えるかということはなかなか難しい問題でございます。

いずれにいたしましても、財務省、税関といたしましては、今後とも、知的財産権侵害物品水際取締り及び不服申立てへの対応を適切に行ってまいりたいと考えております。

○西田実仁君 具体的にこの不服申立てを税関にする場合ですけれども、この訴訟、申立てをしてくる人に対する税関の職員の方々のいわゆる不服申立てに対応する専任者というんですかね、あるいは兼任者、それは全国の税関でいろいろあると思いますが、現状はどうなっておられて、また、今回の改正案が通って以降、どういうふうに拡充をされようと、あるいは配慮していこうということにしているのか。

○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。

まず、現在の税関におきます訟務担当者の体制でございますが、全国九税関で全体として二十一名配置してございます。うち、専担者といたしましては税関訟務官が四名でございます。

これが、今後の問題でございますが、正に今後の不服申立て等の動向を十分見極めた上で、適切な体制につきまして検討してまいりたいと考えております。

○西田実仁君 次に、この特定輸出者に対する輸出通関手続の迅速化ということも今回は込められているわけでございますけれども、いわゆるこの特定輸出者であるかどうかということの認定には当然のことながら一定の要件が掛けられているわけでございますが、これ、具体的にこの要件に合っているかどうかはだれが判断をしていくのかということについてまずお聞きしたいと思います。

○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。

コンプライアンスの優れた者というのは、通関手続、それから貨物管理等の輸出に関する業務を適正に遂行できる能力を有しており、確実に法令等の遵守が見込まれる者でございます。

具体的にかかわって申し上げますと、一つは、過去一定期間関税に関する法律その他の法令等の規定に違反していない、それから、通関手続、貨物管理と輸出に関する業務を適正に遂行するために必要な能力を有していると認められる、それから、輸出者が不正な輸出を防止するため、輸出に関する業務を適正に遂行するための規則を定め、実行すると、そういうことを必要としているところでございます。

税関といたしまして、承認申請が税関へ出されるわけでございますが、承認申請を行った輸出者がその業務を適正に遂行するために必要な能力を有すること等を確認するために、輸出者の過去の法令違反等を含めた通関実績、これは税関の方にデータがございますので、そういった通関実績や法令遵守体制の確認を行うとともに、訪問調査を行う、これは税関で行うわけでございますが、それから事業所の所在確認、それから貨物管理の状況等を把握することによりまして審査を行うこととしております。また、事後的な監査も税関として行うことを考えております。

○西田実仁君 ということは、一回特定輸出者に認定をされると、その見直しはもうないということなんでしょうか。あるいは、モニタリング監視につきましては、今、事後的にも税関で行うということですけれども、具体的にどういうモニタリングをされていくのかということについてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。

今回のこのコンプライアンス制度でございますけれども、この制度につきましては、これを作るに当たりまして関税定率等審議会の関税分科会等におきます審議等々踏まえまして、さらにはいろんなパブリックコメントについても行っているわけでございます。

そういった場を通じまして、いろんな関係者の方々の御意見等も伺い、今回の制度を御審議をお願いいたしているわけでございますが、いずれ、今回の施行につきましては来年の三月一日を予定しております。それまでの間、更に関係者等の意見等も十分伺いながら、非常に使い勝手の良い制度というものを考えていきたいと思っております。

なお、これにつきましては有効期間、一回認定されますと、特段それが取り消されない限り、それがそのまま続くということを考えております。

○西田実仁君 これから詳細いろいろと設計されていくんだろうと思いますんで、いただいている資料でも、仮に必要な場合の通関時検査の維持とか、あるいは必要に応じた改善措置とか、こうしたことがこのコンプライアンスに優れた者のイメージの中にも書かれております。これが、どういう場合が必要なのか、必要な場合なのかとか、あるいはその必要に応じたというのはどういう場合なのかとかいうことはこれから詳細制度設計されていかれるんだというふうに思います。

続きまして、時間も限られておりますので、前回もちょっとお聞きしましたけれども、やはり日本の経済社会において大変心配しておりますのは、偽札とか、あるいは偽コイン、偽硬貨の問題であろうというふうに私自身は非常に思っております。

まず一つ、前回お聞きしましたけれども、熊本沖で回収されたこの偽五百円玉、五百円玉が横浜税関から陸揚げされ、エックス線を通ってしまったという件でございますが、こうした不正輸入品ですね、偽硬貨とかあるいは偽札に対応して大型のコンテナ向けのエックス線というものも導入をされ、非常に厳しく取り締まっていると、こういうお話でございますけれども、これは、例えばコンテナ向けの大型エックス線が導入された税関においては、その職員の方というのは、どうなんでしょうか、やはりある意味で総務省さんからのいろんな指導というか、ことで、やはり機械化の一環だということで人員が逆に削られると。大型のエックス線が導入されたことによって逆に削られるというのは、すなわち兼任が増えたりとか現場の職員の方がかえって非常に仕事量が増えてうまく検査が、機械は優れているんだけれども手が回らない、あるいは大変に仕事量が増えて、一生懸命やろうと思ってもなかなか厳密な検査ができない、こんなようなことが起きてやしないかということを懸念しておりますけれども、いかがでございましょうか。

○政府参考人(木村幸俊君) 職員の配置の問題でございますが、職員の配置につきましては、この大型エックス線検査装置の問題に限らず、私どもとして必要な業務量を適切に見積もりまして、それに応じた配置をしているわけでございます。

と申しますのは、非常にやっぱり税関の職員の定員というものは、近年少しずつ増加させていただいておりますけれども、やはり全体として私どもの仕事を考えますとやっぱり限られたものであると言わざるを得ないと思いますので、そういった仕事の効率化等を図るとともに、職員の適正配置については十分心してやっているところでございます。

○西田実仁君 ちょっと唐突かもしれません。今後、海外から偽札、あるいは当然偽硬貨ということが海外で造られて日本に陸揚げされてくるということが起きても不思議ではない、今国際的な犯罪組織というものがグローバル化しているということがあると思います。その際に気になるのは、ちょっと唐突かもしれませんが、例えば偽札の鑑別機、判別機というか鑑別機というか、あるいは偽コイン、これを、銀行を始めいろんな御商売やっているところで判別するために機械を入れているわけですけれども、これ自体を海外に持っていって、それがちゃんと通過するようにして偽札を造ったりあるいは偽硬貨を造ったりというような犯罪組織もあるやに聞いておりますが、こうした偽札鑑別機あるいは偽硬貨鑑別機自体を輸出を、まあ規制するというのはちょっととっぴな考え方かもしれませんけれども、そういうことが実際可能なのかどうか、経済産業省ですか、お願いいたします。

○政府参考人(中嶋誠君) お答え申し上げます。

いわゆる偽札、偽コインを判別する機械の輸出という観点からは、現在のところ特段の輸出規制は行っておりません。もちろん、偽札、偽コインそのものの輸入につきましては関税定率法に基づいて輸入禁制品ということで輸入が禁止されております。

そこで、偽札、偽コインを判別する代表的な機械の一つでありますいわゆるATM、自動預け払い機の輸出について調べてみたんでございますが、これは日本自動販売機工業会、これ二〇〇三年度の自主統計がございます。通貨ごとの内訳がございませんけれども、全体で二千九百五十二台が輸出されております。現在、その具体的内容について精査をしておりますけれども、当然ながら、基本的にこれらは外国通貨用のものでございます。現時点においては日本円用の機械は一台も確認できておりません。それから、主要なメーカーにヒアリングをしておりますが、今の時点では特段不審な取引は確認されておりません。

しかしながら、今委員の御指摘ございましたような問題意識を私どもも持ちまして、関係省庁とも密接に連絡を取りながら、こういった機械の輸出の実態の把握などに今後十分努めてまいりたいと思っております。

○西田実仁君 最後に、このIDA加盟措置法案につきまして大臣にお伺いしたいと思いますけれども、先ごろ来日しましたライス長官から、日米両国の途上国に対する援助が世界の四〇%に日米両国はなっていると、こういうことからして日米が戦略的な開発援助を実施したらどうだと、こういうような御提案があったわけでありまして、まずこれについて率直に大臣の御感想というか、今後いろいろ詰めていくんだと思いますけれども、お聞きしたいと思いますし、あわせて、今、日米で世界の開発金融の四〇%を占めているというぐらいに大変に重要な位置を占めている割には日本に国際的な開発金融機関というものがないという、世銀グループは、IDAにしても世銀グループはワシントンにあるわけですけれども、アジ銀にしてもフィリピンにあるわけでございまして、これだけ主導的な役割をしている日本にこうした国際開発金融機関の拠点をもっと誘致していくというような積極的な視点も日本としてあってもいいんじゃないかというようなことを思っておりまして、この二つの点、最後お聞きして、終わりたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) まず、ライス長官がこの間、上智大学でしたか、講演をされて、その中で、戦略的開発協調というようなことで、開発援助に関して日米間で更なる協調が、前進を図ることができないかという新しい提案をされました。私も、その概要を見てみますと、大きな観点から言っておられまして、具体的な内容については必ずしもつまびらかでございませんので、両国の当局といいますか、そういうところでまず議論が行われて詰めていかなきゃならないんだろうと思っております。

アメリカと日本、こういう開発援助の在り方に関しまして、私もG7なんかで随分一緒に議論をするんですが、非常に共通の考えを持っているところ、あるいは考えをちょっと異にしているところと、いろいろございますので、いずれにせよ議論は行って、どこかで国際機関の在り方なんかでも一致しなきゃならないところはあるわけですが、我が国のODA予算、我が国の考え方ということでいけば、効率化を図って、引き続きそのODA大綱にのっとって戦略化、重点化を進めていくということが一番基本なのじゃないかと私は思っております。ですから、アメリカとの協調を進めるに当たりましても、ODA大綱に基づいて、日本の言うべきことは言って議論を進めていくということじゃないかと思っているわけであります。

それから、国際機関を日本に誘致せよということでございますが、現在確かに、例えばアジア開銀はマニラにあると、こういうようなことでございます。日本に引っ張ってこいと、こういうことなのかもしれませんが、新しい国際金融機関の設立といったような動きが今特に新たにあるわけではございませんので、現時点で国際金融機関の誘致という点はちょっと考えにくいところがあるわけでございます。

国際金融機関の関連機関としては、各機関、東京事務所というのがございまして、そのほかに近年アジア銀行の、アジア開発銀行の研究所、ADBIといっておりますが、これが九〇年代の末ごろでしたか、開かれましたのと、それから世界銀行の東京開発ラーニングセンターというのが、これは昨年の六月から動いておりますが、こういった機関はアジア太平洋地域を対象とした研究調査活動や政策対話の場として大きな役割を果たしていると思います。

それから、アジアとの経済・金融関係は拡大しておりますので、そういう中でアジア開発銀行の果たすべき役割はますます大きなものになってきているわけですが、我が国としては、黒田新総裁、今年就任されたわけですが、歴代総裁、今まではずっと日本の方がやっていただきました。ADBIは九六年にできたわけでございます。それで、そういうアジア開銀歴代総裁はずっと日本が出している。それで、ADBの東京事務所やADBIの活動支援、それから二〇〇七年総会を日本で開いてほしいと誘致をしているというようなことを取り組んでおりまして、今後ともアジア開発銀行の役割の強化という点では日本は積極的に主導的な役割を果たしていかなければいけないと思っております。

○大門実紀史君 まず、IDAに関して質問いたします。

この法案は我が党賛成でございます。

既にいろんな点で質問がありましたので、世銀そのものの評価に、あるいは日本政府の対応について、もう時間も限られておりますから少し大きな観点で大臣にお聞きをしたいというふうに思います。

若干経過、世銀の経過申し上げますと、これワシントン・コンセンサスという言い方が八九年辺りからありまして、つまりソ連が崩壊した後、世界経済そのもののイニシアチブをアメリカが取っていこうと、世界各国、特に途上国に対して構造調整、構造改革政策を進めていくと。アメリカ主導のグローバリズムというようなものがあって、そのワシントン・コンセンサスはその共通理念であって、そこに含まれるのが、世銀だとかIMFだとかアメリカ財務省だとかあるいはFRBというワシントンに本拠地を置くそういう省庁、機関がそういう戦略を取っていたという大きな流れがあったわけですね。

その一環として世銀の構造調整融資とか構造調整政策が取られてきて、それが途上国に急速な市場経済化とかあるいは緊縮財政とか過剰債務とか福祉の切捨てとかあるいは貧富の差の拡大とかをもたらしたということで相当批判がありまして、NGOあるいは先進国の中からも批判があって、特に世銀の中にいて副総裁をやっていたスティグリッツが、世銀の中でも批判をするし、世銀の副総裁辞めてまた批判をするというような、いろんなことがあって、結局、相当世銀批判があったところで、先ほどもありましたけれども開発政策融資の方向に転換をしてきたという、こういう経過があると思います。

こういう経過全体をといいますか、そういう世銀全体を谷垣大臣はどういうふうに見ておられるか、まずお聞きしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、世銀の在り方については今まで随分議論もありました。大変個人的なことですが、私、もう二十年近く超党派のユニセフ議員連盟というのの事務局長をさせていただいているんですが、ユニセフ等のような子供を中心としたいろいろな援助もかつては随分世銀のやり方を批判していたこともありましたけれども、現在ではそういう、何というんでしょうか、対立というものは解消に向かってきているんじゃないかと私は思っております。

世銀で各国の発言力を示すシェアというのは出資シェアでやっているんですが、先ほどもちょっと申しましたが、日常の意思決定を行う理事会というのはコンセンサス形式というので、日本的といえば日本的なのかもしれませんが、コンセンサス形式を基本として運営されていますので、世銀事務局が各国との事前協議を重ねて、それで特定国の意見だけを反映しないで、各国が合意できるというようなやり方を努めてきていただいておりますので、現在は各国の意向を踏まえながら、貧困削減であるとか経済成長をできるだけ効率的、効果的に進めるように努めてきているというふうに見ているわけであります。

それから、グローバルな援助機関として、援助政策の在り方について国際的な議論とか、あるいは現地における援助の協調であるとか、それから環境、住民移転などのセーフガード政策の在り方について相当積極的な役割を、主導的な役割を果たしてきているんじゃないかなと思っております。

○大門実紀史君 おっしゃるとおりだと思います。  今回、先ほどもありましたけれども、ブッシュ大統領がウォルフォウィッツさんですか、を推薦するといいますか、その起用問題がこの間もいろんなところで意見が出ていて、反対だという批判の意見がかなり出ております。先ほどもありましたけれども、ネオコンだからとか経験がないからとか、いろんな批判がいろんな国から出ているわけですけれども、あるいはNGOからは元の構造調整政策に戻るんじゃないかとか、いろんな懸念も出されているわけですけれども、私は実はそういうことが問題ではないんじゃないかとちょっと個人的には思っておりまして、日本政府はいち早く支持を表明されたと、その理由は先ほどおっしゃったと思うんですが、谷垣大臣はこのウォルフォウィッツさんの起用そのものといいますか、この人事、経過とか何かじゃなくて、日本の対応はもうお聞きしました、この人事の意味そのものをどういうふうにとらえておられますか。アメリカがなぜ、ブッシュが今この人をという、この人事の意味そのものをどういうふうにとらえておられますか。

○国務大臣(谷垣禎一君) なかなか答えにくい、私の頭の中自身も十分に整理をされていないことで、私たちとしては、この間、あれ三月の何日だったか、ブッシュ大統領から小泉総理に電話があり、私のところにもスノー長官から電話があったわけですが、その時点で、早く後任を選んでもらわないと、今年はサミット等でもやはりミレニアムプロジェクトあるいはアフリカをどうするかというのが多分大きなテーマになりますから、そのとき世銀がきちっとした役割を果たさなければなかなかうまく進んでいかないなと、そのためには世銀のトップの人事というものが早く決まらなきゃいけないと思っておりましたので、ある意味ではウォルフォヴィッツさんが来て、あっ、これで進むなという気持ちもございました。

それで、世上、先ほどありましたネオコンだ、それがどういう意味だというような議論も、要するに下馬評の中でウォルフォヴィッツさんに対してはそういう評価もありましたけれども、私は今までのところ、ウォルフォヴィッツさんの御発言も聞いておりますと、やはり貧困削減と経済開発が世銀の主要な任務であって、政治的なアジェンダを追求することはしないというふうにウォルフォヴィッツさんも明言されていると。

それから、借入国のインフラ発展への貢献度合いを高めたいというようなことも言っておられて、もちろん、今まで私見ておりますと、今までのウォルフェンソン総裁もあるいは十年近くおやりになって、やっぱり一種のウォルフェンソン色というのはあって、トップの個性というのはやっぱりそれは出てくると。ウォルフォヴィッツさんもやっぱりこれから何年おやりになるのか分かりませんが、当然個性は出てくると思っておりますが、今のところ伺っておりますと、今までの世銀の、先ほど世銀も随分いろんな議論をして性格が昔とは変わってきている面があると思いますが、今までの議論を踏まえた対応をお取りになろうとしているんじゃないかと思っております。

○大門実紀史君 私は、ウォルフォウィッツさんの人柄とかネオコンだとか、そういうことじゃなくて、この問題にはちょっと意味があるんではないかと、経過をたどると意味があるんではないかと考えているところでございますので、谷垣大臣の意見をお聞きできればと思いますけれども。だから、タカ派だとかネオコンだとか、あるいは元の構造調整に戻るんじゃないかとか、そういうことではなくて、これはブッシュ戦略の新しい展開ではないかなというふうに見ております。

例えば、前任の先ほど言われましたウォルフェンソンさんだって、クリントン時代ですけれども、あの方は投資会社のソロモン・ブラザーズの会長さんでしたから、元々金融資本の方ですからね。クリントン時代、民主党政権のときは、どちらかというと金融ビジネス的に世界戦略を、展開を考えるという時代でしたから、それにふさわしいウォルフェンソンさんだったと思うんですけれども、今度のウルフォウィッツさんはちょっとまた意味が違って、構造調整政策に戻るということは私は余りないんじゃないかと、今の世銀の路線の中でおやりになるんじゃないかと私は思います。

なぜかといいますと、例えば今の世銀の開発政策融資だって、基本的には途上国が自主的に決定した改革プログラムに沿って融資をするということですね。これはあり得ると、それの、その筋でやられることはあり得ると。例えば、仮にイラクだとしますね。イラクの、アメリカの支援を受ける政権だと思いますけれども、その政権が独自に改革プログラムを立てて、それに対して世銀が融資する、これは正に今の開発政策融資に沿うわけですからね。何も元に戻る、元のやり方に戻るということではなくて、ウォルフウィッツさんはそういう筋でやられる可能性は十分あると思います。

問題はですね、問題は、これはやっぱりもう少し大きくとらえる必要があると思っておりまして、三年前ですか、ブッシュ・ドクトリンというのが出ました。国家安全保障戦略ですね。私、全部読みましたけれども、国家安全保障のドクトリンの割には経済のことがかなり書いてあってちょっと驚いたんですけれども。つまり、アメリカはいわゆる単独主義とか先制攻撃主義とかだけではなくて、自由経済を、まあ括弧付きですけれども、自由経済を世界に広げると、この先駆的役割を果たすんだというのがかなり書かれておりました。そのターゲットといいますか、その周辺の文章を読みますと、ターゲットはイスラム社会、中東だということがかなり明瞭に出ていたわけですね。

そういうブッシュ・ドクトリンがあって、いわゆるネオコンの方々がこう入ってくると。ネオコンというのはただの新保守主義、タカ派ではなくて、かなりもうそういう業界からの出身者多いわけですけれども、利権といいますか、いろんな業界とのつながりの多い方々です。特に、この間でいえば石油利権とか、そういうことでつながっている方はかなり多いわけですね。ですから、ネオコンというのは単に政治的タカ派じゃなくて、何といいますか、クリントンのときは金融資本と一緒になったことが多かったわけですけれども、今度のネオコン、ブッシュの場合は、どちらかというと重厚長大産業とも一緒になって、もちろん金融投資戦略もありますけどね。

そういう中で、このウォルフウィッツさんが今出てくると。で、ウォルフウィッツさんというのは中東の民主化とか中東の自由経済化とかをかなり主張されてきた方だというふうに思います。ですから、私は、今回のウォルフウィッツさんの起用というのは、単にタカ派だからどうのこうので見るんじゃなくて、やっぱりブッシュ戦略でちゃんと見ないと間違うんじゃないかと。つまり、イラク戦争ありましたけれども、ありますけれども、中東へのあめとむちがあるとしますね、むちの方は軍事戦略ですけれども、このあめの方を担う、そういう使命をかなり色濃く帯びてこのウォルフウィッツさんは今回世銀の総裁に起用されたと。わざわざ何でウォルフウィッツさんなのかと、そうでなければですね、私はそういうふうに見て取るわけです。

したがって、そういう深い意味がある人事で、だとすれば、日本政府としても、単に早く決まった方がいいとか、別にあの人問題ないんじゃないかとか、そういうのじゃなくて、そういうことを見抜いた上で、見抜いた上で、私たちとは立場は違うかも分かりませんけれども、それはそれでアメリカの筋が通っているということで判断されて支持されるというのは分かるんですけれども、何となくじゃなくて、私はそこまで見ているものですから。特に、谷垣大臣は昨日も次期総理という声がかなり出る方ですし、ただ、私、四年間ここに座っておりますけれども、大臣替わるたびにそういう声は出て、出なかったのは塩川大臣ぐらいだと思いますけれども、そういうこともありますけれども、見識のある方だというのは立場は違っても思っておりますので、そういうちょっと分析をした上で、支持するかどうかというのはきちっとお考えいただくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今後、ウォルフォウィッツ新総裁の下で世銀がどういう方向に進んでいくかというのは、やはり私たちは余り予断なく見ていかなきゃなりませんし、私どもとしては世銀というのは大事な機関だと思っておりますから、やはり開発戦略として日本の主張すべき点は主張していかなきゃいけないと思っております。

そういう中には、かなり今、先ほどもちょっと申しましたけれども、長期間にわたって経済の低開発国の安定的な経済発展を考えながら、インフラ整備に目配りしたり、その国のやはり、何というんでしょうか、クレジットカルチャーというのか、そういうものを育てて、長期的な発展に、成長に結び付けていくような成長戦略を一番強く主張している国は私は日本でないかと思っておりますので、世銀の中でも予断を、ウォルフォヴィッツさんがどうされるか予断を持たずに、日本は日本としてそういう主張をしていくべきではないかと思っております。  その上で、なるほど大門委員のような分析もあるのかなと思って聞かしていただきました。昨年はG7は議長国がアメリカでございまして、財務大臣会合でも今おっしゃったような中東から北アフリカの開発援助をどういうふうにしていくかというのが議長国であるアメリカからかなり強く提案をされたという経緯もございまして、そのアメリカから出られた、今のアメリカの現在の政権、この間までおられた方が世銀に来られるということは、そういったような提案とも全く無関係ではないかもしれません。私どもも、予断は余りしないで、できるだけ幅広く見て、日本の主張はきちっとしていくということでいきたいと思っております。

○大門実紀史君 終わります。

○糸数慶子君 無所属の糸数です。

お伺いいたします。

関税定率法に関連して、まず税関の職員配置についてお伺いいたします。

全国に九つの税関が配置されていますが、このうち沖縄地区税関は平成十六年度の定員ベースでは百九十八人が配置されています。税関職員の平成十七年度の定員については新規要員が二百十一人の増員になっておりますが、その中で沖縄地区税関への配置はどのような扱いになっているのでしょうか、お伺いいたします。

○副大臣(上田勇君) 沖縄地区税関を含みます全国各税関における職員につきましては、テロ対策やあるいは密輸取締り強化の観点から、全体の業務量や管轄区域を勘案して適切な配置に努めてきているところでございます。平成十七年度にはそうしたテロ対策あるいは密輸取締り強化で百九十五人の増員ということになっておりますが、具体的な配置につきましては今後検討するということにいたしております。  なお、これまで糸数議員御関心がございました沖縄地区の税関について、平成十七年度予算においては、その管轄区域が非常に広いというふうなことも踏まえて、非常に広範囲な海域の取締りに適した大型監視艇を建造しまして、平成十八年度に石垣税関支署に配備をする予定でございまして、そのような適正な対処をしていきたいというふうに考えております。

○糸数慶子君 今おっしゃっていただきましたが、麻薬や覚せい剤など社会悪物品あるいは鉄砲や爆発物などテロ行為に利用されるおそれのある物品など、国民生活の安全に重大な悪影響を及ぼす違法な輸出入、これを水際で阻止するため、やはり税関業務はますます複雑かつ高度になっていると思います。特に沖縄地区税関は、沖縄県の行政区域で、東西約一千キロ、それから南北四百キロメートルという広大な海域と、それに大小六十余りの島々を管轄しております。是非ともこのことを御配慮いただきまして、先ほど、平成十八年度きちんとその船の配置をしていただくことになっておりますが、併せてその増員のことも是非よろしくお願いしたいと思います。

次に、特別自由貿易地域の現状についてお伺いいたします。  沖縄県の具志川市中城湾新港地区にあります特別自由貿易地域は、沖縄県における産業及び貿易の振興を図ることを目的としてでき上がりました特区であります。これは域内では関税法上の保税地区に該当しておりまして、立地企業に対しては特別な優遇措置が講じられるなど、我が国で唯一の一国二制度的な地域になっております。

しかし、平成十七年度の特別自由貿易地域の振興整備事業予算が平成十六年度に比べますと九五・三%減になっています。およそ二千四百万円になっておりまして、これは平成十一年度からスタートした同事業で最も低い予算になっておりますが、報道によりますと、その理由は、事業主体である内閣府が賃貸工場整備事業費を見送った、そのためだと言われております。  そこで、内閣府にお伺いいたしますが、賃貸工場整備事業費を見送った理由は何でしょうか。特別自由貿易地域の現状についてどのように認識されていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○政府参考人(武田宗高君) お答え申し上げます。  御質問にございました特別自由貿易地域に整備をいたしております賃貸工場でございますけれども、これまでに十八棟を整備をいたしまして、今年度も三棟を追加整備中でございます。

ただ、入居済みが八棟にとどまっておりまして、今後新たに数社入居予定というふうに聞いておりますけれども、現在、施設に余裕が生じておるという状況でございます。  こういった特別自由貿易地域への企業進出状況を踏まえまして、来年度は新たな賃貸工場の整備は見送るということにいたしたものでございまして、このため、予算は昨年の五億一千百万に対して二千四百万ということになっております。

○糸数慶子君 今御説明ございましたが、賃貸工場、その二十一棟が建設された中で、入居企業が現在八社と少なく、企業誘致について再検討をするという、そういうこともおっしゃっていらっしゃいますが、御存じのとおり、この事業がスタートいたしまして、一九九九年度からスタートした事業の中で最も低い予算になっているわけですが、やはりこの賃貸工場は同地域への企業進出を促進するねらいで本年度までに計二十一棟が建設されたわけで、現在八社にとどまっている。それから考えていきますと、当初の利用状況の中から考えていきますと、大変今低迷している現状にございます。この予算もそれから事業費ベースで五年間でおよそ六十三億円が投入されたということから考えていきますと、この費用対効果というのは大変乏しい現状にあるのではないかと思います。

 

内閣府は、この施策を評価して、国内外の企業立地動向を調査するなどして、今後の企業集積につながる新たな取組を是非とも構築をしていただきたいのですが、実はこの振興地区のすぐ横に、現在新たに泡瀬の干潟を埋め立てまして、またその土地を新たに開発をしていくという計画も実際に沖縄県内にはございます。これ、今実際に、今度のこの振興地区の埋立てについての通告はいたしておりませんでしたけれども、もし今この泡瀬地区の新たな埋立てに対するその予算、金額がお分かりでしたら教えていただきたいと思います。

○政府参考人(武田宗高君) 突然のお尋ねでございますので、ちょっと数字が手元にございません。ただ、これは港湾事業の中で実施をするものでございますので、具体的には実施計画の中で決まるというふうに承知をいたしております。

泡瀬地区の埋立事業でございますけれども、これは、委員御案内のとおり、沖縄市におきまして、海に向けた拠点の整備ということで、地元の非常に強い要望で進められておると。ただ、干潟でございますので、当然環境、特に希少生物等に十分な配慮をしながら進められておるというふうに承知をいたしております。

○糸数慶子君 ありがとうございました。通告はいたしておりませんでしたが、なぜその関連でこの件をお伺いしたかといいますと、今五年間で六十三億円が投入されて埋立てされたこの地域でも実際に入居企業というのが賃貸工場を造ってもなかなか進出しないという横に、また新たなこういう、沖縄市の要望であるにしましても、やはり事業主体である内閣府のその事業の中で、やはり目的が新たな土地の埋立てであり、しかもその土地はバブルの時代でありましたらしっかりホテルが造られたりあるいは新たな事業展開もできたかと思いますが、現実のこの状況から考えていきますと、今埋め立てられているその場所ですら入居企業が少ないというその横にまた新たにこういう事業を展開しているのは、やはり今後の沖縄の自立ということを考えていきますと、埋め立てられている場所の今のこの事業を推進していく方がむしろ先ではないかということをあえて申し上げたいために御質問いたしました。御配慮、よろしくお願いしたいと思います。

次に、IDB総会についてお伺いいたします。  四月には沖縄県で、米州開発銀行、IDBの年次総会が開かれます。沖縄県は早くからこのIDB総会の開催に、この誘致に取り組んで、今回、地元の経済界、そして財務省、内閣府など関係機関の協力を得て開催の運びになったことは大変喜ばしく、感謝いたしております。

今回のこのIDB年次総会の沖縄開催の意義と、年次総会で谷垣財務大臣が中南米諸国に向けて発表されるそのメッセージについてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) アメリカ開発銀行、IDBの年次総会、これはスペイン語が話せないとちょっと肩身の狭くなるようなラテンの香りの高い会議でございまして、中南米やカリブ海諸国を始めとして、アメリカ、カナダあるいはヨーロッパ、合計四十七か国の財務大臣、中央銀行総裁等が一堂に会する大規模な会議でございまして、今回の沖縄の会合にも国の内外から数千人の参加者があると見込まれております。

沖縄総会は我が国では二回目でございまして、前回は、一九九一年、名古屋でございました。それで、IDB総会を我が国で開催すること、あるいは沖縄で開催すること、我が国を始めとするアジア諸国と中南米、カリブ諸国というのは近年また貿易面でも非常に連携が深まっておりまして、そういう時期にアジアでラテン諸国が集まる総会をするというのは絶好の機会であろうと、連携を深まっている中で絶好の機会だろうというのが一つ。

それから、沖縄というところは、もうこれは糸数先生に申し上げるのは僣越ですけれども、長い間、移民を通じて中南米、カリブ海諸国ともう一世紀以上にわたる人的交流の歴史があるわけでございますし、今申し上げたように、アジアとの連携、ラテン諸国と深まっているわけですけれども、アジア各地との交易の言わば結節点として栄えた沖縄でこのような会合を開くということは私は極めてタイムリーなものだと思っております。

沖縄県も知事を先頭として大変熱心に準備に取り組んでいただいていると聞いておりますけれども、私が議長をこの会では務めさしていただきますが、参加者にとって有意義な総会となるように心掛けたいと思っておりますし、IDBの支援活動がより効率的、効果的なものとなるように、今後のIDBの融資の在り方であるとか、それから民間部門開発の取組について我が国の考え方を出していって、沖縄、日本、アジアとラテン世界の連携に少しでも寄与したいと、このように思っているところでございます。

○糸数慶子君 今大臣もおっしゃってくださいましたが、沖縄県とこの中南米諸国とのきずなは、沖縄県系の日系人の数がブラジルで十四万人、それからペルーで六万人、アルゼンチンで二万人おられるなど、極めて強いものがあります。かつてアジアの中継貿易地として栄えた沖縄でこのIDB総会が開かれることは、やはりこの日本と中南米諸国との結び付きを一層深める意味で大変意義深いものがあるというふうに考えております。是非とも、県民挙げて応援しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○委員長(浅尾慶一郎君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。

これより両案について討論に入ります。

──別に御意見もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。

まず、関税定率法等の一部を改正する法律案について採決を行います。

本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

この際、若林秀樹君から発言を求められておりますので、これを許します。若林秀樹君。

○若林秀樹君 私は、ただいま可決されました関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。

案文を朗読いたします。

関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、調和ある対外経済関係の強化及び国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。

なお、関税の執行に当たっては、より一層適正・公平な課税の確保に努めること。

一 急速な高度情報化の進展により、経済取引の国際化及び電子商取引等の拡大が進む状況にかんがみ、税関の執行体制の整備及び事務の一層の情報化・機械化の促進に特段の努力を払うこと。

一 最近における国際化の進展等に伴い税関業務が増大し、複雑化する中で、その適正かつ迅速な処理の重要性に加え、麻薬・覚せい剤を始め、銃砲、知的財産権侵害物品、ワシントン条約該当物品等の水際における取締りの強化に対する国際的・社会的要請の高まりに加え、FTA(自由貿易協定)の進展による貿易形態の一層の複雑化の様相にかんがみ、税関業務の特殊性を考慮し、税関職員の定員確保はもとより、その処遇改善及び機構、職場環境の整備・充実、更には、より高度な専門性を有する人材の育成等に特段の努力を払うこと。

特に、国民の安心・安全の確保を目的とするテロ・治安維持対策の遂行や、知的財産権侵害物品、偽造通貨・偽造カード等不正商品の水際取締り、更には、通関手続の適正化・迅速化を一層図っていく観点での所要の措置の実行に当たっては、その重要性に十分配慮した業務処理体制の実現に努めること。

右決議する。

以上でございます。

何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいま若林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。

本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 全会一致と認めます。よって、若林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。

ただいまの決議に対し、谷垣財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣財務大臣。

○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

○委員長(浅尾慶一郎君) 次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。

本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

本日はこれにて散会いたします。

午後零時十三分散会

2005年03月28日 (月)

参議院 財政金融委員会 6号 平成17年03月28日(その2)

○委員長(浅尾慶一郎君) これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。

質疑のある方は順次御発言願います。

○中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄でございます。

公債発行特例法と所得税法等の改正案の審議もいよいよ大詰めを迎えまして、今日わざわざ総理に御出席をいただきまして大変ありがとうございます。

手元にお配りをしてあると思いますが、資料一枚目をちょっとごらんをいただきたいと思います。

いろんな線があって、大変見にくくて恐縮でございますが、これは一般会計の歳出総額がどういう財源で成り立っているかということで、この三本目の茶色い線が歳入総額、その下にある緑の線が一般会計の租税及び印紙収入と、その下のダイダイ色が国債の収入で、平成十七年度の予算については三十四兆四千億であると。その下に国債の内訳がございますが、この赤い字が正に赤字国債、特例国債で二十八・二兆だと。それから、紫の線が下の方にありまして、これが建設国債で六・二兆だと。その他収入がありますが。

こういった国債の今までの発行の歴史をちょっと振り返ってみますと、昭和四十年、一九六五年に初めて建設国債を発行するということが始まりまして、初めはおずおずと始まったわけでありますが、昭和五十年、七五年から特例国債、いわゆる赤字国債が発行が始まりまして、平成三年から五年はしばらく赤字国債がなくなって建設国債のみになったんですが、その後また復活をして、ついに平成十一年、一九九九年からは特例国債の方が建設国債よりも発行額が大きくなったと。

現状では、三十四兆四千の国債収入のうち二十八兆二千が赤字国債と、こういうことでありますから、実に八二%が特例国債であると。特例が主であって建設があくまでも従であると、こんな状況になっておるわけでございますが、こういった財政状況にあるということについて、総理の御感想を承ればと思いますが。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 財政状況が極めて深刻な情勢にあるという御指摘だと思いますが、そのとおりだと思っております。本来、特例公債というのは特別に例外だというのが、今やもう通例になってしまいましたから、そういう意味におきましてもこれは大変深刻な情勢だと思っております。こういう状況だからこそ、なおかつ財政健全化に向けて一層の努力をしていかなきゃならないと。

特に、平成十一年度以降ですか、建設公債よりも特例公債が上回って、その後ずっとこれが続いております。今や建設公債の方は減ってきているわけですが、なかなか特例公債の方は減るどころか増えていると。十七年度におきましてはようやく減額の傾向が出てまいりましたけれども、それでもまだ、今後当分、特例公債の発行を余儀なくされる状況だと思います。

今後、このような財政状況を少しでも改善していくような方策が必要ではないかと。当面におきましては景気の情勢もよく見極めていかなきゃなりません。この財政状況を健全化させる方法には増税もあるわけでありますが、現時点におきましては、諸般の情勢を全般的に考えて、歳出削減努力と、そして一層の、いわゆる構造改革といいますか、規制緩和とか、あるいは金融改革、歳出のめり張りを付けて予算をつくっていく、さらには税制改正全般を見た、そのような改革を主として今後、二〇一〇年代初頭にはプライマリーバランスを回復したい、そう思っております。

○中島啓雄君 ありがとうございました。  この特例国債が主体になっているという財政状況のもう一つの教訓は、公共事業費の関係と公共事業費を除く一般歳出なり地方交付税の問題と二つに分けますと、今後の財政の健全化の重点というのは、やはり公共事業費を除く一般歳出なり地方交付税等をどう削減をしていくかというところにポイントが移っていかざるを得ないのではないかというふうに感じております。

先ごろの予算委員会の席上でも、公共事業費はもっと削っていきますよというようなことを総理おっしゃいましたが、それを否定する気はありませんけれども、公共事業費の効率化、重点化あるいは費用対効果を詰めていくというのは当然の話でありますが、むしろこれからは一般歳出をどうやって削っていくかと、こういう観点で考えていかなくちゃならないだろうと。

そこで、二枚目のペーパーを見ていただきたいと思いますが、二〇一〇年代の初頭にいわゆるプライマリーバランスを黒字化させると、こういうことの絵が、内閣府の絵なり財務省の絵なりいろいろ出ているんですが、非常に分かりやすいのは、これ昨年の十一月八日に財政制度等審議会で出された資料で、これは十六年度予算から機械的に伸ばしたものですが、二〇一四年度でプライマリーバランス二十七・八兆円の赤があると。これを詰めるには、歳出削減のみだと三分の二ぐらいに圧縮する必要があると、歳入増のみでやると五割ぐらい税を増さなきゃいかぬと、こういう絵なんですが、両極端はなかなか難しい。中を取れば、例えば歳出削減と歳入増を同じ割合でやるとすると、歳出削減二〇%、歳入増二〇%ぐらいがちょうどバランスするところであると。

いずれにしても、今、平成十八年度ごろまでに財政に対する基礎的財政収支黒字化への具体的な道筋を明らかにすると、こういうことになっておりますが、将来の国民に対する不安、不満を解消するためには、やはり、小泉内閣の大きな課題として具体的道筋を明らかにしていただきたいと思いますし、その場合にはやはり歳出削減と増税とが組合せにならなきゃいかぬだろうと、こう思いますが、その辺について総理の御見解を承れればと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 財政収支を考えますと、確かに歳出削減だけでは無理であると、増税もという議論は分かります。

しかしながら、経済全体を見ますと、財政健全化だけすれば経済がプラス成長になっていくかというと、これまた考えなきゃならない点がございます。財政健全化の努力は常にしていかなきゃなりませんので、一般歳出を前年度以下に抑えるという努力を続けてまいりました。そういう努力もありまして、来年度予算におきましては、今までのいわゆる財政の基礎的収支、これも赤字が数年前はたしか五%だったと思いますけれども、四・五%台に改善の傾向を見せてきたと。国債増発も抑制できるような状況になってきたと。  かといって、ここで財政を健全化させる余り、その収支のために、削減では無理だから増税をというと、一挙にやるかというと、これまた、経済のプラス成長を目指しているわけですから、これも私は、経済全体を見て、果たして財政健全化を急ぐ余り今増税していいのかというと、これはやっぱり否定的立場を取らざるを得ないし、経済は生き物ですから、状況を見ながら徐々にこの財政健全化の方向に向けて努力していくと。そして、今のデフレ脱却して、経済成長が二%程度できるようなそのような経済環境に持っていかなきゃならないと。  確かに、財政赤字をこれ以上拡大させておきますと、これまた、もう将来に大きな負担を残すのも事実であります。だからこそ、私どもとしては、経済全般を見ながら財政状況を少しでも改善すべく努力をしていかなきゃならない、極めて限られた細い道であると思います。

まだまだ日本の財政状況は厳しいという状況でありますけれども、それほど大きな混乱が起きないというのは、日本経済全体を見ればもっと底力あるんじゃないかと。先進諸外国に比べれば、所得税の負担率もGDPの割合に比べれば低いと、消費税も、ヨーロッパ全体一五%以上なのに、日本はまだ五%以内かという議論があるのは承知しておりますが、かといって、そのヨーロッパ並みにもっと税収増だけ考えて増税していいかという状況にあるとは私は思っておりません。そこは全体を見て、より一層歳出削減努力、より無駄な部分を排除していくと、行財政改革、そういう点を併せて進めていかなきゃならない問題だと思っております。

○中島啓雄君 ありがとうございました。

○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林秀樹でございます。  主に総理にお伺いしたいと思います。

先週、十七年予算が参議院を通過いたしました。しかし、今日この審議している二法が通らなければこの予算も執行できないと、そういう意味じゃ、厳密にはまだ予算は成立してないということでありますんで、是非緊張感を持って御回答願いたいなというふうに思っております。  予算、確かに新規の国債発行は減りましたけれど、やっぱり三十兆円を超える国債を発行しているというこの現実をやっぱり麻痺してはならないというふうに私は思っております。

産経新聞に、伊東正義元外務大臣が言っておりました。三十兆円もの赤字国債を出して予算を組んで、成立のときに大喜びしている政府・与党はおかしいと、こんなに後世に借金を残して申し訳ないと国民の前にわびて主計局長や財務大臣は辞めないといけないんではないかと、国に対する愛情を全く感じてない連中ばかりで情けないという大先輩のお話もありました。

やっぱり、この感覚を麻痺しちゃいけないと思うんですよ、本当にこれは。そういう意味で、我々は有権者から選ばれてきたわけですから、本当にこの財政問題に真剣に取り組んでいく必要があるのではないかという気持ちを持っております。

その意味で、まず小泉総理にお伺いしたいんですが、総理用にちょっと資料を作ってまいりました。この「一般会計歳出・税収」、これ財務大臣のときにも使ったんですが、少しアレンジしておりまして、特にこの四年間を振り返っていただきたいと思います。

平成十三年度から、予算を最初から編成するのは四回目になります、ただ、十三年度を入れると五回目ということになりますけれど、総理は三十兆円枠というある意味で財政規律を重視したやり方をやってて、私はそれなりに結構頑張ってこられたんではないかと、相対的な、比較感で恐縮でございますけれど、でも、実際にやってみて、この数字を見られて、税収は上がらない、国債の発行残高が減らない、一方で歳出は膨れ上がる、この状況を改めて四年間を振り返ってどんな御感想か、お答えいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 政治というのはやっぱり理論どおりいかないなというのを痛切に感じております。

私が国債発行三十兆円枠を守るべしと言ったときには、税収が五十兆円あるというのが前提です。税収が五十兆円あるのに前年度予算というのは、二十八兆円程度でしたかね、国債発行が。そういう状況で、五十兆円が税収あるならばやっぱり三十兆円以下に収める努力をしなきゃならないと言ったわけです。そういう中で景気の低迷が続いていると。

ところが、実際は税収は五十兆円どころか、当時は四十兆円ちょっとだったですね。そういう景気の悪化によって税収が落ち込んできた。そのときに、じゃ、理論どおり三十兆円枠を守ったら経済全体どうなったかということを考えると、これまた経済のプラス成長を目指すということになれば、歳出削減も成長を考えればマイナス効果であります。増税もマイナス効果であります。というと、やはりある程度国債を発行せざるを得ないということで今日まで来たと。

しかしながら、当時もこういうような景気低迷を続くのが公共事業を増やさないからだと、減税もしないからだという意見が一部で強く言われました。そのとき、もしも、やはり景気良くするためには公共事業を国債を増発してでももっと増やせと、こういう景気が悪いときには減税をしろという要求を受けていたらどうなったかということも考えていただきたい。じゃ、そうなったらば、増税もいかぬというんですから、更に国債を増発しなきゃならなかった。  そこには一定の歯止めを掛けて、厳しい状況にありながら全体を見ながら予算を組んできて、現在におきましては、公共事業も減額しながら、そしてなおかつ一般歳出を前年度以下に抑制しながら景気の上向き状況は見えてきたということは、やはりこの改革の効果が徐々に出てきているのではないかと。構造改革なくして成長なしと。当時は成長なくして改革なしなんだという議論が盛んに行われましたけれども、やはり改革なくして成長なしだなと、最近の議論はそのような大方の見方になってきているのではないでしょうか。

○若林秀樹君 前年は税収五十兆ありましたけれど、公債の発行残高は三十三兆円という状況でありますが、やっぱりもう少し先を見通した上で、きちっと考えてやっぱりやるべきではないかなというふうに思いますが。

一般論としてちょっとお伺いしたいんですけれど、アメリカの、今はブッシュ政権でありますが、その前のクリントン、その前のブッシュ、お父さんの方のブッシュ大統領のときは財政赤字でした。クリントンが出てきて民主党政権になって徐々に経済は回復して黒字化になって、最終的には相当な額の黒字が出て、そして今のブッシュ政権になってまた赤字に転落という、こういう状況でありますが、財政運営の在り方を大きく非連続性の中で変更し、そして社会の活力を得るという意味において、やっぱり政権交代というのはそれなりに効果的な仕組みではないかという、一般論で結構ですんで、総理にちょっとお答えいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 一般論からいいますと、民主主義の国においては、自由な選挙が行われている限りは私は政権交代があって当然だと思っております。そういうのを決めるのは有権者ですから。私は政権交代を否定しているわけではありません。政権交代にはプラスもあればマイナスもあると。

プラスというのは、それは前政権のやり方と違う方を望んだ国民が新しい政権を選出すると。そうすると、新しい政権は前政権と違ったことをやると。そして、良くなれば、それは好感を持たれると。悪いと、ああやっぱり駄目だとまた政権交代が起こる、これがやっぱり民主主義の時代だと思います。同時に、戦後これまで日本が奇跡の発展を成し遂げたというのは、政策に継続性があったからだという議論もあります。政権交代をしょっちゅうすると、この継続性がなくなってかえって国民に一つの方向に対して迷いを持たすのではないかと。

で、こういうのは、特に自民党にしてみれば、長年政権交代がなかったから今日まで発展してきたんだというのは、与党からとってみればかなり都合のいい理論付けだと思っております。しかし同時に、政権交代を阻止するためには、かなり国民に負担を強いるような政策は取りにくいということから、やっぱり公共事業を減らすよりも増やした方がいいと、増税よりも減税がいいと。

事実、高度成長のときは、ケインズ理論からいって、ある程度国債発行すると、公共事業増やせば景気良くなってくるという理論が一時的には通じたんです。だからこそ、そのような景気の悪いときには公共事業増やして減税していると。で、税収が良くなったら、過熱を防ぐためにまた抑制すればいいんだと。それがだんだんだんだんその有効な手だてが効かなくなってきた。一層景気悪いと更に国債を増発して公共事業を増やそうと。この状況、景気悪いときに増税はできないから減税しようと、これが効かなくなっちゃったんです、今。そういう点から見て、なかなか現実は難しいと。  私は政権交代を否定するもんじゃありません。民主主義の時代ならいつかは政権交代があってしかるべきだなと思っております。

○若林秀樹君 ありがとうございます。  恐らく小泉総理も総理に就任されたときに、三十兆円、これやる、言われたときに、四年間今たってみて、こんなはずじゃなかったなと、多分思っていらっしゃるんだと思います。ある意味じゃ反省の念。そこにやっぱり小泉政権の財政運営のある意味での限界が私は生じている。  その上で、やっぱり政権交代というのは、本人も、今総理がおっしゃったように、有効な、財政運営を大きく変えるという意味において一般論としてそれは効果あるということを今お認めになったんではないかなというふうに思っておるところであります。確かに、政策の有効、継続性というのは重要ですが、一方、ずっと続いたことによる今弊害の方がやはり大きくなっているんではないかという思いでありますんで、やはり私はやっぱり政権交代をしながら、そしてまた替わる、そういうことを繰り返すことが今後この財政運営において一番いいことではないかなということをあえて申し上げておきたいなというふうに思っているところであります。

その上で、資料の二枚目、総理、ちょっと見ていただきたいんですが、これも前回の国民負担率の問題で申し上げたところであります。

私は、今の財政運営の在り方とかアプローチはちょっと間違っているんではないかということを申し上げました。それは、根拠のない五〇%という国民負担率を置きながら、結果、今潜在的な負担率を入れたことによって今四五%まで上がっていると、もう五〇%間近だと、上げることは良くないんだ、そのことが結果的には本質的な議論をなくしているんです。やはりもっとやるべきことは、公共サービスの在り方はどうあるべきか、社会の共同事業と税財源についてどうあるべきかということをしっかりした議論をやった上で、それをどう国民に負担していただくかということが、今本質的な議論が欠けているんではないかということを申し上げたところであります。

ですから、スウェーデンは国民負担率が高い、北欧系は高いけれども社会の満足度も概して高いんです。日本は相対的に低い。韓国、ロシアも、負担率の高いところは満足度も低いという結果が表れている。ここは難しい判断だと思いますが、少なくとも高いことが経済的な発展を阻害するということは必ずしも私はない。それが経験値として、実測値としてスウェーデンが実証していることではないかなというふうに思いますから、確かに経済規模とか人口の数違う、国の形違うんだということがありますが、スウェーデンから学ぶところもあるかもしれない。

その上で、日本は小さな政府を目指すのか大きな政府を目指すのか、小泉総理にお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは結論から申し上げれば、小さな政府よりも、ああ、大きな政府と小さな政府をどちらが目指すかといえば、小さな政府を目指しております。

というのは、民間にできるところは民間にと。何でも政府が、行政が国民生活に関与すべきものでもないと。やっぱり企業においても個人においても地域においても、自主性を拡大してそれぞれの振興策を考えてもらいたいということを考えますと、私は、大きな政府というのは税負担率が大きいわけですから、これは歳出の手当てが良ければいいという議論も確かにスウェーデンを見ればあります。しかしながら、国民の自由度ということを考えると、私は小さな政府を目指すということが望ましいと思っております。

○若林秀樹君 小さな政府を目指すということですが、既に中負担、中ぐらいにはなって、中福祉ぐらいになっているんではないかなと思いますが、私は、私の答えは、効率のいい有効な政府を目指すことではないかな、そこが今一番求められることではないかなと思います。

やはり日本はもう人しかいないんですよ、人が財産。この日本に住んでいる国民が本当にやっぱり生きがいを感じてやっていける安心した社会をつくらないと、結局プライマリーバランスを帳じり合わせのようなことで絵にかいてやったところで何の意味はない。経済危機なり社会の不安なり、いずれ財政危機はやってくるわけですから、そういう意味でこの財政の中身、正に有効な政府を目指すかということが私は今一番求められている。それを抜きにして、五〇%以下に抑えなきゃいけないとか、恐らく負担になると経済が阻害化するかということを国民は全部言われていれば、一円でも上がったら、もうそれは悪いことだということになっちゃうわけですよね。結果的にそれが国民の、社会の満足度を下げているという結果に私はつながっているんではないか。

その意味において、私は安易に上げることはいいことではないと思っていますよ。しかし一方では、アプローチとして本質的な議論ができるように私はやっぱり誘導することも一方アプローチの仕方としてあるんではないか。それはもう予算も全く同じでありますんで、是非ともそういう観点から今後財政運営を考えていただきたい。そういう面はないでしょうか、もし追加であればお願いします。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、私もスウェーデンの方と会うとき、政府関係者なんですが、よくスウェーデンはこの財政負担高いことやっていけるなと、国民がまたそれほど不満がないなと、消費税を二五%までよく上げることできましたねと、どうしてこういうことが可能だったんですかという質問をするんですよ。そうしますと、それは国民全体が望んでいることをやっているから自然にそうなったというのが大方の答えでした。

だから、私どもとしては、現在、税負担拡大してもいいというふうに今取っていないんです、国民が。それではどの程度の歳出があったらば、手当てがあったらば、消費税が二〇%を超えるような大きな政府といいますか、負担をのむのかというと、これまた極めて難しい議論でして、これだけの手当てをすれば増税をしていいかというと、これまた別問題だと思っております。だからこそ、現在、私どもとしては、スウェーデン並みのそういう消費税を二〇%を超えるようなこと、租税負担率が七〇%を超えるというようなことはスウェーデンでは受け入れられても日本では受け入れられない。もしそういうことを与党がやったらば確実に政権交代が起こってくるんじゃないかなと思っております。

○若林秀樹君 スウェーデンの、日本の一番大きな違いは私は国に対する信頼度だと思います。国に信頼感があるから、多く払ってもそれが返ってくるんだ、今それがないから、国は、国民はそう思わないわけであります。

今、私もいろんなところへ行くと、やはりどのくらい負担したらいいんだと、最終的には、その姿を早く示してほしい、そうしたら喜んで払いましょうと。今はそこまで行っていないわけですよ。その前にもういろんな不祥事が出たり社会保険庁の問題が出て、無駄遣いしている、今でもこんなんじゃ払いたくない。だから、この政治の信頼度がやっぱりスウェーデンと一番大きな違い。なぜスウェーデン方式がうまくいっているか、年金の話ですけれども、やっぱり払ったら払ったで戻ってくるという信頼感があるわけですね。だから、今ここでスウェーデン方式入れても、私はうまくいかないかもしれない。そのぐらいやっぱり大きな違いがあるんじゃないか、そういうふうに私は思っているところであります。  その意味で、次、税制改革についてお伺いしたいと思います。

私はなぜ小泉総理が税制改革、抜本的税制改革を踏み込まないのか、そこが不思議でなりません。構造改革の本丸は税制改革だと私は思っております。やはり国の形であります。国の形で税制に代えて政策をどうやって変更していくかということを根本的に同時にやらないと。小泉総理は消費税の有効性を認めながら、これだけの財政赤字を目の前にしながら、在任中は私は知りません、やりません、これは無責任ですよ、やっぱり。で、確かにそれは分かりました。少なくとも在任中の残り一年半ぐらいの間にきちっとした税制改革の道筋を付けるべきではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、この消費税を上げないと言っているのは無責任だとよく言われますがね、全く反対なんです。私は、在任中は消費税を上げないと言っているのは、どんなに長くやっても来年の九月までですけれども、それまでに消費税を上げる環境にないというのが一つ。さらに、私は総理に就任したという大きな意義は行財政改革。歳出を、できるだけ無駄な部分を排除していこうと、そのために民間にできることは民間にと、いわゆる郵政民営化を掲げております。

私は、消費税を平成元年に三%導入するときには、率先して賛成論者でした。賛成、当時かなり反対がありましたけれども、物品税を廃止する、物品税よりも、個別の物品税よりも消費税の方がいいということで、当時は政見放送でも消費税賛成を掲げて戦いました、選挙。そうして、しかしながら、国民からひどい批判を受けました。そして、村山内閣になってから、今度は三%から五%に引き上げるときに、これはあの消費税を三%導入したときの批判を踏まえて、あのときなぜこれほどの批判があったんだろうかというのは、所得税の減税と消費税の導入を同時同額でやったんです、財政を、所得税を減らすから消費税三%というのを。しかし、これでも理解得られなかったということで、五%に引き上げるときには所得税の減税を先行させたんです。そして、二年か三年遅らして消費税を五%に引き上げますよと。それでもかなり批判が強かったんです。だから、そのとき私は、そのときも私は、五%、三%から五%のときに引上げに賛成しました。

しかし、その後、私は当時、大蔵省にもはっきり言ったんです。消費税三%導入も、三%から五%引上げも私は先頭に立って賛成したと。しかし、これから、これから引き上げる場合は、郵政民営化しない限り私は賛成しないとはっきり言ったんです。そこ、そこのときからですよ、私の信念は。民間にできることを民間にさせないでなぜ経済が活性化するのかと。そして、この郵政民営化は郵政省だけの問題じゃないと。財政投融資制度が始めて、全役所がこの資金を当てにして特殊法人等をやっているんじゃないかと。官の構造改革本丸だということで、これからは私は、この郵政民営化なしには五%以上に引き上げることは断固として反対するからそのつもりでいてくれと言って、たまたま総理大臣になったわけです。

私は、そのころの話をこれからも守っていくと。郵政民営化は正に官の分野の構造改革であり、これを成し遂げていくならば、将来必ず増税しなきゃならない状況になったとしてもその幅は少なくて済むはずです。

○若林秀樹君 郵政民営化すれば財政再建が本当にうまくいくような話というのは、これはちょっと別問題だと私は思います。確かに、消費税を上げる環境にない、もし仮にそうだとしたら、将来や未来に対する、総理は未来に対して責任があるんですよ。そういう意味では、やっぱり税制改革の、抜本的税制改革に向けたやっぱり道筋をきちっと付けながらやっぱり財政再建を見据える必要が、責任は私はあると思いますので、是非ともお考えをいただきたいなと思います。

その上で、納税者番号制度の導入についてちょっとお話をさせていただきたいと思います。資料の最後の三枚目に、時間がありませんので簡潔に申し上げたいと思いますが、所得税の総合課税化に向けたこれまでの変遷を書かさせていただきました。

シャウプ税制以降、一度はやはり総合課税化に向けましては、つい翌年から例えば利子所得は源泉選択課税が復活、非課税、かなり蛇行して今日まで来ております。で、節目は、グリーンカードを導入しながら何も一回も実現せず、昭和六十年に廃止しました。そして、昭和六十二年、六十三年には、総合課税化の移行問題も含め、抜本的に見直すと言ったんです、ここは。これは法律の附則まで入れたんです、これは。それにもしたにもかかわらず、平成四年になった、環境が整っていないということでこの約束をまた破棄したわけです。

そしてまた、今回も、この平成十五年の少子高齢化における税制の在り方で、納税者番号制度の必要性を指摘した云々でありまして、不可欠になっていると、納税者番号は。しかし、国民の理解を深めていくことが必要不可欠であるということで、私は、当時の例えば昭和六十年のグリーンカード時代からも含めまして、環境の変化があって、所得を公平公正に捕捉するインフラとして納税者番号制度を導入する環境は私は整いつつあると思います。あとは政治的な決断なんです。

前回、谷垣財務大臣にもお伺いしましたけれども、非常に前向きな御発言をされておりました。是非とも総理、もうあとは政治的な決断です。まだまだ国民の理解がないのかもしれない。しかし、政治的な決断をすることによって国民の理解を深めていく、それは正に小泉総理が郵政民営化をやろうとしている、そのことによって国民の理解を求めるというのと全く一緒なんです。ここまで何十年間やってきたら、あとはもう政治的決断しか私はないと思います。金融所得課税の一体化もそうです。総合課税化もそうです。公平公正な社会に納税者番号制度は、年金だけの問題ではなく、これは必要なんです。是非とも御答弁をいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私も厚生大臣になるまではずっと大蔵委員会に所属しておりましたから、その議論は熱心に聞いておりました。自民党の税制調査会におきましても、私は厚生大臣になる前までは一番熱心に長時間出席した議員でしょう、自民党の中で。ですから、このグリーンカードの議論も消費税の議論も納税者番号の議論も、自分なりには理解しているつもりであります。

しかし、いざ実現の方向に進むとなると、必ず強い反対論が与野党を通じて起こってきます。言わば、所得の把握される、個人の情報をいわゆる行政側に管理されるのは嫌だという、これはもう単に自民党支持者だけじゃありません、野党の中にも根強いわけであります。そういうことから、具体論になると必ずそのような、総論賛成でありながら、強い反対、抵抗に遭って今日まで導入できなかった。

だからこそ私は民主党の皆さんにも言っているんです、早く具体論始めましょうと、どのような納税者番号を導入したらいいのかと。そこで、私は岡田代表との議論においても申し上げましたように、納税者番号導入が望ましいと、どういう納税者番号をするかということを早く同じテーブルにのって協議しましょうということを申し上げているんで、具体論が出てくれば、それは国民により一層理解を深める度合いは進んでいくと思います。

現に、利子、株式、譲与税。利子、株式の所得に対してどのように把握するかというのに対しても、もう分離課税がいいか、総合課税がいいか、これでも大もめですよ。そういうことから考えて、私は早く、ようやくこの与野党協議会ができたようであります、年金を含んだ社会保障、そのときには納税者番号、避けて通れませんから、その議論を早く私はした方がいいと思う。どういう手順でその納税者番号を総合課税制度に近づけるような方法がいいのか。それはいろんな段階がありますから、これを大いに与野党が一緒になって協議していくということについては私も賛成でございます。

○若林秀樹君 協議のその中身が出るのを待つんじゃなくて、総理自らがリーダーシップを発揮していただきたい、特に与党に対して発揮していただきたいということを申し上げたいと思います。

で、時間がないんで、最後、定率減税についてお伺いしたいと思います。  今回、縮減するということで、民主党につきましては、今そういう環境にないということで反対であります。その修正案を出したところです。これについては見解があろうかと思います。その上で、あえてこの定率減税の導入の評価、そして縮減する理由についてお伺いしたいと思います。

なぜ導入し、そしてこの間どうだったのか、そして今回縮減してどうだったのか。で、言い方を換えれば、これは評価して、将来同じ環境になれば、この定率減税というのは本当にまたやる必要があるのかどうか、そういうことも含めての評価のお話を伺いたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは定率減税というものに対して、景気が悪い状況に導入したものであると、現在の、導入した時点と現在を比べてみますと、この定率減税を縮小しても景気等に大きな悪影響は及ぼさないであろうと。と同時に、このまま減税をしないで、さらに歳出削減そして国債増発ということの是非、そういうものを総合的に勘案して、今回、全廃ではなくて二分の一に縮小していこうと。将来の今後のことにつきましては、今年の暮れに経済全般の状況を見ながら考えようということになったわけであります。

私どもとしては、財政全体のことも考えなきゃなりませんし、減税を続けてくれという声が大きいということも承知しておりましたけれども、そこは今の厳しい財政状況を見れば、仮に不人気であったとしても財政に無責任な立場でいるわけにいかぬということから縮小をお願いしたわけであります。

この点につきましては、将来、さらにこれを全廃するかどうかということにつきましては、今年暮れ、経済状況全般を見ながら判断しなきゃならない問題だと思っております。

○若林秀樹君 もう時間がありませんので、最後、申し上げたいと思います。

今回、年金の国庫負担の引上げのためにこれを充当したいという理由もあって縮減をするということだと思います。一方では、国民年金、年金払ってない人の保険料が八千億円ぐらいに上るというふうに聞いています。

そういう意味では、この穴埋めのために、ちゃんとまじめに払っているサラリーマンから更に縮減をして、結局それを埋めるような形で更に払うというのは、やっぱり二重に私はおかしいんではないかなという感じはしております。正に取れるところから取って、一方では平気で八千億円の未納の保険料をそのままにしているわけですから、私はやっぱりこれもおかしいんではないかなというふうに思いますので、また、心理的に、来年の一月からですから、これからいろんな負担の話あるいは年末の税制調査会の方の話があって、どうなっていくのか非常に気掛かりでありますが、今民主党としては断じてこれは縮減すべきじゃないということを申し上げておきたいと思います。

いずれにしましても、時間になりましたのでやめますが、財政再建に向けた私は小泉政権の限界が見えたんではないか、それはやはりもう政権交代しか私はない、その有用性も小泉総理も認められたんではないか、そんな思いを持って、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。今日はありがとうございます。  まず、私の方からは、少子高齢社会における歳出増に対応してどのような税収構造を持っていくべきなのかというあるべき税構造につきましては、まずもってできるだけ早く国民にお示しすることが大事であろうかというふうに思いますとともに、その議論は先ほどございましたのでそこは省かせていただきますけれども。

もう一つ、やはり総理は、改革なくして成長なしと、こうやってこられました。正にこの次が、成長なくしては財政再建もないと、こういうことだろうかと思います。

そういう意味では、この自然増収、景気の拡大を維持することによって増収を、自然増収、税の増収を図っていくと、自然増を図っていくということで財政再建を進めるという側面も当然大事になってくるわけでありますけれども、今度のこの平成十七年度予算も含めまして、総理の成長政策、どうやってこの成長なくして財政再建なしというその成長の部分、コアの部分を是非御所見をお伺いできればと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 確かに、経済成長なくして財政再建なしというのも言えると思います。このままマイナス成長で財政再建できるかというと、そうは思っておりません。だからこそ、この厳しい財政状況を勘案しながら、ある程度国債の発行もせざるを得ないという状況であると。

さらに、今後の将来を展望すれば、このような財政赤字を解消していくためにも、経済成長を促すような改革はどうかというと、今ようやく税収も前年度に比べて上がってきたわけです。本来、この税収が上がってきたんだから、これだけ景気が良くないときにはもっと公共事業を増やせ、減税をしろと、この定率減税縮小なんかとんでもないというのが今までの普通の議論でした。

今回、そういう税収が上がって、なおかつ景気が本格的に回復しておりませんが、国債の発行も削減できた、抑制できたと、前年度より減らした。なおかつ公共事業も減らしたと。そして、なおかつこの定率減税も縮小をしたと。今までとは違った手法を行って、これから、そういう状況にもかかわらず景気は上向くと見ているんです。これ、今までのやっぱり、税収増があったらばもっと事業を増やせという状況とは違いますね。その点はやっぱり今までの手法の反省からもきているんだと思います。

今後、私どもとしては、財政健全化というものは大事でありますが、同時に経済成長をにらんでいくと。増税も経済成長にはマイナスであります。歳出削減も経済成長だけを考えればマイナスであります。しかし、経済成長だけを見ると、財政、現在の財政状況を見るとどうなんだと。現在だけの経済成長だけを考えていいんじゃありません。将来持続的な経済成長を目指しているわけですから、財政赤字を拡大していくというのは、当面経済成長プラスになっても将来大きな禍根を残すから、これ両にらみでなければいけないという点が極めて難しい道であると私どもは覚悟しております。

○西田実仁君 もう一つ、先ほど総理もちょっとおっしゃいましたけれども、郵政民営化の根本には財政投融資を民営化する、すなわち、国民の資金を、その使途を市場を通して民間で決めていくという仕組みをつくっていこうというその本丸である郵政民営化の問題。さらに、そこを推し進めていきますと、今検討されているようでございますけれども、政府系の旧金融機関、これを統廃合していくということにも当然ぶつかっていく問題であろうかと思っております。

その際にやや懸念されることですので御確認でございますけれども、この財政投融資の民営化というものを進めていくときに、なかなか顕在化してこなかったある意味で隠れた赤字というんでしょうか、そうしたものが顕在化し、国民の負担にもしつながっていってしまうんであれば、これは、まあ実際そういう例が確かに、例えば国鉄の民営化という問題一つ取ってもいまだに長期債務として残っているわけでございますが、この財投解体とあえて言わせていただきますけれども、財政投融資の民営化を進めていくときのその後の国民負担、ここをどういうふうに考えていくのか。増やしてはいけないと思いますけれども、どういう意味で、どういう形でその進めていくのかという、この財投解体後の国民負担について総理の御所見をお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 財政投融資制度は、やっぱり郵便貯金の金、簡保の金を使いながら必要なところに投資、融資していくんだということで、今後、今までの日本の経済状況を見れば、まだ民間企業の役割がそんなに大きくなかったとき、政府が主導して発揮しなきゃならないということを考えれば有効な面も多々あったと思います。しかし、それに慣れて、民間ができる分野まで果たして、国民が必要としているから、お金があるから、政府で民間ができる仕事までやっていいのかということではないというのが今回の行財政改革の一つの大きな骨子になっております。

現に、政府系金融機関一つ取ってみても、根強い反対があるのは承知しております。これは民間がやらないから政府でやっているんじゃないか、それが何で悪いんだろうかと。国民の必要なところを民間がやってくれればいいんだけれども、今の政府系金融機関は全部必要だという議論が根強いことも承知しております。

しかし、住宅金融公庫一つ取ってみても、私が住宅金融公庫、これは民間でできるんじゃないかと言ったときも強い反対がありました。しかし、いざやってみたらできちゃったんですね。民間なんかこんな商品なんかできるわけないと。民間の方が住宅金融公庫よりもいい商品を出し出している。ああ、これはもう、廃止はもう何にも問題ないなという状況になってきました。

これは、廃止しなかったら毎年毎年数千億円の税負担をして、民間がやらないからということで住宅ローン組んでいたんです。なぜ民間がやらないからと。それは住宅金融公庫、政府系の金融機関の方が有利だからです。だれだって国民は、民間よりも低い金利で貸してくれるんならそっち行きますよ。

しかし、それは何でそういうことができるのかと。それは採算取れなくてもいいと。これは民間できないことをやっている。国民の所得のそれほど高くない人に住宅ローンを提供しているんだからある程度赤字は当たり前じゃないかと、どこで負担のむのかと。結局、郵便貯金等の負担させるわけにいきませんから、国民全体の税金で負担していたわけです。これは特殊法人、結構あるわけでしょう。そういうことをいつまでも民間ができないから政府でやるんだと。

確かに、国民、融資を受ける人は助かりますよ。しかし、その採算を考えてだれが負担するのかというと、融資を受けていない人の、国民全体の税金を負担しないと住宅金融公庫はもたなかったわけですね。今それが廃止して、もう民間でやるようになった。過去の清算分はやっぱり税金で負担しなきゃできませんよ。これから政府系金融機関にしても民営化していけば、政府が保証した分はある程度国民が負担していかなきゃなりませんね。しかし、将来、長い目で見れば、そのような今まで成長はしなくても国民に必要だという分野に金を付けられたのが、民間になればやっぱり成長分野に投資しないと経済は活性しない。それを必死になって探すわけですから、収益を上げるために。それがまた税収に跳ね返ってくる、国民負担の方は少なくなる、これは財政健全化に役立つ。長い目で見れば、やはり民間にできるものは民間にやってもらった方がはるかに今後の経済活性化の面においてプラスになると、それがやっぱり行財政改革の本旨であります。

○西田実仁君 今種々、御趣旨はよく分かりましたけれども、併せて申し上げますと、あえてもう一つだけお聞きしますと、民間にできることは民間でということなんですが、当然できないこともあるので、それは残る分も当然あるわけでございますけれども、この統廃合、政府系金融機関はしていく際に、先ほど申し上げたのは、結果的に、統廃合を進めた結果として、国民の実質的な負担がかえって大きく増えてしまうようなことがもしあるような統廃合の仕方というのは、果たしてこの小さな政府を前提とした民間の経済の活性化という視点から見た場合にどうなんだろうかというようなちょっと疑問を感じておりまして、そこを最後、総理に御質問したいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今の議論はこれからも強いと思いますよ。民間がやらないことをやっているのに何が悪いと。それは私は、政策投資銀行等一つ取ってみても、果たして本当に民間じゃできないのかと、民間でもできる分野があるのではないかという、これ一つ取ってみても反対が強いですよ。だから、今後秋以降、今ある現存の政策金融機関は本当に全部必要なのかとよく検証して、統合ができるか、あるいは存続が必要か、廃止できるかと、よく見極めて、民間にできる部分はできるだけ民間にやってもらうというようなことが必要ではないか。

確かに、今まで民間よりも有利な条件でお金を貸してくれた、それがなくなるという立場に立った人はこれは新たな負担と感じるかもしれませんが、国民全体の、経済全体の活性化を考えれば、これも必要な政府の関与は残しておきながら、民間にできることは撤退していくという方向は取っていかなきゃならないではないかなと思っております。

○西田実仁君 ありがとうございました。

○大門実紀史君 総理、御出席今日はありがとうございます。今日は大変お元気なようでございますけれども、答弁は是非簡潔にお願いしたいというふうに思います。

私は、総理とは景気、経済の問題で議論させていただいてきましたけれども、去年の予算委員会で総理がおっしゃったことが大変印象に残っております。総理が、私が退任するころには二%程度の成長を達成させていきたいとおっしゃいました。私は、この二%に非常にいろいろ最近も意味があると思っておりますけれども、あのときなぜ二%とお答えになったのか、お分かりでしたら。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、日本の経済の潜在力というのは、二%程度の成長は可能な経済力を持っていると、日本は。この改革を進めていけば、二%程度というのは不可能な非現実的なものではないと。数年たてば、私の就任後、二〇〇六年度にはそこを目指した運営が必要ではないかなと。いつまでもゼロなりマイナスでいいとは思っておりません。やはり政治というのは一つの目標を持って、あるべき姿にどうやって持っていくかというのが政治としては大事でありますから、私はこの二%程度の名目成長率というのは不可能ではないと。楽な目標ではありませんが、現在の状況を見て、実質的にはもうプラスになっているわけでありますから、まだ名目では思うようないい方向には進んでおりませんが、今年、来年にかけてそのような方向に持っていきたいなということから、二%程度の目標というのは妥当なところではないかなと思っております。

○大門実紀史君 おっしゃるとおり、これは竹中大臣も言われていますけれども、潜在成長率、日本の潜在成長率が二%弱ですけれども、そういう根拠があっておっしゃったんだというふうに思います。

それで、今回の定率減税縮小、廃止を含めて、この潜在成長率というのは一つの負担増に対する物差しで議論がされてまいりました。二月の補正のときでしたけれども、自民党の若林先生、私が予算委員会で同じ議論したときに、竹中大臣が九七年の負担増というのはGDPの一・七%になったと、これは潜在成長率そのものをゼロにしてしまうような負担であったと、そういう負担は避けなければいけないと。その中で、今回の定率減税は〇・五になるから大丈夫だという話をされておりました。私は、この見方というのは一つの物差しだと思います。つまり、潜在成長率をゼロにしてしまうような負担というのは、さすがに経済の運営として避けなければいけないということは共通の認識だと思いますけれども、そういうことが政府の見識でありながら二〇〇七年からの消費税の二けた増税と言われています。仮に八%であれ一〇%であれ大差はなく、日本の潜在成長率をほぼゼロにしてしまうといいますか吸い上げてしまう、それぐらいの負担増になる話が消費税の二けた増税でございます。一方でそういう政府は見識を出しながら、片や二けた増税がもう当然かと言いませんけれども、相当当たり前かのように議論されていると。私は、その判断と議論の方向がちょっとかみ合ってないなというふうに思っております。

総理は、いずれにせよ、みんなが議論してくれと、自分の任期中はやらないと繰り返されておりますけれども、この景気と消費税の今申し上げたような数字を基にした関係は、総理自身はどういうふうにお考えなのか。景気への負担ですね、消費税の問題と、お聞かせいただければと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、消費税の引上げ、増税が必ずしも経済成長にマイナスという一面的にとらえているものではございません。それは、ヨーロッパの消費税見てみれば明らかであります。ヨーロッパはもう消費税は二けた以上、そして経済成長はゼロかマイナスかというと、そうじゃないですね。だから、消費税が増税されると経済成長はマイナスになるかと、そういうとらえ方はしておりません。これは税制全般の問題にもかかわってくる問題であり、歳出等考えていかなきゃならない。消費税だけをとらえて、これは経済成長にマイナスになるというんだったらば、ヨーロッパの一五%以上あるいは二〇%以上の消費税を導入している国は経済成長マイナスかというとそうじゃないんですから、これは歳出の面、税制の面、歳出、歳入の面で両方全般的に見なきゃいけないと。同時に、今の経済では国内だけの情勢では成り立ちません。外国の景気も大きく左右されます、貿易等。そういうことを考えて、私は、必ずしも消費税を上げれば即経済成長はマイナスになるとかという見方はしておりません。全般的にとらえなきゃならない問題だと考えております。

○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。  私は、これまで所得税法改正、公債特例法、二法案については質問してまいりましたが、今日までこの問題点はもう尽きましております。既にあらかた議論されましたので、今回は総理も御出席でございますので、お許しをいただいて沖縄問題を質問させていただきます。  まず、小泉総理はこのジュゴンの住む沖縄の名護市の、この辺野古の海をごらんになったこと、おありでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 辺野古の海は見たことございません。じかに見たことはございません。

