あさお慶一郎(前衆議院議員 神奈川4区)

湘南の風

悪いのはクレディ・スイスだけなのか 平成11年 中央公論10月

2003年01月19日 (日)

平成11年 中央公論10月

今年の1月20日、金融監督庁はついに長年のタブーを破り外資系金融機関クレディ・スイス・グループ各社(以下CS)に検査のメスを入れました。 何の事前通告もなく行なわれた検査の結果、7月29日、金融再生委員会ならびに金融監督庁は、CSグループに対し銀行免許取消等の極めて厳しい行政処分を下しました。 この思いきった措置は、日本の金融関係者を驚愕させるだけでなく、外資に対してずっと及び腰であった日本の金融行政の新たな時代を予感させるほどの出来事と思われました。

かつて、日本の金融行政にはあからさまな外資優遇がまかり通っていました。例えば、邦銀が新しいアイディアに基づいて、申請をしても業界の中の横並 び状況はどうかとか、色々斟酌され、実に煩雑な手続きを余儀なくされました。しかし、もし申請者が外資系の場合、法令その他に照らし速やかに認可されまし た。当時の大蔵省は、裁量行政を振りかざして内(国内金融機関)には滅法強いが、欧米諸国からの(不当な取り扱いであるとの)非難を恐れ外(外資系金融機 関)には極端に遠慮している状態と思えました。

その意味でも、外資系金融機関は、日本の権力の及ばない、いわば“租界地帯”にあったのです。その特権に守 られた外資に検査に入るのみならず、免許まで取り消すのです。まさに時代が変わったというべきか、この数年の金融ビッグバンを踏まえて も隔世の感があります。

しかし、実は外資へのこの思い切った検査・処分にも大きな矛盾が隠されているのです。この問題を通じて見えてくる日本の金融行政の欠陥とは何のか、ペイオフ解禁の2001年4月の前に、日本の金融監督行政を再検証してみましょう。

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外資系金融機関の特性と時代背景 さて、本論に入る前に、今回問題となった取引の時代背景と外資系金融機関の特性について振り返ってみましょう。一言に外資系金融機関と申しても、そ こには色々な種類の金融機関があることは申すまでもありません。今回処分が発表された日本のCSグループは、いわゆるインベストメントバンク(以下Iバン ク)あるいは投資銀行業務と呼ばれる業務に従事しておりました。Iバンクとは何か、定義は多様に出来るでしょうが、一言でいえば金融技術の粋を駆使してと にかく利益を上げることを目標とした組織です。たずさわる業務は株式や債券の引受け、企業買収・合併(M&A)、有価証券や外国為替のディーリン グ、そして今話題のデリバティブ関連の業務等多岐に渡ります。長期の融資は、潜在的なリスクと事後管理の労力の割には、収益が少ないから行いません。 マネーメーキングマシーンとも呼べるこの組織は人件費が異常に高いのが特徴の一つです。CSの例ではありませんが、昨年世界的なベストセラーとなっ た「大破局」というモルガン・スタンレー(MS)の元社員の書いた告発本によれば、入社一年目の社員でも年俸数十万ドルは可能であり、年俸百万ドルを超え る社員もざらにいるとのことです。日本の金融機関の給与が高いとよく批判されますが、その邦銀からIバンクに移ると少なくとも初年度で給与は倍になること はごく当然で、更にその後の成績次第で、元の給与の5倍から10倍になっても不思議ではありません。

なぜ、その様な高給が支払えるかというと、それだけ収益を挙げているからです。前述のモルガン・スタンレーの元社員は、彼のいた70人の部署で2年 間のうちに10億ドルの収益を挙げたと記しています。単純計算で、一人当たりの年間利益は7百万ドル以上。もちろん、事務処理を行うコスト等が含まれてい ない数字かもしれませんが、ケタ違いに大きな利益であることに間違いありません。ちなみに、邦銀を見ると、従業員1人当たりの業務純益が最も多いところで も5,000万円に満たない訳ですから如何にこの金額が大きいかが分かるでしょう。もちろん、彼らは高い収益を上げるためにリスクを取ることを厭いません。 名門Iバンクのソロモンブラザースが米国債入札を巡る違法行為で摘発されたことがありましたが、これなどは、危ない橋を渡ろうとして渡りきれなかった例でしょう。 いずれにせよ、Iバンクとは、収益至上主義の会社にあっては、究極の会社形態と言える組織かもしれません。

