あさお慶一郎(衆議院議員 神奈川4区)

湘南の風

● 論座 会社はこれからどうなるのか どうする?会社員   2003.07 論座

2003年07月19日 (土)

● 論座 会社はこれからどうなるのか どうする?会社員   (2003.07 論座)

浅尾 慶一郎(民主党参議院議員)

最近、韓国の中央日報の洪錫炫会長に話を伺う機会があった。
話題は日韓の政治、経済、文化に広がっ たが、一番印象に残ったのはサムソン電子の話だった。彼はサムソンのオーナーの義弟なのだ。エレクトロニクスの世界では相変わらず日本が世界一だと思っている人が多い。
しかし、株式時価総額で比較するとサムソン電子はソニーと肩を並べ、一社で日立製作所、東芝、三菱電機、NEC、富士通5社の時価総額の合計に匹敵する。
かつて日本が強かった半導体や液晶の分野で今、世界第1位の座にあるのはサムソンなのである。

彼の言葉の端々から伝わってきたサムソン成功の最大のカギは、まず日本の技術を世界一と認めて、その技術を導入した上で、経営については徹底して米国流を貫いたことだ。
97年IMF危機に見舞われた際は、従業員を3割減らし、残った従業員の人件費も3割削減した。同時に必要と見込んだ技術者は外国人であっても高賃金で採用した。

そして、3カ月先に売れると睨んだ商品にすばやく経営資源を集中投下し、結果として従業員 一人当たりの売上高で日本の同業他社の3倍近い数字を実現したという。

日本でも大胆な改革により変身を遂げる企業が現れてきた。
すでに広く知られているが、日産自動車はゴーン社長の下で調達価格を3割削減し、工場の閉鎖も行った。
一方で、開発部隊には思い切って経営資源を投入すると同時に、社内からのボトムアップの情報収集にも努め部 門横断的に情報を共有することで、売れる車の開発に成功し、利益は大幅に増えた。

さらに、あまり知られていない意外なことだが、日産への部品を納入してい る企業の親しい経営者によれば、調達単価の削減にもかかわらず、彼らの会社でも利益が伸びたという注目すべき結果をもたらしたのだ。

長引く経済の停滞。これが今、最大の政治課題であることは言うをまたない。いまだ出口は見えないが、解決策は必ず 見つかる。
不況下でも改革により業績を伸ばす、こうした企業の存在がそれを示している。改革に成功した企業にはいくつかの共通項がある。
確固たる経営の方 針と意志。思い切った業務改善と重点分野への大胆な経営資源の投入。そしてスピード。グローバルな競争環境が企業を取り巻く以上、遅かれ早かれ多くの会社 経営者は方向転換を迫られる。

現在の日本経済の低迷はわが国の基礎的な技術力に起因するというよりも、むしろ企業経営のあり方にある。だから、今後はそうした経営方針を採りやすくする法制度の改正も行われるだろう。

既に、商法の改正や確定拠出型年金制度創設等いくつかそうした事例もある。

では、会社員はどう変わるべきか?

まず、自分の能力をしっかりと客観的に認識することが一段と大事になる。
経営の目標達成に向けたスピードが増せば、即戦力を求めて専門的な能力を持つ人の中途採用が盛んになる。
雇用市場が活性化する。市場での自分の相場を常に意識し ておかなければならなくなるだろう。
もちろん、今の処遇より、条件の良い勤務先を見つける可能性も広がる。サムソンでも多くの日本人技術者が働いており、年収が3倍になった上に、韓国政府の優遇策で所得税免除の恩恵にあずかっている人もいるという。

終身雇用制がゆらぎ「就社より就職」という指向が強まれば、日本の会社特有の、その会社でしか使われない言葉や仕事の進め方の重要性は次第に薄れる。
語学やその他の専門的な能力の向上に誰もが力を注ぐ。
会社内の権限と責任が明確になり日本の会社の良い点であった、誰 もが会社全体の戦略を論議することは少なくなるだろう。
先日、オランダの会社に転職した興銀時代の友人から、その会社の役員の半数をオランダ人以外が占め、社内言語は英 語であると聞かされた。
ドイツの国際企業の駐日代表によれば、ドイツでも同じ状況が見られるという。非英語圏でも国際的に競争する企業は、社内の国際化が 進んでいる。日本の会社はまだまだ日本人が中心で、日本語が当たり前だが、国際企業では早晩、多くの外国人が役員に登用され、情報を共有するため英語が 「公用語」にならざるをえなくなる。

こうした変化の影響を特に受けるのがホワイトカラーだ。これまで、日本のホワイトカラーの生産性は、ブルーカラー に比べて低いといわれてきたからだ。
今後、研究者は他社がまねできない新技術をますます短い時間で開発するよう求められるし、営業職は売り上げの飛躍的な 増加を迫られるだろう。

今まで合理化とは縁が最も薄かった管理部門のホワイトカラーは生産性の向上を一番要求されるはずだ。
これからの中間管理職の役割 は、日本の組織の強みであったボトムアップの情報伝達を、素早い経営意志決定を可能にするトップダウン型のマネジメントと融合させる形で生かすいことにある。
換言すれば、職場の情報を上(経営の意志決定者)にも横(組織横断)にも伝えることで結果として組織の生産性向上に目に見える形で貢献するのがこれか らの役割なのだ。

湘南の風 あさお慶一郎の日記

あさお慶一郎 公式SNSサイト

このページのトップへ