○糸数慶子君 是非ごらんいただきたいと思います。

小泉総理は三月十七日の予算委員会で米軍普天間飛行場の返還問題について、米国の話を聞くと同時に日本の考え方を打ち出すべきだと外務省、防衛庁に強く指示したと答弁されていらっしゃいます。総理はまた、SACOの着実な進展は大切だが困難な問題もある、その一つが普天間で、日本側の考え方を率直に示し、よく協議すべきだと述べていらっしゃいます。

普天間の困難性の最大の問題は、辺野古での基地建設の困難性のことを示すと理解してよろしいでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、この在日米軍の負担軽減と日本の安全を確保している抑止力、両方をよく考えてこの米軍との交渉に当たらなきゃいけないと。そこで、沖縄に過重な米軍基地の負担をこのまま認めることはできない、何とかこの沖縄基地の負担を軽減していかなきゃならないという点については、日本としてやはりどういう選択肢があるかというものも常に日本政府内で考えていかなきゃならないと。と同時に、これは基地を負担していただく地元の意向もあると。現在の状況を考えますと、一たび表へ出ますと、沖縄の基地を負担軽減するのは、大体日本国民賛成なんです、総論としては。しかし、だけど自分の市町村には来てくれるなというところが多いわけです。自分の都道府県には来てくれるなと。それでありますと、いつまでたっても沖縄基地の負担は軽減はできない。だから、そういう点も含めて、沖縄の基地の負担の軽減を日本全体としてとらえるべきだと。

まず、日本の案、日本政府全体の案、こういうものを持って米国と交渉していかないと、現実的な基地の負担の軽減もなかなか難しいということから申し上げているんで、今回、辺野古の問題も、当時合意された状況から考えますと、いまだに建設が進んでおりません。地元の協議を進めようとなると、過去、選挙がありましたけれども、そういう点についても賛否両論分かれている。いざ工事を進めようとなると、また根強い反対論が起こるということから、この問題なかなか解決付かないなということから、率直に今の全体の状況をにらんで、政府部内はもとより、日本全国のそういう基地の遅れで可能性のあるところも含めてよく考える必要があるのではないかと。別に辺野古だけを意識した問題ではございません。

問題は、このまま放置していくと、辺野古も進まない、ほかの移転先も進まない、そういう状況は避けたいと。何らかの進展が見られるような対策を日本政府内、地元等と始めなきゃならないということでそのようなお話をしたわけでございます。

○糸数慶子君 今総理もいみじくもおっしゃられたわけですが、沖縄は戦後ずっと米軍の基地のその負担をしております。昨年八月の十三日に普天間基地所属の米軍大型ヘリが隣接する沖縄国際大学の構内に墜落し、住民を恐怖に陥れました。九月十二日には、ヘリ墜落に抗議して三万人の宜野湾市民、沖縄県民が決起集会を開き、普天間飛行場の即時返還を決議いたしました。今、沖縄県民の八割以上が普天間飛行場の返還を求めております。辺野古沖の海上建設に反対しております。

総理は極めて現実的な対応をされる方で、無理なものは無理と明確に発言していらっしゃるというふうに思っております。辺野古の基地建設を、どう考えても無理であり、普天間飛行場は早期に返還させ、そしてSACOを根本から見直していく、これが沖縄県民の意思に即したより現実的な対応であります。小泉総理、どうお考えでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そのような声があると、今糸数議員が御指摘されたような声を十分認識しております。だからこそ難しい問題であると、この問題、今の解決策しかないんだという前提から、どういう選択肢があるかということも考えていいのではないかということを申し上げているのであって、これは今交渉中の問題でありますから、その交渉中の問題をああでもない、こうでもないということを表に出して本当に沖縄の基地の負担の軽減ができるのかという現実的な問題はございます。

そういう点につきましては、やっぱり表に出すべきでない交渉の過程においては問題もありますので、その点は御理解をいただきたいと思っております。

○委員長(浅尾慶一郎君) 糸数君、時間が参っておりますので、簡潔に。

○糸数慶子君 はい。

普天間のその飛行場の代替施設をこの名護市の辺野古沖という、まあSACO合意の中にもございましたけれども、実際には米国に参りまして私が訴えたところ、多くのシンクタンクの方も政府要人も、やはりこの見直し案についての示唆もございました。2プラス2でもそのように言われておりますし、まず最後に総理にお願いしたいことは、是非ともあのジュゴンの住む沖縄のきれいな海、一度ごらんいただきまして、世界的にも本当に生息の数が限られております、そのジュゴンの生息も併せて地元の県民の思いも受け止めていただいて、この普天間基地の辺野古移設を是非とも県民の願いを受け入れて断念していただくように強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

ありがとうございました。

○委員長(浅尾慶一郎君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。

小泉総理には御退席いただきまして結構でございます。

引き続き質疑を行います。

質疑のある方は順次御発言願います。

○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いをいたします。

まず、いわゆる特例公債法に関連しましてお伺いをしたいと思います。

この問題、特に国債発行について、国民の皆さんも分かりやすくて、先ほど私たちの若林委員の方からも御質問がございました小泉内閣における国債発行三十兆円枠についてなんですけれども、実は小泉内閣となりまして、当初予算を編成するようになってから一度も国債発行三十兆円枠というのは実現しておりません。確かに、この十七年度も、対十三年度ぶり、四年ぶりに国債発行額を減額したとはいいましても、まだそれでも三十四兆三千九百億円というふうになっております。

小泉総理の任期を考えますと、先ほど御本人の方からもお話がございましたように、再来年の予算編成がラストチャンスになってしまうんですけれども、先ほどの答弁では何か、何としても三十兆円枠実現するんだというちょっと迫力のあるお答えがなかったように思うんですが、財務大臣としてこの問題についてどのような御所見があるのか、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 国債発行三十兆枠というのは、平成十四年度予算、このときは税収が五十兆程度だったわけですが、歳出規模が八十兆を超えると見込まれる中で、今委員はそれが実現しなかったとおっしゃいましたけれども、平成十四年度の当初予算では財政規律を確保するためにそういう目標としてそうしたわけですね。それで、平成十七年度予算ではその税収が四十四兆程度と見込まれるわけですから、引き続きその財政規律節度を確保するという、その八十兆のとき五十兆と、八十兆、五十兆というときも財政の規律節度を確保するというのは基本精神だったわけですから、それは受け継いで一般歳出を三年ぶりに前年度以下に抑制したし、四年ぶりに国債発行額を減額するというような財政規律堅持の姿勢を明確にしたわけです。

そうすると、これから先どうするかというのが広田委員の御質問だと思いますが、まだ平成十七年度、予算執行もしておりませんし、やはりきちっとこういうものは、大体、税の、税収の見通しがどうなるかというようなことがある程度分かる状況になりましたときに、やっぱり私はチャレンジすべきものだと思うんです。そのときに、あらかじめ、できもしないことを言っても仕方がありませんが、やっぱりタイミングをとらえてチャレンジすると。まだ平成十七年度執行もしておりませんので、ちょっとそこまで大言壮語するのは時期尚早でございますから、私は、その時期が来たら、やはりその財政構造を改革するために積極的に平成十八年度もチャレンジすべきものだと思っております。

○広田一君 実は、小泉総理はもう大言壮語しているわけなんですよね。例えば、平成十三年五月十四日の予算委員会で、岡田克也委員の質問に対しまして小泉総理は、国債三十兆円枠について、私は、できたら三年に限らず、もっと継続して三十兆円以下に抑えていかないと大変なことになり、財政再建の道に進んでいかないというふうに明言をいたしております。

確かに今、谷垣大臣がおっしゃいましたように、例えば税収の見込みであるとか経済成長であるとか、そういったことを見通して今後のあるべき予算というものを考えて取り組んでいくということであれば、私も理解し、納得できるところがあるわけです。しかし、総理、もうちょっと帰っちゃったんで聞けないのが残念なんですけど、実はもうさにあらずでございまして、同じ委員会の中で小泉総理はまたこのように言っているんですよね。政治というのは大方針を提示することが大事なんだと、中身はみんなで考えていくんだというふうにおっしゃって、その意味で大臣が、谷垣大臣がおっしゃるように、税収とかそういうことじゃなしに、まずは枠決めて政治の方針としてやっていかなければいけない、これを、これは少なくとも三年以上継続しないと大変なことになるというふうにおっしゃっているわけなんです。  こういうことを考えたときに、私は非常に、この三十兆円枠というのは本当に小泉総理がただ単に思い付きで言った発言で私はないと信じたいわけです。つまり、一国の総理が言う以上、確たる基本的な方向性、見通しを持ってあのような発言をされたんだろうし、そしてされるべきだったろうというふうに考えます。

そう考えたときに、やはりきちっとした見通しのないまま、もしこのような発言をされているんだったら大変な問題だと思うし、こういうことについてやっぱり財務大臣としてどのように考えるのか、これは小泉総理の単なる個人的な発言なのか、やはり内閣として、また財政を預かる最高責任者としていかなる決意でもって取り組んでいくのか、いま一度お答え願いたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど、やはりある程度税収の見込みが立ったところで、よし今年はここまで、来年度はここまで突っ込んでいこうというようなことでチャレンジすべきものだと申し上げましたけれども、確かに今広田委員がおっしゃいますように、一年ごとにチャレンジすべきことはチャレンジすべきだとしても、やはり先の見通しもある程度示しませんと船がどっちに進んでいるのか分からないと、こういうことにやっぱりなるんだろうと思います。

そういう意味では、私どもは、二〇一〇年代の初頭に国、地方を通じてプライマリーバランスを回復していくんだという目標の下に今、船を進めているわけでありまして、先ほどのその三十兆という枠と、三十兆円枠ということがよく議論に出るわけでございますけれども、これは先ほども申し上げましたように八十兆、一般会計の規模が八十兆、税収が大体五十兆というときのやはり財政規律をきちっとしようという精神から出たものだと思いますから、私どもはその精神は大事にしなきゃいかぬと、精神はやはり基本にあると思っておりますけれども、私どもが船を進めていく方向はそのプライマリーバランスを二〇一〇年代初頭に回復していくことだと、こういうふうに考えて今仕事をしております。

○広田一君 おっしゃるとおり、これまでの過去を振り返って三十兆円枠というふうな御発言をされたんじゃないかということだと思うんですけれども、しかしながら、総理自身が先を見通してこれから三年以上三十兆円枠を続けなければいけないというふうなことをおっしゃったのは、ちょっと大臣が示された認識とは、当時発言されたときはかなり違っていたんじゃないかなというふうに思うわけです。

そうした中で、先ほど来プライマリーバランスというふうな言葉を繰り返されているんで、要は、これからのいろんな意味での財政規律の非常に大方針としては、もうその三十兆円枠というものの実現性を図っていくより、もうプライマリーバランスということで取り組むということの理解でよろしいんでしょうか。つまり、三十兆円枠については、もう内閣としては放棄をしたというような理解でよろしいんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 放棄をしたというわけではなくて、先ほど申し上げたような財政規律をきちっとしていくという精神はやはり基本に、腹の中に据えてやっていこうということじゃないかと思います。

○広田一君 そうしたら、精神としては持ちながらも、じゃ、実現性という点ではいかがなんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今年はまだ三十兆、今年発行予定は、十七年度発行予定は三十兆に若干距離がございますので、今、じゃ、来年、おまえ、三十兆の枠内に国債を抑え込むかと言われても、今ちょっと、そうかと、そうだというふうにまだ、その点はもう少し税収の見通し等を見てから判断させていただきたいと思っております。

○広田一君 分かりました。

それでは、次の質問に移らさせていただきたいと思います。

定率減税の縮減についてお伺いをしたいと思います。

政府は、この定率減税の縮減をする理由の一つといたしまして、日本経済著しく好転をしているということを挙げられているわけなんですけれども、しかしながら、その定率減税縮減、導入当時の家計部門ですね、この家計部門が、果たして今の現状を考えたときに、定率減税導入時期と比較をして著しく好転しているというふうに私は言えないのではないかなというふうに考えます。

例えば実質の現金給与総額、これ、〇四年と定率減税を検討されました九八年とを比較いたしましても一五%減少をいたしておりますし、勤労世帯の可処分所得も一四・八%の減少をしております。そういった意味からも、定率減税導入の時期と比較して家計部門が著しく好転しているというふうには言えないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○副大臣(上田勇君) 今御質問にありましたけれども、今の日本の経済の現状、企業の収益はずっと改善をしてきた、なかなかそれが家計部門に及んでこなかったというのがこれまでの課題、今もその課題があるわけでありますけれども。

ただ、平成十一年の当時と比べてみますと、この家計部門についてもやはり幾つかの点で大きく改善しているんではないかというふうに認識をいたしております。それは、やはり企業の雇用の過剰感、平成十一年当時は、が非常に強くて、有効求人倍率も減少しておりました。完全失業率も上昇しておりました。そういった雇用情勢が非常に厳しい状況が続いておったわけであります。それに伴いまして所得も減少しておりましたし、また大手金融機関の破綻等を背景にそういった金融不安もございまして、家計が非常に不安感が高まっていた、消費も低調な動きを示していたというのが十一年当時の状況だったというふうに思っております。

現在の状況について見ますと、まず一番大きなのが有効求人倍率、これが上昇しておりまして、失業率、まだ大きく数字が改善したというところではありませんけれども、改善の傾向にあるわけでありますし、また十月―十二月期について見ますと雇用者報酬もプラスに転じているということであります。消費者マインドも改善が続いているというふうに考えられますので、今後消費改善につながるというふうに期待される動きが見られているというふうに考えております。

そうしたことを考えますと、やはり今後についても、企業部門が引き続き堅調に推移する中で、景気回復が雇用・所得環境の改善を通じて家計部門に波及する動きが堅調に推移して、消費も着実に増加していくんではないかというふうに見込んでおりまして、そうした点はこの定率減税を導入した十一年当時と現在とは随分、改善している点ではないかというふうに思っております。

○広田一君 御答弁にあった、そこの改善されるような雇用等の状況等よりも、むしろ本当に一般国民の皆さんの実感としては、自分たちの年収がどうなったであるとか可処分所得がどうなったということが最も一番身近に感じられる問題であると思います。そういった意味で、十一年当時と、導入時期と比べましても、私はもう家計部門の回復、著しく好転しているというふうには断じて言うことはできないというふうに考えます。  そうした中で、少し後半部分で現状の家計等についてのお話もあったんですけれども、二月の日本銀行の政策委員会・金融政策決定会合のちょっと議事録を読まさせてもらいますと、先行きの個人消費につきましては、雇用者所得が穏やかに増加に向かう可能性が高いと見られる下で、これまた穏やかに回復していくというふうに予想されるというふうに会合では述べられています。

しかしながら、現状は、一人当たり平均で見た賃金はなお減少傾向が続き、実質GDPベースの個人消費は十月から十二月、前月比がマイナス〇・三%と、七から九月期に続きマイナスの伸びとなっているというふうな見方を示されておるわけでございます。そうした中で、やはり回復、良くなっていくんだ、良くなっていくんだという状況よりは、私はむしろ予断を許さない状況であるというふうに見るのが自然ではないかなというふうに思いますが、この辺に対する御見解をお伺いしたいと思います。

○副大臣(上田勇君) 確かに現在、ちょっと足下、踊り場というようなことも言われておりますし、特に昨年の消費支出で見てみますと、昨年の七月―九月期あるいは十月―十二月期など若干のマイナスになっているというのは今御指摘のあったところだというふうに思っております。

ただ、十七年の一月の消費関連指数を見てみますと、かなり強く出ているものが多く見受けられますし、現在の企業の経営内容等、収益の改善などを考えますと、これが雇用の改善、そして先ほども申し上げましたけれども、それが雇用者報酬の方の改善につながって経営マインドなども随分改善をしている中で、消費も急激に改善をしていくというような状況かどうかというのはこれからまだ見極めなければいけないところがありますが、堅調に推移をしていくんではないかというふうに認識しています。

○広田一君 そうした中で、民間のシンクタンクなんかもよく指摘しているんですが、こういった定率減税による税負担の軽減といったものが、先ほど副大臣がおっしゃられるとおり、家計の消費マインドとか消費支出を下支えをしているんだという指摘があるわけでございます。  つまり、今の定率減税の継続といったものが、今、これまで副大臣がおっしゃっているような、消費マインドなり消費支出といったものの堅調化にも寄与しているというふうな指摘についてはどのようにお考えでしょうか。

○副大臣(上田勇君) 確かに、税金、減税が行われれば、その分可処分所得がありますので、当然消費にプラスの材料が働く。だからこそ、定率減税というのが景気対策として導入されたことではないかというふうには思います。

ただ、やはりここで重要なことというのは、この負担増というか、定率減税による負担増の部分だけを取って、そこだけを取って考えるんではなくて、やはり負担とあるいは給付も含めたそういった総合的なことを考えなければいけないんではないかというふうに思います。

例えば定率減税についても、定率減税の縮減を半分にすることをお願いしているわけでありますけれども、あわせて、じゃ一方では、給付についていえば、社会保障の給付の総額というのはトータルでいえば年々増えているわけでありますし、また、この定率減税の縮減について必要な政策に充てる、例えば基礎年金の国庫負担率の上昇に充てているわけでありますので、これは、それがなければそういう社会保険料というか、保険料という形での負担をお願いするというようなことも考えられるわけでありますし、また年金制度の安定に対する将来の安心感といったこともそうしたことを通じて得られるのではないかというふうに思いますので、そういったことを含めて考えていかなければいけないことだというふうに思っておりますし、また定率減税の縮減についても、いろんなそういった御指摘も考えて、全部一遍にやめるというようなことではなくて、半分を取りあえず縮減するということでありますし、実施時期につきましても十八年の一月からということで、十七年度においては一千七百億円程度の負担増というようなことにとどめるなど、そうした経済情勢についても十分考慮した上で、今の経済情勢を考えれば、十分それは景気の回復にそれを維持できるというふうに判断をして、今回こういう提案をお願いさせていただいているところであります。

○広田一君 そういった見方の一方で、その上に、少し触れられたと思うんですが、その目的の是非はともかくといたしまして、今後、年金保険料の負担増や雇用保険料の引上げ、さらに配偶者特別控除の一部廃止など負担増が続く中で、年間個人消費を、日本総研の試算ですと一・三兆円押し下げるというふうに言われております定率減税の縮減、このいわゆる増税のインパクトというのはまさしく総合的に考えても小さくないというふうに言わざるを得ないというふうに思うんですが、こういった見方についてはいかがでしょうか。

○副大臣(上田勇君) 先ほども申し上げたんですが、当然それは税の負担が増えれば、それが経済に与える影響というのは、これはもうマイナスの影響なんだということはもう間違いがないというふうに思いますけれども、ただ、今委員もお触れになった、例えば配偶者特別控除の廃止といったことがございます。

しかし、これは同時に、併せて、例えば児童手当の支給開始年齢の引上げなど、そうした少子化対策に実施をされるわけでありますので、これは給付の面でいえばプラスというふうに働くわけであります。また、定率減税の縮減についても基礎年金の財源に充てるというようなこともあります。また、社会保険料の上昇を抑制するということもありますし、さらにこれを行わないで、そこの部分を例えば赤字公債で充てるということになれば、これはさらに財政の悪化を招くというような、これもマイナスのことがありますので、そうしたことをやはり総合的に勘案していかなければいけないことだろうというふうに思っております。

そうした中で、今回御提案をさせていただいている定率減税の廃止であれば、今の経済情勢の中で十分景気に腰折れさせることなく実施をできるのではないか。そして、併せて財政構造の改善といったことについても貢献、寄与できることじゃないかというふうに判断をして御提案させていただいております。

○広田一君 先ほど来、もちろん増税になるので家計に与える負担も増えるだろうけれども、それは様々な施策等で十分フォローできて、結果としては経済にはそれほどの悪影響は及ぼさないというような御認識だと思うんですけれども、特にこういった定率減税の縮減の家計に与える影響の中で、子育て世代、中堅所得層の負担増というものが、そうした色彩が濃いんじゃないかというふうな指摘がございます。

この層は私たちの世代にもなるんですけれども、世帯数とか人数、こういった割には教育とか、これから家を建てる、住宅といったようにライフサイクルの面からも消費のシェアが大きいわけです。つまり、そういった意味でもマクロ経済、消費への寄与が大きいというふうに言われておりますけれども、今回の定率減税の縮減でやはりこの層が一番影響を受けてしまう、このことが景気の足を引っ張るんじゃないかということが強く懸念されるわけなんですけれども、こういった中間所得層に対する負担増の懸念についてどのようにお考えでしょうか。

○副大臣(上田勇君) 様々な分析があるんではないかというふうに思いますけれども、確かに、いわゆる定率減税を行ったときに、一番そういう意味では、利益というかベネフィットがあったのが中堅の所得階層のところでありますので、当然これを縮減する際には現状から見ると一番負担が掛かるところであるということはそのとおりだというふうに思います。

ただ、一つにはそういったことも勘案した上で、今回は定率減税のうち半分についてその縮減をお願いをするということで、十七年度ではその影響が一千七百億円程度というふうにとどめておりますし、またそのほか、今の家計部門についても雇用情勢などが改善している中でそういったマイナスの影響というのも吸収できるんではないかということで、今回のこういう御提案をさせていただいているわけでありますが、そういったことと同時に、やはりこうした税制の負担増をお願いをしないとその分がやはり将来の財政赤字の拡大に、更なる拡大につながるわけでありまして、そうした点は委員も先ほどから将来の世代にやはり負担を残すべきではないというような御主張だというふうに理解をいたしておりますので、そういったことも含めて、今の経済情勢も併せて今回こういう提案をさせていただいております。

今の経済情勢、景気の先行きの動向を考えるときに、十八年一月からのこの所得税の負担増というのは十分今の景気の堅調さから吸収できるものではないかというふうに判断をいたしております。

○広田一君 先ほど財政再建にも寄与するんだというお話があったんですけれども、この点についてなんですが、今の減税の財源不足はどうやって賄っているかというふうにいいますと、それはほとんどが国債なんかの借金で補っているということだと思います。その意味で、定率減税を縮減しまして例えばその分国債などの発行が減れば、確かにおっしゃるとおり財政再建に役立つというふうに言えるというふうに思いますけれども、先ほども副大臣も御答弁になったように、それを、その是非はともかくとして、二・七兆円ですかね、というふうに言われております基礎年金の国庫負担引上げの分に充てるということになると、ちょっと趣旨がかなり、財政再建というふうに寄与するとは違ってくるんではないかなと。

また、当初の定率減税縮減の目的は景気対策というふうなこともおっしゃられました。そういう意味からも、この縮減した部分を年金の方に回すというところの合理性についてもなかなか説明が付きづらいんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 平成十七年度の定率減税の見直し、初年度増収額が千八百五十億と見ているわけですが、交付税率相当分は、当然それは地方交付税、五百九十二億行くわけですね。それから、特別障害者給付金支給法で必要となる百一億、医療観察法による必要となる額五十六億を除いた千百一億円を基礎年金の国庫負担に充てるということでありますが、確かにそれが全部財政再建の方に回っていって国債の発行が縮減できるというのはある意味では極めて望ましいことではありますけれども、他方、基礎年金の国庫負担割合の引上げに関しては、もう既に年金法改正のときに所要の税制上の措置を講じて基礎年金に二分の一入れるような方向に持っていけと法律でそういうふうに決めてあるわけでございますので、これやっぱり、仮に基礎年金を二分の一に、基礎年金の国庫負担分を二分の一に持っていくんでも安定した財源がないから国債で頼ろうというようなことじゃ、もうこれは全体ますます真っ赤になってしまうわけでございますので、そういう意味では歳入と歳出のギャップを、こういう年金の安定性を維持する、維持しながら歳入と歳出のギャップを拡大させないと、そういう意味合いは私は十分あるんではないかと思っております。

○広田一君 自分たちは、年金の基礎的部分については、これはやはり今の国民の皆さんの年金制度に対する不信というものを考えたらやっぱり徹底した歳出削減によって賄っていくべきではないかと、そういうふうな修正等も考えているわけでございますけれども、これまでずっと議論をしてきたんですが、やはり所得税の定率減税の縮減については、まずこれはもう時期尚早であると。仮にもし家計に負担を求めるとするんだったら、やはり少なくともやっぱり明確な所得の裏付けといったものが必要でないかなというふうに思うわけです。

本当にもう今景気が一進一退というものを続けている中で、このことによって、またほかの国民負担増によって景気に冷や水を浴びせてしまうと、このことによって景気が減速して税収が下がってしまえば結果として財政再建にマイナスに働くんじゃないかと、こういったことを強く懸念をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

どうもありがとうございました。

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○委員長(浅尾慶一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に政府参考人として内閣官房内閣審議官中城吉郎君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

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○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。

もう今日は朝から谷垣大臣におかれてはずっと御答弁していただいておりましてお疲れのことと思いますが、九十分間時間をいただきましたのでお付き合いをいただきたいと思います。

本予算は本会議でももう通ってしまったわけでございますが、去年の通常国会、年金絡みで厚生労働省や社会保険庁の予算について随分いろいろ議論になりました。本席におきましても、私のみならず複数の委員から、年金事業の事務費の取扱いについて平成九年から続いているこの特例措置を、やはり去年のような大混乱があったわけですから、平成十七年度の予算においては特例措置をやめるべきではないかということを申し上げ、大臣も、よく考えてみますという御趣旨の御答弁をいただいたと思っております。  やはり国民の皆さんの年金不信、社会保険庁不信を考えると、ここはまさしく政治家として大臣として、英断というよりも当然の判断として特例措置の見直しをされるべきではなかったかなというふうに思っておりますが、残念ながら継続ということで予算も通ってしまいました。  そこで、谷垣大臣にお伺いをしたいんですが、どのようなお考えでこの特例措置の継続をお認めになられたのか、財務大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 昨年の国会でも随分この問題は御議論をいただきましたし、厳しい御批判もあって、もっともっとメスを入れなきゃならないところがあるというのが大方の方々の去年の議論の結論だったのではないかと思います。

それで、この年金の事務費の問題に関しましては、今委員が言われましたように、本則は一般会計から年金事務費を出すということ、法律の建前はそうでございますが、いわゆる財政構造改革法で五年間、国の財政の現状にかんがみて特例措置で年金の費用の中からそれを埋めていくことを認めるということになっていたわけで、それを今度は単年度ごとに引き続きながらやってきているということでございます。

で、私としては、平成十七年度予算をつくるに当たりまして厚生労働大臣ともいろいろ議論をしたわけでございますが、国会でいろんな御議論がありましたから、やはりどういう基準でやっていくかということについては国会の議論を踏まえて見直しがなければならないのは当然であるけれども、しかし、財政の厳しい中でやはりその財政構造改革法を全部乗り越えてしまうような状況にはいまだなっていないと、こういうことで、引き続き年金給付、年金の事務費に対して保険料で負担すべきことをお願いしたわけでありますが、ただ、従来から国庫負担としている人件費等については当然またこれは国庫負担で継続すると。それから、給付、適用徴収事務やシステム関係経費といった年金保険事業運営に直接かかわる経費については、これは引き続き保険料で負担していただくと。ただ、庁舎とか宿舎管理費、職員の厚生経費といったその他の、あるいはそのほかの内部管理事務に関する経費については、今まで保険料で負担していたけれども、十七年度予算では国庫で負担するということで、負担の区分というのを明確にしてまた今年もお願いをしようと、こういうことにしたわけでございます。

○大塚耕平君 この問題、別に片付いたわけでもございませんので、来年の予算編成の折には、引き続き同じような希望ないしは意見を持っておりますので、御検討を継続していっていただきたいなというふうに思っております。

また、去年、ああいうことがありましたので、これまた本席で平成十七年の厚生労働省の予算は相当厳しく査定をしてくださいねということもお願いを申し上げました。場合によって人手が足りなければ査定作業に下働きとして使っていただいてもいいということも申し上げました。残念ながら呼んでいただけませんでしたけれども。

事務方の皆さんとは、どのぐらいきっちり査定をしていただいたかということについてお話も伺いました。少ない人数でよくやっておられるとは思いますが、ただ、でき上がった予算を見てみますと、厚生労働省の予算増えていたり、社会保険庁の庁費も各目明細の項目によっては増えているものもあったり、よく分からないですね。

それで、事務方の皆さんともお話をさせていただきましたけれども、やはり、まず合理化、あるいは去年のああいういきさつを受けて厳しくカットしたものが例えば何割あって、しかし自然増でどのぐらいプラスになって、さらには政策的な配慮で増やしたものがこのぐらいあるとか、もう少しそのでき上がった予算の内訳について何がしかの数字を確認できるような仕組みが実務上確立されていないと、なかなか本当にちゃんと査定していただいたかどうかよく分からないなということで、そういう御提案を、ないしは私なりの意見を実務レベルでは申し上げているんですけれども、この辺について大臣の御感想なり御意見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 去年の国会でいろいろ御指摘を受けて、無駄を削ろうということで相当主計官には厳しく見直しをやってもらったところでございます。事務局の借料とか公用車の更新費用とか職員の研修費とか、あるいは宿舎関係、あるいは通知書、納付書の合理化というようなことをかなり踏み込んでやったところでございますが、全体でごらんいただきますと、年金事務費の計は〇・四%増えたという数字になっております。

これは、平成十七年度の年金制度改正に伴うシステム開発とか、レガシーシステムの見直しというようなこと、その一環として社会保険庁の端末をオープン化するというようなことで、やむを得ない経費の増があったということでありまして、こういうものを除きますと、年金事務費、それから保険システム経費を除きますと、保険事業運営に直接かかわる経費、それから内部管理事務経費については対前年度九・八%の縮減となっているわけでございます。

今委員がおっしゃいました、なかなか予算書を見てもそこのところはすぐにはぴんとこないという点につきましては、これ、私どもも予算書の、ちょっとこの今のテーマとすぐには結び付きませんけれども、予算書の表現というものをどうしていくかというようなことについて今検討しておりまして、できるだけ見たときに政策とその現実の予算というもののかかわりが分かるような予算書を今内部で検討しているところでございます。

○大塚耕平君 今日は朝から財政再建に絡む話も随分出ております。やはり査定のところでしっかりやっていただかないと、そのマクロの議論、例えば国債発行を幾らにするとか、そういう大きな話をしていても全然地に足の着いた展開になりませんので、是非実務のところできっちり工夫もしていただきたいなと思います。

私なりに、またいろいろ主計局の御担当の皆さんには提案をさせていただきますので、現実的な提案については、取り上げていただけるように大臣から御指示いただけるということでよろしいでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) できるだけ柔軟に、必要なものは取り入れていくということで臨みたいと思います。

○大塚耕平君 そんなに非現実的な提案はしないつもりですので、今大臣から御了解をいただいたものと思って、また主計局の皆さんとお話をさせていただきたいと思います。

また、主計局の皆さんが幾ら頑張っても歳出官庁の方が、予算を付けてもらった方がもらったものは全部使ってしまえという長年のあしき文化を維持している限りはなかなか、余ったお金で空出張するとか、余ったお金で必要ないものを購入してみるとか、こういうこともなくならないと思いますので、今日は人事院とかおいでいただいていませんけれども、やはり歳出官庁側の人事評価といいますか人事考課において、予算を効率的に使った結果余ったということが何かプラスになるような仕組みをつくっていかないと、なかなか本当に財政再建ということにはならないんだろうなというふうに思っております。

財務省として、そういう人事的なインセンティブを人事院なりあるいは政府全体に対して財政再建の観点から働き掛けていただきたいというふうに私は思っておりますけれども、その点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) どういう人事をしていくかというのは、それぞれ各省庁で基本的に判断をしていただかなきゃなりませんけれども、財務省として予算を組んでいく、特に現状におきましては、どんどんどんどん予算の規模を拡大せざるを得ないというものもございますけれども、全体そんなこと言っていたら予算がつくれないわけですから、しっかり仕事をした主計官はかなり切り込んだというようなことがあって、それがやはり評価につながっていくというのは我が役所においてはあるのではないかと考えておりますが、一般的に、やはりそれぞれの役所でどういう予算の執行上、これは当然厳正にやっていただかなきゃなりませんし、そういう観点は、それぞれの役所で考えていただくべきことではないかと思っております。

〔委員長退席、理事平野達男君着席〕

○大塚耕平君 いや、その辺がもう一歩踏み込んでほしいんですね。

僕は本当に、小泉総理ひょっとするとそう長くないんじゃないかなと思っていますので、再三申し上げていますように、次は谷垣大臣、その次は伊藤大臣、有力候補だと思っていますので、今のようなところは、財務大臣としてやはり指導力発揮していただきたいですね。

それは各役所で工夫するなんということではなくて、財政再建の観点から、例えば歳出官庁の事務官のお一人お一人の人事考課のみならず、例えば、厚生労働省が全体として非常に効率的に使ったことによってどのぐらい余ったら翌年の概算要求時にげたを履かせるとか、省としてもトータルのインセンティブを付けるような工夫を提案されるなり指示されるというのは、これは財務大臣として重要な仕事だと思いますので、もう一回お伺いしますが、各省庁で工夫などとおっしゃらずに、財務大臣として来年度の予算編成に向けて何か御指示なり御工夫をされるお考えがあるかどうかをお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 大塚委員がおっしゃるように、直ちに、すぐにストレートに人事に結び付くかどうかは別といたしまして、今やはり効率的な予算編成ということに私どもも取り組んでおりまして、そのためにいわゆるモデル事業というものを考えたり、あるいはよく言われるマネジメントでございますが、プラン・ドゥー・シー・チェックというようなこともやっている、あるいは主計官に現場に行ってもらって執行調査というようなものも今までに比べると充実してきたと、そういうようなことが当然ながら予算編成、次年度の予算編成には生かされなければいけないわけでございますから、私は、今委員のおっしゃったようなものは、考え方というのは、こういったものを活用していけば当然浸透していくということではないかと思っております。

○大塚耕平君 いずれにいたしましても、本当に財政再建、喫緊の課題であります。私なりの職業経験から申し上げても、金利の上昇とかハイパーインフレというのは地震と一緒ですので、明日起きても不思議ではないですし、ひょっとしたら十年後かもしれない、もうそういう状況であることは間違いありませんので、是非強力な、財務大臣としての指導力を御発揮いただきたいということをもう一回お願いを申し上げて、ちょっと次の質問に移らしていただきます。  これは通告してないんですが、一応確認だけさしていただきたいんですが、今日も定率減税の話、先ほど来も出ておりましたけれども、定率減税がそもそも始まった理由というのはどういうことだったでしょうか。私なりに理解していることもあるんですけれども、改めてちょっと大臣に確認をしておきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 当時、どういう経過で定率減税が導入されたか、いろんな、政治でございますから、いろんな方がいろんなところで議論をされていろんな形で決まってきましたのを、私全部詳細に把握しているというつもりはございませんけれども、やっぱりあの当時の経済状態、全体に縮小の方向に向かっていって、一つの悪い結果が次々とほかのものも冷え込ましていくと。それで、その背景に、やはり金融秩序等に予想以上の不安というか弱い部分があって、そういったものが全体の経済構造を揺すぶっていた状況と。それに対応して、何らかの手を打たなければならないと、当時いろんなことをやったわけでございますが、その一環として、何というんでしょうか、サラリーマン層の可処分所得を少しでも増やすということを考えようということでなかったのかと思っております。

○大塚耕平君 予定どおりであれば、今日この委員会の後に採決が行われて、この議論も、まあ議論自体は何回でもできますけれども、仕組みとしては国会で通ってしまうというそういう局面ですので、改めて確認をしておきたいんですが。

私なりの記憶ないしは、今回さかのぼって調べてみたところでは、平成九年、八年から九年ぐらいにかけて、大変、増税も含めて国民負担増になりまして、たしか九兆円ぐらいの負担増になったと。それが景気腰折れの原因になりまして、今大臣がおっしゃったような他の要因もあって急遽定率減税という発想になっていったわけでありまして、これはよく考えてみたら大増税、国民負担増を急遽相殺するように政策を打ったわけですから減税じゃないんですよね、本当はスタートが。増税の取りやめ、増税の中和だったんですよね。これを定率減税というふうに言うところが間違っているし、財務省が賢いなと思うところなんですけれども。

いや、でもこういうミスリードな議論をして、結局こうやって七、八年たってみると、そうかと、長い間減税しててくれたのを二分の一にするのも仕方がないななんというふうにしたり顔でしゃべっているエコノミストとか、あるいは新聞の論説なんか見ても、この時期、減税の縮減は財政を考えたらやむを得ないとかという論調になっているんですけれども、よく考えたら、これは大負担増をタイミングを間違えてやろうとしたことを慌ててブレーキを踏んだ対応だったんですね。

だから、これは正確に言うと、定率減税の縮減ではなくて増税をやめることをまたやめるという、こういう表現がより適切ではないかというふうに私は思っているんですけれども、その点についての感想を一言お伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) これについてはいろんな見方があると思いますが、今大塚委員がおっしゃった、いわゆる九兆円の大増税を中和させるためのものであったという点については、私は若干異なる見解を持っておりまして、消費税等を確かに高くして増税をして、そのために、まあ入れる前は当然その駆け込み需要等がありますから、それに対してだっと落ちてきて、その需要も低迷したという時期があったと思いますが、ようやくそういうものを吸収しつつあった時期にタイのバーツから出発した国際的な金融秩序の動揺というものがあって、それが日本の中にあった、必ずしも、皆ひそかに恐れていたといえば恐れていたわけですけれども、今まで顕在化していなかった金融不安に火を付けたという構造ではなかったかというふうに私は思っておりまして、直接あの当時の厳しい経済状況を当時の負担増が引き金を引いたというふうには考えておりません。

ただ、ここらは、その因果関係はなかなか難しゅうございますから、委員がおっしゃるように、さっき、金利等も明日上がるかもしれないし、十年上がるかもしれないと、常に予想していないものが起こるのは経済の現実だといえばそれまででございますけれども、私は、一応今言ったように整理をして、頭の中を整理しているわけでございます。

○大塚耕平君 ここはいろんな解釈があると思いますので、この程度に議論はとどめたいと思いますが、いずれにしましても、租税国家ですから、税制の在り方やあるいは税率を含めた税政策の作り方、運営の仕方一つで国は良くもなれば悪くもなるということだと思って日々自分なりに考えておりますので、是非誤りなき税制並びに税政策の運営をしていただきたいなということをお願いをさしていただきます。

その上で、もう随分この予算の議論はしておりますので、若干、昨今の、先般も予算委員会で集中審議が行われました問題に少し論点を移さしていただきたいんですが、ただ、これは財政と関係ない話では全然なくて、本当に企業社会が生産性が高くてプロフィッタビリティーの高いビジネスモデルになっていけば、当然利益も上がり、法人税収も上がり、財政再建にも寄与すると、こういう関係になっておりますので、実は何か、ライブドアの堀江さんとフジテレビの日枝さんが面白そうな戦いしているなということではなくて、これは日本の経済、財政にとっても非常に大きな問題だと思って、私もこの間の予算委員会の冒頭では中立的な立場で議論さしていただきたいというふうに申し上げたわけですが。

大臣、横におられて、小泉総理がいすに座ったままぼそっと言われたことを聞こえたと思いますけれども、私が今日も同じ配付資料を配らしていただきましたけれども、一体、日本の会社法制や企業社会をどういう位置付けにして言わば発展させていきたいのか、あるいは今後どうされたいのか、この日本と米国とEUの今こういう関係にある中で、どの辺に日本を持っていきたいんですかと聞きましたら、総理は座ったまま、任せるわと言ったんですね。

いや、もうこれは、私、それ聞いたときにもう本当に一刻も早く替わっていただきたいと思いました。こんなに残念なことはないです。まあ、この三年十か月、三年まだ八か月ぐらいですか、国会議員として仕事をさせていただきましたけれども、こんなに情けなくて、日本で国会議員をやっていることが恥ずかしいと思ったことはないですね。一国の総理ですからね。法務大臣がたまたまお詳しくないというのはこれは致し方ないとしても、総理ですからね、任せるわはないと思いましたけれども、ちょっと一言御感想をお伺いしたいんですが、いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今大塚委員がおっしゃいました、最近、会社法、商法の改正等も頻繁に行われておりますし、私、もう今では法律のことなんかすっかり忘れてしまいましたけれども、元々は弁護士でございますから、友人の弁護士等に聞きましても、毎年毎年のその商法の改正とその動向をフォローするだけで結構現役の弁護士の皆さんも苦労しておられるぐらい変化の激しいときでありますけれども、私は、こういう基本法制がしょっちゅう大議論が起こるというのは、正に時代の曲がり角なんだろうというふうに思っております。

昔は私も法務委員会にいたことがございますけれども、かなり暇な委員会と言うと法務委員会に、今の方にしかられますが、非常に忙しい時代になっているというのは、私は基本法制をいじらなきゃならない時代になっているからだというふうに思っておりまして、私、余り、商法をどう持っていくべきだというのは余り表立って言いにくい立場でございますけれども、やはり大塚委員がおっしゃいましたように、企業社会がどう健全に動いていくかということがなければ、私どもの財政再建であり得ないというのはそのとおりでございますから、十分議論を積み重ねて良い制度をつくっていただきたいし、私たちも税制や何かでそれにこたえなければならないということがあれば、当然耳を長くして鋭敏にそれに反応したいと思っております。

○大塚耕平君 是非また閣議で総理にお会いになったら諫言してください。ほかに言う人いませんからね、いや本当に。是非お願いします。郵政改革やっている場合じゃないですと。こっちの方が本当に重要です。何か先ほどは郵政改革が成功しなければ消費税は上げないという何か意味不明のことを言っておられましたけれども。やっぱりそんな、何といいますか、面白い牧歌的な発言を繰り返している、そういう局面じゃないですからね、今ね。理詰めでやるべきことから順番にやっていっていただきたいなと思いますので、是非総理に一言お伝えいただければと思います。本当に私は残念でしたので。

その上で、大臣にちょっとお伺いをしたいんですが、今回の会社法制の現代化というのは、日本の企業社会を弾力的に再編が進んでいくようにしたいということでやっておられるわけで、これ自身大変いいことだと思いますし、去年からずっと議論にも参加を、党内の議論にも参加をさせていただいているわけなんですけれども、もちろん法務省の方々からもいろいろ意見は伺っております。

そういう中で、たまたま今回一年先送りになりました株式交換による三角合併。これは仮に一年施行が延期という、そういう原案にならずに、この後、原案が通ったとして予定どおり施行されていたとしても、被買収側の、株を受け取った方、受け取った方の繰延べ措置が税制改正で行われないと、なかなか実際にはそういうスキームで三角合併が行われるということはないというふうに私も思っておったんですけれども、これは来年度の、平成十八年度の税制改正ではその部分は財務省としては御対応になるという、今はそういうお考えでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員おっしゃったように、企業の再編成を柔軟にやろうということで商法改正が行われて、私たちもそれに対応して一応、平成十三年度だったと思いますが、税制、これに関連する税制もいじりました。

しかし、委員がおっしゃいましたように、三角合併というようなものが進んでまいりますと、今の税制では三角合併の対応はできていないわけでございますから、当然、今は平成何年度にこの税制改正をやるのかというお話でございましたけれども、法務省から当然その案が、案といいますか要望が出てくると思いますので、それに対して私たちも真剣に議論をしてきちっとしたものをつくっていかなきゃならないと思っておりますが、ただ一つ、これはもう余りそういう具体的な案が出てくる前に、その税を所管する官庁から余り結論めいたことを言うつもりはもちろんないんですが、ただこの三角合併やっていたときの、このやりやすいようにした場合に、本当に何か抜け道みたいに使われない方法というのをどう考えていくのかという点が、相当議論を詰めてきちっとした制度にしなきゃいけないんではなかろうかなと。今の段階ではその程度のことまで考えているとしか申し上げられません。

○大塚耕平君 今抜け道とおっしゃったのは、もう少し具体的に、例えばどういうようなことを抜け道ということで表現をされたんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 余り具体的にはまだ言いにくいんですけれども、かなりこれやることによりまして、本当に企業再編を柔軟にやってやるというだけじゃなしに、言わば、まあ何というんでしょうか、租税回避行為みたいなものに使われる可能性があるのかないのかというようなことではないかと思います。

○大塚耕平君 おっしゃるとおりだと思いますので、是非なるべくきめ細かい御検討をしていただいて、しかし世界の潮流から取り残されることのないように御対応をしていただきたいと思います。

さて、そこで、この間予算委員会で議論させていただいた続きをちょっとさせていただきたいんですけれども、今日はまじめにお答えいただける皆さんばっかりだと思っておりますので、是非御協力をいただきたいと思うんですが。

これ結構、大手町かいわいの人たち、この問題のこの議論聞いているんですよね。聞いていらっしゃるんですよ、インターネットとか通じて。で、みんな当然関心ありますから、小泉さんみたいな答弁されると、もう日本のビジネスマンみんながっくりきちゃうんですよね。日本のビジネスマン全体がこう士気が上がるような、そういう御答弁なり御対応を是非お願いしたいと思います。

まず、法務省にお伺いしたいんですが、もう予算委員会を財政金融委員会の、何といいますか、前さばきのように使って恐縮だったんですけれども、私の考え方はもう予算委員会で全部述べておりますので、それを踏まえた上でお伺いをしたいんですが、例えば今日お配りしました資料の三のところ、「会社法制・会計制度等を巡る日米欧の潮流」、もう詳細は申し上げません。実はアメリカ的な姿というのは必ずしも今時代の最先端ではなくて、日本というのは一体これからどこを目指そうとしているのかがこの会社法制の現代化の中でよく分からないなということで御質問申し上げたんですが、改めてお伺いをしますが、今回の法務省の基本的なスタンスは一体どういう姿を目指そうとしているのか。例えばこの絵でいうとどの辺を目指そうとしているのかについて御見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(深山卓也君) お答えします。

会社法案の立案に当たっては、もちろん諸外国の会社法制も参考にいたしましたけれども、それぞれの国の社会、経済や文化の違いがございますので、それぞれの国の会社法制、これは大分異なるものになっております。したがいまして、あえて言えばですけれども、今回の会社法案は我が国の現在の社会経済情勢下の課題にこたえるということで行う改正ですから、その意味では具体的な仕組みは日本独自なものだということになるんではないかと思います。

〔理事平野達男君退席、委員長着席〕

EU的あるいはアメリカ的というお言葉がありましたが、これはもう委員御案内のとおりで、日本の会社法制は元々ドイツの会社法に倣って明治時代に導入した会社法制を、戦後、昭和二十五年にアメリカ法の影響の下に大幅な改正をし、更にその後、先ほど来お話に出ていますような累次の改正を経てきておりますので、その法制度論として見ても言わば独自の法文化になっているということが言えるんではないかと思います。

○大塚耕平君 ちょっと確認をしておきたいんですが、私、この間申し上げましたように、またこの絵の中にもありますように、何かポイズンピルをどんどん法制の中にビルトインしていくというのが世の中の潮流だというように今報道をされているわけですけれども、EUは実際にはポイズンピルをむしろ解毒する、もちろんいざというときには何がしかの対応策を取るにしても、ポイズンピルという概念で言われるものについてはむしろ解毒する方向にある、そしてアメリカもそういう方向にあるというこの認識について、間違っているか、そうであるかということについてちょっと御見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(深山卓也君) 前回の御議論のときにも民事局長の方から御答弁させていただきましたけれども、今回の会社法案でそのポイズンピルという独自の制度があるわけではございません。これはもう委員も御案内のとおりですが、新株予約権あるいは種類株を使いやすくしたと。これが各会社の選択によりポイズンピルとして使うことが可能な、あるいは使いやすくなるという改正条項を含んでいるということでございます。

それで、その解毒するというお話、これはポイズンピルを仕組むときに解毒の仕組みを一緒に講じておくのが一般的であろうというふうに承知をしております。

諸外国の動向はどうかということですが、これも詳しく存じているわけではありませんけれども、一般的な議論としては、例えばアメリカにおきましても、一時期よりはポイズンピルを利用すること、このことに伴う様々な議論を経た結果、昔ほどは使われない。むしろ、やめるように株主から圧力を掛けられるような会社も出てきているというふうに言われていると承知しております。

○大塚耕平君 ということは、今回はその解毒条項というのはこの法案の中に盛り込まれていますか。

○政府参考人(深山卓也君) 今のお話の続きになりますけれども、例えば特殊な種類株を使う、あるいは新株予約権を発行するということで、それをポイズンピルとして使おうと思えば、どういう形のポイズンピルにするかというのを制度設計をいたします。

その際に、どういう条件の下でそれが働かないようにできるか、例えば取締役会の決議があればもうこれは効かないようにしておくとか、あるいは株主総会のこういう決議があればもうこれは解毒するようにするとか、そういうことも含めた形で最初に、どういう新株予約権、どういう行使条件、どういう働き方をする新株予約権なのかを決めた上で導入をすると、こういうことになりますので、そういう意味では解毒することも同時にやりやすくなっているということになっていると思います。

○大塚耕平君 企業会計を御所管になる伊藤大臣に今の点に絡んでお伺いをしたいんですけれども、そうすると、今の法務省の説明では、導入するときにそういうような配慮もして導入することは可能だというような言い方だったと思うんですけれども、企業の財務諸表なり有価証券報告書なり、企業の在り方をモニタリングするという意味では金融庁も御関係があると思うんですけれども、伊藤大臣はどういうふうにお考えになっておられますか、この問題を。

○国務大臣(伊藤達也君) 今の点、直接に私ども金融庁としてお答えをするということは、これはちょっとなかなか難しい点があろうかというふうに思いますが、ただ、私どもとしては、やはり市場の信頼というものを確保していくためには、透明性、公正性というのが極めて重要でありますので、そうした観点から、商法を所管する法務省の方々ともよく連携を取りながら、投資家の保護あるいは株主の権利の保護と、そうしたものがされるような制度設計というものをしていかなければいけないというふうに考えております。

○大塚耕平君 これは本当に、今すぐ何か事例があるわけではないですからいいんですけれども、この法案が、この法案というのは済みません、商法改正とかが法務委員会で通って、この国会を通っていったときに、この様々なスキルがどのような使われ方をするかという一つの事例が出た場合に、その事例が物すごく現経営陣を保護するようなそういう使われ方をして、また、そういう使われ方をしたときに政府なりがどういうコメントを出すかという、その内容によっては、いや、本当にその日から日本の株価ががらがらっと下がっていくというようなことになるような実は問題なんですよね。

この間も予算委員会でお伺いしましたが、今、日本の株式市場の売買高の半分は外国人投資家が占めているわけですから、外資がいいとか悪いとかではなくて、そういう現実を考えると、今回のこの商法改正の議論にどういう魂を込めて、実際にそれが運用されるときに企業の行動に対してどういうメッセージを政府として発していくかというのは物すごく大きな問題だと思っておりますので、是非、まだこれから本格的にこれ議論が始まりますので、是非法務省などとも意見交換をしていただきたいと思います。

そのために本来は閣議というものがあるはずであって、花押を押してサインするだけのための閣議ではないはずでありますので。で、何やらそういう難しいところは事務次官会議で全部決まっているとか、そういうことでは皆さんは本当に答弁のためだけに日夜苦労しておられるということになりかねませんので、是非そこのところをよろしくお願いしたいと思っております。

その上で、今日は、この間予算委員会で全く使うことができませんでしたが、もう私なりの考えはお配りさせていただきました「金融財政事情」の中に書いておりますが、例えば、この「金融財政事情」の下にページ数が出ておりますけれども、二十八ページに、二十八ページの上から三段目に、先ほど法務省からもお答えがありました今回の対応で盛り込まれる種類株や黄金株の話書いてありますが、例えばここに書いてあります、三段目に書いてあります三つのスキーム、これはいずれも、商法学者の中でもこれは株主平等原則に反するという見解を持っておられる方もいらっしゃるんですね。この点についてどういうふうにお考えになりますか、まず法務省の所見をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(深山卓也君) 先生の御論文のその三つの手続、これは一般的に言って、そこの株主平等原則に絶対反しないとか、どういうふうに決めてもです、あるいは絶対反するというようなことではないと思います。

これ非常に、黄金株にしろポイズンピルにしろいろいろな制度設計は可能ですので、どんなふうに定めても株主平等原則違反になることはないということはないと思っています。つまり、なり得ると思っております。

現在、経済産業省の方で、我々も参画しておりますが、企業価値研究会で合理的な防衛策の在り方を議論をして論点公表にまで至っていますけれども、それなども、この黄金株あるいはポイズンピルであろうが何でも許されるということではもちろんないので、一体合理的な防衛策というのはどういうものなんだろうかと、どういう条件が整えば法理論的にも問題がないものなんだろうかということを現に検討しているところですので、逆に言えば、株主平等原則に反するような対応のものもつくり得るということだろうと思っております。

○大塚耕平君 いや、そういう冷静な御認識を持っておられれば結構だと思います。

本当にこれ、株主平等原則に反するような仕組みを盛り込むことも十分可能ですし、そういうふうに運用することも可能ですから、どのようなガイドラインなりを政府が示していくのか。いや、あるいはそこはアメリカみたいに判例主義で、もう一々口出さないで、問題が起きたたびに判例積み上げて決めていくんだという立場をお取りになるのか、非常にここも重要な分岐点なんですけれども。

その点については、例えば、これは財務大臣にお伺いをできればと思うんですが、この問題、政府として、今申し上げたようなガイドラインを出して運営していくべきか、アメリカのように判例主義で積み上げていくべきか、大臣は、個人的な御意見で結構ですが、ちょっとお考えをお伺いしたいんですが。

○国務大臣(谷垣禎一君) 大塚委員と目が合ったら突然質問を受けまして……

○大塚耕平君 いや、次の総理大臣ですから。

○国務大臣(谷垣禎一君) いや、ちょっと今、委員会で自信を持って答弁するだけの準備がないんですが、私の印象だけ申し上げますと、非常にまだどういう運用をしていくのかというのはよく分からないと。判例で待つといいましても、判例で出てくるのはかなり時間も、時間が掛かりますので、さてどうかなと。というのがちょっと印象でございますが、正しいかどうかはちょっと保証の限りではございません。

○大塚耕平君 いやいや、今回のあのライブドアとニッポン放送の地裁、高裁の対応ぐらいの、あのぐらいのスピード感でやっていただければ結構判例は積み上がっていくと思いますね。

それから、これは私は判例で積み上げていくべきだというふうに思っているんですけれども。というのは、それはこの後、伊藤大臣にもお伺いをする問題とも関係してくるんですけれども、どうしてもどの分野の法律でも法のすき間というのはできるものですけれども、とりわけこの分野は法のすき間が一杯できますので、何かガイドライン的なものを示してもそのガイドラインにもすき間ができるという非常に目の粗い網みたいなものですから、なかなかあらかじめ何か一定のガイドラインなり指針を示すというのは難しいんじゃないかなと個人的には私も今そう思っております。何か出せればそれにこしたことはないと思うんですけれども。

そこで、その判例と同時に、もう一つは、じゃ実際にそれを運用するときに、例えば株主代表訴訟みたいな係争にならないように運用段階で適切な運用がされて、判例を積み上げるまでもなくマーケットや企業社会がある一つの事例を受け入れるというふうになるためには、この間も議論させていただきましたが、社外取締役というのは非常に重要な役割を担うんですね。だれがポイズンピルを駆使するかというときに、その会社の社外取締役が、いや、それは株主の立場を害することになるからやるべきではないとかということを社外取締役が、つまり自分たちの定款に盛り込まれているポイズンピルを実行するかしないか、あるいはそれを解毒するかしないかとか、そういうことを第三者的立場で判断をするという意味において社外取締役というのは非常に重要で、これが実はアメリカでは独立取締役と呼ばれていますというのは予算委員会の参考人の方もおっしゃっておられたわけでありますが。

そこで、経済産業省と法務省にお伺いをしたいんですが、まず経済産業省。この間もお伺いしましたが、企業価値研究会というもので、防衛策導入に当たっては第三者の審査を受けるなどの条件を満たすよう求め、経営者の保身目的での乱用を防ぐというような議論を今後行い、この企業価値研究会で五月中をめどに正式決定するという報道が、これは日経新聞の三月八日の報道なんですけれども、出ておりました。非常にもっともな御議論だと思うんですが、この独立取締役というようなコンセプトを導入する方向で議論が進んでいるのかどうかということが一点と、それからこの間も質問いたしましたが、親会社やメーンバンクの者が社外取締役に就任するということを抑制していくような方向での何か施策を考えておられるのか。この二点についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(舟木隆君) お答え申し上げます。  まず、社外取締役と申しますか独立取締役に関しましてでございますが、企業価値研究会、この研究会自体、昨年の九月からやってきておるものでございますが、ここで三月の初めに論点公開の骨子というのを出しております。そこにおきまして、この企業買収に対する防衛策、これに対して、より合理性の高い防衛策を日本企業が導入をする、そのために求められる工夫といいますか、それにどういうものがあるかというところで、利益相反のない第三者がそういうその取締役会の意思決定に何らかの形で関与して株主の利害を反映させる、そういうような仕組みができればより合理性が高くなるんではないか、すなわちその取締役の保身であるとかそういうようなものではなくて、より合理性を高めることになるのではないかというふうに考えておりまして、利益相反のない第三者の中にその社外取締役も含まれ得るのではないか。

ただ、もちろん、先生御指摘のように、社外取締役と申しましても、商法上欠格事由になっている方はなれませんけれども、そうではない方は社外取締役になれるわけでございますので、私ども企業価値研究会で社外取締役であればどなたでもそれは利益相反のない第三者だというふうに議論しているわけではなくて、利益相反のない第三者の関与で一定、ケース・バイ・ケースの判断でございますが、社外取締役としてこの取締役会の意思決定に参加される方も、一定の要件の下では利益相反のない第三者に該当するのではないかというふうにこの論点公開の骨子でお示しをさせていただいているところでございます。

それで、二番目の御質問の、それじゃ親会社の役員ですとかそれから金融機関、関係金融機関の方がその社外取締役になるのは必ずしもその利益相反のないとは言えないのではないかと、したがってそういうものを制限するようなことを考えているのかという御質問でございますが、私どもとしましては、企業防衛策の合理性を更に高めるためにどういうふうにすればいいのかということを企業価値研究会で検討しておる段階でございますので、社外取締役の欠格事由等々について直接的にこの場で検討しておるというものではございません。

さらに、先ほどガイドラインというお話がございました。ガイドラインにつきまして、私どもとしましては、今申し上げましたように、買収に対する防衛策の合理性をより高くするためにどういうようなやり方でどういうような工夫をもってやるのがいいのかということにつきまして企業価値研究会で今有識者に入ってもらって検討しておりまして、近々最終的な論点公開ができるものと考えておりまして、それを踏まえまして、法務省と私ども経済産業省で一緒になりまして、何らかの形でこの企業買収に対する防衛策について、より合理性を高めるような防衛策はどういうものかということについて、このガイドラインを五月ごろにでもお示しをさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。

○大塚耕平君 それでは、法務省は、今回の会社法制の現代化の中でこの社外取締役というのがどういうものであるべきかということを何かこの法律の中に盛り込んだり、あるいは法務省としての考え方を示していくおつもりなんでしょうか。法務省としてのお考えをお伺いしたいと思います。

○政府参考人(深山卓也君) 今お話に出ています社外取締役は、現行法上はもう御案内のとおりで、会社の業務を執行しない取締役で、過去にその会社又は子会社の業務執行を行う取締役等々その他の使用人になったことがなくて、かつ現在もそういう地位にないという者を言うということです。  これが会社法案でどうなっているかといいますと、この点についての見直しの議論はいたしましたが、実は様々な意見が現行の社外取締役の要件についてはございまして、単なる社外性ではなくて経営者からの独立性を要求すべきであると、今お話に出ている独立取締役にすべきだというふうな意見がある一方で、過去一切その会社に業務執行に従事したことがないことを求めている現在の要件は厳し過ぎる、二十年も三十年も前にちょっと勤めただけでももちろん欠格条項に当たってしまうんですが、それがむしろ厳し過ぎるからそこを緩和すべきだという御意見もございました。

ということで、全く緩和、厳格化、両方の意見があったわけですけれども、そもそもこの社外取締役に関する規定は平成十三年の議員立法による商法改正で設けられたもので、その施行は平成十四年五月一日でございました。同じ改正で行われた社外監査役の要件の見直しについてはいまだ改正規定が施行されていない、これは今年の五月一日から施行ですが、そういう状況にあるということで、結局この要件を緩和する、あるいは厳格にするということについては今後の実務運用を踏まえて検討すべき問題だろうということで、現行法と同じ要件のままに会社法はなっていると、こういうことでございます。

○大塚耕平君 いずれにしましても、大変重要な問題ですから、是非多方面の意見を聴いて誤りなき仕組みをつくっていただきたいと思います。これを間違えると、財政再建にも大きな影響が出ると思います。日本の企業社会というのは、それこそ租税逃れをして、もう日本でビジネスやっていてもしようがないといって海外に出ていって日本には税金を納めないとか、そういう先も出てくるでしょうし、我々も建設的な意見を要所要所で言わせていただきたいと思います。

さて次に、先ほど後ほど御質問申し上げるというふうに伊藤大臣に申し上げたんですけれども、法のすき間という話をさっきいたしましたけれども、今回ライブドアの時間外取引がきっかけで大変これだけ国民的関心が盛り上がったわけなんですが、時間外取引についての私自身の認識は、この雑誌の一番冒頭、二十五ページの冒頭に書いてあります。私は違法ではないと思っていますし、現時点においてはですね、脱法でもないと思っているんです。

大臣は、この問題が起きた直後に、報道によればですよ、直接聞いたわけじゃないですから、違法ではないが脱法のおそれがあるというようなことをおっしゃったというふうに報道されておりますが、まずそういう事実があるかないかということをちょっと確認させてください。

○国務大臣(伊藤達也君) 私の国会答弁等を見ていただけば分かるように、今御指摘のような発言はいたしておりません。

立会い外取引は現行法において基本的にTOB規制の適用対象になっていないということをお話をさせていただいております。

○大塚耕平君 分かりました。

じゃ、それは誤報だということで結構ですが、しかしその直後に、この時間外取引もTOB規制の網に掛けるべきではないか、あるいはそういうことを検討を要するかもしれないということを非常にクイックレスポンスでおっしゃったわけなんですけれども、残念ながらその他いろんな金融庁をめぐる問題がある中でこれほどクイックレスポンスしていただけることというのは余りなくて、今回はなぜ即座にそう思われたんでしょうか。

○国務大臣(伊藤達也君) スピード感がないというような御批判は今まであって、今回だけは特別じゃないかと、こういうことだろうというふうに思いますけれども、昨年の西武鉄道等に見られる不適切なディスクロージャーに関する事例を含めて、私どもとして、やはり証券市場の信頼性を確保するために必要な対応措置というものをしっかりとらなければいけないと、そういう考え方の下で対応させていただいてきたところでございます。

今回の問題についても、やはりTOBの制度というのは、株主の方々が平等に株を売却できるそのための情報開示の制度というものをしっかり設計をしていく、そうした中でTOBの在り方というものが設計をされているわけでありますので、こうしたものがもし形骸化していくことになるとするならば、これはしっかりとした対応をしていかなければいけない。私は、最初の発言の中で形骸化するおそれがありませんかという質問が出たからこそ、そうした問題について検討していきたいということをお話をさせていただいたところでございます。

市場行政を担当するに当たってやはり一番重要なことは、市場の透明性あるいは公正性を確保していく観点から、仮に問題が生じて、それに対して適切な措置を講じていかなければいけないとするならば、それに対してしっかりとした対応をしていくことが必要でありますから、そうした観点の中でこの問題を検討させていただいて、そして私どもとして、立会い取引の中で相対取引と類似するものについてはTOB規制の適用対象とすることができるように、証取法の改正案を国会に提出をさせていただいて御議論を賜りたいというふうに思っているところでございます。

○大塚耕平君 もし事務方の皆さんがデータお持ちになっていたら教えていただきたいんですが、時間外取引というのはどのくらい行われているものなんですか。イメージとして、どのぐらい行われているものなんですか。

○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。

ちょっと私の記憶でございますけれども、たしか、時間内、いわゆる時間内の立会い内取引との比較ですと、その一割程度ではなかったかと思います。

○大塚耕平君 私が申し上げたいのは、時間外取引相当行われているんですよ。これをTOBの規制外にしたのは株式の持ち合いを緩和するために場外で相対で取引してくださいということで、むしろ率先してその網の目を残したわけですね、粗くして。かなり行われています。事実上、TOBと同じようなこと、今回のように話題にはならなかったけれども、それとほとんど同じことをやっている例は過去に幾らでもあります。だから、過去にやっていたものを見逃して今回だけ話題にする、ないしは今回だけクイックレスポンスをするということにはそれなりに合理的な理由がなければならないわけでありまして、その辺は是非実態調査をした上で御対応にならないと伊藤大臣のそういう反応に対する信頼感が失われますので、是非そこは、何が過去と違ったために今回急にこういう話になったのか、あるいは過去に同様に事実上TOB、TOBというか、経営権取得のためにかなりのウエートを時間外で取得しているケースがなかったのか、これはやっぱりきちっとお調べいただく必要があるなということを申し上げておきます。

その上で、その法の網の目の話なんですが、この雑誌の二十八ページの一番下の段に書かせていただきましたが、つまり、これ非常に、ここのところを今日はっきりお伺いをしたいんですけれども、日本の法律というのは、特にこの証券法制とか会社法制に関して、一体、これは日本の法律は禁止規定なのか許可規定なのかということを是非はっきりしていただきたいんですね。

御承知のように、アメリカの法律というのは基本的に禁止規定で、やるなと書いてあること以外は基本的にやっていいですよと、そこでしかし問題が起きたら、また新しい法の網の目を掛けていくということですが、どうも日本の法律は、やるなと書いてあることは、いやいや逆ですね、やっていいと書いてあること以外は、法律から読み込めないものについては一々役所に判断を仰ぎなさいという許可規定のような気もするんですが、これは一体どちらがベースだというふうに考えればいいかということを端的にお伺いしたいと思います。

○国務大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。

今委員が御指摘された禁止規定かあるいは許可規定かと。これ、法律上定義されている言葉ではないものですから一般論でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、金融庁の所管法令においても、これは他の省庁の所管法令と同様に、禁止されてない行為を行っても違法とはならないものと考えているところでございます。

いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、事前規制型行政から透明なルールに基づいた事後チェック型行政への転換が求められていると。そうした観点から考えれば、利用者保護ルールの整備、そして徹底やあるいはその明確化を図ることによって、市場規律を補完する信頼される行政というものを確立していくことが極めて重要でありますので、そうした問題意識の中で昨年十二月に策定をさせていただいた金融改革プログラムの中においても、そうした考え方というものを明示をさせていただいているところでございます。

○大塚耕平君 この部分は本当にみんな関心持っていますから、今の御答弁は基本的には禁止規定だということをおっしゃったんだというふうに思っていますので、いや、その法律をよく読み込んで、ああこういうブレークスルーがあったんだと思って、みんなが工夫をしてビジネスをやっていくというのが一つの活性化につながるわけですので、是非今おっしゃったスタンスでやっていっていただきたいなというふうに思います。

それからもう一つ、実務的なことをちょっと確認をさせていただきたいんですが、これは二十六ページの二段目に書かせていただきました。今回の東京地裁の判断の中で、ニッポン放送の新株予約権の発行が有利発行に当たるかどうかということについて、この部分だけは東京地裁は有利発行に当たらないということになって、ちょっと読ませていただきますが、第二段目の後ろの方に書いてありますが、東京地裁はこのように言いました。有利発行に当たるかどうかは、オプション評価理論に基づいて算出された価額と取締役会で決定した発行価額を比較して判断することになるというふうに、一般論としてこういうふうに言い、そして今回は有利発行ではないというふうに言ったんですが、しかしこれ、じゃどういうふうに、オプション評価理論といっても物すごいバリエーションありますから、どういうふうにその数字を出したのかということを今回、まあ我々に公にしないまでも、金融庁として司法当局の判断された客観的データというのを確認をしないとなかなか難しいと思うんですね、この後、こういう業界にいらっしゃる方々の行動がかなり制約されると思いますので。この点について、こういう抽象的な表現ではなくてもう少し具体的な議論を詰めていく御予定があるかどうかということについてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。

今委員御指摘のニッポン放送の件でございますけれども、何分個別の事案にかかわるものでございますので、なかなかお答えしづらい部分がございます。

いずれにいたしましても、ニッポン放送の開示書類によりますと、新株予約権証券の発行価額というのは、株価のほか金利、配当利回りなどを用いた一般的な価格算定モデルによる算定結果を参考に決定されたというような開示内容になっていると承知しておりますが、いずれにいたしましても、今申し上げましたように個別事案でありますのでコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

○大塚耕平君 私なりに結論から申し上げれば、これはもう限りなく有利発行に近い、まあ有利発行だと思うんですよ。これをこういう理屈で、有利発行とは必ずしも言えないと言うだけではなかなか、実際にそのビジネスをやっていく人たちにとっては雲をつかむような話ですので、もう少し今後この辺は議論を詰めていただきたいなというふうに思います。

今日は、急遽、郵政改革、郵政民営化準備室の中城さんにもおいでをいただいておりますけれども、たまたまこのMアンドAに絡んで土曜日の読売新聞の朝刊に、民営化された郵政株式会社に、買収されないように黄金株を持たせるというような話が出て、そしてその翌日の日曜日の読売、あれは読売でしたかね、ちょっと新聞忘れましたけれども、やはり新聞でそういう買収規制、外資参入規制を掛けることはWTOの規定に照らして難しいといって、土、日にかけて、今議論させていただいている話題に非常に関連する報道がされたんですけど、事実関係についてちょっとお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(中城吉郎君) お答えを申し上げます。

御質問の新聞報道に関しましては、郵政民営化準備室としましては黄金株に関する報道についてのそのような事実は承知しておりません。

○大塚耕平君 何度もうちの調査会にもおいでいただいて苦言を呈させていただいておりますが、今回物すごく何か、我々政治家に御説明をいただく前に、もう垂れ流しのようにいろんな情報が出ていて非常に良くないと思いますね、これは。

まあ、何度聞いても今以上の答弁は出てこないと思いますけれども、この間予算委員会でもお伺いしましたように、株式会社化するにしても、株式会社化された、まあ四分社化されるのかどうか知りませんけれども、その企業形態、経営形態がどのぐらいのPBRを持ったものとしてつくられるのかということについて、これは何か定量的なデータを開示する形で何がしか、しかるべき時期に我々に対して説明があるという、そういう理解でよろしいですね。

○政府参考人(中城吉郎君) 先日の参議院予算委員会でも竹中大臣から御答弁申し上げておりますけれども、今の時点でそういった問題についての明確な数字というものは持っておりません。

これからそのこうしたものに対してのしっかりした経営をしていく、そういう基盤をつくっていくことが大事だという指摘をしているところでございます。

○大塚耕平君 本当に、これが仮に、外資が入ることが必ずしも悪いとは言いませんけれども、仮にですよ、仮に民営化され分社化され外資が入り、その外資が入った郵政株式会社が自主的な判断で日本の国民の預入金を使ってアメリカの国債を買うと。アメリカの国債でアメリカで財政政策が行われて、そこで発生したマネーサプライで日本に今度買収を掛けられると、日本の民間企業が。こういうふうになると、自分の金で買収されているという、とんまな、間抜けな国民に日本人はなりますんでね。

是非、何か、高校生ぐらいでもかけるような試算とか、そういうグランドデザインで国会に持ってくることのないように、相当詰めた案を持ってきていただきたいということをお願いをしておきます。まあ、中城さんたちも非常につらい立場だというのはよく分かります。  これ、竹中さんに伝えておいていただきたいんですけれども、この間時間がなくてちょっと私も十分に語り尽くせなかったんですけれども、例えばこのシステム統合の話、これこだわりますよ、私は。これ加藤寛さん、先生が悪いと言っているんじゃないんですよ。これ相当難しいと思います、私は。そして、二〇〇七年に統合するのは難しいと皆さんも思っているから、システム統合に関しては一年先送りとか、そういう話がもう出てきているわけですよね。それでも難しいと思います、私は。

なぜならば、例えば一つお伺いしたいんですが、今、郵便局の日計表、銀行員の方はすぐ分かりますけど、その勘定がきちっと合うというこの日計表、何日後に本部に上がってきていますか。

○政府参考人(中城吉郎君) 申し訳ございません。ただいまそういう資料を持ち合わせておりません。

○大塚耕平君 私が聞いたところによると三日後だそうです。三日後にならないと収支が合わないような実務をやっている中で、これをシステム統合するなんというのは、まず、まだまだ先の話なんですよ。

それで、私が申し上げたかったのは、物すごくフィージビリティーやリアリティーの低いことについて、加藤寛先生の一応座長としての報告書としてそれが上がってきて、本当にしかるべき後にかつてのみずほのような大トラブルが起きたら、これはやはり御本人の名誉も傷付くし、何ていい加減な報告書を出したんだということになるので、出すなら出すで竹中さんの名前で出すとか、そういうことをきちっとやっていただきたいということを申し上げたんです、私は。

ちょっと言葉足らずで十分伝わらなかったので、別に僕は、中城さんは本当に汗かいておられるんで、特に今日は御慰労申し上げたいと思うんですが、よく伝えてください、竹中さんに。

それから、もう一つ申し上げますけれども、郵政民営化準備室、相当大勢の官僚の皆さん、郵政公社からも三十人ぐらいの職員が行って、私のところに何本もメールが来てます、準備室の皆さんから。ほとんど情報を遮断されて、大勢の職員がいるにもかかわらず作業にタッチできない、じくじたる思いだと、で、特定の数人でやっていると。これ、国会のメールサーバー見ても駄目ですよ、プライベートのメールアドレスで来ていますから。

大臣、谷垣大臣、これ財政再建とも関係あるんですよ。元々国家公務員の数もスリム化しようとして、人数も足りない、仕事も一杯あるというときに、形だけ大議論していますというような体裁を整えるために準備室に人を集めて、実際は私のところにメールが来て、例えばあのシステムの話も、特定の某、財務省出身者と竹中さんの間だけでやっているけれどもよく分かりませんといって、私たちはこんなことなら早く本省や公社に戻してほしいといってメール来ているんですよ、私のところに。

こんなにリソースを無駄にしているから、この間も総理に申し上げました、総理は全然理解できていなかったですけど。こんなにリソースを無駄にするから日本株式会社のPBRは低いんですよ。だから買収されるんです。

いいです、だから、民営化議論する、何するのもいいですけれども、少人数でできるんだったら少人数でやればいいんですよ、ほかに仕事一杯あるんだから。そういう人たちをほかのところに是非もう解放してほしいということを申し上げておきます。そういうふうに思って、悶々としてストレスをためていらっしゃる準備室の皆さんがいるということを私の口からお伝えしておきます。

さて、次に貸し株の話をちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、ニッポン放送がソフトバンク・インベストメントに貸し株をするということで、急遽また北尾さんの名前とかが有名になったんですけれども、この貸し株というのは法律上どういうところに出てくるものでしょうか。これは金融庁と法務省と両方にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。

貸し株というのは、信用取引を行う投資者に証券会社や証券金融会社が行う貸し株というのがまずございます。それ以外に、今いろいろ問題になっております機関投資家や大株主が保有する株式を借り手のニーズなどに合わせて貸し株の用に供するものがあるというふうに承知をしております。

実態面では、いろんな貸手、借り手、両当事者の合意の上でいろんな条件を決めまして消費貸借契約等を締結をしているということで、相当契約形態も様々だというふうに考えております。

○政府参考人(深山卓也君) 法務省の方から法律的な性格についてお答えいたします。  一般的に、貸し株と申しますのは株式に係る消費貸借契約、民法上の消費貸借でございまして、借り手は貸手に対して賃借料を払う、借り賃を払うのが通常、有償であるのが通常と聞いておりますが、貸借期間が終了後には同種同量の株式を返還するということを内容とする契約だと承知しております。

○大塚耕平君 ちょっとお伺いした趣旨が違ったんですが、証券取引法三十四条以外に貸し株について書かれている法律はありますか。

○政府参考人(増井喜一郎君) 恐縮でございます。失礼いたしました。

先ほどの御説明の中でも申し上げましたが、信用取引を行う投資者に証券会社あるいは証券金融会社が行う貸し株というのがございます。これにつきましては法律上の規定があるということでございます。