さて、今回の損失先送り商品が売られた日本の時代背景について簡単にふれます。 OECDの統計によると、1990年から1996年の6年間のバブル 崩壊期間に、日本の金融を除く全事業法人は334兆円の資本損失を喫し、金融機関は181兆円の資本を失いました。これだけ巨額の損失は、第二次世界大戦 以後初めてですが、敗戦時と異なり、目に見えて何かが急に変化したわけではありません。そして、多くの会社のサラリーマン役員には、自分の任期中には損失の発生を表面化させたくないと願う人も多かったのではないでしょうか。 さらに、金融機関について言えば、最近の日債銀の破綻に際する大蔵省の監督責任についての宮沢大蔵大臣や柳沢金融再生委員会委員長の発言から類推するに、97年の山一、拓銀の破綻以前には、セーフティネットも未整備であるからという理由 で護送船団方式を守る為にも損失処理の先送りを黙認してきたいう背景があるのです。

だからこそ、大蔵省の行政指導下にある公認会計士が今回のCSの損失先 送り商品についてその会計処理に異論を唱えなかったのではないでしょうか。

なお、この期間、大蔵省はあきらかに銀行の損失処理の先送りに資する様な会計基 準の変更を認めてきました。

有価証券の評価方式を低価法から低価法と原価法の両方から選べる様に変更したのがその典型です。 つまり、複雑な金融技術の知識を活かして収益を稼ごうとする外資系金融機関にとってなんとしてもバブルの後遺症を決算書のお化粧で取り繕いたい日本 の会社とは格好の獲物であり、それらの「溺れそうな日本の会社」にとって外資系金融機関の損失先送り商品は目の前に差し出された「藁」に見えたことでしょ う。そして、当時の金融機関については、急激に損失を表面化させるより、徐々にそれを処理することを、大蔵省も欲していたというのがバブル崩壊後97年以 前の日本の実状ではなかったでしょうか。

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「公益を害する」のは単独犯? さて、CSの事件に戻って考察してみましょう。CSに対する処分事由は「公益を害する行為」と「検査忌避」の2つでした。まず「公益を害する行為」 とは何か。これは、CSが、多数の金融機関や事業法人に対して、含み損を抱えた有価証券の損失を表面化させることなく会計処理できるよう巧妙な仕組みを作 り出し、「反復・継続して」販売してきた行為を指しています。いわゆる「粉飾決算幇助」まがいの取引であります。喩えていえば、死に体の金融機関に高価な 生命維持装置を売りまくったということでしょう。

当局は、当初この「粉飾決算幇助」を立件すべく検査に入ったと言われています。ところが最終的には「公益 を害する行為」としてCSは処せられました。

CSが主張するように、彼らが販売した商品が単体では「違法ではない」と当局も認める結果となりました。

しかし、監督当局としては、初めて検査に 入った外資系金融機関の検査でなんの成果も見出せなければメンツの上からも許されません。その上、検査忌避など仮に行っていても日系の金融機関では認める ことの有り得ないことを行われた以上、なんらかの処分を下すべきだと判断したのでしょう。

銀行法に定める「公益を害する行為」を初めて発動し、免許取消を 含む厳しい処分を課した背景にはこんな事情も働いたのでしょう。もっとも、CSグループは日本国内で2つの銀行免許を有しており、免許取消を受けた日本のCSフィナンシャルプロダクツ銀行は、その親会社であるCSFPがCSFBと機構整理上合併が決定しており、免許取消はあまり影響がないときいています。 今まで、CSグループのCSFPも CSFBもそれぞれ日本国内に別法人の銀行子会社を有していましたが、今回CSFPとCSFBが世界的に統合されるに際して、日本国内でも二つの子会社を統合する話があったからです。むしろ、免許を「返上」するのは、それはそれで大変な作業であるので取消をされて良かったという意見も内部にあるそうです が、もう一方の銀行免許を保持しているCS信託銀行も無期限の営業停止処分でかつて類をみない厳しい処分を受けていることは事実です。