○大塚耕平君 この貸し株ですけれども、新聞報道によると五年間でかつ議決権も移っちゃうんですよね。この貸し株は、ソフトバンク・インベストメントはこの五年間の間に売ることが可能ですか。

○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。

私ども、その具体的な、何といいますか、契約内容は承知しておりませんものですから、ちょっとそこのところは分かりかねます。

○大塚耕平君 いや、売ることは可能なんですよ。

で、その貸し株という言葉が使われていますけれども、これは九八年から導入されたと思うんですけれども、貸し株と言いながら消費貸借契約で売ることができるわけですよね。議決権も移っちゃうわけですよね。これを貸し株という言葉で表現していること自体に今後大きな混乱を招く要因があって、フジサンケイグループもホワイトナイトだなんと言って喜んでいますけれども、ソフトバンク・インベストメントがライブドアに売ることだって可能なんですよ、五年後には返すからと言って。

だから、本当にその貸し株の意味を御理解しておられるのかどうかなというのはちょっと不安なんですけれども、例えばこういうところも、今回の会社法制やらあるいは金融庁がそれに絡んでいろいろ御検討されると思うんですけれども、今後何か検討されますか、この国会中に。貸し株の運用の在り方について何か検討される御予定ありますか。

○政府参考人(増井喜一郎君) ただいま申し上げましたように、貸し株というのはいろんな機能に応じて行われている契約でございまして、証券取引法上このような貸し株自体が違反行為というふうにされているわけではないわけでございます。

したがいまして、もちろん今後いろんな問題がありますれば、私ども、証券市場の信頼性、透明性を確保するためにいろんな問題について検討するという意味では、今金融審議会等でも検討しておりますし、そういったものが出てくればもちろん検討するということになると思いますが、当面そういった、先ほど申し上げましたように、貸し株自体が証取法上違反行為というふうに考えておりませんので、そういう観点から今後とも注視をしていきたいというふうに思っております。

○大塚耕平君 いや、増井さん、別に貸し株が僕悪いと言っているわけじゃないんですよ。

例えば、今日お配りした、予算委員会のときと同じですけれども、この内外の主なMアンドA事例の中の海外の事例のオラクルとピープルソフトのときに、これはMアンドAの、これは何というか、陳列棚というか、まあMアンドA防衛策のフルラインナップをそろえた事例として大変有名なんですけれども、そこの中にも、今日本では焦土作戦と言われているクラウンジュエルというのがあるんですけれどもね。

例えば、この貸し株というのもニッポン放送にとって物すごく重要な、フジテレビの株を持っているというのは物すごく重要な財産ですよね。これを議決権まで含めて、しかも転売される可能性もある形で第三者に渡しちゃうというのは、これは言ってみれば焦土作戦なわけですね、まあそういう言い方をすれば。これをニッポン放送は、一体、取締役会にかけるとか、あるいは株主に諮るとかということをやった上で対応したのかどうか、事実関係について何か御存じのことがあれば教えてください。

○政府参考人(増井喜一郎君) 恐縮でございます。その個別案件については私ども承知しておりません。

○大塚耕平君 いや、だから、これ物すごく重要なんですよ。だから、時間外取引のときにあんなにクイックレスポンスされた伊藤さんが、この貸し株については証取法三十四条にしか明文上の付言がなくて、今後、これがみんなが使うようになったら、一体だれが正当な株主かということが善良な一般株主というのは分からなくなっちゃうんですね。こういうことについて至急検討する必要があるとか、そういうことを例えばぱっとおっしゃれば、ああこれは時間外取引のときと一緒でさすがだなと、伊藤さん、いつでも民主党に入れるなと思うんですけれども、(発言する者あり)いやいや、とんでもありません。そういう意味で、今回はどうしてそういう御検討をされることがないのかなということをお伺いしたいんですが。

○国務大臣(伊藤達也君) まずお断りをさせていただきたいのは、やはり質問の前提が個別の取引に関することでありますので、そうした意味でコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、一般論として貸し株の在り方が、私どもからすると市場の公正性、こうした問題に仮に問題が生じるとするならば、それは私どもとして適切に対応していかなければなりませんし、また金融審議会においてもそうした議論というものをしていくことになろうというふうに考えております。

○大塚耕平君 是非貸し株については、本当に私も別にいいとか悪いとかという今先入観はないんですね。これは今回の一連の問題全部について、この間も申し上げましたし、今日も申し上げたとおり、本当にこれ冷静に考えていかなければいけない問題だと思っていますので、是非十分な御検討をしていただきたいと思います。

今日はもうだんだん時間がなくなってきましたので細かいことは申し上げませんが、この間予算委員会の中でも申し上げました、そもそもライブドアが資金調達をした手段ですよね、価格修正型のMSCBという。しかし、これ、実はあれ自体が一番問題なんではなくて、あの予算委員会のときには、あれが、株価が低迷しているという状況だから新たに生み出された新しいファイナンス手段ですよというところまでしか申し上げられなかったんですけれども、あそこでも重要な役割を果たしたのは貸し株なんですよね。ライブドアが貸し株ができなければ資金調達できなかったんです、あれは、リーマン受けなかったと思いますので。

そういう意味では、貸し株に対して貸し株で対応されるという、非常にある意味面白い展開になってきていると思うんですが、ちょっとこの貸株について法務省はどういうふうにお考えになっているか、今までの議論を踏まえた上でもう一度御見解をお伺いしたいんですが。

○政府参考人(深山卓也君) 先ほど申し上げたとおり、貸株自体は、これは民法上の消費貸借契約を締結したということだと思いますが、ただ、個別事案はともかくとして、この貸株に係る契約内容が貸手側の企業に著しく不利になっているというような場合には、そのことによって会社に損害を与えることになりますので、取締役の善管注意義務違反の問題であるとか、会社にそうした損害賠償を取締役がする、さらには株主代表訴訟の対象になる。甚だしい場合、先ほどクラウンジュエルという話が出ましたが、会社の主要な資産を著しく廉価で譲渡するようなことになりますと、刑法上の特別背任も問題になるというようなことだろうと思います。

○大塚耕平君 いずれにしましても、是非十分な御検討をしていただきたいなということを申し上げまして、最後の質問に移らせていただきますが。

今回、ライブドアの堀江さんの行動によっていろんな問題が提起された、そして国民の関心が盛り上がったということはプラスに評価できる部分もあると思います。そういう中で、私自身は、大企業が外資のそういうMアンドAに遭うということは、余りそれ自体について心配はしていなくて、というのは、企業経営とかガバナンスというのがいずれにしても市場に公開されて衆人環視の下に行われていますから、仮に外資から買収を掛けられてもそんなに変なこともできないし、ある意味、衆人環視の下で合理的な結論に行くと思うんですが。

心配しているのは、そういう国民的関心も盛り上がらないまま、関心も向けられないまま、中小企業、特に日本の製造業とかの、本当にベースになる部分を支えている技術を持った中小企業が知らない間にどんどんどんどん買収されていくということが、これが日本の経済力や国力にとって本当に心配なことだなというふうに思っております。

そこで、最後の質問ですが、これもたまたま予算委員会の日の二十二日に、中小企業向けの会計ルール、これは新聞報道によると、法務省、中小企業庁、金融庁の関係省庁と公認会計士協会、税理士会、企業会計基準委員会などで構成する検討委員会を二十二日に設置して、今後、統一指針を策定していくと、そして二〇〇六年度から適用すると、こういう報道があったんですけれども、中小企業のMアンドA対策として何かこの場で議論されていく御予定があるかどうかを関係省庁からそれぞれお伺いして、最後にしたいと思います。

○政府参考人(鈴木正徳君) 委員御指摘の中小企業の会計に関するものでございますけれども、少し経緯を御説明させていただきますが、中小企業にとりましても、資金調達力の強化やその取引先の拡大、これを行うにはやはり財務情報、これを適切に開示することが必要であるということで、当面の間は株式公開を目指さない企業、中小企業を対象といたしまして、平成十四年六月に中小企業の会計に関する研究報告書を取りまとめたところでございます。

実はこの報告書を受けまして、日本税理士会連合会、また日本公認会計士協会におかれましても、それぞれ具体的にどういうふうに処理をするのかということを発表されたところでございます。

このように、各機関が別々に発表したもので、中小企業の経営者の方々には何か別々の中小企業の会計、これが示されたんじゃないかという誤認が少なからずあるという御指摘を受けたところでございます。

これを踏まえまして、統一的な指針を取りまとめるべく、日本税理士会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の民間四団体の発意によりまして、委員御指摘のとおり、三月二十二日付けで中小企業の会計の統合に向けた検討委員会が設置されまして、私どもも、法務省、金融庁ともどもオブザーバーとして参加しております。

本指針でございますけれども、あくまでも当面の間は株式公開を目指さない中小企業を対象とした会計、その統一的な指針を作るというものでございまして、MアンドA対策とは直接関係はございません。

○政府参考人(増井喜一郎君) 今の中小企業向け会計ルールの点につきましては、今経済産業省から御説明のあったとおりでございます。

私どもといたしましては、こういった会計のいろんな指針の検討を通じまして、中小企業の統一的な会計ルールの指針を策定をする、検討する、そういった方向で検討がなされていくものというふうに考えております。

○大塚耕平君 終わります。

○委員長(浅尾慶一郎君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。

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○委員長(浅尾慶一郎君) 委員の異動について御報告いたします。

本日、片山虎之助君が委員を辞任され、その補欠として水落敏栄君が選任されました。

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○委員長(浅尾慶一郎君) 両案の修正について平野君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。平野達男君。

○平野達男君 私は、民主党・新緑風会を代表して、平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。

これより、その趣旨について順次御説明申し上げます。

まず、平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に対する修正案の提案理由の説明をいたします。

以下、修正案の概要を申し上げます。

国民年金事業、厚生年金保険事業及び国家公務員共済組合の事務費につき、その一部に国の負担以外の財源を充てる、つまり年金保険料による財源を充当するという規定の削除がその内容です。

社会保険庁をめぐる無駄遣いのうわさは相変わらず絶えません。全国各地の一等地に事務所を構える社会保険事務局や、定義の不明瞭な福祉施設費による雑多な支出、物品調達や委託業務についての不透明な巨額随意契約、会計検査院による調査の結果、汚職事件まで発覚しております。

やはり給付以外には保険料は使わない、これを原則にしなければ国民の老後の安心はあり得ないということを、国会としてあるいは政府としてきちんと認識を新たにすべきです。

元々、保険料の年金事務費への充当は、財政構造改革特別措置法によって六年間の時限措置として導入されたものであり、本来なら昨年度から事務費の全額国庫負担というあるべき姿に戻っていたはずでした。ところが一年延長され、今年度更にもう一年延長されようとしております。もうそろそろ本来のあるべき姿に立ち返る時期です。

もし、百歩譲って保険料の年金事務費への充当が必要であるという部分があるのであれば、恒久的な制度改正で対応すべきであり、このような特例的措置で行うべきではないと考えます。

次に、所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由の説明をいたします。

政府提案の税制改正案は、長期的な財政再建の見通しも抜本的な歳出構造改革もないまま、ただ安易に国民に対して負担増を押し付けるものであります。本年は増税元年とちまたで称されているように、本格増税の開始の年であり、今後更なる大規模増税が毎年次々と予定されております。このままでは、財政破綻が先か国民生活の破綻が先かの出口のない破綻競争になってしまいます。

民主党は、国民生活を守るために、すぐにでも実現可能な最低限の修正を求めます。

以下、修正案の概要を申し上げます。

第一は、定率減税縮減に関する規定の削除です。

我が国の景気は、個人消費の低迷が依然として続いているなど、先行きが大変不透明な状況になっております。これまで政府が主張してきた景気回復も、一部大企業のみを中心としたものであり、かつ雇用の犠牲や中小企業たたきを土台とした一時的な回復にすぎません。他方、大企業と中小企業、中央と地方、企業部門と家計など、国内における経済状況の格差は大きくなるばかりです。

現時点において定率減税の縮減を決めていくということが更なる雇用者たたきにつながり、景気の足を引っ張ることになることは明白であります。国民生活に対する重大な影響を考慮し、その速やかな撤回を求めます。

また、今年度の政府予算では、大型公共事業が復活する一方で、特別会計や特殊法人の改革は遅々として進まず、また昨年末の会計検査院による税の無駄遣いの指摘は、過去二十年間で最悪となりました。明らかに政府の歳出削減努力は全く不十分であると言わざるを得ません。政府は縮減により生じる財源を基礎年金国庫負担の引上げ費用の一部に充てるとしておりますが、我が党は徹底した歳出削減によりこの引上げ費用を賄うと公約しております。真摯な歳出の削減努力がなされないまま、安易に負担増を求めることは許されません。

第二は、新しいタイプのローン控除制度の創設です。

現在の住宅ローン減税を根本的に見直しつつ、減税対象を、住宅のみならず、自動車ローン、教育ローン等広範に拡大することによって、個人が借り入れるローンにかかわる金利分をおおむねすべて所得から控除することができるようにいたします。これにより、長期にわたる低迷傾向にある個人消費を刺激し、積年の課題である内需の拡大を図るとともに、真に豊かさを実感できる国民生活を実現していこうというものです。

第三は、NPO支援税制の拡充に関する規定の追加です。

パブリックサポートテストや対象年度、活動要件などのNPOの認定要件を大幅に緩和すると同時に、みなし寄附金制度の拡充や収益事業に対する法人税率の引下げなどによりNPOの事業活動への支援を手厚くします。また、個人寄附金の控除については現行の一万円のすそ切りを廃止し、税額控除と所得控除の選択制を導入し、NPOに対する寄附を促進します。

以上、修正案の概要を申し上げました。  繰り返し申し上げますが、明確な将来展望が打ち出されないまま次々と増税策が打ち出されるようでは、庶民の財布のひもはますますきつく締まり、経済は再び停滞の泥沼に沈み込むことになりかねません。民主党は、このような事態を避けるために一刻も早い政権交代が必要と考えますが、現時点では最低限の措置を行うため、以上の修正を求めます。

委員各位におかれましては、私の主張の真意を御理解いただき、何とぞ御賛同いただけますようお願い申し上げまして、趣旨の説明を終わります。

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまの平野君提出の両修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から両修正案に対する意見を聴取いたします。谷垣財務大臣。

○国務大臣(谷垣禎一君) ただいまの平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に対する修正案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案については、政府としては反対であります。

○委員長(浅尾慶一郎君) これより両案並びに両修正案について討論に入ります。

御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○広田一君 民主党・新緑風会を代表しまして、政府提出の平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に反対し、民主党・新緑風会提出の平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成の立場で討論を行います。

まず、いわゆる特例公債法案に反対する理由を申し上げます。

第一に、この法案は、政府のこれまでの財政運営の失敗に対する反省もないまま、将来の世代に赤字をツケ回す象徴的な法案であります。政府は、四年ぶりに国債発行額を縮減したと強調しています。しかし、その主な要因は民間の自助努力により生じた税収の増加のおかげであることは言うまでもありません。また、三年ぶりの一般歳出の削減ができたのも、税源移譲や単なるスリム化に伴う地方への国庫補助負担金の大幅な減額によるものであります。つまり、今回の国債発行額の縮減や一般歳出削減は、民間と地方頼みの結果であり、国自らの歳出削減努力の成果とは到底言えません。

第二に、この法案が、昨年、年金不信をもたらした年金保険料の年金事務費への流用を行おうとしていることであります。国民の皆さんは、自分たちが納めた年金の保険料の流用について大きな不信と不満を持っています。このことを払拭できないまま、その後も社会保険庁に関する不祥事は後を絶ちません。与党からも解体論が出ているほどです。

私たちの修正案は、まず時限的措置として始められたこの特例措置をやめて、制度本来の姿に戻して事務費を全額国庫負担といたします。むろん、保険料であれ税金であれ、国民の皆さんからお預かりした大切なお金に変わりはありません。その意味で、今後とも私たちは、国民の目線に立って、無駄遣いを廃し、事務費使用の適正化に取り組んでまいります。

次に、いわゆる所得税法等の改正案について反対する理由を申し上げます。  まず、所得税、住民税の定率減税縮減については時期尚早と言わざるを得ません。私たちが反対する最大の理由の一つが、私たちと政府の景気認識の違いです。政府は、平成十一年度の定率減税導入時期と比べて我が国の経済は著しく好転していると言います。確かに企業部門だけを見れば経常利益や設備投資の増加など改善されている面もあります。しかし、所得税、住民税増税の影響を直接受ける家計部門はそうではありません。定率減税導入時期と比較しても、年収に当たる民間給与所得者の現金給与総額は下がり続けているなど、厳しい状況にあります。その上に、配偶者特別控除の一部廃止、年金保険料、雇用保険料の引上げなど、負担増がのし掛かっていきます。さらに、回復をしていると言われている企業部門も、大企業と中小零細企業とでは大きな格差が生じ、問題化しているのは皆さん御承知のとおりです。当面の景気もいまだデフレが続き、GDP、実質成長率も一進一退を続けるなど、不透明感が増しています。このような状況での定率減税の縮減は景気に冷や水を浴びせることになり、明らかに時期尚早であります。即時撤回を求めます。

これらに対し、民主党・新緑風会の修正案は、次のような項目から成り立っております。

第一に、先ほど申し上げたとおり、定率減税縮減に関する規定の削除であります。また、政府は、縮減により生じる財源を基礎年金国庫負担金の引上げの一部に充てるとしています。これに対し私たちは、徹底した歳出削減により必要な費用を賄うことといたしております。

第二に、NPO支援税制の拡充を追加いたします。現在、約二万に及ぶ認証NPOが活動している一方で、寄附金が所得控除される認定NPOはわずか三十団体であります。毎年、NPO支援税制は改正されますが、小手先の支援にとどまっています。それに対し私たちは、パブリックサポートテストや活動要件など、認定NPOの要件を大幅に緩和すると同時に、個人寄附金などの控除を拡充し、NPOに対する寄附を飛躍的に促進させます。

第三に、ローン利子控除に関する規定を新設します。これは、所得控除の対象を住宅ローンのみならず、自動車ローン、教育ローンなどに拡大することによってローンに係る金利分をおおむねすべて所得から控除することができるようにいたします。このことによって低迷する個人消費を刺激して内需拡大を図ろうとするのが私たちの案であります。

最後に、今多くの国民の皆さんは様々な不安を抱えています。その不安を払拭するためには、今政府が進めているような先の見えない場当たり的な負担増や赤字のツケ回しではなく、しっかりとした財政健全化のビジョンとそれを裏付けする納税者の立場に立った税制改革が必要であります。このことを強く訴えて、私の討論を終わります。

○山下英利君 私は、自由民主党、公明党を代表して、平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案について賛成、民主党・新緑風会提出の平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案に対する修正案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案に断固反対の討論を行います。  まず、いわゆる公債特例法であります。

平成十七年度予算においては、歳出改革路線を堅持、強化するという方針の下、従来にも増して歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、一般歳出について三年ぶりに前年度の水準以下に抑制し、新規国債発行額についても四年ぶりに前年度より減額しております。

一方、我が国の財政収支が引き続き厳しい状況となっている中、予算の内容については、活力ある社会経済の実現や国民の安全、安心の確保に資する分野に重点的に配分するなど、めり張りのある予算の配分を実現しております。今回の特例公債の発行による一般会計予算の財源に充てることはやむを得ない措置であり、今年度財政運営を適切に行うためには必要不可欠であります。賛成するに当たり、今後、政府・与党においてなお一層の歳出抑制に取り組む姿勢を確認しておきます。

修正案についてでありますが、三つの年金事業の事務費につき、保険料財源を充当するための特例措置は年金給付を行う上で合理性のある考え方であり、これを廃止すれば、これら事務経費は全額国庫負担となり、国民に更なる負担を強いることは明白であり、反対であります。  次に、所得税法等の一部改正案であります。

いわゆる定率減税は平成十一年に施行され、景気対策のための臨時異例の措置として今日まで継続されてきました。実施以来、国内経済は不良債権の処理が進む中、この減税と政府の景気対策の結果、景気は長い低迷から脱し、景気拡大期間は三年に及び、平成十六年度は二・一%程度、平成十七年度は一・六%程度の実質成長が見込まれており、この景気回復を受けて、十七年度税収は昨年度に比べ増収、増加が見込まれております。

これらの明るい兆しが導入時と比較して経済状況の改善として見え始めた今日、国と地方のいわゆる三位一体の改革の中で、個人所得課税の抜本的見直しが必要であることから、定率減税の規模を二分の一に縮減することが持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けた一歩であると確信するものであります。

その他、株式投資を促進するための金融・証券税制の特例の創設、外国子会社合算税制を国際的な企業活動の実態により一層即したものにする国際課税、中小企業の新たな事業活動の総合的な促進に資するための中小企業関係税制見直し等、現下の我が国経済財政状況を踏まえた適切な措置であります。  修正案についてであります。

我が国財政の現状は、平成十七年度末の公債残高が五百三十八兆円程度に達する見込みであり、非常に厳しい状況にあります。人口減少社会が到来する中で、経済活力を維持しつつ、持続可能な財政を構築することは政治家に課せられた将来世代に対する重要な責務であることは、総理始め政府・与党一致した考えであります。

我々も苦しい決断をしましたが、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化を目指し、歳出歳入両面からバランスの取れた財政構造改革を進めていく上で欠かせない減税縮小であります。国民の皆さんも必ずや理解していただけると思います。

しかるに、民主党の定率減税の縮減を取りやめる修正案は、我が国が直面する課題、今実行しなければならない重要な課題を先送りするだけの案であります。その他、税制の公平を著しく欠いた住宅ローン控除、税の優遇措置を大幅緩和し、認定法人を増やすことだけが目的のNPO税制の規定の新設が提案されております。  我が党は、政府・与党の責任において、今年度税制改正では、耐震基準を満たす良質な中古住宅を住宅ローン減税の対象に追加し、また、民間非営利活動の役割がますます高まってきている状況を十分認識し、認定NPO法人の認定条件の思い切った緩和や、寄附金控除の控除対象限度額の拡充を図るため、今国会に政府からその内容を盛り込んだ所得税法の改正案を提出したところであります。

民主党の案は、公平公正をないがしろにする税制改正であり、税を知らない無責任極まりない政策であると断ぜざるを得ません。しかも、この修正案は、衆議院に提出され、与党により否決された案と同様の内容であります。政権準備政党と自ら唱えるならば、いま少し国民に責任を持った税制を考えていただきたい。民主党の猛省を促すものであります。

以上、修正案に反対し、政府提出の両案に賛成する趣旨を申し述べましたが、将来の我が国税制を考えるとき、欠いてはならない消費税問題や納税者番号制度の検討に今後、与党を挙げて真摯に取り組んでまいることを誓い、私の賛成討論を終わります。

○大門実紀史君 日本共産党を代表して、政府提案の両法案に断固反対、民主党提案の両修正案に賛成の討論を行います。

既に政府両法案の個々の問題点については指摘をいたしました。この討論では、こういう法案を出す政府の基本姿勢そのものが誤っていることを指摘したいというふうに思います。

予算委員会の討論でも申し上げましたが、増税や国民への負担増だけで財政再建に成功した国はございません。景気回復の道筋の中でこそ財政再建をなし得るというのが世界の常識であります。そういう点からいえば、財政再建の道筋を誤ったまま公債発行を重ねるのが今回の公債特例法案であり、国民に大きな負担増をもたらすのが定率減税の縮小、廃止を含む今回の所得税改正案でございます。これでは財政再建も本当の景気回復も遠のくばかりです。

また、今回の改正案には、私自身が取り上げてきた無認可保育所の消費税非課税措置、あるいは評価をしております国際課税など、賛成できるものが含まれております。本来こういうものは別途に審議すべきものです。改悪とごったになっているため、改正案全体には反対せざるを得ません。こういう審議の仕方にも強く抗議をしておきたいと思います。

なお、民主党提出の修正案については、国民の負担減となるものであり、賛成できることを表明し、討論を終わります。

以上です。

○委員長(浅尾慶一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。

これより順次採決に入ります。

初めに、平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について採決を行います。

まず、平野君提出の修正案の採決を行います。

本修正案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 少数と認めます。よって、平野君提出の修正案は否決されました。

それでは次に、原案全部の採決を行います。

本案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

次に、所得税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。

まず、平野君提出の修正案の採決を行います。

本修正案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 少数と認めます。よって、平野君提出の修正案は否決されました。

それでは、次に原案全部の採決を行います。

本案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

この際、若林秀樹君から発言を求められておりますので、これを許します。若林秀樹君。

○若林秀樹君 私は、ただいま可決されました所得税法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。

案文を朗読いたします。

所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

一 中長期的な財政構造健全化と経済社会の活性化の必要性が一層増大していることにかんがみ、今後の経済動向にも留意しつつ、歳出の重点化・選別化に努めるとともに、税制に対する国民の理解と信頼、税負担の公平性を確保する観点から、課税の在り方についての抜本的見直しを行い、社会経済構造の変化に対応しつつ持続的な経済社会の活性化を実現するための税制の構築に努めること。

一 社会的に重要性を増している非営利活動を更に促進するという趣旨等にかんがみ、特定非営利活動法人に対する寄附金税制の在り方については、その実態等を十分踏まえ、引き続き検討すること。

一 租税特別措置については、その政策課題の緊急性、効果の有無、手段としての妥当性、利用の実態等を十分吟味し、今後とも徹底した整理合理化を推進すること。

一 急速に進展する高度情報化社会において、経済取引の国際化・複雑化及び電子化等の拡大に見られる納税環境の変化、調査・徴収事務等の業務の一層の複雑・困難化による事務量の増大にかんがみ、更には、徴税等真に必要な部門には適切に定員を配置するという政府の方針に配意し、今後とも国税職員の処遇の改善、機構・定員の充実・確保を行うとともに、職場環境の整備及び事務に関する機械化の充実に特段の努力を払うこと。

右決議する。

以上でございます。

何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいま若林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。

本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 全会一致と認めます。よって、若林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。

ただいまの決議に対し、谷垣財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣財務大臣。

○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

○委員長(浅尾慶一郎君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

─────────────

○委員長(浅尾慶一郎君) 関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

政府から順次趣旨説明を聴取いたします。谷垣財務大臣。

○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

まず、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。

政府においては、最近における内外の経済情勢の変化に対応する等の見地から、関税率等について所要の措置を講ずるほか、税関における水際取締りの強化及び通関手続の迅速化等を図ることとし、本法律案を提出した次第であります。

以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

第一は、暫定税率の適用期限の延長等であります。

平成十七年三月三十一日に適用期限が到来する暫定税率の適用期限の延長等を行うこととしております。

第二は、知的財産権侵害物品等の水際取締りの強化であります。

特許権等を侵害するおそれのある貨物の認定手続において、権利者からの申請に応じ、当該貨物の見本を分解して検査することを承認する制度の導入等を行うこととしております。

第三は、テロ対策等に係る水際取締りの強化及び通関手続の迅速化等であります。

爆発物等の輸入禁制品への追加、法令を遵守する体制を整えている輸出者に対する輸出通関手続の迅速化のための制度の導入及び関税についての重加算税の導入等を行うこととしております。

その他、所要の規定の整備を行うこととしております。

次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。

国際開発協会は、世界銀行グループの中核機関として、アジア、アフリカなどにおける所得水準の特に低い開発途上国に対し、長期かつ無利子の融資を行うことを主たる業務とする機関であります。先般、同協会の二〇〇六事業年度から三年間の財源を確保するため、第十四次の増資を行うことが合意されました。  政府においては、開発途上国の経済成長と貧困削減に果たす同協会の役割の重要性にかんがみ、この第十四次増資に係る追加出資を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。

本法律案の内容は、政府が国際開発協会に対し二千七百七十五億八千五百万円の範囲内において追加出資を行い得るよう、所要の措置を講ずるものであります。

以上が関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。

何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

○委員長(浅尾慶一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。

両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。

次回は明二十九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。

午後五時三十四分散会

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2005年03月28日 (月)

参議院 財政金融委員会 6号 平成17年03月28日(その1)

162-参-財政金融委員会-6号 平成17年03月28日

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。

委員の異動について御報告いたします。

去る二十三日、中川雅治君、林久美子君及び井上哲士君が委員を辞任され、その補欠として若林正俊君、峰崎直樹君及び大門実紀史君が選任されました。

─────────────

○委員長(浅尾慶一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君外十三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

─────────────

○委員長(浅尾慶一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行理事白川方明君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

─────────────

○委員長(浅尾慶一郎君) 平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。

質疑のある方は順次御発言願います。

○大門実紀史君 おはようございます。よろしくお願いします。

前回、定率減税の縮小、廃止などをやらなくてももっと税金取るべきところはあるということで、外資の課税逃れの質問を若干させていただきました。これ、予算委員会の集中審議でもやらせていただきましたけれども、今日はこの問題の今回の法改正との関係で具体的にお聞きしたいというふうに思います。

今、もう株式取引の半分は外資がやっているという状況でございます。膨大な証券投資が行われておりまして、ただ、課税の実態は不透明というのが現実であります。さらに、外資は様々なファンドを作って投資とかあるいは株式取引をやっているわけですけれども、日経新聞の再生ファンド七十八社の調査だけで一兆二千億円の投資がされていると、平均リターンが三四%という、大変高リターンですね。つまり、再生ファンド関係だけでも何千億ももうけているというのが今の実態だと思います。

もちろん、このファンドには再生以外の、再生ファンド以外の投資を目的としたファンド、幾つもございます。ですから、外資ファンドというのは日本で毎年推定何兆という規模でもうけていると言っても過言ではないと思いますけれども、まず、これらの投資ファンドの実態についてどうなっているか、お聞きしたいと思います。

外資系のファンドが組合スキームを利用して課税逃れをするというのがこの間指摘されてきましたけれども、この組合という形式を取っているファンド、この組合の数はどれぐらいか、これは経済産業省ですか、ちょっと教えてもらえますか。

○政府参考人(舟木隆君) 御説明申し上げます。  組合の数というお尋ねでございます。

私ども所管しておりますのが投資事業有限責任組合でございます。この投資事業有限責任組合は、投資事業有限責任組合法に基づきまして設立される組合でございます。

その数について申し上げますと、これ、契約の登記制度がございますので、私どもその登記書を調査をしております。それによりますと、平成十六年十月現在で、この投資事業有限責任組合、四百八十二の組合がございます。

また一方、財団法人ベンチャーエンタープライズセンターが、ベンチャーキャピタル等投資動向調査を行っております。これはアンケート調査でございますので全数ではございませんが、この調査によりますと、投資事業有限責任組合によるファンドが百二十六、それから民法組合や匿名組合等々によるファンドが百七十四ございまして、大体このアンケートから、推計でございまして恐縮でございますが、推計いたしますと、投資事業有限責任組合二に対して民法組合等によるものが三でございます。二対三でございます。

これを、四百八十二という数字をこの比率で割り戻しまして、全体およそ一千程度の組合形式の投資ファンドがあるんではないかというふうに推計をしておるところでございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。

大体推計で約千ほどの組合があるということだと思いますけれども、こういった組合の出資額は全体で幾らぐらいか、つかんでおられますか。

○政府参考人(舟木隆君) 投資金額についてのお尋ねでございます。

これも財団法人ベンチャーエンタープライズセンターがアンケート調査を行っておりまして、平成十六年度のこの調査によりますと、その実績が約五千億円程度となっておるところでございます。これもアンケート調査でございますので全体を把握しておるわけではございませんが、この数字から割り戻してみますと、先ほど申し上げました二対三の割合でございますので、投資事業有限責任組合による投資金額は大体二千億程度ではないか、その他の組合による投資金額が三千億程度ではないかというふうに推計をしておるところでございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。

まあつかんでいる分だけでも数千億という単位だというふうに思います。

ちょっとここでお聞きしたいんですけど、今回このファンドに、財務省にお聞きしますけれども、主税局長さんに特にお聞きしたいんですけれども、今回こういうファンドに課税をするというのを与党の方でまとめられているときに、外資が、外資九社が主税局長あてに抗議文を、意見書といいますか、抗議の意見書を、反対意見書を出したということが報じられましたけれども、そういう意見書、お受け取りですか。

○政府参考人(福田進君) お答え申し上げます。

御指摘のように、私あてに反対意見書が出ているのは事実でございます。

○大門実紀史君 それについてどういうふうにお考えですか。

○政府参考人(福田進君) 私どもといたしましては、今回の法改正の趣旨、内容等について御説明を申し上げているということでございます。

○大門実紀史君 この九社のファンドが反対意見を出したその中に、私この委員会で何度も指摘いたしましたけれども、カーライル・グループが入っております。政策投資銀行から出資を受けて、ブッシュ大統領のお父さんが来て出資を頼むというふうないろんな経過があって、しかも元々は軍事投資会社、アメリカで相当いろいろ話題になっているところでありますけれども、そういうところも含めて財務省に反対意見を出すということでありまして、私はちょっと、非常に問題だなというふうに思っているところです。

これに関連して、もう一つは、日本ベンチャーキャピタル協会というのがありますけれども、そこの中のグロービス代表の堀さんがインターネットでこういうことをおっしゃっております。今回の税制改正の中身を去年の十一月二十六日に知ったと。それは私が理事を務めている日本ベンチャーキャピタル協会に経済産業省から連絡が入ったんだと。それでびっくりして反対意見を表明するということをやったというふうに堀さんが御自分でおっしゃっています。

私は、経済産業省はどういう立場でこの外資への課税問題とらえておられるのか、この機会に聞いておきたいと思いますけれども、そもそもこういう経済産業省から外資系のこの団体ですね、こういうところに、こういうことがさっさと連絡行くような関係なんでしょうか。経済産業省、来ておられるんで教えてください。

○政府参考人(舟木隆君) 御説明申し上げます。  今の先生の御指摘の点、私もつぶさには承知をしていないわけですけれども、一般論で申し上げますと、そういういろんな、政府におきまして、経済産業省におきまして税制の問題ですとかそういういろんな問題を検討します過程で、やはり関係者の意見を聴くべきであると判断しました場合はその関係者に意見を尋ねる、そのためにその進捗状況等を説明をした上で意見を尋ねるということはやっておるところでございます。

○大門実紀史君 いや、堀さんおっしゃったような、意見を尋ねるとかじゃなくて、そういうことが与党の中で相談されていますよということをいち早くこういう外資の団体に経済産業省から知らせると、こういう関係についてお聞きしているんですけれども。

○政府参考人(舟木隆君) 今の外資の団体というお話でございましたが、それが財団法人でございますれば、私ども所管しておる財団法人でございますれば、外資であるとか外資でないとかというふうなことではなくて、やはりそれに関係している人ということである程度情報を伝え、そういったことに関して意見を聴きながら行政を進めているというところでございます。

○大門実紀史君 余りしつこく言いませんけれども、要するに、与党でそういうことが相談されているということを経済産業省レベルから、これ外資ですよ、これは明らかに外資の問題ですからね、外資に伝えて、外資がそれを聞いていち早く反対の行動を起こすと、やっぱりちょっとまずいんじゃないかというふうに指摘しておきたいと思います。

経済産業省は、そもそもこの外資の課税逃れの問題をどういうふうにとらえておられますか。

○政府参考人(舟木隆君) お答え申し上げます。

課税の問題につきましては財務省で御担当でございますので、私ども、財務省さんといろいろ情報交換や意見交換をしながら政府全体として考えているところでございまして、個別の税の問題につきましては財務省さんの方からお答えをしていただくのが適当かと思っております。

○大門実紀史君 是非今、これは政府を挙げてきちっとした問題にしてほしいという意味で、経済産業省も財務省に協力をするというふうにお願いしたいというふうに思います。

本題に戻りますけれども、今回のこういった組合スキームの投資ファンドに課税を強化するという方向になりまして、これ一歩前進だと思いますが、非常にややこしい問題が幾つかあって、分かりにくい問題があります。

資料をお配りしました、一枚目の、非居住者等による事業譲渡類似株式の譲渡益課税の適正化、これを簡単に説明してもらえますか。

○政府参考人(福田進君) お答え申し上げます。

現行法上、非居住者等が日本企業の株式の譲渡益を得た場合には原則として日本では課税されませんが、当該非居住者等が日本企業の株式の大口の譲渡を行った場合、そこにございますように、いわゆる事業譲渡類似株式の譲渡、具体的に申し上げますと、内国法人の株式の二五%以上を所有していて一年間に五%以上を譲渡した場合でございますが、そういう場合には日本で申告納税しなければならないということになっているわけでございます。

ただ、これにつきましては、非居住者等がそこにございますように組合を通じて投資した場合には、これまでは組合ではなしに組合員個々人で判定をしていたわけでございますが、組合等を通じて組合全体で判断をするというふうにしたわけでございます。

これは、非居住者等がこの組合を通じて投資した場合には事実上課税を免れるという問題がございまして、今回の改正ではこのような課税の抜け穴を防ぐために、先ほど御説明申し上げました事業譲渡類似に該当するかどうかの判定、つまり、所有割合が二五%以上、譲渡割合五%以上であるかどうかというのは個々の組合員ごとではなくて、組合を通じて株式を所有している場合にはその組合を一体としてとらえると、組合全体で判断をするということにするような改正案を御提出した次第でございます。

○大門実紀史君 要するに、今までは個々の組合員というか投資家をベースにしていましたけれども、今度はまとまって二五%を超えると課税をするというふうにされたということですね。

この二五%という数字にどういう意味があるんでしょうか。

○政府参考人(福田進君) 二五%に、数学的な理論計算で出てきたというわけではございませんでして、他の制度との整合性、例えば受取配当の場合の所有割合であるとか、そういったそれ以外の制度との関係で一つの基準として二五%を所有しているかどうかというのを引用しているところでございます。

○大門実紀史君 そうすると、あれですか、今回のライブドアなんかのことにもかかわると思うんですけれども、いわゆる議決権とか、株の議決権、あるいはよく投資ファンドは再生して上場するとかあるいは事業譲渡するとか、こういう方式を取りますけれども、その議決権とのかかわりはないんですか。

○政府参考人(福田進君) 税法の観点で申し上げますと、数字似ておりますけれども、二五%が直接議決権に関係するから持ってきているというわけではございません。ただ、さっき申し上げましたように、どういうものを対象にするかというときには議決権ということも一つの判断要素にはなりますが、議決権であるからという、自動的に来ているわけではございません。

○大門実紀史君 それであれば、私、逆に二五%にそれほどの意味があるとは思えないわけですので、要するに、投資ファンドのやり方でいくと再生して売るとか上場するとか、その会社そのものをきちっと握らないと稼げないという点から議決権のかかわりで二五なのかなと思ったもんですからお聞きしたんですけれども、そうでないとしたら、そうでないとしたら二五に特に意味はないわけですから、ありますか。

○政府参考人(福田進君) 特に意味がないというふうに全否定されますとそうではございませんというふうに申し上げざるを得なくなるんですが、つまり、先ほどから申し上げましたように、どういうものを課税の対象にするか、後でも出てまいりますけれども、源泉徴収の対象にするか、そういったことを考えるときに一つの判断要素にはなるのは事実でございますけれども、それだけをもってやっているわけではないということを御理解いただきたいと思います。

○大門実紀史君 それは分かるんですけれども、つまり、投資ファンドのやり方に関係しての二五という数字でなければやり方との関係では余り意味、特に意味がないと、そういう意味で申し上げたんですけれども、したがって、二五じゃなくてもそういうことだったらいいんではないかと、もっと下げてもいいんではないかと、後々ちょっと研究をしてもらいたいなという意味で申し上げているわけでございます。

この二五という数字が、前回ちょっと少しだけ触れましたけれども、リップルウッドが、例の八兆円の公的資金を入れて長銀をわずか十億円で買い取ったあのリップルウッド、新生銀行ですけれども、この措置がとられるということを前提に、投資組合のLTCB・パートナーズを通じて六五%の株を保有していたんですけれども、それを去年に二五%より保有比率を下げて、海外の九十五以上の個別の投資家に所有権を移してしまうと。それで、今年の二月に株を三千億ぐらい売って、売り抜けたということになっているわけですね。

私、この前は、予算委員会では当局に聞きましたけれども、是非、谷垣大臣にお聞きしたいんですけれども、政府として、公的資金を八兆円入れる経過は金融庁も批判されたりしましたけれども、結果として、国民の公的資金が入っているところが、この財務省がこういう法改正をやるということを見越して、わざわざ二五%以下にして株を売り抜けるということが目の前でやられたわけですけれども、谷垣財務大臣はどのようにこの問題をとらえておられますか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 個別の問題についてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、私どもは、今回のいろいろな改正の中で、特に組合、非居住の組合のようなものに対してどういうふうな制度をつくっていくかということは、これは我が国だけではなくて国際的にも大きな検討課題でございますから、私ども、やっぱりこういう国際化した中で多くの、できるだけいろいろな情報も集めてきちっとした対応を、制度とそれから実際執行面と両方で、制度をつくっただけでもなかなかうまくいかないところがございます。国際的にどこまで情報を得られて、目を光らすと言うとちょっと言葉は悪いかもしれませんが、そういう執行面の努力、あるいは技能の向上ということも必要ではないかと思いますが、両方でいろんなことを考えていきたいと思っております。

○大門実紀史君 個別のことというよりも、やっぱり公的資金との関係でどうも国民感情として納得のできない話ではないかというふうに思いますので、何といいますか、リップルウッド問題というのはまだ起こりそうなんで、次は逃がさないようにしていかなきゃいけないと、今回は捕まえようがなかったというものもございますんで。

今後も、この二五%の問題でいきますと、リップルウッドのように、ほかの投資ファンドもこれを機会に組合としての所有を二五%未満に下げると、それ以上持っていた分を各投資家に分散するということも考えられますし、あるいはさっき言った、後で再生して売却とか上場とかいろいろ考えた場合、一定の比率は握っておかなきゃいけないということで考えると、今一つの投資組合を同じ目的の二つの投資組合に分散する、三つに分散すると、こんなことも考えられると。幾らでもいろんなことをやるんですね、外資というのは。

そういう点でいきますと、今回二五%という数字、これはいろんなあの手この手で逃れてしまうということもあり得るんじゃないかと思いますが、その点、国税庁でも財務省でも結構ですが、いかがお考えですか。

○政府参考人(福田進君) 個別の課税関係について具体的なケースごとに判断する必要ございますが、一般論として申し上げますと、今御指摘の中にございました組合が組合員に株式を払い戻すと、そういった場合に譲渡益課税が行われない場合も考えられます。御指摘のとおりでございます。  ただ、お話にもございましたように、投資ファンドと申しますのは、資金を集めてこれを一体的に運用する点に有利性あるいは効率性がございまして、これを求めて投資家が参加しているものと思われます。組合を解散したり、あるいは当該企業に対する一体的な影響力をそうしますと行使できなくなりますので、また払い戻された株式を自ら売却しなければならないことになるなど、組合員にとってマイナスのこともございます。

また、居住地国との租税条約によりまして、日本で課税されない組合員にとっては、組合を解散する税制上のメリットというのは余りないことになるわけでございます。居住地国で課税されている組合員にとっても、通常は居住地国において外国税額控除が受けられることになると考えられますために、解散するメリットはないのではないかというふうに考えております。

これらの点を踏まえますと、日本における課税を免れるためだけに組合の解散を行うことにはおのずと制約があるものと考えられるところでございます。

ただ、いずれにいたしましても制度、今申し上げましたように各国の制度、あるいは租税条約のすき間というんですか、差異を利用していろいろな行動がなされていることも事実でございまして、さっき大臣から御答弁ございましたように、私どもといたしましては、できるだけ御指摘のような事態を招かないように制度の見直し、改正をこれまでも行ってまいりましたし、これからもよく勉強してまいりたいと、かように考えております。

○大門実紀史君 もちろん解散すれば目的そのものが失われるんでそのとおりなんですけれども、私が申し上げたのは、解散じゃなくて、例えば今四五%の株を持っているところが、投資組合があると。これを一五%ずつの三つの投資組合に分けると、再編すると。その三つの組合は同じ目的を持ってその会社を支配するといいますか、後々見届けるというふうになった場合、私、手も足も出ないんじゃないかと。解散じゃなくて分割といいますか、そういうことも考えられるというふうに思うんですね。

ですから、これだけではまだまだ逃げられるといいますか、課税逃れが防げるとは思えない部分がありますので、是非そういうところも研究をしていただいて、大臣、前から言われていたとおり、実態面と執行面、両面で総力を挙げてやってもらいたいと、そうしないと今回の改正が生きない可能性もありますんで、是非お願いしたいというふうに思います。

もう一つ、時間がないんで一つだけお聞きします。

資料の二枚目にお付けしましたけれども、今回、申告納税だけではなくて源泉徴収方式によって、またこれでも把握をしようというふうに改正されております。ただ、先ほどから申し上げていたとおり、そもそも実態のつかめないところ、実態のつかめない組合、匿名組合、任意組合、投資ファンドですね。源泉徴収というのは、通常の観念でいきますと、事業体としてつかめるところにやってもらうというのが普通の話ですけれども、こういうつかみどころのないところに源泉徴収求めても、そもそもどうやってそれをチェックするのか、非常に難しい問題があると思いますが、その辺、いかがお考えですか。

○政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。

源泉徴収制度は、国内におきましてもう自動的に源泉徴収義務者が国税当局に例えば届け出るという制度にはなっておりません。給与を支給する場合の源泉徴収は、たとえ税額はなくても徴収高計算書を国税当局に出していただく必要があるんですが、源泉徴収の制度、いろいろありますから、国内においても必ずしもそう自動的には把握できない。

したがいまして、国税当局といたしましては、そういう制度の周知を行うとともに、各種資料情報の収集を行っております。今回の制度につきましては、支払調書が出るだとかいろいろ制度がありますので、そういうのを小まめに収集しまして源泉徴収義務者を把握しているところであります。今回の制度につきましてはそのようにさせていただきたいと思っております。

○大門実紀史君 今、日本の中で源泉徴収というのは確かに届出じゃありませんけれども、その代わりに、会社であれば登記をするとか社会保険でチェックされるとか、ほかのところでその存在を確認ができるというふうになっております。

ただ、届出そのものに義務がないということを申し上げているわけじゃなくて、任意組合ですから、そもそも匿名組合ですから、把握のしようがないという点が難しさはあるというふうに思います。

いずれにせよ、今回はこの点に関しては一歩前進だというふうに思っておりますので、実効のあるものにしていただくようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

○尾立源幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。本日は特例公債、そして並びに所得税の一部を改正する法律に関して九十分の時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

まず、残念ながら、先週、我々民主党会派が反対をする平成十七年度予算が成立をしてしまいました。しかし、一つ私が救いであったと思っておりますことは、当委員会にずっとそれまで出ておりまして、財務大臣を始めすべての委員の皆様が我が国の抱える財政危機の問題、特に少子高齢化、さらにはグローバル経済が進む中でのこの財政赤字の問題を非常な危機感を持ってとらえておられるということでございます。

今日は、さきに多くの委員がマクロ的なお話を質問をされましたので、私は若干ミクロな部分、さらには現場感に立った質問をさせていただきたいと思います。特に税の、お金の集め方ということで税制の問題、そしてお金の使い方ということで予算執行、歳出の、支出の、その辺りの問題を中心に質疑をさせていただきたいと思います。

その前に、私自身が、以前にも申し上げました、公認会計士、税理士という仕事をしてまいりました。その中で得た確信は、税はできるだけ安く、そして税制というのは簡単で分かりやすくあればあるほどいいという、その確信でございます。こういう信念を持ってやらさせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

そして、本題に入りますが、所得税の定率減税の縮減、赤字国債の発行について議論をいたしますが、この税収と支出の差額としてのいわゆる借金、なぜこれほどまでに我が国の抱える借金が膨らんでしまったのか、そしてまた現状はどうなのか、この点につき皆さんと意識を共有をさせていただきたいと思います。

これは非常に大きな問題でございます。私たち、現在の財政に影響を与えるだけではございません。将来の子供たちにツケを押し付ける、投票権を持たない、意思表示も何もしていない子供たちに彼らの未来の自由を奪うという形で借金を押し付けるという、大変大人として、また政治家として重い責任を持っているということを改めて確認をいただきたいと思います。

また、谷垣財務大臣にあられましては、私も同じ京都の福知山出身ということで、前回も申し上げましたが、四十七代目の内閣総理大臣、芦田均首相が誕生しておりますが、芦田均首相は戦後の復興に貢献をされ、また日本国憲法の制定にも携わられた偉大な総理大臣でございましたけれども、大臣も、谷垣大臣も是非二人目の総理大臣になっていただきたいなと思います。しかしながら、その条件として、この財務大臣の在任中に、膨れ上がるばっかりのこの借金地獄、財政赤字に初めて本格的に手を着けた、メスを入れたと、こういうふうに後世評価されるような仕事をしていただきたいと思っております。それが条件でございます。

それでは、債務の、借金の問題に入らせていただきますが、前回の当委員会でも同僚の富岡議員が質問をされました。国の抱える国債残高、さらには政府短期証券、また財投、特例債、政府債務保証等々入れますと、二〇〇四年度末、この三月末で何と一千兆円を超える、まあ隠れ借金も含めてでございますが、債務があるということになっております。

これは、私自身は、感想でございますが、財政規律を重んじる財務省の皆様を除いた他の府省庁の政治家やそして官僚の皆さんが一体となって、景気対策のため、そしてまた社会保障のためと言いつつ、予算をよこせよこせと、こういう大合唱の中で、残念ながら財務省がその圧力に屈してきた歴史ではないかと私自身も思っております。他の委員会に私も代理でいろいろ出させていただきますけれども、相変わらずそういった圧力、グループからの要求というものは相当なものでございます。

私自身、この財務委員会で皆さんがどんなに危機感を共有されても、他の府省庁の皆さんが意識を同じくしていただかなければ、なかなかこれは対抗できない、財政規律回復には難しいんではないかと思うんですが、その辺り、まず大臣、御感想というかお考えをお聞かせください。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員から私どもの郷土の大先輩である芦田均先生のお名前も出されて、気合を入れていただきまして、大変緊張して答弁に立ったわけでございますが。

今委員がおっしゃった我が国のこの財政状況、これはいろんな数字の取りようがございます。私たちが一番普通に使っておりますのは、原則として税金で返していかなければならないもの、これを中心に考えているわけですが、それを取りましても、先ほど委員がお挙げになった数字は年金とかいろんなものが入っておりますが、原則として税金で返さなきゃならぬというものを取りますと、平成十八年度末で国の残高が五百三十八兆と、地方も合わせると七百七十四兆と。いずれにせよ、これはもう大変厳しい状況でございます。

そこで、なぜそうなったかということになりますと、──平成十七年度末でそういうことになるわけでございますが、なぜそうなったのかということは、これはもちろん私ども財務省の予算編成の在り方ということももちろんあるわけでございますが、大きく言えば、我が国の政治や社会、経済の在り方そのものとも言ってもいいんではないかというふうに思っております。

それで、これだけ債務がたまってまいりました直接の原因は何か、端的にお答えすれば、これは特に平成に入って加速度的に累増しているわけですが、やはりバブル経済が崩壊して経済が底抜け、底が割れてしまうんじゃないかというような状況の中で、累次にわたる景気対策、経済対策、それから減税等を打ってきたということが直接の原因であるというふうに思っております。

そこで、これに対応していくためにはどうしてもまず歳出の聖域なき改革、歳出構造の見直し、併せて歳入面も考えていかなければならないわけですが、委員がおっしゃったことは、特に歳出面で聖域なき見直しと言うけれども、現実にはこういう歳出もすべきではないかと、こういう予算も付けるべきではないかと、非常な圧力がある中でよほど危機感を持ってやっていかなければできないぞという御指摘であろうと思います。

確かに私、今の仕事をさせていただきまして、本当にやはり必要な歳出というのはこれは当然もうあるわけでございますが、一番苦しいのは、やはり経済状況が悪くなってきておりますし、高齢化が進んできておりますから、どうしても高齢化関係のものは幾ら抑えてもこれは伸びざるを得ない。そうしますと、あとのものにもなかなか必要なものに回しにくいような状況になっておりまして、よほどここは私どももそれから先生方も危機感を共有してやっていかなければいけないところではないかというふうに考えております。

○尾立源幸君 大臣もおっしゃるとおり、いろんな圧力、既得権益を守るグループ、新しいグループいろいろございますけれども、もう一つ私いろいろな財務官僚の皆様とのやり取りの中で感じましたことは、特に若手の財務省の優秀な方々、この方が、要は政府のむちゃな予算を増やせというリクエストにこたえて次々と新たな国債の種類を増やしていかれた。例えば個人でも買えるように一万円から国債の販売をしたり、さらには変動利付国債とか、またさらには海外でもっと購入してもらいたいということでいろんなPRをされておりますけれども、逆にこういった優秀な方々がいらっしゃるがゆえに私は借金をどんどん重ねてしまったんではないかと。これはどっちが先かは分かりませんけれども、余りにもむちゃなリクエストにこたえ過ぎるのではないかと、そんなふうに思っています。この点は、大臣、どのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今の点は、委員自身もちょっとそういう口吻も漏らしておられますが、どちらが鶏でどちらが卵かというのはなかなか難しい問題でございますけれども、私は、個人向け国債とか新しい国債保有者層を多様したり国債商品を多様化していくことが国債を増やしたというよりも、やっぱり国債を、これだけ借金が積み重なりますと、いかに安定して国債を消化していくかということを真剣に試みざるを得ない、その結果として今おっしゃったようなことが出てきて、あるいは日本の国債ということから考えれば、保有者層を多様化するというのは、これほど積み重なる前からもっと早くから取り組むべき問題であったのかもしれませんけれども、多様化したりいろいろ商品を開発することがその借金を増やしていく原因であるというのは、ちょっと違うんではないかなという気がいたします。

○尾立源幸君 いずれにせよ、現実的に、一千兆円とは言いませんが、七百兆円を超える借金がございますが、大臣とも意識を共有していただいたかと思いますが、何はともあれ、この委員会だけではなく、他の省庁の役人の皆様や、また政治家、さらには国民みんなでこの意識を共有することが私は大事ではないかと思っております。すなわち、一人一人が納税者、タックスペイヤーとしての意識をしっかり持つ、ここから私はこの改革が始まるのではないかと思っております。

そこで、私も言いっ放しではいけませんので幾つかアイデアを出させていただきたいと思います。

一つは、皆様のお手元に今日資料として配らせていただきました一ページ目にあります借金時計と呼ばれるものでございます。中には御存じの方もいらっしゃるかと思いますが、実はこの借金時計、我が国と同じく財政赤字に苦しんでおりましたアメリカで、ある篤志家の方が自分のお金でこの借金時計というものを作りまして、今アメリカの国の借金はどれほど増え続けているのかというのをみんなに分かってもらおうということで、ニューヨーク・マンハッタンの六番街に設置をしたものでございます。

その結果、このインパクトがあったんだと思います、クリントン政権時代、二〇〇〇年には、下に細かく英語で書いてございますが、この時計、借金がゼロになった。止まった。しかしながら、今は残念ながら、ブッシュさんになって二〇〇二年からもう一度この借金時計が回り始めたと、債務が増え続けているということでございますが。

私も、日本のこの財政、これに当てはめて考えました。そうすると、御承知の方も多いと思いますが、何と一秒間に、私がこうやって質疑をしておる間にも九十二万円という新たな借金が積み上がっております。一日国会やったら七百九十四億円です。このような危機感を是非みんなで私は共有したいんです。そのために、時計まで作ってくれとは申し上げませんが、是非、もし我々がこの借金時計の表示板を用意しましたら、財務省の建物の、どうですかね、正面ぐらいにばんと付けさせていただきたいんですけれども、御許可お願いできませんでしょうか。これ民間で付けますと場所代だけで広告で何千万というふうに取られます。どうかちょっと、正門か正面をお借りしたいんですが、どうでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) この借金時計、財務省に設置せよ、財務省に場所だけでも提供せよということでございますが、ちょっと、にわかのお尋ねで、国有財産の管理上どうなるのかちょっとお答えがしにくいんですが。いや、私どもも国民に財政の状況をよく伝えて、それで国民の間にも当然不安なりあるいは不満なり、そういうものがあるわけでございますので、そういうものとよく対話をして、現状をお互いに正確に認識して、正しい方向に改革を進めていく努力は当然しなきゃならないと思っております。

それで、今までも、例えば国の財政状況を家計に例えるとどれだけ所得があってどれだけ仕送りをしているかというような説明もさせていただきましたし、あるいは公債残高を一万円札で積み重ねるとどのぐらいになるかとか、いろんなことで分かりやすい説明に努めてきたわけでございますが、私も、予算、先日、先ほど残念ながらとおっしゃいましたけれども、通していただきまして、やはりこれから、先ほど申しました国民の皆様にやはりその辺りもよく理解をしていただいて、濶達な御議論もお願いしなければなりませんので、更に四月から財政に関する国民との対話というようなものも工夫してやらしていただきたいと思っております。

○尾立源幸君 是非、時計を作った暁には、許可、検討願いたいと思います。

次に、歳出削減の具体的な方法論として一つ二つお話をさせていただきたいと思います。一つは、二ページ目に、資料お手元お配りした、ございます。

実は、無駄な支出そのものを減らすことは当然でございますが、私は、今ある支出の中でもっと効率的なコスト引下げをしたお金の使い方ができないということで、このグラフを皆様にお示しをさせていただいております。これは、実は一番上の①総計というのを見ていただきたいんですけれども、黒い太い線の方が公共建築工事の単価でございます。そして、下の線が民間建築工事での単価を示しております。これは多分全国平均ということでございますので、大勢を示しているというふうにお考えください。

一九九〇年、大臣おっしゃいましたバブル経済が破綻する前までは割とこの民間と公共の単価というものが、ちょっとやっぱり公共の方が高いんですけれども、一致をしておったと言ってもいいと思うんですが、九〇年、バブル経済崩壊してからぐっとこの乖離が見られております。公共工事の単価は高止まり、民間の方はぐっと単価を引下げ成功しておりますというか、引き下がっております。

そして、これを今の公共工事支出に当てはめますと、今、国は七兆五千億ぐらいを公共工事で使っておるわけですけれども、この乖離幅は実は民間と公共建築は一・七倍の差になっております。正に七割高、七〇%高というのが今のこの公共建築工事の現状でございます。逆に言うと、民間並みに七〇%を下げれば七兆五千億の公共工事支出というものは約三兆円減らせるんです。四兆五千億に減らすことができます。

いろいろまた理由はあるとは思うんですけれども、こういった客観的なデータがございます。やればできる、私はそのように思っております。少なくとも一割、二割、三割、四割できるんじゃないかと思いますが、財務大臣、どのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 委員からこれはお配りいただいた資料を見ますと、確かにかつてに比べますと差が開いているというのがこのグラフにも表れているなというふうに拝見したわけですが、公共工事と民間工事とは、それぞれの目的も違ったりするところもありますので、一概に比較するのはなかなか難しいところもあることは事実だと思いますけれども、いかにしてその公共工事のコストを縮減してより効率的なものにしていくかということは、こういう厳しい財政状況の中で、先ほど申し上げた国民の不安や不満を解消していく上でも私は必要なことではないかと思っております。

そこで、平成十五年度から政府全体として、そのコストをどうして引き下げていくかという観点から、公共事業のすべてのプロセスを見直してコスト構造改革をやろうということで取り組んでおりまして、五年間で物価の下落率を除いて一五%コストを削減しようということに今取り組んでいるところでございます。

そこで、平成十七年度でも、事業のスピードアップであるとか、それから、計画から施工して完成するまでいろんな段階があるわけでございますが、その段階ごとのいろいろな最適化をどうしてやるかとか、それから調達をどのようにもう少し最適なものにやれるかというようなことを推し進めておりまして、コスト構造改革ということはきちっとやっていかなければならないというふうに考えております。

○尾立源幸君 是非その努力をお願いをいたし、引き続きモニターをさせていただきたいと思います。

もう一点、今ある歳出の問題ではないんですけれども、ちょっと懸念される事態が起こっております。

それは、御承知のとおり、今、小泉さんを始め政府全体で国連への安全保障理事国入りを、常任理事国入りを目指しておられますが、三月二十日に国連のアナン事務総長が発表された報告書の中には、国連の常任理事国になる場合には、ODA予算というものを、その国のGDP、GDPの〇・七%に達しているか又はそれに近い、近づけるよう努力しているかと、こんな基準がございます。

我が国に当てはめてみますと、五百兆のGDP掛ける〇・七ということで、三兆五千億にも上るわけでございますけれども、今、平成十七年度ODA予算は七千八百六十二億。一体、この三兆五千億と七千八百六十二億の差をどうやって解消されるのか。解消されないというなら結構なんですけれども、常任理事国に入るということは、三兆五千億にもっともっと近づけろ、支出を増やせという要求がこれから国連から参るわけでございます。それに限らず、これから、明日ですか、議論されるIDAの方にも三年間で二千四百七十八億円の出資も予定されている。

このような、常任理事国に入ればいいことも多分たくさんあると思いますが、しかしながら、それに伴う義務といったものを政府の皆さんはもっとしっかり国民に説明をしなきゃいけないんじゃないでしょうか。いいことばっかりおっしゃって、義務の方をほとんど私はおっしゃっていないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員がおっしゃいましたように、先日のアナン事務総長の報告書で、安保理改革に関連してODAについて対GDP比〇・七%を達成すると、それからそれに向けた進展がある、こういったことが重要な基準であるという指摘がなされております。他方、その報告の中でも、ODAの水準だけじゃなく、例えば外交面等も含めた国際貢献の大きな国に意思決定の関与を増加させるべきだという指摘もありまして、〇・七%が一義的に条件だというわけでは私は必ずしもそうではないというふうに思っておりますけれども。

この問題は、日本にとりまして大変悩ましいのは、かつて日本はやっぱりODAにしっかり取り組もうということで、十年近く世界でも最大のODA供与国であったという、これはやっぱり私は相当大きなことであり、大きくやはり評価していただくべきことであって、国連改革の場合でも、過去における実績というのをこれはやっぱり正当に評価していただかなければいけないと思うんですね。

日本にとってつらいのは、やはりそれだけ頑張ってきたけれども、財政も厳しくなってなかなか今までのようには継続ができないぞということになってきたときに、諸外国ではむしろODAを増やそうという動きになってきたところが日本にとっては非常につらいところだと思っております。

財政をお預かりする立場としては、今委員のおっしゃいますように、ODAの在り方等についてもしっかり説明をしていかなければならないと思っておりますが、当面、私どもがやはり考えることは、ODAもきちっと使われて、日本の外交上あるいは世界の安定的な発展の上で極めて大きな役割を果たしているものは厳然として存在すると。他方で、さあこれはどうかなというのもないわけではありませんし、ODAを受けた国が必ずしもそれを十分こなせないというような現実もあるわけでございますので、やはり、何というんでしょうか、効率的なものに、そしてより効果の上がるものに重点的に投下をしていくというような動きをしながら、日本の存在も低くならないように工夫をしなければ、一番そういう工夫が求められているところではないかというふうに思っております。

○尾立源幸君 参議院の方でも、ODAに関しては先輩や同僚の皆さんでODA改革ということでいろいろモニターしておりますので、引き続き、今大臣のおっしゃった視点で我々もしっかりチェックをしていきたいと思っております。

最後に、資料三ページ、四ページにお付けしております、これはスウェーデンの中学校の教科書でございます。ちょっと今ブームになっておりまして、皇太子様が誕生日に朗読された詩が入っておるこの教科書でございますが、その詩を取り上げるというわけではございません。

四ページ目、実はこの中学校の教科書の中で家計の話が出ていて、家庭のお金の使い方の話が出てくるわけでございますが、どうしてもお金が足りないときはどうするかというこの基本的なことに対する答えが「支出を切り詰める」、丸ポチで書いてあると思いますけれども、これを改めて少し読ませていただきたいと思います。お金が十分にないときは、人はどうすれば良いでしょう。その第一の方法は、追加的な仕事をするとか、パートを全日の仕事に変えるとかして、収入を高めることは明らかです。しかし、多くの人々にとってそれは不可能なので、彼らは支出を切り詰めるのですと、このように書いてございます。

正に、この最後の一文でございますが、「支出を切り詰める」、是非この、スウェーデンの中学校の皆さんはこうやって勉強しております。私たち日本の大人も、もう一度原点に返ってこの点をしっかりと認識しなきゃいけない、そんなふうに思って添付させていただきました。  それでは、具体的にお金の使い方、支出の部分に入らせていただきたいと思います。

先ほど、残念ながらと申しました、この平成十七年の予算が成立したわけでございますけれども、この予算の中には一般会計、特別会計、さらには特殊法人等独立行政法人、それらに対する交付金や補助金が含まれております。

お配りした資料の六ページ、済みません、資料ばかりちょっとぺらぺらめくらせて。

グラフがまたお手元に出てくると思いますが、一般会計と特別会計の歳出総額の推移ということで、青いグラフが一般会計の歳出を表したものでございます。赤いグラフが特別、赤と黒が同じで済みません。済みません、私のだけカラーになっていまして。上の方が特別会計の歳出でございます。これを見ていただければ一目瞭然なわけでございまして、一般会計は財務大臣がおっしゃるように何とか頑張っているよということでございますが、この特別会計に関しましてはぐんぐんウナギ登り。何かちょっと二年前でしょうか、へっこんだんですけれどもまた上がっていると、こんな状況でございます。この状況を称して、もうこの委員会でも出ましたが、塩川元財務大臣は母屋でおかゆをすすって離れですき焼きを食べていると、こううまいことをおっしゃっておるわけでございますけれども。

そこで、まずお聞きしたいのは、一般会計、特別会計から、一般会計、特別会計です、この総額、今年で、今年の予算で大体二百五十兆ぐらいになるんでしょうか。GDPが五百兆ですから、ほぼ五割をこの政府関係の支出で賄っていると。大した国だなと思うんですけれども、この一般会計、特別会計から特殊法人、独立行政法人等に流れている交付金、補助金のこの総額をお聞きしたいと思っております。財務大臣、どうかよろしくお願いします。

○政府参考人(杉本和行君) 一般会計及び特別会計から特殊法人、認可法人、それから独立行政法人に流れている財政支出の総額というお尋ねでございます。

平成十七年度、一つ特殊要因がございます。それは、年金資金運用基金というのがございますが、これに対する財政支出として、年金住宅融資事業等の廃止に伴いまして、その事業に係ります財政融資資金借入金を同基金の解散のときまでに償還するということにされておりますので、当該償還に要する資金として政府が行う財政支出、これが四兆四千億円強ございます。

これは実体といいますよりも、財投から借り入れたものを特会の関係に勘定上振り替えるということでございますので、実質的にはその会計上の整理だというふうに考えておりますので、この特殊法人を除いたところで、特殊法人及び認可法人向けの財政支出が一兆一千七十八億円でございます。

それから、独立行政法人向けの財政支出でございますが、これについても一つ特殊要因がございまして、石油公団の解散に伴いまして、公団が実施しておりました債務保証及び出資に係る事業の一部を独立法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に移管するため行う出資分の増額、これも法人の改革に伴う、改定に伴う振替でございますので、これが七百六十二億円ございます。これを除いたところで三兆二千七百五十七億円でございまして、その両者合わせまして、特殊法人、認可法人、独立行政法人向け財政支出を合計した額は四兆三千八百三十五億円でございます。

○尾立源幸君 いずれにいたしましても、四兆三千八百三十五億円、大変な、ある意味で税金がこの特殊法人等独立行政法人へ流れております。

そこで、私、この特殊法人、独立行政法人、いろいろ調べさせていただいたわけでございますけれども、調べれば調べるほど、さっきの塩川元財務大臣の話の続きがございました。先ほど、母屋でおかゆをすする、そのとおりです。そして、離れですき焼きを食べる、そうだな。それで、その先があったんですね。その先は、外に出掛けていってどんちゃん騒ぎをしている、これがその話の結末でございます。その辺りについてこれから質問をさせていただきたいと思います。

やっぱりどんちゃん騒ぎ、まずいだろうということで、多分政府の皆さんもいろいろと取組をされたと思います。今日は行革担当の副大臣、また総務の副大臣も来ていただいておりますけれども、若干その辺りをお聞きしたいと思います。

特殊法人、よう分からぬ、そしてまた無駄遣いが多いんとちゃうか、それでさらには天下りが多いんじゃないかと、こういう批判があったわけでございまして、それを何とか改善していこうということで独立行政法人制度というものがその一つとして始まったと思います。
それでは、この独立行政法人制度が改めて導入された経緯、理由を担当大臣から教えていただきたいと思います。

○政府参考人(藤井昭夫君) 独立行政法人制度創設の経緯についてのお尋ねでございますが、背景としては、やはり従来、特殊法人とか認可法人の改革が問題になっておりました。それからもう一つは、やっぱり国の事務を一層アウトソーシングすると、そういう背景があったと思っております。

直接の契機になったのは中央省庁改革が御論議された行政改革会議でございまして、その最終報告において、国自らが主体となって直接実施しなければならないものではないが、民間の主体にゆだねた場合には当該事業が必ず実施されるという保証がなく、実施されないときには国民生活や社会経済の安定等に著しい支障を生ずるものについて、これからが重要なところだと思いますが、これを自律性及び透明性を備えた独立行政法人に行わせることとされ、そのための具体的な制度設計についてもろもろ御提言があったところでございます。

○尾立源幸君 それでは、改めてお聞きします。

そのようにして創設された独立行政法人制度、特殊法人と何が最も違うのか、二つお答えください。

○政府参考人(藤井昭夫君) 特殊法人については、従来、親方日の丸であるとか経営の活性化が図られてないとか、いろいろ御指摘があったところです。

それで、そういう中で、財務会計についても企業会計を逐次導入しようとか、あるいは透明性を向上させよというような改革はなされていたところですが、なかなか統一的な形ではなされなかった。ということで、独立行政法人通則法というものを設けまして、通則法で必要な最小限な制度設計をやろうとしたというところが一つでございます。

その中で特に重要視されたというところでございますが、やはり国の関与というものを最小限にすると、それから自立性を高めさせると、あるいは経営責任というものを明確化すると、こういう一つのまとまりがございます。

それからもう一つは、民間企業なんかは市場メカニズムとか利潤といったものによって経営が逐次改革されているという要素があるんですが、なかなか独立行政法人についてはそういう要素が働きにくいというようなこともございまして、一つは、中期的な事業計画というものを作って、その中に客観的な目標管理の仕組みをビルトインさせると。その上で、まあ四年とか五年とか中期的に評価をすると、その評価については中立的で客観的な仕組みで評価すると、そういう制度がビルトインされたというところにあろうかと思います。

○尾立源幸君 それでは、要約して申し上げますと、予算が使いやすくなった、自由度が増大した、これが一点。もう一点は、いろんな目標を設定していく中で、いったんやっていただいて、その後、事後評価制、事後評価制度というものを導入した。これでよろしいでしょうか。

○政府参考人(藤井昭夫君) すべての目標というといろいろあろうかと思いますが、やっぱり主要なねらいであったということは御指摘のとおりかと思います。

○尾立源幸君 このように創設された独立行政法人制度でございますけれども、法人の受け取る予算というものが、交付金というものが弾力的、効率的運用ができるということが、これはメリットだと思います。

そして、お手元の資料、そのためにどういうシステムがつくられたか、八ページごらんください。今、お金を渡すというところは、真ん中に「各府省」というのが書いてあると思いますが、そこから運営交付金という形で独立行政法人にお金が流れております。ここの部分を指しております。このお金をいただくに当たりまして、まず独立行政法人自らが計画、中期目標と申し上げました、これを立て、そしてそれを実行して、さらに、右側に書いてありますが、各府省の独立行政法人評価委員会、これは各府省の下に置かれております評価委員会でございますが、ここで事後評価をすると。英語で「PLAN」、「DO」、「SEE」と書いてございますが、このサイクルがうまくぐるぐるぐるぐる回ることによって独立行政法人を本当に機能させていこうという、こういう仕組みだと思いますが、それでよろしいでしょうか。

○政府参考人(藤井昭夫君) 確かにこれが一つの大きなスキームの一つであると思いますが、あえて付け加えさせていただくならば、やはり財務諸表等というものをできるだけ客観的な形で評価可能なように作っていただいて、それをやっぱり透明性を向上するというか、世間の方も見られるような形で、そういう制度の上でこういうような制度が機能するということをねらっているんだと思います。

○尾立源幸君 ありがとうございます。その部分は恐らく業績報告というところで含まれていると思いますが、そういうことでよろしくお願いします。

次に、それでは細かく見ていきたいと思います。  今申し上げましたプラン・ドゥー・シー、計画・実行・評価というこのサイクルの各それぞれのパーツについて見ていきたいと思います。

まずプランの部分でございますけれども、独立行政法人の中期計画ではどの程度の、まず金銭的な面でございますが、経費を削減することになっているのでしょうか、財務省の担当の方お願いいたします。

○副大臣(上田勇君) お答えいたします。

独立行政法人の中期計画は、主務大臣がまず中期目標を定めまして、それを達成するために各独立行政法人がその中期計画を自ら作成をし、そしてその各独立行政法人ごとに主務大臣の認可を受けるということとなっております。

そういう意味では、それぞれの行政法人が主務官庁の認可を受けて、その経費削減あるいは効率化の目標、そういったものをいろんな係数などを使いながら、係数等を設定をしながらそれぞれ中期目標の中に定めているという形になっております。

○尾立源幸君 具体的な数値目標、削減数値目標はないということでしょうか、全部任せっ切りということでしょうか。

○副大臣(上田勇君) それぞれの独立行政法人ごとに数字で目標を定めているということではございません。

御承知のとおりだというふうに思いますが、中央省庁等改革推進本部で平成十二年四月に独立行政法人中期計画の予算等についてということで決めておりますけれども、その中にその予算の考え方などはまとめておりますが、具体的、それぞれの各法人の業務内容とか構造等、まあ財務構造等に応じましてそれぞれ効率化係数等が設定をされております。

○尾立源幸君 おかしいですね。私がいろいろ独立行政法人の皆様から今十八ぐらいヒアリングをしたところ、皆さん一律で、毎年少なくとも一%、五年間で五%ぐらいというふうにおっしゃるんですね。判で押したようにこのようにお答えになる。じゃ、財務省としてはそのような明確な指針は出されてないということなんでしょうか。

その前に、私、二〇〇一年四月に独法に移りました幾つかの行政機関について調べました。八十二の行政機関のうち、例えば国立近代美術館や国立西洋美術館、国立国際美術館、こういった三美術館を単一法人にいたしまして、八十二が五十五に統合された、これは結構かと思います。その次、独法の産業技術総合研究所は十六の、十六の研究所を一つに統合いたしました。次、独法の農業・生物系特定産業技術研究機構、大変長い名前が付いておりますが、これは七つの研究所、試験所を統合して一つとなりました。これらの独立行政法人のやはり中期計画を拝見すると、やっぱり運営交付金をもらわれているところは毎年一%の経費削減、効率化を行うと書いてあるんです。

改めて申し上げます。これは独立行政法人の統一目標なんですか。

○副大臣(上田勇君) 先ほども申し上げたとおりなんですが、それぞれの運営交付金の算定ルールというのは、独立行政法人のやはり自主性を十分尊重するというのが先ほどの御説明にもあったとおりでありますし、また、それぞれの独法の業務内容とか財務構造、こうしたことに即して適切なルールが定められております。

したがって、その効率化目標についてもそれぞれの独立行政法人の性格、特性等に応じて設定をされていまして、そのような算定ルールを含めた中期計画、それぞれが独立行政法人ごとに主務大臣により認可されているものだというふうに承知をいたしております。

もちろん、今委員から御指摘があった、そういうようなもっと効率化ができるのではないかというようなことについては、先ほどもその事後評価が非常に重要だというような御説明があったとおり、これはそれぞれ各府省の独立行政法人評価委員会において厳格な事後評価が行われて、それに基づいて更に見直しが行われるだろうというふうなことになるんではないかというふうに思っております。

○尾立源幸君 例えば大学入試センター、これは一つの行政機関が一つの独立行政法人に移行したわけでございます。そこは一%、何となく分かります。

しかしながら、先ほど申し上げましたような十六や七個を統合したような、民間であれば合併する、それは間接費を減らす、また効率化をするためにこれやるわけでございまして、統合前と統合後が同じようにお金が掛かっているようでは、民間並みとか民営化をにらんでみたいな、こんな話は全く通用しないと思いますが、どのようにその辺はお考えなんでしょうか。もっともっと効率化が合併当初で盛り込まれてもいいはずだと思いますが、いかがですか。

○副大臣(上田勇君) 先ほども御説明をさせていただいているところなんですが、一つはこれ独立行政法人に移行するというのは、それぞれの独立行政法人のなるべく自主性を尊重するということと、それから事前の様々な規制よりもそれはやっぱり事後評価に重視をするというようなことから、基本的に先ほど御説明させていただいたようなルールが定められております。

ただ、今御指摘にあった例えば産業技術総合研究所、これは今まで十六の機関を統合再編をしたというようなものでありまして、当然今その目標、目的というのは、今委員が御指摘になったように、できるだけ経費の効率化を図っていくというところが一つの目標であるのは間違いがございません。

それで、第一期の中期目標における運営交付金の算定では、この一般管理費と業務経費を区分せずに交付金全体を算定方式によりまして算定をしておりますけれども、これは対前年度比マイナス一%の効率化係数を乗じた金額をベースに、毎年度の政策的な必要性を踏まえて、これは政策係数と、これは政策的な必要性についてめり張りを付けるということでありますけれども、これを掛けたもので算定をしておりますが。

こうした交付金を管理部門の経費と、それから、これは間接経費ですね、それと研究開発等の業務経費、これに区分をしてみますと、十三年度と十六年度、これを比較いたしますと、最初の管理部門経費等の間接経費、これはこの十三年度から十六年度の間にマイナス一一・六%、一方で研究開発等の業務につきましては、これは今科学技術振興等が政策目標として推進をしているところでありますので、ここについてはプラス〇・八%という意味で、そういう間接経費についてはできるだけ効率化を図り、なおかつその業務部門についても政策目標を達成しつつ、その中でできるだけ効率的な運営を図っていくというめり張りは付けた形になっているというふうに思っております。

○尾立源幸君 いずれにいたしましても、この各省、府省庁、府省から予算の要求が出てくるわけでございますから、財務省の方としてもしっかり見ていただきたいと思います。そして、その一%削減でもいろいろ各法人によって何に対して一%削減かというそれぞれの個別解釈がございまして、人件費を含んだ総額であったり、人件費を除いたり、また追加の新しい仕事には適用しないとか、本当に焼け太りにならないように、是非きちっとチェックをしていただきたいと思います。

それで、今スタートの時点でちょっとつまずいておるわけでございますが、中期計画で事後評価をしてしっかり見るんだよと大臣、副大臣はおっしゃっております。それでは、じゃその中期計画における目標というのが本当にいいのか、私もこれちょっと調べさせていただきました。  そうすると、新しく独法になりました高齢・障害者雇用支援機構のこの中期計画、数値目標で障害者雇用納付金、これは法人が障害者の方を雇用しなかったときにペナルティーとして払うものだと思いますが、その収納率九九%を維持と、このように中期目標に書いてございます。しかしながら、財務諸表を見ますと、実際には三億七千万円の未収金が発生しております。これはなぜでしょうか。想像で結構でございますので、何でこの九九%、ほとんど収納しているのにこんな三億七千万の未収金が発生しているのか。想像で結構ですので、想像力を働かせてお答えください。

○委員長(浅尾慶一郎君) どなたに御答弁を求めますか。

○尾立源幸君 総務省、お願いいたします。

○副大臣(今井宏君) 詳細にわたりましては承知はしておりませんけれども、建前と本音ということがあるのかもしれません。

○尾立源幸君 おっしゃるとおりでございます。

実は、ヒアリングをさせていただきましたら、収納率とは企業が納付申告を行った率、つまり申告書、払いますよと言った率を収納率とおっしゃっているようでございまして、実際に納付金を受け取った率ではないそうです。ですから、要は払いますよというペーパーは出てくるわけでございますが、実際にそれを払ってもらえるかどうかは分からないと。逆に、私からすれば、回収することに非常に、回収することは非常に重要だと思うんですけれども、その辺はどのようにお考えですかね。

○副大臣(今井宏君) 尾立委員さん御指摘のように、最終目標というのはやっぱり回収をしなければならない、収集しなければいけない。その目標設定をきちんとして、そこに至る手だてというものを、ハンディを持っている方々に対するということもあるんでしょうが、あらゆる手だてを考慮する中で企業者の理解をいただくという努力をすることが大切なことではないか、このように思っています。

○尾立源幸君 先ほどの一%の経費の削減の問題や中期目標で定めている九九%、こういったものが実態と懸け離れておりますと、結局は意味のないものになってしまいます。どうかその点をもっと細かく見ていただいて、指導を逆にしていただく、こんな体制が必要なのではないかと私は痛切に思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。

それでは次に、独立行政法人の実行の部分について御質問をさせていただきたいと思います。

まず、先ほど上田副大臣から運営交付金の話がちょっと出ましたけれども、仮にこの独立行政法人が自主財源を増やした場合、すなわち自分で収入を自らの手で得た場合、この運営交付金は減額されるんでしょうか。

○副大臣(上田勇君) お答えいたします。

一般的には、自己収入が想定される場合には、今委員が御指摘になったようにその額を運営交付金の算定上控除するということにはなっております。

ただし、それでは自己財源を増やそうというなかなかインセンティブが働かないことになりますので、法人に対しては、経営努力へのインセンティブを与える仕組みといたしまして、毎年度の決算結果において、法人の自らの努力によって予算に比較して自己収入の増加が生じた場合には、これは主務大臣のもちろん承認が必要ではありますけれども、それを中期計画の剰余金の使途の項目であらかじめ定めておいた使途に翌年度以降充当できるということとなっているところであります。

○尾立源幸君 なかなか厳しい縛りがあるようでございます。私もある独立行政法人の理事の方と面談をさせていただき、お話を聞きましたところ、やっぱり同じ悩みを持っていらっしゃるんです。幾ら頑張っても交付金が減らされてしまうんであれば自分たちの独自財源を増やす努力をもうやめてしまおうと、こんなふうにおっしゃっております。これは本当に残念なことだと思います。ですから、何とか、もっと経営努力をすれば、した結果収入が上がればどんどんどんどんその財源が、自由に使える財源が増えていくような、そのようなシステムを是非構築していただきたいと思います。

先ほどおっしゃいました剰余金の使途制限項目等々、まだまだそれでも厳しい縛りがあると思うんですけれども、その辺どのようにお考えでしょうか。上田副大臣。

○副大臣(上田勇君) 今の御指摘は非常に、両面ある問題だろうというふうには思います。

やはり、これはそれぞれ独立行政法人が自主的に運営をするというのが大前提でありまして、その中でその足りない部分を補てんをしている、その交付金という形で補てんをしているわけでありますので、これはやはり極力抑制をしていかなければいけないというのは一方でもう委員も全く御指摘のとおりだというふうに思います。その一方で、今お話にあったように、自己努力で自主財源を増やした分についてはやっぱり適正な評価をしていかなければいけない。

この二つの言わばちょっと相反する部分を両立をさせていかなければいけないということではないかというふうに思っておりますので、これらそれぞれ、先ほどから申し上げているんですが、独立行政法人のこの中期目標というのはそれぞれ主務大臣の認可ということでございますので、今後はどういう形が適切なのかどうか、それぞれの主務大臣とまた財政当局の方としてもよく協議をしていきたいというふうに思っております。

○尾立源幸君 もう一点、現場の声をお伝えさせていただきます。

それは、実は独立行政法人は企業会計に近い財務諸表をお作りになっておるわけでございます。これは独立行政法人会計基準という、こういった基準に基づいてお作りになっておりますが、しかしながら、各府省に報告書を出す際に官庁会計に準拠した書類ももう一つ作って出さなければならない。すなわち、二つのある意味で決算書、報告書を作らなければならない。これは大変だとおっしゃっておるんです。

どのようにお作りになっているかというと、企業会計的な帳簿をまず作って、それから手作業で足し引きをして官庁会計の決算書を、報告書を作る。せっかく企業会計を作って効率化やっているのに、こんな二度手間のことをやらせておるようでは、またこれ無駄遣い、非効率化、原因と思うんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(藤井昭夫君) お答えします。

この独立行政法人通則法では、その三十条、三十七条それから三十八条で今先生の御指摘の趣旨のことが定められてあるわけでございます。確かに、企業会計原則にのっとったその財務諸表の作成等は、その言わば財務会計の透明性を図るという意味では欠かせないことだというふうに、それはそれで重要だと認識しております。

ただ、一方では、法人もやっぱり事業運営をして組織を管理するという、そういう立場がございまして、そういう管理会計という観点からはやっぱり、各年度ごとの予算とそれに対する決算、そういうものがやっぱり必要不可欠だということでこういうことになっているんだというふうに考えております。

○尾立源幸君 民間では企業会計で予算の管理をしております。分析もしております。

現場の方おっしゃっていました。つまり、今、広野議員からもあったんですけれども、提出をされた、もらった方が企業会計的なものを出されても分からないから出せと言われていると、こんなふうにおっしゃっていました。是非、各省庁の皆様、財務省の皆様におかれましても、もう少しこの企業会計的な発想を取り入れていただきたいなというふうに思います。実情はそういうことでございます。

次、最後の一番大事なところでございますが、プラン・ドゥー・シーのシーの評価の部分について突っ込んだ質問をさせていただきたいと思います。

先ほど来、特殊法人とこの独立行政法人が最も違う点がこのプラン・ドゥー・シーのシーの部分であると、評価の部分であるというふうにそれぞれが、私と政府の間では認識共有できたと思うんですけれども、それでは実際、このかなめである、独立行政法人制度のかなめである評価委員会の委員が実際にどのように法人を評価しているのか、ちょっと概要を教えていただきたいと思います。総務省。

○副大臣(今井宏君) 尾立委員さんのシーの部分でございますけれども、御案内のように、独法法人にも評価委員会ができているわけでありまして、専門性及び実践的な知見を踏まえるため、主務大臣によりまして任命された外部の有識者により構成されておりまして、委員会が定める基準に基づきまして各法人の業務実績について評価をしていただいていると、こういうことであります。

実際の評価に当たっては、先ほど来あります中期計画、毎年六月末までに各法人から出されるわけでありますけれども、その実施状況を調査分析いたしまして、その結果に基づきまして評価を行っているというのが実態であります。

○尾立源幸君 ありがとうございます。

それでは、この独立行政法人制度の中で、この評価委員の方が適切に評価をされていると、このように御認識されていると、よろしいでしょうか。それと、中期というのは五年後でしょうけれども、それとは別に毎年毎年、単年度でも評価されていると思いますが。

○副大臣(今井宏君) 時間の関係もございますから結論だけ申し上げれば、まあおおむね適正に評価されているという認識をしておりますが、不十分な面が一部ある、そういったものは総務省としても担当から指摘をさせていただいているところでございます。

○尾立源幸君 不十分なところがある、じっくり聞かしていただきたいんですけれども、私が調べたところと同じであればいいなと思っておりますが。

私が調べましたところ、この独法の制度のかなめと言うべき評価制度、評価委員のうち、評価委員に対して約二億円の金銭が九十五名の方々に支払われております。全評価委員の数にしますと、一七%が自分が評価をしなければならない評価対象である独立行政法人そのものから金銭を受け取っているんです。もっと言えば、これは言い過ぎかもしれませんが、裁判に例えるならば、被告から裁判官が金をもらっている、こんなことが九十五人の委員によって行われております。

独立行政法人制度は行革の最大の目玉だと思っておりますし、その一つであると思っております。この件について、全く問題ないと思っておられるのか、見解を行革担当大臣、お願いします。

○副大臣(今井宏君) 先日、マスコミ報道によりまして、私も尾立委員さんの、(発言する者あり)お名前も承知いたしましたし、内容もマスコミを通して承知したわけでございますが、評価委員会の委員は、当然のことながら、任命されますと非常勤の国家公務員となりまして国民全体の奉仕者となるわけでありますし、公共の利益のために勤務するべき責務を自覚して公正に職務に当たらなければならないわけでございます。

いずれにいたしましても、評価委員会の委員につきましては各独法の各主務大臣が任命することになっておりまして、その人選に当たりまして、客観的にかつ中立公正な評価が可能となるように任命権者である主務大臣が適切に判断されるべきものであると、このように考えております。

○尾立源幸君 独立行政法人でポストを得ていながら評価委員をしている人が九名、一千万円以上の研究費を受けている例が七名、その他会議への出席謝金など、とにかく金銭を受け取っている人が七十九名、このようにポストや金銭を受け取っている評価委員が本当に適正な評価ができるのか、再度御答弁お願いします。

○副大臣(今井宏君) 評価委員の委員が法人から金銭を受領している例といたしましては、研究助成のほか研修講師の謝金、あるいは講演、シンポジウムへの出席したための謝金、あるいは技術的な評価基準検討のための委員会の手当、様々な例があると聞いているわけであります。これによって客観的な法人評価に影響を与えるおそれがあるのではないかという御指摘かと思いますけれども、これらにつきましては主務大臣において適切に判断していただくべき問題であると考えておるわけであります。

当然のことながら、各府省におきましても、必要に応じまして、法人から収入を得ている委員につきましては当該その法人の評価に参加させないなどの措置が講じられていると承知しているところであります。いずれにいたしましても、その人選に当たりましては、客観的かつ中立公正な評価が可能となるように任命権者である主務大臣において適切に判断するべきものと、このように考えているところであります。

○尾立源幸君 もう少し突っ込んで申し上げますが、先ほど言いましたポストの問題、独立行政法人の教授や特別研究員、研究主幹など務めながら、そういった自分の組織の属する改廃や存続を本当に公平に判断できるのか、一般常識から考えると非常にこのことは疑問でございます。是非、その常識というものをお持ちをいただきたい。

総務省は、このすべての独法のある意味で評価の親元でございます。二段階評価ということになっておりますけれども、そういった常識を是非働かせていただき、指導力を発揮していただかなければ、これが到底信頼できる独法評価制度とは言えないと、私はそのように思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(今井宏君) 今、具体的に大学の先生のお話がございました。当然、国立大学は独法法人になっているわけでありまして、その辺につきましては事務方から答弁させますけれども、いずれにいたしましても、今常識というお話がありました。正に法律そのものが常識であると言い換えても間違いでないわけでありまして、これからも常識というものを大切にしていく総務省でありたいと、かように思っています。

○政府参考人(藤井昭夫君) 私ども、独立行政法人通則法を所管している立場からということでお答えさせていただきたいと思いますが、この制度をつくったときの問題意識としては、当然行政改革会議最終報告というものがベースになるわけでございますが、その報告では、専門性、実践的な知見を重視するということと、客観性、中立性を担保できる体制という二つの点を挙げているところでございます。

専門性、実践的な知見というこの文言自体は、従来、審議会等の中に大所高所の観点からの審査みたいな審議会もあるんですが、むしろ実務家ベースの、実際に内容が分かる方というようなことを考えていたかと思います。それから、客観性、中立性を担保できる体制というのは、確かに構成員のメンバーも重要でございますが、そういう評価委員会の運営自体が透明性で公正な形で担保されると、あるいは事務局についてもやっぱり専門の組織を置くとか、そういう全体でやっぱり担保されるということを考えていたかと思います。

それで、その上で最終報告は、また外部有識者のうちから主務大臣が任命するとなっておりましたので、その外部有識者というのはどういう人たちを念頭に置いていたかということが問題になろうかと思いますが、通例、法人の経営について直接意思決定したり参画したり、そういったものは外部有識者とは到底言えないと思います。ただ、それ以外に、たまたま研修の講師に出たり、あるいは何ですか、その講座の一つに客員教授なり非常勤教授なり出ておられたと、それはいろいろなケースがあろうかと思います。なかなか、制度全体を管理する立場からは、そういう各省、各独立行政法人様々な形でなされていることについては把握するという立場でもございませんので、やはり各主務大臣において適切に判断して運営していただければというふうに考えている次第でございます。

○尾立源幸君 三月二十五日の参議院本会議で、我々の同僚の森ゆうこ議員に対する答弁で、村上大臣は大きな声で胸を張っておっしゃいました。「行政改革の分野では、特殊法人等の改革において、改革対象となる百六十三法人のうち、八割強について廃止、民営化、独立行政法人等の措置が講じられました。」と。そこでおっしゃったことは、官から民へということがどんどん小泉改革の中で進んでいるんだと胸を張っておっしゃっているわけでございますけれども、今日、行革担当副大臣来ていらっしゃると思いますが、これまでのやり取りを聞いていただいて、この村上大臣がおっしゃっていることと、例えばポストや金銭を受け取っている委員が外部有識者、公正な評価ができるのかどうかと、この点についてお聞きしたいと思います。

○副大臣(林田彪君) 独立行政法人制度はもうこの委員会でもいろいろ議論されておるとおり、大きな柱の一つであるということで、我が村上担当大臣も意欲を持って、あの馬力で頑張っておるところでございますけど、先ほど来、計画の段階、それから実行の段階、そして今議論されているのが評価の段階ということになろうかと思います。これ、申し訳ございませんけど、総務大臣の所管ということで、総務省からお答えいただくのがいいのかなというふうに思っております。

○尾立源幸君 わざわざ私が参議院本会議の村上大臣の発言を引用したのは、大臣が行革担当大臣として特殊法人の独立行政法人化や独立行政法人の見直しについて言及されているわけです。そしてさらに、行革事務局の下に独立行政法人に関する有識者会議というものを置いてしっかりやっていらっしゃるわけじゃないですか。なのに、なぜ全部総務省なんですか。

○副大臣(林田彪君) 今お答えしましたとおり、業績評価というのが二段階にわたってそれぞれ各府省からやる、そしてその元締と言ったら失礼ですけれども、トータルを総務省でやっておられるという関係で総務省にというふうにお答えさせていただきました。

○尾立源幸君 是非村上大臣におかれましては、行革担当、独法担当の大元締として頑張っていただきたいと思います。

○副大臣(林田彪君) 全体の話ということになりますと、これはもう私も含めまして内閣一丸となって頑張っていきたいというふうに思っております。

○尾立源幸君 委員の皆様、また政府関係の皆さんもこのやり取りを聞いていただいてお分かりになっていただいたように、とにかく客観性確保というために一丸となってこれ取り組んでいかなければ、ますます国民の信頼を失いかねない。ある調査がこの前発表されました。公務員を信頼しているか信頼していないかということで、大変残念な結果も出ておりますし、その中で一番大きな問題点が天下りというふうにも指摘されております。どうか我々政治家、また今日御答弁いただいているのはほとんど政治家でございます、政治家の責任としてきっちりこれをやっていこうではありませんか。いかがですか。

○副大臣(林田彪君) 今申し上げましたとおり、本当に常識の範囲とかいう話出ておりましたけれども、ある面では国民の目というのも非常に厳しいものを持っておられると思います。その辺を真摯に受け止めて、我々内閣府として一丸となって頑張っていきたいと思っております。

○尾立源幸君 是非その意気込みでやっていただきたいと思います。ありがとうございます。  それでは、ちょっとテーマを変えまして、お金の集め方、税制の方、今まで使い方の方をやってまいりましたので、集め方の方に入らせていただきたいと思います。

私も先日、確定申告の会場、大阪の方なんですけれども、実際に足を運んで現場を見てまいりました。今年は配偶者の特別控除がなくなったということで多少の混乱はあったわけですけれども、来年は大変な制度の変革が迫っております。御承知のとおり、定率減税の縮減、年金の課税強化、消費税の課税最低限の引下げ等々、恐らく確定申告の窓口は大変混乱するんではないかと、現場の税務署の皆さん、そしてまたそれを手伝っている税理士や仲間の皆さんもボランティアの皆さんも大変不安を持っておられたということをまず申し伝えたいと思います。

そこで、私が常日ごろ感じておりますことは、日本の個人納税者のうち約三千四百万人、これは若林議員からもございましたけれども、サラリーマン、医療費控除や住宅取得特別控除等、こういうことを受ける場合を除いてほとんどが年末調整で、企業における年末調整で何もしないままで申告が終わってしまうと。これは便利な反面、私は非常に納税意識の低下を生んでいるんではないかと、そのように思っております。

そしてまた、実務で私も税理士や会計士ということをやって税務に携わってまいりましたけれども、ここで強く思ったことは、本来サラリーマンも自分で確定申告をすると。自分の所得税額、社会保険料、労働保険料、介護保険料、いろいろ控除されます、そういうことをきちっと知っておくべきではないかと私は思っております。そうすることによって自分が幾ら払ったか、それによって自分の納めた税金の使い道にもっと厳しくなるんではないかと、このような確信を持っておるわけでございますが、谷垣大臣、通告しておりませんが、平成十六年における大臣の源泉所得税は幾らだったですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 申し訳ございません。私も一応税理士登録をしているんですが、ちょっと自分のがどうだったのか、にわかにお答えできる材料がございません。

○尾立源幸君 済みませんでした、突然の質問で。

いずれにしましても、これまでのずっと委員会の質疑の中で私が感じたこと、また皆さん共有していることは、これからの時代は自助、互助、共助、自助、互助、公助ですね、自助、互助、公助。互助を共助と言われる方もいらっしゃいますが、この順番でこの社会をつくっていくことが大事じゃないかと、これは皆の一致するところだと思いますが、幾ら口で自助が大事だ、互助が大事だ、公助が大事だ、こういう順番が大事なんだよと言っても、一向に私は改まらないのではないかと思っております。そこで、これを一気に意識改革をするために、お金の流れを変えればこの意識が私はしっかり根付いてくるんではないかというふうに思っております。

その一つが先ほど申し上げましたサラリーマンの総確定申告制度の導入でございます。これは面倒くさいなと思われる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、確かに面倒くさい面はあると思います。そして、税務行政の方々も大変だと思います。しかしながら、これを必ずやり遂げていかなければ私は意識改革はできないと、そんなふうに今思っておるわけでございます。

で、私の考えるアイデアは、当然一年間、源泉徴収はやっていただいて結構だと思います。そして、最後の最後は自分で確定申告書を出す。ここで大事なことは、確定申告書を作成して税務署に申告書を出したら納税になってしまった、これではなかなかインセンティブがわきません。ですから、そこで何かの仕掛けが私は必要だと思います。その一つとして、例えば英会話に行った、何か資格取得をした、そういった自己投資の経費を追加で申告することによって税金がちょっと戻ってくる、また寄附金をどこかに寄附をした、そうすれば税金が戻ってくる、こういったうまい仕掛け、これはもう財務官僚の皆様が得意でございますので、こういった仕掛けをつくることが私は大事だと思います。このアイデア、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 税に対してやっぱり関心を持っていただくためには、委員がおっしゃるように、自分で確定申告をして、場合によってはそれによって税が戻ってくるというようなことをきちっとやるというのが極めて意味があるというのは私はそのとおりだと思います。

今の日本の制度は年末調整がございますから、ほとんどの方はもうそこで確定申告を要しないという形になっておりまして、これは効率の面では非常に役立っている面があって、政府税調でも基本的にこの仕組みを維持するというのが政府税調の基本的なお考えだと思います。ただ、いわゆるこの制度をもう少し考え直す必要があるんじゃないかというのはその政府税調の議論でもございますし、私もそう思っておりますのは、所得控除がマクロ的に見ると給与総額の三割に達しているということでありますから、通常の勤務費用を上回っておりますので、特定支出控除を適用して申告する方というのはもう極めてわずかになっちゃうと。それやってみても、さっき委員のおっしゃったように余分に取られるようじゃ、だれがやるかという話になるわけですね。

こういう状況を踏まえますと、政府税調の答申でも指摘していただいているわけですが、給与所得控除を勤務費用の概算控除として適切な水準にやっぱり見直していくというのが一方なきゃいけませんし、それとともに、特定支出控除の範囲について、今おっしゃったこともその一つになるのかなと思いますが、その範囲についても検討して、実際に確定申告をした場合に実額控除する機会が出てくるというふうな方向にもう少し持っていく必要があるのではないかなと。税調の御指摘もそうですし、私もその方がいいんじゃないかと思っておりまして、こういう指摘を踏まえて、納税者が申告手続を簡便にできるような環境整備やそういった税務執行の面でも少し研究をやって答えを、いい答えが出るように少し研究したいと思っております。

○尾立源幸君 この源泉徴収制度というのは、御承知のとおり、ヒトラーが戦費調達のために導入し、ああ、それはいいやということで日本も導入してきたという経緯がございます。そういうちょっと暗い過去を引きずっておる制度でございますが、少なくとも、今大臣がおっしゃったように、確定申告を奨励するような制度を是非つくっていただきたいと思います。

同じように、我が国と同じように源泉徴収制度プラス年末調整という制度を取っておりますドイツ、イギリスと言われておりますが、この国でさえ、税額が変更になるような場合、例えば子供が生まれた、こういった場合は自分で税務署へ行って届出を行うそうでございます。税務署に行くのがいいかどうかはちょっと分かりませんが、いずれにしても、自分で税務署に足を運んだり行政機関に足を運ぶ、又はインターネットでも結構だと思いますが、やはりそこの部分は最低限何らか、企業とではなく、税務署等々とのかかわりをつくっていただきたいなと思っております。

それで、五ページ目、資料に、お配りした五ページ目でございますが、またスウェーデンの例を参照して恐縮なんですが、非常にこの教科書いいもので、是非皆さんもお読みいただきたいと思いますが、五ページ目、中学校のこの教科書で、地域というものが税金で成り立っているということ、しっかりとここにコミューン税と、向こうは地方税が非常にウエート高いということで、コミューン税、地方税で成り立っているんですよ、そしていろんなサービスが行われているんですよと、こんな教育もしております。

そこで、私は、中等教育ぐらいからの納税教育というものももっとあってもいいのではないかと。いきなり大人になってどひゃっと、えっ、こんなに税が取られるのみたいな話が多いわけでございまして、ちょっとその辺の見解を財務省にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 私もこのスウェーデンの資料を拝見しまして、なかなか行き届いたというか、いい教育をやっているなと思いました。

私自身も、まだ大蔵省と言っていたころ、政務次官させていただいたときに、当時、文部大臣、有馬先生でしたけれども、文部大臣のところへ行きまして、日本の義務教育でも租税教育、これは民主主義教育の一番の基礎だから、もう少し充実させてもらえないかということをお話しに行ったことがございます。それで、財務省でもいろいろ工夫をしているんですが、いろんな教材を作ったり、それからこの二十四日から財務省のホームページの中に子供向けの財政問題のページも作りまして、まだどれだけ子供に読んでもらえるようになっているか私も十分自信がありませんけれども、良く、いいものにしていきたいと思っているわけです。

それから、ちょうど委員からこういう資料をいただいた直前に、私、愛知県のある小学校で租税教育をやっておりますレポートをいただきまして、四時間、小学校六年生の社会科の時間で租税の勉強をするんだそうですが、それで一人一人、六年生の生徒が日本の税や財政についてレポートを書くと。で、私、それをいただいて見ますと、わずか四時間の授業といってはそれまでですけれども、先生の大変な御努力や工夫もあるんだろうと思います。なかなかいい授業をしておられまして、私、これはその子供たちに手紙を書こうと思いましたら、もう翌日が卒業式だというものですから、慌ててファクスを送ったんですが、こういう工夫はあちこちでやっていただくべきことと思いますし、私どももそれにお手伝いができるんなら、もうできる限りのことをやらせていただいて、こういう教育が充実するように望んでおります。

○尾立源幸君 是非よろしくお願いいたします。

あと、インターネットで個人の確定申告ができるという、結構、売りにされておるんですけれども、実は問題がございます。

これは、我々の仲間で税理士からの話なんですけれども、税理士経由で確定申告を送った場合、申告書の一枚目は当然インターネットで行くわけですけれども、添付資料として源泉徴収票やら各種控除証明書が必要になるわけですが、これは当然インターネットで送れません。したがって、別便で、郵便なり宅急便で税務署に届けなければいけない。インターネットで送っておきながら、もう一方では物理的にその添付資料を送る、それなら最初からインターネットを使わずに別便で送ったらいいんじゃないかと、こんな話なんですね。

ですから、少なくとも例えば税理士が関与するような場合は、その添付資料は税理士事務所で保管しているからいいよと、もっとトータルで考えていただいて、どうすればスリム化するか。多分、行政の方も大変だと思います、税務署の。インターネットでもらったものと物理的に届いたもの、また探して併せてチェックする。何か無駄なような私は気がいたしました。是非、この点は改善をしていただきたいと思います。

それで、ちょっと時間が押してまいりました。互助、共助の部分、そして公助の部分、幾つかございますが、一つだけ、互助、共助、お互いに助け合う社会が大事だと。これで私は最も大事なのはやはりNPO、特定非営利活動法人等々への寄附金控除の充実だと思っております。これは、官僚の皆さんにいったん税金が集まって、それを皆さんが投資する先を決めるというところから、納税者自らが自分たちの意思でお金の使い道を選択していく、これこそ私は意識の高揚につながるものだと思っております。是非、その部分を充実をさせていただきたい。

その一例として、ハンガリー法、一%法というふうに通称呼ばれております。これは今、平成十七年の四月から市川市の方で実施されると聞いておりますが、個人住民税でございますが、その一%を、登録された、あらかじめ登録されたNPOやボランティア団体に指定をして、住民税の一%を振り分けることができるという制度でございます。これは画期的な取組が地方自治体の方でやられていると思います。

是非、国税の方でも、まあ十三兆七千億ぐらいですか、個人所得税、それの一%というと一千三百七十億円、大きなお金になるわけでございますけれども、こういった制度をひとつ考えていただきたい。それによって、一時的には税収減になるかもしれないけれども、結果的には地方に渡すお金が必要なくなったり、皆さんが直接やる仕事が少なくなる、こんな効果も必ず私は現れてくると思いますので、是非そういった視点でこれからのあるべき税制というのを考えていただきたいと思います。

最後に、公助の部分でございます。

これはもう皆さんの得意とされているところですので、余り私が取り立てて申し上げることはないんですけれども、一つおかしいなと思うのは、個人所得税の定率減税の縮減と、もう一つ、その裏返しと言っちゃなんですけれども、法人税の繰戻し還付制度の停止というのがございます。これは、財政が悪い、そして大変だということで法人が過去に納めた法人税を赤字が出たときに戻してもらえる制度というのがこれあるわけでございますが、実はこれは原則としてあるわけでございます。これを一時避難的に平成四年から停止をしております。原則に戻していないんです。所得税の定率減税は一時的なものだったからといって原則に戻し、この法人税の方は戻さないでそのままやっている。これを見れば、結局は取りやすいところから税金を取っているんじゃないかと、このように民間の方は思うわけでございます。原則に戻すなら法人税の方も原則に戻していただきたい。これは一つ私の要望として申し上げたいと思います。

それともう一点、最後でございますが、実は通関に関する消費税の立替えの問題を、関税の立替えの問題を取り上げさせていただきたいと思います。

実は、通関業者が輸入者に代わって関税を立て替えておるという、これ慣例に今業界でなっておるわけでございますが、業界全体で年何と一兆円もの立替えをしておるというふうに聞いております。その結果、何が起こっているか。つまり、民間の輸入業者が立替払のために資金負担をしなければいけないわけですね。で、これはもちろん自由競争の社会ですから、いろんなやり取りがあります、ビジネスですから。輸入業者は通関業者にもっともっと立替えをしてくれと、こういうふうに迫ってくるわけでございます。立替えしてくれないんだったらほかの業者に頼むよと、こういう半ば脅しにも似た言葉が現場ではやり取りをされております。

そこで政府にお聞きしたいんです。この立替えの問題、民間企業同士の問題だから関係ないというふうにおっしゃるのか。すなわち、税金が徴収されれば、本来、納税者である輸入業者ではなくて、通関業者から立替えでも何でもいいから払ってもらえればおれたちはいいんだ、そしてまた、その税の立替えによって中小企業がどんなに経営が圧迫されようとも、当然利息を負担しなければいけない、行き詰まっても我々には関係ないんだ、知らないんだ、このように御認識されているのかどうか。また、こういったことは良くない、やはり納税は納税義務者である本人が支払うべきだ、こんなふうにお考えなのか、御意見をお聞かせください。

○委員長(浅尾慶一郎君) どなたが御答弁しますか。──尾立源幸君。

○尾立源幸君 最後でいいです。最後でいいです。

○副大臣(上田勇君) どうも済みません。

たくさんお尋ねがありましたので、通関の関税立替えの問題について御答弁させていただきますが、今委員からもお話があったんですが、基本的には、これ民間企業間の取引のことではございます。しかも、現実に輸入貨物にかかわる関税を輸入業者に立て替わって、立替払をしているというようなサービスを提供しているという事例も私どもとしても承知をいたしております。

先ほど委員がおっしゃった一兆円というのも、この日本通関業連合会が加盟業者へのアンケート調査に基づいて平成十三年に行った推計に基づく数字だというふうに思っておりますが、このように、そういう実態があるということは承知をしております。

で、通関業者の中には両方ありまして、やはり立替え代金の回収ができないというような事態もあるということから、やっぱり立替払を極力これはやめたいという業者もある一方で、特にその反対では、例えば航空貨物を扱う業者などにおいては、これはもうどうしても迅速な取引が必要なものですから、これはサービスとして立替払、これをある意味で必要としているという部分もございます。そういう意味では、財務省としては、この通関業者によります輸入者の関税等の立替払自体は、これはやっぱりどうしても営業判断に基づいて行われるものでありますので、これは基本的には、冒頭申し上げましたように、民間企業間の契約の問題であるというふうに考えてはおります。

ただ、じゃ何も、じゃ財務省として何かそれについてどういうふうに対応するのかということでなりますと、これはやはり、まず財務省としてやらなきゃいけないことというか、その輸入者、本来は関税を払うべき輸入者が自ら支払いやすい環境を整備するということだろうというふうに思います。立替えをさせずにもう自ら支払をできるようにしやすい環境をする、それによって、これは正に自主的な契約判断、経営判断になるということでありますので、そういう意味では、これまでも関税の納期限延長制度というのも行っておりましたけれども、さらに昨年三月から、これはマルチペイメントネットワークを利用しまして電子納付も可能にするということから、そういういわゆる手続の煩雑さがゆえに立替えをせざるを得ないというようなことというのはやはり避けるというような方策は取らせておりまして、引き続きそうした制度があるということの周知、あるいは利用促進等、また関係者ともいろいろと協議をさせていただきながら推進していきたいというふうに考えております。

○委員長(浅尾慶一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。

午後零時一分休憩

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午後一時開会

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。

休憩前に引き続き、平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。

質疑のある方は順次御発言願います。

○平野達男君 民主党・新緑風会の平野でございます。一時間持ち時間がございますので、何点か、今日はテーマを絞らないで、あちこち飛ぶかもしれませんが、いろいろお聞きしたいと思います。ただ、テーマはいずれにせよ税と国債に関連することは間違いございませんから、あちこちはそんなにぶれませんので。

まず一番目、最初に、公債発行特例法の改正案の中に入っているいわゆる年金保険料の事務費の充当の問題であります。これは、国の特別会計、たくさんございますけれども、特別会計というのは一つの事業を独立して経理するという、そういう仕組みかと思います。

そこで、話を保険事業特別会計ということについてちょっと今、以下絞っていきたいと思いますが、保険事業特別会計というのは地震再保険とか国民年金とか、厚生年金とか国民年金以外にもいろんな保険事業特別会計があります。この保険事業特別会計を見ますと、年金特別会計とはちょっと違いまして、むしろ年金特別会計が例外なわけですね。何が例外かといいますと、保険料でもって事務費あるいは人件費まで負担するというのを原則としております。そして、国庫負担規定を設けて、一部国庫から負担をして、事実上国庫が保険財政を支援するという形になっています。ところが、年金だけは、年金保険料は給付だけに適用するという、明文上そういう規定はございませんけれども、法律はもうそういう仕組みになっているということなんですね。

これが第一点目の質問なんですけれども、なぜ保険だけ、年金保険料については給付にだけ充当する、ほかの事務費には使わないという本則になっているのかという、その考え方をちょっと改めてお聞きしたいと思います。

○政府参考人(杉本和行君) 平野委員御指摘のように、国民年金特別会計、厚生保険特別会計以外の保険事業関係の特別会計においては、原則でございますが、事務費を含む必要経費を保険料で賄うということが基本になっております。農業共済、漁業共済については、基本的に事務費は、基本的に国庫負担で賄うことになっておりますが、ほかの保険会計においてはそういったことになっております。

これは、この考え方でございますが、これは例えば労働保険におきましては、労使折半の負担によるいわゆる労使の助け合いの制度という考え方の下で、被保険者に対する給付及びそれに係る事務費については、基本的に被保険者の負担である保険料によって賄うということにしているものでございます。このように、主に受益と負担の関係を見まして、費用をどのように負担するのが合理的、効率的かという観点から制度が構築されているんだと考えております。

年金事務費の費用負担につきましては、国民皆年金ということで、年金が広く国民を対象とした制度であることから、本則において全額を国庫負担とすることにされておるわけでございますが、基本的には年金事務費は年金給付に要するコストであり保険料で負担すべきとの考え方もございますし、労働保険等では保険料を事務経費に充てていることにかんがみれば、年金事務費に保険料を充てることも許されると考えておりまして、財政事情の厳しさにもかんがみまして特例措置をこの法律でお願いしているところでございます。

○平野達男君 原則的に、原則論は、年金保険料については保険給付金にしか充てないという前提だということで考えますと、年金給付を事務費に充てるということは年金保険料で国庫を一部逆に支援するという形になってしまうんじゃないかと思います。

ほかの保険制度は逆なんですね。原則年金の、年金事務費についても全部年金保険料で充当していいですよというんですが、規定を設けて国庫で納入すると。国庫を一部支援するというのは、国庫が支援するんですね。だけれども、この年金だけは逆の仕組みになっちゃっている。これは、年金保険料で国庫を支援するというのは、これはどう考えてもやっぱりおかしいんですよね。

私らに、国民にすれば、税も年金保険料も納めるお金ですからこれは同じという、払う側からすればお金という意味においては同じです。ただ、年金については、年金の給付ですよという仕組みがある以上は、やっぱり保険料についての対価というのは給付で受けるんだということで理解しているはずですよね。片っ方の税金については税金で、その事務費については税金の一部がそこに使われるという、そういう流れだというふうに国民は理解しているんだろうという前提で物事を考えるべきだと思うんです。

繰り返し、本来であれば、国庫というのは何らかの支援をするためにあるんですね。だけれども、今回の規定は全く逆で、年金保険料でもって国庫を支援するという仕組みになっている。全く逆転の現象が起きているんです。これを特例法でやるということについては、これは根本的に私どもはおかしいんじゃないかというふうに思っております。本則が本当におかしいんであれば、本則そのものの再検討をし直すべきだというふうに思うんですが、その点についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに委員がおっしゃるように、他の特会における保険制度の例を見ましても、あるいは民間における保険の場合を見ましても、本来その経費も保険料の中から賄うという仕組みを取っているわけですので、確かに委員のおっしゃるように、本則そういうことで年金の場合にもやるべきではないか、特例法なんかで小手先のことをやらずに抜本的に改めるべきではないかという考え方は、私、十分理由のある考え方だろうと思います。

ただ、現在は年金制度、社会保障制度の在り方についても様々な議論がございます。そしてまた、恒久措置として仮に今委員のおっしゃったような本則国庫負担の原則を変更するということになりますと、部分的な議論だけではなく、恐らく制度全体の議論が必要になってくるのではないかと。少なくとも現在進められている社会保険庁改革の在り方といいますか動向等も踏まえた議論にしなければならないのではないかと考えておりまして、私どももそういうような問題意識を見ながら、今の議論、推移を十分私たちもこなしていきたいと思っております。

○平野達男君 まあいずれ、国庫も大変だというのは分かりますが、年金財政だって決して楽なわけではないということですから。

私の言いたいのは、もう本則は本則なんで、やっぱり本則に戻ってやるべきだというのがまず第一の主張です。で、どうしても駄目であれば、先ほど私が言いましたように、本則の規定を根本からさかのぼってでも何ででもやっぱり議論するのが筋であるということを強く申し上げておきたいと思います。ましてや、財政事情がここ何年かで好転するなんというのは余り期待されません。毎年毎年こういう特例でやるということについては、繰り返しになりますけれども、年金保険料で国庫を支援するという仕組みになっていますから、これはこれ以上放置するというのはやっぱりおかしいと思います。これは再度申し上げておきたいと思います。

それから次に、定率減税に関しまして考え方をちょっと整理をさせていただきたいと思います。

政府は、これからは内需主導の緩い景気回復が見込まれるというふうに言っています。その一方で、定率減税が導入された時期と今の時期では、いろんな指標を見ると、経済状況は改善されているんだというふうにも言っています。

私の質問は、その後半のやつ、後半の、いわゆる導入された時点と今の時点の比較、これは私ら全然理解しているわけじゃないんですが、一定の主張はされているんでしょう。前段の景気回復が内需主導で緩い回復が見込まれるというのは、今回定率減税半減の前提条件になっているんでしょうか、なっていないんでしょうか。その考え方をちょっとお聞きしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今平野委員、二つに分けておっしゃったわけですけれども、これ導入しましたときの経緯から見ますと、私も、委員のおっしゃるように、二つの要素があったんだと思います。

一つは、需要の減少が生産の減少を招いて所得が減少する、それが更に需要を減少させるというような、言わば景気循環的な問題が当時あったと思います。しかし、その背後に、何というんでしょうか、構造的な問題といいますか、バブル崩壊後の、要するに金融システム全体を不安に陥れるような不良債権問題であるとか、そういったような問題が存在したと。二重の構造になっていたんではないかというふうに思います。

そこで、その二重の構造で申し上げれば、現在の状況は、不良債権処理やあるいはそれと車の両輪である産業再生というような構造改革が進んできた結果、企業の有利子負債というのがバブル発生後一番低い水準まで来て、後遺症を乗り越えつつあると、構造的な問題はいいところに、かなりいいところに来ていると、こういうふうに見ているわけです。

も、それは有効求人倍率も戻ってきた、そして失業率も趨勢的にその改善の傾向が見られると、そういう中で雇用報酬も十―十二月期でプラスになってきたというようなことを考えれば、企業の好調が家計に及んでいくような流れができてきているんではないかと。それを要約して言えば、先ほど委員がおっしゃいましたように、緩やかな民需主導の成長が見込まれるということになってきているのではないかと思います。

○平野達男君 つまり、二つとも前提条件であるというふうに理解してよろしいわけですね。

○国務大臣(谷垣禎一君) 二つが前提条件というより、やっぱり一番大きなのは、この定率減税というものを入れたときにやっぱり一番大きなものは、私は構造的な問題ではなかったのかと思っております。

○平野達男君 つまり、今回定率減税の半減をするには、まず、先ほどの私が言ったことと繰り返しになるかもしれませんが、一つは、当時の状況と比べて今の条件は良くなりましたという、これが一つありますね。それからさらに、今後、もっと緩やかですけれども回復が見込まれるという、この二つがあるわけですというふうに私は取ったわけです。

この二つとも条件なんですかということを今確認しているわけです。

○国務大臣(谷垣禎一君) 条件というのに順位があるのかどうかよく分かりませんけれども、私は、やっぱり一番大きなものは構造的な問題であったというふうに思います。ただ、構造的な問題がある程度解決しても、循環的な状況が、循環的な問題がどんどんどんどん下降に向かっている局面で圧縮できるかどうかという点はあるんだろうと思います。

○平野達男君 ちょっと、私の理解がちょっと違っているのかもしれませんが、少なくとも定率減税というのは、非常に需要の落ち込みとか景気停滞が見込まれると、そういう状況の中でやったはずです。今回それを半減するということであれば、当然景気の動向とか今の経済状況とセットで判断しているはずなんです。そのことを私はお伺いしているんですが、もう一度。

○国務大臣(谷垣禎一君) そういう点であれば、確かにセットで考えているわけでございます。

○平野達男君 そうしますと、これから、私どもはこの半減には反対でありますけれども、景気の動向がある程度良くないと、当初の見込みより悪いというふうに、緩やかに回復しないということであれば、定率減税の半減というのはこれは元に戻すこともあり得るという理解でよろしいですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) いわゆる弾力条項というものがございますから、その弾力条項の読み方というのは、私も委員会、この委員会でも何度か申し上げていると思いますけれども、今委員がおっしゃったようなことを全く排除する趣旨ではこの弾力条項はないと思っております。

○平野達男君 この弾力条項は、政府の方では、半減の後のもう一つの残されたやつも次のステップとして検討するというふうに言っていますけれども、そのことだけを言っているのではなくて、既に今回出されている半減の部分についても含むという、そういう理解でよろしいわけですね。

○国務大臣(谷垣禎一君) これも委員がそこのところを非常に強調されますと、なかなかそうだとは申し上げにくいんですが、要は、景気は生き物ですからいろんなことはあり得ると思います。ただ、この条項のコアの部分は、残りの部分を来年度議論しますときによく景気の条項を見ろというのが一番コアだと思いますが、周辺部分は大分ばくっとしておりまして、委員のおっしゃったようなことを排除するものではないと思っております。

○平野達男君 これは前に質問申し上げたことなんですが、この景気の動向を注視しというこの景気の動向というのは具体的に何を見るかという、その指標みたいなものはこれはないというお話だったんですけれども、これはやっぱりある程度の、例えば雇用者総報酬の話でありますとか、あるいは名目GDPの伸び率とか、ある程度の一定の考え方はやっぱり示すべきではないかと思いますけれども、改めてそのお考え方をちょっとお聞きします。

○国務大臣(谷垣禎一君) いや、その点は、平野委員からもほかの委員の方々からも度々そういう御意見は承っているわけですけれども、この状況の、条項の意味は、やはり生き物である経済に柔軟に機動的に対応せよということでございますから、何%になったらどうするというようなものではないと思っております。

○平野達男君 なかなか指標化が難しいということは理解しますけれども、これからいろんな意味で財政再建を議論していく中で歳出カット、それからある意味では増税という議論も当然出てくると思います。だけれども、どういうタイミングで増税をやっていくかということについては、ある程度のやっぱり考え方みたいなものが、ばくっとしたものではなくて、国民から見て分かりやすいような指標の工夫っていうのはやってもいいんじゃないかなということだけちょっと申し上げておきたいと思います。

で、次の質問に移りますけれども、この定率減税に関連するわけじゃないんですけれども、やっぱり今の景気の中では、景気を考えた場合には、個人消費というのがやっぱり非常に大事だろうということで、我が党は、住宅ローン減税でありますとか教育ローン減税でありますとか、ローンに掛かる利子についてはこれはもう控除すべきだと、所得控除すべきだというようなことを考えておりますけれども、このローン減税に対する政府の考え方ということをちょっと一点お伺いしておきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 残念ながら、この御党のローン減税の考え方は、私どもは必ずしも同調できないなと思っております。

それは、所得税は経済力を表す所得の金額に応じて税を負担するというのが基本だと思いますが、他の消費支出などと同様に所得の処分であるローン利子の支払を所得から控除するというのは果たして妥当なのかというのが一番基本的なことでございますけれども、もう少し、またもうちょっと立ち入って考えてみますと、ローン利子の控除制度は高額なローンを組むことができる高額所得者にはこれはなかなかいい制度、優遇される制度だと思いますけれども、現在の低金利の下で、例えば持ち家取得を支援すべき中低所得者にとって現行制度よりも減税効果はむしろ小さくなってしまうんじゃないかと、住宅の新規取得にとってかえって、マイナスとまでは言いませんが、必ずしも所期の効果がねらえないんじゃないかというようなことも考えるわけでございます。

○平野達男君 いずれ、私どもは、まだまだ景気は回復基調にはないと、景気を回復させるためには何といってもGDPの六割を占める個人消費だと、それに対する刺激策みたいなものをまず導入すべきだという考え方に立っています。ましてや、定率減税の半減についてはその時期にあらずということを再度強く申し上げておきたいと思います。

そこで、以下、国の財政状況と国債ということについてまたいろいろお伺いしていきたいと思います。

平成十三年の三月八日の予算委員会に、当時の大蔵大臣はこれは宮澤大蔵大臣であります、この宮澤大蔵大臣が国の財政状況に触れまして、このように答えています。「我が国の財政は、今おっしゃいますように非常なやや破局に近い状況でございます」ということを、これは平成十三年の三月八日の予算委員会で答えておるんです。ですから、これはもう四年前になるでしょうか。今、この宮澤大蔵大臣の、当時の大蔵大臣の、大蔵大臣ですね、財務大臣じゃないですね、この御見解、今谷垣財務大臣聞いて、どのような御感想をお持ちになるでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 宮澤大蔵大臣は、私も政務次官としてお仕えした大臣でいらっしゃるわけですが、委員御指摘のように、日本の財政状況はやや破局に近い状況であるというふうに答弁されております。

これは平成十二年度末の我が国のその当時、公債残高が約三百六十八兆に上っていたわけですが、そういったことをごらんになって、我が国の財政が非常に厳しい状況であるという趣旨の御発言であったと思いますが。

現在の我が国の財政状況は、確かに平成十七年度では一般会計のプライマリーバランスも三兆円の改善が見られるとか、財政健全化に向けた進展といいますか、取組を一生懸命やっているわけですが、その公債残高を取ってみますと、当時の三百六十八兆に比べて五百三十八兆まで行っているわけですから、その平成十二年末当時と比べてこれは厳しい状況が更に進んでいるというふうに私は思っているわけでございますので、こういった状況を何とか立て直さなければならないということで度々申し上げております、まずは二〇一〇年代初頭の国、地方合わせた基礎的財政収支を取っていくということを目標に相当な努力をこれから積み重ねなければいけないと思っております。

○平野達男君 この後、宮澤大臣は、ここではモデルの必要性を言って、これについては大塚委員が専門家ですから、どうのこうのと私は言えるだけの知識はございませんが、このモデルでシミュレーションして、今度こそは言葉のつじつま合わせではなく、これならば十年なり二十年健全な経済社会が営めるという案を作らなければならないというふうに言っておるんですね。果たしてこの四年間の中に、この財務、当時の宮澤大臣が言われたこの発言がどの程度生かされてきたのかというのは、今、私自身見ても非常に疑問なんですが。

これはちょっと通告申し上げておりませんでしたけれども、要は、宮澤当時の大臣は、早急に、十年、二十年これなら大丈夫だという、経済社会が大丈夫だと言われる案を作らなければならないんだというふうに言ってますけれども、今そういうことというのは実際に進んでおりますか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今お話伺っておりまして、宮澤、平成十三年三月当時はもう宮澤財務大臣に名前が、大蔵省から財務省に変わっておられたんじゃないかなと感じましたけど、当時は、宮澤大臣がそういう大きな数字のつじつま合わせではなくてきちっとしたものをやらなきゃいかぬとおっしゃったのは、当時、経済財政諮問会議等で既にそういう議論が始まりつつあったのではないか、当時のことを私正確には承知しておりませんけれども、そのように伺いながら感じました。

現在は、経済財政諮問会議でいわゆる「改革と展望」のようなものを作りまして、よくこの委員会でも御議論をいただきますけれども、その参考資料等々で、平成、今度二〇一二年ということに今年の版ではなっておりますけれども、そういう、あれはあくまで一定の前提を置いたモデルでございますけれども、そういうものも作って取組をしているということであります。

○平野達男君 私は四年前の選挙で初めて国政に送っていただきまして、それ以来ずっと財政金融委員会に属しております。振り返ってみますと、最初の三年間ぐらいはほとんど金融でした。確かに金融がテーマでした。そして、確かに銀行の破綻問題でありますとか、りそなでありますとか足利銀行でありますとか、そういう問題がありまして、ほとんど財政については私自身は余り議論をする機会を持ちませんでした。

今回、たまたまいろんな意味で、郵政の問題でありますとか、そこから国債の管理の問題とかずっとひもといていったら、やっぱり実はまた財政問題というのは本当に大変だなという、これは私自身の自戒の意味も含めて気が付いたようなところがあるんですが、本当にこの宮澤大臣の三年、四年前の言ったこの発言はそっくりこのまま今生きているなと。生きているというか、そっくりそのまま移ってきているんじゃないかという意味において、私はこの財政問題というのは、特に国債管理問題も含めて相当真剣に議論していかなくちゃならないというふうなことを、今これはちょっと、私自身に対する自戒の意味も含めてちょっと申し上げておきたいと思います。

そこで、国の歳出構造を見ますと、公債費、社会保障費、交付税で三分の二であります。

公債費につきましては、これはもう今の方式で、今の方式というか、六十年ルールということで償還ルールでやっていますが、六十年、単純に言えば、債務残高の六十分の一ずつ償還していって、それに利払いを乗っけてそれで予算を組むということですから、これはもう減りようがない。それから社会保障費、これも今の計算でいくと毎年一兆円ずつ伸びていくとも言われています、今のままでやっていくと考えればですね。それから、地方交付税、これは私、岩手県出身だから削ったら困るということでありまして、そういうふうに言ってしまった途端に国の予算の三分の二を占める予算が膨れる一方になってしまう。

その一方で、税収は、景気が良くなればこれは非常に有り難いわけで、とにかく何とかして景気を良くしなくちゃならない、景気を良くすることで税収を伸ばすというのはこれは基本であります。基本でありますが、後でちょっと触れますけれども、少子高齢化という人口減少の時代に入っていく中で今までみたいに名目GDPがそんなに伸びるということも期待されないという中では、やっぱり、どこかでやっぱり歳出の大きな見直しと、それからやっぱり、これは余り口、大きく、言いたくないんですけれども、景気の動向をしっかり見ながらやっぱり増税の議論は本格的にやっていかなくちゃならないんだろうというふうに思います。

我が党は、民主党は消費税の増税というのを言っておりますし、旧自由党のときは、年金財政については基礎的な部分はもう消費税上げてそこを充当すればいいじゃないかというようなことも言っておりました。そういった意味での増税の議論もタイミング見ながらしっかりやっていくという必要があると思います。

そこで、一点目、これもちょっと通告申し上げていたかどうか分かりませんが、歳出につきましては、財務大臣は社会保障費についても、これはもうある意味においては抑制しなくちゃならないんじゃないかなということを言っておられました。私も、国債発行残高をGDPの中で一定率を保とうと思ったら、社会保障費の伸びも本来であればGDPの伸び率ぐらいまでに抑える必要があるのかもしれないんです。そういった意味で、社会保障費についてもこれからある意味においては抑制ということも考えなくちゃならないんじゃないかなと個人的には思っておりますけれども、そこの全体像につきまして、財務大臣、今どのようなお考えを持っているかをちょっとお聞きしておきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 委員がおっしゃいましたように、今の日本の歳出の一番大きなところが社会保障、それから国債費、そして地方交付税と、この三つで七割近く占めるわけでございますから。もちろん、どこを聖域を設けて歳出抑制をすればいいというものではないと思います。全部やらなきゃなりませんが、大どころがある程度行かなければとてもそれは先へ進まないと。それで、その中で国債費は、これはもう利払いでございますから勝手に圧縮するということはできないわけでございます。

それで、一番大どころの社会保障に関して言えば、私はやっぱり、社会保障いろいろございますけれども、要するに持続可能性ということがなければ安心にもつながらないということだと思います。それで、これはもういろんな議論があって、尾辻厚生労働大臣も、例えば医療のようなものはGDPの、名目GDPの伸びに医療費を合わせていくというのはとても技術的には難しいんだということもおっしゃっておられて、それもそうかなとは思うわけでありますけれども、やっぱり全体として何かこの日本の、すぐ毎年毎年一気に連動するというような硬直した仕組みがなかなかできるとも思えませんけれども、やっぱり大きな意味で日本経済の身の丈の中に収まっていくような制度改革というものがなければいけないのではないかなと思っております。

三位一体については、先日来の議論で端緒ができたわけでありますけれども、やっぱりここも透明性と申しますか、説明責任をきちっとして、必要なものは必要ですけれども、やはり説明できないものは改めていくという努力は徹底的にやらないと先へ進めないというふうに私は思っております。

○平野達男君 それと併せてやっぱり、今、先ほど公債費、社会保障費、交付税と大どころの三つの話をしましたけれども、そのほかにも、今日の尾立議員の質問にもありましたけれども、お金の使い方についてまだまだやっぱり不透明というか、無駄な部分がたくさんあるんじゃないかというふうにやっぱりみんな思っていますよね。そうじゃないんだということを国民にどうやってアピールしていくかということがまず基本という問題もあると思います。その上でないとやっぱり国家の全体の増税の議論なんかもなかなかしにくいという面もありまして、この歳出を徹底して見直しをやっているんだ、無駄はないんだというメッセージをどうやって出していくのかということについての、ちょっと抽象的な質問で申し訳ございませんけれども、大臣のお考え方をちょっとお聞きしておきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) これは極めて抽象的に答えますと、やっているんだやっているんだと幾ら言っても、信用がないと、やっているんだと言ってもなかなか、本当かと、こういう目で見られてしまうというところがあると思います。

したがって、なるほど確かにやっているんだなと思っていただくためには、もちろん地道な広報活動や説明の工夫、先ほど尾立議員の質問にもございましたけれども、教育等も含めて積極的に取り組む必要があると思いますが、他方、やっぱり何というんでしょうか、相当切り込んだなと、なるほど、このぐらい頑張ってやっているのかと、血を流してやっているのかというようなものも何かないとなかなか理解が得られないのかなと思っております。

○平野達男君 先般の参考人質疑の中で井堀参考人が、国民のだれもが今、国の財政状況を見ていて将来的には増税あると思っているというふうに言っておられました。私もその意見には賛成です。

その中で、そういうふうに思っているんであれば、しっかりとした増税のスケジュール出したらどうかというふうなことを言われました。私はそれに対して、スケジュールを出すのはいいんでしょうけども、先ほど谷垣大臣の言われた、出してそれを国民信用するかどうかという問題がありますねというコメントをしたんですけれども、この増税のスケジュール表、しっかりしたものを出すということについては、これは政府内で今そういう考え方があるんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 平野委員のおっしゃるしっかりしたという意味をどういうふうに解するかですけれども、このところ、政府・与党の議論はかなりそういうものを意識して議論してきておりまして、大きな流れの筋は、与党税調の答申であるとかあるいは「改革と展望」の中に大きな方向は書き込まれているのではないかなというふうに考えております。

それを更に具体的にどう肉付けし御理解を得ていくかということは、これは税の議論の前提として、例えば社会保障等々につきまして必要な公的サービス、社会保障の水準は何なんだと、そして、その給付と負担というものを、バランスを取るためにはどうしたらいいのかといったような議論を積み重ねていかないと、その結論だけをぽんと出してもなかなか理解が進まないんではないかなと思っております。

○平野達男君 そうすると、私も先ほど言った、しっかりとしたという、それ意味不明のままちょっと使ってしまいましたけれども、時期を見て、例えば消費税は何%、あるいは今の所得税の控除システムについてはこういう見直しをしますというような、そういった工程表みたいなものは出てくるということもあるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今のところ、これも何度かお答えをしたことだと思っておりますが、十八年度でいわゆる国、地方の三位一体の改革の一環として所得税から個人住民税、その実現していく、そういう中で、国、地方を通ずる個人所得課税の抜本的見直しを行うと。それから、十九年度を目途に、年金、医療、介護等の社会保障給付に要する費用の見通し等を踏まえながら消費税を含む税体系の抜本的改革を実現するというようなことが「改革と展望」に書き込まれているわけでございますが、今委員のおっしゃったような、じゃそういう社会保障の水準を見て消費税は何%であるというようなところに行くには、まだもうちょっと議論が煮詰まらないとそのようなお問い掛けも現在の段階では難しいのではないかと思っております。

○平野達男君 いずれ、年金制度でも国家の財政でもそうですけども、どれだけ入ってどれだけの支出をするかという、そこはどっちを先に議論するかという問題は常に付きまといます。ただ、いずれにせよどっかでは、どっかの時点では、保険料負担も含めて、税金も含めてこれだけの負担ですよと、まあこれ、国民負担率というのかどうか分かりませんが、それだけの負担をお願いしますという中でそちらを設定して、それに合わせた歳出規模を決定していくという仕組みをやっぱり早く導入しなくちゃならないんじゃないかなっていう感じが個人的にはしています。

そこで次の、国債管理政策に関連してちょっと質問に入っていきますけども、今の国債の償還は、先ほど言いましたように六十年ルールというのがありまして、十年債でしたら、満期が来た十年に六十分の十、六十分の五十については借換えして、また十年したらまた六十分の十ということで六十年で償還していくと。五年債については、五年の満期来ましたら六十分の五、六十分の五十五については借換えをして、また五年ごとに返していくというそういう、よく考えたシステムだなといえばよく考えたシステムなんですが、多少分かりにくい仕組みになっています。六十年ルールですから、国債発行残高が仮に六百兆とすれば、単純にやれば十兆が債務償還費で、残りの、それに利息の部分が掛かってきますから、残りが利払い費ということになるんでしょうか。

で、将来的に、例えばよく議論されるんですけども、これだけ財政がきつくなってきたら六十年償還ルールを例えば百年に延ばすんじゃないかとか、そういった議論もあります。ややこそくな議論だと思います。こういう考え方というのは今政府の中にあるんでしょうか。

○副大臣(上田勇君) 今のお尋ねでありますけども、結論から申し上げれば、これを百年に変更するというような考えはございません。これまでも衆議院の委員会等で御党の委員などからもそういう御提案もあったことではあるんですが、やっぱりこれ、長くすれば長くするほど将来に負担の先送りするということにもなりますので、今のルールにのっとって考えているところでございます。

○平野達男君 いずれそういう声が与党内から、与党内というか、与党内から出ないように希望しておきます。

そこで、国債発行の考え方でございます。

いろいろと最近は国債の種類が増えまして、私も全部理解しているわけではございません。物価連動債とか変動利付債とか、何か新しい名前が付いている、これをきちっと理解しているわけではございませんが、最近よく個人国債、個人国債と言われます。保有者層の多様化という中での目玉が個人国債だというふうに言われていますね。ところが、平成十七年度の発行予定は、これは予算委員会でも言いましたけども百七十兆ぐらい、借換債含めまして債務のやつ、発行予定百七十兆ぐらいあるんですが、個人国債は三兆六千億です。目玉だ目玉だと言う割には随分少ないなというのが率直な感想なんですけども、これが、個人国債、何でこんなに少ないのか。まあ、三兆六千億だから金目とすれば決して少ないわけではないんですが、割合とすれば非常に小さいという意味で、この個人国債の伸びない理由というのをちょっと改めてお聞きしたいと思います。

○副大臣(上田勇君) まず十七年度の国債発行計画、三・六兆円ということでありますけども、これは、これまで平成十五年の三月から八回にわたりまして個人国債の発行を行ってまいりました。その三・六兆円というのは、過去の平均的な一回当たりの発行額を基礎としてこの数字を計上しているものでございます。

で、今正に委員が御指摘になったように、個人国債、個人保有の国債の割合が非常に低いということもあります。今、非常に多額の国債残高を抱えておりますし、また今後ともそういう意味では国債の大量発行というのはもう避けられない中でありますので、国債の安定消化図るという意味からも個人や海外投資家による国債保有を促進、これも重要な課題だというふうに考えております。

なお、個人向けの国債について、これは申込みがされた分だけ発行するというようなことになっております。そういう意味では、国債発行計画に予定されている発行予定額以上の申込みがされた場合には、実際、十六年度も当初の発行予定額が一・六兆円に対して実際には六兆六千億円発行しておりますので、発行予定額を超えて発行することもあるということでございます。

いずれにしても、これから国債、個人保有、個人による国債の保有を促進する観点から、いろんな個人向けの国債を導入することによりましてこのような取組、引き続き国債管理政策の適切な運営に努めていきたいというふうに考えております。

○平野達男君 日本の国債は、御承知のように、九十数%が国内でファイナンスされているという状況です。これは、アメリカとか一時言われたアルゼンチン国債なんかと比べると全然違うという状況です。ですから、国債なんですけれども、これは先般の予算委員会で言いましたけれども、国の債務であるから片っ方に債権者がいますから、これは本当に国民の資産でもあるということだろうと思います。

その一方で、今副大臣の答弁にもございましたけれども、海外に向けても今いろいろアピールをしていると。アピールというか、保有者を増やそうという努力をしているということでした。先般の、ただ、日経新聞では、イギリス辺りで日本はこれから円高が進みますから為替差益でもうかりますよというふうに宣伝をしているというような報道がされていまして、これが本当だったら随分ひどいことを言っているなということになるわけですが、本当ですかと言ったら、それはやはり認めませんでした、そういうことはありませんでしたということだったんです。

そこで、海外についてなんですけれども、これはやっぱりメリット、デメリットやっぱりあるんではないかというふうに思います。この海外保有者を増やすことのメリット、デメリットについて、どのようなお考えでしょうか。

○副大臣(上田勇君) 先ほどから、先ほども申し上げたんですが、我が国は先進諸国に比べますと国債の海外での保有比率は低くなっておりまして、これは一つにはやっぱり保有者の多様化を図っていくということが国債消化、安定消化にとっては重要なことだろうというふうに思っております。ですから、これは個人の保有の割合も増やしますし、また海外の保有も増やすということでありますが。

これはやはり、なぜかといいますと、やっぱり我が国の国債保有の現状を見ますと、銀行等の預金取扱金融機関の保有残高が非常に高い、割合が高いわけであります。それで、その中で市場の状況が変化した場合などにおいて市場参加者の取引が一方向に流れがちな傾向がございまして、そういうことについて不安を指摘する声もございます。そういう意味では、国債の保有者層を個人や海外に多様化するということによりまして、そういった一つの方向へのリスクというようなものを分散をし、市場の見方や投資スタンスに基づいた国債取引がより的確に行われて、その結果として今の国債市場の安定化につながるんではないかというふうに思っております。

○平野達男君 今、日本の国債の利率というのはもう世界的に見ても非常に低いですから、単純に考えるとやっぱり海外投資家というのは為替差益ねらっているのかなというふうにも取れてしまいます、と取れてしまいます。

それで、これから日銀の出口政策でありますとか景気回復とかいろいろ言われていますが、仮にインフレ期待が出てきたときには円高が今度は円安に動くということも考えられるわけです。そのときに、海外保有者が、円安に向かうと判断すれば国債をやっぱりどんどん放すんじゃないだろうかという、そういうリスクもやっぱりあるんじゃないかなと思うんですが、それについてはどのように考えますか。

○副大臣(上田勇君) 海外の投資家がいろんな市場の見方を持っているんだというふうには思います。一口に海外投資家と言っても、その市場の見方とか投資スタンス、これは様々であるというふうに思っておりますので、為替相場の変動、円高に振れるあるいは円安に振れるといったことが、直ちに一方向にその投資家の行動がそれに沿って一律に動くというようなことでは必ずしもないんだろうなというふうに思っております。

なお、その為替のこと、為替との関係だけを議論すれば、まあ確かにそういうようなことを予想されることもあるんだというふうに思いますが、ただ市場にはいろんな要因があるわけであります。そういう意味では、国債を保有している保有者層を多様化する、そのことによって様々な変動や要因に対してより安定した市場になるんではないかというふうに思っておりまして、その一環としてやはり海外のものを増やそうという考えであります。

○平野達男君 今日は日銀の白川理事にもおいでいただいておりますので、ちょっと日銀に質問したいと思います。

いわゆる国債の消化の方法の中に日銀乗換えというのがあります。平成十七年度には今までのない措置として、従来でありますと当該年度償還を迎えたものについて一年間乗り換えるということだったんですが、今回は再乗換えということで、再乗換えの、基本的に二分の一についてもう一回乗り換えるという措置をとっています。

この乗換えというのは、御承知のように、国債を市場を通さないで直接政府から短期証券を買う、短期証券でしたか、を買い取るという意味において国債の市場に大きなインパクトを与えないという、インパクトというか、大量発行によるインパクトを是正するという目的があるんだと思うんですが、この目的についてちょっと御説明をしていただけるでしょうか。

○参考人(白川方明君) お答えいたします。

日本銀行は、昨年十二月の政策委員会におきまして、委員御指摘のとおり、平成十六年度に乗換え引受けを実施いたしました短期の国債の二分の一、約六・四兆円でございますけれども、これにつきまして平成十七年度においてこれを短期国債に再乗換えを行うことを決定いたしました。

本件につきましては、財務省から、平成十七年度におきます国債償還の集中を平準化するという観点から短期国債への再乗換えを行ってほしいという旨の御要望がございました。これにつきまして、日本銀行政策委員会におきまして、この要請に応じた場合においても日本銀行の基本的使命でございます金融政策あるいは金融調節を円滑に実行する上で必要となる資産の流動性を十分確保し得るというふうに判断し、その上で決定を行ったものでございます。

今回の再乗換えは、あくまでも平成十七年度におきます国債償還の集中への対応という例外的かつ時限的な位置付けでございまして、国債発行残高が累増する下で日本銀行がその一部をファイナンスするといった性格のものではこれは全くございません。

○平野達男君 今の御答弁の中で、要は国債、借換債を含めまして、市中発行分が大体日銀乗換え除きますと平成十七年度で百二十兆ですね。前の年は百十五兆なんです。この市中発行分の増えることの、激減というか、市場に対するいろんな影響を和らげるという目的だというふうに私は理解したんですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○参考人(白川方明君) お答えいたします。

仮に、日本銀行が満期の到来しました国債を乗換え引受けしなかった場合には、その場合には政府におきまして新規に国債を発行し、民間から資金を吸い上げるということが必要になってまいります。その際、日本銀行としては、その部分を中和するように新たに資金供給オペをやっていくということになってまいります。

現在、日本銀行の量的緩和の下で大量の資金供給を行ってございますけれども、もしこの再乗換えを行わなかった場合には大量のオペレーションを毎日毎日行っていくということが必要になってまいります。そういう意味で、ある程度の根っこの部分につきましてはこれは再乗換えを行っても、これは、そういう頻繁のオペレーションを避けるという意味でこれは意味がございます。ただ他方で、これをすべて固定的に乗換えしますと、これは日本銀行の資産が固定化してしまいまして、最終的に日本銀行の資産の流動性が損なわれることになります。

したがいまして、その両方のバランス、つまり頻繁なオペレーションはこれは避けた方がいいということと、それから一方で、日本銀行の金融政策・調節の柔軟性を確保する、その両者のバランスを考えた上で、今回この要望にこたえても日本銀行の基本的な使命の達成には支障がないというふうに判断したものでございます。

○平野達男君 ちょっと私の理解が悪いのかもしれませんが、要は十六年度と十七年度で何が変わったのかということを見ますと、借換債が非常に増えたんです。だけど、財政融資特会債、これが減っていますね。だから、市場そのもので見た場合には、政府の発行する国債、政府保証債の発行予定額というのは前年度百六十二兆、今年は百六十九兆、百七十兆ぐらいですかね、七兆の増加なんですね。そういう変化率だけ見るとそんな大きくはないというふうな感じもするわけです。何が要するに問題なのかということを、この国債の発行額ということに関連して御説明していただければ有り難いと思います。いや、そうじゃなくて、一切この国債発行額の増減とかなんかは関係ないんだということであればそれでも結構ですけれども。

○参考人(白川方明君) 今回の措置でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、これは平成十七年度におきます国債償還の集中をできるだけ平準化していくということでございます。

したがいまして、国債発行額全体の問題といいますか、その国債の発行、国債の償還期がいつ到来するか、その期間をできるだけ平準化したいという財務省の御要請がございまして、それに対して日本銀行として調節上これが支障がないということで、したがいまして委員の御質問に顧みますと、これは国債発行総額の問題というよりか主としてこれは平準化、期間の集中の問題というふうに理解しております。

○平野達男君 そうすると、その平準化を円滑にするために乗換えをやったという、こういう理解でよろしいんでしょうか。

○参考人(白川方明君) 平準化を、国債の償還期間の平準化を行うということが財務省さんの御要望でございまして、それにつきまして、日本銀行の基本的な使命遂行上、それに応じてもこれは影響がないということで、したがいまして、御質問に顧みますと、平準化ということが主たるねらいでございます。

○平野達男君 はい、分かりました。

いずれ、この財政再建あるいは国債の発行の問題に関連して重要なことは、取りあえずはプライマリーバランス均衡させましょうということで、これは大変高いハードルなんですけれども、これは何としても達成させなくちゃならないということだと思います。その後に問題になってくるのが、あるいはその前からかもしれませんが、何回も議論しているところの名目成長率と名目金利との関係です。

ところが、名目成長率の中で非常に重要なことは、先ほど私も言いましたけれども、これから人口減少社会に入っていくと。過去五十年間で日本の人口というのは御承知のように五割増えました。いろんなその前提条件がございますけれども、今のままいくと、これから五十年で五割減るということもあります。人口が減って生産性が伸びればGDPはそんなに減らない、減らないというか場合によったら伸びることもありますけれども、それだけの人口が減っていく中で、生産性向上をやるというのはなかなか難しいだろうと思います。

ということは、何が起こるかといいますと、名目GDPは下がっていくんですね、インフレでも起こらない限りは。そうすると、そのGDPと名目成長率と名目金利との関係は、これからその人口の減少が入っていく段階ではもうなかなか反転させることが難しい状況に入っていくはずなんです。それに入っていくと思います。そうすると、国債発行残高をGDPの枠内で抑えるということは相当早くやっておいて、かつまた歳出と歳入の構造をしっかり見直していかないと、これは大変になるということだと思います。

そういった意味で、この財政再建はやっぱり待ったなしだろうと思います。ただ、私らに言わせていただければ、これだけの債務をつくったのは今の与党だし、五十年間ずっと政治をやってきたその掃きだめみたいな、おりみたいなものがたまっているんだと思うんですね。これはだれが掃除できるかといったら、やっぱり今の与党ではやっぱりできないと思いますね。これは是非政権交代をやって、私らに任せていただきたいということを再度申し上げておきたいと思います。

まだ時間がちょっと五分ほどございます。残りの質問に入らせていただきますけれども、補助金と交付金ということについてお伺いしたいと思います。

今度、交付金ということで、公共事業の中にも昨年度の予算の中にはまちづくり交付金、今回は集排と下水道と合併浄化槽、それから道路、農道等道路に関しまして交付金制度というのをつくりました。私は、この交付金制度というのは、個人的には大変評価しています。よくやったなという、よくやられたなという感じが強くしています。

改めてこの交付金についてお伺いをしますけれども、補助金と交付金、これは何が違うんでしょうか。

○副大臣(上田勇君) お答えをいたします。

今委員が御質問の中でお触れになりましたように、今度の十七年度の予算編成におきましては、省庁横断的な交付金の創設、約八百十億円を始めといたしまして、総額三千四百三十億円の交付金化の改革を実施することといたしております。

交付金の改革について、従来の補助金とどこが違うのかということでありますが、何点かございますが、大きく三点申し上げますと、一つには、複数の事業を包括的に対象とすることによりまして、一体的な事業計画の策定が可能となるという点があります。  二つ目として、その計画に基づく補助対象となる事業の間の予算の融通が可能となりますので、地方が事業進捗を一体的に管理することが可能となるという点があります。

三つ目には、やはり省庁の枠を超えた補助金の一本化によりまして、事業申請等、これはなかなか中央省庁に対するそういう申請手続煩雑だというような声もありました。そういう事業申請等の手続が簡素化される、そうしたメリットがあり、地方の裁量度を高めて自主性を大きく拡大する改革になっているんではないかというふうに考えております。

○平野達男君 今のお話聞きますと、交付金というのはいいことだらけなんですね。確かに交付金というのは補助金に比べて融通性があります。メリットたくさんあるんです。

今回、これを試験的に入れたのかどうか分かりませんが、これからいろんな補助金行政の在り方を考える中で、今回交付金化を、先ほど言いましたように、汚水処理施設あるいは道路に入れたという意味は非常に大きいと思うんです。今副大臣が言われたようなメリットあります。

それで、そういうメリットがあるということであれば、これからはもう補助金はガラガラポンして、どんどんどんどん交付金化の方向に行くのかどうか、これをちょっと考え方をちょっとお聞きしておきたいと思います。