しかし、要件のはっきりしない「公益を害する行為」に落とし込んだことは、歴史的にも類を見ない裁量権の拡大です。これは「大岡裁き」といわれても 仕方がない断です。グレーゾーンだらけの我が国金融監督法制のもとで、裁量権の拡大は、海外メディアが指摘する通り、一層プレーヤーを混乱させることは間 違いありません。つまり、金融ビッグバンの「フリー、フェア、グローバル」の御旗のもと、新設された金融監督庁は大蔵省時代にも見せなかった思い切った裁 量を発揮したといえるのです。 もう一つ見逃せない点があります。8月3日の参議院財政金融委員会で、乾金融監督庁監督部長は、「公益を害する行為は行政罰であり共犯概念は一概に はない」と答弁しています。(質問者は筆者)これは裏返すと、「公益を害する行為」に落とし込むことで本犯を追求しなくてすむとも解釈されます。「粉飾決 算幇助」を立件するためには当然、当事者たる金融機関の「粉飾決算」を立件しなければなりませんが、その場合監査を行った公認会計士はじめ、事前に取引内 容を報告され「お墨付き」を与えたとされる大蔵省に飛び火することも想像できたはずです。それを避けるためのテクニックではなかったのかと勘繰られても仕 方がないと思われます。こうした要らぬ勘繰りを防ぐには、監督当局はCSの商品を購入して、「公益を害した」金融機関の摘発にも努めるべきでしょう。それ が、真に公平で、信頼される行政の姿であります。 次に「検査忌避」ですが、今年1月20日に当局が抜打ちで検査に入った当日夜にCS幹部社員が大量の資料をシュレッダーにかけたり、ロンドンに関係 書類を一時避難したりしたことが発端です。筆者はこの行為を擁護するつもりでは決してありません。しかし、同様に問題なのはおびただしい量のCS内部資料 がマスコミに流されたことです。なぜこのような流出が起きたのでしょうか。「検査忌避」をしてまで顧客資料を隠そうとしたCS内部から資料が流れだしたと は考えにくいです。すると、やはり、当局サイドから流出したと考えるのが自然でしょう。長引いた検査終盤はCS幹部が当局に出向くたび、不利な情報を事前 にマスコミにリークされ、訪問予定日当日の朝刊に大きくCS叩きの記事が載っていたものです。先般の東京相和銀行の破綻時と同様に、当局の検査結果は誰よ りも早くマスコミが握っていたのです。 金融不祥事がおこるたび、当局・金融機関・マスコミの間で情報のキャッチボールが行なわれるさまは異様としかいいようがありません。証券会社による 損失補填の問題の際には、最終的に当時の四大証券の顧客リストが(なぜか)同時に日経新聞に掲載され沈静化しましたが、そうしたマスコミを介した当局と金 融機関のやり取りは不透明きわまりない、不自然なものです。世論形成のための情報提供をすべて否定するものではありませんが、あたかも処罰の一形態かのよ うな使い方は絶対に許されるものではありません。ましてや、リークという当局側に正面から責任が及ばない形で、相手を攻撃することは卑怯な行為です。