○副大臣(上田勇君) 今申し上げましたように、交付金化には様々なメリットがあるわけでありますので、そういう方向を検討していきたいというふうに思っておりますが、ただ、やはり交付金を進めるに当たっては、やはり留意しなければいけない点も幾つかあるんではないかというふうに思っております。

一つは、やはり従来の補助金と比べて補助対象が非常に広い範囲に及びますので、その費用対効果、そうした分析だとか、事業の有効性、効率性等をやはり丁寧に検証していかなければいけない、更にその必要性が従来よりも増えていくんではないかというふうに思っております。

また、二つ目には、その事前の審査が、今まで行われていたのを、それを簡素化するわけでありますので、そうするとやはり事業実施後の事後評価が、これがやはり予算の効率的な利用という、効率的に使っていくという意味から十分なチェックを担保することが更に重要になってくるんだというふうに思っております。

また、補助が単一の事業に限られている地域もありますので、事業間の融通を可能とする交付金に加えまして、やはり単一の補助対象に特化したような従来の補助金を存続させる意義といったこともあるのかないのか、そうしたことも議論する必要があるんではないかというふうに思っておりますので、そういったことを含めて検討していきます。

○平野達男君 今の補助金行政の中での私の最大の問題というのは、先ほど副大臣にも答弁がございました、各事業の工程管理が自治体、できないんです。どういう意味かといいますと、例えば下水道は下水道、集落排水なら集落排水、公園なら公園、あるいは公民館なら公民館、何でもいいです、それを単一ごとに補助金申請という形で各省に要求します。例えば五年から五年、七年なら七年、十年でやるなら十年というふうに、各々事業について計画を作って、この期間までに完成させたいと思うんですが、その工程というのは国の予算の、毎年毎年付ける予算でその工程が抑制されてしまうんです。例えば、今言いましたように、市町村によっては、下水道、公園、公民館がありますけれども、うちの市町村は下水道だけどんどんどんどん進めたいと、早く終わらせたいというところがあるかもしれない。ところが、これが、下水道は下水道、公園は公園、公民館は公民館で各省で分かれていたらそれができないんです。

それからあともう一つ、補助金の問題は、繰越明許、繰越しもなかなか難しい、それから地区間流用もできない、目間流用も難しいんです。目間流用というのは予算の費目間の移動ですね。ところが、交付金はこの問題全部解決するんです。

それから、あと、副大臣の言われた費用対効果の問題ございますけれども、こんなの全然問題じゃない。総合メニューの中で、個々のメニューについての要するに費用対効果をやっておけばいいんですから、それは全然制限要素にならないんです。

交付金化でもって何が問題になるかといいますと、まさしくこれは省庁の縦割りなんです。今、下水道は下水道、集排は集排、それから公民館は公民館、公園は公園、各部局があります。今、話変わりますけれども、国から地方向けの補助金は十七兆あります。地方交付税交付金も十七兆です。これがいいかどうかは別ですけれども、十七兆の交付金というのは総務省が数十人で配分決定しています。これ、いいかどうかは別ですよ。同じ十七兆、十八兆ある地方向け補助金というのは、霞が関が一杯、農水省ある、国土交通省ある、財務省がある、それで一年掛けてわんわんわんわんやって議論して、それで決めている。しかし、それが先ほど言ったように、工程管理も自治体もできない、それから目間流用もできない、地区間流用もできない、そういう流れになっているんです。それは何かといいますと、今の霞が関の行政単位がそういう仕組みになっちゃっているから。

これ、交付金の最大の問題はこの縦割り行政をどうするか、今の仕組みにまでメスを入れなくちゃならないわけです。だけれども、私どもは、今回この交付金制度入ったことを非常に私自身は評価しています。これをきっかけに補助金の抜本的見直し、私らが言うところの一括交付金化、それの端緒になったと思っています。その端緒になったということで、これを部分的には評価していますし、これからの補助金行政の見直しにつきましては、この交付金制度出てきましたので、いろんなところでしっかり議論していきたいということを申し上げまして、総理大臣来られましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

その2へ続く

 

 

2005年03月22日 (火)

参議院 財政金融委員会 5号 平成17年03月22日(その2)

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。

委員の異動について御報告いたします。

本日、若林正俊君、峰崎直樹君及び大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として中川雅治君、林久美子君及び井上哲士君が選任されました。

─────────────

○委員長(浅尾慶一郎君) 所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

本日は、本案の審査のため、参考人として東京大学大学院経済学研究科教授井堀利宏君及び早稲田大学現代政治経済研究所特別研究員飯塚尚己君に御出席いただいております。

この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。

両参考人におかれましては、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。

忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本日の議事の進め方でございますが、まず井堀参考人、飯塚参考人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。

また、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願いたいと存じます。

なお、参考人、質疑者ともに御発言は着席のままで結構でございます。

それでは、まず井堀参考人にお願いいたします。井堀参考人。

○参考人(井堀利宏君) 今紹介いただきました井堀です。よろしくお願いします。

それでは、私のレジュメ、簡単なやつが、三枚組のやつがあると思いますが、それを参考にしていただいて、お話ししたいと思います。

今日お話しするタイトルは、税制改革の展望、財政再建と経済活力ということですけれども、時間の制約もありますので、所得税の話を中心にして、あとはその環境ということでそれ以外の点についても少しお話ししたいと思います。

それで、今、やはり税制改革の話をするときに、どうしても全体として税収をどのくらい上げなければいけないのかという、そういう制約がかなり厳しいと思うんですけれども、そこを、どのくらいの税収を確保すべきかという点についてある程度前提をはっきりさせておかないと、要するに税制改革というのは基本的には減税が一番望ましいわけで、減税することがある意味じゃその最適な税制改革であることはこれは確かなんですけれども、これはほかの条件が許せばという前提が当然付くわけですね。日本のその現状では、財政赤字が今非常に厳しい状況ですから、減税しようとしてもできないときに、どれだけの税収を確保する必要があるのかについてきちんと認識を共通にしておくことが必要だろうと思います。

問題は、その財政破綻がこれからどのくらいの額で起きるのか、あるいはそのときにそれを避けるための必要な増税額がどのくらいかということなんですが、これはもちろん、一つには、今後税を、税制をほうっておいたときに、歳出がどのくらい増えるのか、あるいは削減できるかという歳出サイドの問題に当然かかわってくる話ですし、それから税や歳出を自然体で五年、十年延ばしたときに、当然その金利分だけ財政赤字の残高が増えますので、片方、税収の自然増収は経済成長率に対応した形で増えますので、金利と成長率の大小関係が今後どうなるのかということにも依存するわけですね。それから、税収の方でいえばインフレ率であり、あるいは一人当たりのGDP成長率、つまりその生産性がどのくらい向上するのか、そういった要因にも依存しますし、金利の面でいえば貯蓄率が今後どうなるかとか、いろいろな要因に依存しますので、何とも正確なことは言いにくいと思うんですが。

ただ、常識的な前提で今後五年、十年ぐらいを想定しますと、今の日本のその財政赤字をすべて歳出の削減だけ、あるいは景気の回復に伴う自然増収だけで対応するのはやはり無理があるのではないかと思います。

その意味では、そういったその歳出の削減なり景気の回復に伴う自然増収を見込んでも、残りが、裁量的な増税はやはり中期的には避けて通れない課題なのかなと思います。

その辺は、金利と成長率とか、いろいろな、社会保障歳出がどのくらいこれから抑制されるかとか、いろいろな要因にも依存するわけですが、インフレ率とかですね、普通のシナリオでいきますと、私の感じだと、今後十年ぐらいの間に、年率、毎年毎年の年のオーダーで見ますと、GDPで四%ぐらいの裁量的な増税をしておかないと財政危機が将来ますます深刻になるだろうと思います。

GDPで四%の裁量的な増税といいますと、消費税で、大ざっぱに言えば八%ポイントぐらいの消費税率になるわけで、その意味で、仮に消費税だけで対応するとすると、今五%の消費税を一三%ぐらいまで上げるというのが一つの裁量的な増税のスタンスになります。

ただ、これはもちろん消費税だけがその増税の対象ではありませんし、ほかの所得税なり、いろんなほかの税制も有力な税制になるわけですけれども、いずれにしても、裁量的な増税幅を、その程度の増税を同時に実施しないと、歳出の削減なり自然増収だけに頼っていたのでは十年たってもなかなか財政的には厳しいのかなと思います。

そのときに、問題は、じゃ増税が避けられないとしても、経済活力を損なうような増税は望ましくないわけで、なるべく経済的には特に民間の活力が両立するような増税が望ましい。

そうしますと、どういう増税が必要かというと、やはり平均税率は確保しつつ限界税率を引き下げるという、そういう形の増税しかないんじゃないかと思います。平均税率を確保するということは、要するに、租税負担率で見て、GDP比で見ても国民所得率で見ても、租税負担で見てある程度の税収は確保しなきゃいけないわけですけれども、ただ、その経済の活性化という観点から考えますと、人々が所得とか消費、あるいは企業であれば利益ですけれども、いろいろな形で経済活動をしたときに、それに伴って税負担が大きく増えるようだと余り経済活力をこれから増やそうというインセンティブはないわけですね。だから、限界的なレベルでは税率は下げる必要があるんですけれども、そうかといって税収を全然確保しないのではそもそも国の予算が組めませんので、きちんと税収を確保しつつ限界税率を引き下げるような、そういう努力が一つ必要だろうと思います。

それからもう一つは、一時的に減税するということがマクロ経済にどのくらい活性化の効果を持つかというと、これはなかなか限界があるのではないかと思います。つまり、一時的に減税しても、それが恒常的な減税につながらない限りは、民間の家計にしても企業にしても安心して使うことを増やさないわけですね。

問題は、その一時的な減税が恒常的な減税につながるためには、歳出全体が下がって、一時的な減税しても将来増税圧力にならないという担保が出てくる必要があるわけですけれども、そのためには、減税したものが政府の歳出の削減につながる必要がありますし、同時に、財政状況が悪いときに減税したものが公債残高の、過去の残高の削減につながるという形で将来の増税要因にならないという、そういう担保がないと、なかなか、減税してもその分だけ財政赤字が増えただけでは余り、将来の増税要因が増えるだけなので、なかなか経済の活性化にはつながりにくいと。その面では、財政状況悪いときに減税するというのはそれほど経済的には効果が薄いという、そういう厳しい状況で考えざるを得ないということだと思います。

それで、どういう形の増税なり減税を考えるかということなんですけれども、レジュメですと二ページ目のところの基本的なスタンスは、無駄な歳出を助長するような税制から政府の歳出を引き締める税制ということで、増税が避けられないとしても、必要最小限の増税の上限を明示すると。

今の小泉政権というのは、消費税は引き上げないという形で、増税しないということで歳出の抑制への圧力を掛けようという、そういう方針取っているわけですけれども、これはその財政状況が厳しいときに増税しないと言っても、余り現実的でない公約を続けていても余り信用されないという側面があるわけですね。

だから、ある程度増税が避けられないときには、これ以上の増税はしない、しかし財政再建のためにはこれだけの増税が必要だということをもう少しオープンに国民に示して、例えば消費税であれば、一〇%までの消費税は引き上げるけれども一〇%以上上げないと。一〇%まで上げて、あとは歳出の削減で対応するという、最小限の増税の上限を明示して、それ以上の増税にしないということがコミットできるような財政再建のより現実的なシナリオを示す必要があるのではないかと思います。

時間が来ましたので所得税の話に入りますけれども、まず定率減税の縮減、廃止に関しては、今の厳しい財政状況の中で税収の増加を図るとすれば、最も最初に手を付ける課題というのは定率減税を縮減あるいは廃止だろうと思います。

これはなぜかといいますと、既に九〇年代に減税しているわけですから、それを元に戻すということだけなので、徴税上のコストあるいは課税ベースの捕捉等が容易ですので、増税策としては一番税制上はしやすいという側面もありますし、しかも所得税の増税なので、これは所得再分配の観点からいいますと、相対的に所得の高い人が税負担も重くなるという所得税の公平性の観点からいえば、消費税を増税する場合に比べると国民の不公平感の面での不信感も多少は緩和されている、そういう側面があります。

それからもう一つは、マクロ経済との観点でいいますと、確かに増税なので景気に対してマイナスの効果は全然ないわけではないんですが、ただそのマイナスも景気抑制効果は余りないのだろうと思います。これは程度問題ですけれども。つまり、増税しても恒常的な可処分所得はそれほど減少しないと。これはどういうことかといいますと、増税しても、その増税した担保は財政赤字の縮減の方に向きますので、将来の歳出の増加要因になりませんから、増税した分だけ将来の増税分が消えますので、中長期的に見ますと、家計の可処分所得はそれほど減少しないとすると、余り消費は現在から減らないんではないかと思います。

それから、もう一つのポイントというのは、ここ四、五年、公共事業は御存じのように削減してきたわけですが、公共事業は削減しても、実は景気がそれほど大きく底割れしなかったわけですね。常識的なマクロ経済の考え方でいいますと、公共事業の削減の方が増税よりははるかにGDPに対するマイナスの効果は大きいんですね。ところが、公共事業の削減がそれほどGDPを抑制しなかったということであれば、増税してもそれがGDPに与えるマイナスの効果ははるかに小さいだろうと思います。

それから、そもそも、本来、減税、増税ということがマクロの景気政策にどういう役割を持つべきかというそもそも論で考えますと、景気の安定化政策というのは、財政面からいいますと、裁量的に所得税法を変えて減税したり増税したりするよりは、累進的な所得税とか法人税のいわゆる自動安定化機能、ビルトインスタビライザーと呼んでいますけれども、要するに景気のいいときには自然に課税ベースが増えるわけですから税収が増えると、景気悪いときには自然に課税ベースが減るわけですから税収減ると、その効果に頼る方がはるかに必要なときに必要なだけの景気安定化効果が効くわけですね。裁量的に減税したり増税したりしますと、いつの時点で減税するか増税するかということと、それが実際に行われるタイミングは必ずしも景気を安定化するタイミングと一致する保証がありませんので、場合によっては不安定化要因にもなります。

その意味では、裁量的に増税、減税ということをなるべく税制でやらないように、本来のその税の持っている自動安定化機能を活用すべきであると。そういう観点からしても、九〇年代に裁量的に減税したことのツケは今のうちに補整しておく方が望ましいのではないかと思います。

それから、時間が来ましたので、最後に所得税に関しての考え方だけ簡単にお話ししますと、所得税については、やはり控除を基本的に見直して、本人控除と子供の控除だけに整理して、配偶者控除は縮減あるいは廃止するのが望ましいと思います。それは、女性の労働供給に中立的だという、そういう功利性の観点からもありますし、そもそも所得がないということは必ずしも働けないということではありませんので、子供とそれから大人を同じ形で被扶養者と認定するのは余り筋が通らないのかなと思います。

それから、累進構造あるいは課税最低限に関しては、これはもう消費税をどのくらい活用するかとの相対的な兼ね合いで、累進構造をよりフラット化して課税最低限を引き下げれば相当消費税と似たような形の所得税になりますので、今後消費税率を上げるとすれば、その分だけ所得税を余り増税しなくてもそれなりのその効果は出るわけですが、逆に言いますと、消費税を余り上げないとすると、所得税のところをもう少しより広く薄く、多くの国民がそれなりの税負担を所得税を通じて払う形で納税者となって、納税者となることで税収の使われ道にもきちんと監視するインセンティブを持つという、そういう要するに受益と負担のリンクを回復させる一つの大きな役割というのは、直接税である所得税をもう少しきちんと活用すべきだと思いますので、その観点からいいますと、納税者、所得税の納税者をもう少し広げるような税制改革というのは望ましい方向だろうと思います。

消費税等におきましては、時間が来ましたので、もし質問があれば後でお答えしたいと思います。

以上で終わりにしたいと思います。

○委員長(浅尾慶一郎君) ありがとうございました。

次に、飯塚参考人にお願いいたします。飯塚参考人。

○参考人(飯塚尚己君) 御紹介いただきました飯塚でございます。簡単にちょっと自己紹介だけさせていただきますと、これまで十年間、民間のシンクタンクの方で、景気動向でございますとか経済予測、こういったことに携わってくると同時に、その経済政策という観点で早稲田大学の方で研究をしてきたというところでございます。本日、政策に絡む観点ということで、早稲田大学特別研究員ということでお邪魔させていただきました。

実は、私、必ずしも税制に関する専門というわけではございませんので、本日、こちらの法案につきましてどこまで御意見述べられるかというところはあるわけでございますけれども、いただきました資料を拝読させていただきまして、例えば中小企業に対する優遇税制、こちらの拡充でございますとか、あるいは人的な投資に対する減税措置の創設、非常に意義深い内容、結構な内容が多いのではないかなと思っておる次第でございます。

ただ、一点のみ、いろいろ報道などでもございましたけれども、こちらの定率減税の縮減、廃止といったことでございますが、こちらの時期につきましては若干時期尚早の嫌いがあるのではないかということを考えております。その点につきまして、こちら、本日横長の資料をお持ちさせていただきましたが、こちらに沿いまして私の考え方をお話しさせていただきたいと思っております。

こちら、一枚おめくりいただきまして、本日お話しさせていただくポイントでございますが、三つほどございます。

まず第一点目でございますが、ただいま参考人の井堀先生からもお話がございましたけれども、やはり財政再建というのは日本経済にとって極めて重要な課題と認識しております。そうした中で、個人所得課税、こちらも増税の方向で見直さなければいけないということは私も深く認識しておる次第でございます。

ただ、そうは申しましても、やはりその増税につきましては、それは景気への配慮が極めて重要ということでございまして、その縮減の廃止の時期としては、もしかしますとちょっと早過ぎるのかもしれないのかなという感想を持っております。

また、三点目としましては、それでは、じゃ、どのようにこの縮減のタイミングを考えていけばいいのかというところにつきまして、私は一つ名目GDP成長率が四%に達したような段階ということを考えておる次第でございますけれども、そこの辺りのお話をしたいと思います。

では、一枚おめくりくださいませ。

まず第一点目、二ページ目でございます。まず、やはり財政再建を考える上で個人所得課税の見直しは必要不可欠ということでございまして、今恐らく財政再建が日本経済にとって極めて重要な課題であるというのは研究者あるいはエコノミストの間でも完全なコンセンサスになっていると思います。また、やはり最近は、この増税、財政再建等を行うに当たって、自然増収あるいは歳出削減だけではなく、やはりある程度制度的な増税をもってやっていかなければいけないということにつきましてもほぼコンセンサスになっていると思います。

その際に、やはり基幹税の所得税、こちらの部分、図表一の方に、こちらグラフを示しておりますが、ピーク時に比べますと非常に税収が減っており、また所得に対するその割合というものも低下しているということでございますので、ここの部分を見直していかなければいけないということは間違いないのかなと思います。

ただ、問題はやはりそのタイミングということでございまして、三ページ目の方でございますが、現時点における定率減税の縮減ということにつきましては、場合によっては少し時期尚早になってしまうかもしれないと、このように考えております。

そう考える理由、二つございます。

一つ目でございますが、まず日本の消費者を取り巻く環境ということを見ますと、まだなかなか景気回復の恩恵が伝わってきていないということがございます。

こちら、まず日本の景気ですが、二〇〇二年の一月から回復しているということでございまして、企業の方を見てみますと、相当体質の改善が進んでいるということでございます。日本経済、三つの過剰、こういう重荷があったと言われますが、こちら、図表の二の方には、企業の設備あるいは雇用に対する過剰感、このグラフをお示ししておりますけれども、いっときに比べまして相当過剰感が下がってきているというのがごらんいただけます。

また、図表の三の方は、これは企業の債務、これは借入金と社債の合計でございますが、これのキャッシュフローに対する倍率を見たものです。簡単に言いますと、何年間、キャッシュフローをその借金の返済に充てると何年間で返せるかと、こういうことでございますが、いっときこれが七年間を超えるような非常に高い水準にございましたが、債務削減進めてきた結果として、もう八〇年代の前半と同じぐらいのところ、バブル前のところにまで下がってきていると、相当企業の体力強化は進んでいるということでございます。

ただ、次のページごらんいただきまして、家計の方を見ていただきますと、なかなか状況は厳しゅうございます。こちら、図表の四というところに、就業者、あるいは失業、あるいは家計の賃金といったものをお示ししておりますが、丸を打ったところで失業者数見ていただきますと、二〇〇四年度、これまでのところを平均しますと三百十二万人ということです。景気が大幅に悪化したのは九七年のところからということでございますが、その前の九六年、この時点を正常な状況と考えますと、そのときとの対比ですと八十七万人失業者が多いということでございます。また、下で丸打っているところで、いわゆるサラリーマンの給与でございますけれども、こちらもピーク対比で二十八万円ほど低いと。最後の丸のところ、可処分所得ですが、これは今までの減税などによって少しマイナス幅は縮小しているということでございますけれども、そうは申しましても、やはり二十四万円ぐらいおっこっているということでございます。

図表の五と六というところは、それぞれ現金給与総額、失業者数のグラフでお示しておりますので、御参照いただければと思います。

続きまして、二点目でございます。

減税の縮減が時期尚早と考える二つ目の理由でございますが、こちらは、御承知のとおり、日本経済が今まだ景気の安定的な回復というところには至っていないということでございます。先般、十一月、十二月と政府の方でも景気判断を引き下げましたけれども、やはり日本経済、現状では景気は踊り場にあるということでございます。

図表の七のところはGDPの成長率でございますが、二〇〇四年度に入って二回ほどマイナス成長を記録しているということでございますし、前年比で見たその伸びを見ましても、やはり足下、随分縮小してきているということでございます。私自身の考え方も、あるいは政府の考え方もそうですが、この踊り場から夏場ぐらいまでにはほどなく景気回復してくるという見方も多いわけでございますけれども、一方で二〇〇五年度一杯景気の停滞が続くと、このように悲観的に見る専門家もまだ多いという状況でございます。

このように、景気がデリケートな中でございますと、なかなかやはり増税論議というものが、家計、消費者のマインドに冷や水を浴びさせてしまうんじゃないかということをちょっと懸念しております。

七ページ目の図表の九でございますが、これは代表的な家計の気分のところ、消費マインドを示した消費者態度指数というものでございますが、年末に向けて大きくこれおっこってきておりました。年が明けまして少し経済指標あるいは株価といったところにも少し明るさが見え始めまして、少し持ち直している感はございますが、一方で、図表の十の方をごらんいただきますと、少し増税に対する不安が高まっているかなという兆しもございます。

この図表の十の方は、日本銀行が四半期に一度定期的に調査をしている生活意識に関するアンケート調査というものでございますが、こちらで、大体四千人ぐらいを対象にして三千人ぐらいの有効回答者ということでございますが、消費を減らしましたという回答をした人たちに対して、なぜ消費を減らしたんですかという、回答をいたしますと、やはり増税に対する不安というものが高まっていると、このように回答している方が少し増えているということでございます。

次のページへ行っていただきまして、仮に、増税に対する不安というものが仮に消費の減速につながってしまうということになりますと、景気、相当微妙な局面でございますので、失速のおそれもありということなんでございますが、恐らく、その悪影響というのは、場合によっては消費だけではなくて企業の設備投資にも及んでくるかなと思っております。

実は、こちら、図表十一というのは、企業の先行きの五年間ぐらいの成長期待、これをお示ししたものでございますが、非製造業の方を見ますと、足下五年間ぐらいずっとこれが下がってきていると、あるいは非常に低い水準にとどまってしまっているということになっています。製造業が少し底打ちしたのに比べると非常に印象的なわけでございますが、この背景は、図表十二にございますけれども、こちら、非製造業の需要の構成、売上げあるいは利益がどこから生み出されているか、これを需要項目別に見たものでございますけれども、やはり個人消費の部分が五割を超えているということでございます。

これまで雇用不安でございますとか、あるいは先ほど申し上げたような所得の減少という中で、個人消費なかなか振るわない状況が続いてきましたが、そういう中でやはり非製造業の方も期待成長率が下がって、それゆえに設備投資がやりづらい、こういう状況になっているわけでございます。逆に、個人消費が安定的に回復していくという期待が広がりますと、非製造業の設備投資も増加してくると。非製造業は、実は日本に占める割合、大体もう設備投資で見ても雇用で見ても七割ということでございますので、ここが安定化してくれば日本経済全体の成長も相当安定化してくるということになると思います。

以上、二点、理由を申し上げましたが、ややちょっと定率減税の縮小というのは時期尚早かもしれないと思っているというところでございます。

三点目入ります前に、簡単にこれまでのお話をまとめておきますと、私、個人的にやはり増税は不可避だと思っておりますが、一つには、その所得、雇用など家計を取り巻く環境がいまだまだ十分に回復していないということ、二つ目として、景気が必ずしも安定的な回復局面に入っていないということから、少し時期が早過ぎるのではないかということをお話ししてまいりました。

では、どうすればいいのかという論点、三点目の論点でございますけれども、私としましては、基本的には、御提案といたしまして、定率減税の縮減、廃止を行うに当たっての条件と申しますか、そういったところを少し明確にしてあげることによって国民あるいは企業の増税に対する不安の心理というものを大きく緩和できるのではないかと考えております。

こちら、図表十三のところに与党税制改正大綱のところから抜粋させていただきましたが、弾力条項と申しますが、景気動向に配慮して定率減税の縮減、廃止を決めていくということでございますが、ここをより分かりやすい形で条件を提示してはいかがかということでございます。

その条件として私が考えておりますのは、一つ目としましては、先ほど申し上げました失業率あるいは所得といったところが景気が大きく悪化する前の九六年度の水準にまで戻ってくるというのが一つ。もう一つとしましては、冒頭申し上げましたが、名目GDP成長率が四%ぐらいに達するということが一つ条件になるのではないかなと思っております。

一枚おめくりくださいませ。

私が、じゃ名目GDP四%ということを申し上げておる根拠でございますが、大きく分けますと二つございます。

一つ目は、まず日本の潜在成長率、これは大体実質のベースで見まして一・五%から二%ぐらいと言われております。これに加えまして、望ましいインフレ率、これどれくらいかというのはなかなか難しゅうございますが、例えば金融政策でインフレターゲットを導入している国、この中で日本と比較可能な主要先進国ということで申し上げますと、例えばイギリス、カナダといったところがございますが、こういったところは大体CPI、消費者物価で二%ぐらいという数字を置いております。この数字を正しいとしまして考えますと、名目の四%ぐらいというのは政策目標として考えたときにあるべき水準ではないかなということ。

あと、二つ目の理由は単純です。こちら、図表十五の方に主要先進国の名目GDP成長率を置いておりますけれども、ごらんいただきますと分かりますとおり、日本と比較可能な主要先進国、G7、日本を除くベースで見てみますと、過去平均で四%を超えるぐらいということでございます。日本もデフレを脱却すればこれぐらいの水準に達することは可能だろうと、正常な状態に行けばこれぐらいになるのかなというところです。

最後になりますけれども、名目四%成長といいますと非常に高い数字かなという御印象を持たれる先生方も多いと思うんでございますけれども、私は政策次第では十分達成可能な数字かなと思っております。

二〇〇三年度の成長率、二%実質であったわけでございますけれども、仮にデフレが終わっていてインフレ率が二%ぐらいであれば、実は四%の成長率だったということもございますし、多くのエコノミストが予測している二〇〇六年度の水準は実は一・四%というところになっています。あと一押しでまあ何とかこの二%に達しそうだということなんでございますが、そのためには少し政策的な後押しがあってもよろしいのかなということを考えています。

ごく簡単に申しますと、こういう言い方はどうかと思いますけれども、当面はやはり景気に優しいマクロ政策を行って、何とかデフレ脱却、これを実現するということがあると思います。

また、構造改革という観点について申し上げますと、生産性を上昇させることによって潜在成長率を高める、これによって経済成長率全体を高めて財政再建をやりやすくするということもございますし、また家計がこの後増税を余儀なくされるということでございますと、それを少し緩和する措置として、特に公共料金などの引下げですとか、そういった実質的な購買力の面から少しその財政再建の重荷の部分を緩和してあげると、こういった政策も同時にやっていくということがひとつ重要になってくるのかなと思われます。

私の方からは以上でございます。

○委員長(浅尾慶一郎君) ありがとうございました。

以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。

これより参考人に対する質疑に入ります。

なお、質疑時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。

それでは、質疑のある方は順次御発言願います。

○愛知治郎君 自民党の愛知治郎と申します。

両参考人におかれましては、大変お忙しい中、わざわざこの財政金融委員会に御出席を賜りまして本当にありがとうございます。時間が限られておりますので、数点に絞って両参考人の御意見を伺いたいというふうに思うんですが。

まずは、この財政再建、どうしてもやらなくてはいけないと、厳しい問題ではあるけれども必ずやらなくてはいけないということは全くだれも疑う余地がないことだと思います。両参考人におかれてもこの点だけは一致している御意見かと思います。しかしながら、今定率減税に対してどうするかというのは、多少両参考人御意見が違うように思われましたけれども、最初にこの定率減税の効果について両参考人の御意見を伺いたいというふうに思います。

もちろん、これは緊急避難的な措置として、景気対策の一環として、大幅な一時的な減税ということで導入して、もちろん効果はあったと思うんですが、私自身ちょっと疑問に思うところが、思ったほどの効果は得られなかったんじゃないかという部分もあるんですね。

といいますのも、こういった、まあ残念、いいんだか悪いんだかあれですけれども、私自身が一般の方にお会いしていて話を聞いているところ、もちろん随分納税者という意識、納税者意識は高まってきていると思うんですが、まだまだその正確な理解というか、それはまあ私自身が見ていても非常に難しい問題あるんで正確な理解なかなか難しいと思うんですが、こういった所得税に掛けてあるもの、例えばやはり消費税ですよね、目に見える形で税金が掛かっている、それの増減については物すごい関心あるんですけれども、なかなかこちらの定率減税に関しては実感がわかない部分もあるんじゃないか。

その点でいいますと、減税規模に比べて効果は、まあ間接税に比べては随分薄いんじゃないか。逆を返せば、今減税幅を縮減してもそれほどの影響は出にくいのではないか、だからこそやらなければいけないかというふうには思うんですが、この点について両参考人の御意見を伺いたいというふうに思います。

○参考人(井堀利宏君) 定率減税の効果ですけれども、九〇年代の後半に減税をしたことがそのときの民間消費をどのくらい刺激したのか、あるいはその結果としてGDPがどのくらい刺激したのかという観点で考えてみますと、残念ながらそれほど、特にGDPを増やすほどの効果は特にデータ上で見る限りはなかなか観察されなかったと思います。

これは、定率減税だけじゃなくて、いわゆる地域振興券も当時ありましたけれども、同じような形で、一時的な減税なんですけれども、なかなかGDPを増やすところまではいっていなかったと。ただ、もちろん減税ですから、家計から見ればその分可処分所得は増えるので助かることは助かるわけですね。

だけど、景気対策というのは、景気が悪いときにその実質的な所得が減りますから、そのときに可処分所得が増えるということは、その意味では、社会保障的な意味でいうとある程度その効果はあるんですけれども、問題はそれが、消費がどんどん増えて、企業の投資もそれが呼び込んでGDPが増えるほどの、経済活性化につながるような、いわゆる景気刺激策としての効果まではなかったと。社会保障的な意味では緊急避難への、言わばまあ地震が起きたときの災害救助みたいな、そういう形の効果は多少あったと思うんですけれども、それを超えて経済を活性するまでの効果はなかったのではないかと思います。

その意味からいいますと、今回定率減税を縮小しますと、逆に経済は、どんどん景気が回復しているところを抑えるほどの、それほどのマイナスの効果はないと思うんですが、もちろん可処分所得はその分減りますから、多少は家計にとって苦しいことは確かだと思います。ただ、問題は、それがマクロ経済全体にとってのマイナスの強い圧力にはならないという意味で、あえてその程度の負担というのは、厳しい財政状況の下ではまあ仕方ないのではないかというのが私が思っているところです。

○参考人(飯塚尚己君) 私はもう少しその効果のところを肯定的に考えています。

先ほどあちらのグラフでお示ししましたけれども、やはりまだピーク時に比べると家計の所得の環境というのは必ずしも改善していないということでございますので、そうした中で、その減税が少し可処分所得ということで家計のその消費活動というものを目に見えない形で下支えしているということはあるのだと思います。ただ、先生から御指摘がありましたとおり、導入当時に比べますと徐々にこれが目に見えなくなっているというか、当たり前になってしまっているというか、徐々にその効果が薄れてきているということはあると思うんですけれども。

九九年当時、こちらが導入された当時を考えてみますと、やはり景気全体が非常に急速に悪化していく中で、その家計の消費支出を支えるという一つの大きな材料にはなったと思いますので、逆にこれをやめてしまったときに出てくる悪影響、当時の九九年に効果があったということを考え合わせると、実は無視できないものがあるのかもしれないなというリスクはあると思います。

ただ、ある程度景気がもう水準として回復してくる、所得が回復してきた段階でこれをなくすということであれば相当その悪影響は小さくなってくると思いますので、そういう段階まで待って縮減するということがやはり大事なのではないかと考えています。

○愛知治郎君 ありがとうございます。

大体御意見一致している部分と、私自身も効果がなかったとは思わないんですが、やはりその比較、消費税と比較したときの効果ということでお話をさせていただいたんですけれども、これは非常に難しい問題で、皆さん絶対の答えというのがない問題ですから難しいんですが、やはり鶏が先か卵が先かという話ありまして、これも構造改革か景気回復か、どちらがという議論そのままだと思うんですが。

私自身は、構造改革路線を取って、考え方もそういう考え方を一応しているんですが、小泉総理が誕生したときに痛みを伴ってでもということをおっしゃられて、国民も一応理解をして支持をしたという経緯があると思うんですけれども、やはり将来に対する信用というか、安心感の方が今必要なものではないのかなというところも私自身は考えております。

井堀参考人もおっしゃられましたけれども、増減の上限を決めて、はっきりと明示して計画的にやれというお話をされました。

私もそのとおりだと思いますし、それをしっかりと国民に理解をしてもらって段階的に健全化を図っていくということは必要だと思うんですけれども、また、ちょうどせっかく資料をいただいて、飯塚参考人なんですが、七ページのところ、ありますけれども、今と同じような話でありますけれども、図表の十で、増税の不安等というのは支出を抑える要因として上がってはいるんですが、所得の減少というところは逆に要因として、理由として下がっている。つまり、先ほどの所得税率、定率減税の縮減に対しての不安というのはそれほどない。

というのは、減税の、減税というか、あるべき税制の姿、位置というのははっきりしていまして、そこまで定率減税を減らしていくということですから、国民にとって分かりやすくて、しかも無尽蔵な増税というところにつながらないという意識があるんで、まだ安心感があるんではないかというふうに思います。

ちょっと長くなりましたけれども、結局、直接的この減税の効果よりも、将来に対する政府の信用というところに対する影響の方がやはり国民のマインドからすると大きいのではないかというふうに私は考えておるんですが、その点、両参考人の御意見をお伺いしたいというふうに思います。

○参考人(井堀利宏君) 今の点は私も重要だと思います。

増税への不安というのは、今議論になっておる定率減税の縮小、廃止よりも、むしろ今後どういう形で消費税も含めて税が上がっていくのか分からないと、どの程度の増税で日本の財政がもつのか、あるいは年金も含めればどの程度の保険料の引上げでできるのかという、そういった将来への漠然とした不安の方がむしろ大きいと思いますので、そこの点が過度に不安がありますとかえって家計は貯蓄に走りますので、ある程度現実的な増税で大丈夫だという、そういうシナリオをむしろ出す方が増税を先送りするよりはかえって消費にはプラスかなと思います。

○参考人(飯塚尚己君) その点は私も全く同感でございます。

先ほど参考人、井堀先生からありましたように、非常に明確な将来の増税のプラン、あるいは最低限必要な増税の金額といったものを明示していくということは、国民の将来に対する不安心理を抑制して、結果的にその中期的な景気回復というものに資することになるんだという点については全く同感でございます。

○愛知治郎君 ありがとうございます。

次は、また飯塚参考人にちょっとお伺いをしたいんですが、要件を定めて、このような、これは七ページ、八ページでしたっけ、八ページですね、基準を定めて、これに合わせてしっかりと計画を立ててこの定率減税の縮減、廃止も実施したらいいんじゃないかというお話しされましたけれども。

これも先ほどの議論と同じになるんで鶏が先か卵が先かになるんですが、ただ黙っていて、そのまま減税策とか景気刺激策を取っているだけで本当にGDPが上がっていくのか、それから雇用環境、所得・雇用環境の水準が回復していくのか。これはなかなか難しいんじゃないか。待っているとき、待っているだけで、いつまでたってもこういう政策が取れない状況をずるずると続けていくんじゃないか、その間にだんだん財政が悪くなってこの国の将来に不安を抱えるんじゃないかということで、今本当に痛みを伴っても、しようがないからやらなくちゃいけないんじゃないかと私自身は考えているんですが、この要件を定めることに関しても逆にリスクの方が大きいのではないかと私は思うんですけれども、その点について御意見お伺いしたいと思います。

○参考人(飯塚尚己君) 御懸念はごもっともかなと思います。

ただ、例えば日本の企業を見ていただきますと、非常に環境厳しく、また政策的にも改革重視という中で非常にやはり企業のリストラというのは進んできて、円は競争力が非常に付いてきたというのはもう御承知のとおりでございます。

今、これが、家計の方にこれが波及してくるかどうか非常に微妙なタイミングにあると思っておりまして、例えば冬のボーナスを見ますと、多くの企業がようやく前年を上回る水準を供給できるようになってきたという状況になっています。今、ようやく、私の個人的な感覚でいきますと、家計の方に向けて景気回復が大きく波及していこうというタイミングにあると思うんですけれども、このタイミングに若干少し後ろ向きの政策をやってしまうということがこれをとんざさせてしまうんじゃないかというところにちょっと危険を感じているということでございまして、全体的に改革が重要だというその主筋のところは私も全く同意するところでございます。

○愛知治郎君 ありがとうございます。

ちょっと時間がなくなりましたんで、最後に一点だけ、国債についてちょっとお伺いをしたいんですが、結局、日本の信用度が上がらなければこの国債に対する影響というのも大きく出てくると思うんですが、この点、財政再建をしっかりとして健全化を図ること、これは国債を通じての経済への影響について両参考人の御意見を伺いたいというふうに思います。

○参考人(井堀利宏君) 国債はもう残高が累増していますし、問題は、累増するだけじゃなくて、どんどん発散傾向にありますので、この発散傾向にあるということは非常に財政的には大きなリスクですし、これが将来の金利の引上げにつながるとマクロ経済にも、あるいは予算が組めなくなるという意味では国民生活にも大きなリスク要因ですので、なるべく国債の発散傾向を抑制するという、そういう観点からも財政再建というのは重要で、要するに、借金というのは国の場合は民間と違って、ある意味では短期的には幾らでもできるんですよね。短期的に幾らでもできるので先送りが可能な、ある意味じゃネズミ講は政府だからやれるというところがあるわけですけれども、だからといって幾らでもやっていいというものではないと、そういうことが国債に関しては言えるのかと思います。

○参考人(飯塚尚己君) 私は、基本的に、今参考人、井堀先生からお話があったとおりかと思っておりますけれども、一点付け加えさせていただくとしますと、やはり財政の健全化という観点からしても、やはり成長率の重視ということは重要かと思っております。

ドーマーの法則などというものがございますけれども、やはり名目のGDP成長率が安定的に長期金利の水準を上回っていくような状況、あるいは少なくとも超えないような状況というのを総合的なマクロ経済政策あるいは国債管理政策の中で考えていくということが重要かと思っております。

○愛知治郎君 ありがとうございました。

○平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。

今日は、井堀参考人、飯塚参考人、ありがとうございます。時間が限られていますので早速質問に入りたいと思いますが、井堀参考人にお伺いしたいと思います。

先ほど言われましたように、本来、税を上げたり下げたりしないで、ビルトインスタビライザーというか、本来の税の機能で景気のいろんな調整機能を持たせるべきだという意見は私も賛成でございます。今何で悩んでいるかといいますと、今本当に増税のタイミングかどうかということで今悩んでおります。今回は定率減税の半減ということなんですが、まず第一問目は、ストレートに、今減税をやるタイミングになっているかどうか、これをまず井堀参考人にお聞きしたいと思うんですが。

○参考人(井堀利宏君) その減税、増税というのは裁量的な意味での減税、増税ということですか。

○平野達男君 増税ですね。  失礼しました。実質の定率減税の半減ですから、増税をやるタイミングになっているかどうかということです。

○参考人(井堀利宏君) はい。

そこが、常に増税は、飯塚参考人もおっしゃられたように、コストは当然伴いますし、増税して、ほかの条件が一定であってマクロ経済にいい話ではないので、その意味では増税しようと思うと何らかの悪影響は出てくるわけですね。

問題は、それがマクロ経済で吸収できないほどの今経済環境が悪いのかどうかという点だと思うんですけれども、私はそれほどマクロの経済環境は悪くないんだろうと思います。少なくとも経済成長率がマイナスで、二けたでどんどん落ちていくような状況で増税するということはあり得ない政策だと思いますけれども、経済成長率がある程度のプラスの水準で、四まで行けばもちろんそれにこしたことはないんですけれども、四%以下であっても、そこそこの経済成長率で動いている限りにおいてはマクロ経済にそれほどの悪影響はないんだろうと思うんですね。

問題は、増税したときに、その使い道が無駄な歳出の増加となるという形で増税が使われるとなるとこれは非常に大変で、単に増税するかだけで、その増税することによって得られる財源がどういった形で使われるかということの方がむしろ中長期的には重要だろうと思います。

今回の定率減税の縮減の場合には、それによって増税したものは財政赤字の削減の方に使われるということなので、表面的にはですね、これは、仮に無駄な公共事業の方に行ってしまえばこれはまた問題が起きると思いますけれども、財政赤字の縮減の方に行くということであれば、それは将来の増税要因を消しているわけですから、それほどのマイナス要因ではないのかなと。それで、その景気自体もそんなに不況で底がないという状況ではありませんので、そういう意味では増税は十分吸収できるだけのものだろうと思います。

○平野達男君 もう一点、今度はタイミングということに関連しまして、今度は両参考人にお伺いします。

先ほどのお話の中に増税のシナリオを出すべきであるという御意見がございました。問題は、私はこれ賛成かどうかというのはちょっといろいろ意見があるところなんですが、その増税のシナリオを出すにしても、それを、出したシナリオを国民が信じるかどうか、そういう状況にあるかどうかということが非常に大事なんだろうと思います。

今、財政赤字がどんどん増えている。それから、デフレの脱却の出口も見えていない。この増税のシナリオを出す条件というのはやっぱりもう一つあるんではないかというふうに思うんですが、この出す条件、どういう条件になれば、これから例えば消費税は何%、こういうスケジュールで上げていきますとか、あるいは所得税の控除についてもいろんな見直しをしますというような、そういったスケジュールが出せるのか、それをちょっと両参考人に御意見として伺いたいんですが。

○委員長(浅尾慶一郎君) 順番はどうされますか。

○平野達男君 井堀参考人と飯塚参考人で。

○参考人(井堀利宏君) そうですね、条件っていろいろあると思うんですけれども、経済的な環境とか政治的な環境とか、いろいろとあると思うんですが、一つは、やはり財政状況が非常に厳しくなって、そういう条件を出さなくても増税に関する国民の不安感が出てきている場合には、やはりどの程度の増税が本来必要最小限の増税かということをむしろ出す方が余計な増税不安に対する心配を打ち消すという意味では有効だろうと思うんですね。

だから、全く経済的に財政状況が問題なくて、自然な景気回復に伴う自然増収で税収が確保できるのであれば中長期的な増税シナリオはもう出す必要はないわけで、だから、増税シナリオを出す必要がある最大の一つの大きな条件というのは財政状況が非常に厳しいと。これは、日本、御存じの、毎年毎年公債残高の対GDP比がどんどん上昇傾向で、発散に歯止めが掛からない状況ですと、当然、政府が増税しないと言っても、消費税上げないと言っても、いずれ消費税上がるぞと国民の方が思い込んでいるわけですから、それによってもう既に消費マインドが抑制されるという、そういう悪影響も起きるわけですから、どの程度の消費税の引上げで済むのかということはむしろはっきりとさした方がいいのではないかと思います。それが第一点です。

それから、経済環境という点でいいますと、これは非常に悩ましいのは、実は名目四%も、あれもそうなんですけれども、ある条件の下で増税しますということを言ったときに、その条件を実は判断するまでに時間が掛かるわけですね。これ、名目成長四%になるときに、実際のその経済が四%で動いてから政府がそれを認識するまでに当然ラグがありますから、しかも、それから増税しますとなると、そこで増税というのは昨日から今日に急に税制変えるというわけにいきませんから、そこから後で執行するわけで、当然ラグが起きるので、そういうことを考えますと、なかなかある条件の下で何とかやりますという形の議論は難しくて、むしろ私は、余り、そういったマクロの経済環境とは独立に増税のシナリオというのを出した方が国民としてもある意味では安心があると思うんですね。

景気が良くなればなくなるのか、あるいは悪くなればもっと出てくるのかという不安感があると、かえって税制に対する不安定要因が出てくると思うんですね。だから、よほどの大きなマクロ環境の変化以外に関しては、マクロ的に景気が良くなっても悪くなってもこのスケジュールで税というのはきちんと集めますという、そういうシナリオを出す方がいいのではないかと思います。

○参考人(飯塚尚己君) そうですね、私は、済みません、ばかの一つ覚えのように成長成長と言っておりますけれども、やはり基本的に国民の不安心理を取り除くということに立った場合に、ある程度景気動向とは独立に将来的な増税のプランを考えていくというところについては賛成でございます。ただ、そうは申しましても、やはりどうしても実際の増税というのは所得の実際の減少ですとかいった形でマクロ経済への悪影響を及ぼしてくる、そういうリスクはあることでございますので、やはりある程度景気動向への配慮ということは重要になってくると思います。

あと、それから財政、この財政に対する信認がなくなってしまって、これが内外の不安を増長しているということは事実かなと思うんでございますけれども、その点につきましても、先ほど国債のところで申し上げさせていただいたところでございますが、やはり名目の成長率というものが安定的に長期金利を上回っている、あるいはそれと同水準にあるという場合には、財政の状況は基本的には現状以上に大きく悪化する、あるいはいつまでも悪化していくということにはならないということがございますので、やはりそういった観点でも、まず成長をある程度安定させて、その後にやはり増税等に入っていくという方が政策運営としては望ましいのではないかと考えております。

○平野達男君 今日は税の話だったんで、今日はひょっとして入らない方がいいかなと思ったんですが、飯塚参考人が先ほどから名目成長率と名目金利の話をされていましたので、これに関してちょっと質問をさしていただきたいと思います。

今、御承知のように、名目金利が名目成長率を上回っているという状況です。まず、井堀参考人にお伺いしますけれども、これから五、六年、あるいは二〇一〇年代初頭までにこれが逆転する可能性があるかどうか、これは逆転するとすればどういう条件で逆転するのか。それから、あともう一つは、いろいろ質問して申し訳ございません。これは、まず、一杯質問すると分からなくなるかもしれませんから、取りあえず、この点をまず井堀参考人にお伺いしたいと思います。

○参考人(井堀利宏君) この点は、私、二月の衆議院の予算委員会の公聴会でもしゃべったんですが、今の政府の「改革と展望」というのは、再来年から金利の方が成長率よりも低くなって、名目成長が金利を上回って、結果として公債残高の対GDP比は実は再来年から安定化するんですね、「改革と展望」のシナリオですと。だから、無理に二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを均衡化しなくても、その前の段階から最低限の財政再建で済むようなそういう形になっているわけですから、消費税を増税しなくても。その最大の要因は、今御指摘いただいたように、金利よりも成長率がこれから数年間は高くなるという、そういうシナリオなんですが、これは相当、もちろんそうなれば財政再建には非常にプラスですけれども、それは相当楽観的過ぎるシナリオだろうと思います。

むしろ、金利は成長率よりも高い状況の方がある意味で正常な状況で、つまり景気が良くなると金利が高くなるのは自然で、金利の方が成長率よりも低いというのは、八〇年代以前の、金融を、人為的に金利を規制したときに、国債を出しても、強制的に中央銀行は民間の金融機関に割り当ててきたような状況のときには、金利、国債の金利の方が経済成長率よりも低い状況というのはあったわけですけれども、金利自由化が起きた以降の八〇年代以降はどこの国で見ても平均的には金利の方が経済成長率よりも高いので、要するに、経済が、マクロ景気が良くなれば当然金利は上がりますので、その意味では金利の方が経済成長率よりも高いと思って、それでも財政再建はできるという形できちんとシナリオを作るべきだろうと思います。

○平野達男君 時間がなくなりましたけれども、両参考人にもう一度この件に関して今度はお伺いしますけれども、この名目成長率と名目の金利という関係は政策で逆転できるものなのか、あるいは直接的な政策ではなくて別な政策でやることによって結果的にそうなるものなのか。つまり、今政府のいろんな見通しは、取りあえずプライマリーバランス均衡、二〇一〇年代初頭に持っていきますと言っていますが、この名目成長率と名目金利の関係については見解をほとんど述べてないんですね。

内閣府が、今後、いろんな見通しを出していまして、当分の間は、あれは当分の間じゃない、再来年ぐらいからは名目成長率、名目金利が上回る、そして二〇一〇年代初頭ではまた逆転するみたいな、ちょっと訳の分からぬシナリオになっているわけです。これが、繰り返しになりますけれども、政策として逆転できるものなのか、そうじゃなくて、例えば財政規律とかそういった、財政規律を保つとか、あるいはほかの政策のことをやることで結果的に逆転するものなのか。これは、井堀参考人と飯塚参考人にちょっと御見解を伺いたいと思うんですが。

○参考人(井堀利宏君) 政策的にやろうとすれば、長期金利を人為的に抑え込むしかないんだろうと思います。それができなければ無理だろうというのが私の見解です。

○参考人(飯塚尚己君) 確かに、長期金利を成長率が大きく上回る状況というのはなかなか実現するのは難しいと思うんでございますけれども、一方で、今現在日本にはまだ失業が多くいて、需給ギャップがある状況です。これが潜在成長率にまで追い付いてくるまでの段階ではある程度その成長率を通常以上に高く保つことは可能だと思いますので、そういった政策運営をすることによって、需給ギャップがなくなるまでの間は名目成長率が長期金利を上回る状況、これを実現することが可能かと思います。

もう一点、先ほど先生から御指摘あったとおり、やはりその財政規律などについて配慮することによって、よりその長期金利のリスクプレミアムの部分、ここを最小限に抑え込むということが一つその長期金利を抑制する手段にはつながるのかと思います。

以上でございます。

○平野達男君 まだ時間がありますから、じゃ関連してもう一問質問いたしますけれども、長期金利を抑えるというのは、今のゼロ金利、金融緩和政策の継続という意味なんでしょうか。井堀参考人にお伺いします。

○参考人(井堀利宏君) よろしいですか。

ゼロ金利政策は基本的に短期金利の話ですから、それだけで長期金利まで抑え込むのは無理で、今でも御存じのように長期金利は名目経済成長率より高い状況が続いております。だから、それを抑え込むには長期金利自体に直接何らかの形で規制を掛けるしかないのかなと。それはなかなか大変だろうと思います。

○平野達男君 いろいろ御質問したいことがございますけれども、時間になりましたので終わります。  ありがとうございました。

○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  お二人の参考人の先生には貴重な御意見を賜りまして、大変ありがとうございました。

まず、井堀先生にお伺いしたいと思います。

定率減税の効果について先ほど来御意見を賜っておりますが、マクロ経済の観点からすると、減税を導入したときの効果と、またこれを縮減するときの効果というのはそれほど大きい効果を与えないであろうと、しかしまた一方で、家計、消費マインドに対する影響というのはある程度考えられるだろうと、こういう御意見かと承りました。

そこで、その定率減税を縮減した場合、それを財源として歳出をどういう部門に向けるかということがどんな効果、影響を及ぼしていくかということについてお尋ねをしたいと思います。特に、財政赤字を縮減するという意味での効果はもちろんあるわけでありますけれども、また一歩進んで、これを例えば年金の、基礎年金の財源に充てようと、こういうメッセージも付けられているわけでありますが、この歳出との関係、歳出を合わせた効果についてどのようにお考えでしょうか。

○参考人(井堀利宏君) 歳出の効果は、ある意味では、その筋論からいえば、減税なり増税という税制自体の効果とそこから出てきた財源をどう使うかという効果は一応分けて議論をした方が話としてはすっきりするんだろうと思います。

つまり、政府というのは予算を取ってきて、それを使うときに、先ほど年金の話がありましたけれども、目的税であれば必ずある財源はどこに使うというのがコミットされているわけですけれども、所得税の場合は御存じのように基幹税ですから、そこで集めた財源は一般的な歳出に使われますので、この縮減自体がどういった形の歳出かということにコミットしていないという点では、増減税それ自体の効果と歳出の効果は分けた方がすっきりするのかなと思います。

それで、分けたとしたときに、年金の、基礎年金への歳出を増やすという形でそれ自体がどういった効果を持っているかということを考えますと、それは当然年金から見れば財政的に非常に助かるわけで、収入が入ってきますから年金の保険料の抑制につながりますし、あるいはそうでなかったとしたら、年金の給付水準を切り下げるなり年金の積立金が減るということを緩和するという意味で年金にとってはプラスの効果がもちろんあるんですけれども、ただ、その分だけ年金の方につぎ込みますと、一般税源として例えばその財政赤字の削減に回る分とか、あるいはそのほかの歳出に回る分が減るわけで、当然そのバランスになるわけですね。

だから、一般会計の中での使い道と年金会計を補助する使い道のどちらが国民経済にとって有効なのかというメリット、デメリットの相対的な比較の問題になるんだろうと思います。

その意味では、年金に、特に基礎年金のところのいわゆるいろんな問題を抱えているときに、補助率を上げることによって、その結果として年金自体の保険料を上げなくて済むということがもちろん最大の目的だとすれば、そのメリットが何かということだと思うんですね。

私は、確かに、それをすることによって、基礎年金は皆年金ですから、保険料をある程度払えば、国庫補助が付いていますから、結果として払った人は得をする形になるわけですね。国庫補助を付けないと、若い人は、年金払っても、将来平均的に生きれば払った額以下しかもらえないことになると、自発的に入らない方が得だという形でどんどん逃げる人がたくさんいて、未納、未加入の問題が深刻になってくるわけですから、それを解決する一つの有効な手段として国庫補助をたくさん付けることによって、多少自前で保険料を払うと老後の面倒は最低限国が見てもらえます、そこに自発的に入るインセンティブを高めますというのはそれなりのインセンティブ効果はあると思うんですが、ただそうしますと、問題は、年金自体の中の保険料とそれから給付とのバランスが非常に崩れて、少ししか保険料を払わないけれどもちゃんと給付をもらうと、これは社会保険の方式としては多少問題が行き過ぎるのかなというそのデメリットもありますので、その辺りをどちらを評価するかによって分かれるのかなと思います。

いずれにしても、縮減で得た税収をどこに使うのかというのは、一般会計で使う場合とそれから年金で使う場合のメリット、デメリットの比較になるのかなと思います。

○山口那津男君 続いて、井堀先生にもう一つ伺います。

消費税について、レジュメによりますと、一%ずつ八年間にわたって一三%まで引き上げるべきであると、このように御説明でありますけれども、この消費税、仮に上げるとした場合に、上限を決めて段階的に上げていく場合に、この一%ずつ毎年というんではなくて、例えばもうちょっと、三とか五とか、もうちょっと大まかな刻みである程度の年限を付けてやるというやり方と、あと上限を示さないである程度上げて、状況、結果を見ながらその次を考えると、こういう選択肢もあろうかと思います。一方で、八年間というスパンを考えますと、その間やっぱり景気の変動というのはある程度予測されるわけですね。これを一%上昇というふうに固定してしまいますと、この景気に対する消費税の限定要因というのが非常に強くなるだろうと思います。

そうした意味で、この消費税の段階的引上げ、是とするならば、その在り方はどうするのが妥当かというところをお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(井堀利宏君) これは、仮に対GDP比で四%程度の増収を仮に消費税でやるとすればこれが一つのシナリオですということで、必ずしも一%ずつ八年間上げるのが最適なシナリオという形で出したものではなくて、あくまでもこの程度の増税が想定できる増税幅ですということを示しただけなんですけれども。

じゃ、具体的にじゃどういった、仮に消費税でやるというのが前提になったとした場合にどういった形の消費税の引上げが望ましいのかといいますと、確かに一度に上げる、あるいはまとめて何回かに分けて上げる方がいろいろ消費税を上げる場合の徴税上のコスト等を考えますとやりやすいと思います。ただ、国民の負担という観点から考えますと、一度に消費税率が五%とかぐらい上がりますと、かなりその時点では大きなショックになって、いわゆる駆け込み需要もそのときに集中する形になりますし、税負担の面からいっても、急に税負担が増えるというのは余り負担する側にとって望ましいことでないわけですね。

どうせ増税するんだったら、少しずつ上げるというのはいわゆる課税平準化という考え方でして、税負担の増加分をなるべく中長期的に分散して吸収するという観点から考えますと、少しずつ増税は、増税がやむを得ないとすれば、少しずつやった方が国民に対する税のコスト感というのは相対的には小さくなる。ただ、それを余り小刻みにやりますと、徴税面でのいろんな問題もありますから、その二つのバランスを考えますと、二回か三回かに分けてやるのがいいのかなと、仮に一三まで上げるということになると、一度にやるよりは数回に分けてやるのがいい。

そのときに、どの程度景気への影響を考えるかということなんですけれども、これは私が今日何回か言っていますように、よほどの大きな景気の底割れのような状況以外では、むしろ景気とは独立にやった方が結果として景気にもプラスになるんじゃないかと思います。

○山口那津男君 続いて、飯塚先生にお伺いいたします。

個人所得税の見直しは財政再建の意味から不可欠であると、こういう前提で、なお定率減税の縮減、廃止は時期尚早と、こういう御意見だと承りました。

そこで、この所得税抜本改正というのが政治日程としては来年度というふうに言われているわけでありますが、先生が所得税の改正の在り方、内容についてどのような構想をお持ちなのか、教えていただきたいと思います。

○参考人(飯塚尚己君) まず、全体的なあれとしましては、正に直間比率の見直しなども含めまして、消費税も含めた議論が必要になってくるんだと思います。今後、個人に対する課税の在り方という観点に立った場合に、増税の主体は、ここは井堀先生と同じかもしれませんけれども、やはり消費税を中心にやっていくべきじゃないかなと思っております。

現状で、税制改正などに関する御意見、いろいろ勉強させていただきますと、大きな流れとしまして、住民税、個人住民税につきましてはやはり応益的な部分ということでございまして、ある程度広く薄く負担を持っていくと。これに対しまして、所得税というところにつきましては、ある程度累進構造などを見直すことによってある意味所得の再分配機能のところを所得税のところに大きく持たせていくというような方向で議論がされているというように聞いておりますけれども、私も個人的にはそういった方向感でやるべきかと思っております。そうした際には、恐らく、人的控除なども含めまして、様々な控除などにつきましては、いろいろ、歴史的ないきさつですとか、あるいは個々の事情とかあると思いますので、その点については個別にきちんと議論する必要があるかなと思っておりますけれども、最終的に個人所得課税の在り方を見直す際にはいろいろそういったことも含めて検討していくべきかなと思っております。

○山口那津男君 時間に限りがありますけれども、もう一問だけ井堀先生に伺いたいと思います。

所得税の自動安定化機能、これを景気対策のためには重視すべきと、こういう御意見だと思います。抜本改正の中でこれをどう扱うべきか、先生はレジュメの中でその累進課税の見直しとか課税最低限の見直しということもお触れでありますが、これとの関係も含めて、この自動安定化機能をどう進めるべきか、これについて御意見賜りたいと思います。

○参考人(井堀利宏君) 自動安定化機能は、これを重視するという観点からはやはり累進的な所得税の方が望ましいわけですね。累進的な税というのは、景気が良くなりますと、その分、課税ベースから税としてとらえる部分が増えますから、景気のいいときに大幅な税収増になりますし、景気が悪くなると逆に減税額が増えますので、結果として、可処分所得が景気のいいときには余り増えなくて、景気の悪いときには余り落ち込まなくて安定化すると、そういうことですね。その観点から言いすと、累進的な税を維持して、あるいはもう再分配政策を強化した方がいいという議論もできるんですけれども、私は、所得税というのは比例税であってもある程度の自動安定化効果あるわけで、要するに景気が良くなったときに、税収は、比例税であってもプラスの限界税率ですから、税収は増えるわけですね。ということは、可処分所得はその分減るわけですから、安定化政策には役立つわけですね。

問題は、極端に累進的な税構造にしますと、どういう問題が起きるかというと、表面的に再分配政策を強くしますと、結果として脱税、節税を促して、効果は余り、実質的な効果がないんですね。今の現状でも最高税率、国税でいいますと三七%ですけれども、そこに入っている納税者というのはほんの一握りで、全体からいくと一%もいないような、そういう状況ですから、そこのところを上げますと、かえって上げると、そこに入っている人というのは節税、脱税すると非常に税収の節約になりますから、一生懸命節税する方向に神経を使う形になって、余り税収が増えない割には無駄なエネルギーの方に、インセンティブを損なう形になりますので、自動安定化の観点からいえば、ある程度比例的な税であってもそういった効果は期待いたしますから、累進的な税構造はむしろ実質的に所得再分配が本当に可能であるような、そういう観点から、極端に表面税率を上げるよりは、むしろ納税者番号制度を入れて資産なり所得をきちんと捕捉できる形で、あとは相続税で対応するとか、そういう方が税率構造を変えるよりははるかに有効かなと思います。

○山口那津男君 それでは飯塚先生に、その消費税のその予測可能性を付けるということは大事であろうと思いますけれども、この消費税の歳出の在り方、これがどういう効果を持つかということも含めて、この消費税とその歳出の在り方について御意見がありましたら承りたいと思います。

○参考人(飯塚尚己君) 先ほど申し上げましたとおり、今後個人に対する課税、ここの部分は直間比率の見直しということも含めてある程度消費税を主体にということになりますと、やはりその財源として非常に大きい部分を占めてくるんだと思います。この場合に目的税化するのか、それとも一般財源にするのかということにつきましては、その他の部分が決まってこない以上なかなか言えないわけでございますけれども、柔軟性を持たせるという観点でございますと、ある程度やはり一般財源という形で検討すべきかなと思っております。

ただ、一般財源として検討していくということになりましても、やはりその多くの部分というのが、少子高齢化進んでいく中で、福祉の部分でございますとかいったところに流れていくということは大きな流れとしては変わらないと思いますので、柔軟性を維持するという観点で言えば、ある程度一般財源という観点で考えるべきところかなという見解です。

○山口那津男君 時間が来ましたので、終わります。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。今日はお二人の参考人の先生方、本当にありがとうございます。

今回のこの定率減税の廃止、縮小でありますけれども、様々な社会保障の負担増と一体となって行われるということを見ることが私ども非常に大事だと思っております。それ自体が国民の暮らしに大変な破壊的影響を与えるということが一点。

それから、景気との関係でいいましても、だれもが思い起こすのが橋本内閣のときの消費税増税を含む大負担増で、上向きかけてきた景気が冷や水を浴びるようなことになって不景気に突入をしていった。当時はまだそれでも毎年国民の家計の方は五兆から六兆円ぐらい増えていたわけですが、今は三年間で十二兆円ぐらいむしろこの家計収入が減っているという状況ですから、下り坂で背中を押すようなことになっていると。大変な景気への悪影響を及ぼすんではないかということを私たちはやるべきではないと、こう思っております。

そこで、まず井堀参考人にお聞きをするんですが、飯塚参考人の最初のお話の中では、家計が大幅に悪化する前の九六年度と比較しても雇用、所得関連のほぼすべての指標が悪化をしていて、定率減税実施検討時の九八年度と比較しても改善が進んでいるとは言い難い状況だと、こういう認識を言われたわけですけれども、この点、井堀参考人は、この定率減税が実施をされたときと比べまして、こうした雇用や家計を中心とした景気の状況についての現状の認識はいかがでしょうか。

○参考人(井堀利宏君) そうですね、今の景気状況を九六年と比較してどうかということについて、いろんな見方があると思うんですね。つまり、飯塚参考人の出てきた図表の四というのも、これも一つのデータですけれども、この八年間、全体として見れば、全体として見れば日本のGDPはむしろ増えているわけで、トータルで見て、あるところで実質的に経済環境が悪くなっている、そういう経済主体というんですかね、そういう人たちが、いないわけじゃないんですけれども、トータルで見れば、失われた十年とはいっても、その後の経済成長のプロセスも含めて、ここの十年ぐらい、今二〇〇五年ですから、一九九六年ですとちょうど十年間ですよね、この十年間を見ますと、そんなに、私は、マクロも含めて、あるいはミクロ的にも状況は悪くなっているとは思いません。

むしろ問題は、ここの十年間で一番悪くなったのは要するに政府の財政状況で、これは圧倒的に悪くなっていますね。十年前と比べると、特に九〇年代の後半に景気対策を借金でやった、反映して、公債残高の対GDP比はもう圧倒的に悪くなっているわけですね。

この景気対策の効果を考えるときに一つ重要なのは、飯塚参考人のあれでも出てきましたけれども、いわゆる景気がある程度安定化したときの潜在的な日本の実力がどの程度であるのかというこの数字自体が、実は九〇年代の当初あるいは八〇年代と比べて、だんだんと下方に修正してこざるを得なかったと。

ところが、実際にはそれに適応するまでに時間が掛かりましたので、そこの調整プロセスで短期的に、例えば雇用、所得が下方に修正されるとか、いろんな問題が起きているわけですけれども、例えばここ、特にバブルの後遺症がある程度整理された、不良債権もそうですけれども、二〇〇〇年代以降を見ますと、ようやく日本の潜在的な成長率にほぼ民間の企業、家計も含めて適応しつつある、そういう環境になってきたと思うんですね。

九〇年代というのは、まだ潜在的な成長率よりも過大なところに、いろんな制度なりあるいは賃金にしても、いろんな、雇用水準にしても相当実力以上のところを維持しようとして、それが、そのツケがいろいろ回ってきたと。

ところが、現在はある程度そこが調整されてきた側面ですので、そういう意味で言いますと、それほど今の状況で増税を段階的にやるということはマクロ経済にそんなに大きな影響は与えないと、そういうレベルのマクロの経済環境にあるのかなと思います。

○井上哲士君 これは予算委員会でもずっと議論をしてきていることなわけですが、この家計所得減っているときに大増税の国民負担路線をやってもいいのかと、こう政府に問いますと、これは竹中大臣が、日本の労働分配率はずっと高くなってきて修正せざるを得ないし、まだそれは半分だと、こういう議論をされました。

労働分配率上がると言うけれども、働く皆さんからいいますと、そういう賃金の伸びなどは実感できないというのが状況のわけです。確かに、統計的に見ますと分配率の伸びということがあるわけですけれども、この点、飯塚参考人に、どのように見るべきなのか、お願いしたいと思います。

○参考人(飯塚尚己君) 労働分配率につきましては様々な見方があると思います。私は、かなり逆に調整が進んできたのではないか、逆に言うと、これから先、少し労働分配率の下げ方が少し緩やかになって、家計の方にも所得が回ってくるのではないかという見方をしておるわけでございますけれども、ただし、そういう観点でいきますと、先ほど、私、資料の方で三ページ目のところに企業の雇用過剰感あるいはその設備過剰感のグラフをお示しさせていただいておりますが、ようやくこれまでの調整の結果としまして、昨年の十二月の段階でその企業の雇用過剰感というのがちょうどゼロのところに参りました。そういう観点でいいますと、その労働分配率の調整あるいは過剰と言われていたその雇用の調整というものも大方峠を過ぎて、そろそろいいところまで来ているのではないかなと思っております。

ただし、これはその業種あるいは企業の規模という観点で見た場合には、やはり相当まちまちな状況かと思います。労働分配率を法人企業統計なんかで見ていきますと、大企業の製造業、正にこれまでリストラを進め、競争力をびかびかに磨いてきたところですけれども、こういったところにつきましては相当労働分配率が下がっております。

一方で、例えば中小企業の非製造業、あるいは非製造業、大企業でも非製造業のところ、これについて見ますと、まだ若干その労働分配率が高くあって、こういったところで少し調整の圧力が残っているのかもしれないなというところがございます。ここは、いましばらくこの統計の動きですとか、実際にその企業の雇用政策、人事政策などを見ていきながら先行き判断をしていきたいと思いますけれども、大方まあ調整は峠を過ぎていると思いますが、まだそのまちまちなところがあるといったところかと思います。

○井上哲士君 今のに関連して井堀参考人にお伺いをしますけれども、この期に定率減税もしても大丈夫というのは、企業収益の改善などが家計に回っていくと、こういう前提の御議論なんだと思うんですが、今、労働の実態を見ますと、確かに失業率などは減る部分もありますけれども、かなりの部分が派遣労働であるとか、それから請負労働であるとか、こういう不安定、しかも低賃金雇用に変化をしていると。まあ請負などでいいますと、正規社員の三分の一というような状況もあるわけで、更にこれが広がるという状況になりますと、必ずしもその企業収益という部分が家計に波及をし、そして景気を底上げするということにはならないんじゃないかという予測があるわけですけれども、この点、いかがでしょうか。

○参考人(井堀利宏君) 定率減税の効果という観点で考えますと、御存じのように、その定率減税というのは税額の二〇%控除ですので、所得の低い人はそもそも余りその所得税が払っていませんので、定率減税が廃止になってもそれほど負担額は大きくならないんですね。逆に言うと、ある程度、いわゆる派遣労働者等で収入の少ない方よりは、いわゆるフルタイムで働いているサラリーマンの方の方が所得税額も多いわけですから、定率減税が縮減、廃止したときの税負担額の増加額も多くなっているわけですね。

つまり、税額の二〇%控除が廃止ないし縮減されたときに、それが一番効いてくるのは高額の所得税を払っている方ですから、その人たちの消費がどの程度抑制されるかという点はもちろん一つのポイントですけれども、余り所得税を払っていない人あるいはそもそも所得税の課税最低限から落ちている人に関しては、定率減税の縮減、廃止というのは定義によってほとんど影響がないはずですから、その意味では派遣労働の話と定率減税の効果の話というのは余りですね、もちろん全くないわけじゃないですけれども、定量的な効果という観点から考えますと、もう少し所得税を払っている人がどの程度その税負担額が増えたときにそれによって消費を抑制する効果があるのかという、そちらの方が重要かなと思います。

そういった観点から考えますと、そのときに問題になるのはやはり定率減税が廃止され、ないし縮減されたときの増税が何を意味する、どういうシグナルかというのが重要だと思うんですね。

つまり、要するに消費をする場合は、単に今年だけの可処分所得が減ったから消費を減らすというよりは、中長期的な視点で、来年以降、じゃ増税がどうなるか、所得がどうなるかということも考えて、ある程度消費計画を普通のサラリーマンは考えると思いますので、その限りでは今年が廃止になり増税が行われるということは、将来の財政赤字の削減に本当に使われるとすれば、将来の増税要因を消すわけですから、その分、将来の所得税の増税がある程度小さくなると考えると、もちろんそれが完全に一対一には対応するということは余り考えられませんけれども、ある程度そういうロジックが働けば、所得税の増税が今年増えたからといって同額だけ消費が減るというのはなかなか考えにくいと。つまり、余り量的にも極端に消費が抑制するという形でマクロの経済の足を引っ張るということはなかなか想定できないのかなと思います。

○井上哲士君 高額所得者の方は定率減税も額の頭打ちがあったので、一番やっぱり影響があるのはいわゆる中堅どころだと思うんですね。

それで、最後、消費税の増税というようなこともそれぞれ出たわけでありますけれども、今回の定率減税も、当時、高額所得者減税とセットでありましたけれども、そちらは据置きのまま、定率減税については縮小、廃止をしていくという方向にあります。

いわゆるジニ係数というものがありますけれども、これを見ますと、九〇年代後半以降、非常に上昇してきているわけですけれども、再分配で見ましても、日本の値が〇・三二二、アメリカ、イギリスに次いで高くて、フランスの〇・二八八、ドイツの〇・二五二などと比べると、かなり高いことになっております。

こういうむしろ所得格差が広がっているという状況の下で、あるべき今後の税制の姿について、時間もありませんけれども、簡潔にそれぞれお願いしたいと思います。

○参考人(井堀利宏君) 所得格差が拡大している一つの大きな理由は、世代の高齢化が進んでいますので、高齢化要因を調整して、所得格差がどのくらい広がっているかというのも一つの大きな問題で、つまり高齢者になれば、ほかの条件が変わらなくても、結果としての所得格差が広がるのはある意味で当然ですから、ミクロ的には同じだと思うんですね。マクロの人口構成が変わることによって、統計としてのジニ係数が、再分配が、要するに格差が広がるというのはある意味では自然な状況です。それはもちろん、それがどの程度ミクロ的な格差の拡大に終わっているのかというのはもう一つの問題ですけれども。

それで、その格差に関してどう考えるかというのは、やはりフローの所得レベルでの格差なのか資産の継承レベルでの格差なのかという、そういう違いだと思うんですね。やはり一番大きな格差というのは、やっぱり相続に関する格差だと思いますから、相続税できちんと対応すると。

それからもう一つは、フローの格差に関しては、資産に関して、例えば金利で、高額所得者と低額所得者で金利が、銀行の金利が違うということは余りないので、フローに関しては、やはり一番大きいのはいわゆる運、不運というんですか、それによる格差あるいは勤労所得の格差ですから、それにはある程度累進的な所得税が適当だと思いますけれども、それも余り表面税率でがりがりやろうとすると、先ほどお話ししましたように脱税、節税になりますので、ここはやはり納税者番号制度等を入れてきちんと資産、所得を把握するというのがまず大前提で、その後どの程度の格差是正のために再分配政策やるかというのは国民の合意の下でやるべきだろうと思います。

○参考人(飯塚尚己君) 基本的に、ジニ係数、所得格差が広がっているということにつきまして、高齢化が大きく影響をしているという点については井堀参考人と全く同意見でございます。また、それに対してどう対応していくのか、所得あるいは資産の格差というものにどう対応していくのかというところにつきましても基本的には同じ意見でございます。

付け加えさせていただくとすれば、恐らく、ここ十年ぐらいの労働市場でございますとかいったところをみていきますと、恐らくその働き方でございますとか家族の形態でございますとかいったところがある程度大きく構造的に変化してきているという側面はあると思います。その構造的な変化に際しまして、果たして現在の税制というものが果たして完全にイコールである、平等であるのか、適切であるのかというところにつきましては別途また議論が必要なところだと思いますので、その点を見直していくということが追加的な課題として出てくることかなと思います。

以上でございます。

○糸数慶子君 無所属の糸数と申します。今日は井堀、飯塚両参考人、お忙しい中、ありがとうございます。

まず、井堀参考人にお伺いいたします。

定率減税を廃止しても税負担増はわずかで、マクロ経済に大きな悪影響を与えることはないとして、財政再建のために定率減税の廃止が不可欠だというその立場にございますが、しかし、今回と同様に、先ほどもありました、景気の先行きが不透明な平成九年に九兆円の国民負担増、これは二兆円の特別減税の廃止とそれから消費税の五%への引上げなど強行いたしました橋本内閣がその後の長期にわたる景気後退を招いて、結果として平成十年以降、減税規模の拡大、これ二兆円の特別減税、四兆円の特別減税、恒久的減税や財政支出の拡大、特に公共事業費の大幅増もありましたが、この余儀なくされたことについて、どのような御見解を持っていらっしゃるか、まずお伺いいたします。

○参考人(井堀利宏君) 確かに、今御指摘いただいたいわゆるその橋本構造改革の教訓をどういう具合に認識するかというのは、これから定率減税の縮小、廃止も含めて、今後量的に財政再建を進める場合にはきちんと押さえておく重要なポイントだろうと思います。