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一罰百戒でいいのか? さて、上述の通り、この手の取引で商売をしたのはCS一社ではありません。そもそもこの手の取引はバブル期直後に中堅生保を中心に当時の四大証券が 手がけたこと端を発しています。そのうちに証券会社のスキャンダル時に顧客情報が漏洩したこと、ならびに取引スキームの高等化の要請があり、外資系の独壇 場になりました。昨年初頭に日本でもベストセラーとなった前述「大破局」には、東京で行ったMSの日本金融 機関との取引が詳細に内部告発されています。その顧客が4億ドルの利益を見かけ上計上するために、MSがその一取引で7,460万ドル(約90億円)の利 益を手にしたと書れてあります。東京は史上最大のおいしいマーケットだったようです。CSの後に、検査が終了しているリーマンブラザーズ、クレスベールに 対しても近く行政処分が下るでしょう。また、シティバンク等の名前も取り沙汰されていますが、アメリカへの遠慮からか、MS等のビッグネームの米系金融機 関には検査に行かないと噂されています。MSの場合には、告発本とは言え、取引の手口まで開示されていることを踏まえ、相応の検査をすべきとの声があがる のも当然でしょう。不公平といわれかねません。 次に、実際に取引を行った金融機関にはどういう行政処分が下るのでしょうか。まさか、個別の取引は単体では違法性がないから、まったく処分なしとい うわけにもいかないでしょう。現状ではCSがどの金融機関とどの程度の取引を行ったか公表されていませんが、当然当事者たる金融機関の側の責任は問われる べきでしょう。「公益を害する行為」によって、損失が先送りされた結果、投資家は虚偽の決算書に基づいて投資判断をさせられた可能性があります。仮に日債 銀が報道の通り、CSの助けで損失の先送りをしていた場合には、一番大きな被害を受けたのは、特別公的管理になる前に日債銀株を購入した投資家でしょう。 私のもとにも、日債銀株一万株を公的管理に入る直前に140万円で購入したという一般の投資家の方から、140万円がゼロになったがどうすれば良いかの相 談の手紙が来ています。こうした投資家の立場に立てば、やはり、損失先送り商品を購入したことに対して何らかの処分が必要となるでしょう。 行政処分の公平性についても考察が必要です。現在、刑事事件として表面化している日債銀や長銀の粉飾決算疑惑に対して、行政処分が行われないのは何 故でしょうか。不動産がらみの不良債権の飛ばしや大蔵検査用に組織挙げての二重帳簿作成などの極めて悪質な行為に対し、旧経営陣が個人として刑事告発され るのみで法人として行政処分されないとしたら、CSの処分と比べて著しくバランスを欠いているといわざるをえません。日債銀や長銀に銀行免許を与えている 現状をどう説明するのでしょう。まさか、行政処分を課すると今後の売却に影響が出ると考えているわけではないでしょう。特別公的管理に移行したから行政処 分が不要であるとするのも問題でしょう。公的管理移行後も法人格は変化していないのです。

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行政責任と現状の検査の体制 当局の行政責任はどうでしょうか。宮沢蔵相や柳沢委員長が認識している行政責任はどのような形で果たされるのでしょうか。「銀行をつぶさないことが 当時の命題」とし、信託勘定については原価法も採用できる等、“神風”的救済策を幾度も繰り返し、問題を先送りにしてきたツケはいうまでもなくあまりにも 大きいです。 当局は今回、複雑なデリバティブ取引を解明するため専門職の非常勤職員を雇い 、結果的に10数人中5名が本採用されたと報道されています。これらの非常勤職員は今回の検査でも活躍したとのことですが、その場合、本採用前の非常勤の 状態、いわばアルバイトの期間から検査を行っていたことになります。細かいことかもしれませんが、この状態での守秘義務等の法的制約ならびにその後本採用 されなかった人たちとの守秘義務契約は一体どうなっているのでしょうか? 私も、高度化する現下の金融に鑑みれば、当局も高度なデリバティブ取引を理解できる人員を増やすべきであると考えますが、最低限臨時職員としてでは なく、短期間であっても正規の職員として採用すべきでしょう。その際、もし予算面の制約等から急激に増加しにくいということがあるならば、例えば米国など で採用されている制度を参考に、被検査金融機関から検査料を徴及することも考慮してもよいのではないでしょうか。最初の1週間は無料で、それ以降有料とす ることも一案です。そうすれば、金融機関側も早く検査を終了してもらおうと、より協力的になるのではないでしょうか。 また、カルチャーの違いも考慮すべきです。今回、当局は初の外資系金融機関への本格検査を行った訳ですが、そのカルチャーの違いから多くの不要な摩 擦が生じたようです。検査官はいまだ「お上意識」が強く、CS側は「対等」な交渉を要求しました。英語の資料を原本のまま提出したら激怒され、何度となく お役所言葉に翻訳させられたり、スイス経済界きっての実力者といわれるグートCS会長が当局を訪問した際にはツッカケをはいた課長補佐が応対に出てきたと (グート会長は世界最大の食品企業であるネスレの会長となることが内定している。喩えていえば、次期経団連の会長に金融監督庁の課長補佐がツッカケをはい て会ったようなもの)、笑うに笑えない話もあります。日本において、営業をするのですから、検査に際して資料の日本語訳を用意することは当然ですが、原本 と訳の違いがあった場合に誰がその違いを指摘するのでしょうか。また、検査中とはいえ、相手は犯罪者ではないのだからその立場も最低限理解することは必要 でしょう。