今指摘していただいたように、国民の多くの方は、橋本構造内閣というのは完全な失敗であって、あれをすることによってむしろ財政赤字を拡大させる要因になっちゃうと。要するに、財政再建をすることがマクロ経済を悪化させて、結果として、その後、財政面から、景気対策として公共事業の増加、減税をせざるを得なくなったので、むしろ財政赤字を拡大させる要因であったと、こういう理解が非常に強いんですが、ただ私の理解はそれとは正反対でして、橋本構造改革が失敗した非常に大きな要因というのは財政的に緊縮的な、消費税の引上げとか公共事業の削減をやったから失敗したのではなくて、むしろその効果は、もちろん全くゼロとは言いませんけれども、それが失敗の決定的な要因ではなかったと思います。

むしろ、そのときの大きなマイナス要因というのは、あの当時の金融不安によるいろんな混乱が民間の企業なり家計の将来に対する期待を極端にマイナスにさせて、企業も家計も縮小均衡に走ってしまったと、そこが非常に大きな要因で、それは財政的な、量的な削減のシナリオ自体はそれほど破滅的なシナリオではなかったわけですね。当時であっても財政的には非常に大変だったので、それを何とか日本の財政状況が、当時のヨーロッパ諸国並みの財政再建のためには多少の増税とそれから公共事業の縮減というのはやむを得ないという形で議論は進んできたわけですけれども、それはそれで正しい方向だったんだろうと思います。

問題は、そのときに金融不安という大きなショックが同時に起きて、それと重なったがゆえに橋本構造改革自体が引き金となってマクロ経済が不安定化したという、そういうある意味ではその定説が国民の間に存在してしまったというのは非常に不幸な結果で、それがあるがゆえに、今後財政再建をするときに、結果としてその当時のマイナスのことがある意味で実力以上に国民にとって不安定化要因として覆いかぶさってくる、そういう可能性があります。

本当はそうだったのかというのは、例えば九〇年代後半のデータを見て、いろんな、消費とかいろんなデータと、それから財政の、税とかそれから公共事業も含めた歳出のデータとをもって統計的にいろいろと検証してみたんですけれども、どうも九〇年代の後半の橋本構造改革のときのマイナスのショックがマクロ経済を大幅に縮小させた主要な犯人であるというのはなかなか検証できなかったと。むしろ金融ショックの方が大きかったというのが私の判断です。

その意味からいいますと、今回の定率減税の縮減を、その縮減なり廃止を今後、来年からやるとしたときに、あるいは消費税を引上げというのが今後数年以内に行われるとしたときに、また九七年のような、あるいはそれを上回る金融不安なり、いろんなことが起きてマクロ経済が混乱してしまえばこれはぐじゃぐじゃになってしまいますけれども、そうでなくて、通常のマクロの経済の前提のまま財政再建が徐々に動き出すとすれば、それは九七年の再来にはならないのではないかと思います。

○糸数慶子君 飯塚参考人に伺います。

十七年度の政府の税調答申ですが、今回の定率減税の取扱いについて、現在の経済状況は平成十一年度当時と比べて著しく好転している、かかる状況の下、定率減税を継続しておくことは必要性は著しく減少したと表現しています。この著しさを強調していらっしゃいますけれども、谷垣大臣のその見解もほぼ同様だと思われますが、飯塚参考人は、経済が著しく好転した、それと定率減税の必要性が著しく減少したというその政府の認識についてどのような御見解をお持ちか、お伺いいたします。

○参考人(飯塚尚己君) その点につきましては、若干その政府の見解というところと私の見解は違うところでございます。

二つございまして、まず一つ目でございますけれども、まず九九年との比較というところでございますが、まずそことの比較というのが果たしてよろしいのかどうか、ここは一点疑問なところでございます。

御承知のとおり、景気、その当時は九七年の五月のところから景気は後退をしておりまして、九九年の水準は既に大きく落ち込んだところでございます。記憶しておりますところでは、九七年の十二月の時点から特別減税の復活ですとか景気配慮的な財政の運営ということで少し政策の方向変わったと思いますけれども、以降、九八年度の段階というのは総合経済対策あるいは緊急経済対策などを打ちまして景気を底上げさせようと思っていたところです。その当時に、じゃ経済が正常な状況という時点としてどこを想定していたのかといいますと、先ほどのあれでございますけれども、やはり九六年度、景気が後退する前の水準というのをやはり一つの比較の対象にすべきでないのかというのが私の意見です。

二点目としまして、では仮に九九年といたしまして、その水準から見て著しく日本経済の状況が好転したのかと申しますと、半分イエスで半分ノーだと思います。

半分イエスというところは、やはり企業部門について見ますと、やはり相当な構造改革あるいは調整というものが進んできておりまして、当時に比べますと日本企業の競争力は相当回復してきたと言ってよろしいかと思います。もちろん、業種別、規模別にまちまちでございますが、企業部門全体としてはそれなりにやはり状況は改善したということかと思います。一方で、やはり家計の部門、こちらの方を見ますと、失業率あるいは所得の状況しかりでございますが、やはりまだ、著しく改善したと言うにはまだ及んでいない。むしろその回復は道半ば、始まり始めたばかりではないかという認識を持っております。

以上でございます。

○糸数慶子君 谷垣財務大臣は、定率減税の縮減それから廃止の後に、早ければ十九年度から消費税の引上げを行いたい意向のようでありますが、両参考人は経済状況がどのようになれば消費税の引上げを行い得るその環境が整うという、そういう見解を持っていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○参考人(井堀利宏君) 私は、消費税を引き上げるということに踏み込む場合は、最初からお話ししましたように、やはりどの程度の消費税の引上げで財政的な量的な再建が可能になるのかという、そういうシナリオをきちんと示すのが重要だろうと思います。その上で、なるべく消費税引上げの負担がある一時点に集中しないように、分散して課税の平準化をやるべきだろうと。

そのときに、じゃ景気との関係をどう考えるかということなんですけれども、ここは人によって判断分かれると思いますが、私の場合は、余り極端な景気の後退を別にすれば、景気とは独立に消費税の引上げを徐々にやる方が望ましいと。その意味では、例えば何%の名目成長率だったら消費税引き上げるとか、そういうようなコミットメントはしないで、むしろある程度中長期的に、つまり五年なり十年の間にこのくらいまで消費税を段階的に引き上げて、同時に歳出の削減も徹底的にやることによってある程度財政の量的な再建にめどが付くことをして、そのときに、余り景気動向によって消費税率を、引上げのスピードを遅らせたり速めたりという、そういうあいまいさをむしろ持たせない方が民間の経済活動にも好ましいと思うんですね。

例えば、失業率が何%を超えたから消費税率の引上げをやめるとかなんとかといいますと、そういう数字の予想でかなり投機的な動きも出ますし、むしろかえって経済には悪影響が出てくると思いますので、やると決めた以上はマクロ経済環境の指標に余り惑わされないで粛々とやる方がむしろ望ましいのかなと思います。

○参考人(飯塚尚己君) 済みません、先ほどから名目四%、四%と言っておりますけれども、少し中身の話をさせていただきますと、私がある程度それぐらいの成長率というのをイメージしておりますのは、経済の実態を見ますと、恐らく、成長率がその程度まで達した段階では、恐らく企業の収益の増加が例えば企業の設備投資に結び付いて、あるいは個人の所得の増加が個人消費の増加に結び付いてという、いわゆる自律的な回復と申しますか、安定的な景気の回復軌道に日本経済が移行している、このように思っているからでございます。

仮に、いったんこういった自律的な回復軌道に経済が乗った場合には、ある程度の外生的な景気に対するショックが加わっても景気は恐らく腰折れすることなくある程度回復を続けていくことになるんだと思います。その外生的なショックということでいいますと、消費税率の引上げですとか、あるいは所得税等の引上げということがあってもある程度景気は安定的に回復を続けていくだろうと、このように考えているという次第です。

消費税率の引上げということについて申し上げますと、先ほどから景気に配慮すべきと言っていることからは少し若干逆説的になるかもしれませんが、この点につきましては井堀参考人と同じでございまして、いったん上げ始める、始めるそういった段階では、それは景気動向とはある程度独立に上げていくべきかと思っています。恐らく、ただその上げ方としましては、やはり余り大幅に上げてしまうとなかなか難しいということでございますので、先ほど山口先生からも御指摘があったところでございますけれども、大きく数回にわたってやるのか、それとも例えば毎年一%ずつ段階的に上げていくのかということでございますと、私はどちらかというとその段階的に一%ずつぐらい上げていくという方が望ましいのではないかなと思っています。

仮に、そういった段階的に上げていくということになりますと、例えば一〇%としましても五年間掛かるということでございまして、景気の循環的なサイクルというのは大体三年ぐらいで回っておりますから、その間に当然のことながら景気の後退局面というものは、程度の差がどれくらい、大きいものか小さいものか分かりませんが、そういう景気の調整があることは想定しておかなければいけないと思います。

仮に、消費税率を段階的に引き上げている最中に景気がよほど大きな後退になりそうだということがあった場合には、消費税率の引上げをストップするというよりは、こちらの恒久的な増税については粛々と進めていって、もう一方であくまで一過性の措置という、特別減税というような形で例えば所得税などで何がしかの措置を打つ。こういったことを組み合わせることによって恒久的な増税と景気への配慮、こういったバランスを取ることができようと思っております。

あと、若干財政というところから離れますけれども、やはり追加的な増税を行っていくという中では、やはり金融政策の面からのある程度の後押しでございますとか、あるいは規制緩和などによる生計費などのコストの削減、こういった形である程度家計や国民に対する増税に対する負担感というのを緩和していく、あるいはマクロ政策、マクロ経済への悪影響を緩和していくといったポリシーミックスが重要になってくると、このように考えております。  以上でございます。

○委員長(浅尾慶一郎君) 糸数慶子君、時間が参っていますので簡潔にまとめてください。

○糸数慶子君 はい。  ありがとうございました。

今回の定率減税の縮減、廃止、あるいは中低所得者に対する問題、特に子育てで頑張っている家庭の方々から考えていきますと、やはり消費税の引上げに関しても、国民としては、私、反対の立場ということで質問させていただきました。

ありがとうございました。

○委員長(浅尾慶一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

一言御礼のごあいさつを申し上げます。

両参考人におかれましては、大変お忙しい中、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)

本日はこれにて散会いたします。

午後二時四十八分散会

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2005年03月22日 (火)

参議院 財政金融委員会 5号 平成17年03月22日(その1)

162-参-財政金融委員会-5号 平成17年03月22日

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。

政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府計量分析室長大守隆君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

─────────────

○委員長(浅尾慶一郎君) 平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。

質疑のある方は順次御発言願います。

○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫と申します。よろしくお願いいたします。

まず冒頭でございますけれども、先日発生しました福岡沖地震、大変な災害が発生いたしました。亡くなられた方もいらっしゃいますし、そして負傷された方も多数いらっしゃいます。昨年に引き続き、いろんな風水害、地震の災害、大変多発しております。これに対して、私、まず亡くなられた方に対して、そして遺族の方に対してお悔やみ申し上げますとともに、負傷者の方、被害に遭われた方に対しましては心よりお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。

そして、これに関連してでございますけれども、政府はこれに対しては当然のことながら十分な対処措置をとっていただけるというふうに考えておりますけれども、改めて政府の、財務大臣という立場でございますけれども、政府の方針について確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(谷垣禎一君) 大きな地震がまた発生しまして、今、富岡委員からお話もありましたように、お亡くなりになった方、また被害をお受けになった方、たくさんいらっしゃると。心からお見舞いを申し上げたいと思っております。

それで、これに対しましては政府としても万全な策を講じなければならないわけでございますが、今のところまだ被害がどのぐらいのものなのかということを十分把握ができておりませんので、もう国土交通省等調査に行っていただいたりしているわけですけれども、まずその全体像と申しますか、そういうものを早期に把握することに努めなければならないと思っておりまして、またいろいろお教えをいただきたいと思っております。

○富岡由紀夫君 こういう災害について、ちょっと一言、私の私見でございますけれども、考え方をちょっと述べさせていただきたいと思います。

新潟のときの被災者の方もそうですけれども、生活再建にかかわる国の対応というか、その件でございますけれども、個人の資産に係るものについては国が余り補償できないというような考え方、これはもう従来からの考え方なんですけれども、じゃ、どうしたらいいかというと、地震保険とか、自己責任においてやらなきゃいけないというのが今の日本の状況かと思うんですが、地震保険というのは、まあ確かにいいんですけれども、私、若干火災保険なんかと意味合いが違うんじゃないかというふうに思っております。

地震保険というのは、本当に起こらないところは全く起こりませんし、起こらない期間も、起こる地域であっても全然起きないときはずっと起きないということで、なかなか、何というんですか、保険に対するイメージが、火災というのは自分で何か不始末をしてしまったらいつ起きるかも分かりませんけれども、地震というのはそういうたぐいのものじゃなくて、まさしく天災でございまして、保険というのはいまいちなじまないんじゃないかと私は思っているんですね。お金をずっと一生懸命それに対して掛ける人がどれだけいるかと。みんなが掛ければ保険金も下がってみんなが入りやすくなるんですけれども、なかなかそういうふうにはならないかと思うんですね。それをやるのが私は国の役目じゃないかというふうに思っているんです。広く薄く皆さんから税金をもらっていて、そして天災に、起きたときについては、それを、地震保険の役割を国が取るような、そういった考え方も検討してみてはいいのかと私は思っております。

あくまでも私的財産を補償するという、そういうことだけにとらわれないで、みんなが広く薄く、税金という形で、地震保険みたいな形で、負担みたいな形で取って、国がその役割を果たすということもあってもいいんじゃないかというふうに私は思っております。国の役割というのは生命とそして国民の財産、国民の生命と財産を守ることでございますので、天災という本当に不慮の災難で失われた財産、そういったことに対しては十分な対策を国が取ってもいいんじゃないかと、私はこれは私見でございますけれども、思っているところでございます。

これに対して、谷垣財務大臣のお考えをちょっと、御感想というか、お聞かせいただければというふうに思っております。

○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、今委員のおっしゃるように、先般来、昨年もいろんなことがございましたので、この問題に関しては、この国会、予算委員会でも相当議論が積み重ねられてきたところでございます。

今更申し上げることもないんですが、さきの通常国会で支給限度額、被災者生活再建支援法ですね、支給限度額が百万から三百万に引き上げられて、それでその住宅を再建、補修する際に負担する経費の一部を支援する制度が設けられたというような改善等がなされたところでございますので、それを積極的に活用するというのが今の法制の下ではまず第一に申し上げるべきことかと思います。

それで、更に公的支援を充実すべきだという考え方に対しては、一つは行政は公共サービスの回復にまず力を注ぐべきではないかという考え方が一方にあって、個人の住宅本体の、そういう考えからしますと個人の住宅本体の再建というのは少しまあ一歩後ろに下がったような考え方にそういう議論でいくとなるわけですね。

それからもう一つは、今、ちょっと地震保険等に関しましては、これも評価はいろいろだと思いますが、一方で地震保険の加入とかあるいは住宅の耐震改修、個人の自助努力でやっておられる方もかなりあると。そういったこととのバランス、まずそういった方向を充実さすべきではないかという御議論もあるんだと思います。

したがって、今後とも、まだ議論が完全に決着が付いたという状況ではないと思っておりますので、十分議論を積み重ねなきゃいけないと思っております。

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。

本題に入らせていただきたいと思います。

今回の定率減税の縮減についてでございますけれども、今回の定率減税を縮減するに当たっては、当初入れたときより景気、経済の環境が向上してきたということで、それが一つの理由。もう一つは、あるべき税制を構築するに当たって、その前段階としてイレギュラーな今の税制をまず元の形に戻すというお話があったかと思うんですけれども、その中で、いろんな今までの御答弁の中で、見解の中で、住民税をフラット化して、応益負担というか、一〇%にして、それに対して所得税も変化させていくというようなお話があったかと思うんですけれども。

で、改めて確認したいと思うんですけれども、住民税が、まあいろんな階層の人がいますけれども、五%の適用の人、この方が一〇%に上がります、一律になったとすると。そのとき所得税の階層の人は、一〇%の人と全然課税されない人がいるわけですね。一〇%の人は住民税が五%から一〇%に上がったんで、トータルの税負担をイコールにするためには一〇%から五%に下げるような趣旨のお話あったと思うんですけれども、そのほかに、さっき言いました所得税が課税されていない人、住民税が五%だけ課税されていた人が住民税が一〇%になってしまったと。で、所得税は課税されていなかった人がいます。その人の所得税についてはどういうふうに、もちろん、もうないわけでございますから、住民税だけ上げられてしまうわけでございますけれども、その点についてどういうお考えがお持ちなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) これもこの委員会で何度か申し上げていると思いますが、平成十八年度にいわゆる三位一体の税源移譲をやると。それは所得税から地方住民税へという形で所得課税の見直しという形でやりたいんだということを申し上げてきたところでございます。

それで、この三位一体の関係で地方に税源移譲をしていくという関係で申し上げますと、今委員がおっしゃいましたように、地方税は応益負担という考え方がありますので、所得割の税率のフラット化をしていこうというのが基本的な考えでございます。

それに対して所得税はどうするかというところは、これはまだ細部までの制度設計というのはできていないわけですが、基本的な考え方としては、税源移譲後においても所得再分配機能というものを適切に発揮させていくべきであろうと。そういうことで税率構造等を見直していくべきであるというのが基本方針ですが、更に申し上げると、この三位一体の関係で申し上げるならば、個々の納税者の負担の変動を極力避ける形で制度設計をしていこうということでございまして、先ほど申し上げたような税率構造等の見直しも個人住民税のフラット化ということに対応して行われるわけでございますが、細部はまだちょっと十分詰めておりませんし、いろいろやっていきますと難しい問題もあるんだろうとは思っておりますが、大きな方向は先ほど申し上げたような方向で整理をしていきたいと思っております。

○富岡由紀夫君 ということは、住民税が五%だけ課税されていて所得税課税されていない人のところについてはまだ方向性が決まってないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) そこのところはまだ実は総務省とも十分詰めていないんですが、総務省で検討されていると承知しておりますが、要するに所得税非課税の人については住民税においてしかるべく対応するということになるのではないかと思っておりますが、これはまだこれからでございます。

○富岡由紀夫君 分かりました。  ということは、住民税で課税されてない人にどうやって対応するかというのはちょっと難しいかと思うんですけれども、あと同様に、住民税が逆に一三%から一〇%に下がった人、これについては所得税の引上げ、三%分引上げというふうに考えてよろしいんでしょうか、基本的な考え方といたしまして。

○国務大臣(谷垣禎一君) まだ詰まってないのでお答えしにくいんですが、基本的には先ほど申し上げたような個々の、個人個人の、まあ大きなところでは全体のあれを変えないということでやっておりますので、今委員のおっしゃったような方向になるのではないかなと思っておりますが、まだ確定的な、こうであるとお答えをするところまでは行っておりません。

○富岡由紀夫君 そして、今のお話の関連なんですけれども、今回は所得税率、所得税の定率減税と併せて、当初これが導入されたときに、所得税の最高税率、そしてあと二番目の税率の引下げがされたと思うんですけれども、具体的には五〇%の税率の人が三七%、四〇%の人も三七%に引下げされたということでございますけれども、ここについては戻さないという御見解というか、今回の法案にかかってないわけですから、ということになるんですけれども、これについて、いろんなところで財務大臣は、何というんですか、その税率を下げることによって労働意欲を向上させて、そして経済の活性化に資するんだと、のもとにするんだというようなお話があったと思うんですけれども、そして本会議でも、我々の質問の方の中で、質問された中で、御返答いただいた中で、その労働意欲の低下については実証データがないというようなお話あったんだと思うんですけれども、これについて、私どもは、実証データがなくて何でそこの部分だけ戻さないでいいのか、放置しておいていいのかというところがやっぱり疑問として残るんですね。ですから、その辺のところをもう少しお詳しく教えていただきたいというふうに思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 恒久的減税の方針を表明して、それを実現されたのは小渕総理のときでございますが、そのときの、当時の小渕総理の所信表明の中では、個人所得課税については国民の意欲を引き出せるような税制を目指すと、そういうことで所得税と住民税を合わせた税率の最高水準を、当時は六五%であったと思うんですが、それを五〇%に引き下げるということを言われたわけでございますね。

それで、現在、諸外国の所得課税の最高税率見ましても、これはまちまちでございますけれども、所得税と住民税を合わせて今五〇%、日本は五〇%ということでありますけれども、六五%というようなところは、すべての国もちろん承知しているわけではありませんが、個人所得課税の最高限としてはかなり高い水準になってきておりますので、これは国際的に見ても、確かに、今おっしゃるように、それについての実証データというものは特にあるわけではありませんけれども、国際比較等から、当時そういうような小渕総理が方針を出されまして、それは現在でも引き続き妥当するものではないのかなというふうに考えているわけでございます。

○富岡由紀夫君 私、いつもこういう税率の、何というんですか、変更について議論されるときに、今言ったように、国際的にどのぐらいのところがいいのかというところはまた議論ありますけれども、そういう意見が出てくるんですけれども、実際に、今、日本の中で、それぞれその税率、三七%とか三〇%がありますけれども、それぞれどのぐらいの人がいるのかという議論がよく落ちているんじゃないかと思っているんですね。

やっぱり、最高税率その六五%というのは高いといったって、それが日本じゅうの人が六五%課税されてしまったんじゃそれはもう大きな問題ですけれども、ほとんどの国民というのはそういう税率とはどっちかというと余り無縁なところの人が多いわけですね。だから、私からしてみると、本当にどれだけの人がそういう適用、税率を適用されているのか、そういうのをちゃんと示した上で、国会の中でちゃんと議論して、みんなが納得いくような税の引上げ、引下げを行っていかないといけないんじゃないかというふうに思っております。

今回の戻さないと言われた階層の人でございますけれども、今回の定率減税の引下げとともに、最高所得税、税率の引下げを行われたら五〇%から三七%に下がった人、そして四〇%から三七%に下がった人、これらの階層の人が何人いるのか、そしてこれらの人が全人口に占める割合はどのぐらいなのか、教えていただきたいというふうに思っております。

○政府参考人(福田進君) お答えいたします。

所得税の最高税率三七%の適用を受けている人員につきましては、税務統計等を基に推計いたしまして、全体で二十二万人程度と見込んでおります。このうち、五〇%から三七%に引き下げられた階層に属する人員は八万人程度、四〇%から三七%に引き下げられた階層に属する人員は十四万人程度。全人口に占める割合、全人口一億二千七百六十八万人、これは平成十六年十月一日の推計でございますが、これで割り算をいたしますと〇・〇六%程度、五〇から三七%に引き下げた階層に属する人員の全人口に占める割合が〇・〇六%程度、四〇%から三七%に引き下げられた階層に属する人員につきましては全人口に占める割合が〇・一一%程度と見込んでいるところでございます。

○富岡由紀夫君 今のお話のように、最高税率を引き下げて労働意欲を向上させようというふうにお考え、ということで御答弁いただいたんですけれども、その恩恵を受けている人というのは、本当に、今言ったように五〇%から下げられた人が日本国民全体の〇・〇八%。わずかこれだけの人のために、これだけの人の労働意欲を向上させるために今回は戻さないと。そして、今、四〇から三七に引き下がった人も十四万人、〇・一一%。今回戻さない合計が二十二万人、〇・一七%ですか、の人のために、その人、日本全体のわずか〇・一七%の人のために今回戻さないというような政策なんですね。これが本当に日本にとっていいのかどうか。これは大多数の、ほかにもっと低所得の人も、理解を得るためにこういった内容をよく示して、どれだけの人がそういう効果を、恩恵を被っているのか、私は、国民全体に、納得して、ちゃんと内容を表示して示してもらわなくちゃいけないというふうに思っているんです。

要は、労働意欲をそがないようにするために今回は戻さないんだといっても、それがみんな国民、自分たちにとってもプラスになるような錯覚を持っちゃう可能性があるわけですね。そうじゃなくて、それを受けているのは本当にごくごく一部の、わずか〇・一七%の人しか恩恵を被っていない。これを、あたかも日本国民全体が恩恵を被るような錯覚を持つようなそういう説明というか、そういうのはするべきじゃないと思うんですね。その点についてどうお考えでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) これは、確かに数からいえば、委員のおっしゃったように、大して多くないじゃないかと、ごく一部の人たちだけじゃないかという御議論があるのは分かるわけでございます。ただ、これだけやはり個々人の経済活動も国際化してきたりなにかいたしますと、やっぱり諸外国との比較というようなことも私は必要ではないかと思うんですね。拠点をどっかに移してしまってというようなこともないわけではない。そういうことを全般的に考えてやっていく必要があるのではないかなと思っております。

○富岡由紀夫君 一律にその日本の税率を上げろというんじゃなくて、私はどうしてこういうことを申し上げているかといいますと、やっぱり所得格差を余りにも広げ過ぎちゃうと、やっぱりいろんな経済のゆがみというか、いろんなマイナスが露見してきてしまう、出てきてしまうというのが心配しているところでございます。税制というのは、日本のあるべき税制というのは、言ってみれば日本の社会をどういうふうにしていくかということにつながる非常に大きな意味を持ったものだと私は思ってるんですね。

国際的に比較してどうだと、よく引き合いにされるのがアメリカでございますけれども、アメリカの税制が本当にいいのか悪いのか、これはやっぱりしっかりと日本の中で議論すべきだと思うんですね。日本は、アメリカが税率の階層を段階的に下げてきたら、まあどっちかというとフラット化してきたら日本もやってくると。アメリカが今度また戻してきたら日本はまた戻すんじゃないか。そういう後追いの税制をするんじゃなくて、やっぱり日本のあるべき社会というのはどういうものか、これをちゃんと考えた上で、それで、それをするために税制はどうしたらいいか考えていくべきだと思うんですね。

谷垣財務大臣も所得の再分配機能、資産の再分配、いろんなことを、そういう考え方はお持ちだということは理解しているんですけれども、それをやっぱりその税制の中でしっかりと具現化していかないといけないんじゃないかというのが私の考えでございます。

やっぱり日本の社会をどういう社会にしていくかということは非常に重要なことでございまして、例えば、アメリカ社会がよく引き合いに出されるんですけども、アメリカは確かに成功した人はすごくお金をたくさんもらって裕福な生活をします。だけど、一方で、全然所得がなくて日々の食事にもあり付けないような人もたくさんいると思うんですよね。その光のところばかり今、日本はよく、マスコミもそうですけれども、取り上げて議論されていますけれども、そうじゃない部分もたくさんあるんですね。そういったところを全体的にやっぱり見て、本当にどういう社会がいいのか議論する必要があると思っているんです。

ちょっと前ですけれども、アメリカの社会、アメリカの社会をやるような、何ていうか、NHKのドキュメンタリードラマがあったんですけれども、ちょっとNHKだったかどうかはあれですけれども。例えば、ある企業が非常に売上げが、売上げというか、赤字体質で経営が非常に困窮していたという状況がございまして、不採算部門があるんですね。だけど、そこはなかなか処理できなくて、やっていたと。それで、あるときにそのCEOが替わって、急にもう大リストラをやったわけです。たしか千人ぐらいの工場を閉鎖して、千人の従業員を全部リストラしました。そうしたことによって、まあ、あといろんなこともやったんですけども、次の年、次の年かその後の年にすごく利益が出てきたんですね。そして、その利益が出たことによってそのCEOはどうしたかというと、たしか二十億ぐらいの報酬、年間の報酬を受け取ったわけです、成功報酬として、二十億円ぐらいの。

で、それに対してそのNHK、じゃなくて、そのアメリカのドキュメンタリードラマのインタビュアーか何かが質問をしていたんですね。千人ぐらいの工場を閉鎖して、その人たちを解雇しましたと。千人の人ということは、家族を持っていれば二千人なのか三千人になるか四千人になるのか分かりませんけれども、それだけ後ろに多くの家族を抱えているわけです。千人以上の人たちを解雇して、あなたは会社を再建したと、その成功報酬で二十億円もらったということでございます。で、じゃその二十億円あればその千人の人の給料が払えるんじゃないですかということを質問していたんですね。それに対してあなたはどう思いますかというふうに言っていたんですけれども、そのときその経営者は、それは当然のことだと、自分たちはちゃんとそういうふうに会社の利益を上げたんだから、そんなの千人の人がカットされても、それに対して収益上げて成功報酬をもらって、それは当然自分の仕事の対価だということを言っていたんですけども。そのインタビュアーも同じ感想を持ってたんですけれども、これが本当に望ましい会社の在り方なのか、社会の在り方なのかということを訴えておりました。

要するに、二十億円一人に富を集中させて、で、二千人分の、例えば年収二百万であれば、年収二百万であれば千人分の給料を払えるわけですよ、二十億あれば。そういう社会が本当に望ましい社会なのかどうかというのを私そのテレビを見て非常に痛切に思いました。日本もややそれに今近づきつつあるんじゃないか、後で法人税率の話も質問させていただきますけれども、そういう状況に近づきつつあるんじゃないかというふうに思っているんですね。余り、だから最高税率を戻さないことが悪いんじゃなくて、その課税される人が年収幾ら以上の人なのかと、そういうところを私は議論をしていくべきだと思っているんです。

今、これ政府税制調査会さんの資料で、今の四〇%の税率になっている人の所得税の平均というか、基になる金額は、二千三百八十万円以上の人の所得の人が今四〇%の適用になっているという話なんですけれども、さっき言った、今まで三七じゃなくて四〇%だった人若しくは五〇%だった人が幾ら以上の所得を持っていたのか、もらっているのか、そういったところもやっぱり議論していくべきだと思うんですね。

例えば、年収十億円以上もらっている人に対してやっぱり同じこの三七%のままで本当にいいのかと。そういう人たちがどんどんどんどん、所得をどんどんどんどん蓄積していって、さっき言ったように貧富の差がどんどんどんどん拡大してしまうというような状況にもなる可能性が十分あるわけですよね。

ですから、今その二千三百万、四千万ぐらいの人がもっと税率を上げろというんじゃなくて、私が言っているのは、ちょっと幾らがいいかというのはまた議論ですけれども、年収が例えば一億以上とか二億以上、若しくは十億以上の人については税率をもっと上げて、そういった所得の、富の集中を解消するような考え方も持たないとおかしな社会になってしまうんじゃないかというふうに私は思っているんです。

ですから、よく今回の、税率の改正のときもいつもそうですけれども、そういうあるべき社会、日本はどういうふうに税制であるべき社会に持っていきたいのか、その点をしっかりとやっぱりまずビジョンとして持って、その中で税制については議論をしていかないといけないというふうに思っているんですが、この今私のちょっと話したことについて、御感想というか御意見、もしありましたらお願いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 富岡委員がアメリカ社会の実情を引かれて御心配になったことは私はよく分かります。

日本人は、これはいろんな考え方の方がもちろん日本人の中にもおるわけですけれども、まあ特定の名前を出しちゃいけませんが、ビル・ゲイツみたいな人が次から次へと出てくる、そういう方もいたって悪くはないと思いますが、そういうのが当たり前で、あと一方、その非常におっしゃったような影の部分もたくさんあるような社会を日本人が望んでいるわけでは私は決してないと思います。

ただ、そこらはもう少し、今委員のおっしゃったお話の中で、実証的な議論が必要だというのは私はそのとおりだと思いまして、じゃ四〇%の最高税率だといって、じゃ、どのぐらいの所得の方かっていいますと、現実に四〇%の掛かり始めのところはそんなに目をむくほどの高額所得者というわけじゃないわけですね。

そうしますと、日本の平均からしたらかなりいい水準ではあるけれども、まあ生涯働いてきてこのぐらいかなというようなところの方がやっておられるわけですから。確かにかつてのように相当所得再分配に意を用いて、私どもも当選したころは、当時はまだ美空ひばりという方がいらっしゃって、美空ひばりさんが、一回百万円でステージやられると、もうそのうちどれだけ税金で持っていかれちゃうから歌う意欲がなくなるというような議論をよくしておりましたけれども、当時から比べると随分そういう点は改まってきて、それはそれの必然性があったと思います。

で、どこまで持っていったらいいかというのはまだまだ議論をしていく必要があると私は思っておりますが、でも、富岡さんのおっしゃったような、そんなアメリカのようなことを望んでいる日本人というのは私はほとんどいないと思いますんで、そこらはやっぱりよく目を光らせながらお互い議論をしていく必要があるなと思います。

○富岡由紀夫君 財務大臣がそういうお考えを持っていただけるというのは非常に心強く思っております。

ちょっと関連して、是非今の所得税のところで、ちょっと事前に質問のお話してたんで一応お伺いさしていただきますけれども、相続税率のところもやっぱり同じように、最高税率というか、が引下げになっているんですね。これは、資産の再分配という意味で、やっぱり大きく日本の社会を考えていく上で重要な問題だと思うんですけれども、相続税率も、これもう平成十五年のときに最高税率七〇%、これは二十億、課税、相続税評価額ですか、二十億円以上の人が、超の人が五〇%に引き下げられました。で、この引き下げられた人が、この階層の人が、適用を受けた人が、年間、さっきのまた話ですが、どのぐらいの人がいるかというのをやっぱり押さえておく必要があると思うんですけれども、この階層の人が年間何人ぐらいいたのか、そしてその人口の割合は、その人たちの全人口に占める割合はどのぐらいなのか、教えていただきたいと思います。

○政府参考人(福田進君) 相続税の税率、仮に七〇%というふうに前提いたしまして、これを七〇%から五〇%に引き下げられたことになる階層に属する人員につきまして、これも税務統計を基に推計いたしますと、法定相続人ベースで年間三十人程度でございます。全人口に占める割合、一億で割るわけですので極めて僅少、あえて率求めますと〇・〇〇〇〇二%程度と見込まれます。

○富岡由紀夫君 ということなんですよね。わずか三十人の人しかいないと。逆に言うと、相続税評価額二十億円以上の人というのはまだまだごくごく一部の人なんですね。その人たちを優遇するためにこの最高、相続税の税率の引下げを行ったということになっているんです。これがさっき言ったあるべき日本の社会を目指す上で本当に必要だったことなのかどうか、これは私は十分議論する必要があると思うんですね。二十億円といったら、これ相続税評価額ですから、実際の金額はもっともっと上ですよね、一杯持っている資産は。こういう人たちを優遇させるようなことをしていくと、ますます富の集中というか、一部の偏りが非常に起こってしまうというのが私の危惧でございます。

ですから、最高税率を、相続税の税率を引き下げたと、非常にこれはいいことだというようなお話がよく新聞なんかでも出ているんですけれども、実際には三十人しか年間その適用を受けている人がいないというところなんですね。三十人の人のために税制改正をしたということなんですね。このことを私はしっかりと国民の皆さんにも言っていただきたいというのが私の思いでございます。本当にだれのために税制改正を行っているのか、どれぐらいの所得を持っている人のためにやっているのか、どれぐらいの資産を持っている人のためにやっているのか、私は本当にこのことをしっかりと明らかにしていく必要があるというふうに思っております。

ちょっとさっきの関連でございますけれども、この間、つい最近の新聞の記事で出ていたんですが、日本とアメリカの乳幼児の死亡率の比較がございまして、千人に対して、一歳になるまでの間に幼児が死んでしまう確率が出ていたんですけれども、日本の場合は千人のうち二・五人ぐらいでしたか、それに対してアメリカはその倍ぐらいの五・何人死んでしまうという数字が出ていたんですね。

これはなぜかと。日本とアメリカで何でこんなに乳幼児の死亡率が違うのかというふうに出ていまして、その新聞の記事によりますと、これは医療サービスの違いだそうなんです。アメリカというのは日本と違いまして皆保険制度がない。お金のある人は民間の非常にサービスの受けられる、高度なサービス、医療サービスを受けられる保険に入ることができますけれども、お金のない人は保険に入ることができない、医療サービスを受けられない状況らしいんですね。そういうことが大きく影響しているんじゃないだろうかというふうに新聞の中では分析されておりました。

これもやっぱり、だから、さっきの光の面と影の面でございますけれども、やはりこの影の面をしっかりと見て、今の相続税率の適用人員、年間その最高税率三十人しかいない、その人たちだけを優遇するんじゃなくて、その他大勢の人に、それだけのお金があれば、さっきの会社のCEOの報酬じゃないですけれども、何十倍、何百倍の人の生活を補うことができるわけです。ですから、そういったことも考えて、社会主義、共産主義のように全員同じようにするということじゃなくて、やっぱり労働意欲が必要ですから、成功したら、一生懸命働いたら年収何千万、もしかしたら何億ぐらいまではいいのかもしれませんけれども、その何十億というところの人だけを優遇するような政策というのは私は見直すべきだというふうに思っております。

ちょっと今の税率についてはこのぐらいにさしていただきますけれども、次に、同じように法人税率、これも引下げが行われまして、今回はそのままだということでございますけれども、その中で、なぜそれをやらないかというお話がございましたけれども、これは国際競争力を企業に付けさせるためだとか、いろんなお話ありました。そして、今の日本の景気の、経済の状況についても、どういう状況かといういろんな議論の中で、企業収益もかなり上がってきたんじゃないかという議論がこれは頻繁にされております。

例えば、衆議院の財務金融委員会で谷垣財務大臣は、景気が上がってきたという、何というんですか、実証データとして日銀の短観のデータを引き合いに出されたことがございますけれども、この日銀の短観を踏まえて、谷垣財務大臣の景気に対する見方、これをいま一度、ちょっと簡単で結構でございますので、御確認させていただければというふうに思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) しょっちゅういろんなデータが出ますんで、今の日銀短観の数字がぽんぽんと頭に入っているわけではないんだと思いますが、ごくかいつまんで申し上げれば、これを入れた当時の経済動向はやはり非常に悪くて、底の抜けるようなおそれを多くの方が持っておられたと思いますが、その点は不良債権処理やあるいはそれと車の両輪である産業再生みたいなのもかなり進んできましたし、企業にとってはいわゆる三つの過剰と言われたようなものがほぼ乗り越えつつある状況だろうというふうに私は思っております。

それで、皆共通してやはり心配しておりましたことは、それが個人消費にはなかなか、企業業績は良くなってきても個人消費には結び付かないではないかとか、あるいは失業率等々も、一時に比べますと失業率も戻ってまいりましたけれども、若年者雇用はどうなんだとか、ニートとかそういう問題があるではないかと、雇用構造も本当に良くなってはないんではないかというような心配がございましたけれども、まだ確定的とは言えないとは思いますが、そういうニートとかあるいはフリーターみたいなのに頼るといいますか、不正規雇用に頼るような構造もようやく、何というか、下げ止まりになってまいりましたんで、私は日銀短観等を見ましても企業業績等は比較的今堅調だと思いますんで、全体としてはその個人に回っていく下地はできてきたんではないかなというふうに見ているわけでございます。

○富岡由紀夫君 さっきの所得税率のときのもそうなんですけれども、景気が良くなったという判断するときに、やっぱりどういうデータ、どういう調査対象、どういう母体を選ぶかというのは非常に重要な問題だと思うんですね。

なぜこういうふうに思ったかといいますと、私、今年お正月、新年会で、地元の、群馬なんですけれども、商工会議所とか商工会とかいろんな新年会に出まして、そしていろんな企業のオーナーの方、経営者の方に、もう何百社の方にも会いまして、いろんなお話を伺いました。

その中で、よく日銀のいろんな経済の見通しなんかいって、踊り場に来ているというような御説明がいろいろとされたんですけれども、その場でもされたんですけれども、実際にその経営者の方はどういう感想を持っていたか、私が話した限りでどういうふうに思っていたかというと、踊り場、踊り場といっても、全くそういう、踊り場というか、踊り場というのは上り調子の踊り場というところなんですけれども、全くそういう状況にはないと。踊っているのは、これはちょっと耳障りかもしれませんけれども、踊っているのは政府と日銀だけが踊っていて、一般の企業は非常にまだまだどん底の状況から脱し切れてないという感想がほとんどなんですね。九割方以上の状況なんです。

これ、どうしてかなと私も思ってみたんですね。そうしたら、日銀が景況判断するときに、短観をするときにどういう母体を調査しているかというのをちょっと確認してみたんですね。そうすると、日本には法人というのが二百五十五万社あるそうなんですけれども、そのうちの資本金ベースで二千万以上の上位わずか二十二万社を調査対象としているらしいんですね。二十二万社のうち一万一千社ですか、を調査して、そしてその中で景気が上向くのか、下がっているのか、いいのかどうかという調査をしてるわけです。ですから、残りの、二十二万社引いた二百三十三万社、二百三十三万社ですか、の人たちは調査対象になってないんですね。

そこは私非常に大きな問題だと思うんですね。だから、私は、いろいろなところ、いろんな経営者と話してみると、九割方の人はみんなそういう実感を持っていないというのは、やっぱりそのとおりだと思うんですよ。一割の人を対象にして調査して、その人、それは上位ですよ、もちろん上位の、そこの人たちがいいからということで日銀のある支店長なんかはいいんだ、いいんだと言っているんですけれども、だれもそれもう、全然もう何言っているんだという感じなんですね。それはやっぱり、そういう調査対象がそうだからだということが私分かったんです。

ですから、そもそも景気判断というのは、国民がみんな納得して、国民が感想を持つのが私は本当の景気だと思うんですけれども、ただ、政府としてはいろんな経済政策、財政政策を行う上で景気判断を発表しないといけないんですけれども、そのときにやっぱり調査対象というのも、やっぱりそういう母体をよく考えた上で発表しないと非常におかしなことになっちゃうんじゃないかというふうに思っております。

日銀が調査している資本金二千万円以上の企業というのは本当に、地元で一般の地域経済からすると大企業です。本当の一部の、わずか上位一割の大企業なんです。大企業だけの感想を聞いて景気判断をするのは非常におかしなことになってしまうんじゃないかというのが私の思いでございます。  こういうことについて、是非、こういう、何かいろんな景気判断するときにそういった一部の、いろんな調査データはありますけれども、全体観をやっぱり見ていくような調査対象にしていかないと、それだけが先行、独り歩きしてしまって誤った方向に導く可能性があるんで、国民の感情からも乖離したものになってしまうんで、そういったところを、是非、調査対象、その母集団、それをちゃんとしっかりと改めるというか、考えた上でそれぞれの判断に必要なそういうデータ、調査を行っていただきたい、そしてそれを引用していただきたいというのが私の意見でございます。  是非、ちょっとこれについて御意見というか、御感想をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、日銀短観等の大企業、中堅企業、中小企業と、こういうことでいろんな数字が出てまいりますけれども、そこでいう中小企業というのは、私も京都の北部の日本海側の方を選挙区にしておりますので、あそこでいう中小企業に当てはまるのは、私の選挙区でいえばもう輝くような優良企業ということになりますので、本当に、こういう言葉がいいかどうか分からないけれども、零細なところまでその調査が行き届いているのかどうかというのはあれだけでは分からない面があるかもしれないなと思っております。ですから、それぞれの調査の、何というんでしょうか、射程距離といいますか、妥当する範囲というのもよくよく吟味して使わなきゃならないだろうと思います。

他方、私、まあ二十数年国会でやっておりましてもう一つ感じておりますことは、やっぱり構造不況業種みたいな、やっぱりあるわけですね。私の、多分委員の御地元もそうだと思いますが、私のところは絹織物なんかやっておりましたので、こういうようなところは構造不況業種で、いいというときはまずめったにないわけなんですね。それに限らず、いろいろ話を聞いておりますと、本当に苦しいときは何かいろんなことを言って私のところに見えるわけです、もうこれじゃ何ともならぬと。しばらく来ないなと思っていると、その間は割合何とか、すごく良くなっているわけじゃないんですけれども、まあ何とかやっているときは余り私どものところにお見えにならないものですから、いいときも顔を出してよって、いいというのも聞かしてくださいよと言うんですが、そういういろんなその入ってくる情報というものをよくよくやっぱり吟味して、その情報の性格というものをよくつかまないと見通しは間違えるところがあるんだろうと思います。

そういうのは、我々も、政府としてももう少し精度を高めるような努力、これは主として内閣府のお仕事だと思いますが、やる必要があるなと思います。

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。

今のお話で、法人税、法人が企業収益が良くなってきたということでお話伺っていたんですけれども、さっき言ったように、そういう母集団がどういうものかということを今改めてお伺いしたんですけれども。

それを裏付ける資料というんじゃないですけれども、これも財務省さんの方でいただいた資料でございますけれども、法人の税、法人税を納めている法人の内訳という表が、いただいておりまして、これも見て私も驚いたんですけれども、さっきの日銀の一部のところを調べているのと相通ずるんですけれども、全体の法人が二百五十五万社ありまして、そしてその所得金額、法人所得を納めている企業、そのうちどれぐらいの企業が納めているかという話なんですけれども、この表にいきますと、所得が八百万円以上の中小法人、中小法人というのはこの場合は資本金が一億円以下というふうに規定されているんですけれども、その所得が八百万円以上の中小法人と、あと大法人、これは資本金が一億円超の法人全体で法人所得のどのぐらいを占めているかというデータなんですけれども、表なんですけれども、これを見て驚いたんですけれども、その両者合わして全体の法人所得金額の九六・七%を占めているんですね。

その両者というのはどれぐらいの数があるかというと、そのさっき言った資本金一億円以下の中小企業のうち、所得八百万円以上の企業が二十万一千社、二十・一万社。そして大法人、これが資本金一億円以上ですけれども、一・六万社、一万六千社でございます。それぞれの全体の比率は七・九%と〇・六%です。要するに、上位、合計すると八・五%、上位八・五%の企業が法人所得の全体の九六・七%を占めているというようなデータを、これ財務省さんからいただいております。まさしく日銀のさっきの短観と同じようで、本当に上位わずか一割弱のところだけが全体の収益の、所得の九六%以上を占めているというような偏った今状況が、今の日本の経済の状況だというふうに思っているんでございます。

もっと驚いたのは、まあそうなんです、当然なんですけれども、欠損法人が百七十五万八千社、全体の六九%、約七割、全体の七割の企業は欠損法人でございます。そして、わずか上位八・五%の企業が法人所得の全体の九六・七%を占めているというのが今の日本の状況なんですね。景気がいい、経済が回復した、そういうようなお話ありますけれども、これを見ても分かるように、ごくごく一部の企業だけが景気を回復した、経済のどん底からはい上がってきたというような状況が今の日本の状況だと思っております。

ですから、いろんな税制改正等々のときに、こういったやっぱり実証データ、どれだけの企業が、本当にいい、いいと言っても、そういう抽象的な表現だけじゃなくて、本当に何社の人が、何人の人がそういう景気が良くなってきたのか、そういったことをしっかりと踏まえた上で私は判断すべきだというのが私の思いでございます。是非、このように勝ち組のところだけ、一部の、ごくごく一部の勝ち組のところだけを見てすべてのいろんな行政判断をするんじゃなくて、しっかりとやっぱり全体観を見てやっていただきたいというのが私の思いでございます。是非この点について、是非これからも考えて、重きを置いて運営をしていただきたいというのが私からのお願いでございます。

そして、ちょっと、今の法人税率の話でございますけれども、これも三四・五%から三〇%に引き下げられまして、事業税率も一緒に引き下げられました。これを今回戻さないということでございますけれども、これについての理由というか、簡潔に、何回もいろいろ御説明いただいていると思いますので、簡潔に改めてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 済みません。今のはあれですね、ちょっと資料を、委員のお読みになったんであろう資料を一生懸命見ておりましてちょっと聞き漏らしたんですが、要するに、法人税率をかつて引き下げたけれども、それは元に戻さないということはなぜかというお問い掛けですね。

これは、委員が先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、言わば主たる考え方は、グローバル化や何かが進んできた、そういう中で国際的な整合性であるとか企業活動にゆがみの少ない中立的な税制は何かというようなことでやってきたわけですけれども、こういう一環として、平成十一年度、小渕内閣のときに、国際経済社会の構造変化に対応した税制改正の、言わばあるべき税制の先取りのつもりでやったわけでございますが、法人税率を引き下げた。当時、国税が三四・五%を三〇%に、それから国税、地方税を合わせた実効税率が四六・三六%を四〇・八七%に行ったということで、諸外国とのほぼ横並びの水準に持っていったということでございますので、これはこの言わばあるべき税制を先取りしたものと思われますので、これを元に戻すということは今考えていないわけでございます。ということでございます。

○富岡由紀夫君 今おっしゃられたように、これはちょっとさっきと観点また違うんですけれども、国際競争力を何か維持するというか、回復させるためというお話だったんですけれども、これもたしか平野議員から質問されたときに御返答をされて、中で、そんな国際競争力と言うけれども、ちょっと私も記憶が定かじゃないんですけれども、やっぱりその実証データというか、国際競争力がどれだけ上がってきたかというお問い掛けに対して、実証データみたいなのは余りないようなお話だったんですけれども、これについてちょっと改めて確認をさせていただきたいと思います。

○副大臣(上田勇君) 企業の国際競争力を判断するときには、これはいろんな指標がありますし、またそれぞれにいろんな要因があるのはもう御存じのとおりだというふうに思いますので、じゃ、法人税の減税が具体的にどれだけ国際競争力の向上に寄与したのかというと、なかなかこれは定量的に把握、そこだけを切り取って把握するというのは非常に難しい面がございます。

ただ、この数年間の国際競争力、様々なデータがありますけれども、私ども企業全体の国際競争力というのはやっぱりこれ確実に向上しているんではないかというふうに考えておりまして、例えば幾つかデータを示させていただくと、OECDで取っている統計などもあります。これ、労働生産性について、〇四年、これは我が国の労働生産性が二〇〇四年に前年比で四%、これは主要な先進諸国、英米仏独、これをしのぐ成長率になっておりますし、これは、九八年、九九年当時は我が国はずっとそうした先進国に比べて低かったということから比べると、やはり国際競争力が向上しているんじゃないかということが言えるというふうに思いますし、また内閣府におけるアンケート調査などでも、三年前に比べて競争力が強まったとする回答が三二%に対して、競争力が低下したとする回答というのは二一%。これは企業の判断からしても、競争力、改善が見られるんではないか。あるいはROAなどを比較いたしましても、ここ一、二年上昇に転じているという意味からは国際競争力が改善しているということは言えるんではないかというふうに思っております。

ただ、これが税制改正とどういうような形でリンクしていて、そのうちのどの部分が寄与しているのかというと、これはなかなかそこは定量的に把握しづらい部分があるということは御理解いただきたいというふうに思います。

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。

国際競争力付くことは、これはもう非常にいいことでございまして、問題は、国際競争力が付いて企業が収益をますます上げてくる、これはいいことなんですけれども、その収益がちゃんと国民全体に波及するかというところが最大の問題だと思うんですよね。国の企業とか一部の産業だけが生き残って、そこで働いている従業員とか、若しくは下請企業とか納入業者とか、そういったところが死んでしまったら全く本末転倒だと思うんですね。企業若しくは一部の産業だけが生き残って、国民がないがしろにされてしまうというようなことが絶対起こらないようにしないといけないのが政府の役割、国の役割だというふうに思っております。

その中で、今の国際競争力を上げて企業収益を上げた企業の収益はどういうところに行っているのか、私ちょっとやや疑問に思うところがあります。名前は申し上げませんけれども、例えばある企業は、さっきのあれじゃ、アメリカの企業じゃないですけれども、工場を閉鎖して従業員をリストラして、そして今まで正社員だった人も給料を引き下げて、それだけじゃなくて、正社員だった人を派遣社員とかパート社員に切り替えたり、あと下請企業に対する発注価格を下げたり、あと部品とかいろんな材料の納入業者の単価を引き下げたり、そうすることによって利益を上げているわけですね。  だから、周りの人はみんな、何というんですか、痛みを押し付けられているわけです。従業員は給料は下げられる若しくは解雇される、今まで正社員だったのがパート社員、派遣社員に切り替えられる、下請の発注価格、金額も下げられる、材料を納入しても部品納入しても単価を引き下げられる、このような苦しい目に遭っているのが日本の大多数の、一部の大企業を除いた企業だと思うんですね。

そういった企業、一生懸命利益を上げて、そこに対して最高税率を引き下げてあげると、そしてその税引き後利益で何をするかというと、企業は内部留保をして翌年の設備投資に、いろんな将来の設備投資に備えたりとか、若しくは研究開発費に備えたり、いろいろ、あと自分の財務体質を強化して、企業体質を強化するためにやりますけれども。そうじゃなくて、やっぱりその税引き後利益の中で配当金というのを支払ったり、当然ですけれども、あと役員の賞与を支払ったりするわけでございますけれども、ある会社はそうやってリストラ、大リストラやって、企業、利益が出ました、法人税率も下がりました、で、その残った利益で配当を一杯増配しました、そして役員賞与も一杯やりましたというようなことでございまして、その恩恵を被っているのは一部の株主とか一部の役員というのが、今の日本の企業の中でそういうところが大分出てきているんじゃないかというように思っているんですね。

これもあれですけれども、万が一その株主が、すごい最高収益を上げた株主、これが外国資本、これは別に、それがいいか悪いかは別ですけれども、その大企業の大株主が外国の企業であったと、そして経営者も外国人になってしまったといったときに、さっき言ったように配当金とか役員賞与、これがみんな言ってみれば国外に移転してしまうわけですよね。これについて私は何かちょっと釈然としないところがございます。

一生懸命日本人が、リストラされて、そして単価引き下げられて働いて上げた収益が国外に移転してしまうというのが非常に私としては釈然としないところがあるんですけれども、この考え方はちょっとやや偏っているかもしれないんですけれども、こういった点について財務大臣はどういうふうに御感想をお持ちになられるのか、お伺いできればというふうに思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) まず最初に、企業業績、法人税なんかも安くして、競争力も付いて企業業績も上がっているけれども、それを一体どっちに持っていっているんだろうかと。例えばこの委員会の御議論でもあるいは予算委員会の御議論でも所得分配率の問題等が度々議論になってまいりました。これは私どもが、分配が直接このぐらいが適当だと政府が言うべき筋合いのものではないと思いますけれども、是非ともそこのところはそれぞれ労使でよく議論をしていただいて、適切な水準に私はしていただきたいものだというふうに思っているわけでございます。それを超えて、今おっしゃったようなそういった経営者なり資本が海外から来て、結局のところ配当や何かといっても、国内に言わば蓄積をされる、留保されるという形が取らずに回ってしまうのはどうかと、これはなかなか難しいことだと、問題だと思いますね。

私は、その大きな問題意識としては、今の日本の貯蓄と投資のバランスみたいのをどう見るかということもあるわけでございますけれども、かつては最大の投資をしていく主体であった企業が今は貯蓄の、一番大きく貯蓄を持っているようなことになり、我々政府の方は一番言わば金を、何というのか、吸い寄せることになり、個人の方は、最近はちょっと下げ止まりがあると思いますけれども、高齢化が進んできて貯蓄率というのは下がってきたような状況になってきているわけですね。

これが今のままでいいのかどうかというのは我々もいろいろ問題意識を持っておりまして、国が余り資金を取っていくような体制というのはやっぱり良くないんじゃないかと。民間に資金が流れていって、それを活用していただくような体制をつくらなきゃいけないんじゃないかというのが構造改革の目的の一つであるというふうに考えているわけですが、大きく言えば、やっぱり人口が減っていく中で貯蓄率も、高齢化が進んでいく、貯蓄率も下がっていく、これから日本の発展を支える資本といいますか、そういうもの、貯蓄原資がどこにあるのかというのはこれから真剣に考えていかなければならない問題だろうと私は思っております。

昨年、アメリカとの関係で租税条約なんかも三十年ぶりに改定した考え方の一つは、やはり投資を呼び込まないとこれから先に日本経済の伸長を、成長を支えていく原資がなくなってくるんではないかという考え方が背後にございまして、その考えをとことん出していけば、今の委員の御懸念とはまた逆方向の考え方になるわけですね。でも、他方、いろいろ組合等をつくって、言わば海外から、海外で組合をつくり、ファンドを作って、そういうところで投資していくような方々の構成しておられる方の税金というのはなかなかやりにくくなってきて、そこら辺りはメスを入れて、やっぱりきちっと、あんまりおかしなことがないようにしていかなきゃならないと。やはり、投資を世界から招かなければならないときに税制等をどうしていくかというようなことは、更にいろいろ議論をきちっと詰めていって、変な穴のないようにしていかなけりゃならないということはあるんだと思っております。

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。

ちょっと非常に難しい問題なんで、これは何がいいかというのはよく考えていかないと、あと日本の国益というか、そういう観点も踏まえて考えていかないといけないと思うんで、これはなかなか結論をすぐには見いだせないかと思うんですが、その辺も是非頭の片隅に考慮していただいて、いろんな政策の立案について当たっていただきたいというふうに思います。

ちょっと次の質問に入らさせていただきます。予算の、公債特例に関連して、予算の件についてお伺いします。

私、一期生なんですけれども、この特別会計というのが本当に、改めてよく分からないというのが感想でございます。この分厚い書類は、予算書、一杯いただいておりますけれども、これをどこをどう見たらいいのかというのがさっぱり分からないんですね。  特別会計といっても、一般会計の方の予算から回っているものもあるし、特別の税源から行くのもあるし、いろんな負担金とか保険料とか、そういったもので入ってくるものあるんですけれども、やっぱりどれを取っても国民の大事な税金なりそういう保険料なり、そういったものが使われているわけでございます。ですから、それが本当に正しい使われ方をされているのかというのは、やっぱり国会の中で審議する中で我々議員もみんなが納得しておかないといけないと思うんですね。だけれども、これはどう見ても、納得しようにも分からないです、内容がね、中身の内容が。本当に正しいものに使われているのか、効率的なものに使われているのかというのが分からないんです。

私は民間の企業にいましたけれども、例えば費用でも、本当にその費用が妥当なものかというのはやっぱり細目、細かいところまで見ないと分からないんですね。人件費っていったって、従業員が何人いて、一人当たりがどのぐらいなのかと。いろんな、視察費とか接待費ってありますけれども、それがどういう内容で使われているのか、金額だけ出ていたんじゃ分からないんですね。ですから、あと投資の中身、これもいろいろ、この間、グリーンピアですか、いろんな問題出てきましたけれども、それはもう本当に氷山の一角で、本当に使われる、必要なものに、投資対効果のちゃんとあるものにちゃんと使われたのかどうかということが判断のしようがないんですね。

これを見て、例えば地元の有権者の方に特別会計についてどう思うって言われたと、言われて聞かれたとしても、私、答えようがないんですね。いいものか悪いものか、ちゃんと使われているのか使われていないのか、細目、これじゃ分からないと思うんですけれども、この私の考えというのは間違っているのかどうか、ちょっと財務大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに委員のおっしゃることは一つの問題点でございまして、我々も今委員のおっしゃったような疑問と申しますか、問題点に答えられるようにしようという取組をまだ始めたばかりでございます。

それで、よく引かれることですが、一昨年だったと思いますが、国会審議の中で、私の前任者である塩川大臣が、相当特別会計の方では無駄がたくさんあるんじゃないかというような御議論に対して、一般会計、つまり母屋でおかゆをすすっているのに離れで子供たちがすき焼きを食っているようなことはけしからぬというようなせりふを吐かれまして、それで政府の財政審議会でも総ざらい的に特会を平成十五年の秋にやっていただいて答申を出していただきました。

それを受けて、平成十六年度で打てる改革はし、そして平成十七年度でも、更に三十一ある特別会計のうち三分の一ぐらい深掘りしていただいたのを今度の平成十七年度にしておりますが、もう一つ、それと併せてやっていかなければならないのは、結局、全体像がなかなかつかみにくいということでございます。

今、結局、国の会計、一般会計と特別会計がいろいろ出入りがあったり、金のやり取りがあったりして全体がどのぐらいになるのかというのはなかなか今までつかみにくいことがございまして、そういう辺りもできるだけ一覧性のある書類にしていって、この国会での御審議でもできるだけ見えるようにしていこうという取組を始めたばかりでございますし、それぞれの特会当たりの分析も相当進めてまいりましたけれども、できるだけそういった成果を分かりやすく還元して、国会での御議論に供していただくように今努めている最中でございます。

それから、あわせまして、予算書そのものも見にくいという、一般会計そのものも見にくいという御批判がございます。

要するに、この予算書というのは、ある政策をやるためにどういう予算が付いて、どういう人を付けてというふうな体系になっておりませんので、あっちこっちに、同じことをやるにしてもあっちこっちにばらばらになっていて見にくいと。どうしたらそういうものをもう一つ政策ごとに分かりやすくするのかというような宿題を今いただいておりまして、そういったそっちの方の作業も進めなければならないと思っておりますが、ちょっと具体的な検討状況、もしあれば事務方からも答弁をさせたいと思います。

○政府参考人(杉本和行君) 大臣から御答弁ございましたように、特別会計につきまして分かりやすい説明をどうするかということは私どもも重大な問題意識ではありまして、検討を進めているところでございます。

一つは、ディスクロージャーとアカウンタビリティーをどうやって強化するかということでございますが、財政制度審議会等からも御答申をいただいておりまして、特別会計の財務書類につきまして、その発生主義など、いわゆる公会計の考え方を導入した財務諸表を公表するということにしてございまして、そういった作成指針を定めて、十一年度決算から公表させていただいております。

それから、昨年の財政制度審議会におきましても、そのアカウンタビリティーの強化について提言をいただいておりまして、各特別会計の人件費、事務費等、それから資金の流れ、こういったものについて新しい資料を作らせていただきまして開示を進めさせていただいているところでございます。これにつきましては財務省のホームページにも掲載させていただいております。

それから、公会計の関係で省庁別財務諸表という試みを始めているところでございまして、各省庁ごとに特別会計と一般会計と合わせたところでどのような姿になるかということを示させるような資料を今検討させていただいておりまして、いずれ公表させていただきたいと考えております。

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。

特別会計の中の財投特別会計についてお伺いしたいと思います。

財投のいろんな改革行って、いろいろと今進展中だということで御説明はいただいておりますけれども、今まで直接、年金とか簡保とか、そういった資金が特殊法人等に流れていた部分を、そうじゃなくて、財投債の発行とか、若しくは財投機関債の発行で資金の流れを変えようというふうに計画されているところだと思うんですけれども、ただ、そのお金が財投債という形、若しくは財投機関債という形になっても、その特殊法人にお金が流れていくということは、全体的なそのお金の流れというのは変わっていないというふうに思うんですね。財投機関債は分かりませんけれども、財投債、これをやっぱり同じように、いろんな、年金とか郵貯とか、そういったところが引受けしている内容は変わりませんので、お金の流れは変わっていないということでございまして、ここはやっぱり変えていく必要があると。

もし、それが本当に変わっているんだと言うんであれば、小泉総理大臣がおっしゃっているお金の流れを変えていくんだということが既にもう達成してしまうことになってしまうんで、されていることになってしまうんで、非常にここは矛盾点を抱えた問題だというふうに思っております。

それで、ちょっと細かい話なんですけれども、財投債、これは国債でございますから、例えば財投融資がいろんな特殊法人等に流れていっていますので、それが例えば焦げ付きになった場合でも、国債ですからこれは国が一〇〇%保証することになりますよね。これは当然なんですけれども。ただ、この財投債を発行するに当たって、これは要するに、将来その焦げ付きが幾ら発生するか分からない、国の負担が幾ら発生するか分からないという非常に大切な問題でございますから、問題ですから、ちゃんと国会の中で十分議論しないといけないと思っているんですけれども、これについてもどういうふうにお考えなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。財投債の発行の考え方についてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) ちょっとその前に、一般論になりますが、平成十三年に、さっきおっしゃいましたように、今までは郵貯等は全額財政投融資、資金運用部に預託するという仕組みを切り離しまして、必要なものは財投債ないし財投機関債で調達をすると。それから、それぞれのそういうマーケットの、マーケットで必要な資金を調達するようにして、そして、それぞれの財投機関も政策コスト分析等々のことをきちっとやって、全体の財務体質も明らかにし、その事業の内容も透明なものにしていこうということで進めてきておりまして、その結果、ピーク時には財投の額が四十兆を超えておりましたのが、現在はその四割ぐらいの十七兆強というところまで全体の姿は圧縮してまいりましたので、昔と資金の流れは変わらないという状況は、かなり、総額から見ましてもこれだけ圧縮してきたというのは、かなり財投を通しての資金の流れというのは変わってきたんではないかというふうに思っております。それで、もちろんまだ経過措置として財投債を直接引受け、郵貯等にしていただいている分は残っておりますが、これも平成十九年度までにすべて終わろうということでやっているところでございます。

その上で、今おっしゃったように、結局、財投も国債でやって、財投債といえども国債だから、それを焦げ付いたときには、結局最後は国が穴埋めをしなければいけないんではないかという御疑問でございますけれども、そういうような事態に陥らないように、まず財投機関が業務運営の効率化を行っていかなきゃならないわけでございまして、十七年度の財投計画編成においては、すべての財投事業について総点検を行いまして、住宅金融公庫については民間で取り組んでいるような直接融資を廃止する、それから都市再生機構についてはニュータウン事業から撤退するというような見直しをやっておりまして、委員のおっしゃるような最後焦げ付いたということにならないように、今取組を強化しているところでございます。

○富岡由紀夫君 ちょっと私もあれなんですけれども、財投債の発行については毎年この予算審議書の中で限度枠というか、そういうのが規定されているんですよね。その点についてちょっと確認したいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 財投計画は、財政融資それから産業投資、政府保証から成っているわけですが、これらすべてについて予算総則に載っけまして、要するに予算の議決という形で国会の議決をいただいております。

○富岡由紀夫君 いや、これ、本当は我々も、それぞれ予算総則の中身を見てどれだけ本当に発行していいものか、さっき言った住宅金融公庫とか都市再生機構みたいな不良債権化、国民の最終的な税の負担でなるものが発生する可能性があるわけですから、その枠についてはちゃんとしっかりと議論をしないといけないと思うんですけれども、なかなかこれ見てもよく、細かいところを見ないとその金額は分かってこないんですね。だから、これはやっぱりさっきの改める、改善の御努力はされているということなんですけれども、もっとそこは分かりやすくしないといけないものだというふうに思っています。

今言ったように、今、保証とか財投債の発行については予算審議書の中で入っているということだったんですけれども、財投機関債、これについてちょっとお伺いしたいんですけれども、財投機関債というものがあります。これは国が保証はしないものだ、要するに国債みたいに税金を投入しないものだというふうに考えてよろしいんですね。財投機関がそれぞれ独自に発行する債券であって、国は一切関知しないということで考えてよろしいんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) これは財投機関において発行するものでございまして、政府保証がないと、こういうことで、政府保証のない、要するに財投機関の責任において発行される公募債券である、こういうことであります。

○富岡由紀夫君 じゃ、例えば発行機関が財投債を発行して、例えばその財投機関債がデフォルトになってしまったと、破綻してしまって返せなくなってしまったといったときに、国の税金を当てにして、国会の中で、一般予算から回すような、そういったことは絶対想定しなくていいということですね。財投機関債の、我々のこの国会の中でそのことは一切議論しないというふうに考えていいのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 要するに、財投債、財投機関債を発行している法人といいますか、公法人というんでしょうか、そういうものの破綻処理をどうしていくかということになるわけでございまして、国が金、税金をつぎ込んで、そこをうずめていくというような性格のものではないと、こういうふうに考えております。

○富岡由紀夫君 分かりました。

財投機関債の発行についてはさっきの予算審議の中で諮ってないということだったものですから、そこをちょっと心配していたんです。諮っていないのに、どんどんどんどん財投機関が財投機関債を発行して、それで将来国民の税金にツケが回ってくるようなことになってしまったら大変なことになってしまいますから、今の御答弁ではそういったことはないということで理解してよろしいんですね。はい。

○国務大臣(谷垣禎一君) そうでございます。

○富岡由紀夫君 是非、さっきの税のときもそうなんですけれども、私は、さっき、今改善中だというお話だったんですけれども、やっぱり民間の企業とか、特に銀行には、資産の中身をよく査定して、開示して、そしてちゃんと分類して、処理すべきものは処理するし、引き当てを積むものは引き当てを積めというふうに指示しているわけでございますから、是非、財投機関、特殊法人等についても、その資産の中身についてはちゃんと明示をさせて、それぞれ資産の中身を、国民が安心できるような、納得いくような形でお示しいただけるような方向で開示の方をしていただきたいというふうに思っております。

そして、さっき住宅金融公庫と都市再生機構の不良債権の中身についていろいろ手当てを取ったということなんですけれども、本当にこれだけなのかというところがやっぱりまだ疑問に思うところがございますので、こういった、特に大口の資金が国のそういった特別会計を通して行っているところについては、更なる明細の、不良債権の全貌というか、資産の中身の解明をお願いしたいというふうに思います。

ちょっとそれについて、住宅金融公庫と都市再生機構だけじゃなくて、全体について、そういった中身、資産の中身を開示していただけるかどうか、お願いしたいと思います。

○政府参考人(杉本和行君) 特殊法人のディスクロージャーの問題にも絡むと思うんでございますが、特殊法人につきましても、平成十二年分の決算からでございますが、民間企業として活動しているという仮定の下に、最新の企業会計原則に準拠して作成した貸借対照表や損益計算書といった形で、行政コスト計算書と名付けられておりますが、そういったものが各法人より公表されているところでございます。それぞれの特殊法人におきましては、この行政コスト計算書で民間並みにそれぞれ資産等を計上させていただいているところでございまして、そういった形でディスクロージャーを進めてまいりたいと考えております。

財務省といたしましても、特定の事業の遂行により当該法人の業務に支障がないようにという観点から、財政の健全性に配慮しながらいろんな査定を行っているところでございまして、こういった形で特殊法人の財務の健全性というものを確保していく必要があると考えております。

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。是非、十分な納得いく解明を、明細、ディスクローズをお願いしたいと思います。

次に、公債特例に関連して、いろんな、プライマリーバランスの見通しとか、いろいろと試算が出ておりますけれども、内閣府の構造改革と経済財政の中期展望二〇〇四年度改訂版についてお伺いしたいと思うんですが、このいただいた表によりますと、竹中大臣なんかは、これはもう十分何回も議論されておりますけれども、名目成長率が名目長期金利を上回るんだという御説明をいただいておりますけれども、この内閣府のつくった数字ですら、二〇一一年度、そして二〇一二年度については逆に名目長期金利の方が名目成長率を上回るような内容になっておりまして、言っていることと実際にこの計画で挙げている数字が逆転しているんですけれども、逆なことを言っているんですけれども、この点について内閣府さんからちょっと御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(大守隆君) 名目成長率と名目長期金利の関係は、一つのある理想的なといいますか、定常的な状態においてはほぼ等しいという議論もございますけれども、実際にはそのときの事情によって、一方が他方を上回ったり、また他方が一方を下回ったりというような関係があると思っております。

今御指摘いただきましたように、この展望、参考試算におきましても、ある時期においては名目長期金利の方が下回って、それからその後上回るというような形になっております。

○富岡由紀夫君 これ、財務省さんの、財務省じゃなくて内閣府さんの計画であるんですけれども、ちょっと私、是非、財務省の考えるそのプライマリー赤字、それを黒字化させる、プライマリーバランスを黒字化させるということについて、具体的な方策について私ちょっと確認したいと思っているんですけれども、財務省さんのやつは黒字する二〇一〇年代初頭までの計画はお示しいただいてないと思うんですね。

何でもそうなんですけれども、計画を立てたときにはやっぱり、できるかできないかは別として、ちゃんと目標数値を置いて、具体的にここを手を入れていくんだみたいな、やっぱりそういうものが、数値的なものがないとやっぱりなかなか実現できないと思うんですね。ただ単に精神論でやっていくんだと。これは地方も合わせてでございますけれども、やっぱり財務省としては、国単独でもプライマリーバランスの黒字化をどうやって目指していくんだと、そういったビジョンが国、国民に対して私は示す必要があると思うんですね。そこはやっぱり財務大臣のリーダーシップで、こういうふうに財務省としてはやっていくんだからみんな付いてきてくれというようなお考えをお示しいただくことが必要だと思うんですけれども、この点についてちょっと考え方をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) その辺の考え方につきましては、一つは、今おっしゃったような内閣府で「改革と展望」の参考資料として試算を出していただいておるわけですが、これは国と地方を合わせたものですが、いつも引かれますのは、どちらかというとベストプラクティスといいますか、一定の仮定はありますけれども、非常に調子良くといいますか、うまくいった場合の図式と、それから改革が余り進まない、進んでいかない場合の想定と、二つ今年は出していただいているわけですね。

私どもの方は後年度試算というのを昔から出しておりまして、これはプライマリーバランスの改革のための手法というわけでは必ずしもないわけですが、余り努力をしないとこういうふうに、今の前提のままでいくとこうなるぞということをお示しして、ある程度の材料はお出しをしているつもりなんです。

それで、要するに国と地方と一体というよりも、国だけの方を、つまり二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復と言っておりますが、内閣府のおつくりになったものでも、今、今年お出しになったのは二〇一二年に一応回復するということになっておりますが、それは国、地方を合わせてでありまして、国の方はまだバランスを取れないという姿になっているわけですね。

それで、これ、どうして国と地方と一緒にしたものを出しているのかといいますと、国と地方の財政、片っ方だけきれいにしたら片っ方がじゃどうなっていくというものでもございませんで、例えばほかの状況を、条件を動かしませんと、仮に交付税をたくさん持っていけば地方の方は非常にいい数字になるけれども、国の方は悪い数字になるというような、全体を見ないとなかなかできないところがございますので、私は、国と地方の一体のものとしてプライマリーバランスを見直すようにというふうに示していただいてきた内閣府のこの試算は、それなりそういう意味があったんだろうというふうに思っております。

それで、ですから、私どもも地方と要するに協力しながら何とかこの内閣府の試算に合わせてやっていきたいというのが当面の目標でございますが、それを超えて何が必要かということになってくると、むしろ国だけ、地方だけというよりも、国債残高全体の、公債というか、長期債務全体の管理をどうしていくかという問題が正面に出て来ざるを得ないだろうと思っております。

それは、先ほど委員も指摘されましたように、長期金利と経済成長率の関係というような辺りが非常にシリアスな問題になってくるわけでございまして、経済財政諮問会議でも、要するにGDP全体に対して長期国債の残高のパーセントをどの程度抑えていくかとか、次の目標をそろそろつくるべきではないかという議論になってきておりますので、今、国だけのをつくれということよりも、むしろ二〇一〇年代初頭にできた後、どういうことを考えながらやっていかなきゃならないかというところを少しこれから詰めていかなければならないのかなと思っているところでございます。

○富岡由紀夫君 ちょっと限られた時間なので余り十分にできないんですけれども、やっぱり今、国債の、国の借金、地方の借金も含めてですね、財政問題、赤字の問題が私最大のこれからの問題だと思っています。

そして、ちょっとまたお聞き苦しいことを言うかもしれませんけれども、財務省さんは非常に危機だ危機だという資料を一杯出しているんですね。政府もそれを認めているわけで、出しているということは認めているわけでございますからそうなんですけれども、この莫大な借金というのは、どうしてこんなになってしまったんだと。私は、やっぱり日本の、何というんですか、お役所というか、役人の中で一番いけないのはやっぱり責任を取らないというか、これはやっぱり政治の世界もそうだと思うんですね。責任をまず明確にした上で、そして改めていかないといけないと思うんですね。いつまでたっても責任を明確にしないで、どんどんどんどん、何というんですか、次から次へ、次のことばっかり考えますけれども、それはやっぱり改める必要があると思うんですよ。なぜこんなに国の借金が膨れてしまったんだ、国の借金が膨れてしまったんだと。これをまず正確に分析して責任をちゃんと明確にする必要があると思うんですね。

ですから、あたかも何もしないで、今こんなになっちゃったんで大変だ大変だというような言い方ではなくて、今までの政策はこういうことでちょっと読み違えてしまったと、したがってその読み違えによってこういう結果になってしまったんだと、その点についてはまず素直に謝罪をして、そしてその上で、ついてはこのまま放置すると更に悪化してしまう、とんでもないことになってしまうということで国民に増税なりいろんな負担のそれぞれをお願いしないといけないと思うんですけれども、そういうことが、私、今の日本の国の中では欠けているんじゃないかというふうに思っております。