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あるべき金融監督行政とは では、本来あるべき金融監督行政の姿とはどんなものでしょうか。2001年4月、つまり1年8ヶ月後には、ペイオフが解禁されることとなっていま す。私は現時点ではペイオフ解禁はあくまでも国際公約であり、努力すべき目標であり、制度の微調整はあっても、延期を議論すべき性質のものではないと思っ ています。ペイオフ延期を議論することは、不退転の覚悟で金融システムの大掃除をするという姿勢から離れてしまうからです。 ペイオフが実施される世界は一般の預金者にも、金額が1,000万円超とはいえ、自己責任を要求する世界です。その様な世界では情報の速やかで適切 な開示が一番大切であることはいうまでもありません。そこで、監督者としての仕事は以下の三項目の監視ではないでしょうか?一番目は開示されている内容が 正しいか否かのチェックであり、二番目は必要な事項について充分開示をしているかどうかをチェックすること。そして、三番目が金融機関としての運用姿勢が 正しいかどうかをチェックすることです。監督行政の思想で大切なのは、残念ながら性悪説に立つことです。今まで日本は、お上の指導には“従うはず”との論 理で、行政運営をある種裁量に基づいて行ってきましたが、外資系の金融機関は日本のムラ社会の論理とは別次元の論理で行動をするかもしれません。守るべき は預金者や株を保有する投資家、金融機関を選べない借入先であり、金融システムです。多様な企業の行動を効率的に監督するには、是非は別として、性悪説に 基づいて監督するしかないでしょう。そして、そのためには、最新の金融知識にも詳しい人材を採用する必要性があります。監督当局だけですべて賄うのは不可 能でしょうから、監査法人をより有効に活用することが必須となります。さらには、いったん決算対策のため緩められた会計基準を真に会社の状況を保守的に反 映するような形に例外なく改めて行くことが肝要です。こうした意味では、時価会計基準の導入は歓迎すべきことです。時価会計基準の導入と共に、CSの損失 先送り商品の利用で先送りされていた損失も帳簿上明らかになってくるはずです。 そして、当局が説明責任を果たしていくことが何よりも大切です。例えば、上記のCSの処分の例に見られる矛盾点について、一つ一つ当局側が丁寧に説 明をすることでマーケットのプレーヤーの印象が大きく変わってきます。金融当局はビッグバンに伴う監督行政の変化の中で、金融機関により高い透明性を求め てきました。しかし、自身の行政行為に対する説明責任の果たし具合は、まだ十分ではありません。例えば、国有化された長銀を民間に売却するに当たり、ゴー ルドマンサックスというIバンクをアドバイザー(助言者)に起用しました。また、日債銀の売却にはMSを同じくアドバイザーに起用しています。私はアドバ イザーの起用自体は、早期の再民営化がはかられるというなら、むしろ歓迎すべきだと考えております。しかし、税金で、これらのIバンクを雇用する以上、契 約内容を開示し、国民に吟味してもらう姿勢が必要ではないかと再 三再四議会で主張してきました。しかし、いまだに、当局には開示しようという動きはありません。思い出して下さい、Iバンクは、非常に人件費が高い組織で すから、アドバイザリー契約も高価であることが予想されます。税金で高価な契約を結ぶなら、その効果を広く国民が検証することが必要です。 金融監督行政が事前規制から、事後の監督へと変化するなかで、市場参加者に対してより高い透明性を要求するなら、監督当局は国民に対して進んで情報 を開示することで説明責任を果たすべきです。この十年で、「愚かなる『民』を全能の『官』が正しい方向に導くのだ」という発想が間違っていたことを、私た ちは巨額の国民負担を払って学んだはずです。

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