是非、ちょっと改める、危機意識を共有化する意味で是非お伺いしたいと思うんですけれども、平成十七年度末で公債・借入金残高の種類別合計というのが、これは財務省さんの資料で出ております。八百八十七兆円ありますということでございますけれども、これは国だけの債務、国債・借入残高の債務だというふうに理解しているんですが、これに地方の債務を加えると、国全体で、今年度、十七年度末でどれぐらいになるのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

○副大臣(上田勇君) お答えいたします。

今委員が、その前にちょっと今委員がお示しになった八百八十七兆円という数字でございますが、これは十七年度末におきます普通国債、それから財政融資資金特別会計の国債、いわゆる財投債ですね、それから借入金及び政府短期証券等の残高見込み、これが八百八十八兆円ということでございます。

これは、申し上げましたのは、通常財務省で使っています数字とちょっと違うものですから、そういう前提でありますが、これに地方の長期債務残高の見込みであります二百五兆円を加えますと、これは単純に合計いたしますと約一千九十三兆円ということになります。

○富岡由紀夫君 一千九十三兆円、これは非常に恐ろしい数字だと思うんですね。ちょっともう時間がないんであれなんですけれども、一%金利が上昇すると、これ十兆円以上利払い費が負担が増加するという数字ですよね。三%だと三十兆円。今、国の予算が四十四兆円ですか、こんなの、あっという間に吹っ飛んでしまうような状況でございます。これはやっぱり、だから財政問題、この債務の問題、長期金利の問題、金利と債務というのは非常に密接に関係しております。どんどんどんどん国債を発行しようと思えば金利を上げていかないといけないような状況にもなってきますので、これは十分危機意識を私は持たないといけないと思っておりまして、これは次回の質問に継続させていただきますけれども、この点を主張させていただいて、私の質問とさせていただきます。  本日はどうもありがとうございました。

○糸数慶子君 お伺いいたします。

しょうちゅうに対する課税強化問題について、まずお伺いしたいと思います。

これは、沖縄県内の泡盛製造業者に対して、沖縄振興特別措置法の減免分、平成十九年の五月十四日までに酒税が二〇%軽減に加えて、租税特別措置法に基づく全国の中小零細業者に対する特別措置によって酒税の負担額が大幅に引き下げられています。これは、地元の報道によりますと、平成十四年度の実績で見た全事業者の軽減総額がおよそ十八億八千万円に上るとされておりまして、これは全体の経常利益総額のおよそ十八億五千万円に相当しておりまして、酒税の軽減がなければ県内の製造業は利益が出ない状況になっているとされています。このために、沖縄の泡盛製造業者の方々は二年後の沖縄振興特別措置法の期限切れに危機感を高めています。

こうした中で、第三のビールへの課税強化を名目にして、十八年度の税制改正において全酒類間の課税の均衡を図ろうとしていますが、これは泡盛製造業者の方々からすればしょうちゅうに対する増額となり、沖縄振興特別措置法の期限切れと併せてダブルパンチとなり、経営への影響も大きいと思われます。

第三のビールへの課税強化を名目にして、しょうちゅうへの課税強化を見送るべきと考えますが、財務省の見解はいかがでしょうか。

○副大臣(上田勇君) お答えいたします。

沖縄産の泡盛につきましては、今先生からいろいろと御紹介をいただきました様々な税制措置が講じられておりまして、今そうしたことについて、見直しの方向等についての御質問でございましたけれども、今委員の方から御指摘があったように、酒税についてはやはりその税制の中立性とか公平性を確保する観点から、酒類の生産や消費動向等の変化に応じ適切に対応していく必要があるというのが基本的な考え方でございます。

今後、政府それから与党の税制調査会の議論も踏まえまして、平成十八年度の税制改正に向けまして、酒類間の税負担格差を縮小するという観点、それから酒類の分類の簡素化、これはやっぱり余りにも酒の種類によって税率が変わっているとそれがいろいろな支障もあるということから、そういうような方向で酒税全般の見直しについて検討を進めさせていただいているところでございます。

なお、今委員から御紹介のあった沖縄の泡盛についてどうするかというような個別のことについて、それは今下げるとか上げるとかというような議論がまだ提起をされているという段階ではございませんが、先ほど申し上げましたように、中立性、公平性、そうした観点から議論していきたいというふうに思っておりますし、同時に、今とられております沖縄に対する本土の税率に対して三五%軽減しているという特別措置、これなどについても、その地域の特性に十分配慮していくというのが基本的な考え方だろうというふうに思っております。

○糸数慶子君 今、沖縄県の酒造連合組合の調べによりますと、二〇〇四年の泡盛のその製造量、これ四十四度ベースなんですが、二万六千百十八キロリットルで、前年に比べますと二〇・三%増と過去最高の伸びを示しています。総出荷量が二万八千七百四十八キロリットルで、これ前年対比で一二・九%伸びておりまして、県外出荷量が六千三百四十五キロリットルで、前年度比四三・二%と伸びております。

これ、過去二番目の伸び率となっておりまして、今沖縄ではこの泡盛を全米へということで、アワモリ・アクロス・アメリカのその頭文字を取って、AAAプロジェクトというのを発表いたしまして、今年の四月からロサンゼルスなど全米四大都市を中心に販売を計画しています。ですから、このように意欲的に県外や海外まで展開して、沖縄県でのもう本当に数少ない成長産業であります泡盛製造業に対して、やはりこの酒税改正で生産意欲をそぐことのないようにということで、是非ともお願いを申し上げたいと思います。  次に、財政問題について、財政再建問題についてお伺いしたいと思います。

まず、構造改革と経済財政の中期展望の内閣府の財政再建に対する試算では、改革が進展した場合、二〇一二年度に国と地方のプライマリーバランスを黒字化できるとしています。この試算では、基礎年金の国庫負担割合の引上げの財源について、二〇〇六年度以降二年間は所得税計一・五兆円、それから残りの二年間は消費税が計一・五兆円としており、消費税の引上げに一部含みを持たせたものになっておりますが、この試算について谷垣財務大臣は、先ほどもおっしゃっていらっしゃいましたベストプラクティス、まあ従来からその表現をしていらっしゃいますけれども、この試算どおりに改革が進展するとしても、プライマリーバランスの黒字化のためにこの消費税の引上げが必要ということになるのでしょうか。お伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、委員がおっしゃいますように、この内閣府の試算では二〇一二年度にプライマリーバランスを回復する、その前提で、委員がおっしゃいましたように、基礎年金の国庫負担部分は所得税と消費税に求めるということになっておりますが、委員の今の御質問は、それは一応前提として置いておいて、それでも二〇一二年に一応プライマリーバランスを回復できるんだから、それ以上その消費税に、増税に頼るということは考えなくてもいいんではないかという御趣旨ですよね。

それで、これにつきましては、先ほども私申しましたけれども、ベストプラクティスと申しておりますのは、確かに、ほかの税に頼らずにやるということも考えられない、全く不可能かどうかは、こういう数字が出ているわけですから、何とも不可能とまでは言い切るつもりはございませんけれども、しかし現実にじゃその間何をしていくかということを具体的に考えますと、結局無駄なものは省けというのは一つやらなければならないことは当然でございますけれども、必要な公共的サービスの水準は何なのかというのをよく見極めていかなきゃならない。そして、その必要な公共的サービスの給付に対する負担というものはバランスを取っていないと長続きしないということになるわけですね。

それで、必要な公共的サービスというものを議論していきますときに一番中心になる課題は、やっぱり高齢化に伴う社会保障をどうしていくのかという議論になるんだろうというふうに思います。これは、ある程度はやっぱり、無駄は省くにしても、ばさっと削るような性格のものではそもそもないんだろうと思うんですね、これはこれからの御議論ですけれども。そうしますと、それを併せて負担していくときに消費税ということをどうしても議論になってくるのではないかというのは私の考え方でございます。

それと、もう一つは、現在でも毎年かなり社会保障の見直し等もやっていただいて自然増を抑えるという努力をやっていただいているわけでありますけれども、現在政策経費、一般歳出のうち四割を超える部分が社会保障になってきております。四三・一%だったと思いますが、これが、ほかのところは相当圧縮してきて、現に実額も減らしているんですが、社会保障だけはやっぱりどうしても増えてくるということになりますと、要するに一年間の予算のバランスで、社会保障だけがどうしても増えてくるということになりますと、ほかの必要な経費に果たして回さなくていいのかという議論がやっぱり出てくると思います。無駄は省かなければならないと思いますが、じゃ、そこをどうするかということも視野に置かないとなかなか現実には議論が進まないのではないかと、こんなふうに考えているところでございます。

○糸数慶子君 今、大臣、御答弁ございましたが、しかし内閣府の「改革と展望」の参考試算、財務省の後年度影響試算はそれぞれその性格が異なっているように思うわけですが、消費税の引上げについては、国民の無用の混乱を招かないようにするためにも、やはり政府試算の策定に当たっては内閣府と財務省がもっと意見のすり合わせをすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) それはもう確かに糸数委員のおっしゃるとおりだと思います。

今回、内閣府試算を作るときに、経済財政諮問会議で、去年の十二月の末ごろだったと思いますが、私から竹中大臣に、財政にかかわる部分については十分に事前協議を、調整をお願いしたいと、分かったということで竹中大臣にも受けていただきまして、内閣府と財務省で従来にも増して事務的な調整に力を入れてきたわけでございます。

それで、別に私ども全く違うこと考えているわけではなくて、これは一つのやっぱり、何というんでしょうか、経済財政モデルというのを内閣府でお作りになって、そこに一定の仮定を置いてこういうものを出しておられるわけですから、現実にやっていくとなるとどうしても制度をいじるとか、私どもの具体的な予算編成作業になると制度をいじるとか、そういうことがもう不可避になってまいりますので、そこら辺りは、大きなマクロ経済的な見通しと私どもの現実的な予算編成作業との間には若干また違いが出てくるのは調整をしてもやむを得ないところかなと思っております。

○糸数慶子君 次に、橋本内閣時代の財政構造改革法は、新規国債の発行の縮減や歳出分野ごとの上限制などを定めて財政再建を目指してきましたが、御存じのように、九兆円にも上る国民負担増による景気の失速、同時に起こってきた金融危機などによって凍結されてしまいました。

現在、国と地方を合わせたプライマリーバランスを二〇一〇年代初頭に均衡化させるとしていますが、今後の国の具体的な財政再建のその目標はどこにあるのでしょうか。また、具体的な歳出削減目標や歳入目標を定めた財政改革法の策定も検討していくべきではないかと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。

○国務大臣(谷垣禎一君) 委員おっしゃいましたように、橋本内閣のときのあのいわゆる財革法と言われておりますものは、いろんな数字、数量的な目標値も入れて財政再建を図ったわけでございます。それで、現在あれと同じものが私どもにあるわけではありませんが、財政再建の目指していく大きな目標として、委員もお触れになりました二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復していこうと、そのときにいただける税金でその年の政策を打って、ツケを後の世代に先送りしないようにしようというのが現在の目標でございます。

それで、今の委員のお尋ねは、国と地方、内閣府の試算は国と地方と一体になったものとして書かれておりますので、国はじゃどうするんだという、先ほど富岡委員からも同じような御質問がありましたけれども、恐らく共通の御関心なんではないかなというふうに思います。

そこで、実は先ほども御答弁申し上げましたけれども、国と地方の財政というのは非常に結び付いているところがございまして、やはり地方に交付税をお出ししていくと、たくさん出せば地方は良くなるけれども国は悪くなる、ちょっとしか出さなきゃ国はいいけれども地方は悪くなるということでございますから、どっちが、どっちだけが笑ってどっちだけが泣くというようなものでは余りうまくいかないんだろうと思います。したがいまして、プライマリーバランスを回復していくときに国と地方と両方合わせて目標にしてやっていこうということで今日までやってまいりましたのは私は意味のあったことではないかなと思うわけでございます。

その上超えて、国として何を目標にするかということになりますと、まだ十分議論は整理できておりませんけれども、要するに、これだけ長期債務残高を持っておりますと、金利がちょっと上がればばあんと金利負担も重くなる、金利の動向と、一方、経済成長がどんどん進んでいけばおのずからその全体の中での負担は軽くなっていくというわけでありますから、そこのバランスをどう取っていくかというのが多分これから先の大きな課題になってくると思いますが、しかしながら長期金利を器用に政策的にコントロールしていくというようなことは言うべくして実際にそんなできるわけのものでもございませんが、要するに、今後どういう目標を仕入れてやっていくのかということは経済財政諮問会議でも問題提起をしていただいて、今これから議論をしていかなければならない段階でございますので、要するに、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランス回復した後の大きな目標は何、どういうことにしていくのかということをこれからもう少し議論を詰めていきたいと思っております。

○糸数慶子君 次に、潜在的国民負担のその負担率についてお伺いしたいと思います。

租税が二一・五%、社会保障が一四・四%、二〇〇五年度の国民負担率三五・九%、財政赤字の対国民所得比の八・九%を加え、潜在的国民負担率は四四・八%となっていますが、政府はこれを高齢化のピークのときである、ピーク時である二〇二五年度においても五〇%以下に抑えるというふうにしています。政府部内では、厚生労働省の幹部などは、これは例示にすぎず拘束力はないと、こう見ている向きもありますが、この潜在的国民負担率を五〇%以下、この目標は現在でも政府の目標になっているのでしょうか。

○副大臣(上田勇君) お答えをいたします。

正確に申し上げますと、この国民負担率につきましては、経済財政運営と構造改革に関する基本方針、この二〇〇三年及び二〇〇四年といった閣議決定をされました文書におきまして、今委員がお読みになりましたように、「例えば潜在的国民負担率で見て、その目途を五〇%程度としつつ、政府の規模の上昇を抑制する。」というような形で記述がされております。これは例えばということでありますので例示というふうにも取れなくもないのかもしれませんが、私どもとしては、これは閣議という場で政府の方針としてこういう方向が定められているわけでございますので、政府の目標として位置付けて今財政の運営に努めているところでございます。

○糸数慶子君 厚生労働省の推計によりますと、二〇二五年度にこの潜在的国民負担率は五六%まで上昇するとされています。財務省はこれを五〇%以下に抑制するために年金や医療や介護など社会保障の給付を二割削減すると、その必要があると機械的に試算をしていますが、谷垣大臣は潜在的国民負担率五〇%以下の政府目標を達成するためにはどのような具体的なビジョンを持っていらっしゃるのか、その見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) やはり社会保障、一体になって考えなければいけないと思うんですが、医療、介護、年金、基本的に身の丈に合ったものでないと持続可能ではない。どんどんどんどん我々の実力を超えて大きくなるようなものではなかなか長続きしないんではないかということでありますから、三つの、三つの制度というよりか社会保障全体をやはりそういう目で、どう経済成長と平仄が合うかという形、制度に、仕組みにしていくということが一つだろうと思います。

それから、自助、公助、共助とあるわけでございますが、共助についてはちょっとおくとしまして、国が制度をつくってバックアップすべき公助と、それから本来自分でやはり、何というんでしょうかね、自ら助くる、助けるといいますか、そういう自助、どこまでがそういう役割分担なんだろうかということはきちっと見直しをして、必要な線引きをきちっとすると。つまり、社会保障が担うべき役割というのはやっぱりきちっともう一回見直していくという必要もあるのではないかと。それと併せて、給付の重複とか、あるいは過剰な給付とかいうものがございますから、そういうものを排除して、公平な制度と皆様に思っていただけるようにしていくと。

それから、私は、この問題を考えますときに一番時間の掛かる問題は意識の変化なのではないかなというふうに思っているわけでございます。年金を議論いたしましたときも、やっぱりこれからの支え手、これだけ出生率が低くなって年金が維持できるのかという御議論がございましたけれども、やっぱりみんなで次世代の子供たちを育てていく、安心して育てられるねという仕組みも必要でありますけれども、やっぱりそういったことに、お互い子育てを一生懸命やって生きがい感じられたねというような、何というか、意識をみんなで持てるか持てないか。あるいは、高齢者にしても、単に弱者というだけじゃなしに、お金持ちで能力のある方もいらっしゃるわけで、やっぱり高齢者に対する、何というんですか、意識の在り方というような、そういう意識改革も、制度を支える側、支えられる側、双方の意識改革というものもなければいけないのではないかと。

今申し上げたようなことを併せて議論をして、努力して何とか潜在的な国民負担率というものを抑制することができればと思っているわけでございます。

○糸数慶子君 次に、定率減税の縮減問題についてお伺いいたします。

恒久的減税である定率減税を縮減し、国民に大幅な負担増を求める際には、まず政府自身が徹底した行財政改革を行うとともに、今後の少子高齢社会で必要となる財源と我が国の将来ビジョンを国民に明らかにすることが必要と考えます。

「改革と展望」を読みますと、確かに、歳出面での改革では、公共投資の削減や重点化、効率化、人件費の抑制、一般歳出の聖域なき見直しと抑制などについて、構造改革の推進では、官から民へ、国から地方へなどについて言及しています。

定率減税を縮減させる前提として、政府自身はどのような行財政改革を行ったのでしょうか。また、我が国の将来ビジョン、早急に明らかにすべきではないかと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) まず、財政構造改革ということでありますが、歳出改革路線の堅持、強化と、今年もそういう方針で予算を作ったわけでありますが、その歳出、無駄な歳出は徹底的に見直すと、聖域なき歳出改革をやろうということで、平成十七年度予算も社会保障関係費と科学技術振興費以外は皆抑制すると。例えば、公共事業関係費は四年連続、防衛関係費は三年連続マイナスというような形で、主要経費は対前年度マイナスということをやりまして、その結果、三年ぶりに一般歳出については前年度の水準以下に抑制するということができたわけであります。

それから、行政改革について申し上げますと、これまでも特殊法人等改革ということでやってまいりまして、特殊法人等向けの財政支出を実質的に一兆五千億円削減するというような取組を進めておりますし、それから、昨年末に決定しました今後の行政改革の方針というのに従いまして、独立行政法人については、三十二ある法人を二十二法人に再編する、それから八千三百人余りの役職員を非公務員化するといった取組を進めているところでございます。

今後とも、こういう歳出削減あるいは行政改革、徹底的に取り組んでいくことが私は必要だと思っておりますが、同時に、先ほども申したことの繰り返しになりますが、社会保障給付、どうしても増えていく、増加圧力と言うと言葉は悪うございますが、どうしてもそういう面がございますので、歳出歳入両面のバランスを取っていくということが併せてありませんと、国の予算というものが余りにもいびつなものになってしまうと。この両面併せてやっていく必要があるのではないかと思っているところでございます。

○糸数慶子君 平成十七年度の与党税制改革大綱では、「今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する。」としています。この与党の大綱の趣旨からすれば、景気が失速すれば縮減や廃止時期を見直せる弾力条項をその法案に盛り込むべきではなかったかと言われておりますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(福田進君) お答え申し上げます。

御指摘の与党大綱の一文につきましては、単に定率減税縮減の見直しについてのみ述べられたものではなくて、経済財政運営全般にわたっての政府・与党の基本的な考え方が表明されたものと私ども理解しておりまして、こうした内容を何らかの形で税法に盛り込むことは必ずしも適当でなく、また与党大綱の趣旨もそういうものではないというふうに考えております。

大臣のお言葉をおかりしますと、経済は生き物でございまして、政府といたしましては、今御指摘の与党大綱の趣旨も踏まえつつ、その時々の経済状況に応じまして、政策的な対応が必要となった場合には、経済のどこに一体問題があるのか、それに応じた適切な対応を機動的、弾力的に行っていくべきものであると、かように考えております。

○糸数慶子君 定率減税が個人所得課税の抜本改革までの過渡的な税制改正であるというのであれば、十八年度税制改正で予定している所得税の個人住民税への三兆円規模の税源移譲に伴う税制改正の全体像をできるだけ具体的に明らかにすべきであると考えます。

つまり、住民税を一〇%フラット化することによって、一〇、二〇あるいは三〇、三七%とする現在の所得税の最低税率、そしてその最高税率はどうなるのか、やはり、各種所得控除の見直しはどうするのか、低所得者、中堅所得者、高所得者ごとに税負担の構造はどうなるのか、そして現在と変わるのか変わらないのか、これを明らかにすべきだと思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

○国務大臣(谷垣禎一君) 近年の税制改正では、経済社会が構造も変わってきましたので、それに対応した税制に持っていかなきゃいけない、これをあるべき税制と、こう言っているわけですが、個人所得課税についても、配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止、これは家庭の主婦の就業構造も変わってきたということ、それから年金税制の見直しも必要だといった見直しをやってきたわけですが、平成十八年度では三位一体の改革を併せてその所得課税の抜本的見直しをしなきゃいかぬと。

そこで、今、糸数委員もおっしゃいましたように、個人住民税については、これは所得割の税率をフラット化するという方向で考えていこうと。それに対応して、所得税については、所得再分配機能がもう少し発揮できるようにして、税率構造を見直す必要があるんではないかという方向で議論しているわけでありますが、要するにこの三位一体との関係でいえば、できるだけ個々の納税者に、国と地方の、国税に持っていく部分、地方税に払う部分はそれぞれ違っても、全体としてそう大きな変化があるようであってはなかなか問題があるだろうということでございまして、そういう考えの下で、まだ細部にわたる制度設計はこれからでございますが、補助金改革の帰趨も見ながら、その辺のことをもう少し詰めていきたいと思っております。

定率減税については、こういう個人所得課税の見直しを見ながら、経済の影響も考えて、段階的にやっていこうということで今年は二分の一縮減をお願いをしたと、こういうことでございますが、そういう流れの中で所得課税について更に設計をきちっと議論をさせていただきたいと思っているわけでございます。

○糸数慶子君 最後に、環境税の導入問題についてお伺いいたします。

地球温暖化防止のための京都議定書の発効に向けて、環境税の導入の是非が議論になっています。環境省は、我が国、国際公約いたしました温室効果ガスの削減目標、すなわち二〇〇八年から二〇一二年の温室効果ガスの総排出量を一九九〇年比で六%削減する、その目標を達成するためには環境税の導入が不可欠だと言われております。それに対して経済産業省は、省エネ対策など抜本的に強化すれば環境税を導入しなくても目標は達成できるとしています。

財務省は、環境税の意義は理解しつつも、経済や産業の国際競争力に与える影響、税収の使い方、既存のエネルギー税制とその関係を整理する必要があるとして、今のところ中立的な立場を取っているように思われます。京都議定書の発効によるこの温室効果ガスの削減意義が生まれる二〇〇八年に向けてもうすぐのところまで来ておりますが、大臣は環境税の導入についてどう考えていらっしゃるのか、御見解をお伺いいたします。

○国務大臣(谷垣禎一君) 環境税については非常に影響するところも大きい税制だと思っておりまして、私どもも非常に関心を持っているわけであります。

そこで、今、京都議定書目標達成計画というのを作ろうということで、一体その計画に何を盛り込むかと、温暖化対策等々の検討が行われているわけでありますが、要するに、この温暖化対策全体の中で税制をどういうものとしてしつらえていくのか、どういう機能を担わすものとしてやっていくのかと、単に税だけ取り上げてもなかなか答えが出ないんだろうと思います。この全体の計画の中でどうやっていくのかということが必要だろうというふうに思っているわけであります。

それで、温室効果ガス六%削減目標ということでありますけれども、個々の温暖化対策がどういう温室効果ガス削減に資するのかというのは、やはり相当具体的、定量的に専門的検討を経なければ、専門的、技術的な検討を経なければならないだろうと思っておりますが、そういうことをやっていきますときに、今委員がおっしゃいましたようなエネルギー関係のほかの税制との調整とか、いろんなことが出てくると思いますし、その税をどういう目的で使うのか、どういう効果を期待して使うのかというようなことも更に詰めていただかなければならないんじゃないかなと、こんなふうに思っているところでございます。

○委員長(浅尾慶一郎君) 時間が参っていますので、おまとめください。

○糸数慶子君 既存のエネルギー税制との関係では小泉総理も道路特定財源の一般財源化の検討について言及されていますが、なかなか進んでいない状況です。財務省としても是非、環境省と経済産業省の調整、見守るのではなくて、主体的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○委員長(浅尾慶一郎君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。

午後零時二分休憩

─────・─────

午後一時開会

その2へ続く

 

 

2005年03月18日 (金)

参議院 財政金融委員会 4号 平成17年03月18日(その2)

○委員長(浅尾慶一郎君) 平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。

質疑のある方は順次御発言願います。

○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。

冒頭、やや骨太の政策をちょっと議論していきたいなと思います。

目指すべき国の姿、そしてその財政運営はどうするかということで、今日、お手元にカラフルな資料を三枚ほど用意をさせていただきました。非常に秘書が一生懸命徹夜をして作っていただいたということで、私のオーダーが厳しいんですけれども、きちっと作っていただいたということで、これは院内のテレビの方には見れないわけですけれども、こういうものももう少し電子情報が国会の中でもう少しビジュアルにみんなで共有化できるようにすべきではないかなと思いますので、e―Japan、その中にもe―国会ということで、いい国会をするためにも是非そういう設備をきちっと設けていただきたいなというふうに思っております。

私は、政府の役割として外交、防衛を除いては、やはり公共財を最適な形で国民に提示をする、それが一つ、二つ目はやはり所得の再分配を行う、そして三番目が広い意味での景気対策ではないかなというふうに思っております。その前半のその二つについてこの二法と関連してお伺いしたいと思います。

冒頭のその国民負担率の図は何回も見ていらっしゃるというふうに思います。ここに国際競争力、国民の満足度、ジニ計数の改善度等々入れて、どういう国を我が国が目指していくべきかということについて、まずお伺いしたいと思います。

私は自分自身の政治の目標として、物理的な豊かさというのはありますけれども、私は最後は国民の満足度ではないかなと思います。自分が死ぬときにこの国に生まれてよかったかどうか、そういう尺度で考えたときに、私は国民の満足度というものをどういうふうにとらえるかというのが一つ必要な尺度ではないかなというふうに思っております。

御案内のとおり、このスウェーデンを見ますと、社会の満足度というのが七五%で非常に高いんですね。大体北欧系は非常に、負担率の高い国は満足度が高い。一方、ロシア、韓国、日本、負担率の低い国は大体満足度が低いというのが、私も定点観測でずっと見ているんですけれども、そういう傾向が表れているわけです。

いい国だから一杯お金を払うのか、払うからいい国になるのか、満足度が高いのか分かりませんけれども、私は相対的なその関係として満足度と国民負担率の関係もあるんではないかなというふうに思いますが、その辺についてまず谷垣大臣の御見解を個人の認識としてお伺いしたいと思います。私は、これは何が正しい悪いということは申し上げるつもりはありませんので、ある意味で谷垣大臣のこれからの国の在り方という考えをお伺いしたいなと思っています。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、若林委員は政治おやりになるについて、国民の満足度というものが一番大きな指標、導きの旗印になるんではないかというお考えをお示しになりまして、伺っておりまして私もそれはそのとおりだなと思います。

ちょっと表現は違うかもしれませんが、私まあ今の仕事をやらせていただいて、日本にとって今後何が問題だろうと考えると、結局二つだろうと思うんですね。非常に高齢化も、少子高齢化が進んでむしろ人口も減少してくるという中で、今後日本が活力を持って元気よくやっていくためにはどうしたらいいかというのが一つあると思います。もう一つは、エマージングマーケットといいますか、中国やインド等人口十数億の国が非常に発展してきて、かつてのように西側先進国だけで競争しているという状況でもない。そういう中で、メガコンペティションというんでしょうか、そういう中で日本がどういうところに日本の存在意義を発揮し、独自性を発揮していけるのかという、その国の中の問題と国の外でどうしていくかという、二つあると思うんですが、結局いろいろ、細かな議論は避けますが、結局いろいろ行きますと、日本の魅力を高めるということじゃないかと思うんですね。

それで、そのことは日本人からしてみると、さっきおっしゃったように、何かのコマーシャルじゃありませんけれども、日本人に生まれて良かったと思うか思わないかということだろうと思いますし、外の方から見たら、いやあ、なかなか日本というのは魅力ある国で、どうせ学問するんなら日本行って勉強したいなとか、投資をするなら日本に投資をしてみたいなと思わせるような国にするということではないかなと私考えておりますので、そういう意味では若林委員のお考えと私のねらうところはそう違いはないというふうに思っているわけであります。

それで、一方、今示された中で国民負担率と満足度の関係ということをおっしゃいましたが、そこが実はなかなかよく分からないなというのが率直なところでございまして、私の仕事で申しますと、財政の状況がこんなんだというようなことを示しますと外に向かってなかなか魅力的な国だろうとは言えないなというふうには思うんですが、じゃ、それを解決する方法として、物すごく、言わば、例えば社会保障がこれだけ増えますから、それに対して極めてもっともっと税金もたくさんいただいて、それで立て直しをしていくのか、それともできるだけスリムにしていくのかというようなところについては、これは相当議論を闘わせて、これは我々の議論は経済学者の議論とは違いますから、そういう議論をすれば必ず具体的な制度設計でどういう公共サービスを提供して、その給付と負担はバランスが取れないようじゃしようがありませんから、どこまで我慢、負担がお互いに堪えられるんだというのをチェックして進まなきゃいけないと思っておりますが、ちょっとまだ大きな政府と満足度と、負担率とその満足度というところは私ぴたっとした答えをまだ申し上げられないわけでございます。

○若林秀樹君 私は谷垣大臣の一政治家としての思いとして、やっぱりどういう国を目指したいかということも併せてお伺いしたいなと、その中に負担率との関係はやっぱり出てきますから、その中で負担率が、結果として大きなやっぱり政府も志向せざるを得ないような状況なのかどうなのかという思いで伺っているところであります。

それは後ほどまた大臣の方からのお答えで伺いたいと思いますが、その次に、一般的に負担率を高めると国際競争力は落ちるんだと、活力をそぐんだという議論があります。御案内のとおり、ここに出しましたように一番上のオレンジ色の四角のやつが競争力、去年の世界経済フォーラムの国際競争力のよく見る図でありまして、一位がやっぱり負担率の高いフィンランド、三位がスウェーデン、出ていませんが五位がデンマーク、六位がノルウェーというみんな負担率の高い国であります。これを見ますと、私はやっぱり必ずしも負担率が高いから競争力が落ちるということは私はないと思いますが、谷垣大臣の御認識を伺いたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) これもなかなか答えは難しい、負担率だけでもって競争力を論ずることができるかどうかというのは私は大変難しいと思います。それは今お示しいただいたような資料を見ましても、国民負担率の高いデンマークとかフィンランドといったような国が国際競争力で上位にはなっておりますが、一方でアメリカとかカナダとかいうようなところ、オーストラリアとかスイスと、これは相対的に負担率は高くないと思いますが、こういうところも競争力上位というところにランクされておりますので何とも申せませんが、今の私の、おまえ自身はどう考えているんだということをおっしゃいましたので、負担率ということをおっしゃる場合、議論されます場合、どちらかというと社会保障の規模をどのぐらいにしていくかという議論が背景にあると思うんですね。

それで、それはやはり国民の満足度と、どの程度のものにしていったらいいかという議論があると思いますが、もう一つこれは負担率とは違うのかもしれませんが、今の日本の置かれている課題は、やっぱり大きな中で、資金の流れの中で公的な部門がつまり資金を受け入れて使っていく、それが必ずしも民間の方に回っていかないという構造がありまして、それがまあ大きな政府と小さな政府論とは直接関係ないのかもしれませんが、日本はもう少し資金の取り手が、最大の取り手が国であるとか公的部門であるということではなかなか元気が出ないんではないかなと。もう少しこれが民間の方に流れて、それが構造改革の目的でもあるわけですが、これはいわゆる国民負担率の議論というのとはちょっと違う局面ですが、ある意味では極めて密接な関係のある議論だろうというふうに思います。

私は、大きな政府小さな政府論といいますか、むしろその資金の流れをもう少し民間で自由闊達に使えるような方向に持っていかないと今後うまくいかないんじゃないかと、それが委員のおっしゃる負担率とどういう関係に立つのかというのは自分でも十分整理できないんですが、なかなかここはデリケートな関係に立つんじゃないかと思っております。

○若林秀樹君 大臣もお考えは私と一緒だと思うんですが、負担率の高さが必ずしも経済的な活力をそぐわけではない、様々な要素の中からやっぱり競争力というのは決まってくるんだろうなと思いますので、ですから負担率が高いから活力をそぐという議論に余り乗らないでいただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

私は、これまで国民負担率の目安を五〇%ということを、過去ずっと二十数年にわたって政府は閣議決定等をしてきたわけです。私調べましたら二十三年前に当時のヨーロッパの水準が五〇%だったと、それが出てきたのかなというふうに思いますが、当時の水準が五〇%でそれをより少ない、低位にとどめるという考え方が出ていつの間にか五〇%になって、ある日突然財政赤字の分の潜在的な負担も含めて負担率だと言い始めて、どんどんそのハードルを厳しくしているんです。今は潜在的負担率を見ますと四五ぐらいですからもう五〇までほとんどないんですよね。

じゃ、五〇が根拠がある数字かというと全然根拠がないということで、一昨日の竹中大臣も、根拠はないんですとお認めになっているわけですね。区切りのいい一つの目安として、上げないような目安として置いたということでありますんで、私はやはりその根拠のない数字を置くことによる弊害というのが非常にあるんではないかなと思います。そのことが独り歩きをして、結果的には経済界から負担率を上げるなというところになり、国民から見れば上がることイコール悪なんだという状況の中で、結果的には本質的な社会の共同事業として、税とか社会保険料を使ってどうするかという本質的な議論が妨げているんじゃないかなというふうに私は非常に痛感しているわけでありますので、私は、結果的に、それが最終的に社会に対する満足度を国民に対して下げていると。その意味において、私は、アプローチとして、安易に上げろと言っていることではないんですが、五〇という定めをすることによって結果的には逆方向に私は行っているんではないかと。五〇は置きながら、もっと本質的な議論をするために、一回、潜在的負担率は除いておいてやっぱり議論することも必要ではないかと思いますが、これは非常に重要なところなんで、是非御自分のお考えでお答えいただきたいなというふうに思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) これはなかなか難しい議論なんですね。昨日も予算委員会で、あれ、どなたと議論させていただいたか、ちょっと、大勢、たくさんの方と議論しておりますので忘れてしまいましたが、要するに、事柄は、何%というような目標が先にありきということではなくて、先ほど申しましたように、具体的な本当に必要な公共サービスというの、水準は何なんだということをそれぞれ制度論を含めてきちっと議論して、一方、我々が本当に堪えられる、お互いにこれならできると思う負担の在り方は何なんだと。その二つが乖離をするようじゃしようがないので、その二つを合わせなきゃいけないわけですが、そういう議論をぎりぎり詰める必要がある、これが私は本当の議論だと思うんです。

もっとも、この議論を詰めていっても、多分私はみんなの考えはぴたっと一つのところには集まらないと思うんです。それぞれ、やっぱりその社会の在り方とか、そういうものの価値観の置き方も違いますから、それは大きな政府論者もあれば小さな政府論者もあると思うんですが、そういうことを議論をきちっとしなければ、初めに数字ありきではなかなか解決しない。こういうのは、多分そこは委員と同意見ではないかと思います。

他方、ただ、政治の現実を考えますと、例えば今社会保障負担は政策経費の中の四三・一%を占めているわけですね。昨年度は政策経費の方では四割、その前は三七%ぐらいだったと思いますが、要するに一両年の間にばばばっとこう伸びていくような状況で、これはこのままではなかなかもたないなと、それはもうみんな暗黙のうちに思っていると。それで、それをどうしていくかという議論をするときに、ある意味では、時々政治の世界は乱暴な議論もございますけれども、大体これで、よくキャップとかシーリングとかいうのもそのたぐいでございますが、一つ一つ何でこの何%とシーリング置くんだと言えば、根拠を言えと言われると非常に難しいんですが、そうやって乱暴にぎゅうぎゅう押し込んでいかないとなかなかつじつまが合っていかないという現実もあるなということで、答えはなかなか難しいと。余りちょっとクリアな答えでありませんが、そんなふうに思います。

○若林秀樹君 私も民主党の次の内閣の財務副大臣ということで、財政問題についての問題認識は共有化しているんではないかなというふうに思いますが、その上であえてお伺いしているというところでありますので、やはり、もう日本というのは、例えば知的創造立国を目指すのでも、とにかく人材が我々の財産ですから、やっぱり人々が安心できる、満足できる国の姿ということをきちっとやっぱり政治でも図って、本当にこれが必要なんだということであれば国民は私は喜んでそこは負担してくれると思うんですよね。そういう議論に行かないんですよ、こういうことを余りにも強調し過ぎることによって。そこの点について、是非、今後の財政運営に当たって御配慮をいただきたいなというふうに思います。

その上で、次に二枚目の資料をお開けいただきたいというふうに思います。

これは内閣府の試算でありまして、これをグラフに出してきたものであります。最終的に財政赤字というのが二〇一〇年代初頭にということが内閣府の試算で一応二〇一二年度になったと。その中身をグラフで表してみると一応こういうことになるということでございます。確かに、二〇一二年に財政、プライマリーバランスはゼロというか、ほとんど、〇・一ですけれども、一応均衡するということになります。ただ、これは、御案内のとおり、国と地方と合わせてでございますので、依然として国だけ見ますと基礎的財政収支は一・四%の赤字であります。  ですから、財政収支が二〇一二年度でゼロになるといっても、現実として国は赤字であると。そのときの名目成長率と名目長期金利の状況を見れば、〇・七%名目長期金利が上回っているという意味におきまして、私の計算によれば、本当であれば六・六三兆円ぐらいプラスになっていないと対GDP比の赤字の残高は増えるという計算でありますので、決してこの状況を一定に保っているという状況じゃないんですよね、これは。これは、考え方として、細かく試算すればあれですけれども、いわゆる名目金利の差をそのときの残高に掛けて割ってこういう数字が出ると。その意味においては一・〇三%の黒字が、対GDP比公債残高を一定に保つために必要だということにおいては、とても一二年度でこれ、仮にこれが達成したといっても財政赤字を克服したということにはもう全くなっていない。まだ、更に対GDP比が膨れ上がっているという状況でありますので、私のこのとらえ方が間違っているかどうか、大臣も含めてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 当面の目標が、委員がこの図でビジュアルにお示しいただいたように、二〇一〇年代初頭、この表でいえば二〇一二年にプライマリーバランスを回復すると、せめてその年いただいた税金でその年の政策を打って、ツケを先に送らないようにその部分ではしていこうというのが当面の目標であるわけです。

ただ、その後に、それだけの目標でいいのかということになれば、正に委員のお示しになったことがその次のといいますか、現在からもう既に視野に置いておかなければいけないんですが、最大の論点はそこにあるわけでございまして、名目成長率の方が名目金利よりも高ければ、その時点でもうだんだんだんだん借金の総額といいますか、そういうものは小さくなっていく方向になるわけですけれども、そうならなきゃだんだんだんだん膨れていくわけですから、その後どういう、その後といいますか、要するにこのプライマリーバランスを回復した後にどういう目標を視野に置いてやっていくかということはよく考えておかなければいけないわけで、ようやく経済財政諮問会議でもその辺りのことを少し議論しようじゃないかということになっております。

ただ、今朝ほども日銀総裁がいらっしゃいまして御議論がございましたけれども、じゃ長期金利がどういうふうにコントロールできるのかといったって、これは長期金利のコントロール自体を政策的な目標に持っていくことはなかなか難しゅうございますし、いろんな問題があると思いますけれども、ちょっとどういうことをあれしていけばいいのか、これからもう少し私どもも議論をして国会での御議論にも供せるように少し努力をしなければいけないと思っております。

○若林秀樹君 私のこの考え方にまあ間違いがないという理解でいいのかなと思いますが、もしあれば、政府参考人にもお伺いしたいと思いますが、やや気になるのは、本来であれば長期金利と名目成長率というのは一致すべきなんですけれども、例えば私が調べたところでは、九〇年代、どの国取っても長期金利の方が高いんですよね。ですから、日本が今デフレを克服して成長率を高めれば、それは成長率が高くなるということはありますけれども、あのアメリカでさえ九〇年代あれだけの高成長をし、デフレには陥っていないわけです。それでも結果的には長期金利の方が高くなるという、この全世界見てもこういう状況というのは何が起こっているのかなという単純な疑問なんですけれども、そこも含めてちょっと、うまく分かりやすくちょっと説明していただければ有り難いと思います。

○政府参考人(大守隆君) お答え申し上げます。

まず初めの債務のGDP比の動向に関してでございますけれども、一般論としては、債務のGDP比を増やさないためには債務残高のGDP比に金利と成長率の差を掛けたものよりも基礎的財政収支のGDP比が大きくなければならないという関係がございます。先生御指摘の一・〇%というのは、参考試算の二〇一二年度の諸計数からこうした考えで導かれるものだと思います。

ただ、やや技術的になって恐縮でございますが、債務に掛かる実質的な、実効的な金利は、今から申し上げます二つの理由から、そのときの長期金利に一致するとは限らないということがございます。一つ目の理由は、実際の債務の利払いは公債を発行した時点における金利によって行われるものでして、そのときの市場金利よりは後れて変化をするということがございます。二つ目の点は、実際の国や地方の債務は満期の異なる債券によって調達されておりますので、参考試算でお示ししている金利は長期金利ですので、十年物国債の金利でございますけれども、近年はそれより期間の短い国債の割合が高まっているということがございます。私どもの参考試算においてもこうした点を反映させて推計を行っているということでございます。

それから、名目成長率と金利との関係でございますけれども、これは、定常状態と呼ばれるような経済がバランスした状態ではおおむね同じぐらいになるという考え方も多うございますが、実際には、その時々の環境によって一方が他方を上回る、あるいは下回るという状況が生じると思っております。

御指摘のように、主要国の状況でございますけれども、八〇年代から九〇年代にかけては名目金利が名目成長率を上回っておりました。例えばアメリカでは、八〇年代に高インフレに対処するために金融引締めが行われておりまして、それに加えて巨額の財政赤字を抱えていたということで高金利が継続したという背景がございます。ヨーロッパでは、市場経済への移行に伴って大量の資金需要が発生したことですとか、財政赤字が増加傾向にあったことなどによって、おおむね九〇年代前半において高金利が生じたということが要因として考えられます。ただ一方で、ここ一、二年を見ますと、アメリカ、イギリスなどで名目成長率が名目長期金利を上回っているということも事実でございます。

私どもの今回の参考試算では、二〇〇六年から一〇年度までは名目成長率が名目長期金利より高くなっておりますが、一一年度以降はこの関係は逆になっております。六年から一〇年度におきましては、デフレ脱却まで金融緩和が継続されるという想定をしていることなどから、名目長期金利の上昇テンポが緩やかという結果になっておりまして、そのために名目成長率が名目金利よりも高くなっております。長くなりまして。

○若林秀樹君 事実を述べられただけで余り説明になっていないんで、やっぱりこういう状況が何を意味するかということが、この長期にわたってあるということに対する経済がどういう状況が起こっているかということについて何か御説明いただければと思ったんですが、多分、なかなか難しい状況を私は聞きながら感じておりますので、そういう回答は難しいのかなというふうに思いますが、いずれにしましても、これから財政再建に向けた道のりは長いと。これはあくまで一里塚であり、これ自体が絵にかいたもちである可能性もあるわけですから、しっかりとした財政運営をしていただきたいという指摘をして、次の質問に入らさせていただきたいなというふうに思っているところであります。

次に、税の問題にだんだん入っていきたいというふうに思いますが、三枚目の資料を見ていただきたいと思います。

これは、税収、国税ということで、平成二年度が六十・一兆円、そして今審議されている十七年度が税収が四十四兆円ということでありますので、どうでしょう、十五年たって三割ぐらい下がっているんですね。この間、様々な減税をやってきたというのは御案内のとおりです。

一方、財政の支出の分はどんどん上がって八十兆円を超え、右肩上がりと。経済規模については、鈍化しておりますが、一応上がってきてはいるという、ある意味でのまた裂き状態というんでしょうか、歳出は増え、税収はこれだけ下がっているということに対して、私は基本的にはやっぱりここまで放置してきた政治の責任というのはあるんではないかなというふうに思いますが、特に所得税、申告分も含めて激減しているという状況で、ここまでしてきたということに対して、谷垣財務大臣の政治家としての認識をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 若林委員の今のおっしゃったことは、財政が悪いというその原因にやっぱり減税をしてきたことがあるんだろうと。特に所得税ですね。それで、その減税をしたということをどう見るかということになると思うんですが。

これなかなか、さっきからお問い掛けに対して難しい、難しいとばっかり言っているんですが、やはり、例えば今年お願いしております定率減税のもう一回元に戻すというのにしましても、定率減税入れたときはやっぱり二〇%一律減税をしたわけで、当時の底の抜けてしまうような経済情勢から、私はあのとき大蔵政務次官というのをさせていただいて、当時、大臣は宮澤大臣でした。やろうと、こう宮澤大臣がおっしゃったその省議で宮澤大臣の横に座っていたわけですが、ああ、やっぱりこんなことまでしなきゃいけないのか、しかし、大臣がやろうと言ったらこんな思い切ったこともしちゃうのかと思いながら宮澤さんの隣に座っていたわけですが。

私は、一定の効果は確かにあったんだと思うんです。それで、当時の底が抜けるような経済状況を回避して、その後何とか戻していく効果はあったんじゃないかと思いますが、やっぱり後、ツケが残っているということは紛れもない事実でありますから、私は、こういうものを導入した政治の責任と問われますと、私自身も実は責任者、それは大きな責任者でございますので、どこかそれを、私はその入れたときにやっぱりどこかでこれはもう一回戻さなければいけないものだなと思っていたわけでございまして、今日その元に戻すことをお願いしているというのも、私、まあ個人のことはどうでもようございますが、一種の感慨はございます。

しかし、なかなか経済の情勢であるとかいろんな見方の中でそう簡単なことばかりではないと思っておりますが、やはり先ほど申し上げましたように、何の、どういう公共サービスが本当に必要で、どういう負担が堪えられるのかと、これはもうきちっと議論をよく積み重ねてやっていくべきことだと思います。

○若林秀樹君 まあ、これは与野党ともに私はやっぱり政治の責任というのはあるというふうに思いますので、ここまでの財政赤字をある意味では放置してきた責任に対してやっぱりきちっと今後対応していく必要があるんではないかなというふうに思っているところであります。

これを見ていつも思うのは、平成二年、四百五十兆円のGDPのときに六十兆円あった税収が、平成十七年度に四十四兆円というふうに下がっていると。今は五百兆円GDPで超えているわけで、この間様々な減税をやってきたという意味におきまして、今、十七年度の税収を平成二年度の税制体系に置き換えたときにどのくらい税収能力があるか、数字で、ちょっと置き換えてみると出てくるんじゃないかなと思いますが、ちょっとお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 一般会計税収については、平成二年度決算が六十・一兆で、平成十七年度予算は四十四兆ですから、十六兆程度減ってきているわけですね。

それで、この要因としては、平成二年当時のバブルに起因した一時的な増収がはげ落ちていったということや、そのほか、景気の低迷、累次の減税の実施と、いろいろあるんだろうと思います。このうち、その税制改正による影響分について、平成二年度から平成十七年度までにおける各年度の主な税制改正、これ増減収額を単純に合計することで試算してみますと、六兆円、マイナス六兆円程度の減収じゃないかと見込まれます。

したがって、お尋ねの平成二年度当時の制度を前提とした場合の税収については、これは今と経済の要因が違いますので確たることは申し上げられませんけれども、あえて申し上げれば、おおむね五十兆円程度ということになるのではないかなと、粗々のことを申し上げるとそういうことじゃないかと思います。

○若林秀樹君 まあバブルですから、一時的な税収が飛び抜けて上がり、特に固定資産税はこの国税には入っていませんのでその辺がよく分かりませんけれども、今でも当時の税制に戻せば五十兆円ぐらいは税収能力はあるというお答えですから、その関係においてまだ五十兆円でも財政赤字は続いているという状況でございますので、この点について、今後どういうような財政再建をこの税制という、この落ち方のグラフを見ながら、御認識とお考えがあればお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 財政再建の結局方法というのは、もうこれは言うまでもなく三つしかないわけで、一つは、出るものをできるだけ無駄をカットするということと、税金を、まあ増税をお願いするということと、それとやっぱり一番大事なことは、全体の景気が良くなって体力が高まって自然に増収が入ってくるという、この三つの組合せではないかと思いますが、税の方から申しますと、これは度々申し上げておりますように、平成十七年度、十八年度、これは平成十八年度に所得税を地方住民税へ持っていくという三位一体の改革で税源移譲をしなければなりませんので、所得税の抜本的な見直しという、所得税体系の抜本的見直しが必要だろうと思います。

それで、これをやります場合に、地方税、地方住民税の在り方と関係してまいりますが、地方住民税の在り方は、応益負担ということでありますので、住民割りをフラット化していくということを中心に考えているわけですね。それで、それに対応して所得税の方は、どちらかというと所得再分配機能をもう少し強化していく方向で考えてその組合せでやっていこうと、そういう形で平成十八年度に抜本的な所得税改革、地方住民税改革、所得課税の改革ができるように持っていこうというのが今の考え方でございます。

それから、税もたくさんございますけれども、消費税で申しますと、やっぱり社会保障の水準、これも先ほどから言っていることの繰り返しになって恐縮でございますが、どういう公共サービスが必要かというようなこと、特に社会保障との関係、社会保障には限りませんけれども、きちっと議論していって、何がどういう負担を国民にお願いすべきかということを議論していけば、恐らく消費税というものにたどり着かざるを得ないだろうというふうに私は思っておりますが、平成十七年度、十八年度のいろいろな議論の中でそれを煮詰めていかなければいけないのではないかなと思っております。

○若林秀樹君 ありがとうございます。

そういう目に見えた改革も含めてなんですが、もうちょっと長期展望で税制改革のお考えをお伺いしたかったのですが、またの機会にさせていただきたいと思います。

その意味で、定率減税についてやはり触れないわけにはいきませんので、お伺いしたいと思います。

民主党は修正案を出す予定にしておりまして、定率減税の縮減は行わないという修正案でございます。これは、民主党としても定率減税をいつかはやっぱり戻さなきゃいけないという認識はありますけれども、今は時期尚早ではないかということであります。私は、この今回の恒久的な減税の中でまず、いろんなことをこれから私に続く質問者が聞くと思いますけれども、まず、なぜ定率減税だけを選んでそれを縮減をするのかということについてお伺いしたいと思います。

過去の経緯はいろいろあろうとも、法律の一条を読む限り、私はこの九九年当時は一国民でしたので分かりませんけれども、法この一条を読む限り、個人の所得税も法人税も同列の位置付けになっておりまして、抜本的な改革をすることによってこれを戻すということでありますんで、これは私は議論の経過知りませんが、法律に純粋にのっとって見れば、当然法人課税も含めて改革しなきゃいけないんではないかなというふうに思いますが、その辺についてお伺いしたいと思います。  それから、最高税率を触れなかった、それから、特定扶養控除ですか、そこについても触れなかったということで、さっき所得再配分機能を高めると言っていますが、一方では、ここには何も触らないで、最高税率はそのまま、議論さえしていないような状況でありますので、その辺についての整合性についてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 平成十一年の税制改正では、定率減税のほかに、委員が今おっしゃいましたように、所得税の最高税率を下げていく、それから法人税の最高税率も下げていくというのをともに行ったわけでございますね。それで、当時は、この減税に関しては、恒久減税なのか恒久的減税なのかとか、いろんな政争も絡んだ議論があったわけでございますけれども、当時も、これはそれぞれの、当時の税制の議論に参加されたそれぞれの陣営でそれぞれの解釈とお考えがあろうかと思いますが、私どもはどこかで、特に所得課税の抜本的改革をやらなければならないけれども、やはりそれをやるにはまだちょっと、時間がないけれども事は急ぐねという気持ちがありまして、定率減税というのはもう一律に二〇%ばさっと削ってしまおうという、減税してしまおうという税金でございます、減税でございますから、かなりある意味では、乱暴という言葉が適当かどうか分かりませんが、景気状況を見て蛮勇を振るって、えい、これでやってしまえということであったと思うんです。

それに反して、所得税の最高税率あるいは法人税の最高税率についてはやっぱり、特に法人税率についてはグローバル化が進んでいく中で、やっぱりある程度の最高税率というものが国際的に見てこの辺だなというところでないと、結局長続きしないねというのがあったと思います。

それから、法人税の最高税率につきましても、やっぱり余り個人の税率の最高税率が高いと、当時は地方住民税と合わせますとたしか六五%ぐらいだったと思いますが、やや高いんじゃないかという感じがあって、それは将来あるべき抜本的税制改革の言わば先取りになるものだというような考え方が、これは、これ議論に参加したそれぞれの陣営でまたお受け取り方は違うと思いますが、私どもはそういうふうに見ておりました。したがって、今回手直しする場合も、言わばこの法人税と所得税の最高税率のところは言わば先取りをしたことであるから、今回は、今回というか、むしろこれはその先も、まだこれで完全にいじる必要はないかどうかは別ですけれども、あるべき税制を先取りしたものと。

それから、やはり定率減税は、さっき、えい、やっと申しましたけれども、今の非常に悪い景気状況を何とか乗り越えようと思ってやったもんだから、これは克服しなきゃならないねと、こういう考え方でございます。

○若林秀樹君 そういうことであれば、やっぱり法律の書き方も少し工夫すべきではなかったかなというふうに思いますんで、やっぱり法律が独り歩きしますから、どう見てもこれはバランスを欠いていますし、おかしいんではないかなと思います。また、個人の最高税率は触る必要はないと言いましたが、さっき所得再配分機能が弱まっていると。これを大事にしなきゃいけないということでいえば、最高税率を上げずに再配分機能を高めていこうというお考えだという認識で私はとらえますんで、よろしいですね、それで。

○国務大臣(谷垣禎一君) まだこれは十分議論が煮詰まっておりませんし、おおむねそういうふうにお考えいただいていいんだというふうに思っておりますが、まだ議論を整理しますと二つあると思うんですね。一つは定率減税、あっ、じゃない、地方住民税に税源移譲をしていきますから、そっちの方はどうしてもフラット化の方向ですから、所得再分配と相反する方向になるわけですね。その分、こういう地方住民税に移したことによって、個人個人の税率があんまり急激に変わるようでは困りますから、できるだけそれに合わせて所得税をやっていこうということになりますと、そっちの方はどうしても所得再分配機能を高めると申しますか、累進というものを利用してやっていかないと双方のつじつまが一人一人にとってもでらい合わないことになるという問題がございます。

これはだから、何というんでしょうか、三位一体との関係での議論と。あと所得課税、所得税そのものとしてどうしていくかということはまだもう少し議論を、それとは別の所得税の課題ということになりますと、もう少し議論の時間をいただきませんとまだ十分なものをお答えするだけの材料が現在私まだ十分持っておりません。

○若林秀樹君 三位一体改革の中で抜本的に改革して、そのときに累進構造も、所得税をいじる可能性もあるということなんですが、それこそ、もしそういうことをやるんであれば、その抜本改革の姿が見えた上で併せて定率減税をやるというのがこの一条のやっぱり趣旨だというふうに私は思いますので、そういうことが見えない中で、一方、累進構造云々とかいってここをいじるということは、私はやっぱりちょっと順番が違うんではないかなというふうに思います。

先ほどの資料の一枚目を見ていただきたいんですが、ここにジニ係数の改善度ということを各国別に並べてみました。改善度で日本がやっぱり少ないんですね。所得再配分機能が弱まっているということでありまして、スウェーデンというのは、所得格差があっても、改善が五二%上がっているという意味で非常に再配分機能が強いということが言えるんではないかなというふうに思います。特に、税制による所得再配分の改善度が極めて弱まっているんです、今、日本は。この二十数%の中身見ますと、そのほとんどが社会保険、社会保障制度による再分配になっていまして、どんどん税制による再分配が下がっている。これ労働省の資料によると、改善度の二〇%ぐらいは社会保障制度で、税が〇・八とか一を切っているんですね。そういう意味では最高税率を下げ、様々な減税制度をやってやっぱりゆがんできているという認識は、私は、私個人はあるんですけれども、その辺の認識とともに、やっぱり所得再配分機能をどうやって高めていくかというのはやっぱり喫緊の課題ではないかなというふうに思いますが、そういう認識はありますでしょうか。ジニ係数の改善度。

○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど三位一体との関係での所得税率、累進構造を強くする必要があるということは申し上げたわけですが、それを超えて所得税にどういう役割を発揮させる必要があるかということについては、今委員がおっしゃいましたように、日本の所得課税の水準が非常に低くなってきておりますので、税の上で所得再分配機能を果たさせるということになると、やっぱり一つ主役を負うべきは所得税であるわけですけれども、余りにも言わば所得税、基幹税であるわけですが、基幹税として税を集めてくる機能、それからもう一つ、所得税として持っている再分配機能、どちらもかなり弱いものになってきていることは私は否定できない事実だろうというふうに思っております。

ですから、そこのところの議論は必ずしも三位一体の議論とはまた別個の議論として若林委員の御指摘のところはあるわけでございまして、政府税調答申でも度々指摘しておりますが、大多数の納税者が所得税の最低税率の適用のみで済んでいるというような特異な税率構造でいいのかどうかというような問題とか、各種の非課税収入や諸控除があって課税ベースが非常に狭くなっていると、こういうようなことについてもっと議論を積み重ねて結論を出していかなきゃならないわけですが、ただ、これは累進構造、所得再分配機能というのはやっぱり一方の重要な役割ですが、他方、先ほど申しましたようなグローバル化の進展とか国民のやっぱり働く気持ち、あるいは事業意欲といったようなものも踏まえながら議論する必要があるとは思っておりますが、所得税についてはやっぱりもう一回その所得税の機能というものをどう引き出してくるかという議論をしなきゃいけないんだと思っております。

○若林秀樹君 その中で、基本的な考え方をお伺いしたいんですけれども、今、納税者、納番制度の話がまた出ております。過去も営々とこの議論はしてきたわけで、古くさかのぼればシャウプ税制のときからやっぱり垂直的な公平性を保つと、その意味において累進構造を保つんであれば、総合的な包括的なやっぱり総合課税化が必要だということをずっとやってきて、途中で崩して、利子配当課税なんて途中でやめたり、分離したり様々なことをやって今日に繰り返してきているわけですね。グリーンカードはなくなり、そして昭和六十二年、六十三年には、所得税法の改正の一部に附則として、利子配当、有価証券の課税の在り方について、総合課税化も含めて平成四年までに抜本的に考えると言っているんです。法律まで考えておいて、結果、平成四年はやらなかったんですね。そのときの理由は、やっぱり納税者番号制度ができていない、それをほったらかしておいて、納税番号できていない、インフラができていないということでまた元に考え方を戻したという、これをずっと繰り返してきていますんで、本来の基本的な考え方に戻って、今後どうしていくのか、納税者番号制も含めて、もう一度きちっと財務大臣としてのお考えを伺いたいなというふうに思っていますんで、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどの平野議員の御議論の中にもあったんですが、今、日本では少子高齢化が進展してきて、貯蓄率がだんだん下がってくるということがございますので、日本経済の活力を維持していくという観点に立ちますと、家計の金融資産、幾ら貯蓄率が低下したとしても相当なものがあるわけでございますから、それをどう効率的に使っていくかという視点は、日本の元気という点からは私は欠かせない視点だろうと思うんですね。

それで、そのために、税制では、やはり貯蓄を中心に資産運用を行っていた方々に投資を行いやすい環境をつくると。まあ貯蓄から投資へというような標語で言われておりますが、こういう観点はやはり私は推し進めなきゃいけないんだろうというふうに思っているんです。それで、そういう観点から金融商品とか所得の種類ごとにまちまちとなっている課税方式を二〇%の分離課税にそろえると、それから、金融所得の間で損益通算の範囲を拡大をやっていくと、こういう方向で金融所得課税の一体化に取り組んでいくというのが私は必要なんじゃないかというふうに思っているわけです。

それで、金融所得を、今までもいろいろ総合課税、総合累進課税というのはもう延々議論されてきたわけですが、金融所得を含めたすべての所得を総合累進課税にしていくというその考え方は、そうしますと垂直的な公平は確かに確保されるんだと思いますが、そういう投資というものを進めていこうという観点に立って考えますと、同じ金融商品について税引き後収益の納税者間の差異が生ずることによって中立が損なわれないかとか、あるいは海外などへの資金シフトといった影響が予想されるのじゃないかといった点をやはりどうしていくかというような議論を詰めていかなきゃいけないのじゃないかと思います。

それからもう一つ、納税者番号制度についてお触れになりまして、今度の国会でも随分納税者番号制度についてはいろいろ御議論があると思うんですが、これは総合課税との関係という論点だけではなく、金融所得の課税方式との関係をどうするか、それから、もちろん税務行政の効率化、高度化といった観点からは私は相当な効果があると思うんです。

それから、適正公平な課税という意味でもいろいろ意味がある制度だろうと思いますが、あと、番号を活用した簡易な申告手続の導入といった、納税者利便の向上というようなことを政府税調でもいろいろ今まで議論していただいてきたわけでございますけれども、他方、そういったものにかかわるコストとか、あるいは今までなかなかできなかったことの一つはやっぱりプライバシー問題というようなことがありまして、ここは相当まだまだ議論が必要なんじゃないかなというふうに思っております。

○若林秀樹君 もうその議論はずっとやってきたんですよ、もう。その上でお伺いしているんで、今後、総理もいいじゃないかと言っているんで、今こそもう納税者番号制度の制定に踏み込むべきだというふうに思います。

その今おっしゃった議論は全部これまで言ってきたんです。あとは決断だけなんです、政治的な決断だけなんです。谷垣大臣の政治的な決断、お言葉を聞きたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) いや、議論は確かにたくさんございました。決断だけでできるなら簡単でございますが、やはり何のためにこれを設けるのかということについては、まだ私は決断だけと言うには相当やっぱり、これをめぐる利害状況と申しますか、利害状況と言うと言葉悪いですね、やっぱりどういう制度を目してこれを入れていくのかということについては、まだ相当意見は分かれているというふうに私自身は思っております。

だから、そこらを詰めないと、えい、やっというだけではなかなかいかないという、ちょっと煮え切らない答弁でございますが。

○若林秀樹君 そういう答弁もずっとこれまでやってきたんで、それは政治的決断して、そういう細部にわたって様々な論点をきちっとここへ収れんさせていかなきゃいけない。その気持ちがあるかなんですよ。そのお気持ちはあるというふうに私は理解しましたんで、是非よろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。

時間がないんで、最後、サラリーマンの確定申告について伺いたいと思います。

もうこれも御案内のとおり、源泉徴収が一九四〇年のときに戦費調達の中で出てきて、結果、シャウプ税制勧告もこの源泉徴収、年末調整はおかしいんじゃないかという話があって、結局申告納税制度に戻って、過去の経緯あったんですが、結局今日まで年末調整は続いているわけですね。形としては申告納税制度になっているんですが、年末調整ということを入れることによって結果的にはそれは事実上なっていないと私は思っているわけであります。

私は、やっぱりこれを、年末調整はなくして、自ら、個人がやっぱり確定申告をするということが政治的にも非常に重要ではないかなというふうに思っております。

例えば、特定支出控除というのがあるんですが、給与所得控除が非常に高く引かれているんですね。サラリーマンは確定申告で年末調整しているからこんな給与所得控除があるなんて全然思っていないわけです。せっかく特定支出控除があって、研修費とか通勤費とか移動費とか、様々な控除ができるにもかかわらず、これ調べたら、四千数百万人給与所得者がいて、特定支出控除を利用したのは十人です。たったの十人であります。そういう制度があることさえ知らないんであります。

私はやはり、税制民主主義の確立、あるいは国民が税金の無駄遣いをやっぱりなくすというその監視する力を付けるためにも、そして何よりもやっぱり税制の政策の効果を現すためにも、私は年末調整というものをなくして確定申告にすぐすべきだというふうに思いますが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

○副大臣(上田勇君) お答えをいたします。

最初に、特定支出控除の話がございまして、これは委員がおっしゃったように、平成十五年、まだ十人しか利用している人間がいないということでありまして、その理由については、余り周知されていないという面もあるのかもしれませんが、もう一つは、やはりサラリーマンの給与所得者の経費というのはどういうものが該当するのか、あるいは、今、給与所得者につきましては相当給与所得控除の部分で控除が認められておりまして、果たしてそれを上回る、実際にそういうのを積み上げていったときに経費に相当するものがどれだけあるのかというようなことを考えると、数が少ないというのは、今の所得控除が結構大きな割合を占め、持っているからということもあるのかもしれませんし、また実際にそれを積み上げていく労力といったものというようなことの関係があるのかもしれませんが、いずれにしても余り利用されていないというのは事実であります。

年末調整ですけれども、これは正に今おっしゃったとおり、年末調整がありますと、本来納税すべき税額、これはもう年末調整で精算されますので、実際に最近は確定申告を利用される方が増えているとは言われておりますけれども、それでも大体の給与所得者の場合は年末調整で終わって確定申告をする必要がないという制度となっております。

この年末調整制度というのはある意味で簡便な納税制度だと、手続が簡略化をするというメリットもあるわけでありますし、そういう納税者あるいは行政側の合わせたそういう社会的な費用を、何というんですか、節約するという意味から、という意味もあるんではないかというふうには思います。

そういう意味では、政府税調ではこの年末調整の制度を今後とも継続すべきではないかという意見でございますが、ただ、今おっしゃった、委員がおっしゃったように、やっぱり納税、給与所得者についても納税意識をやっぱり持っていただく、税金の在り方について意識を持っていただくというのも非常に大きな意義ではないかというふうに思いますし、また、その特定控除を使われる方が余りにも、十人というのもほとんどゼロに近い話でございますので、こういった状況というのはやっぱり制度としていかがなものかというようなこともございます。

そういう意味では、これからもその特定支出控除の範囲等についても検討する必要がありますし、また、今の申告納税の制度はやっぱり電子申告も増えているわけでありますので、そういった手続やそういう方法も、申告手続も簡便化する、そういった環境整備であるとか、あるいは税務署の体制の整備、そういったことも含めて考えていかなければいけないことだろうというふうには思っております。

そういう意味では、更にこの確定申告、全部を確定申告で義務付けるというようなことというのはいかがかとは思いますが、もう少しそれを使ってもらえるような形、それをやはりいろいろな、今申し上げましたいろんな総合的な検討の中で更に議論を深めていく必要があるんではないかというふうには思っております。

○若林秀樹君 やるのかやらないのかはっきりしないようなお答えでしたけれども、非常に、多分おっしゃっていて矛盾を感じられていたんじゃないですか。

特定支出使わないというのは、やっぱりこれは年末調整があるからやっぱりやらないんであって、そんなわざわざ税務署行ってそんなやらないですよ。だから、やっぱり年末調整はやめる。それはやっぱり企業がコストを負担しているんですよ、これは。本来はやらなくていいことをやっぱりやっているわけで、一方、やっぱりe―Japanというんであれば、電子申告制度をきちっとやっぱり整備すれば今の税務署の職員数を大幅に増やさなくても私はできると思いますし、現実にアメリカではそういうことをやりながらそんなに多くない人数でやっているわけですから、私はこれもまたやっぱり政治的な決断ではないかなというふうに思いますんで、是非またこれは引き続きまたやっていきたいと思いますし、勤労者の集まりや連合もこの完全な申告納税制度というのは政策に置いていますんで、むしろ彼らがやりたいと言うわけでございますんで、是非また御検討をいただきたいと思います。

八分までですが、最後、NPO法人に対する優遇税制、ちょっとお伺いする時間がないんですけれども、今回の民主党の修正法案の中に含めていますんで、パブリックサポートテストなり、その緩和を緩めるということで、今回調べたら、二回、前回、二年前にそのNPO、この認定、NPO法人のサポートを少し緩めたんですが、今三十ですかね。ほとんど増えていないんですよ。

私はやっぱり、これからの日本社会の在り方を考えれば、本来政府がやってきたことをNPOがやることによってやっぱり社会的なコストを下げる。そのことによって税収が下がっても、社会的コストを下げることが大きければ大きくやっぱり社会の在り方をダイナミックにやっぱり転換できるんではないかなという、そういうダイナミックな考え方も是非財務省としても取り入れていただきたいなというふうに思っているところであります。

今日お話しした話は、国の在り方、そして財政再建、それをどうするのかということであります。私は、スウェーデンの例を挙げましたけれども、決してスウェーデンがいいと言っているわけではありません。まずやっぱり国の在り方をどうするか、税金と保険料を使って社会の共同事業をどうするかという本質的な議論にいっていない、そのことに対しての私は最大の危機感を感じていますし、これからいろいろ税の話が出てくると思います。そのときに一番重要なのはやっぱり政治の信頼度ではないかなというふうに思っておりますんで、その政治の信頼度を我々の尺度に当てはめれば、政権交代がやっぱり必要だと、そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。

大臣始め皆様方、長時間お疲れさまでございますが、もうしばらくお付き合いをしていただきたいというふうに思います。

私はまず、この平成十七年度の予算案に対する評価についてお伺いをしたいというふうに思います。

谷垣大臣は今回の予算案につきまして三つの改善がなされたというふうなことを強調をされているわけであります。一つは一般歳出の削減、もう一つは国債の新規発行の減額、そして三つ目はプライマリーバランスの赤字縮小ということでございます。

大臣、先日、広野委員の十七年度予算案について点数を付けると何点だと思われるのかという質問に対しまして、点数は言わずに、比較的できのいい予算というふうに評価をされたわけでございます。

そこで、先ほど来議論のございましたように、これからの国債等の発行の規模にいたしましても、また定率減税の縮減の是非等にいたしましても、一つの判断材料といたしまして、やはり国のスリム化といったものが国民の皆様から見て本当に進んでいるのか。その意味で、一般歳出の削減について、予算編成方針の下でどのように立てられて、実際どうなったのか、このことについてまず大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 一般会計歳出削減、何をやったのかというお問い掛けですね。

それで、これは平成十七年度予算、これは歳出改革路線を堅持、強化するというのが一つの目標でございました。具体的には、高齢化の進展がございますので、社会保障関係を中心とする義務的経費はほっておくと一・三兆、自然増の増加圧力があるわけで、先ほど、一般歳出について三年ぶりに対前年度比マイナス、これは〇・三兆円マイナスにしたわけでございますが、その背景にはそういう自然増を圧縮していくというのがなければできなかったということがございます。それで、社会保障関係はそういうことでプラス二・九%ということでございました。

それからあと、我が国の経済の活性化とか将来の発展ということを考えますと、科学技術振興費はこのところずっとプラスにしております。これはプラス二・六%ということでありますが、そのほかは、主要な経費については、三位一体とか防衛、公共事業など、どこも相当切り込んだということではないかと思っております。文教費はマイナス六・七%、それから防衛関係費はマイナス一%、公共事業関係費はマイナス三・六%、そういった社会保障と科学技術振興費以外はすべて対前年度マイナスだということでございまして、先ほど申し上げたような結果をつくるためにはそういうことをやったと。

結局、今後の課題となってまいりますのは、これも度々申しますように、四十数兆の一般歳出のうち四三・一%、二十兆が社会保障ですから、社会保障を更にどうしていくかということがございますし、引き続き、三位一体等、国と地方の関係も見直しの大きな項目であることは事実でございます。

しかし、他方、ちょっと先に言ってしまうかもしれませんが、他方、平成十三年度から平成十七年度までの予算を見てみますと、社会保障については恐らく、ちょっと今数字が手元にありませんが、一七、八%は全体で伸びていると思いますが、ほかの経費は軒並みもう数年前に比べると二〇%減ったとか十数%減ったとかいうことでありますから、もう社会保障の伸びとあとのところのこの抑え方というものにもう画然とした差が、はっきりとした特徴が出てきておりまして、このまま推移すると財政全体のバランスも非常に悪いものになってしまうと。回すべきところにもなかなか回らないという状況も一方でございますから、そういう無駄なところは徹底的に締めるということは必要でありますが、同時に、歳入面からの視野も併せて持っていかないと、全体のバランスが非常に悪くなってくるかなと思っているところでございます。

○広田一君 どうもありがとうございます。  大臣の冒頭の部分の説明の中で、確かに一般歳出は、平成十七年度予算編成のポイントということを見させていただいても、社会保障関係費等の増加圧力の中、この御説明がございました、三位一体の改革、これもございましたけれども、またいろんな削減努力の積み重ねによって三年ぶりの対前年比のマイナスを達成というふうにあります。確かに、四十七兆二千億円と三千四百億円余りのマイナスというふうになっているのは事実でございます。  しかし、私は、本当に先ほど来大臣がおっしゃったように、徹底的な無駄等を省いた一般歳出の見直しがされたのかどうか、このことについて甚だ疑問な点がございますので、以下質問をさせていただきたいと思います。  まず、数字の確認なんですけれども、先ほどのお話の中でありました三位一体の改革、この中で、引き続き一般歳出に当たるものが交付金化の改革になると思うんですけれども、これを除きました税源移譲に結び付くものと、国、地方を通じたスリム化、この合計額は一体幾らになりますでしょうか。

○政府参考人(杉本和行君) 数字でございますのでお答えをさせていただきます。  十七年度予算編成の一般歳出の増減の中で三位一体改革の税源移譲につながったものが約一兆一千億円でございます。それから、三位一体改革による地方向けの補助金等のスリム化、これが三千億円でございますので、両方合わせますと約一兆四千億円ということになります。

○広田一君 御答弁のとおりで、一兆大体四千二百五十億円ということになると思います。この部分につきましては、義務教育の国庫負担金は十六年度と比べて一五・八%減額されているというふうに、ということで計上されていますように、三位一体の改革に伴う一般歳出の削減分であるというふうに考えられるわけでございます。

それから、先ほどの大臣の御説明の中にございましたように、そうは言いながら、もう社会保障関係経費というのはどうしても増加せざるを得ないと、その部分が五千八百三十八億円あるわけです。これらは仕方ないとして、先ほど言いました一兆四千二百五十億円から五千八百三十八億円を引きますと、これが八千四百十二億円となります。つまり、この数字というものは、単純に、最低でもこのくらいは今年度の予算案において一般歳出のカットとして自動的に可能であったんじゃないか。しかし、実際は、出てきた数字は三千四百九十一億円の削減にとどまっているわけでありますけれども、これは一体どうしたわけでしょうか。御説明をお願いします。

○政府参考人(杉本和行君) 概算要求基準時点で見込みました義務的経費の増、これが九千六百億円ございました。うち、社会保障関係、年金、医療等の増が八千六百億円でございます。それに概算要求基準時に社会保障改革によって削減することとされました自然増が二千二百億円ございました。それから、概算要求のときに、例外事項といいますか、予算編成過程で検討するということになりました事項、これが年金国庫負担の定率分とか、それから障害無年金者に対する措置だとか、それから年金事務費の関係、こういうものがございまして、これが合計で一千四百億円ございました。

したがいまして、今申し上げました概算要求時における義務的経費の増、それから社会保障の削減されることとされた自然増、それから概算要求基準の例外事項、こういうものを合わせますと、合計一兆三千二百億円でございました。

それに対しまして、今申し上げました三位一体関係の税源移譲関係が一兆一千億円強、それから三位一体関係が三千億円。したがいまして、その他の削減努力を二千四百億円やりまして、その結果といたしまして、対前年度一般歳出の関係で三千四百九十億円の減が達成されているというふうに私どもは分析しております。

○広田一君 御説明の中で概算等のところからの積み増しのお話等があったわけでございますけれども、私が問い掛けたいことは、確かに社会保障関係でいろいろな御努力をされたというお話なんですけれども、結果といたしまして、三位一体改革絡みでは、そういった御努力の中でもどうしても増えざるを得なかった社会保障関係分の五千八百億円というものを差し引いても、結果として三位一体の絡みで一兆四千億円が一般歳出からこれ自動的にカットされるわけでございますので、どうしても単純にやりましても八千億円、八千五百億円近くのこれは歳出カットが元々できたのではないか。しかしながら、現状では三千四百億円余りにとどまってしまっていると。

つまり、その五千億円近くというのが実質的には一般歳出の増加分に当たるんじゃないかなというふうに思われますけれども、そういった視点での疑問についてはいかがでしょうか。

○政府参考人(杉本和行君) 一つ申し上げたいのは、概算要求時には織り込んでおりませんでして、予算編成過程で検討すべきだとされたものがございまして、それが先ほど申し上げました年金の国庫負担の、基礎年金の国庫負担の引上げだとか無年金障害だとか年金事務費とか、そういうものがございます。そういうことが一点ございます。

それから、予算編成時におきまして、やはりその義務的経費が一体どれだけになるのかということを社会保障の自然増等に対して見込んだわけでございますが、その概算要求時点で削減したものもございまして、それが先生のおっしゃった社会保障関係予算、結果としてそうなったということでございますが、本来のその自然増から考えますと、削減努力をいたしまして落としてきたというところがございますので、その努力も織り込んでいただかなきゃいけないんじゃないかと思っております。

それから、予算編成時に向けまして、例えば社会保障関係費につきましてもいろんな概算要求時からの見直し等がございます。具体的な自然増の計数とか見直しがございます。そういう努力を織り込んでまいりまして、今申し上げましたように、全体で義務的経費の増が一兆三千億円ございまして、それに対しまして三位一体改革のマイナスが一兆四千、それ以外の努力で二千四百ございましたというのが、私たちが全体の予算を概算要求時、それから概算要求時の例外事項になったもの、概算要求時からいろいろ変化があったもの、そういうものを織り込んで分析しているところでございます。

○広田一君 じゃ、その社会保障関係についてちょっとお伺いをしたいんですけども、確かにそのような積み上げの自然増分をいろいろな見直しで縮減していったというお話なんですが、けど、その大本は都道府県に対する国民健康保険の負担分の移譲、その額が実際は大宗を占めていたんじゃないかなと。本来だったら、先ほどのお話のように、一兆円ずつがこの五千億円台でとどまったというのはまさしくそこが占めているんであって、おっしゃるところのいろいろな努力はされたとは思うんですけれども、結果的にはその部分が非常に大きかったんじゃないかなというふうに思うんですけども、いかがでしょうか。

○政府参考人(杉本和行君) 三位一体改革の中で、国民健康保険の関係で地方に、三位一体改革で国から地方へというのがございまして、それが非常に大きな要素を占めているということはおっしゃるとおりでございます。

私どもは、これも全体の制度改革の中の一つの大きな要素だと思っておりますが、それ以外にも介護保険制度の改革、それからその他いろいろ、生活保護の一部見直したりいろんなことをやっておりますので、そういうものを合わせたものの結果として社会保障関係費が申し上げているような数字になっているようなものでございまして、確かに国民健康保険の制度改革は非常に大きな要素でございますが、それ以外にも今申し上げましたように介護保険改革、その他福祉の面、いろいろ改革を積み上げた結果が申し上げたような二・九%という増加額になっているということでございます。

○広田一君 それでは、ちょっと視点を変えてこの一般歳出の削減分についてお伺いをしたいというふうに思いますけれども、先ほどの大臣の方の御説明のとおり、実際、先ほどの社会保障関係費と科学技術振興費、こういった除く費用につきましては軒並みマイナスで、十七年度の一般会計歳出概算主要経費の内訳を見ましてももう三角だらけでございます。確かにそのとおりなんですけれども、しかし一方で、予算編成段階においてめり張りを今後付けていかなければいけないということで、十六年の十二月三日に閣議決定をされました予算編成の基本方針、この中で重点四分野というものを掲げられております。

それは、人間力の向上、教育関係であるとか、あと魅力ある都市と地方の形成であるとか、少子高齢化対策、そして地球環境問題への対応と、こういうふうなことで四項目を掲げて、それに対してめり張りのある重点化をしていこうというふうなことで、私はやはりこの部分が結果的に、めり張りという名の下において結果として、本来、先ほど申し上げたように、もっと一般歳出の削減ができたんだけれども、結果として削減率が圧縮された要因になっているんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(杉本和行君) 先生がおっしゃるように、四分野に対して予算の重点的配分ということを心掛けて十七年度予算編成は行われております。

人間力の向上に関しましては、大学改革の一層の推進だとか若年者雇用対策の推進だとか、こういったところはそれぞれ予算の増額をさせていただいております。それから、公平で安心な高齢化社会対策につきましては、少子化対策といたしまして保育所経費の増額、保育所運営費の増額だとか、健康フロンティアという形でいろんな予防的な措置、こういうところを新規で増額したりしております。それから、個性と工夫に満ちた魅力のある都市と地方ということでは観光立国の実現だとか、中小企業の創業への支援、こういうところも増額させていただいております。それから、循環型社会の構築等についても、脱温暖化社会の構築ということで増額をさしていただいています。

そういう意味で、おっしゃいますように、主要経費別に見ますと、先ほど大臣から御答弁ございましたように、社会保障関係費と科学技術振興費がプラスでございますが、それ以外のそれぞれの経費の中身を見ていただきますと、文教科学だとか文教費の中におきましても、中小企業関係費の中におきましても、それから公共事業関係費の中におきましても、それぞれめり張りを付けさしていただいているところでございまして、それぞれの経費の中身でめり張りを付けました結果、最終的な姿として一般歳出がマイナスになっているということは先生の御指摘のとおりだと思います。

○広田一君 済みません、もし数字が分かれば教えていただきたいんですが、その四つの分野のめり張りを付けためりの方になるのか張りの方になるのか分かりませんけれども、増加分は一体お幾らになるのか、概算で結構なんでお示しをいただきたいと思います。

○政府参考人(杉本和行君) それぞれの施策につきまして、例えば人間力の向上でございますと、大学改革の推進につきましては五百三十三億円で一八%増にしておりますとか、若年者雇用対策でございますと、三百七十四億円といたしまして二四%の増としております。それから、少子化対策でございますと、保育所運営関係費で二千七百九十六億円で、これ五%の増。健康フロンティアでございますと、マンモグラフィーで三十九億円、日常生活圏域の介護予防拠点の重点整備で二百二十五、これは新規でございます。それから、個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方ということでございますと、観光立国の実現ということで、これは三十八億円で一一%の増。中小企業の創業支援につきましては、百五十八億円で三九%の増。循環型社会の構築、地球環境問題への対応でございますと、脱温暖化社会の構築で二百三十億円で、これは八六%の対前年増になっておりまして、こういった個別の施策の数字はございますが、最終的にそれぞれ足し上げて幾らというところは今のところまだ集計しておりません。

○広田一君 そういったお話を聞いたときに、確かにこれから時代に合った重点化というものはしていかなければいけないというふうに思います。そうした中で、めり張りを付けた予算編成というものが私は大事なことだろうというふうに思います。

ですから、その一方で、いろんな意味で、国そのもの自身として時代に合わなくなった、不要となったそういった事業を、まあ使い古された言葉ですけれども、スクラップ・アンド・ビルドですか、こういうことをすることがやはり重要だったんじゃないか。で、今回の予算編成においてその視点が欠けていたがために、実際、一般歳出が削減というふうになったんですけども、その削減率というものが圧縮をされてしまったんじゃないかなというふうに考えるわけでございます。

それとちょっと関連してお聞きしたいんですけれども、小泉総理は、参議院の本会議の答弁等でも強調されていることに、財政健全化のために歳出の無駄を徹底的に排するというふうなことをおっしゃっております。そうした視点で一体幾らの無駄を今回の予算編成において排したのか、その数字が分かればお示しをいただきたいと思います。

○政府参考人(杉本和行君) 歳出改革の中で具体的にどういうことをやったかということでお答えさせていただきますと、例えば社会保障関係費でございますと、先ほどありました介護保険制度の見直し、これにつきましては、十七年度予算ベースで、国庫負担ベースで申し上げますと四百二十億円の削減になっておりますし、これは平年度ベースにいたしますと約千億円の削減になっております。給付費ベース、社会保障給付のベースで申しますと、初年度千三百十億円、平年度三千億円といったことになってございます。

それから、その他、例えばいろんなところで、スクラップ・アンド・ビルドというお話もございましたので、例えば省庁を超えた交付金の創設ということで、地方の自主性、裁量性の向上と地方再生の観点から、汚水処理等の補助金を内閣府の下で一本化するような地域再生交付金を創設してございますが、これはいろんな経費をまとめまして八百十億円創設するといったこともやってございます。

それから、細かいところに参りますと、その事務コストの削減ということで、航空割引運賃の活用だとか公用車の効率化、台数削減、こういうこともやってございますし、事務運営の見直しということで刑務所等の実施業務の効率化ということもやってございます。これは八億円の効果があったと考えております。

その他、国税庁の電算システムをオープンシステム化して維持費を減らしていくとか、庁舎の割当てを見直してオフィスを民間賃貸ビルより庁舎内の空きスペースに移転するだとか、こういったこともやってございますし、歳入の方の対策といたしましては、細かいことでございますが、国有財産の売却促進だとかそういったこともやってございますので、いろんな、細かいところから大きな制度に至るまでいろんなところに目くばせしながらできる限りのスクラップ・アンド・ビルド、効率化を図った結果が今申し上げている最終的な姿になっていったと考えております。

○広田一君 どうもありがとうございます。  そうした中で、少しちょっと分かりやすいところでお伺いしたいのが、さっきの三位一体の改革の関係で、一兆四千億円の結果として国庫補助事業等がなくなったわけなんですけれども、このことによって、それに伴う経費の削減であるとか、そして将来的には人員の整理であるとか、これはもう一兆四千億を超える事業がなくなるわけですから、こういったことが国のそのようなスリム化にどのような貢献をされるというふうにお考えなのか、教えていただきたいと思います。

○政府参考人(杉本和行君) 一兆四千億円のうち、義務教育国庫負担金それから国民健康保険の関係、そういったものは、義務教育国庫負担金の場合は、国庫負担から今暫定的な形で税源移譲予定交付金という形で地方に配付されるということになると思っております。それから、国民健康保険の場合は、国で見ておりました経費のうちの一部が地方に移管されますので、地方の方で全体として医療の地域間格差をどうするかとか、医療の効率化をどうやって図っていくのか、そういうことが、いろいろ考えながら経費が地方の方で措置されることになると思っております。

それから、その他、養護老人ホームの関係とか、個別の補助金の一般財源化がございますので、そういったものにつきましては、地方の創意工夫、国で一律的にやっているよりも地方の創意工夫がいろいろ勘案される場面があるんだと考えております。  それから、十七年度で申しますと、公共投資関係の補助金の交付金化が三千四百億ございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたような、補助金が交付金化されるということによって非常に大ぐくりになり、かつ地方の裁量が増えたような事業が実施されるんではないかと思っております。

それから、スリム化の関係でございますが、これにつきましては、スリム化いたしましたので、その分の事業費がそのまま減っていくことになっておりますので、思いますので、全体としての国、公の部分がやっていく事業が減っていくということにつながると考えております。

○広田一君 私は、そういうことを通じて結果的に人員的にとか経費的にどういった削減があるのかというふうな質問だったんですけれども、じゃ、この一般歳出の削減努力についてるる御答弁をいただきましたが、確かに国の方も努力をしているというふうなことは、私も一定、御答弁等で理解をすることができました。

しかしながら、金額的にも結果的に見ましても、今回の十七年度予算案に占める一般歳出の削減はやっぱり地方頼みの結果であったんじゃないかなというふうに言わざるを得ないというふうに思います。やはり、その部分が大宗を占めた結果、歳出削減が可能だったんじゃないか。ということは、逆に言えば、今後三位一体の改革等が一段落をしたときにいかにして国の一般歳出の削減といったものに取り組んでいくのか、非常になかなか難しい問題が出てくるんだろうなというふうに考えます。

そうした場合に、やはり今回のことを見たときには、冒頭申し上げましたように、いろんな社会保障の歳出アップの圧力とか、それに対していろいろな取組をした、また個々細かいことを積み上げながら歳出削減努力をしたということなんですけれども、私は、結果としては何か、四点の重要分野に対する増加とかそういうことを見ると、まだまだ切り込みが足りない部分があったんじゃないかなというふうに思うわけでございます。

そして、ちょっと次に移らさせていただきたいと思いますけれども、これも一般歳出削減の関連なんですが、このことのまた評価についての関連なんですけれども、先ほども申し上げたように、単に、前年度と比べてとか過去と比べてというふうなお話ももちろん重要なんですけれども、いろいろな視点で比較をすべきだろうというふうに思います。

例えばその一つが、実際に財務省さんも総務省さんも行っておりますけれども、地方財政との比較だろうというふうに考えるわけでございます。地方全体との比較等はされておりますけれども、私自身がすごい非常に気になることが、財務省さんの方は、例えば経済財政諮問会議に提出した資料の中で、地方財政は国民の皆さんに対してアカウンタビリティーを損なっているというふうな趣旨のことを提出資料の中で述べられております。確かに地方も無駄な歳出があるということはもう事実で、率直に認めなければいけないところもあろうかと思います。しかし、事一般歳出の削減努力ということを見れば、国に勝っている地方自治体というものが多いんじゃないか、特に財政力指数の低いEグループに属しているところなんかは私はかなりの努力をしているんじゃないかなというふうに思います。

私の出身である高知県の例を引いて恐縮なんですけれども、これと、うちの県と国の一般歳出の推移を比較しますと、平成五年を一〇〇とした場合に、平成十七年度の予算案時点で高知県の場合はマイナス二六・六ポイントです。対して、国の方はプラスの一八・五ポイントというふうになっております。もちろん、国と地方との、単純に比較することはできませんし、規模も違えば歳出の内容もおのずから違ってくるわけです。しかし、繰り返しになりますけれども、歳出の削減努力ということを考えたら私は一つの目安となるのではないかなというふうに考えております。

国、特に財務省さんが、地方財政はアカウンタビリティーを果たしていないとか、地方交付税絡みでモラルハザードを起こしていると言うのは結構なんですけれども、一方で、地方の努力、個々の県の努力とか取組についても評価すべきところは評価して、また学ぶべき点は学んで、このこと、そういう姿勢が、結果として財務省が目指す国、地方を通じたスリム化というふうなことの推進につながるんじゃないかと思いますけれども、谷垣大臣の御所見をお伺いします。

○国務大臣(谷垣禎一君) 広田委員がおっしゃることはよく分かるわけです。

私が確かに経済財政諮問会議の中で、地方財政、アカウンタビリティーが足らない、透明度が足らないというようなことで問題提起をしたのは事実でございます。

それは、主として申し上げますと、私ども財務省が地方財政に関与します分は、地方財政計画の策定、そしてそれに伴って歳出と歳入のギャップがあれば、当然、特例加算やそういったもので対応するわけでございますから、私たちが関与するのはそういう場面でございます。

あのとき主として申し上げたことは、一つは、単独事業の投資的経費のようなものは計上されているよりも後から決算が出てくると相当低くなっているけれども、必ずしも、低く積んであるのに高く計算してあるところもあって、そこのところの乖離があるではないかということを申し上げたのが一つであります。

そこもいろいろ議論が当然あるんだろうと思いますね。余り、それぞれの自治体の自治というものがある中で、余り細かに国が裁量をするようなことは果たしていかがかという御批判も私は当然あるんだろうと思います。ただ、足らないところを特例加算なんかで入れていくということになりますと、ある程度その背景に合理的な説明がないといけないと。そういうようなことをもう少し改善してほしいということを申し上げたわけで、今日は政務官がおいででいらっしゃいますが、大分この今度の予算ではそういった辺りの透明性というようなことも意を用いていただいて、私どももお認めし、それでいこうと、まだ緒に就いたばかりでございますけれども。

そういった意味での、何年かたってみて、地財計画のその算定はそう大きく乖離が、決算が出てきたら物すごく大きな乖離があったというようなことではやっぱり説明責任にならないんではないかという気持ちは今でも持っておりまして、今後とも、総務省もそこは非常に御努力をいただいておりますけれども、今後ともそういうところは、なるほど決算をやってみたら割合ぴたっと合っていたという、それは完全にぴたっと合うということはないわけですけれども、かなりそこのところはえらい乖離があったなということではなかったんだなというようなことを目指したいと思っております。

○広田一君 確かに、地財計画から見てのいろいろな御指摘であったというふうに思います。

地財計画から見て、けど、実際の何か無駄遣いについては非常に事細かな具体例を挙げられて、ペットの避妊云々とかいうふうなことがあったんですけど、私はだけど、大きなところからいきなり事細かなところまで視点が行くんであるんだったら、そこの中間かどうかは分かりませんけれども、各県の取組ですよね、実際問題になっているのは地方財政計画と各県なり市町村なりが予算編成するときに実態との乖離が相当あると。それと同時に、地方財政計画を、確かに地方もそれを見ながらいろんな予算編成しているんですけれども、現実的には財政力の弱い、厳しいところであるほど非常に私は削減努力をしているということを是非大臣に御理解をしていただきたいですし、ここがやはりしっかりお互いが信頼関係、つまり地方の歳出削減努力といったものについても評価すべきところがないと、繰り返しになりますけれども、国、地方を通じたスリム化の推進というところでお互い一致協力してできなくなるんじゃないか、そういったところはやっぱり都道府県の、四十七しかないわけですから、そこの取組については個々是非分析をしていただいて、評価をしてもらいたいなというふうに思います。

そこで、ちょっと提案になるんですけれども、そうした中で、是非財務省の若手の方々だろうか、中堅の方だろうか、ちょっと分かりませんけれども、そういった方々に是非地方の方に出ていっていただいて、地方の予算編成といったものに携わっていただきたいと。このことによって、地方の無駄遣いといったものも改めて分かることもあろうかと思いますけれども、一方で、やはり自分たちがちょっとマクロから見たところでは見えなかったいろいろな地方の苦労、努力といったものもまさしく実感として感じられると思いますので、そういった地方自治体との人的交流、今もやっているというふうにお聞きするんですけれども、そのことを拡大をすべきじゃないかなというふうに思うんですが、大臣の御所見をお伺いします。

○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに今、広田委員がおっしゃいましたように、相互の理解を持ってやっていかないと進むべきものも進まなくなってしまうということがあると思います。

それから、私ども財務省が予算をつくるに当たりまして、その地財計画についてかなり言わば具体的にと申しますか、細部までと言うとちょっとまた地方自治との関係で問題があるんだろうとは思いますが、かなり細かに見ていこうというようなことができるようになりましたのも比較的最近のことでございます。

で、それはなぜそういうことができるようになったのかと申しますと、今、広田委員の御提案のように、財務省からもそれぞれのその自治体に出向して、いろいろ地方財政のことを勉強さしていただく機会がございまして、そういうようなことが多少蓄積してきたということもあるわけでございます。

ですから、今後とも、地方公共団体との間の人事交流については、今言ったような相互理解の促進とか、私どもも人材を育成していく上で意味があると思いますし、組織の活性化という点でも意義があると思います。特に、三位一体をあれとして、こう地方分権が進んでいく場合には更にそういうことを理解しないとなかなかやれないと思いますので、これは我々だけの考えでやるわけにはいきません、地方公共団体のお考えも踏まえなければならないわけでございますので、私どもはそういうお考えも聞きながら、少し進めて、もう少し進めてみたいと思っております。

○広田一君 是非よろしくお願いをしたいと思います。そのことを通じまして、私も国の方が歳出削減努力をしてないというふうには思わないわけですけれども、その努力が足りないと、十分じゃないと。そうした中で、財政力の厳しい、弱い地方が本当に国に先駆けて歳出削減努力をしているわけでございますから、言わばそこから学ぶべきところを是非とも酌み取っていただきたいなということを要望しておきたいと思います。

その関係で、国と地方との関係で、いわゆる三位一体の改革についてちょっとお聞きをしたいというふうに思います。

この問題を考えるときには、まず今年度、十六年度の三位一体の改革の評価というものについて考えなければいけないんじゃないかなというふうに思うわけですけれども、今年度の地方財政計画では、地方向けの補助金といったものが一兆三千億円削減をいたしましたし、さらに地方交付税と臨時財政対策債、これが合わせて二兆八千五百九十一億円削減をされました。これは、この部分は地方から見れば大幅なマイナスということになるわけでございますけれども、プラスに当たる税源移譲といったものが四千五百九十四億円にとどまったわけでございます。差引き三兆四千億円の大幅な減少です。確かに、先ほどのマクロ的な地方財政計画上は収支は合うわけでございますけれども、現実はさにあらずで、特に財政力の弱い県や市町村に対しては相当な打撃になったわけであります。

例えば、うちの高知の場合なんかは、実は平成十四年に一般会計で約五千四百億円で収支均衡予算ということを組むことができました。それからわずか二年後の今年度、予算規模を更に一一%削減をして、額にしては六百億円なんですけれども、これを縮小したにもかかわらず二百三十六億円もの財源不足が生じたわけでございます。この額が地方交付税等の削減分である二百三十七億円とほぼ同額なわけです。

つまり、今回の各地域出ておりました地方の財政危機、つまり自分たちの貯金に当たる財政調整的な基金をほとんど取り崩さないと予算が組めなかったというふうな危機的な状況は、やはりこの国の一方的な政策変更によってもたらされたというふうに言わざるを得ないと思いますけれども、今年度の三位一体の改革についてどのような評価をされているのか、御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 平成十六年度は、具体的に言いますと、四兆円という補助金改革の目標を定めた中で一兆円やったわけですね。それで、それを所得譲与税と税源移譲予定特例交付金という形で地方に所要の財源を手当てしたと。それから、地方交付税については必要な財源を確保しながら補助金縮減とか地方歳出見直しを通じた縮減を行ったわけでございます。それで、今のお話のように、財政力の弱い地方団体では予算編成が非常に厳しい状況にあったという話、これは私どもも伺っております。

ただ、地方財政については十六年度末に交付税特会の借入金の残高が五十兆になるわけですし、また地方の借入金残高が二百兆を超えるというふうに見込まれておりますので、これはそういう状況の中で地方歳出の徹底した見直しを通じた財政健全化は避けられなかったというふうに私は思っております。

それで、今おっしゃったように、いろいろマクロで見た、何というんでしょうか、地財計画と、ミクロで見たそれぞれの配分というので見た場合、随分違いがあったというふうに私どもも聞いております。例えば、私、広田さんのところと私の地元とはちょっと違いますが、段階補正がなくなって、その上に今度こういうのまで、こういうのって、三位一体まで掛かってきて、もうたまったもんじゃないなんというのは、私も地元へ帰りますと、私の地元の小さな町長なんかにはもうさんざん突き上げられたというようなことは確かにあったわけでございますが。

十六年度の地財計画の規模は、十五年度と比べますと、マイナス一・五兆円。ただこれは、実は十四年度、十五年度ともほぼ同じ額のスリム化をやってきたわけですけれども、去年はそこのところが、いろんなことが重なってきたということがあったんだろうと思いますが、去年が非常にやっぱり大きく、大きな反応があったということは私もよく承知しております。去年、十六年度ですね。

○広田一君 その大きな反応があって、十七年度のこの三位一体の改革については、地方の方に補助金改革の具体的な案とかが投げ掛けられたり、そして国と地方との協議の場といったものができて、いわゆる、今まで財務省さんと総務省さんが作っていた地財計画等についても、いろいろな形で国の思い、考え方というものが反映できるような仕組みが今後できていくだろうということが期待されるという意味で、この十七年度の三位一体の改革を通じてもたらされたことは、私は、非常に画期的なことも多かったし、評価をすべき点も多々あったというふうに思います。

それは逆に言えば、余りにも、この十六年度、今年度の三位一体の改革というものが一方的であり、急激なものであり、地方に対する説明責任が十分できていなかったということの裏返しにもなるんじゃないかなというふうに考えるわけでございます。そうした中の、私は教訓を酌んだこの十七年度の取組であってほしいというふうに思うわけなんですけれども。

ただ、この十七年度の三位一体の改革の評価についても、谷垣大臣と地方の見解とはかなり開きがあるのではないかなと。財政演説の中でも、この三位一体の部分につきましては、大臣は、「地方の権限と責任を拡大し、必要な行政サービスを地方自らの責任で選択できる幅を拡大する」と、そういうふうなところも意義を見いだしているんですけれども、一方、全国知事会の地方分権の趣旨に沿った三位一体の改革の推進に関する決議では、今回のことについては、単なる数字のつじつま合わせじゃないか、それに終始しているんじゃないか、そして全国知事会等が主張してきたものとは懸け離れた甚だ不十分なものと断じざるを得ないと。かなり手厳しい評価というふうになっております。

これはもう大臣の耳にも入っているんだろうというふうに思いますけれども、なぜこのような評価になってしまったのか。このことの理由や背景を考えたときに一つ思うのが、確かに金額的にはほぼ妥当な形で地方案と政府案というものは折り合ったというふうに思います。しかし、その中身が著しく違うんじゃないかなと。つまり、税源移譲すべき補助金、国庫補助負担金の項目、百四十一項目ですか、地方は挙げたわけなんですけれども、これに対して政府は、地方案を真摯に受け止めたというふうに言うんですけれども、数がかなり少なかったように思うわけであります。

そうしたことを踏まえて、実際の地方が、自分たちの裁量、自由度を持ってこれからこういった行政サービスするんだということに対して、具体的な事業の項目の移譲として余りにも少な過ぎたんじゃないかということが地方の厳しい評価につながっているというふうに思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、今回のこの三位一体ですね、国と地方でそれぞれ評価が違うじゃないかと。それから、厳しい評価も耳に入ってまいります。

これ、ちょっとまた、余り大ざっぱな議論をしてもいけないんですけれども、私はいろいろ、それがどこに原因があるのかなということを考えますと、結局、これ平成十四年度の決算ベースでございますが、国と地方を合わせた歳出規模は大体百五十兆なんですね。ところが、国と地方を合わせた要するに税収というのは八十兆しかないわけですね。結局、根本の問題はそこのところに私はあるんだろうと思います。そこで、やっぱりお互いに過大な期待を抱いてもなかなか解決できないというのがやっぱり私は根本のところにはあるんだろうと思います。

それで、要するにこの問題を根本的、この問題の道筋を付けていきませんと、やっぱり大きな意味でのお互いの満足と納得にはなかなかいかない。その中で、どっちの負担が多いとかいうことを押し付け合ったって、私は限界があると思うんです。そういうものを更に超えて言えば、確かに委員がおっしゃったように、百四十八件の中でできたのは四十一件しかなかったじゃないかというか、四十一件までできたというか、見方は違うと思いますが。

やってみましてですね、私つくづく感じましたのは、もう一つは、総論としてはですよ、総論としては、例えば補助金の移譲なんかにしても、地方のやるべきものは何か、国のやるべきものは何かという議論は、総論としてはありました。しかし、具体論になりますと、なかなか議論が詰まっていない。

典型的なのは私は義務教育の国庫補助負担金の在り方だと思います。要するに、一方でいえば、教員のその給与の半分だけ、今までだんだん譲り渡してきて、半分だけ持つことが本当に国の責任を担うことになるのかという議論があれば、いや、だから、要するに教員の給料であろうと全部国が持つべきなんだというような議論も一方ではございますね。それで、他方はやっぱり、そのぐらいは地方を信頼して、地方だってそんな教育の、図書費のよく多い少ないなんて言いますけれども、教育費をめっためたに切り刻むような知事さんや町長さんがそうそう選挙でいつまでも勝ち続けるとも思えないんですね。そういう辺りの、国が果たすべきものは何で、地方が果たすべきものは何かってやってみたら、まだまだ議論は煮詰まってなかったということだろうと思います。  それで、特に例えば災害関係なんかは、ちょうど台風が起こって、あの後と前では全然議論が私は違ったと思うんですね。ですから、今後まだ三位一体、特に義務教育の問題であるとか、あるいは、特にこれから論争が予定、議論を詰めていかなきゃならないのは生活保護の問題とかあるわけでありますけれども、相当その、まだそもそも、とにかくやろうということでやったんですが、そういったそもそも論も相当詰めませんと、お互い納得いくものになかなかならないんだろうと思います。  相当難しいですが、胸突き八丁ですが、何とかその良い答えを見いださなきゃならないんじゃないかと思っております。

○広田一君 その問題意識は私も本当に全くそのとおりだというふうに思います。

いみじくも義務教育の国庫補助負担金の話をされたんですけれども、まさしく、あれは金額的に大きかったから非常に注目をされたんですが、一方で、百四十項目を超えるあのメニューにいたしましても、やはり地方それぞれの問題意識があっての提案であり、それについてのやっぱり十分な議論がないままに、四十項目強というところで決着をしたというところは一つの課題として残るんだろうというふうに思います。

さらに、いわゆる税源移譲を伴わないスリム化、これが十九年度までの、十八年度ですか、トータルを考えますと合計で九千億円に上るだろうというふうに、十六年から合わせて九千億に上るだろうというふうになると、これはかなり大きな額になります。それが税源移譲がなくスリム化をされる。ここについてもやっぱりいろんな議論、課題があるんじゃないかなというふうなことがありますので、やはりそこの国と地方の役割ということを、是非とも大臣の方もリーダーシップを発揮して取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。

そうした中で、冒頭、非常に国も地方も少ない税収の中で多大な、倍以上の行政サービス、歳出を行っているというふうな御指摘がございました。そういう中で、やっぱり地方との関係を考えるときには、やはり地方交付税の在り方を見直していくということは、これはどうしても避けられない課題だろうというふうに思います。

私自身は、政府が目指しますように、税源移譲の結果として地方交付税が減少することは、自治体の財政運営における責任と自由度の拡大という点では望ましいと思います。しかし、今、残念ながら人口も企業も少なく、地理的に厳しい大多数の自治体にとりましては、増収効果というのは限定的にならざるを得ません。例えて言えば、地方税収、今の倍になっても職員の給料も払えないというところが多々ある厳しい現実がございます。

そのため、やっぱり地方交付税制度という、この維持と制度上の改善というのは不可欠なわけでございますけれども、やはり今の地方交付税というものは、先ほども言いましたように地方になくてはならないものなんですが、一方で、地方固有の財源というふうに言いながら、地方のあずかり知らないところで何か人為的、意図的に、質の変更とか量の増減といったものが決められているんじゃないかと。

小泉総理が一億円地方交付税減らすと言ったら減ってしまって、また先ほどの十六年度の予算案に本当、突然一方的に二兆八千億も削減されてしまったりとか、そして今回の三位一体の改革の全体像の取りまとめも、何かいろんな議論があった末、何か十七年度、十八年度は地方交付税の総額は確保するとかいう、そういうふうな決着を見るにつけ、これ一体、地方交付税というのはやっぱり在り方を見直していかなくちゃいけないんじゃないかなと。そうしたときに、地方交付税の持つ財源保障機能、これを経済財政諮問会議でも行く行く廃止するんだという議論があるんですけれども、しかし国が保障すべきナショナルミニマムということと、これ密接な関係がある議論になると思います。

今、本当、人口減社会とか成熟社会と言われる中で、時代に合ったナショナルミニマムの在り方というものを議論して、先ほども何か国の形という議論がありましたけれども、まさしく国と地方を通じた、国の形に直結する私は議論だろうというふうに思うわけでございますので、この地方交付税改革の具体的な視点、財源保障機能と併せて地方債と地方交付税との関係を考えた場合に、今の地方財政を非常に圧迫している一つの理由が、そして大臣が言うようにモラルハザードを起こしているんじゃないかというふうに懸念される一つの理由が、地方債の元利償還金の交付税措置といったようなところがあったというふうに思います。

こういったところも併せて、どのような方向性で見直していくのか、御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 総務省の松本政務官も御答弁が、私と全く同じでは多分ないと思いますが、御意見がおありだろうと思います。

それで、まず、財源保障機能はどうするんだという御議論がございました。それで、私はやっぱり地方財政のあるべき姿、さっき言ったような国、地方合わせて百五十兆使っているのに八十兆か税収がない中で、あるべき姿といっても相当遠い目標ではあるわけですけれども、これはやっぱり国もそうですけれども、要するにこういう公共福祉サービスをやるんだと、だからこういう負担をしてくださいと、やっぱりその自治体と住民の対話、こういうものが成立して、そういう中で負担と給付の関係を定めていくという、これは国もそうですけれども、やっぱりそういう姿がなきゃいけないんだろうと思うんですね。

それで、これに対して地方交付税ですが、私は、そうは言ったって財政力の違いがありますから、あくまでこの地方交付税の調整機能というものは、これはなくすわけにいかないだろうと思うんです。ただ、今おっしゃった財源保障機能ということになりますと、確かにナショナルミニマムは何なんだという視点が一方にございますが、他方、そうやって住民と、受益と負担の関係を厳しく問い詰めながらこれをやろうという観点からいきますと、足らなかったら入れてあげるよというのは、これはややもすると緩んじゃうという要因でも私はあるんだと思います。

だから、こういう負担感なく行政サービスを拡大できる仕組みになっているとすると、私はそこに問題があると思いますので、これはまあ将来的にはというと、まだそれは相当遠い将来だろうと思いますが、廃止するということを私は考えるべきではないかと思っておりますが、少なくとも当面、やはりこの機能をだんだん小さくしていくように考えるべきではないかというふうに私は思っております。

それからもう一つ、地方債の元利償還金等についてどうするんだというお話がありましたけれども、これは当面、今までずっとその地方債の地方財政計画の財源の中に、いや経費の中にちゃんと、歳出項目の中にきちっとこれの償還費を見込んできておりますから、従来ともに、従来からずっとこれの償還財源は地財計画でマクロ上算定されているわけでございますから、これは今後とも基準財政需要に入れるということではないかと思っておりますが、この辺、またどういうふうに総務省の方でお考えなのかということはございます。

○大臣政務官(松本純君) お答えします。

まず、中期的には地方団体の交付税に対する予見可能性を高めることが重要と考えておりまして、そのために、総務省といたしましては次のように考えております。

一つ、行政サービスの水準と国民負担の在り方を議論し、早期に国、地方を通じた財源不足解消にめどを付ける必要があると考えており、そのためにも中期的な地方財政の姿に関するビジョンを示すことを一つとしております。二つ目に、これに沿って必要な交付税総額が確保されるよう法定率分をセットし直すこと。三つ目に、国の関与の廃止に対応した交付税の算定方法の簡素化を行うことが必要と考えているところでありまして、これらにより、交付税総額やそれぞれの地方団体に対する配分額について予見可能性が高まることになり、交付税の本質に沿った運用が可能になるものと考えております。

いずれにいたしましても、今後抜本的な税制改革を含めて、行政サービスの水準と国民負担の在り方を議論する中で、中期的に法定率分等の見直しを検討していかなければならないと考えております。

そこで、地方交付税の財源保障機能についての御質問でございますが、我が国においては内政のほとんどを地方団体にゆだねつつ、多くの分野において国が法令基準の設定などを通じて全国的に一定の行政水準の確保を求める仕組みを取っております。

一方で、地域間には地理的条件や経済力格差に起因する大きな財源偏在があり、税収のみによって地方団体がその責任を果たすことはできません。このため、地方団体が標準的な行政水準を維持するのに必要な財源を保障しつつ、地方団体間における財政力格差を調整する仕組みとして交付税制度が設けられているところでありまして、今後もこのような制度は必要不可欠と考えております。

特に、三位一体の改革を進める間、昨年の十一月に政府・与党合意であります三位一体の改革の全体像にあるとおり、税源移譲に伴う財政力格差が拡大しないようにしつつ、円滑な財政運営、制度の移行を確保するため、公立保育所の一般財源化で見られるとおり、交付税によりこれを調整するなどの万全の措置を講ずる必要があり、交付税の財源保障機能は一層重要性を増すものと考えております。

そして最後に、地方債の元利償還についてのお尋ねでございますが、毎年度の地方債の償還に必要な財源については、地方全体の償還に必要な総額を地方財政計画の策定を通じて確保することにより、地方団体の円滑な財政運営に支障のないように全力を尽くしてまいる所存でございます。あわせて、今後とも公共事業等の事業費補正について都道府県分を中心に適宜見直しを進めることとしております。  以上でございます。

○委員長(浅尾慶一郎君) 広田一君、時間が経過していますので、簡潔にお願いします。

○広田一君 どうもありがとうございました。

私自身も本当に一人小さな子供の父親でございまして、やはり将来のことを見たときにはどうしても次の世代にツケを回すわけにはいけないと思います。そうした意味で、国、地方を通じた財政再建、スリム化というのは大変重要なテーマだというふうに思います。

今日はほかにもいろんな質問をしたかったんですけれども、今後ともこういった問題意識で議論していきたいと思いますんで、よろしくお願いします。

どうもありがとうございました。

○大門実紀史君 お疲れさまです。

定率減税の縮小、廃止と景気の関係について伺います。

この問題はもう随分議論がされてまいりました。予算委員会でも毎日のように、私も議論させていただきましたけれども、今日はちょっと少し整理して伺いたいと思いますが、政府の方は、定率減税の縮小、廃止をしても家計、景気が大丈夫だというその根拠として、当初はちょっとアバウトなことをいろいろ言われていましたが、例えば不良債権の処理が進んだからと、企業の環境が良くなったからとか、それで企業利益が良くなっているとか、あるいは失業率が改善しているとか、九七年よりはましだとか、何ですかね、いろんなことを言われてまいりました。

ただ、要するにそういう状況的に良くなっても、家計との関係でいくと、やはり収入の問題、賃金の問題だというふうにつながるかどうかと。例えば失業率改善しても、細かく申し上げませんが、パートや非正規雇用がずっと増えているんで一人当たり賃金上がっていませんよと、こんな議論もいろいろしてきたわけですけれども、何となく家計が良くなっていくだろうというふうなことばかり言われているような気がいたしまして、この点では竹中大臣とは議論しておりますが、竹中大臣はさすがあいまいなことは申されません。

要するに、ずばり雇用者報酬に改善の兆しがあるから、来年、再来年プラスで見込んでいると。だから、家計も良くなるということをはっきりと竹中大臣言われてきましたけれども、これについてもこの前予算委員会で議論させていただきましたが、この間良くなっているという根拠も、去年の十―十二月の雇用者報酬がプラスになっているということを根拠にこれから良くなるとおっしゃっているのも、よく中身を見ると、去年の十―十二月というのはあの十一月の特別給与が前年との関係で五割増しになっていると、五割増しなんて数字、普通出てこない数字が出てきていると、それでプラスになっていることは根拠にならないんじゃないかとか、あるいは正社員がこの間ずっと減ってきたけれども、増え始めているということもおっしゃいましたけれども、その三倍の数で非正社員が増えていますよというような、そういう議論をしてきて、かなり詰まった議論、詰めた議論をしてきているところですから、すなわち余り良くなるという根拠が、私も良くなってほしいと思うんですけれども、今の時点で良くなるという根拠には乏しいんじゃないかというふうなことがずうっといろんなこと議論してきたある到達点といいますか、そういうところにあると思うんですけれども、谷垣大臣とはここまで詰めた話をしておりませんので、どういう御認識か伺いたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、大門委員が今までなさってきた議論を整理されておられましたんで、伺っておりまして、結論は多分ちょっと大門委員と私は違うんだと思いますが、論点は正におっしゃるとおりではないかなというふうに思っております。

ですから、私は竹中さんよりちょっとラフに申し上げますが、大きな経済の、景気のトレンド自体は、企業業績も良くなってきているし、それを支える構造的なものも不安はずっと減っていると。ただやはり問題は、家計というか個人消費に、より今までの回復過程と見てもなかなかそこまで及んでいかなかったねというのは共通の心配事であったというふうに私も思っております。

ただそれが、やはり失業率等もようやく少し回復の、単に一か月回復というよりも趨勢的に見て回復の動向に入ってきましたし、それから竹中大臣の引かれておりましたけれども、私も雇用者報酬が戻ってきたということがありますので、企業業績や何かが堅調だということを考えますと、その辺りはこれから戻ってくるという形ができているんじゃないかというふうに思っております。

そういう中で更に申しますと、ニート問題があるとかいろんなこともございますけれども、そこら辺りも少し、例えばフリーターが多いではないかとか、何というんでしょうか、雇用の質がそういう意味での問題であるというような御議論もあったわけでありますけれども、その辺りもそのフリーター等の伸びが少し弱くなってきて雇用の質が変わってきているんじゃないかというふうに私は思っております。ちょっと、大分粗っぽく申しますと、そういうことであります。

○大門実紀史君 じゃまた詰めた議論は竹中大臣としたいというふうに思います。

消費税のことをちょっと伺いますが、この間、二〇〇七年から消費税二けたという話が当たり前のことのように議論をされておりますけれども、私は、そんなことはこの状況から、二〇〇七年といったらもうすぐですけれども、可能なのかどうかと思います。もちろん我が党はいろんな財源論を、消費税に求めるべきじゃないという立場ですけれども、仮に将来消費税が必要だと思われている方でも、景気が悪くなったらやっぱり元も子もなくなる部分があるわけですね。景気が悪くなって税収も落ちますからね。だから、景気との関係は共通して消費税の場合はよく判断をしなきゃ、どういう立場の違いがあっても判断しなきゃいけないというふうに思いますが、その点で一言申し上げておくと、世界の事例見ますと増税によって財政再建に成功した国はございません。必ず景気の回復の道筋の中で、もちろん増税をやったりしていますけれども、増税によってだけ財政再建に成功した国ありませんので、景気の回復の道筋の中で再建が成り立っていますので、それは申し上げておきたいと思いますが。

その上で、この間、政府の見解といいますか、いろんな経済見通し等でこの定率減税の縮小、廃止のときにも言われておりますけれども、GDPの〇・五%以内の、つまり二・五兆円ぐらいですかね、単年度の国民負担がGDPの〇・五%以内なら今のトレンドでいくと景気は持ちこたえると。で、もう少し、内閣府なんかの見通しでいきますと、潜在成長率今一・七か八ぐらいだと、二%行かないと思いますけれども、潜在成長率を超えるような負担を掛けると九七年の二の舞になる可能性があると。これは政府の方も言われているわけです。これを政府の一つのメルクマールといたしますと、例えば二〇〇七年から二けた増税、消費税やるとすると、これは十兆円を超える規模になると思います。つまり、先ほど言われた政府のメルクマール、単年度で〇・五%をはるかに超えるし、潜在成長率そのものと匹敵する負担増になると思います。

こういう点で、いろいろ議論されていますけれども、二〇〇七年からの二けた増税というのは政府の、何といいますか、今のマクロ経済の判断と合わない。そうすると、そこまでやると景気が悪くなるという判断をされていながら、二〇〇七年から二けた増税という、当たり前かのように財務省一生懸命今やられていますけれども、これはちょっと矛盾しているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) いや、それは大門さん、当たり前のように二けた増税とおっしゃいますけれども、まだそう決めたわけのものではありませんで、私どもが言っておりますこと、あるいはやっておりますこともまだブレーンストーミングというとちょっとつつましやか過ぎるかもしれませんけれども、要するに、これから本当に必要な、特に社会保障に関して本当に必要な公共サービスの水準というのは何なんだろうという問題とよく連動させ、整理させながら、じゃそれを支える負担というのは何なんだろうというのを議論していこうというのを今やり始めているわけでありまして、もちろん私自身は、個人的な考え方としては、それをやっていけば公平にあまねく負担していただくという意味では消費税というものを中心に置いて考えざるを得ないだろうと思っておりますけれども、ただ、それを入れるときどういう状況で入れるのかというようなことは、今、大門さんがおっしゃったような景気判断もよくよくしていかなければ、何にもそんなことしないで行け行けどんどんというわけにはいかないのは当然のことだろうと思います。

○大門実紀史君 私は、竹中さんと、竹中大臣と何度も議論しているんですけれども、こういうことじゃないかなと。要するに、単年度の景気への負担がGDPの〇・五%以内ならというのは、これは内閣府の一つの数字でございます。政府の数字でございまして、そうすると、消費税をひょっとしたら段階的に上げていく、政府のメルクマールであるGDP〇・五を超えない、段階的に上げていくということを実際には当局は考えておられるんではないかと。そうでないと、見通しとつじつま合わないじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) まだ考えていないんでちょっと御答弁のしようがないんですけれども、そういうアイデアもあるのかと思って聞かせていただきました。

○大門実紀史君 誤解のないように、私がアイデアを提案したわけではございません。当局の方はそういうシミュレーションをしているとしか思えないような発言だと思いますが、もしよかったら当局の方。

○政府参考人(福田進君) お答え申し上げますけれども、税制、税財源が必要なときにどれだけの所要額が必要か、つまりどれだけの歳出が必要か、それに対してどういうふうに歳入を調達するのか。その一つとして税制があり、その税制の中でも主なものとして、今大臣から御答弁がございましたように、消費税が有力な候補者になっている、こういうことであろうかと思いますが、その先どういうふうにしてやるかというのは前提条件によって大きく異なりますので、どういうふうに、いろんなケース、もちろんシミュレーションやりますけれども、これでやるというようなことは現段階では決まっているわけでも何でもございません。

○大門実紀史君 私は税金取るべきところはほかにもあると思うんです。もちろん、いつも議論している大企業から取るか庶民から取るかという話は今日はちょっとおいておいて、もっと取るべきところがあるというお話をしたいと思います。

外資系の、今、リーマン・ブラザーズとか、いろんなことが出ておりますけれども、外資の問題、私、ずっと取り上げてまいりました。特にこの間、非常に目立つわけですけれども、私は別に鎖国政策を取るべきだと言っているわけではございません。外資入れるなとか、そんなこと言っているわけじゃなくて、外資であろうと、日本で取引、商売するならばちゃんとルールを守るべきだと、こういう立場でずっと言ってきたわけですね。グローバル化の中ですから、外資がいろいろ入ってくるのは、それはもう仕方のないことだというふうに思います。

一口に外資と言っても、二つ、種類といいますか、あるかなと。例えば、実体経済に直接投資をしてくれる、こういう外資の動き方があります。もう一つは、ただ投機マネーで入ってくる、この外資の動きもございます。よく外資に課税をすると逃げてしまう、投資が減るというふうな、特に経済産業省辺りからの話がありますが、私が言っているのは投機マネーの方ですね。これは元々逃げ回っているわけですから、あっちこっちを。これ、いいときだけ来るわけですからね。これの話をしているわけで、課税したら逃げるということではない、その部分のお話をしたいと思います。

それでもう一つは、今の、どれだけのお金が動いているかということなんですけれども、世界の貿易額というのは一年間で約七兆億ドルですね。大臣にお渡ししました私は本出しましたけれども、そのときに調べましたけれども、一年で約七兆億ドルです。ところが、このマネーの動きというのは一日で一兆億ドル。つまり、世界の貿易取引、一年間掛かるお金を一週間で動かしていると。すごいお金が動いているわけですね。この中に膨大なさっき言った投機マネーがあるわけでございます。

今、国際課税の問題がやっと日程に上ってきたところでございますし、こういう逃げ回って、逃げ回りながらもうけている、このお金は世界の国々がみんなで税金掛けようといえばいいわけですよね。トービン税という発想もございますけれども、みんなで掛ければ逃げられないというのがこの世界でございます。

リップルウッドの問題を一つ申し上げますと、この問題は我が党の赤旗の経済の取材チームが突き止めましたけれども、リップルウッドというのは、御存じのとおり、長銀をわずか十億円でLTCB・パートナーズですかね、買って、新生銀行にしたわけですけれども、新生銀行株を、去年の十二月に今度国際課税がされるという動きになってきたというんで、事実上、パートナーズを解散して海外投資家に分散をして、幾ら売っても課税されない仕組みを作って、約こちらの調べでは三千億円の利益を上げております。もうそういう課税の動きになってきたからということもあって、そういう逃げたわけですけれどもね。

こういうことも起きておりますし、今ライブドアの問題でリーマン・ブラザーズの動きも派手になっておりますけれども、この国際課税について今日は基本的なところを教えてもらいたいなという意味で質問をさせていただきますけれども、そもそもこういう投機マネーが税金を逃れている、課税を逃れている仕組みというのを、どんなものがあるか、ちょっと幾つか教えてもらえますか。

○政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。

近年、経済の国際化の進展に伴いまして、税負担を不当に回避するような国際的な租税回避行為が多々見られるところでありますが、これらはかなりの程度オーダーメードになっておりますので、いろいろケースがあるかと思います。  一つのよく見られるケースは、不良債権ビジネスの収益につきまして匿名組合等を利用して我が国での課税を逃れているようなケースもございます。また、タックスへーブンにある関係会社に利益を付け替える、日本にある、本来なら日本に申告すべき利益を海外に付け替えるといった事例もございます。あるいは、租税条約を不正に利用いたしまして、条約相手国にペーパーカンパニーを設立し、我が国での課税を逃れるケースもございます。それから、必ずしも国際課税ではないんですが、リース取引等を利用しまして、リース取引を組合事業として行いまして、投資家に損失を分配するようなケース、こういったケースが見られるところでございます。

○大門実紀史君 今回の法改正で国際課税に踏み込まれたのは一歩前進と、この部分は評価しておりますけれども、外資系の投資ファンドなどが課税逃れをしたり申告しなかったり、こういうところにメスが入ったということなんですが、問題は、そういう海外の投機マネー、投資ファンドとか投資家とか、そういう組合形式、いろいろありますけれども、こういうところが、日本において恒久的施設があるかどうかが課税のメルクマールになるという一つの物差しございますね。この恒久的施設の認定が甘くなっていないかどうかという点があると思いますが、それはどのようにお考えですか。

○政府参考人(村上喜堂君) 恒久施設、パーマネントエスタブリッシュメントと申しますが、この規定は基本的にOECDの条約で決められておりますので、国際的な共通なルールで運用されていると思います。特に我が国において甘くなっているということはないと思いますが。

○大門実紀史君 いや、私が言っているのは、甘いかどうかではなくて、まず基本的な話ですけれどもね。

申し上げました、例えば言いますが、あのリーマン・ブラザーズというのは、リーマン・ブラザーズ・ジャパンというのは東京支店で桂木さんいらっしゃいますが、あのリーマン・ブラザーズ・ジャパンというのはケイマンにありますね。ケイマンにあるんですね。で、東京支店というのがあります。本拠地はジャパンでいえばケイマンですね。みんな租税回避のためにケイマンに本拠地を置くわけですが、こういう場合はどうなりますか。支店は、支店だけ、いかにもジャパンだから東京支店に、六本木にあるような、みんな思っているかも分かりませんが、あれはケイマンにあるんですね。この場合はどうなりますか。どちらが恒久的施設とみなしますか。

○政府参考人(福田進君) 個別のことはともかくといたしまして、支店が我が国にあれば、いわゆる先生おっしゃいましたPE、パーマネントエスタブリッシュメントに該当いたします。

○大門実紀史君 ありがとうございます。来週この問題で集中審議があると思いますので、その個別の話はそこでまた伺います。

もう一つは、外資系の投資ファンドというのは組合形式を取っている場合が多いわけですね。その業務執行組合員をケイマン諸島などのいわゆるタックスヘーブンのところに置いて、日本にはアドバイザーという形で、それがさっき言った支店形式を取ったり、いろいろ複雑でややこしいんですけれども、アドバイザーという者を置いて課税逃れをしているケースというのがあります。こういう場合は、いわゆるアドバイザーを置いているという形なんかはどういうふうに判断されますか。

○政府参考人(福田進君) 当該事案において、アドバイザーと称されている者、今おっしゃった者がどのような役割、位置付けを持っているのかということで個別の判断がなされるというふうに認識しております。

○大門実紀史君 役割で、実態で判断するということでよろしいでしょうか。──ありがとうございます。

こういう租税回避がいろいろ行われておりまして、ある学者の方の試算によりますと、こういう投機マネーが日本だけでも何百兆、年間にしますと、出たり入ったりですけれども、動くと。これに課税すれば十五兆円の収入になるという試算も一つあります。それぐらい大きな規模のお金が動いていて、租税回避がされているというのが今の実態でございます。

最後に大臣に伺いますけれども、こういう租税回避行為ですね、こういうものに対してこれから財務省として、今回も法案出されておりますけれども、これからどういうふうに対処をされていくか、決意をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、大門さんから国際的な経済活動が複雑化、多様化する中で、やっぱり税制面の、何というんでしょうか、一種の穴といいますかね、そういう問題点を指摘していただきましたけれども、これは税制面でもこういう国際的な経済活動の実態に即した見直しを随時行っていかなければいけないんだろうと思います。そうして、そういう租税回避行為を防ぐということが大事ではないかなと思います。

平成十七年度の税制改正では、いわゆる航空機リース等への投資を組合形態で行って租税回避行動をしていくというような例がありますが、こういう投資に参加する投資家への損失を分配して、そこを何かうやむやにしちゃうわけですね。それを厳しく制限する措置を今度の改正で講ずると。

それから、非居住者が組合を通じて日本企業の株式の大口の譲渡を行った場合に事実上課税を免れてしまうという問題があったわけですけれども、これに対応して、課税要件の判定で組合を一体としてとらえる措置を講ずるといったような措置を講じて穴をふさいでいこうということを今度考えております。

それから、執行面でも、国際的な租税回避行為に対しては国税の組織の総力を挙げてきちっとやっていくと、厳正な態度で臨むと。それから、税務調査を通じて適正公平な課税の実現を図っていくということを更に徹底していかなきゃいけないと思っております。  制度、執行の両面で連携を図りながら、租税回避行為の防止、適切な課税の実現と、努めていきたいと思っております。

○糸数慶子君 私、名護市辺野古沖でのボーリング調査について伺います。

名護市辺野古沖の海上基地建設に向けたボーリング調査ですが、現在、名護市辺野古沖のその海域では那覇防衛施設局の作業船や海上保安庁の船、ヘリ基地反対の市民や住民のボートや漁船、それからグリーンピースの船など、合わせて三十隻近い船がひしめき合って、緊張状態が続いています。

それというのも、施設局が、三月の十五日の夜中、そして十六日の未明にかけて、大型の足場の設置作業に取り掛かったからです。海底に穴を掘るための大型の足場、スパット台船一基が夜間に中城湾港から運ばれて、朝の六時三十分から作業が始められました。  実は、この海域にはジュゴンが生息していることから、施設局が沖縄県に提出したボーリング調査の作業計画の中にはジュゴンへの配慮事項が盛り込まれています。それによりますと、ジュゴンへのその配慮事項、作業時間は一日、まあこれは日の出の一時間後からそれから日没の一時間前まで、夜間の作業は行わないということになっておりますが、今回の設置作業は明らかにその事項に違反しています。  そこでお伺いいたしますが、防衛施設庁はこの那覇防衛施設局の今回の作業について承知していますか。

○政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。

普天間飛行場代替施設のボーリング調査における御指摘の足場作業、設置作業につきましては、以下のとおり那覇防衛施設局から報告を受けております。

今先生御指摘のように、三月十六日早朝、午前五時ごろでございますけれども、船舶で曳航されたボーリング足場、スパット台船が現場海域付近に到着しております。スパット台船の設置作業は午前七時ごろから開始したところでございます。

御指摘の作業計画では、ジュゴンの配慮方策としまして、ボーリング作業の時間は、一般にジュゴンが夜間に浅瀬の海草藻場で採餌し、昼間はやや深い海域に戻ると言われていることを踏まえ、日の出一時間程度後から日没一時間程度前までの間で設置する旨、記載しているところでございます。

作業計画に言うボーリング作業の時間とは、特に音の影響を考慮しまして、ボーリング機材を用いて実際に掘削する作業を行う時間を念頭に置いたものでありまして、それ以外の作業の時間を含まないものとしているところでございます。したがって、今回のスパット台船の曳航や設置に係る作業が作業計画上問題あるとは認識しておりません。

○糸数慶子君 今、その作業時間をしっかり守っているから別にジュゴンには影響がないというふうな答弁に聞こえましたけれども、実際にはその海域にジュゴンが生息をしておりますし、ジュゴンのはみ跡なども出ているところから、やはりこれはかなりジュゴンの生息には影響があると思うわけです。

ですから、今回、スパット台船の設置作業は施設局が沖縄県に提出したこの作業計画に反していると考えるわけですが、この作業計画書の作成の際に環境省が助言をしたと言っておりますが、環境省、このことに対してどう判断されますでしょうか。

○政府参考人(桜井康好君) 環境省では、平成十五年九月に防衛施設庁に対しまして、現地技術調査の実施に当たりましては可能な限り環境への影響が少ない調査の方法を選定すべきであるという助言を行ってきたところでございます。具体的には、ボーリング調査地点の選定、あるいは調査手順、作業方法などにつきまして、ジュゴンや藻場、サンゴ等への影響をできるだけ少なくなるよう配慮することなどを助言したところでございます。

先ほど防衛施設庁から答弁ございましたように、防衛施設庁におきましては、環境省からの助言を踏まえて、作業計画あるいは環境配慮事項を作成して、これらに沿って作業が行われていると理解をしているところでございます。

いずれにいたしましても、ボーリング調査などの実施に当たって、防衛施設庁におきましてジュゴンなどへの影響に最大限配慮しながら適切に作業を進めていただきたいと考えているところでございます。

○糸数慶子君 今、防衛施設局と環境省の立場、大変違うわけで、指導したとおりに実際に行っていないという現実ではないかというふうに思います。

昨年の十二月の二十七日にボーリング調査に反対する市民やそれから近海海域の漁業者らが、沖縄県内六十八人の方々が、この自然環境が破壊されているということで、国を相手にボーリング調査の差止めを訴える裁判を起こしております。

弁護団長であります池宮城紀夫団長は、今回のこの訴訟の目的と意義について次のように述べています。ボーリング調査そのものが辺野古海上基地建設の一環をなし、その新基地は県民への新たな基地負担を押し付けること、そして奇跡的に残る豊かな自然環境に壊滅的な破壊をもたらすこと、これを何としても止めることが訴訟の目的であると。県民の八〇%が反対している世論の中で、国はあえてそれを無視してこの調査を強行しておりますが、この無謀な政策と不当性を裁判で明らかにしていく。巨大な基地建設は沖縄の基地の固定化につながり、県民の願いに全く反すると述べています。

環境保護の主張からいいましても、今始めているボーリング調査ですらサンゴの破壊が進んでおりまして、専門家らの警告が現実化し、危険が、危機的な状況はどんどん進んでいるわけです。今止めないと回復不可能になってしまい、法的な歯止めの必要性は極めて差し迫っていると。ボーリング調査のこの作業を今すぐ中止すべきだと訴えていますが、施設庁はこの裁判についてどう受け止めていますか、お伺いいたします。

○政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。

ボーリング調査は普天間飛行場の移設・返還に向けた必要不可欠な調査でございます。当庁としては、より多くの方々の理解を得られるよう、ボーリング調査の具体的な内容、環境配慮方策を盛り込んだ作業計画などにつきまして、名護市議会議員や地元行政区の方々に説明する機会を開催するなど、事業者として必要な手順を踏んでいると認識しております。このような状況において差止め訴訟が提起されたことは誠に残念なことだと思っております。  いずれにしても、今後とも、より多くの方々の理解が得られるよう不断に努力するとともに、自然環境に十分配慮しつつ、安全対策に万全を期して、円滑にボーリングが実施をできるよう努めてまいりたいと思います。

○糸数慶子君 実は、去年の十二月の八日ですが、琉球朝日放送は、「足場で傷ついたサンゴ」と題して、ボーリング調査のために設置された船がサンゴを破壊している様子を海中撮影で生々しく報道しておりました。これは、スパット台船といいまして、この足場を二メートル四方の鉄板で支えられ、それが生きたサンゴを押しつぶしている様子が紹介されて、大変ショッキングな映像が出ておりました。日本サンゴ礁学会の会長である山里清さんは、これを見て、かなりのダメージであり、施設庁は全然この作業に関して注意を払っていない、やはり危惧したとおりであるというふうに述べていらっしゃいます。

沖縄県も、公有水面の使用許可を与えた際に、海生生物に著しい影響が確認された場合には、一時中断も含め適切な措置をとる用意があるとしております。県として待ったを掛けることもあるということになっております。

そこで、お尋ねいたします。

那覇防衛施設局は、昨年の十二月二十七日に、ボーリング調査でサンゴ破壊が指摘されていた問題で海底状況確認の調査結果を沖縄県に報告し、十四か所のハマサンゴなど、計三十か所のサンゴや岩礁の破損を認めました。施設局は、原因を足場の底板の接触だと判断し、今後は原則として底板を装着せずに設置するとその改善策を発表しています。その程度のことでサンゴ礁の破壊は起こらないと保証はできるのでしょうか、お伺いいたします。

○政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。

ボーリング調査は、護岸の構造の検討に用いるデータ収集の目的のために行っているものでございまして、昨年十一月から足場の設置を開始しており、潜水により事前に確認した海底状況を踏まえ、サンゴが比較的少ない場所に調査箇所を選定し、波の状況や気象状況を見極めて設置作業を慎重に実施するなど、サンゴ等海底の環境にも十分配慮して実施しております。

本件調査箇所につきましては、足場をいったん設置、これは十六年十一月二十日でございますけれども、した後に、台風が接近したことにより、安全対策のため一時足場を撤去したものでございます。足場設置中と撤去後に海底状況を目視により確認したところ、足場周辺においてサンゴの破損等が確認されたものでございます。御指摘のように、三十三個でございますが、面積でいえば全体で約二平米ということでございます。

足場撤去の作業の際に、波の影響等により足場脚部に装着をされた金属板の底板、これは二メーター四方のものでございますけれども、これ四か所付いております、これが周辺にちょっと接触してそのような状況が生まれたということでございます。

それで、本件を踏まえ、今後の同型の足場設置に当たっては、気象状況や波の状況を見極めて実施することに加えまして、岩礁部へ設置する場合は、原則足場の底板を取り外して設置することとし、調査実施に伴うサンゴ等への影響を更に低減、回避するよう努めてまいりたいと考えております。

ボーリング調査は必要不可欠な調査でありますので、繰り返しになりますけれども、自然環境に十分配慮しつつ安全対策に万全を期して円滑に進めていきたいと考えております。

○糸数慶子君 今、環境に配慮してサンゴ破壊をせずに調査をするというふうにおっしゃいますけれども、それが本当に可能かどうか、とても現場でのサンゴの破壊状況を見ると疑問でございます。

環境省は、沖縄本島周辺のジュゴンの保護に向けて生息環境の広域調査を実施し、ジュゴンは、名護市辺野古域を含むんですが、本島の東海岸の中北部、それから西海岸の北部を主として回遊していると考えられるとの調査結果を二〇〇四年の十二月二十八日にまとめています。環境省の調査でもこの海域の重要性が指摘されたと思うわけですが、それについて、環境省、再度この調査された結果をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(小野寺浩君) 十三年から沖縄本島海域、ジュゴンと藻場の広域的調査を実施してきているところであります。調査の中身は、航空機からの目視、えさ場である海草藻場の分布、ジュゴンが食べている、はみ跡と言いますが、食痕の調査等を確認してきたところでございます。

これらの調査を総合的にまとめて判断いたしますと、ジュゴンは辺野古沖海域を含む東海岸中北部、これは嘉陽沖から金武湾にかけて約四十キロぐらいを指しますが、その地域と、西海岸北部、屋我地沖というふうに取りあえず言っておりますが、その二つの地域においてかなり頻度の高い利用をしているということを確認しております。

○糸数慶子君 今の調査結果にもありましたけれども、大体ジュゴンの目視された数が現在のところ五ないし七頭というふうに言われております。

このジュゴンについてなんですが、実は今年の三月の二日、サンフランシスコのアメリカ連邦中央裁判所は米国の文化財保護法の域外適用について米国の国防総省の訴えを却下し、この私たちの申立てを実際に採用しております。これはジュゴンの、いわゆるジュゴン訴訟と言われまして、二〇〇三年の九月に日米の原告団がアメリカの文化財保護法に基づきまして沖縄県名護市辺野古のジュゴンの保護を求めて提訴したものです。争点は、辺野古海域の基地建設が米国政府の行政行為に当たるかどうか、ジュゴンに影響を与える基地建設が同等の意義を持つ他の国での法律で保護された文化財も保護対象とすると定めた米国文化財保護法に違反するかどうかでありました。

環境省はこの訴訟について承知していますか、伺います。

○政府参考人(小野寺浩君) ジュゴン訴訟の概略については承知しております。ただし、ジュゴン訴訟、このジュゴン訴訟については現在係争中であり、またアメリカのことでもありますので、お答えする立場にありませんけれども、今後とも注目をして情報を集めてまいりたいと思っております。

○糸数慶子君 裁判そのものはこれからも続いていくわけですが、米国の文化財保護法の域外適用についてはどう考えているか、お伺いいたします。

○政府参考人(小野寺浩君) 今詳細については、その裁判と論点の詳細については把握しておりませんので、的確なお答えを今この場では、申し訳ありませんけれども、できかねます。

○糸数慶子君 今回のこのボーリング調査は、護岸構造検討のための現地技術調査で、四項目の調査のうちに、既に二〇〇三年の四月に地形調査、同五月に気象調査が実施されておりまして、今回は残りの地質調査と海象調査のためのボーリング調査が実施されています。自然保護団体が二〇〇二年から実施した調査結果によりますと、ボーリング調査地点六十三か所のうち、少なくとも十八か所が海草の分布範囲内にあって、海草藻場の生育やジュゴンの生息に大きな影響があることが懸念されていますが、環境省の見解はいかがでしょうか。

○政府参考人(桜井康好君) このボーリング調査の足場につきましては、ジュゴンのえさ場となります海草類、海草類の被度、覆われている度合いでございますが、五%以上の区域をできるだけ避けて設置するほか、ジュゴンが移動経路として利用する可能性もあると言われておりますリーフの切れ目には設置をしないということになっております。また、作業の実施に当たりましては、環境攪乱をできるだけ避けることとしているというふうに防衛施設庁から聞いておるところでございます。

ボーリング調査等に当たりましては、ジュゴン等への影響に最大限配慮するため、防衛施設庁におきまして、先ほど申しましたように、環境省からの助言も踏まえまして作業計画あるいは環境配慮事項というものを作成しているところでございまして、今後とも、防衛施設庁におきまして、これらに沿ってジュゴン等への影響に最大限配慮しながら適切に作業を進めていただきたいというふうに考えておるところでございます。

○糸数慶子君 防衛施設局は、沖縄県が施設局に対して求めた調査実施の際の環境配慮事項において、ジュゴン、藻場、サンゴへの影響を回避、軽減するとしています。しかしながら、環境影響評価書は事業内容についての記述が十分でなく、調査・予測・評価手法が論理的に関連していないなど、方法書の核心部分が欠落しているのではないでしょうか。また、縦覧の仕方が、沖縄本島内のみで実施されたにすぎず、排他的であるなど大きな問題を含んでいます。

このような方法書は、環境アセスメントの形骸化を進めるものであり、これらの問題点が解決されないままボーリング調査を実施することの根拠、正当性についてどのように考えていますか。施設庁の見解をお伺いいたします。

○政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。

環境影響評価は、事業の内容を決めるに当たって、その実施が環境に及ぼす影響について調査、予測、評価を行い、その結果を公表して国民、地方公共団体などから意見を聴き、環境保全の観点からより良い事業計画を作り上げることを目的とした制度でございます。

代替施設建設に係る方法書につきましては、環境影響評価の一連の手続の中で、地方公共団体や一般の方々の意見を環境影響評価の方法に柔軟に取り入れるために、事業計画の早い段階で作成されたものでございます。現時点で決定していない事項については記載しておりませんけれども、事業内容のうち既に決定している事項はできる限り記載し、また、影響評価項目につきましては、事業の特性や地域の特性を考慮し、適切に記載したところでございます。

代替施設の環境影響評価につきましては、方法書に対して提出された沖縄県知事や一般の方々の意見を踏まえ、最終的な環境影響評価の方法としてまいる考えでございます。現在、方法書に記載していない事項につきましても、環境影響評価を行うために必要な事項は、準備書の段階までには明らかにする等、適切に手続を進めてまいる所存でございます。

○糸数慶子君 辺野古のサンゴ礁においては、二〇〇三年に日本初の記録となる貝が七種類発見され、改めて辺野古海域の貝類の多様性が明らかになりました。

また、二〇〇四年には自然保護団体により、ボーリング調査地点ナンバー一から十一周辺においてジュゴンのはみ跡が確認されています。那覇防衛施設局の事前調査においては、当該地域は海草なしという調査結果だったにもかかわらず、このようなジュゴンのはみ跡が確認されたということは、ジュゴンがこの海域を利用していると考えられるわけです。

調査結果の食い違いからも明らかになるように、事業を所轄する省庁単独の調査ではなく、客観性が確保できる第三者による調査が必要だと思いますが、施設庁、いかがでしょうか。

○政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。

まず、事実関係でございますけれども、普天間飛行場代替施設のボーリング調査箇所につきましては、海草藻場などへの影響を回避、低減するために潜水調査により海底状況を事前に確認した上で選定しております。平成十六年九月から開始した現地作業では、ボーリング足場を設置する前に再度潜水調査により海底環境の変化の有無を確認した後に、リーフラインの海草藻場でジュゴンのはみ跡の有無を確認しております。

ボーリング調査箇所の潜水調査や海底状況などの確認に当たっては、海草藻場など海底の自然環境の知識を持ったダイバーにより実施をしており、また潜水調査や確認の結果については、那覇防衛施設局のホームページ等でボーリング調査箇所やその周辺の海底状況を撮影した写真とともに公表しております。

このように、当庁が実施した調査等については、できる限り客観性が確保されるよう努めているところでございます。したがって、お尋ねのような第三者による調査を実施する考えはありませんが、引き続き、ボーリング調査に当たっては、調査箇所周辺の海底状況を十分に確認するなど自然環境に配慮しつつ実施する所存でございます。

○糸数慶子君 今、防衛施設庁と、それと環境省との調査の結果の食い違い。先ほど指摘いたしましたように、実際に防衛施設庁からの出された調査書の中には貝類の、新しい貝類の想起などもありませんでした。それから、先ほど申し上げましたジュゴンのことに関しましても、やはりはみ跡に対する見解も食い違うところもありました。そういう意味で、是非とも複数省庁と調査をしていただきたいということを要望いたします。

二〇〇四年の十一月にタイのバンコクで開催されました国際自然保護連合、IUCNでは日本のジュゴンやノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全勧告が多数決で採択をされました。この勧告に対する政府の見解をお伺いいたします。

○政府参考人(神余隆博君) お答え申し上げます。

二〇〇四年十一月のバンコクにおけるIUCN第三回世界自然保護会議では、普天間飛行場代替施設の建設予定地域におけるジュゴン、米軍ヘリ着陸帯移設事業予定地におけるノグチゲラ及びヤンバルクイナを保護するために建設計画の中止の可能性の検討を含む環境アセスメントを行うことなどを日本政府に求める内容の勧告がそれぞれ採択されております。

一方、政府としては、これら三種の保全のため、これまで様々な調査研究や対策を行い、また、これら施設の建設に当たっては自然環境に著しい影響を及ぼすことのないように最大限の努力を行うとの方針を既に決定し、環境アセスメントの手続に着手しているところであります。

このような政府の方針を踏まえまして、昨年のIUCNの会議の期間中、外務省は環境省とともに勧告案の内容について関係者と協議を行いましたが、調整が整わなかったために勧告の採択に当たっては棄権をしたものであります。本件勧告の中に我が方政府のとってきた措置や考え方が反映されていなかったのは残念でありました。

日本政府としては、今後とも、これら施設の建設に当たっては、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないように最大限の努力を行う所存であります。

○糸数慶子君 今回のその勧告に従って日本政府は直ちに辺野古海域におけるボーリング調査を中止し、ボーリング調査と、それからゼロオプションの検討を環境アセスメントに含めるべきであるというふうに思います。先ほど紹介いたしましたジュゴンやノグチゲラ、ヤンバルクイナの保護区の設定とそれから保護計画について具体的に取り組むべきであるというふうに思います。

自然保護や環境保全の分野で日本が世界的な貢献をしていくためには、まずこの勧告を実現し、国際社会の中で義務を果たして信頼できる国との評価を得る必要があるのではないかと思います。

最後に、政府の重要閣僚として谷垣財務大臣にお伺いいたします。

米軍再編の中で、二月十九日の日米安全保障委員会、2プラス2以来、普天間飛行場の閉鎖と、辺野古沖への代替施設建設というSACO合意について見直しの声が日米両政府の高官から出てきておりますが、谷垣財務大臣の現時点での見解をお伺いいたします。

○国務大臣(谷垣禎一君) 普天間飛行場等の取扱いについては、在日米軍の兵力構成の見直しという議論に関連して、これはいろんな考え方があるんだろうと思うんですね。それで、今後この在日米軍の編成については、その抑止力維持あるいは沖縄、地元の負担軽減という観点から、日米間であらゆる可能性について集中的に協議されることになっておりますので、現時点で何ら決まっているということはないと思っております。

そして、SACOの最終報告については、この間の2プラス2のコミュニケでも触れられているわけですけれども、現時点で政府としてはどう考えているかとお答えを求められますと、これを着実に実施することが必要と、こういうふうにお答えさせていただきます。

○糸数慶子君 この2プラス2でも、やはり普天間基地のその移設先として名護市辺野古以外も検討しているというその状況が発表されておりますし、やはりこれは、今、普天間の代替施設につきましては、現在のこの辺野古辺りでの調査費、平成十五年度で十六億円、平成十六年度で十九億円の調査費が付き、平成十七年度予算でも二十七億円が計上されているわけです。しかし、こういう見直しの計画もあるという状況の中で、これだけの予算を使って本当にこういうジュゴンの住んでいる海域を今のような環境破壊を続けながら継続していくのが、SACOの合意に沿って着々と計画を進めていることなのかということを考えますと、大変大きな疑問がございます。

今、私の手元にこのジュゴンの写真がございます。(資料提示)是非、これ皆さん見ていただきたいと思いますが、実はこの写真は、三月の七日にグリーンピースが沖縄にやってきたときに、佐敷町に住んでいらっしゃる仲里さんというパラグライダーのショップを経営している方が、実際にこのパラグライダーに乗りまして、飛び立って名護市の辺野古の海域で調査した、こういう写真です。

こういう、私たち、昔はジュゴンのことをよく人魚に例えられていたということで、オーストラリアから今、北限が沖縄の辺野古海域というふうになっておりますけれども、こういう正に日本の天然記念物にも指定されているようなジュゴンの生息するこの海を本当に守っていただきたい。ジュゴンは声こそ出しませんけれども、恐らくこれから先もこの辺野古の海を埋め立てないでほしいと、そういうふうに願って回遊をしているというふうに思います。

やはり私は、これから是非とも多くの委員の皆さんに、沖縄のすばらしい自然の海域である辺野古、これは沖縄だけの財産でもありません、世界のすばらしい財産の一つになるこの海を、戦争のための基地を造るものではなくて、本当に持続可能な環境を守っていくという、これがもし国が観光立国を標榜して、世界に本当にこの観光を、外国からも多くの方々に来てほしいという、そういう思いを持つのであれば、このすばらしい海を埋める前に国として取るべき対応はほかにもあるのではないかということを訴えまして、ちょっと予定の時間に二分ほどお時間があるようですが、先ほどはちょっとオーバーいたしましたので、これで終わりたいと思います。

ありがとうございました。

○委員長(浅尾慶一郎君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。

次回は来る二十二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。

午後六時四分散会

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2005年03月18日 (金)

参議院 財政金融委員会 4号 平成17年03月18日(その1)

162-参-財政金融委員会-4号 平成17年03月18日

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。

委員の異動について御報告いたします。

去る十六日、岩本司君が委員を辞任され、その補欠として大久保勉君が選任されました。

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○委員長(浅尾慶一郎君) 去る十六日、予算委員会から、三月十八日の一日間、平成十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀行について審査の委嘱がありました。

─────────────

○委員長(浅尾慶一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府大臣官房審議官加藤裕己君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

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○委員長(浅尾慶一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として国民生活金融公庫総裁薄井信明君外四名の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

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○委員長(浅尾慶一郎君) 平成十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀行を議題といたします。  委嘱されました予算について順次政府から説明を聴取いたします。谷垣財務大臣。

○国務大臣(谷垣禎一君) 平成十七年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。

まず、一般会計歳入予算額は八十二兆千八百二十九億円余となっております。

この内訳について申し上げますと、租税及び印紙収入は四十四兆七十億円、その他収入は三兆七千八百五十九億円余、公債金は三十四兆三千九百億